野田聖子氏が銀行業界から総スカン…“ゆうちょ贔屓”と非難囂々

20171122 03
総務省の野田聖子大臣が「銀行業界全体を敵に回している」(大手銀行幹部)という。きっかけは、野田大臣が『ゆうちょ銀行』の預け入れ限度額の撤廃を示唆したことだ。“民業圧迫”を拡大しようというのだから、銀行界が怒るのは当然である。加えて、野田大臣が大臣就任後にひっそりと資産訂正をしたことにも非難が集中している。野田大臣は当初、2016年に新たに保有した株式は“該当なし”としていた。しかし大臣就任後、「2016年1月に日本郵政株を1万1300株購入していた」と訂正したのである。これにより、「『野田大臣はゆうちょ銀行の業容拡大を狙っている』との警戒感が一気に高まった」(同)。全国に2万以上の郵便局を持つ『日本郵政グループ』は、言うまでもなく大票田。「野田大臣からすれば、大臣期間中にがっちり摑みたい」(信託銀行幹部)のだ。更に野田大臣は、携帯電話各社に料金の値下げを迫っている。しかし、「携帯料金が下がれば物価指数が下がり、日本銀行が目指すインフレ目標は遠退く。結果、銀行経営を圧迫しているマイナス金利を長期化させる」(同)。言いがかりにも聞こえるが、兎に角、業界として野田大臣を目の敵にしている。最早、両者は全面対決の様相を呈している。


キャプチャ  2017年10月号掲載
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テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

リビア難民を巡り国連がEU批判…“水際作戦”の犠牲者続出

20171122 04
リビアから地中海を渡ってヨーロッパに逃げようとしている難民への対応を巡り、国連と『ヨーロッパ連合(EU)』の間の亀裂が隠せなくなっている。ゼイド国連人権高等弁務官は先月、難民の苦境をEUが「見て見ぬふりをしている」と公然と批判した。EU側は、リビアの首都・トリポリを拠点とする統一政府に資金を渡し、密航船の取り締まりを強化してきた。この水際作戦が功を奏し、今年7~8月はイタリアへ来る難民の数が前年と比較して半減したという。しかし、その一方で“犠牲者”も生まれている。8月にAP通信が伝えたところによると、イタリアからの資金の一部が統一政府を経由して武装勢力に流れているという。しかも、捕らえられた難民は収容所に入れられた後、女性は売春婦、子供は奴隷、その他は臓器提供者として売られている恐れがある。こうした状況を、EUからの資金が間接的に助長しているということだ。『国境なき医師団(MSF)』も同様の疑惑を訴えており、現場を知る援助関係者は「EUは共犯者だ」と非難している。これが国連をEU批判に突き動かしたのだ。


キャプチャ  2017年10月号掲載

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

『東芝』監査問題で注目の公認会計士協会に自民党族議員が異例の批判

20171122 01
『東芝』問題を巡る監査法人の体たらくに、公認会計士を支える自民党族議員がブチ切れた。舞台は、先月14日に自民党本部で開かれた『公認会計士制度振興国会議員連盟』の総会。この議連は監査法人の支援団体であり、『日本公認会計士政治連盟』と蜜月関係を築いて、これまでは守護神の役割を担ってきた。だが、この日の総会は従来とは全く様相が異なった。『日本公認会計士協会』の関根愛子会長の報告が終わるや、議員から一斉に監査法人への批判の狼煙が上がった。東芝の粉飾決算を見抜けなかった『新日本監査法人』の責任問題から発し、粉飾を指南したとされる『トーマツ』、更には新日本に代わって東芝の監査を担う『PwCあらた』が、「日本法人なのに、親会社のアメリカ法人の言いなりになっている」という独自性の無さまで、追及は止まなかった。関根氏は防戦空しく、返答もままならない状態に。火の手は監督官庁の金融庁にも及び、伊吹文明元衆議院議長ら重鎮にも集中砲火を浴びせた。政治的な応援団から三行半を突きつけられた事態で、同罪扱いされた金融庁の出方も含めて、「公認会計士協会はこのままでは済まない」(自民党議員)との見方も出ている。資本市場を支えるべき監査法人がこの有り様では、投資家の不信は収まるまい。


キャプチャ  2017年10月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

次期主力戦闘機“純国産化”に暗雲…自衛隊が懸念する『三菱重工』の技術力

20171122 02
『三菱重工業』が防衛省技術研究本部と開発中の次期主力戦闘機の純国産化に、暗雲が垂れ込めている。これは『F16』をベースに、三菱重工と『ロッキードマーティン』が共同開発した現行の『F2』の後継で、純国産化を視野に2030年代の交代を想定する。だが、肝心の三菱重工のマンパワーと技術が「とても追いつく状況ではない」と自衛隊幹部は明かす。三菱重工子会社の『三菱航空機』が開発を進める国産初のジェット旅客機『MRJ』の開発停滞も、影を落としている。三菱航空機はこれまでに、MRJ初号機の納入時期を5回も延期してきた。量産の開始時期も2年先送りされ、三菱航空機は債務超過に陥っているのだが、前出の幹部によると、「MRJと次期戦闘機のマンパワーと技術が重なり、同機の開発停滞は戦闘機開発の遅れに直結する」という。MRJは今年8月にもアメリカでの試験飛行中、左側エンジンが停止する不具合を起こしたばかり。空自内部には、「旅客機すら開発できないのに、戦闘機どころではなかろう」(元パイロット)と不信と不安の声も渦巻く。防衛省は純国産も想定し、年内に開発方針を決定する青写真を描き、自民党でも“現代の零戦”を期待する声が少なくない。だが、その待望論とは裏腹に、スタートラインから白旗を揚げざるを得ない気配だ。


キャプチャ  2017年10月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

美容用に処方箋、透ける皆保険の限界

20171121 10
「ヒルドイドを使ってみたいのですが…」。皮膚科診療所で医師にこう頼んでみると、医師は慣れた様子で処方箋を書いてくれた──。こんな経験を持つ人たちが増えている。ヒルドイドとは、アトピー性皮膚炎や高齢者の皮膚乾燥症、霜焼け等の治療に使う塗り薬の名称。有効成分はヘパリン類似物質で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品だ。問題は、何かの症状で困ってヒルドイドを求める患者ばかりでないことだ。「肌が綺麗な同僚から『皮膚科で子供が処方してもらったヒルドイドがよかった』と聞き、興味を持った」。兵庫県に住む30代の女性会社員は、美容効果に期待し、処方してもらったと明かす。ヒルドイドは中堅製薬『マルホ』の商品名だが、同じ成分の医薬品としては、ドラッグストア等で購入できる一般用医薬品(※大衆薬)も出回っている。それでも医療機関で受診する人が後を絶たないのは、大衆薬よりずっと安く手に入るからだ。医師が処方する医療用医薬品は50g入りで1185円。自己負担率が3割の保険を適用すれば350円で済む。一方、保険が利かない大衆薬は、同じ50gでも1000円以上だ。

美容目的の購入者が医療保険財政に与える影響は小さくない。大手企業の健康保険組合で作る『健康保険組合連合会』は、「美容目的が疑われる処方を保険適用外にすれば、年間約93億円の薬剤費を節約できる」と試算する。医師にも問題がある。「後ろめたさを感じつつも、患者の評判を気にして処方を断れない医師が多い」と、東京理科大学薬学部の上村直樹教授は指摘する。初・再診料に加え、薬を処方すれば“処方箋料”も得られる。決められた用途以外で処方する薬は、度々問題になってきた。ビタミン剤・嗽薬・湿布薬で処方の在り方が問われ、国はその度に保険給付の対象外にしてきた。厚生労働省はヒルドイドについても美容目的の処方を保険適用外としたり、1回の処方量を制限したりすることを検討し始めた。ただ、本当に薬を必要とする患者が不利益を被ることがあっては、国民1人ひとりが安心して良質な医療を受けられるようにする皆保険制度の根幹が揺らぐ。『日本皮膚科学会』が処方制限に反対する要望書を厚労大臣等に提出したのも、そんな危機感の表れだ。手立ては無いのか? 法政大学経済学部の小黒一正教授は、「日本の医療保険制度は、全ての薬剤で一律の自己負担率となっている点が問題」と強調する。同氏は、「抗癌剤等重篤な疾患の薬は自己負担率を低く、ヒルドイド等の代替薬がある薬は負担率を高くする等、メリハリを付ければ年間約7800億円の薬剤費を削減できる」とみる。皆保険制度を維持しながら、42兆円超に膨らんだ医療費をどう適正化するか? 制度の抜本的な見直し議論が必要な時に来ている。先延ばししていては、第2・第3のヒルドイドが出てくるだけだ。 (取材・文/本誌 内海真希・庄司容子)


キャプチャ  2017年11月20日号掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【薬のホント・健康食品のウソ】(16) 自然食材“安全神話”の嘘…食品は膨大なリスクの固まり

自然食材なら安心という“安全神話”を信じていいのか? 食品リスク研究の第一人者である『国立医薬品食品衛生研究所』安全情報部の畝山智香子部長が、真実を明かす。

20171121 11
――自然食材は安全ですよね?
「それは先入観です。コメやヒジキ等には、天然の発癌物質である無機砒素が結構多く含まれている。白米よりも玄米により多く、程度の差はあれ、穀物・野菜・海藻・水等に含まれているんです。自然食材を含め、食品はリスクゼロの“真っ白”なものではない。未知の膨大なリスクの固まりであり、私たちはその正体を正確には知らない。食経験と科学で、リスクを可能な限り低減してきました。食品を汚すものとして残留農薬や食品添加物を思い浮かべる人が多いようですが、これらは大きな問題ではない。安全性を評価した上で使われているので、食品自体の成分に比べれば寧ろ安全。それら以外に有害な物質や微生物が普通に含まれています」

――オーガニックはより安全ですか?
「『有機栽培やオーガニック認証された農作物のほうが、普通に栽培されたものより健康に良い』と宣伝する人たちがいますが、食品安全で優れているということはありません。『普通の栽培より農薬の使用が少ないので、残留農薬が少ない』という宣伝が見受けられますが、元々、残留農薬は指示通りに使えば無視できる程度の小さなリスク。カビ毒汚染等のほうがもっと大きなリスクで、こちらは有機栽培のほうに多い。また、『農地にある程度の雑草が生えることが望ましい』と見做されているから、有毒植物の混入もしばしば報告されています。オーガニックのチキンや卵等もありますが、放し飼いされたニワトリは有毒なものも含め色々なものを突っつき、ケージで飼育するよりも汚染リスクが高い。そうしたリスクを上回る価値があるかというと、その分、栄養価が高いということも特にないんです」

――特定の食材や産地に拘るのは?
「寧ろ避けて下さい。食べ物の選択肢を狭めることは、たとえ栄養不良にはならないとしても、思いも寄らないリスクが高くなっている可能性がある。産地に拘るといっても、その土地や農作物の重金属濃度を知っている人は殆どいないでしょう?」

――結局、何が安全なんですか?
「“安全な食品”と“危険な食品”があって、安全な食品だけ食べれば安全というのは大間違い。どんな食品にもリスクとメリットがある。安全の為に意識すべきは食べ方で、色々な食品をバランスよく食べてリスクを分散すること。健康食品等で特定のものや成分を大量に継続的に食べることは、食品安全の考え方に反します」


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

テーマ : 食に関するニュース
ジャンル : ニュース

【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(63) トランプが言及した北朝鮮拉致被害者と暴力団の関係

「日本の浜辺から13歳の女の子を拉致し、彼女を北朝鮮のスパイを教える語学学校教師として奴隷にしたことを、私は知っている」――。今年9月、国連総会の一般討論演説でドナルド・トランプ大統領が語った一文である。国連という場で、アメリカの大統領による日本人拉致被害者への言及は衝撃的であった。この演説の時、残念ながら北朝鮮の代表は席を外していたのだが、在席していた各国代表の表情はとても興味深かった。トランプ大統領の言う13歳の女の子とは勿論、横田めぐみさんである。彼女が北朝鮮によって拉致されたのは、今から丁度40年前の11月だった。生きていれば53歳、筆者と同い年だ。北朝鮮による拉致事件が初めて国会で取り上げられたのは、1980年のことである。それから20年を経て、漸く北朝鮮は公式に拉致を認め、謝罪した。日本政府が認定した拉致被害者は17人。その内、帰国できたのは5人しかいない。暴力団員だった筆者が拉致被害者の情報に直接触れたのは、先の5人が帰国した直後のことであった。当時、筆者が所属していた組織には北朝鮮籍の者が数名いた。その内の1人は親族に北朝鮮の高官がおり、頻繁に日朝間を往き来していた。そんな彼からある日、携帯電話で撮られた画像を見せられた。遊園地の入り口だろうか、40代の女性2人が写っている。「カネさえ払えば日本へ連れて帰られるで」。写真の女性は、2人とも北朝鮮へ拉致されてきた被害者であった。北朝鮮籍の組員が言うには、この2人以外にもカネで帰国の交渉が可能な拉致被害者が何人かいるらしい。その中には、日本政府が公式に認定している関西出身の女性もいた。

北朝鮮の高官が何故、身内とはいえ暴力団員に拉致被害者の解放を持ちかけたのだろうか? その理由は、北朝鮮の成功体験にある。日本政府も北朝鮮政府も公式には認めてないが、5人の拉致被害者を帰国させるのに多額のカネが動いたことは有名な話だ。拉致から数十年を経て、持て余し気味の被害者に身代金を払ってくれるなら、喜んで解放したいのが北朝鮮の本音だろう。だが、政治的な事情から政府間での交渉には限界がある。そこで暗躍するのが、日本の暴力団なのだ。暴力団には政治的な事情や、国際的なルールは存在しない。あるのは利害だけである。日本の暴力団は長年に亘り、覚醒剤やココム規制品(※対共産圏への輸出規制品)の取引によって、北朝鮮との外交チャンネルを築いてきた。北朝鮮にとって、覚醒剤を始めとする非合法な収入源は全てが国家事業であり、取引相手となる暴力団とは一定の信頼関係が構築されている。よって、政府の外交ルートでは不可能な交渉も、利害のみによって動く暴力団なら可能なこともあるのだ。2005年、拉致被害者ではないが、北朝鮮に亡命していた日本人女性を知人が連れ帰ってきたこともあった。この時には2000万円を北朝鮮へ支払ったのだが、他の拉致被害者についても「どうか?」と金銭交渉を持ちかけられた。在京の暴力団幹部が、日本政府の認定する拉致被害者の帰国交渉を独自に行ったこともあった。ところが、北朝鮮と日本の政府間で問題があり、交渉は頓挫してしまった。まさに政治的限界が露呈した一件であった。この原稿を書いている今日、トランプ大統領が初来日する。横田めぐみさんのご両親らと面会する予定である。トランプ大統領のこうした行動は、北朝鮮に対する強いメッセージとなるだろう。横田めぐみさんの帰国と、拉致事件の完全解決を心から願うばかりである。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年11月21日号掲載

テーマ : 北朝鮮問題
ジャンル : 政治・経済

【昭和&平成放送禁止大全】(11) 日本と海外の感覚のズレが浮き彫り! 『アサヒビール』の『スタイルフリー』CM

20171121 08
昨今、国家や地域等の境界を越えて、地球規模の社会的・経済的な繋がりが広がっている。だが、そんなグローバリゼーションが世界に様々な事件も起こしているのも事実だ。他国の経済状況が遠国にまで多大な好影響だけでなく、悪影響をも与えたりもするのである。そうした中で大きくクローズアップされるのが、異文化交流の問題だ。文化の違い・国籍・人種問題は、当事者や当事国が気が付かないまま急に巻き起こってしまうこともしばしば。例えば海外を舞台、或いは外国人を主人公に据えて制作されたテレビCM等は、対象となった他国から強い抗議を受け、大騒ぎになったりもする。最近では、2013年5月から放送された『アサヒビール』の発泡酒『スタイルフリー』が、スリランカの新聞等からのクレームで放送中止となった。CMの内容は、『TOKIO』の長瀬智也と仲間が発泡酒を手にパーティーを楽しんでいるという設定。一見、ガーデンパーティーにも思えるが、カメラが引いていくと、切り立った岩山の上の『シーギリヤ遺跡』だということがわかる。この遺跡は実在のもので、5世紀にカッサパⅠ世によって建造された古都・シーギリヤの王宮跡なのだ。勿論、出演者陣が実際のシーギリヤでパーティー風景を撮影したのではなく、あくまでスタジオ撮りの映像を空撮映像に合成したもの。ところが、この遺跡が1982年に世界文化遺産に登録されていたこともあって、「世界遺産で酒盛りするのは冒涜だ」と批判が出てしまったのだ。日本人からすれば「何もそんなに目くじらを立てなくても…」とも思うが、抑々、シーギリヤがスリランカの歴史にも関わる場所と聞けば、なるほどと思わざるを得ない。スリランカ国内では酒類と煙草の広告が禁止されていたのも大きかったようだ。こうしたギャップこそ、異文化交流の問題なのだ。スタイルフリーという発泡酒のCMだが、海外では何でも自由という訳にはいかなかったようで、アサヒビールは翌月に放映中止を発表している。

人種表現が問題とされたCMは、もっと根っこが深い。2014年1月から放送された『全日本空輸』のCMは、外国人をステレオタイプ化していて人種差別的だと批判された。羽田空港発着のANA国際線が増便されることをアピールするCMで、パイロット制服姿の俳優の西島秀俊とお笑い芸人のバカリズムの2人が出演。西島が「日本人のイメージ、変えちゃおうぜ」と語りかけると、「勿論」と応じたバカリズムの容姿が金髪のカツラとゴム製の高い付け鼻をつけているという、まるでコントのようなオチ。外国人の格好を真似している日本人の自虐ギャグでもあるのだろう。ところが、このニセ外人姿が日本国内の英語SNSで問題視され、放送中止となってしまう。これも、外国人の容姿を単純に格好いいと思い込んでいる日本人側からすれば、中々わかり難い問題だ。人種問題系では、黒人表現でもトラブルは起きている。2008年放送の『イーモバイル』のCMは、他社からの乗り換えを促す内容。バラク・オバマ元大統領の演説をパロディーにしたもので、壇上に登った猿がイーモバイルへの“CHANGE”を訴える。これもやはり、黒人を猿にたとえたとして苦情が寄せられ、放送中止になってしまう。制作者は指摘されるまで、“黒人=猿”という差別的イメージ変換には微塵も気付かなかったろう。何しろ、日本人のとっての“猿”は、長い文化の中で育まれた“愛すべき隣人”のイメージが強い動物だからだ。こうした人種問題CMは、その本場である海外でも発生する。2012年にインターネット配信された『ヨーロッパ連合(EU)』の広報CMは、世界中で悪い意味で話題になった。これが人種差別に反対するCMだから面白い。武道家風のアジア人男性、剣を持ったアラブ人男性、格闘家風黒人男性が、突如、12人に分身した黄色いトラックスーツ姿の白人女性に包囲され、武装を解除。最後に女性が12個の星に変わり、EUの旗が現れるという演出だが、白人至上主義的だとして、僅か数日で配信停止となった。お隣の中国では、『上海雷尚化粧品』の洗剤『チャオビ』のCMが世界中からの猛抗議で放送中止に追い込まれた。ペンキだらけの黒人男性にキスを迫られた女性が、その口にチャオビを放り込み、洗濯機に押し入れる。すると最後には、洗濯された男性が格好いい中国人になって出てくるというものだった。文化のグローバル化は未だ始まったばかり。放送中止問題の中で、世界のCM制作者はまだまだ色々なことを学ばないといけないようだ。 (大衆文化研究家 幕田けいた)


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テーマ : 社会問題
ジャンル : ニュース

【ある意味犯罪は希望だ】(03) 老老介護殺人の社会学

高齢者が引き起こす殺人事件の動機の2割が“介護・看護疲れ”の時代。今や人口の4分の1が65歳以上の高齢者である日本で、配偶者や親を介護する中で起こる“老老介護殺人”は主流の犯罪になり始めている。「夫が倒れたのは12年前のこと。その時、夫は丁度60歳で、定年後は混んでいない平日にハワイに旅行して、観たかった映画でも観て…。そんな計画を立てていました。それが、12年間24時間体制で介護が必要な身体になり、外にも出れない。友だちに会うにも家に来てもらうしかないから、年に数回。私も70になったばかりだけど、この生活がまだまだ続くのかと思うと…」。近所の整骨院に週1回通うのが唯一の息抜きという70代の女性は、そう呟いた。10年・20年と長期に亘って老老介護をしなければならない――。今はそんな光景が当たり前になっている。厚生労働省の調査によれば、実に65歳以上の4人に1人が日常生活に支障のある病気・怪我を抱えている。そして、介護が必要になった世帯の半分以上が65歳以上の高齢者同士だ。年齢を重ねて寝たきりになれば、外に出て知人と交流する機会が減り、鬱になり認知症が悪化する。精神的に追い込まれると憎しみ、疲れ、「楽にしてあげたい」という優しさ等々の感情に振り回され、自分でも訳がわからないうちに衝動的に殺人に至ってしまう。

殺すのは圧倒的に男だ。それまで家事や近所付き合いをしてこなかった男は、妻の介護が必要になると、その全てを引き受けなければならない。心身共に疲れ果てるが、動けを求めようにも伝手が無い。折角楽しい老後を妻と共に生きようとしたのに、突きつけられた現実は理想とあまりもかけ離れている。老人ホームに入るカネも無い。絶望して妻を殺す。医療や福祉が発達し、人々の理想だった“長生き”は達成したが、皮肉なことに、その理想が老老介護と殺人を生んだ。その何の光も無い暗い世界は、1990年代の自殺ブームともイメージが重なる。当時は世相を反映してか、『完全自殺マニュアル』(太田出版)が爆発的にヒット。そのあまりに悲惨な現実を見て、「未だ俺はそこまで堕ちていない」と安心し、死ななかった“自殺予備軍”が多くいたというが、老老介護設人もその事情を知れば数が減るのだろうか? 「深夜でも関係なく起こされ、体が痛いと機嫌が悪くなって怒鳴られて。ぐっすり眠ったことなんて何年も無い。もう疲れちゃって。頭がボーッとして。『夫を殺して自分も死ぬことが一番いいのかな』って、そんな時はふと思うことがあるんです」(前出の70代女性)。いくら世の中が豊かになっても、人は必ず年老いる。そして、いつか死ぬ。いずれ誰もが直面する“谷底”の奥深くで、老老介護殺人は起こっている。殺すことだけが唯一の希望なのだ。今後やって来る超高齢化時代。“老老介護殺人マニュアル”が世に出れば、介護地獄を少しは笑って過ごせるようになるかもしれないが。


開沼博(かいぬま・ひろし) 社会学者・立命館大学衣笠総合研究機構准教授・東日本国際大学客員教授。1984年、福島県生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程在籍。著書に『“フクシマ”論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)・『漂白される社会』(ダイヤモンド社)等。


キャプチャ  2017年11月号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

“脱成長”を前提とするマエハラノミクスの絶望――財政再建・消費増税路線は無益以外の何物でもない

20171121 09
本誌発売の頃には衆議院の総選挙を目前に控え、与野党の政策公約に耳目が集まっているだろう。そして、希望の党との連携を発表し、今後の合流も取り沙汰される(※9月27日時点)民進党が党としてどのような政策構想で選挙に臨むかは、同党の社会・経済に関する基本的な姿勢を示すという意味で、重要である。9月に行われた民進党代表選そのものの注目度は、高いものとはいえなかった。しかし、その中では一定の意味のある提案・提言が見られた。その1つが経済政策構想の具体化だ。2012年に政権を失って以来、旧民主党や民進党は経済政策に関して明確なビジョンを示してはこなかった。経済への言及も現政権の批判に終始するものが中心で、且つその批判も正確さを欠くものが少なくなかった。アベノミクス開始を契機に、日本の労働市場環境は急速に改善している。その中で、「賃金は低下している」「増えているのは非正規雇用だけ」という批判が最後の拠り所になっていたが、2014年以降、決まって支給する現金給与の額は正規・非正規共に増加に転じ、正社員数も2015年から増加している状況では、賞味期限が切れた主張だと言ってよい。抑々、景気回復の初期には非正規雇用が先に拡大すること、(比較的貸金が低い)新規就労者が増加すると“平均”賃金が一時的に低下することがあるのは経済の常識だ。その現実性は本稿の主題ではないので割愛するとして、民進党が今後も政権交代を実際の目標として党運営を行っていくならば、批判から対案・提案への転換が求められる。

前原氏が“All for All(みんながみんなのために)”というスローガンの下、経済政策に重点を置いた政策公約を掲げて代表選を戦い、そして勝利したことは、提案型政党に向けた一歩として評価されて然るべきだろう。問題はその中身である。前原代表の経済政策姿勢を理解する為には、氏の公式ホームページ内の“民進党代表選2017 Q&A”を参照するとよい(※以下、引用は同ホームページより)。

成長→所得増→貯蓄増→安心という戦後のフレームとは違い、徹底的な“尊厳ある生活保障”をつうじて、成長に依存しない社会、そして、結果的に成長を誘導する社会をめざします。

消費税を回避すれば、極端なサラリーマンの負担増、中小企業も含めた企業の負担増、あるいは生活保障の不徹底、いずれかの結果に終わるでしょう。

こういった発言からもわかるように、前原氏の経済政策は脱成長や再分配を軸に、その財源として消費税増税を用いるというものだ。なお、金融政策に関する積極的な主張は展開されていないが、

金融緩和や株価対策、さらにオリンピック景気が重なっても、国民の不安は一向に取り除かれていません…日銀が保有する国債残高は膨らむ一方です。

といった発言を見る限り、現在の金融緩和に批判的なのは確かなようだ。金融緩和は、基本的には国債買い入れによって行われる。従って、日銀保有国債の増加を問題視するというのは、金融緩和を問題視するのと同じことである。これらの経済政策姿勢の前提となる脱成長路線の問題点から考えていこう。「日本は十分に豊かなのだから、更なる経済成長は必要ない」といった良識派(?)から、「人口減少フェーズに入った日本経済には、これ以上の成長は望めない」といった諦観まで、脱成長論の人気は根強い。

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