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【ボケない食事】(50) 人生に正解はある、長生きすること…長生きは幸せか? ああ幸せだ

前号にも書いたが、私の目標は“100歳まで無事に健康に生きて、家族や友人達と一緒に誕生日を迎えること”だ。講演会等でこのようなことを言うと、「長生きしても仕方がない」「100歳まで生きるなんてとんでもない」といった悲観的な声が寄せられることが時々ある。何故だろうか。お金の問題? 認知症や寝たきりへの不安? 長生きに対してマイナスのイメージがあるのだろうが、元気に人生を謳歌している高齢者は沢山いる。折角長生きできる時代に生まれたのだから、健やかな脳と体を保って、最後まで自分らしく生きようではないか。「何でもやってみよう!」という腰の軽さこそが、元気に人生を謳歌する秘訣である。元気に人生を謳歌する為には、普段から免疫力を維持し、高める為の生活を送ることが大切だ。ここでは結論だけを述べるが、免疫力を上げる為には抗老化(※アンチエイジング)しかない、というのが私の考えである。アンチエイジング効果の高い果物と言えば苺。活性酸素を抑えるビタミンC(※美肌効果、感染症予防、貧血予防、ストレス緩和)が豊富に含まれており、大きさにもよるが、8~10粒ほど食べれば、一日に必要なビタミンC(※100㎎)を摂取できる。レモンもビタミンCは豊富だが、苺一粒あたりでレモン半個分なので、摂取し易いのはやはり苺だろう。

目や身体の老化防止に欠かせないアントシアニン(※ポリフェノールの一種)、腸内環境を整え善玉菌を増やすペクチン(※食物繊維の一種)等、抗酸化成分の含有量は全食材の中でもトップクラスだ。果物は果糖という糖質を含んでいるが、ブルーベリーや苺等のベリー類は糖質が少ない。また、葉酸が豊富に含まれているのも魅力だ。葉酸が不足すると、動脈硬化、悪性貧血、免疫機能の低下、腸機能障害等が起こる可能性が高い。また、心臓病や大腸癌、子宮頸癌や認知症のリスクが高まるとの報告もある。そのままがぶりでもいいが、ミキシングによって苺の細胞壁を破壊すると、苺に含まれるビタミン、ミネラル、フィトケミカル(※植物が持つ天然の抗酸化成分)の吸収力も高まるので、ジュースにするのもおすすめだ。発酵食品のひとつである麴ジャムを加えれば、右よし! 左よし! 免疫力更によし! さて、ここでクイズ。貴方がいつも食べている苺の赤い部分は果実? 「違います!」。理由は? 「果実ならそんなクイズは出さないからです!」。…何か悔しいが、その通りである。我々が食べている赤い部分は、茎先端の花床が膨らんだ偽果であり、苺の表面にある粒々一つひとつが、実は果実なのだ。種は粒々の中に入っている。苺が良いと聞いて直ぐにスーパーマーケットに買いに走った人は、脳が若い証拠である。長続きしなくても、やってみようと体を動かすことに意味があるのだ。“明日やろうはバカ野郎”。今直ぐやることが、ボケない為の第一歩である。


白澤卓二(しらさわ・たくじ) 医学博士・『白澤抗加齢医学研究所』所長・『お茶の水健康長寿クリニック』院長。1958年、神奈川県生まれ。千葉大学医学部卒業後、『東京都老人総合研究所』病理部員研究員や老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007~2015年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。『“砂糖”をやめれば10歳若返る!』(ベスト新書)・『いちばんやさしいケトジェニックダイエットの教科書』(主婦の友社)・『“幸せだった”といって死ぬために 100歳時代の食べ方、生き方』(ポプラ新書)等著書訳書多数。


キャプチャ  2024年3月号掲載
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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【Global Economy】(342) 竹森俊平の世界潮流:不動産問題、中国の信用危機

中国の不動産危機が深刻化している。問題の本質はどこにあり、どのような影響が予想されるのか。国際経済学者である『経済産業研究所』上席研究員の竹森俊平氏が解説する。



20240304 09
一般家計の貯蓄が企業や不動産の買い手等資金需要者に流れることで、経済は回転する。それ故、一般家計と資金需要者の間に立ち、後者の“信用”を審査して貯蓄を安全な資産に誘導する銀行は経済循環の要だ。「あの銀行が危ない」という情報が預金者のパニックを生み、銀行預金の引き出しが殺到する“取り付け”は急性の金融危機を齎す。住宅バブル崩壊が引き金だった1997年のアジア通貨危機や2008年のリーマンショックでは、前者は外国投資家による資本逃避、後者は機関投資家による住宅抵当証券の購入停止という取り付けが起き、世界経済を揺るがす急性の危機を生んだ。他方で、1992年の日本のバブル崩壊後には取り付けは起こらなかったが、不動産価格急落が銀行融資を焦げ付かせ、負債(※主に預金)に対する資産(※主に貸し出し債権)の超過額である邦銀の自己資本が減り続けた。銀行資本拡充の為の資本注入策を政府が怠ったために97年、98年に体力の限界にきた主要行の破綻が相次ぐ。これで危機は遅延性から急性に転じ、長期にわたるデフレが生まれた。住宅関連の債務問題が頻発する中国では昨今デフレまで発生し、日本の経験を繰り返す可能性が論じられている。巨額融資に依存して不動産拡大を続けていた『中国恒大集団』は、中国政府が融資規制を強化したことで打撃を受け、2021年に一部債務不履行に追い込まれたが、今年1月、遂に香港高等法院(※高等裁判所)により“清算命令”を受けた。

しかし、恒大危機は氷山の一角でしかなく、根本問題は四大都市(※一級都市)や地方中核都市(※二級都市)を除く地方の三級都市に存在することを、政府債務危機の分析で名高いハーバード大学のケネス・ロゴフ教授達の論文が明らかにする。中国では土地は基本的に国が所有するが、その使用権の売却が地方政府の収入の重要な部分を占め、三級都市では2021年に43%に達した。地方都市間では企業や労働力を地元に誘致し、中央政府に実績を誇示する為の競争が激しい為、地方政府はインフラや集合住宅への野心的な投資計画を打ち出し、財源を土地使用権売却に求める行動を取る。こうした競争の過熱で、中国の全住宅建設の7割が三級都市に集中する。抑も中国で住宅建設ブームが続いてきた主因は、農村から都市への人口大移動だったが、既に三級都市では人口は減少に転じている。急拡大を続ける供給と人口減で減少に向かう需要の不均衡が、三級都市での住宅の売れ残りと価格下落を齎すのが現在の根本問題だ。非効率な国有企業の上場が株式の収益率を低める中で、不動産は中国家計に欠かせない資産となり、三級都市では特にその傾向が強い。更に不動産は企業にとっても、地方政府にとっても借り入れに不可欠な担保だ。抑も本来、地方政府には“債務”が認められていなかったのだが、リーマンショック後の中国の景気刺激策が地方政府による不動産、インフラへの投資を根幹とした為に、〈融資平台〉と呼ばれる投資会社を通した債務が承認されるようになる。『国際通貨基金(IMF)』の試算では、融資平台の債務は約1250兆円に上る。この債務の担保も不動産だ。つまり、中国経済全体が不動産を担保とする信用基盤に基づいて循環する。その為、若しも今後不動産の値下がりや売れ残りが急拡大すれば、中国の経済体制は信用基盤を失い 麻痺する。現在の中国政府の対応は、住宅需要の拡大を狙った金融政策や不動産規制の緩和等応急処置が中心だが、万一問題が深刻化した場合、“不動産融資で打撃を受けた銀行の救済”は勿論、次の2点の確実な実行が必要となる。①家計が代金を支払った住宅の未完成は住宅投資そのものへの不信を招くので、完成して引き渡しできるように政府が支援する②土地売却収入激減で財政危機に陥った地方政府を救済する――。

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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【世界で稼ぎまくるアニメ】(23) トップランナーの推しアニメ②…小島武仁氏(東京大学大学院経済学研究科教授)

20240304 08
子供の頃、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』が好きで、漫画もアニメも毎週楽しみにしていた。今も少年漫画やそのアニメ版は折に触れチェックしているので、ここでは僕が実際に見て面白かった最近のアニメの中から、経済学的な観点で興味深い3作品を紹介したい。先ずは『Dr.STONE』(※2019年)だ。謎の現象により全人類が石化した世界で、数千年を経て復活を遂げた石神千空が文明再建を目指す。千空にフィジカルの強さはないが、天才的な科学オタク。ヒーロー像の多様化を感じると同時に、研究者の活躍する描写が嬉しい。本作には、千空が専門とする自然科学に加え、社会科学のイシューも随所にちりばめられている。例えば、資本主義の権化のような人物で財閥御曹司の七海龍水は新たな通貨制度を打ち立てるが、その成立過程には経済学でいう〈期待〉や〈レピュテーション(評判)〉の作用が見て取れる。千空のような科学者もいれば、龍水のような資本家もいる。技術者や、他の役割を担う人々もいる。活躍できそうな人を適材適所で配置することが、原始的な社会の発展に如何に重要か。現実社会の課題に引きつけて考えることもできる、奥行きのある物語だ。二つ目に『彼方のアストラ』(※2019年)を薦めたい。宇宙で遭難事件に巻き込まれた高校生達が、5012光年の彼方から母星への帰還を目指すというSFだ。本作のテーマには移植問題が関わっている。現実においても臓器移植は切実な問題で、医療分野の研究者は勿論、実は経済学者もこのテーマに取り組んできた歴史がある(※当然ながら市場原理は適用されない)。僕が専門とするマッチング理論が応用される分野であるだけに、多くのことを考えさせられた。SFのようなジャンルでは荒唐無稽な設定や斬新さが求められるが、そこには往々にして、今の社会の問題意識や人々の関心が反映されているように感じる。三つ目は、冒頭にも挙げた『ダイの大冒険』(※2020年)だ。1991年の放送時は物語の途中で最終回を迎えたのだが、再アニメ化では遂に全編が、それも現代の映像技術を駆使して制作された。ダイやポップら主人公側だけでなく、敵も魅力的だ。大魔王バーンを頂点とする敵陣営には、インセンティブ設計や組織運営の難しさ等、ビジネスに通じる課題が窺える。僕はアニメに力を貰い、鼓舞されてきた。今も、面白いプレゼンをするにはどうすればいいかと悩んだ日は、アニメをお手本に戦略を練っている。論文が厳しい評価を受けて凹んだ日は、「僕もダイやポップのように頑張ろう!」と自分を奮い立たせているのだ。 (聞き手・構成/本誌 山本舞衣)


キャプチャ  2023年5月27日号掲載

テーマ : ゲーム、アニメ、その他
ジャンル : ニュース

【台湾有事に備えよ!】(08) 有事への備えが損失を小さくする! 企業トップが知るべき危機管理と法的リスク



20240304 06
中国大陸と台湾の、いわゆる両岸関係(※中台関係)は歴史の中で緊張と緩和を繰り返してきた。中国大陸と台湾は普段から経済や人が密に交流している一方、台湾海峡危機と呼ばれた軍事的緊張を何度か経験している。台湾に拠点を置いたり、台湾企業と取引をしたりしている日本企業は、これまでも両岸関係を注視しながら事業を行なってきた。現在、両岸関係の緊張感が増している中で、企業は自社にリスクが及んでいないか、想定されるリスクの内容とその対応は如何なるものか、改めて確認しておく必要がある。両岸関係が悪化する場合、日本企業として想定すべき主なリスクは、〈台湾に拠点がある場合〉〈中国大陸に拠点がある場合〉〈台湾・中国大陸に取引先又はサプライチェーン上の企業がある場合〉の3つに大別できる(※左画像)。両岸関係が悪化すれば、中国大陸でビジネスを展開する日本企業も大きな影響を受ける。日本政府が対中経済制裁等を発動すれば、日中関係は冷え込み、大陸での企業活動に支障が生じかねない。以下では、典型的なリスクシナリオを挙げて、日本企業の法的リスクとその対応策を示したい。〈台湾に拠点がある場合〉の一つ目のリスクシナリオは、台湾の子会社の事業が、両岸関係の緊張によるビジネス環境の悪化で経営困難となり、撤退を余儀なくされるケースである。台湾子会社が事業から撤退する手法には、〈会社を売却する方法〉〈会社を解散する方法〉〈会社を休眠化する方法〉の3種類がある。会社の売却は、買い手と条件面の合意さえできれば、比較的シンプルに行なえる点に特徴がある。売却しても会社自体は存続する為、取引先や従業員への影響は他の手法と比べると限定的である。

しかし、ビジネス環境が悪化する中での買い手探しや条件交渉は難航することが予想される。会社の解散は、買い手を必要とせず、株主のみで実施できる点に強みがある。他方で、取引先等対外関係や、従業員等対内関係を清算するのに多くの時間とコストがかかる。特に、債務の弁済や従業員への支払い等で相応のキャッシュが必要になる為、資産状況が悪化する前に事業縮小や解散に踏み切る必要がある。会社の休眠化は、事業の廃止、債権債務の清算、従業員との労働関係の終了等を行なった上で、器だけになった会社の停業登記を行ない、法人自体は維持する方法である。将来的な台湾事業の再開を見据え、不動産や知的財産を維持できたり、比較的低いコストで当面のリスクを圧縮できたりする点に強みがある。他方、債務の弁済等で相応のキャッシュが必要になる上、法人の維持に伴う最低限のリスクは負い続けることとなる。以上の通り、台湾子会社の事業撤退は、いつでもできるわけではなく、タイミングが重要である。売却先探しや会社の資産状況は、ビジネス環境の悪化が進めば進むほど厳しくなる。したがって定期的にリスク評価を行ない、平時から撤退戦略を検討しておくことが望ましい。子会社が合弁会社である場合は、予め合弁契約に撤退を見越した条項を設けておくことも考えられる。二つ目のリスクシナリオは、台湾の子会社の資産が、両岸関係の悪化によって損害を被るケースである。具体的には、台湾経済がダメージを被り、企業の保有資産の価値が減少したり、不動産等の資産が物理的に損傷したりする可能性が考えられる。この資産の毀損リスクへの対応策としては、保有資産を必要な範囲に絞ることが挙げられる。台湾子会社の保有資産を定期的に見直し、不必要に資産が膨らんでいる場合は、他地域へ資産を分散することも検討に値する。三つ目のリスクシナリオは、台湾域内の治安の不安定化等で駐在員やその家族、現地従業員等の安全が脅かされるケースである。こうした緊急事態においては、判断の遅れが重大なリスクに繋がる為、平時から情報収集に努め、従業員への指示系統を確認しておくことが大切である。次に、〈中国大陸に拠点がある場合〉のリスクである。日本企業の中国大陸拠点におけるリスクの特徴は、両岸関係の悪化の初期段階においては、台湾に拠点がある場合と比べて影響が間接的でリスクも限定的である一方、両岸関係の悪化が進行し、対中経済制裁等によって日中関係が冷え込むと、日本と中国の経済的な結び付きの強さ故、インパクトが大きくなる点にある。具体的には、台湾拠点の場合と同じく事業撤退を余儀なくされるリスクや、駐在員等の安全が脅かされるリスクの他、中国大陸子会社が行政手続きにおいて、また取引先から冷遇されるリスクがある。例えば、企業結合審査や通関等の行政手続きで審査が厳しくなるリスク、中国企業から取引をボイコットされたり厳しい取引条件を突きつけられたりするリスク、地方保護主義が強まり裁判で日系企業に対して厳しい判断が増えるリスク等である。このように、日本企業への風当たりが強くなる局面では、中国大陸におけるあらゆる企業活動のリスクが増幅される為、新たな投資や新規事業の展開、現状の変更は控える必要がある。

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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

【楽天の末路】(04) 楽天市場や楽天カード等取引先へ猛攻勢…“法人携帯100万計画”が始動!

『楽天グループ』の三木谷浩史会長兼社長が、携帯電話事業の赤字脱却に向けて、驚愕の一手に乗り出した。本誌編集部が入手した“法人携帯100万回線計画”の全容を明らかにする!



20240304 05
東京都世田谷区にある楽天グループ本社ビル4階の大ホールは、全体朝礼である朝会を開催する会場だ。朝会は、グループ内部の意思統一を図る重要な会合である。楽天グループは毎週月曜日、子会社の『楽天モバイル』は毎週火曜日、其々1時間程の朝会を開く。コロナ禍では出席者を一部の役職者に絞って、全社員にオンラインで中継していたが、今年に入ってRTO(※リターン・トゥ・オフィス)を進めて、本社社員の全員が集合するリアル会合の形に戻した。恒例は全社員参加のストレッチ体操だ。それと共に、三木谷浩史会長兼社長が毎回のようにスピーチで強調する一つのテーマがある。「最強プランはまさに最強だ。KDDIのローミング費用は高いが、強力に推進して契約を伸ばしていかなければならない」。最強プランとは、楽天モバイルが6月1日から導入した、『KDDI』のローミング回線の容量制限を撤廃した新料金プラン『Rakuten最強プラン』を指す。社内公用語が英語の楽天では、三木谷氏は英語でスピーチをしているが、“サイキョープラン”は日本語で連呼する。ここで「KDDIのローミング費用は高い」と強調することで、「それと引き換えに必ず携帯電話の契約者を増やすのだ」という強いメッセージが危機感と共に社員に伝わる。楽天モバイルの喫緊の課題は、携帯電話の契約者を如何に増やせるのかということだ。契約増に向けた対策の一環で、今年初めの頃の朝会の話題は、グループ社員に1人5回線の携帯電話の契約のノルマを課した“紹介プログラム”だった。だが、昨年11月から今年1月末の3ヵ月に亘って課された契約ノルマの成果は芳しくなかった。

楽天の決算資料によると、楽天モバイルの契約者は、昨年9月末の454万件から同12月末に446万件に減少し、今年3月末には454万件に漸く回復したところだ。グループ社員に過大なノルマを強要した割には、その効果は乏しかったと言わざるを得ない。にも拘わらず、楽天ではノルマ強要の第二弾が実行されようとしている。それが、法人 向け携帯電話サービス『楽天モバイル法人プラン』の推進施策である。楽天の法人プランの提供は、奇しくも“1人5回線のノルマ”終了のタイミングと重なる1月30日にスタートした。5月頃から法人営業の推進体制の整備が本格化してきたところで、いよいよ販売を強化するという狙いだ。その施策は〈楽天モバイル法人100万回線契約獲得プロジェクト〉。『楽天市場』・『楽天トラベル』・『楽天カード』等グループ内の事業部門を巻き込み、それらの取引先に営業攻勢をかけて携帯電話の契約を獲得するというもので、その営業手法は驚くほど強引なものだ。本誌編集部が入手した内部資料には“CONFIDENTIAL”の文字が刻まれている。表題は〈Project MNO B2B 1M〉としており、日本語訳は〈楽天モバイル法人契約獲得プロジェクト〉だ。200ページ以上に及ぶ資料の冒頭には、“100万回線”という契約獲得目標が鮮明に掲げられている。今年3月末現在、楽天の取引先である“顧客・パートナー”の数は約90万社。100万回線という目標は、この数字が根拠になっている。ただ、今年3月末の法人契約は僅か3万回線。そこから100万回線を目指すのは、極めて高い目標である。内部資料によると、携帯電話の法人営業を担うのは、①楽天市場・楽天トラベル・『楽天GORA』(※ゴルフ場予約サイト)・『楽天ビューティ』(※美容室予約サイト)、それに楽天の広告部門等を所管する楽天グループ本体部門②楽天モバイル・『楽天コミュニケーションズ』・『楽天エナジー』等を所管するモバイル部門③楽天カード・『楽天ペイ』・『楽天銀行』等を所管する金融部門――の3つのカンパニーの社員だ。100万回線の達成時期は明示されていないが、楽天市場を抱える楽天グループ本体の部隊には“7万~14万の取引先をターゲットとして2023年に14.8万回線”の目標が課された。今年3月末現在、楽天市場の出店数は5万7079店舗。これらに加えて、楽天トラベルの取引先である旅行代理店やホテル、楽天GORAや楽天ビューティの出店者等が、先ずは営業攻勢のターゲットになるとみられる。この他、楽天カード、楽天ペイ、楽天銀行も取引企業が多い。楽天モバイルの基地局の設置工事を担う建設工事事業者もターゲットになっている模様だ。

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テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【企業人必読!キャリアアップの為の組織防衛術】第3部・自動車メーカー総務部編(11) 耳障りな決まり文句



生古(保守的で自己防衛心の強い男性課長)「部長、国土交通省の担当者にしっかり絞られてしまいました」
斜地(行動力はあるが怒りっぽい男性部長)「自動車整備士技能検定試験の試験問題が、うちの系列の販売会社に漏れていた問題か? 未だ疑惑の段階だろ?」
生古「そうなんです。それで『誤解を与えたとすれば誠に遺憾で、申し訳ありません』と謝ったら、急に不機嫌になってしまって」
布具(繊細で直ぐ膨れっ面になる女性新入社員)「えっ、それが何でいけないんですか?」
宇仁(密かに素早く仕事をするが言葉に棘のある男性係長)「『誤解なんかしていない』と言われたんじゃないですか?」
生古「よくわかったね。そうなんだよ」
宇仁「誤解というのは、情報を発した側と受け取った側の間にすれ違いが生じた。つまり、責任は両方にあると聞こえますので、国交省は不快感を示したんだと思います」
斜地「ううむ、言われてみればそうだな」
布具「抑も、試験問題が何故うちに漏れる可能性があるんですか?」
生古「筆記試験の検定専門委員に、うちの社員が入っていたんだよ」
宇仁「国交省にしてみたら、国家資格の信頼性に傷を付けられたと感じているのでしょう。それと、遺憾という言葉も気に障ったのかもしれません」
布具「ええ!? 遺憾ってよく聞きませんか? 謝罪の決まり文句かと思っていました」
宇仁「スマホで検索してごらん。“思い通りにいかず心残りなこと”と書いてあるから」
布具「…本当だ。“残念”とも書いてあります。これは確かに他人事のような印象を与えますね」
生古「言われてみれば、そうだね」
斜地「危機管理で使われている他の決まり文句についても、再点検したほうがいいようだな」
布具「逮捕者が出た会社の『捜査に関わることなのでコメントを控えます』って決まり文句、私いつも違和感を覚えるのですが」
生古「確かに、金科玉条のように聞こえるね。水戸黄門の印籠を振り翳すような」
斜地「捜査を受けているのは恥なんだから、それを振り翳すのは変だな」
宇仁「こうした時は、申し訳なさが伝わる表現が望ましいですね」
生古「どんな言葉がいいかな?」
宇仁「『会社が情報開示することによって、社員らの供述に影響を与えてはいけませんので』とか、『当人が身柄拘束されており、正確な情報を入手できておりませんので』とかですかね」

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テーマ : 危機管理
ジャンル : ビジネス

【記者発365】(67) 「地方に夢を」…安達勇人さんの挑戦

「僕のライブに初めて来た人は?」。軽トラックの荷台からの問いかけに、子供からお年寄りまで、常連のファンが元気に一斉に手を挙げる。「嘘だっぺ。ごじゃっぺ(※出鱈目)だっぺ、おめぇら」。声優・俳優・アーティストの安達勇人さん(35)の軽トラライブでの一幕だ。活動拠点を東京から地元の茨城に移して7年。自身の夢を追い求め、「地方に夢を」と奔走する安達さんの挑戦は続く。1988年、茨城県岩瀬町(※現在の桜川市)生まれ。幼稚園の時に父が指導する少年団で剣道を始めた。練習場は町立岩瀬体育館だった。町立羽黒小学校6年時に「皆を元気にできる歌手になり、体育館をファンでいっぱいにする」と夢を抱いた。だが、恥ずかしくて言えない。卒業文集には「釣りのプロになる」と書いた。本当の夢を記した作文はタイムカプセルに埋めた。中学3年生の時、勇気を出して「芸能人になりたい」と宣言した。親族に「こんな田舎では無理だ」と一蹴され、悔しくて毎日泣いた。岩瀬日大高校では剣道部主将に。父に「テッペンを取ったら好きなことをやっていい」と言われて発奮し、全国大会で団体優勝。「夢に向かって次のステップに進もう」と決めた。日本大学に進学した18歳の時に初めて『夢』を作詞。〈♪夢は見るもんじゃなくかなえるもんだろう しがみついてでも手に入れるもんだろう〉。渋谷でスカウトされて芸能界入りし、映画や舞台で俳優デビュー。卒業後はダンスボーカルグループを結成し、声優の仕事も増える。順風満帆だった。それでも地元への思いは消えず、いばらき大使就任を夢見た。カフェ等が建ち並ぶ街を思い浮かべ、画用紙に描き自室の壁に張った。「声優や俳優は僕じゃなくてもいい。何もない所を耕して町おこしをしたい」と決意。古里の隣の笠間市で、2017年に茨城活性化プロジェクト『ADACHI HOUSE』を始動した。最初はマネージャーもスタッフもいない、たった一人での挑戦だった。2018年にいばらき大使に就任。カフェやファッションブランド店を開店し、農園も始めた。「東京に負けない美味しいものやおしゃれを茨城で楽しんでほしい」との思いからだ。応援してくれるスタッフやファンも少しずつ増えた。

2020年。コロナ禍で屋内ライブができなくなった。思い付いたのが無料軽トラライブ。実家の納屋にあった軽トラックを運転し、県内の道の駅や公園等で毎週末、歌い続ける。安達さんはファンを“ファミリー”と呼ぶ。ファミリーはイメージカラーのオレンジ色のタオルを振り、歌い、踊り、輪が広がる。「皆の笑顔を見られれば、僕にとって日本武道館や東京ドームも軽トラの荷台も同じ」。岩瀬体育館で昨年4月、手作りの無料ライブ『桜川大作戦 オレおめえに茨城で見せてえもんがあんだ』を開催、客席は1500人で埋まった。見せてぇもんとは? 「町おこしの風景と夢。子供達に、そして子供の頃の自分に見せたい」と返ってきた。暮れには水戸市の水戸芸術館で『ミュージカル水戸黄門 ヤング光圀、開眼の旅』が上演された。座長は水戸光圀役の安達さん。コロナ禍で活動の場を失った講談師、ダンサー、尺八奏者ら県所縁の17人が出演した。テーマは〈人生一度きりなら、夢は一つで足りますか?〉。安達さんの思いや生き様も脚本に取り入れられた。戦のない世で夢を見失う光圀。元武士に「最初の夢がいきなり上手くいくとは限らない。だから、一度きりの人生なら沢山夢を見ろ」と諭され、「我らが進む道はまだまだ困難が多い。上も下もない。手に手を取ってどんな困難も乗り越えていこう」と決意し歌う。〈♪毎日でも探してやる。いつか見つけてやる。俺たちの未来〉。夢を次々に叶えてきた安達さん。次の夢は「数万人規模の町おこしフェスティバル」だ。今秋、笠間市の公園で開催する。音楽や食、芸術、パレード等愛がいっぱい詰まった夢の国、ドリームランドだ。更に、県内の海岸や、茨城と関係の深い台湾での開催も目指す。行政だけに頼らない個人発の地方創生だ。昨秋、羽黒小学校150周年記念のステージ。在校児童に「貴方の夢は何ですか? 夢を諦めるなよ。田舎だろうが都会だろうが、皆で夢を叶えていこう」と語りかける。夢を語る姿に、気付けば私もオレンジ色のタオルを振っていた。力いっぱい。 (古河通信部 堀井泰孝)


キャプチャ  2024年2月29日付掲載

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【WORLD VIEW】(99) “60円朝食”が映す中間層の不安



中国で国会に相当する『全国人民代表大会(全人代)』が5日に開幕する。経済成長率の年間目標が打ち出される重要な政治イベントだ。景気停滞の出口が見えない中、何が焦点となるか。世相を反映する流行語やトレンドから探った。中国の外食チェーンでは最近、各社が〈貧乏人セット〉と呼ばれる激安メニューを売り出している。その中でも、北京発のファストフード店『南城香』は“3元(※60円)朝食 食べ放題”を売り文句に注目を集める存在だ。平日の朝、オフィス街にある店舗に入ると、出勤前の会社員や年金暮らしの高齢者らでほぼ満席だった。目当ての3元朝食はセルフサービスで、お粥や豆乳、スープ等7種が食べ放題という日本のファミリーレストランのスープバーと似た方式。追加で揚げパンや肉まんを頼んでも、10元(※200円)以下で済む。よく利用するという男性会社員は、「このご時世、値段の安さが嬉しい。厨房がガラス張りで衛生面も安心できる」と話した。消費者がコストパフォーマンスに敏感になり、幅広い業種で価格競争が激化している。北京市では最近、賞味期限が近い食品を安く売るディスカウントショップや中古ブランド品の販売店が目に見えて増えた。贅沢を止めて支出を抑える“消費降級”が流行語となっている。周囲の人々に聞いてみると、「スマートフォンの買い替えを止めた」「コスパの良い国産化粧品を使うようになった」「高級フルーツのドリアンをあまり食べなくなった」等のエピソードに事欠かなかった。節約志向の高まりで、地下経済ならぬ“地下階経済”が活況を呈す。大型商業施設で、低価格の飲食店や雑貨店が多い地下階ばかりに客足が流れ、ブランド品が並ぶ地上階は閑散として空き店舗が目立つ現象が起きているのだ。

先月の春節(※旧正月)の大型連休では、お金がかかる人気の観光地に敢えて向かわず、認知度が低い場所でコスパ重視の旅をする“反向旅行”がトレンドになった。中国の文化観光省によると、今年の春節連休中の国内旅行者数とその消費総額は、共にコロナ禍前の2019年の水準を上回ったが、1人あたりの消費額を算出してみると、今年は2019年と比べて10%近く減少していた。多くの人々が財布の紐を締めるのは、将来の所得や雇用への不安の表れだ。中国政府が発表する消費者物価指数(※CPI)は昨年10月以降、4ヵ月連続で下落し、日本のようなデフレ経済化の懸念も強まっている。勿論、それだけで中国経済が衰退すると結論付けるのは性急過ぎるだろう。ただ、右肩上がりの時代を長く謳歌した社会にとって、消費の萎縮は大きな岐路になり得る。習近平国家主席自ら、先月に「新しい製品への買い替えを」と消費促進の号令をかけたことが、事の重大さを示す。改革・開放政策導入後の45年間、十数億の巨大人口が生活水準の向上を実感し、それが社会の活力となって奇跡的な成長を牽引してきた。更に今、不動産に依存した従来の発展モデルが限界に達し、消費主導型経済への転換が求められている。習氏が唱える〈共同富裕〉も、所得格差を是正して中間層を分厚くし、持続可能な発展を目指す戦略と言える。ところが、コロナ禍以降の長引く景気低迷は、今後の経済で主役を担うべき中間層を直撃している。「何故、庶民はお金を使おうとしないのか」。年明けの国営『中国中央テレビ(CCTV)』のニュース番組『新聞1+1』で、著名なエコノミストは「4億人とも言われる中所得層の大部分は、低所得を抜け出たばかりの弱い立場にある。外部からのショックの影響を最も受け易い。子育てや介護等の負担もある」と分析。放送後のSNSには「使わないのではなく、抑もお金がない」との厳しい声が多数投稿されていた。暮らしへの不安の広がりは、政治的にも重い意味を持つ。

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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

【記者発365】(66) 若しも住民に企画を委ねたら…

若しも自治体が住民に企画の立案から実施まで委ねてみたら…。実際にそのようなスタイルで進められた取り組みが東京都品川区であり、イベント開催までこぎ着けた。参加した住民と、住民の力を信じた自治体は、この取り組みで何を感じたのか。区民の力で実現したイベントの名は『橙プロジェクト オレンジフェスタ2023』。昨年9月に『しながわ中央公園』で開かれた。このイベントは、誰でも楽しみながら認知症について知ってもらうのが目的。駄菓子の配布もある子供向けのクイズや、認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色のキャンドル作りとその点灯、芋煮の販売等が行なわれ、沢山の人で賑わった。イベントを生み出したのは、品川区が音頭を取って開催した『認知症サポーター企画会議』だ。認知症を正しく理解して当事者らを応援するサポーター養成講座を同区で受けた一般の人達が会議に参加して、企画を手がける主役になった。企画会議は、2022年7月に区が養成講座の受講者に参加を呼びかける形でスタート。1~2ヵ月に1回程度開かれ、概ね20人前後のサポーターが出席している。当初の企画会議では〈認知症の人にとって住みやすい街とは〉等のテーマを話し合ったものの、参加者の反応は今ひとつだったという。より具体的なほうが話し易い為、2022年12月に〈世界アルツハイマー月間(※9月)にできること〉を議題にした。参加者からは72件のアイデアが上がり、それを絞り込んで実施内容を決めた時には、学校の文化祭のような和気藹々とした雰囲気が生まれていた。昨年10月には、認知症のある人と共に同区にある荏原町商店街を歩くイベントも開かれた。こちらも企画会議から生まれたものだ。同商店街振興組合の市村由美理事長(62)もサポーターとして企画会議に参加した一人。認知症の当事者らを自ら案内して、新しい気付きもあったようだ。市村さんは、「昔の商店街の話をしながら一緒に歩けたのが良かった。皆さんしっかりされていて、認知症だからって特別に構え過ぎることはないのかな」と語る。

サポーター自身は企画会議をどう見ているのか。市村さんらと共に商店街の企画を手がけた会社員の小川善之さん(41)は、「初めて知り合った人達と一緒に取り組むことができました。途中で辞めてしまう人がほぼいなかったのは、皆楽しかったからでは」と語る。区の姿勢については、「思い切って自分達に委ねてくれた。最初に『これをやってくれ』と言われていれば、もっと違った感覚だったかもしれません。全て丸投げではなく、サポートもしてくれました」と感じている。この取り組みを担当した区の高齢者地域支援課は、具体的に動き始めてから半年程度でイベントができたことに驚いており、担当者は「区だけなら難しかった。熱い思いを持つサポーターがいることが区民の皆さんに伝わったのでは」と手応えを感じている。企画会議では区の認知症地域支援推進員(※品川では自治会長、図書館長、介護関係者ら8人が務める)も司会役を担う等、重要な役割を果たした。区と推進員との話し合いの中で、企画から実施までサポーターに主体的にやってもらう流れが固まったという。区にとっては先行きがどうなるかわからない不安はあったものの、「街づくりや地域づくりのような視点でサポーターの皆さんにアイデアを出してもらったほうが上手くいく」と判断した。信頼して任せられた背景には、普段から認知症当事者らの主体的な活動を区が支援して手応えを感じていたこともあるようだ。取材では、担当者から「認知症の有無に関わらず、誰もがより良く生きる権利を守る為の活動を生み出していく触媒になっていきたい」等と意気込む声も聞かれた。私(※記者)が最も印象に残ったのは、参加したサポーターがイベント後に次の取り組みを真剣に考えていたことだ。「イベントはできたけど、この内容で良かったのか、もっと考えなきゃいけないね」といった反省を多く聞いた。其々が主体的に関われたことから、こうした言葉が生まれるのだろう。その思いは、この地域で暮らす人達にとって大きな財産になる筈だ。企画会議は先月、新たなメンバーが10人以上加わり、第二期のスタートを切った。 (東京本社社会部専門記者 銭場裕司)


キャプチャ  2024年2月27日付掲載

テーマ : 認知症
ジャンル : 心と身体

【安齋肇の「空耳だけが人生だ!」】(17) (途中で)絶対に笑ってはいけないネタ鑑賞会

――今週も、安齋さんが選ぶ空耳アワーの傑作について聞きたいと思います。
「前回がプリンスでしたからね。今回はやっぱりマイケル・ジャクソンでしょ。〈スムーズ・クリミナル〉(※1987年)。空耳史上最強のネタ。冒頭、抜群のタイム感で叫ぶのよ、“WOO! CHA! SHUKU SHUKU!”って。それが“パン!茶!宿直!”に聞こえる」
――因みに、宿直とは夜間の泊まり込み勤務のことです。
「軽快に回る換気扇の映像から、あんぱんのアップ、お茶を注いで一口飲んでさ、カメラが引くとポツンと宿直のおじさん。それがスムーズにワンカットなの。僕は“茶!”の時点で笑いを堪え切れなくってさ。本当は途中で笑うのはNGなんだけどね」
――何がだめなんですか?
「このネタのオチは“宿直!”じゃん。空耳アワーの映像は、僕らは初見だし、最後のオチの切れ目も知らないから、オチを待たずに笑っちゃうのはあまりよろしくない。別の回だけど、タモリさんに『貴男が先に笑ったから最後が聴こえなかった!』なんて言われたこともあったよ」
――緩い番組だと思っていましたが、収録現場は相当真剣なんですね。
「真剣も真剣よ。スタッフ全員が全集中してモニターを見ているから。何せ1回しか流さないからね。兎に角、初見のリアルな反応を撮ることに拘っていたから。初見勝負。しかも、映像を流している途中に邪魔が入ったその時点で、そのネタはお蔵入りになるんだよ。例えば、外でサイレンが鳴ったり、電源が突然落ちたりしたらボツ。空耳アワーは本編の合間に収録するから、時には屋外でやることもあったのね。すると気が散るのね(笑)。アウトドア向きじゃない、密室向き」
――へぇ~。
「オタク向き(笑)。深夜ひとりでテレビを見ている人の感性そのままで制作している。優しいし、偉いよね。だって、そのネタってスタッフが何度も会議で打ち合わせして、キャスティングして、ロケして編集した“魂”なわけ。でも、一発勝負で流せなかったらボツ」
――リアルな笑いの為ならボツも厭わない、と。
「そういう姿勢で来られると、こっちも『見過ごすまい、聞き逃すまい!』と真剣になるじゃん。だから、僕はあれでも緊張していたのよ(笑)。で、切れ目がわからないネタの中でも、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの〈キリング・イン・ザ・ネーム〉(※1992年)の空耳は強烈だったね。“ナゲット割って父ちゃん”って聞こえる箇所があって、これが延々続くの。映像はドンドン盛り上がるし、オチはいつ来るのか。途中で笑いを堪えるのにもう必死よ」
――そういえば、レイジは空耳の常連でしたね。
「確かに。特に後期の空耳アワーはレイジに支えてもらっていたと言っても過言ではないかも(笑)」 (聞き手・構成/フリーライター 尾谷幸憲)


安齋肇(あんざい・はじめ) イラストレーター、アートディレクター。1953年、東京都生まれ。『タモリ俱楽部』(※テレビ朝日系)の空耳アワーにて“ソラミミスト”として出演。これまで『日本航空(JAL)』のリゾッチャのキャラクターデザインや、『ジャストポップアップ』(※NHK総合テレビ)のタイトルアニメーション、『ユニコーン』や奥田民生のツアーパンフレットのアートディレクション、宮藤官九郎原作の絵本『WASIMO』の原画等を担当。


キャプチャ  2024年3月11日号掲載

テーマ : 洋楽
ジャンル : 音楽

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Author:George Clooney

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