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【村西とおるの「全裸で出直せ!」】(46) 死ねないなら生きるしかない

朝のモーニングショーをテレビで見ていました。すると、“東京のモデルが我が子を殺す”とのセンセーショナルな文句が目に飛び込んできたのです。犯人のモデルの顔写真が、テレビの画面いっぱいに映し出されました。「あれ? この娘は確か…」と直ぐに思い当たりました。これから売り出そうとして力を入れていた娘だったからです。「どうして? 彼女が一体何故?」とテレビの画面を食い入るように見つめました。事件の詳細を報じるアナウンサーによれば、あらましは次のようなものでした。犯人のモデル女性が4歳になったばかりの自分の息子を手にかけて殺し、息子の父親たる男の、札幌にある実家の前に遺体を放置したのです。その頃の札幌の街の中には野犬が徘徊していました。発見された時、4歳の息子の死体は野犬に食い尽くされ、周囲の雪は血で真っ赤に染まっていたという凄惨なものでした。惨い事件でした。アナウンサーによれば、犯人の母親のモデルは、札幌のビジネスホテルの一室で幼い息子と2人だけで生活していたといいます。月曜日から金曜日までの5日間はモデルの仕事で東京に出稼ぎに行き、その間、幼い息子はビジネスホテルの部屋で一人留守番をしていたというのです。母親は東京から札幌の息子へ電話を頻繁にかけて、淋しがる息子を励まし、「もうすぐ帰るから辛抱していてね」と元気付けていたのでした。

息子は部屋でひたすら母親が帰るのを待ち続け、買い置きの食料を口に入れながら過ごしていたのでした。何ということでしょうか。その間は2ヵ月程でした。母親はAVや写真集、テレビでのレギュラー出演が決まり、これまで恵まれなかった自分の人生が大きく好転し、漸く花開くかに思えたのです。千載一遇のチャンスがやってきたと夢のような気分になっていた彼女は、4歳の息子の存在が疎ましく思えてきました。「この子さえいなければ、写真集やAVやテレビに出演することで、私の人生の未来は約束されたものなのに」と、急に息子が重荷になったのです。息子の父親である、自分を捨てて他の女性に走った前夫への憎しみの心も、改めて芽生えてきました。このまま、足手纏いとなっている息子に人生を滅茶苦茶にされてたまるかと、彼女に忍び寄った悪魔の声に突き動かされるままに、ビジネスホテルのベッドの上でスヤスヤと寝息を立てている4歳の幼な児の首に手をかけたのです。幼き息子は、自分の身に何が起きているかわからないままに絶命しました。最早悪霊に取り憑かれた如く、悪の化身となった若き母親は、息子の死体をボストンバッグの中に入れると、いつも東京に行くような旅支度でホテルを出て、タクシーに乗ったのです。そして、向かった先は前夫の実家でした。


村西とおる(むらにし・とおる) AV監督。本名は草野博美。1948年、福島県生まれ。高校卒業後に上京し、水商売や英会話教材のセールスマン等を経て裏本の制作・販売を展開。1984年からAV監督に転身。これまで3000本の作品を世に送り出し、“昭和最後のエロ事師”を自任。著書に『村西とおるの閻魔帳 “人生は喜ばせごっこ”でございます。』(コスモの本)・『村西とおる監督の“大人の相談室”』(サプライズBOOK)等。


キャプチャ  2020年4月2日号掲載
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テーマ : 人生を豊かに生きる
ジャンル : 心と身体

領土返還に触れない日露平和条約締結…プーチン提案に前向きの安倍首相

20200401 06
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が1月中旬、モスクワ郊外で北村滋国家安全保障局長と会談した際、領土問題に触れない日露平和友好条約の締結を示唆した。安倍晋三首相はこれを受け入れる方向に傾いており、反発が起きそうだ。首相は先月7日の『北方領土返還要求全国大会』で、“領土問題の解決”と“平和条約の締結の実現”を同列に訴え、従来の“領土問題を解決してから平和条約締結”という順番に言及しなかった。首相が5月9日にモスクワで開かれる対独戦勝式典に出席する際、平和条約の先行締結方式が浮上する可能性がある。官邸筋は、1956年の『日ソ共同宣言』が「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡す」と規定していることから、平和条約の先行調印はこれに反しない。しかし、この方式では、日本側はロシアの領有を認めた上で、プーチン大統領の施しを待つという弱い立場に追い込まれる。安倍政権のレガシーが乏しい中での窮余の一策だが、国策を誤りかねない。


キャプチャ  2020年3月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

診療報酬改定は「期待外れ」…日本医師会内部で横倉批判が噴出

20200401 05
来年度の診療報酬改定で、『日本医師会』内部では横倉義武執行部への批判の声が上がっている。『中央社会保険医療協議会』は先月7日に診療報酬改定を纏め、加藤勝信厚生労働大臣に答申。医薬品等の薬価を0.99%、材料価格を0.02%引き下げる一方で、医師の人件費等に当たる本体部分は0.55%引き上げ、全体では0.46%のマイナス改定に決まった。横倉会長は昨年末の記者会見で「満足するものではないが、厳しい国家財政の中で一定の評価をしたい」と述べ、本体部分のプラス改定で納得している。しかし、日医関係者は「旧民主党政権時代は、薬価引き下げ分を全て本体に回していた。横倉会長は安倍政権とのパイプの太さを売りにしているにも拘わらず、弱腰だ」と話す。与党の某議員は「正直に言えば、もう少し本体部分を上乗せすることはできたと思う」と語っており、日医の政治力が落ちたのは明白。横倉氏の求心力は低下しそうだ。


キャプチャ  2020年3月号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

再選へ向け動き出す小池都知事…遺恨残る立憲民主対策が難航

20200401 04
東京都の小池百合子知事が先月7日に衆議院議員会館を訪ね、国民民主党の玉木雄一郎代表、立憲民主党東京都連の手塚仁雄幹事長と其々個別に会談した。表向きは新型コロナウイルス対策の要望だが、「野党連携に楔を打ち、知事再選に向けた環境整備をする狙いがある」(政治部記者)。元々、両党の合流協議は、立憲の枝野幸男代表が玉木代表らに呼びかけたことから始まった。今年の通常国会までの合流を目指したが、難航。結局、1月20日の国会開会に間に合わなかった。小池知事にとって、玉木氏は希望の党で同じ釜の飯を食った仲という意識もあり、友好関係を結びたい政党の一つ。これに対して、立憲民主党は「小池だけは許さない」(枝野代表)として、根強い復讐論が燻る。小池知事側から立憲の長妻昭代表代行への面会打診があったものの、日程調整を理由に長妻氏は面会を拒否してきたという。一方、れいわ新選組の山本太郎代表が都知事選に出馬するとの見方もあり、小池知事にとって、れ新と立憲の共闘は避けたいところ。小池知事の心配は続きそうだ。


キャプチャ  2020年3月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

地銀への独禁法適用除外で囁かれる金融庁の再編“強要”

20200401 03
今国会に独占禁止法の適用除外を定める特例法案が提出されるのに伴い、複数の地方銀行の再編が囁かれ始めた。青森県の『青森銀行』と『みちのく銀行』、秋田県の『秋田銀行』と『北都銀行』、鳥取県の『鳥取銀行』と隣県の『山陰合同銀行』だ。金融庁によると、何れも県内の企業向け融資シェアが高く、青森県と秋田県の県内2行を合算すると其々70%を超え、鳥取銀行と山陰合同銀行の鳥取県内での合算シェアも70%に達する。これまでは独禁法に抵触する為、合併は不可能だったが、特例法が成立すれば可能になる。金融庁関係者は、「特例法案では政治家に汗をかいてもらった。それもあり、形を残さねば」と語る。その為、金融業界では「特例法による合併ができる」との見方が広がり、金融庁が主導する半ば強引な再編劇が起きるとみられている。候補に挙がった地域は、人口減少等で経済環境は厳しい。ただ、各地銀の経営状態が致命的に悪いということはない為、「今直ぐ合併が必要な状況でもない」(地銀関係者)。金融庁の都合で合併に追い込まれるとしたら「可哀想」(同)との声も聞かれる。


キャプチャ  2020年3月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【創価学会は今】(09) “ポスト池田”模索するも…財務低減で組織分裂始まる



20200401 01
『創価学会』の池田大作名誉会長は、1月2日で遂に92歳を迎えた。今年は、創価学会創立90周年、池田第3代会長就任60周年にあたることもあって、機関紙の『聖教新聞』は、この1年は“皆が前進!皆が人材!”の年になると意気込む。元日付の紙面では、池田氏による新年の和歌“出藍の 弟子と前進 万代へ 不二の勇気を 託す嬉しさ”他3首を紹介した。しかし、当の池田氏は、2010年5月の本部幹部会を最後に表舞台から姿を消している。学会の内情に詳しいディープスロートは、「発表される和歌に使われる語句を見ても、池田氏が元気な時には使っていないフレーズが散見される」と分析し、続ける。「古参の学会員らは、どう見ても池田氏が新たな原稿を執筆できる状態にはないと踏んでいる。それどころか、1月2日の誕生日には原田稔会長以下、学会執行部は必ず信濃町の学会施設で“池田詣で”を行なうのを慣例としてきたが、近年はそれもなくなった。現在、池田氏に付いているのは、香峯子夫人の他は三男の尊弘氏だけ。長男の博正氏も滅多に会っていないようだ」。僅かに池田氏の存在を示すものは、聖教新聞に掲載される、池田氏がシャッターを切ったという街並みの風景や建物の写真だ。年末には信濃町の総本部に近い外苑通りの銀杏並木、新年5日には真新しい国立競技場の写真が載ったが、「これも尊弘氏による撮影だろう」(同)という。そんな深刻な状況から目を逸らせるように学会機関紙(誌)を賑わしたのが、第96回東京箱根間往復大学駅伝での創価大学の躍進だった。

3年ぶり3度目の挑戦となった創価大学は、往路7位、復路9位で過去最高の総合9位をマーク。次回大会出場のシード権(※10位以内)を初めて獲得した。創価大学関係者は、「1972年9月に創価大学陸上競技部が誕生して以来、箱根駅伝出場は、大学の創立者でもある池田先生の悲願だった」という。池田氏は創大駅伝部に対し、「今日も負けるな。人生とは闘争の異名である」等の言葉を贈り、指針としている。2008年には、1万8000坪の敷地を持つ陸上競技部専門の池田記念グラウンドも完成させている。聖教新聞では、初のシード権を獲得したことについて、池田氏が「大勝利おめでとう。本当によく頑張った。ありがとう」との伝言を贈ったと紹介されたが、前述のような理由で学会関係者にとっては、ただ虚しさが残るだけだ。一方で、学会首脳部の心配は高まるばかりだ。それは、学会にとって最も大切な財務(=寄付金)が、年々減り続けているからだという。昨年11月、原田会長は4選目に突入し、更に4年間の任期(※2023年11月まで)を延ばした。だが、再任された原田会長にとって最大の役割は、「広宣流布の為、財務は功徳です!」と学会員に説くことだったという。学会の財務状況に詳しい金融関係者は、「昨年12月に財務の納金が終了したが、厳しい経済状況が反映されたようだ」として続ける。「最終的な金額は集計中だが、一時は3000億円とも言われた集金力だったが、現在は大幅減が噂されている。消費増税の影響や景気の低迷、何よりも大口財務が期待された古参幹部の死去や高齢化により、最盛期の3分の1程度という見方も出ている。学会員の財務は原則として1口1万円以上で、目標は3桁(※100万円単位)だった。しかし、近年は1口5000円の振り込みも増えてきたという内部情報もある。何れにせよ、昨年は統一地方選や参院選も実施されており、学会員は人もカネも総動員で疲れ切っている」。これまで原田会長や長谷川重夫理事長も、正面から財務について、功徳や利益を強調することは少なかった。ところが、昨年12月23日付の聖教新聞では、「供養の功徳は無量」と態々座談会で言っている。次のようなやり取りだった。

原田会長「本年の財務の納金を無事故で終了することができました。広宣流布のため真心で取り組んでくださった全ての方々に、心から感謝申し上げます」
長谷川理事長「今日、広宣流布を現実の上で進めているのは創価学会以外にありません。御供養の功徳は計り知れないと、拝されます」
原田会長「多くの同志の方々や真心の財務をもって学会を守り、広布の勝利の道を開いてくださっています。お一人お一人が、大福運に包まれ、勝利の人生を歩みゆかれることを、さらに真剣に祈ってまいります」

東京都内のある学会員は、「これまで財務に応えることが功徳になると言われてきたが、今の自公政権がやっていることは何だ!? 安保法制にしろ、カジノIRにしろ、池田先生が真面に指示を出していたら反対するような政策ばかりだ。自民党にただくっついているだけの公明党に何故、我々学会員のヒト、カネ、モノを投入しなくてはならないのか!」と怒りまくる。そんな中、公明党の山口那津男代表は、都内で開いた街頭演説で、今年中に次期衆院選が行なわれる可能性について言及した。

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テーマ : 創価学会・公明党
ジャンル : 政治・経済

中国で“防疫常備軍”の設立を求める声…医師や看護師加わる2万人規模の部隊



20200331 07
中国で、今回の新型肺炎のような感染症拡大に日頃から備える“防疫常備軍”への関心が広がっている。発端は西側メディア中国語版の論考だが、中国国内で禁止されない状態で各ウェブサイトに次々に転載されていることから、指導部もその必要性を認めているとみてよさそうだ。その記事は、中国人民大学重陽金融研究院副研究員の王鵬氏が『フィナンシャルタイムズ』中国語版に発表した《中国は防疫常備軍設立の必要がある》と題した論考だ。王氏は今回、人民解放軍が数千から数万規模で感染源の武漢周辺に集結、物資配送や医療補助に当たっていることを評価する一方、各地域出身部隊間の連携が上手くいっていなかった状況を指摘した。その上で、防疫常備軍を中央軍事委員会直属の形で設立する必要性に言及。総参謀部等の中央部門5000人、作戦部門1万5000人の計2万人規模とするという具体的プランにも触れた。この計画は、アメリカの公衆衛生局に設置されている医師や看護師の資格保有者で構成された士官部隊がモデルになっているようだ。

                    ◇

アメリカのシンクタンクが、外国からの資金援助に依存している。『国際政策センター』というシンクタンクがこのほど発表した調査によると、2014年からの5年間で、全米50のシンクタンクが外国から総計約1億7400万ドルの資金を受け取っていた。トップは環境政策に影響力を持つ『世界資源研究所』で、6300万ドル。次いで、国際金融に強い『世界開発センター』の3750万ドル、老舗の『ブルッキングス研究所』の2730万ドルの順だ。拠出国はノルウェー、イギリス、アラブ首長国連邦が上位を占めるが、中国が第三者を介し、自国に都合の良い“研究成果”を発表させて、政府や議会に影響を与えようとするケースも指摘されている。アメリカのシンクタンクの職員は、政権が代われば政府入りする可能性も高い。この為、アメリカ議会からは、シンクタンクに資金を拠出した外国人と額を公表する義務を課す法整備を求める声が出ている。

                    ◇

タイのプラユット政権は先月4日の閣議で、中国がメコン川上流で進めようとしている大掛かりな浚渫工事を認めないことを決定した。浅瀬を爆破して大型船の航行を可能にする中国の計画に対し、下流の住民や環境保護団体が「中国だけが潤って村人は暮らせなくなる」と批判していた。タイの決定に中国は沈黙を守るが、現場ではラオスやミャンマーと手を組み、粛々と作業は進行中という。メコン川はチベット高原に源流があり、雲南省を縦断してミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れ、南シナ海に注ぐ。中国は、雲南省から下流各国への物流量を大々的に増やす為、メコン川の浚渫を急ぎたい。実は、タイ外務省は昨年4月、複数回に亘って「中国から計画中止で同意を得た」と発表しているが、中国側の態度は不透明。実際には、上流のラオスやミャンマーで既に計画が進んでいるという。

                    ◇

インド洋上の島国であるモルディブが、先月1日にイギリス連邦(※コモンウェルス)のメンバー国に戻った。これで、同国は名実共に中国寄りの姿勢を改めて、インドや西側諸国との関係強化を明確にした。イギリスの保護領であったモルディブは、アブドッラ・ヤーミン前大統領時代の2016年、イギリス等西側から「人権状況に問題がある」と批判されて、連邦を離脱した。その後に手を差し伸べたのが、インド洋に影響力を持ちたがっていた中国で、モルディブは中国から多額の経済的支援を受けた。しかし、2018年の大統領選挙で、ヤーミン氏に代わり野党のイブラヒム・モハメド・ソリ氏が新大統領に選ばれた為、今回の復帰が叶った。

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テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【地方銀行のリアル】(36) 『七十七銀行』(宮城県)――宮城県復興のシンボルを“ポイ捨て”



20200331 06
1.8万人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から、間もなく丸9年。東北地方や関東地方北部の太平洋沿岸を襲った巨大津波と、一時は首都圏壊滅すら想起された『東京電力』福島第一原子力発電所の過酷事故の記憶は、今も人々の脳裡に鮮明に蘇ってくるに違いない。況してや、この銀行にとっては尚更だろう。拭おうとしても到底拭い切れない程の悲劇を、150年近いその社史の1ページに刻み付けることとなったからだ。女川支店(宮城県女川町)が高さ20mを超える津波に呑み込まれ、当時勤務していた14人の行員の内、12人が死亡、又は行方不明になるという大惨事に見舞われたのだ。“あなたのこと、あの日のことを忘れない”――。震災から約6年半の歳月を経て、2017年9月に営業が再開された女川支店。その隣接地に、こう刻まれた鎮魂の碑が立つ。失われたのは無論、人命ばかりではない。店舗は損壊し、ATMは水に浸かって、ネットワークが各地で寸断。震災直後の2011年3月期決算では、これら一連の固定資産関連損失や、被災した融資先に対する貸倒引当金の追加繰り入れ等、500億円規模の特別損失計上を迫られ、300億円を超える最終赤字に陥った。財務諸表等の記録を遡れる1948年以来、最大にして初の赤字決算だった。そんな『七十七銀行』が、震災後の「地域経済復興のシンボル的存在」(東北財界関係者)と言われてきた地元融資先に、遂に引導を渡した。創業100年の伝統を誇る老舗で、業界関係者や漁業関係者らの間では“北転船(※北太平洋の遠洋底曳漁船)のヤマニシ”として知られる、東北地方最大級の造船会社『ヤマニシ』(宮城県石巻市)だ。

負債総額123億円を抱えて、今年1月末、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、経営破綻したのである。実は、同社の破綻は初めてではない。オイルショックが招いた造船業界の構造不況等に耐えかね、1977年9月にも一度、更生法の適用申請に踏み切っている。しかし、バブル景気にも後押しされる形で、1992年には更生手続きを完了。その後は漁船の建造で培った技術力を武器に、外航貨物船やコンテナ船等にも進出して業容を拡大し、ピーク時の2010年3月期には198億円超の売り上げを稼ぎ出していた。まさに我が世の春――。それを心ゆくまで満喫していたところに、突如として襲い掛かってきたのが震災だ。大津波で、ドックを始めとした製造設備は、ほぼ壊滅。建造中だった大型船2隻も被災して、廃船を余儀なくされる等、会社は「事実上の機能不全」(OB幹部)に追い込まれることになる。2011年3月期の決算は、売上高こそ約162億円を計上したものの、最終損益は約31億円の赤字に転落。期末に約18億円の債務超過に陥った。そんなヤマニシの全面支援を名乗り出たのが、同社のメインバンクで、尚且つ5%の出資も行なっていた七十七銀行だった。『日本航空(JAL)』再建等も手掛けた国の『企業再生支援機構』(※現在の『地域経済活性化支援機構』)に対し、異例とも言えるヤマニシとの連名で支援を要請。自らの債権放棄等と引き換えに、国の援助を引き出したのだ。2012年2月に纏まった再建計画は、震災前にヤマニシが抱えていた銀行借入82億円の内、七十七銀行の65億円を始め、金融機関が計79億円を債権放棄。リース債権2億円は全額放棄する。一般債権者には返済条件の変更等リスケを要請した上、当面、2013年3月末までの間、七十七銀行を中心とした銀行団が、最大95億円の運転資金と20億円の設備資金を供与(※2013年4月以降は最大69億円の運転資金を融資し、うち34.5億円は後に劣後ローン等資本性資金に振り替え)するといったスキームだ。一方、国は中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を通じて、所謂グループ化補助金16億円を拠出する他、新設の『東日本大震災事業者再生支援機構』が40億円を出資。震災後に『日本政策金融公庫』がつなぎ融資していた5.5億円は、デットエクイティースワップ(DES)で株式に振り替える形で、ヤマニシをバックアップする。企業再生支援機構による直接の出融資こそ見送られたが、まさに「官民挙げての救済策」(石巻市関係者)だったと言えよう。

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テーマ : 地域のニュース
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【地方大学のリアル】(03) 鳥取大学(鳥取県)――“田舎”駅弁大学の生き残り戦略



20200331 05
鳥取大学医学部附属病院の広報誌『カニジル』の名前の由来は、“医療をい「かに知る」か”と、地元の名物である“かにのだし汁”だ。前者は情報発信とコミュニケーション、後者は地元密着の意味を込めている。医療の世界でも東京一極集中が進む中、鳥大医学部はカニジルに込めた2つの戦略を柱に生き残りをかける。鳥大医学部が力を入れる“ヒューマンコミュニケーション教育”。この教育で中心となるのは、実際の学生と人との交流である。具体的には、1年次は講義で発達心理学・臨床心理学を学んだ後に保育園での実習を行ない、子供たちと交流する。2年次は老年心理学の学習後に老人福祉施設実習を行なっており、施設側からの評価も高いという。学生は乳幼児や高齢者と触れ合い、共感に基づいて他者との関係性を築く能力を獲得する。その中でコミュニケーションは勿論、それを担う自分を見つめ直す“気付き(アウェアネス)の体験学習”として、一定の成果を上げてきた。鳥大医学部を始めとした国立大医学部に入学する学生は、「周りは全員敵だ」という無味乾燥な受験戦争に勝ち抜いてきた。この為、その過程でコミュニケーション能力が欠落しがちだ。医師にとって、先ずは患者、次に他の医師や看護師等とのコミュニケーションが欠かせない。この問題意識に応えるのがヒューマンコミュニケーション教育と言える。生き残り戦略のもう一つの柱である“地域密着”の中心となるのは、地域医療学講座。4年次に県内49ヵ所ある利用施設の内、4ヵ所での医療を現場で経験する。治療と合わせて予防活動が重視される地域医療の重要性に加え、僻地の多い鳥取、山陰地方において基幹学校、病院となる鳥大の役割を認識することもできる、重要なプログラムだ。

尤も、鳥大医学部は多くの地方大学と同じように、学生が卒業後、地元から流出してしまう課題に直面している。鳥大医学部の場合、地元である鳥取県・島根県の出身者が凡そ3割程度にとどまる。それ以外は関西、或いは岡山県・広島県出身者が集い、彼らの多くは卒業後には地元へ戻っていく。これでは地域密着の医療の実現は難しい。ある教授は、「東北の国立大学医学部だと、多くの学生が東京を中心とした関東からやって来て、卒業後に関東に戻る。山陰でも同じようなことが起きている」という。学生を地元に引き留めるにはどうしたらいいのか。鳥大医学部の取り組みの一つが、学閥の排除だ。2014年に群馬大学で発覚した腹腔鏡手術での大量死亡事故の一因も、群馬大学出身者と旧帝国大学出身者の対立にあったと言われる。『白い巨塔』に代表されるような学閥と権力が幅を利かせる旧態依然の医療現場ではなく、働き易い民主的な職場をアピールする。尤も、鳥大医学部の学閥排除には長い歴史がある。鳥大医学部の始まりは、第2次世界大戦の終結した1945年に遡る。未だ戦争が終わらない3月、文部省直轄諸学校官制が改正され、『米子医学専門学校』の設立が決まった。米子が選ばれた理由には諸説ある。その一つは、当時の米子市長だった斎藤干城が嘗て関東軍の軍医総監を務め、東条英機と親交があった為とされている。しかし、日本は同年8月に敗戦。米子医専は軍医養成という目的を失い、1948年に米子医科大学となった。山陰地方で初めての大学昇格である。翌1949年には一府県一大学を原則とする国立学校設置法が公布され、鳥取農林専門学校、鳥取師範学校等に米子医大を加えて、鳥取大学として統合した。こうした経緯がある為、他の学部が鳥取市にある中で、医学部だけは未だに米子にある。多くの駅弁大学では最寄りの旧帝大の影響が多かれ少なかれあり、鳥大も元々はご多分に漏れず、九州大学の強い影響下にあった。ある教授が定年を迎え、1つ枠が空くと全国から公募を行なうが、選考は教授による投票で決まる。そこで選ばれるのは、同じ学閥出身の候補者であることが多い。結果として、鳥大医学部でも長らく、鳥大出身者が教授になれない状態が続いたという。

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テーマ : 教育問題
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【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(156) 恐慌の前触れか…新型コロナウイルスより怖い実体経済への悪影響

“地獄の釜の蓋も開く”――。地獄で罪人を煮る鬼も、正月16日とお盆の16日は仕事を休む。その為、この日は地獄の釜の蓋が開くということだ。1月16日、日本国内で初めて新型コロナウイルスによる肺炎が確認された。そして、本稿を書いている今月8日の時点で、世界95ヵ国、10万人以上の感染者が確認されている。その中でも、韓国、イタリア、イランは感染者が5000人超えと突出しているが、この数字は検査によって判明しているものだけだ。潜在的な感染者がどれほどいるのかは、想像すらできない。新型コロナウイルスについて、「インフルエンザと同じようなもので恐れる必要はない」という専門家の意見が多い。しかし、新型コロナウイルスの感染は未だ進行中の現象であり、ワクチンも開発中である。徒に恐れる必要はないが、安易な楽観論には賛成できない。投資の世界では、予期せぬ事態や危機的な状況が発生した場合、大袈裟に対応するという鉄則がある。“ビジネスコンティニュイティーマネジメント(BCM)”という考え方だ。テロや災害、システム障害等が発生した際に、企業が重要な業務を継続できる方策を纏めたものが事業継続計画(※BCP=ビジネスコンティニュイティープラン)だ。その中の戦略がBCMである。経営者も投資家も、緊急時に事態を過小評価しては、取り返しのつかないことになりかねない。その為に、想定し得る最悪のケースに備える必要があるのだ。新型コロナウイルスは、世界中のヒトとモノの動きを止めてしまった。そして、次に止まるのがカネだ。これらの影響が実体経済に表れるのは、もう少し先だろう。その前に金融の世界では、既に影響が出始めている。

3月4日、アメリカの『連邦準備制度理事会(FRB)』は0.5%の緊急利下げを行なった。アメリカ国債10年物の金利は1%を下回り、0.7%台で推移している。これは史上初の低水準だ。通常、利下げという金融緩和を行なえば株価は上昇する。ところが、FRBによる0.5%という大胆な利下げにも拘わらず、アメリカ株は下落を続けている。これは、金利が一定水準を超えて低下すると、金融緩和効果が反転するという“リバーサルレートの理論”に一致する現象である。アメリカ経済は、各種指標や企業業績で見ると未だ堅調と思える。しかし、新型コロナウイルスによって、遂にリセッション入りしたと考えたほうがいいだろう。新型コロナウイルスの震源地であり、感染者数が最多の中国経済も深刻だ。ドルベースの輸出が1~2月だけで前年比マイナス17.2%である。次期の数字は更に悪化することは間違いない。現在、供給と需要は、アメリカ、中国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの7ヵ国で世界の60%、製造業の65%を占めている。所謂経済大国が新型コロナウイルスで混乱しているのだ。大国のくしゃみで世界中が風邪を引くのは当然なのである。今のところ、供給側のショックが現れてきた程度だが、今後は需給側の影響が経済に出始めるだろう。ヒト、モノ、カネが止まった世界を想像すると、新型コロナウイルスより恐ろしい。先物市場でも、需要減を見込んで原油価格が1日で10%下落した。産油国の経済にも大きなダメージである。株式市場の下落を「高過ぎた水準からのバブル崩壊だ」と評する者がいるが、筆者はそう思わない。1929年の世界恐慌について、経済学の巨人と呼ばれたジョン・ケネス・ガルブレイスは、こう評している。「当時の投資家は、世界恐慌とバブル崩壊を間違えたのだ」。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2020年3月24日・31日号掲載

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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George Clooney

Author:George Clooney

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