【Deep Insight】(82) “21世紀の生産性”を測る

質問を1つ。アメリカの『インテル』と『Amazon.com』。この2社に共通するものとは何だろう? 答えは国内総生産(※GDP)の統計だ。取材先のアメリカ金融業界関係者によれば、経営上の数値が正確にアメリカのGDPに反映されていない可能性がある大企業が少なくとも2つあり、それがインテルとAmazonだという。商務省は企業に経営情報を毎月求めている。ところが、両社は情報提供に消極的だそうだ。インテルがあまり協力的でなかったのは昔から有名らしいが、「アマゾンまでが拒んでいたとは…」と同関係者は話す。何故、驚きなのか? 1つは、Amazonが今や小売りの世界最大手『ウォルマートストアーズ』を追い抜くかどうかという巨大企業だからだ。そんな企業の情報は経済や景気の計測に著しく影響を及ぼす筈だが、実はアメリカ政府は、同社が手がける非店舗販売(※電子商取引)の実績を把握できていない。四半期決算等を基に、“推計”や“調整”で統計を作っている可能性がある訳だ。Amazonが拒む理由は、「株式市場に影響を与えかねない情報は、証券取引所の定めた方法でしか開示しない」ということらしい。だが、アメリカ政府関係者の間では、「小売り産業での存在感が強くなり、独禁法を意識して目立たないようにしている」との見方もあるという。なるほど、ではある。だが、こんな疑問も湧いてこないだろうか? 万が一、Amazonが月々の情報提供に応じたとしよう。その場合、同社の生み出した付加価値、或いはアメリカの消費動向は、今よりどれだけ正確に計測できるのか? 商務省でもまさに議論が始まったテーマらしい。Amazonの急激な躍進は、リアルの店舗を沢山開設し、売り上げを増やしたというのとは質的に異なる。Amazonで購入する場合、消費者はありとあらゆるものが載ったインターネット上のページからものを選択し、家まで配送してもらう。その上で、一般の店で買うのと値段が同じ、或いは安いことが多い。しかも、毎月一定額を払えば通常より早く荷物を受け取れたり、動画や音楽配信が好きなだけ楽しめたりする特典も付く。高度な技術革新を伴ったサービスの向上がある筈なのに、我々は従来と同じか、大きな追加負担も無しに、様々な“便利さ”や“経験”を享受できるようになった訳だ。そうしたサービスの向上はGDPには表れ難い。Amazonはウォルマート等20世紀型の既存勢力から確実に勢いを奪っているが、それを支える技術からはそう大きな対価が得られないからだ。

一方で、顧客満足度は上がった筈だ。こんな調査結果がある。『野村総合研究所』が3年に1度実施する生活者1万人アンケートによると、自分の生活レベルを“上”ないし“中の上”と感じる人の割合は、2009年以降増加傾向にあり、“中の下”や“下”と答える人は逆に減っているという。桑津浩太郎研究理事は、「『GDPや賃金が伸び悩んでいる』と言われるが、電子商取引、無料の動画、大学教育等、デジタル化されたサービスによる便益を通じて、生活に豊かさを感じる人が増えている可能性がある」と話す。桑津氏らは、デジタルサービスから得られる豊かさを“消費者余剰”という形で試算している。例えば、ある商品を100円で買おうとしたら90円で買えた。その場合は10円が消費者余剰だ。逆に、売り手から見ると、90円でしか売れなかったら“生産者余剰”はマイナス10円だ。ここで重要なのは、生産者余剰はGDPに織り込まれるが、消費者余剰は織り込まれない点だ。そこで、後者をGDP(※実質)に上乗せしてみると、年間500兆円前後で伸び悩む日本のGDPは、2007~2015年度の平均で年42兆円押し上げられるという。消費者余剰と生産者余剰の関係は今後、シェアリング経済の浸透もあり、一段と注目される可能性がある。例えば、クラウドサービスを見てみよう。個人や企業が個別にデータセンターを持たず、Amazon等のクラウドサービスを使ったら、社会全体で不稼働資産を減らすことが可能だ。だが一方で、データセンターで使われるサーバーは需要が減って価格が下がるか、生産量が落ち込む。『IBM』等のメーカーがここ数年元気を失ったのはそのせいだ。とはいえ、「デジタル化の便益が消費者に偏っていて、企業が割を食っているとの理解は正しくない」と話すのは、『アセットマネジメントOne』チーフエコノミストの小出晃三氏だ。企業にもデジタル化で生産性が向上した恩恵は大きい。「重要なのは、従来の計測法で捕捉できない付加価値が増えたという点。それを議論しなければ、日本経済の生産性も正確に測れなくなる」と言う。労働生産性はGDPを労働投入量で割って算出する。だから、GDPにデジタル化の便益が上乗せされれば、理論上、生産性が上がる。政府から“3%賃上げ”の声も出る年明け以降の産業界の賃金交渉にも深く関わる話だ。“21世紀の生産性”とでも言うべきだろう。生産性を話し合うなら、現在の付加価値の計測法に問題がないかどうかを問い直すことも重要だ。“鉄やセメントを何トン生産したか”でGDPを測ったのが20世紀だったとしたら、21世紀は“所有でなく利用”・“モノよりコト”・“規模より範囲”が問われる時代だからである。 (本社コメンテーター 中山淳史)


⦿日本経済新聞 2017年12月15日付掲載⦿
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【US Affairs】(13) 多数党を狙う民主党の贅沢だが深刻な悩み

2018年のアメリカで最大の政治イベントは、11月6日に投開票となる議会の中間選挙だ。選挙の焦点は、共和党が多数党の地位を維持できるかどうかに絞られた。全議席が改選となる下院では、共和党の劣勢が鮮明である。オンライン賭けサイト『プレディクトイット』では、昨年12月頃から下院共和党の多数党陥落を予想する割合が60%を上回り続けている。抑々、下院共和党は戦う前から危険水域にある。過去の選挙結果からいっても、大統領就任後の最初の中間選挙では大統領の政党が敗北する傾向にあるからだ。今回は24議席減で多数党交代となるが、第2次世界大戦後の実績を平均すると、大統領の政党は29議席を失っている。追い打ちをかけるのがドナルド・トランプ大統領の低支持率である。経験則では、大統領の支持率が低いほど失う議席は多い。過去の傾向通りなら、下院の多数党維持には50%台後半の支持率がいる。昨年のように40%を割り込む支持率では、50議席以上を失う計算になる。沈みかけた船から逃げ出そうというのか、下院共和党では引退を表明する議員が例年よりも多く、先月末までに引退を表明した議員は早くも20人を超えている。知事選挙への転出等を含め、下院共和党は30以上の空席を守る必要がある。アメリカの選挙は現職優位の傾向が強い為、劣勢の下院共和党にとって現職の大量流失はあまりにも痛い。対する民主党にとっては絶好の展開のようだが、決して悩みが無い訳ではない。というのも、大統領批判で攻勢をかけたい下院民主党と違い、上院民主党は守りの様相を見せており、下院民主党と上院民主党とで選挙に対する温度差が生じている。上院民主党が守りに入るのは改選議席が多いからだ。議席の3分の1が改選となる上院では、民主党の改選議席が26議席と、共和党の8議席を大きく上回る。2議席増で多数党に復帰できるとはいえ、上院民主党にとっては現有議席の維持が優先課題となる。

見逃せないのは、上院民主党にはトランプ大統領との距離感に気を使わなければならない事情があることだ。実は、上院民主党はトランプ大統領への支持が強い州に改選議員が多い。上院民主党の改選議員の内の10人が、大統領選挙でトランプ大統領が勝った州から選ばれている。上院民主党が大統領に盾突けば、こうした議員は地元の反感を買い、再選が危うくなりかねない。上院・下院民主党の足並みの乱れが表面化したのが、僅か3日で終わった1月の政府閉鎖である。民主党は、若い訃報移民への本国送還猶予措置(※DACA)の延長を求め、政府機関を閉鎖に追い込んだ。しかし、改選議員への悪影響を恐れた上院民主党は粘り切ることができなかった。共和党から譲歩を得られないまま、早々に政府閉鎖の解除に応じた上院民主党に対し、下院民主党には強い不満が渦巻いている。先月30日の一般教書演説でインフラ投資を取り上げる等、就任2年目を迎えたトランプ大統領は、民主党に協力を呼びかける姿勢を示している。大統領に花を持たせたくない下院民主党と、徹底抗戦のリスクを恐れる上院民主党の間では、ぎくしゃくした関係が続きそうだ。上院と下院の環境の違いは、中間選挙後も民主党のアキレス腱になりかねない。民主党が上下両院で多数党に復帰しても、上院では僅差で過半数となるのが限界だろう。下院がトランプ大統領への攻勢を強める一方で、上院では攻め切れない構図が続きそうだ。正念場はトランプ大統領の弾劾となる。支持者の手前もあり、民主党が多数党となった暁には、弾劾手続きを始めない訳にはいくまい。しかし、非力の多数党となる上院では、有罪判決に必要な3分の2の票を集めるのは難しい。無罪となれば支持者の不満が募ってしまう。それどころか、「国政を犠牲に無駄な時間を費やした」と民主党が批判され、2020年の大統領選挙ではトランプ再選の追い風になるかもしれない。1994年の中間選挙で上下両院の多数党となった共和党は、対決的な議会運営で評判を落とし、民主党のビル・クリントン大統領に2年後の再選を許した。共和党が中間選挙で負けても、最後に笑うのはトランプ大統領――。そんな展開も夢物語ではない。


安井明彦(やすい・あきひこ) 『みずほ総合研究所』欧米調査部長。1968年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、1991年に『富士総合研究所』(※現在のみずほ総合研究所)入社。在米日本大使館専門調査員・みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長・同政策調査部長等を経て、2014年より現職。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)。共著として『ベーシックアメリカ経済』(日経文庫)・『全解説ミャンマー経済 実力とリスクを見抜く』(日本経済新聞出版社)等。


キャプチャ  2018年2月17日号掲載

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【人が集まる街・逃げる街】(14) 長野県白馬村…外国人中心の新たな不動産市場

長野県北安曇郡白馬村といえばスキーのメッカだ。筆者が学生の頃は毎年のように訪れ、朝から夜までゲレンデに繰り出し、何かに憑かれたかのように滑っていた記憶がある。ただ、昨今の白馬でスキーをする日本人は激減している。日本人のスキー・スノーボード人口は、1993年の約2000万人をピークに減り続け、約550万人にまで落ち込んでいる(※『日本生産性本部』発行の『レジャー白書2017』より)。最近の若者、中でも学生の多くはスキーやスノボに興味が乏しく、専らスマートフォンやゲームにお金を使う。寒い冬に態々高い交通費をかけてスキーやスノボで遊ぶという感覚は持ち合わせていないようだ。そして今、日本人に代わって白馬のゲレンデを席巻するのは、オーストラリア人やカナダ人といった外国人である。彼らは冬のスキーシーズンを迎えると、ヨーロッパやカナダ等のスキー場に繰り出してきた。こうした超優良客が日本のスキー場にもやって来るようになったのだ。元々、ニセコや白馬といったスキー場は、雪質の良いゲレンデとして国内では有名だった。最近は地球温暖化の影響もあり、ヨーロッパのアルプスのゲレンデは雪質が嘗てほど良好ではない。その結果、彼らの訪問先に日本のゲレンデが入ったとの事情もある。富裕層が中心の彼らは、一度やって来ると1週間から10日ほど滞在する。そして、エリア内にある複数のゲレンデを渡り歩く。多くのゲレンデを抱える白馬やニセコは、雪質の良さもあり、彼らには格好のスキーリゾートである。

ところが彼らを受け入れる筈の日本のホテルや旅館は、精々2~3泊までの顧客対応しかできていない。その多くが1泊2食付きという宿泊システムを標榜してきた為、10日間もの宿泊客を想定しておらず、食事に何を出せばいいのかわからないのである。とはいえ、素泊まりを認めては、人件費の高い調理人を遊ばせることになってしまう。そうした旅館は、外国人たちには然程人気が無い。そこで、一部の外国人富裕層は、エリア内にコンドミニアムを所有し、自分たちの利用期間以外は他の客に部屋を賃貸して“運用”する。これはコンドミニアムホテルとも言われる。最初から家具付きに設え、オーナーは基本的に私物を置かず、現地の不動産業者やホテルオペレーターに運用してもらうというのが基本スタイルである。コンドミニアムホテルは3LDKが基本。外国人客はそうした部屋を複数人でシェアし、見知らぬ客とも直ぐに友人になっていく。宿泊価格は、その中の1室が1泊2万~3万円。また、ファミリー客には3LDKを1泊9万~12万円程度で一括提供している。白馬で最近売りに出されたコンドミニアムホテルは、全戸数僅か8戸ながら、売り出したシーズンで完売したという。分譲価格は1戸当たり90㎡程度で約1億円強。坪当たりに換算すれば300万円台半ばになる。東京湾岸エリアの新築タワーマンションの価格を凌ぐ。買い手はオーストラリア人やカナダ人が主体である。我々はどうしても、日本の不動産を日本人の物差しで判断し、論評しがちである。しかし、日本人の常識とは異なる価格帯の不動産市場が過熱している。それは外国人を中心とした新たな不動産市場と言えるだろう。


牧野和弘(まきの・ともひろ) 不動産事業プロデューサー。1959年、アメリカ合衆国生まれ。東京大学経済学部卒。『第一勧業銀行』(※現在の『みずほ銀行』)や『ボストンコンサルティンググループ』を経て、1989年に『三井不動産』に入社。『三井不動産ホテルマネジメント』に出向した後、2006年に『日本コマーシャル投資法人』執行役員に就任し、J-REET(不動産投資信託)市場に上場。2009年に『株式会社オフィス・牧野』、及び『オラガHSC株式会社』を設立し、代表取締役に就任。2015年に『オラガ総研株式会社』を設立し、代表取締役に就任。著書に『なぜビジネスホテルは、一泊四千円でやっていけるのか』(祥伝社新書)・『2020年マンション大崩壊』(文春新書)等。


キャプチャ  2018年2月17日号掲載

テーマ : 住宅・不動産
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【オトナの形を語ろう】(59) 旅には時として危険が伴うものである

今回は先週の続きで、若い頃の旅の話だ。旅というものには、時として危険が伴うということを語ろう。O君は私の高校の同級生で、下宿にタダで住まわせてもらったり、ロンドンへ留学中は彼のアパートを使わせてもらった。その他にも、彼に送ってきた仕送りのお金を勝手に競馬で使ったり、兎も角、O君には借りが多大にあった。そのロンドン留学中のO君から「助けてほしい」と手紙を貰い、私はロンドンへ行った(※旅費はO君持ちだった)。そうしてO君の住まいに到着した。しかしその夜、1人の大男がO君の部屋のドアを叩きまくり、「ドアを開けろ」と怒鳴った。「何の騒ぎか?」とO君に問い質すと、どうやらO君に惚れているらしい。惚れて通っているとはいえ、赤毛の大男で、O君は相手のことが好きではないらしい。「勝手に彼がボクにプレゼントをしてくれたり、身体を触ったりするんだ」。O君は半ベソで訴えた。O君に私は恩義があった。ドアはドンドン音がし続けた。「わかった。俺があいつと話そう。ドアを開けなさい」。ドアが開くと、大男は笑って部屋に入って来た。そして私を見つけると、「誰だ?」とO君に訊いた。「ボ、ボクのフレンドだ。いや、パートナーだ」。私はO君の言葉を聞いて思った。「パートナー? それって恋人ってことか?」。途端に大男は形相を変え、私に向かって近付いて来た。

「待て」と制したが、凄い力で私の腕を掴まえようとした。「待て、お前、バカ、痛いだろうが、この赤ブタが!」。私は大声で怒鳴った。「手を離せ。さもないと警察を…」と言いかけて、先刻、警察があてにならないことをO君から聞いたのを思い出し、グイグイと力を込める相手の頭に、直ぐ傍にあったサイドテーブルの上のランプを手にして、思い切り振り下ろした。相手は唸り声を上げてうずくまった。私は直ぐに相手に馬乗りになり、首根っ子を絞め上げた。「手前、誰に歯向かいやがった!」と横っ面を引っ叩くと、その手をO君が取って言った。「もう止めてくれ。可哀相じゃないか」「えっ? 可哀相…」。O君は泣いていた。私が赤毛から離れると、少し傷があったおでこを撫で始めた。私は呆れ果てて、2人を置いてベッドルームに入った。ベッドに横になり、天井を見つめながら、「色んな留学があるものだ」と首を傾げていた。漸く眠りに就いた。しかし1時間後、ベッドルームのドアがノックされ、O君が入って来て、「もう1人友人が来たので、少し飲まないか?」と言った。「疲れたからいいよ」「その友人が『君に逢いたい』と言っているんだ」。――えっ? 何のことだ。「俺は知らんヤツとは酒は飲まん。出て行ってくれ。早く日本に戻るから」「いい人なんだ。少しだけでも逢ってやってくれないか?」「そいつが赤毛と同じ趣味なら、俺が危ない。出て行け」。

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ジャンル : ライフ

【劇場漫才師の流儀】(25) 今年注目するコンビ

毎年、この時期になると“2018年にブレイクする芸人”みたいな企画をよく見聞きするので、遅ればせながら僕もちょっとだけ。先ずは結成5年目の『マルセイユ』。昨年末、ウッチャン(※内村光良)の『にちようチャップリン』(テレビ東京系)で総勢42組が参加したお笑い王決定戦2017で優勝しました。コンビとしては5年目ですが、ツッコミの津田君は『尼神インター』らと同期の10年目ということで、胸に期するものもあったよう。良きライバルは宝です! 彼らは兎に角、元気がよくて、ボケの別府君はやかましいくらいですが(笑)、ネタもツッコミもいい。女の子にも人気あるらしいですね。やかましい系といえば『ミキ』ですが、ミキとはまた一味違ったやかましさかな(笑)。元気といえば、結成9年目の『インディアンス』もいいですね。大きな向日葵のバッジを胸に付けているボケ担当の田渕君がしょうもないダジャレばっかり言うんですが、それも才能です(笑)。でも、何かのきっかけでギャグが1つ当たれば、びゅーっと売れるかもしれません。ツッコミの木村君も上手いですよ。このコンビはパワーある喋りがマルセイユと少し似ているだけに、どちらが先にブレイクするか注目しています。それから『コマンダンテ』。2年前、僕が審査員長を務める『ytv漫才新人賞決定戦』(※読売テレビ主催)で優勝しました。

彼らは結成10年目なんですけど、若手というよりベテランみたいな漫才をします。兎に角、ネタがよく考えられてます。前半はネタ振り、後半、それを一気に笑いに変えていくという意味では、『和牛』に近いかもしれません。ただ、彼らのほうがテンポがゆったりしていますね。ネタ振りをした後、ガガガって行くんじゃなくて、ふわー、ふわー、ふわーって回収していく。それだけに、最低でも5分くらいはないと良さが伝わらないかもしれないですが、一度でも見たらその面白さがわかると思いますよ。『ギャロップ』も面白いネタ、沢山持ってるコンビですね。ボケの林君の薄い頭髪をいじったハゲネタが多いんですが、ツッコミの毛利君の言葉のチョイスも面白いし、彼はDJもできる。ただ、もう結成は14年目なんで、ここはひとつ、東京に2~3年行って大勝負に出てもいいんじゃないかと思います。あとは女性コンビの『紅しょうが』も注目ですが、これはまた今度書きます。僕はよく、「面白かったら絶対売れる」と言っているんです。「面白いのに何で売れないんやろ…」とぼやく芸人がいますけど、それはやっぱり面白くないんです。僕が言う面白いは、物凄く面白いということですからね(笑)。75点・80点くらいの芸人はナンボでもいます。『ダウンタウン』や僕の同期のさんま、紳ちゃん(※島田紳助)クラスの突き抜けた若い芸人が出てくることを期待したいですね。


オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(共にワニブックス)。


キャプチャ  2018年2月26日号掲載

テーマ : お笑い芸人
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【Test drive impression】(55) 『フォルクスワーゲン アルテオン R-Line 4MOTION Advance』――新グローバルフラッグシップは見た目重視のクルマなのか?

VWが世に送り出した新型フラッグシップとして話題となっているのが、今回試乗したアルテオンである。昨年10月25日に日本で発売となった。アルテオンは、ゴルフよりも上に位置するパサートと、メカニズムの多くを共用する成り立ちを持つ。嘗てパサートには、パサートCCと呼ばれる4ドアクーペボディーを搭載したモデルが存在したが、そのモデルの後を受け継ぐ形で登場したのが、このアルテオンという訳だ。実際、VWらしからぬという表現が相応しいほどで、極めてエモーショナルなその姿は、いい意味でVW初の“エロい1台”と言っても差し支えないだろう。低いフロントマスク、精悍なヘッドライト、そこから繋がるように展開されるフロントグリルが、これまでのVWにない攻撃的な雰囲気を醸し出しているのが特徴だ。また、サイドからのフォルムを見ると、最近のトレンドと言える実に流麗な4ドアのクーペスタイルが展開されている。特に印象的なのは、運転席が位置する辺りのルーフ部分が最も高く、リアに行くに従ってなだらかに低くなっていくキャビンフォワードを採用していること。これによって、通常の4ドアクーペとは異なる雰囲気を放っている。

更に、リアのフェンダーには綺麗に膨らみが与えられており、色気と力強さが共存する。しかも、装着されるタイヤは何と20インチサイズのド迫力。こんなVW、これまで見たことがない! 実際、このモデルは4ドアクーペではなく、5ドアのハッチバック形状のボディーが与えられている。リアは独立したトランク形状ではなく、乗員が座るスペースと同じ空間となる。だから、リアのハッチを開けて後席を倒すと広大な空間が出来上がるという寸法だ。しかし、外装に対して内装は、いつもの安定感のあるVWのそれだ。つまり、デザイン性よりも徹底的に実用性重視となる。それだけに面白みは外見ほどはない。パサートとほぼ同じインテリアなので、この辺りはもう少し色気があっても…と思える。そして肝心の中身だが、これもド安定のVW。メカニズムはほぼパサートと共用。つまり、モジュラートランスバースマトリックス(MQB)と呼ばれるアーキテクチャーを使っており、これはゴルフ等とも共通する。それだけに、信頼性は二重丸の基本骨格を持っているって訳だ。搭載エンジンは2ℓの直列4気筒直噴ターボ。最高出力は280馬力。これに7速DSGを組み合わせて4MOTIONと呼ぶ4WDシステムが駆動することになる。このパワートレーンはゴルフRと共通だ。

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【崩壊する教育現場】(16) “職員室崩壊”を防ぐ為に…教員の多忙はこう解決せよ

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多くの小学校、中学校、高校の教員たちは、過労死ラインを超えるほどの長時間労働を余儀なくされている。小中学校の場合は、休憩時間すら殆ど取れないノンストップ労働だ。長時間労働が常態化している背景には、授業時間数が増えていることが挙げられる。ただ、理由はそれだけではない。例えば、貧困家庭の増加、子供や親の発達障害の増加が、学校教育に大きな影響を与えている。従来は家庭が担っていた役割を果たす為に、教職員は多くの時間を使わざるを得ないのが実態だ。「平日の朝や長期休暇中にも給食を出したほうがいい」と話題になっている地域がある他、親からの相談の電話に夜遅くまで対応するのも珍しくない。「学校は教育機関というより“福祉機関”になりつつある」。生涯学習論を専門にする東京大学大学院の牧野篤教授は、そう述べている。学力の向上や不祥事の防止等、様々なことに対して教育行政や学校は説明責任を求められるようになった。教員は、子供たちが校内にいる間は目を離すことができない。そして、児童生徒の下校した後には書類の処理や翌日の授業準備が待っている。「学校現場にこれ以上期待されても無理」「会議の見直し等、できることは既にやっている。国が教員数を増やす等してくれないとどうにもならない」。現場の教員たちからは、こうした声が数多く上がる。改善が必要とわかってはいても、職員室が“諦めモード”になっていることも少なくない。しかし、少し立ち止まって考えてみると、できることが多いのもまた事実だ。学校の今をきちんと診断すると、学校、国、教育委員会、保護者、地域がやるべきことは見えてくる。

多忙を改善する為のネックになっている要因は多くあるが、ここでは2点に絞って分析する(※それ以外の要因については拙著『“先生が忙しすぎる”をあきらめない 半径3mからの本気の学校改善』参照)。1点目は、“子供の為に”との思いから、教員自身が仕事の量も種類も増やしているということだ。よく言えば教員たちのボランタリー精神や善意が日本の教育を支えてきたということであり、悪く言えば学校運営は教員の献身性におんぶに抱っこだった。例えば、部活動を土日も潰して毎日やる、子供たちのノートや宿題に丁寧なコメントを書いて返すといった教員の日常は、児童・生徒を思ってのことだ。一生懸命頑張れば、その分だけ子供たちに喜んでもらえるし、同僚や保護者からも熱心な先生として認めてもらえる。授業準備や部活動の進め方等に正解は無いことから、よりよいものにしようと積極的に時間を費やすようになり、歯止めをかけられなくなる。結局、教員自身が仕事を増やし、長くやってしまうことも少なくない。2点目は、人を育て活かす経営ができていない点だ。教職員間の業務量調整や人材の育成を担う副校長・教頭は、学校内外の対応に忙殺されている。学校経営の実務に当たる中堅教員が少なく、一方で若手教員が多いという年齢構成もあり、若手育成の役割を担う中堅教員の手が回らない学校も多い。その結果、仕事ができる教員には業務が集中する。できない教員は比較的軽めの業務となるが、十分に育成されていない教員の中には、学級運営や生徒指導を上手くできない人が出てくる。一度トラブルが起これば、管理職や周りの教職員が問題対応に追われる。益々忙しくなり、「もう続けられない」と辞めたり、病気で休んだりする教員も出てくる。そうすると残った教員の負担が増し、最後には職員室が崩壊してしまうという悪循環だ(※左上図)。文部科学省は多忙化対策として“業務改善”を推奨している。筆者が学校でよく耳にするのは、「休養日を設ける等、部活動の実施方法を見直した」「ICT(※情報通信技術)を使って情報共有や会議の進行を効率化した」といった類の話だ。こうした狭い意味での業務改善、つまり仕事のやり方を見直したり効率化したりする方法改善は必要であり、やれば一定の効果は出る。だが、それだけを実行しても、過労死する人が出るほどの長時間労働を解決するのは到底不可能だ。抜本的に変えていく為には、方法改善に留めず、必要性の低いものは思い切って止めたり、減らしたり、或いは関連するものは統合したりする“仕分けと精選”が必要だ。例えば、部活動数の削減を図る、必要性の薄い会議や行事は止めたり別のものと整理・統合したりするといった判断が求められる(※右下表)。

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【Global Economy】(75) アメリカ経済、強過ぎる加速…ドナルド・トランプ政権の景気刺激策

今月に入り、アメリカ発の株価急落が世界の金融市場を揺さぶったが、アメリカ経済は好調が続く。アメリカの景気回復期間は既に9年目となっており、政権にとって、アクセルとブレーキの加減が難しい局面に入ったことは間違いない。 (調査研究本部主任研究員兼編集委員 佐々木達也)

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「アメリカは何年もの停滞の後、力強い経済成長を経験している」――。ドナルド・トランプ大統領は先月26日、スイスのダボスで開かれた『世界経済フォーラム』の年次総会(※ダボス会議)で、こう力を込めた。演説の通り、アメリカ経済は順調だ。2017年10~12月期の国内総生産(※GDP)の実質成長率は、年率で2.6%。7~9月期(※3.2%)からは減速したが、トランプ政権が目指す3%成長はほぼクリアした状態とも言える。将来不安で消費が振るわず、国内市場の縮小を懸念して企業が投資を躊躇う日本と比べ、アメリカは個人消費と設備投資の増加が目立つ(※グラフ①)。アメリカでは、毎年11~12月の年末商戦が消費動向を映すデータとして注目される。『全米小売業協会』によると、2017年の年末商戦期の小売り売上高は前年同期比5.5%増の約6900億ドル(※約74兆円)と、金融危機後で最大の伸びを記録した。雇用情勢の改善や、株価上昇で株を持つ人の財布の紐が緩む“資産効果”が消費を押し上げている。年末商戦で店舗以外の売上高が11.5%増となり、『Amazon.com』等インターネット通販の急成長も消費全体を底上げしているようだ。設備投資では輸送機械や建設機械等が好調だった。原油価格の上昇で、シェールオイル関連の投資回復も見込まれる。それでもなお、トランプ政権は景気のアクセルを踏み込む。大型減税とインフラ整備だ。減税の規模は10年間で約1.5兆ドル。法人税の税率を35%から21%に引き下げる他、設備投資をした際に全額を課税所得から差し引く“即時償却”ができるようにする等、企業のメリットは大きい。

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道路網や橋等のインフラ整備は、大型減税に次ぐ“第2の矢”となる。トランプ大統領は先月30日の一般教書演説で、当初、10年間で1兆ドルとしていた投資規模を1.5兆ドルに引き上げる意向を示した。減税が決まったことを受け、『国際通貨基金(IMF)』は同月の経済見通しで、アメリカの成長率を昨年2月の予想から大幅に上方修正した(※グラフ②)。2018年は0.4ポイント、2019年は0.6ポイントもの引き上げだ。減税が無かった場合と比べ、2020年までにGDPが1.2%押し上げられるという。アメリカでは、賃上げや新たな投資を表明する企業も相次ぐ。経済学では、景気変動に影響を与える合理的には説明のつかない楽観的な期待を“アニマルスピリット”と呼ぶ。『双日総研』チーフエコノミストの吉崎達彦氏は、「リーマンショックから10年近くが経過し、アメリカの企業や投資家はアニマルスピリットを取り戻した」とみており、アメリカ経済の好循環は当面続く可能性が高い。一方、アクセルを踏み過ぎると車の動きは不安定になる。経済も同じだ。今月5日、ニューヨーク株式市場でダウ平均株価は1日で1000ドル以上値下がりし、世界同時株安を招いた。きっかけは、雇用統計で時間当たりの賃金が前年同月比2.9%増(※グラフ③)と、2009年6月以来の伸び率になったことだ。これまで鈍かった賃金の伸びが大きくなり、「景気が過熱して利上げが早まる」との予測が広がった。アメリカの調査会社のリポートによると、ジョン・F・ケネディ政権(※1961~1963年)以降、アメリカで7回の大型減税があったが、実施時の失業率は平均7%。現在は4.1%だ。働く意思があれば仕事に就ける“完全雇用”の状態とされ、リポートは「“火に油を注ぐ”という言葉が浮かぶ」と指摘した。大型減税は財政の悪化を伴う。トランプ政権は今月12日、予算教書の発表で、「今後10年間の財政赤字が昨年の見通しから2倍以上に増え、約7兆ドルに達する」との見通しを示した。

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【岐路に立つウェブ広告】(06) 消費者心理を代弁? 『Apple』が“付き纏い広告”に鉄槌

20180219 07
「ここぞというプレゼンテーションだったのに大恥をかいた」――。そう言って憤懣やる方ない様子なのは、ある女性起業家だ。顧客企業の男性社員び、自社サイトを見せてビジネスプランを説明しようとしたところ、セクシーなブラジャーの広告が幾つも画面に表示されたという。彼女のビジネスは下着とは無関係。原因はプレゼンの前週に、新しい下着を買おうとインターネットの通販サイトを物色したことだ。プレゼンで表示されたのは、その行動に基づいた広告だった。「確かにブラジャーを探したのは私。だが、あの場面でよりによって下着の広告が出るなんて…」。インターネット上での検索やクリック履歴に基づく広告を“リターゲティング(リタゲ)広告”と呼ぶ。運用型広告の一種で、アドテク分野の主たる手法だ。消費者の関心にある程度沿った広告が表示でき、購入に至る確率が高いとされる。だが、ユーザーの中には、インターネット検索という個人的な行動が第三者に把握されることに、不快感を覚える人がいる。下着以外にも性的志向や健康問題に関連する広告はデリケートな領域だ。また、既に購入した商品がしつこく表示されることがある為、煩わしく思う消費者もいる。こういった消費者の心理を配慮して、IT界のガリバー企業がリタゲ広告に鉄鎚を下した。

『Apple』は今年6月、自社ブラウザ『サファリ』にインテリジェントトラッキングプリベンション(※ITP)と名付けた新機能を導入すると発表。実際に9月から導入されている。リタゲ広告は、ブラウザ内に蓄積されるクッキーというデータを利用し、ユーザーの行動をトラッキング(※追跡)している(※右上図)。クッキーにはどのサイトを閲覧したか、どの端末やIPアドレスからアクセスしたかといった情報が含まれる。ITPはクッキーデータの利用を制限することで、過去の一定時間までしか行動追跡ができないようにした(※同)。「行動が追跡され、了承していない目的の為に個人情報が収集されると、ユーザーからの信頼が損なわれる」。Appleのエンジニアであるジョン・ウィランダー氏は、開発者向けのサイトでITP導入の背景を説明している。この施策が広告業界に打撃を与えている。アドテク専業の『クリテオ』(※『ナスダック』上場)は、パソコンでのリタゲ広告で世界大手。日本の企業やメディアにも取引先を多数抱える。クリテオの時価総額は発表直前に34億ドル(※約3875億円)あったが、6月のITP発表、9月の導入で段階的に同社の株価は下落し、半年後の12月上旬には6割にまで落ち込んだ。広告業界関係者は当初、「ITPが主にパソコンでのインターネット利用を対象とする」と考えていた。「サファリはパソコンブラウザとしては世界シェア3%程度。スマートフォンには影響が少ない」と、事態を楽観する向きがあった。ところが9月、『iPhone』と『iPad』のサファリにもITPが導入されている事実が確認された。ここで多くの関係者が慌てふためいた。「インターネット広告は、デジタルのコンテンツやサービスの資金源だ。この広告のエコシステムを混乱させることについて、Appleに再検討を強く求める」。『インタラクティブアドバタイジングビューロー(※IAB)』等アメリカの広告業界6団体は9月、Appleに公開書簡を送り、強く抗議した。日本のアドテク業界の上場企業ではITP対策が進む。「トラッキング方法を変更する」(『ファンコミュニケーションズ』)、「クッキーに依存しないトラッキングを導入する」(『バリューコマース』)、「ITPの影響を受けず、リタゲ広告の配信・効果計測ができるよう対応した」(『フルスピード』)。業界企業は9~10月、決算説明会やプレスリリースで次々と対策を表明。日本はスマートフォン市場におけるiPhone比率が約7割と、他国より高い。広告もAppleの動向に大きく左右される恐れがある。各社は、「アメリカのように業界ぐるみで異議を申し立てるより、『対策済みです』と表明するほうが株主や取引先の不安払拭に役立ち、Appleの感情も逆撫でしないで済む」と考えている。だが、こうした企業にとって本当に恐ろしいのは、ITPがどこまでインターネット広告に打撃を与えるのか不透明な点だ。最大の理由は、“クッキーの利用をどの程度制限するのか”についての判断基準が今ひとつわからないことだ。クッキーデータには、ユーザーの閲覧しているサイトが利用する“ファーストパーティー”と、それ以外のサイトが利用する“サードパーティー”があり、リタゲ広告では後者が活用されている。

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【働き方改革の表と裏】(21) 働き方改革は安倍首相の強い意志だ――水町勇一郎氏(東京大学社会科学研究所教授)

20180219 06
これまでの労働政策は、厚生労働省を中心に労使のコンセンサスを重視して決定されてきたが、必ずしも急速な社会の変化に沿うような改革は行なわれてこなかった。そこに安倍晋三首相が危機感を抱いて立ち上げたのが、今回の『働き方改革実現会議』だ。労使のトップと官邸とで直接コンセンサスを作ることで、残業時間の上限規制と同一労働同一賃金という大きな成果を上げることができた。私も実現会議に参加したが、安倍首相と官邸で話をした時や、会議の場での発言等で感じたのは、働き方改革に対する首相の強い関心とリーダーシップだ。それは、働き方が社会的公正さの観点に加え、経済政策として成長と分配の好循環を実現する為にも重要だと認識されているからだろう。その中でも、首相が当初から強い関心を持っていたのが同一労働同一賃金だ。このテーマで官邸のスタッフと最初に話をしたのは2015年1月とだいぶ前になる。非正規労働者の賃金が安いと、企業は景気が良くなってもコストの安い非正規労働者を増やし、全体としての賃上げに繋がらない。賃上げで消費が拡大し、企業の収益向上に繋がる好循環にならないので、最低賃金の引き上げと併せ、正規・非正規の格差是正を強く意識しているのだと感じた。だから、今回の働き方改革の議論も同一労働同一賃金から始まり、具体的なガイドライン案の策定までこぎ着けることができた。更に、もう1つの課題である正社員の働き過ぎの問題にも真剣に取り組もうということとなった。残業時間の上限規制には経済界側からの抵抗も予想されたが、生産性向上を図る為にもやはり上限は必要だと、首相をトップに労使に要請して受け入れてもらった。今は大臣告示が適用されない自動車運転業務や建設事業についても、改正法施行の5年後に上限規制が適用されることになる。現状のままで、他業種と一緒にスタートするのは現実的に難しい。無理に進めると脱法行為も招きかねない。関係団体とぎりぎりの交渉をして、最終的に調整したのが今回の着地点だった。


キャプチャ  2017年7月1日号掲載

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