【Test drive impression】(71) 『ジャガー Eペイス RダイナミックSE(P250)』――あのジャガーが手掛けたコンパクトSUVの味は?





『ジャガー』が日本市場に導入した新型の『E-PACE』というモデルは、所謂コンパクトSUVのジャンルに属す1台だ。既に今年2月に受注を開始している。尤も、コンパクトSUVとはいっても、その全幅は決して日本基準ではなく、世界基準となっている為、1900㎜とワイドなのが特徴だ。3サイズは全長4410㎜×全幅1900㎜×全高1650㎜となるが、これはボルボの『XC40』の全長4425㎜×全幅1875㎜×全高1660㎜に近い。因みに、日本のSUVでいえば、『三菱自動車』の『エクリプスクロス』が全長4405㎜×全幅1805㎜×全高1685㎜、『トヨタ自動車』の『CH-R』が全長4360㎜×全幅1795㎜×全高1550㎜。こうしてみると、日本のコンパクトSUVと異なり、ヨーロッパのコンパクトSUVはやはり全幅が大きい傾向にある。これは勿論、ヨーロッパには日本のように5ナンバー・3ナンバーという区分け制度が無いからだ。日本とは規格が違うのだ。そしてE-PACEの場合は、全幅こそワイドなのだが、前後のオーバーハング(※フロントタイヤの前、リアタイヤの後ろの部分)が切り詰められたスポーティーなデザインとなる為、全長はとても短く見える。

更に試乗車は、SUVでは標準的なサイズである19インチのタイヤを履いていたが、写真ではタイヤがとても大きく見えるのは、全長が短くスポーティーなスタイリングによるもの。実際、エクステリアデザインは、1クラス上に位置するSUVである兄貴分の『F-PACE』との関連性よりも寧ろ、同社のスポーツモデルである『F-TYPE』にあるとジャガーは話す。確かに、サイドからボディーの上半分を見ると、シャープなノーズから後ろに行くに従い低くなるルーフライン、そして力強い造形のリアフェンダーといった具合に、スポーツカーを思わせるデザインが展開されている。室内を見ても、そこに展開されるインテリアはジャガーらしい硬派でスポーティーなテイストの造形となっている。そして、そこにレザー等で上質な雰囲気を設えており、造形の素材の見事な融合で造られるスポーティーだけどゴージャスな感覚こそ、ジャガーならではのイメージと言えるだろう。最近のコンパクトSUVは、どちらかといえばボルボのXC40や『BMW』の『X2』のように、単なるスポーティーではなくポップな感覚やファンな雰囲気が盛り込まれることも多い。だが、そうした中でこのE-PACEは、他のジャガーのモデルにも共通する“ジャガーらしさ”を徹底的に貫いたと言える。それは、まさに硬派なスポーティーさとイギリス的な上質さが同居している独特の雰囲気である。

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【Global Economy】(92) レアメタル争奪、中国席巻…EV電池、問われる日本の戦略

リチウムやコバルト等のレアメタルの争奪戦が激しさを増している。電気自動車(EV)の中核部品であるリチウムイオン電池の原料として、今後、需要が急拡大するとの予測が背景にある。 (経済部デスク 小川直樹)





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波一つ無い水面に青空が映り込む。一見、南国のリゾートのように見えるが、実は南米アンデス山中の高地にある人工池。『豊田通商』とオーストラリアの資源開発大手の合弁会社が、アルゼンチンのオラロス塩湖近くに整備したリチウムの生産拠点だ。ここでは、塩湖の地下200mからリチウムを含む地下水を汲み上げ、人工池で約300日間天日干ししてリチウムを精製している。年間生産能力は1万7500トン。更なる需要拡大を見込み、豊田通商は1月、生産能力を4万2500トンにする計画を発表した。生産能力を2.5倍近く引き上げる思い切った増産計画だが、それ以上に積極的なのが中国勢だ。中国の資源開発大手の『天斉リチウム』は、2013年にオーストラリア資源開発大手の株式を51%取得して経営権を握ると、今年5月にはチリの資源開発大手の株式の24%を取得することで合意したと発表した。アメリカの地質調査所(USGS)によると、世界のリチウム産出国の1位はオーストラリア、2位はチリで、天斉は両国に着々と足場を築く(※グラフ①)。豊田通商資源開発部の片山昌治部長は、「中国勢は潤沢な資金を使って海外の資源を買いまくっている。1人だけ違うルールで試合をやっているように見える」と話す。中国勢の買収攻勢はリチウムに留まらない。やはり電池の原料であるコバルトは、アフリカのコンゴ民主共和国が世界の産出量の6割を占める(※グラフ②)。ここでも『華友コバルト』や『チャイナモリブデン』等の中国企業が、コバルトの権益獲得競争をリードする。「中国は国を挙げて電池材料を押さえにきている」。日本のある資源開発関係者は警戒感を隠さない。リチウムは耐熱ガラス等の添加剤として、コバルトは顔料等として使われてきた。

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資源争奪戦が激しくなったきっかけは、“EV強国”を目指す中国の一連の自動車政策だ。この結果、2015年から2017年にかけてリチウムやコバルトの価格が上昇した(※グラフ③)。中国はEV購入者やメーカーへの多額の補助金を出す等支援策を次々と打ち出し、2015年にはアメリカを抜いて世界最大のEV市場となった。2017年には、2025年に年間700万台のEV等新エネルギー車を販売するとの新目標を打ち出した。新エネルギー車を一定量、生産・販売するよう自動車メーカーに義務付ける規制の導入も発表した。日本の年間新車販売台数(※約520万台)を大きく上回る野心的な目標や規制が電池の増産を促し、資源開発会社を世界のリチウムやコバルト資源の確保に走らせる構図になっている。調査会社の『アイアールユニバース』によると、リチウム(※炭酸リチウム)の随時契約価格は現在、1㎏あたり21ドル前後で推移する。8ドル台で取引されていた2015年秋より3倍近い。コバルトは1ポンド(=453g)あたり43ドル前後と、2015年秋と比べると4倍以上の高値で取引されている。棚町裕次社長は、「本格的なEVブームと投機マネーの流入で、価格は上昇し易い環境にある」と指摘する。調査会社の『富士経済』は、「リチウムイオン電池の原料市場は、自動車向けを中心としたリチウムイオン電池の需要増加によって拡大が続き、2021年には2015年の3倍近い2.9兆円になる」と予測する(※グラフ④)。多くの専門家も「右肩上がりで需要は伸びる」と指摘する。ただ、今後を読み解くには3つの変数に目を配る必要がある。1つ目はEVの普及ペースだ。世界の自動車メーカーは競うように“EVシフト”の計画を掲げているが、注意深く見ると、ハイブリッド車(HV)等を含む“電動車”となっていることが多い。HV等の電動車はエンジンとモーターを併用して走るので、モーターだけで走るEVに比べると電池の搭載量は少なくて済む。電池の搭載量が少なくなれば、その分、リチウムもコバルトも必要量が減る。

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【神社&仏閣が危ない!】(07) 八幡宮の総本宮で前代未聞の大騒動…『神社本庁』の強権支配に反旗

全国4万社超の八幡宮の総本宮である『宇佐神宮』(大分県宇佐市)で、地元住民が宮司の罷免を求める事態が起きている。住民らの怒りの背景にあるのは、地元を無視した『神社本庁』の強権支配だ。

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「これは完全に神社本庁による乗っ取りだ。本庁から送り込まれた宮司が、宇佐神宮を政治利用して、地元との関係を断ち切っている」――。大分県宇佐市のある神職はそう憤る。神職だけではない。今年1月には、市民団体が宮司の退陣を求める異例の署名運動を始め、既に5000筆以上が集まった。宇佐市の人口は約5.6万人。全人口の約1割が賛同した格好だ。宇佐の神職や氏子らがこぞって怒りの矛先を向ける宮司こそ、神社本庁の前総務部長である小野崇之氏である。小野氏は、田中恆清総長や『神道政治連盟』の打田文博会長に仕えた“子飼い”の部下。本庁時代に疑惑の不動産取引に加え、本誌が7年前にスクープした『伊勢神宮』からの震災被災地支援米の一部を神社本庁職員に配布した“猫ババ事件”を主導したとされる。左図に示すように、宇佐神宮では約10年前から宮司人事を巡る混乱が続き、代々宮司を世襲する到津家による訴訟沙汰にもなっている。その間隙を突く形で、小野氏が神社本庁から送り込まれてきたのは、一昨年2月のことだ。小野氏は着任早々、地元の県神社庁宇佐支部との協力関係を断絶。支部側が神宮内にあった事務所を別の神社へ移す異常事態が今も続く。氏子らの寄付金の取り纏め役だった支部の協力が得られなくなり、神宮では神事等の資金集めに支障を来しているという。その不足分を補う為か、小野氏は着任以降、様々な手口で自前の“財布”を確保する動きを見せている。その最たる例が、昨年、神宮の所有地に建設した有料駐車場だ。この駐車場により、参拝客が商店街を通りながら神宮へ向かう既存駐車場の動線が崩れ、ある商店主は「客足が遠退いて、売り上げが2~3割減った」と嘆く。更に今年、市に無償貸与していた宇佐神宮球場グラウンドの貸借契約を解除し、賃料を徴収する方針を通告。また、境内のトイレも有料化するという徹底ぶりだ。問題は、こうした方針変更を、地元関係者との事前協議も無く、一方的に通告する点にある。

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署名運動の発起人である元市議会議長の久保繁樹氏は、「地元が神宮を支え続けた共存共栄の歴史を蔑ろにしている」と憤る。地元との軋轢が深まる先月14日、宇佐神宮の責任役員である会社相談役の男性が、体調不良を理由に役員職の辞任を申し入れた。神宮の責任役員会は4人で構成され、代表役員である宮司を除く3人が事実上、宮司の任免権を持つ。関係者によると、この男性は小野氏の宮司就任に当初は反対を公言していたが、東京の神社本庁に呼び出された後に賛成に転じた。これにより、責任役員の過半数が本庁人事に賛同し、小野氏が神宮に送り込まれたという経緯がある。だが、自らが承認した宮司の罷免運動が地元で展開される事態となり、男性も責任を痛感していたようだ。親しい知人は、「(賛成派に転じたことは)『土下座しても謝り切れない』と悔やんでいた。神宮と地元の板挟みとなり、苦しんでいた」と明かす。男性の辞任は同月20日に受理され、責任役員の1枠に欠員が生じることになった。その代務者を選ぶのは、氏子の代表5人で構成する総代会である。神宮側の対応は素早かった。同月26日に総代会を招集し、代務者に神宮ナンバー2の権宮司を提案したのである。この権宮司は、田中総長が宮司を務める『石清水八幡宮』から送り込まれた“乗っ取り”の一味と地元で目される人物だ。極め付きは、神宮側が責任役員になれる条件に“宮司が推薦する者”という一文を加えた内規策定も提案していることだ。その意図は明らか。責任役員の過半数が小野氏の罷免に転じれば、宮司としての立場が危うくなる。その前に、自身の意に沿う者しか責任役員になれない仕組みを作り上げようという狙いが透ける。ところが、総代会はその日の回答を保留し、神宮側の提案を拒否する方向で調整中だ。総代の1人は、「内規を受け入れれば責任役員が責務を果たせなくなる。神宮側の提案はおかしい」と明かした。“宇佐の乱”の結末はどうなるのか? 本誌の取材に、小野氏側は期限までに回答することはなかった。


キャプチャ  2018年3月24日号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【儲かる農業2018】(11) レジェンド農家への道⑥…インターネットや農総研を使い倒す

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関東圏で葉物野菜を生産しているある農場経営者は、販路別の出荷価格のチェックを欠かさない。今シーズンは、昨年来の天候不良で野菜相場が高騰している。「野菜が欠品するよりは陳列したほうがマシ」と考える流通事業者は多く、どの販路に出荷すると少しでも高く売れるのか、研究に余念がない。右図では、中堅農家が利用している代表的な販路を5つ挙げた。参考までに、農産物の末端販売価格が90~100円とした場合の生産者の手取り金額の目安を示した。その金額だけを見れば、“直売所・道の駅”が断然、お得だ。だが、出荷量が限られる上、売れ残りリスクは生産者が負う。一方で、“スーパー・外食チェーン”を選ぶと、手取り金額は55~60円と下がるが、大量出荷が可能だ。モデル農家の多くは、先ずは“スーパー・外食チェーン”の販路を確保している。手取り単価が低かったり、出荷規格や不作時のペナルティーが厳しかったりするが、規模拡大意欲のある農家にとって、安定的に大量出荷できるメリットは他の販路では得られない。しかも、JA経由で出荷するより利幅は大きい。安定出荷先を確保した上で、近年、利用が増えているのがインターネット通販や農業総合研究所だ。「規格外野菜や余剰分等、どこにも売れないものを流すことが多い。それでもお金になるから」(前出の経営者)。他の販路の相場を見ながら、機動的に売り先を変更しているという。安定性のあるスーパー・外食、機動性の高いインターネット販売・農総研――。賢い販路選択で相場変動をリスクヘッジしている。


キャプチャ  2018年2月24日号掲載

テーマ : 農政
ジャンル : 政治・経済

【100年人生に備える大人の勉強ガイド】(11) 「ユニクロ社長は反対、でも行ってよかった」――石川康晴氏(『ストライプインターナショナル』社長)インタビュー

『アースミュージック&エコロジー』を始め、女性に人気のブランドを全国に1200店超展開する『ストライプインターナショナル』。創業者の石川康晴社長は、経営者でありながら京都大学大学院に通う学生でもある。業界の風雲児は何故学び続けるのか? (聞き手/本誌 秦卓弥)

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MBA(※経営学修士)に通うきっかけは2つありました。1つは、企業は社長の身の丈以上に成長しないと気がついたこと。社長の能力が低いと経営戦略を立てられないし、部下が素晴らしい提案をしても、良いか悪いか見抜けずに撥ね返してしまう。それでは会社が伸びません。売上高が1000億円前後になった時に、「もう1回勉強しないと、自分の能力のせいで会社の成長が止まってしまうな」と危機感を覚えました。そんな頃に、銀行に勤めているテニス仲間の女性から、会社に内緒でこっそりMBAに通っている話を聞きました。はっと気付いたのが、「会社に隠してでも勉強したい人がいるんだ」ということ。そして、僕みたいに比較的自由がある立場なら、「行けない理由はない」と受験を決めたのです。ところが、『ユニクロ』の柳井正社長に相談に行ったら反対されました(笑)。「MBAは(経営者が)取るものではなくて、(取得者を)雇うものだ」と。僕がカチンときて言い返すと、「そんな暇な時間があったら仕事しろ」と諭された。それでも我々のようなベンチャーは、学習意欲のある人を応援できる体質にしなければいけない。先ずは、トップである僕が第一歩を踏み出しました。

4年間通って感じていることは、一言で「行ってよかった」。今は最終学年なので、週1回か隔週で京都に行って授業を2コマ取っていますが、1年生の時は週に3回、12コマ入れていました。何がいいかというと、先ず会社から抜け出す時間があること。会社にいると30分刻みで会議・商談・取材。『LINE』やメールも用を足している30秒で1本返すほど意思決定やアウトプットの連続で、考える時間が無くなります。新幹線で東京から京都に行く2時間半は一見無駄ですが、頭を整理するのに最高。名古屋辺りでいい経営のアイデアが浮かび、最後の40~50分で纏める。社員には「いつも会社にいない」と怒られますが、逃げるきっかけがないといいアイデアは生まれません。大学院で学ぶ人を見ていると2種類います。学歴やMBAのタイトルがただ欲しいという人はダメで、如何に使うかが大事。ゼミでは、有名コンサルティング会社出身の教授がマンツーマンで指導について、僕の事業へのアドバイスをくれます。寝る暇が無いほど刺激の連続で、それが殆ど全部、翌日の仕事に生かされます。今は丁度最終試験の最中で、修士論文のテーマはシェアリングエコノミー。会社のリアルデータを突き合わせて論文に纏めました。服を定額で借り放題にする『メチャカリ』というサービスも、大学院で生まれたんです。未だ47歳なのでわかりませんが、60歳までは勉強したい。今は経営を勉強して、如何に会社を伸ばすかにしか興味がありません。でも、60歳からは若しかしたらNPOやファンドを作り、社会の為に何を生かしたいか、学びたいかという視点に変わっているかもしれません。


キャプチャ  2018年2月24日号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【鉄道大戦争2018】(11) 通勤時の混雑解消、我に秘策あり――野本弘文氏(『東京急行電鉄』社長)インタビュー

二子玉川・武蔵小杉・自由が丘――。沿線に住みたい街が多数あるのが東急線の特長だ。沿線の魅力が高まると鉄道利用者が増える一方、混雑が問題になる。田園都市線は昨年10月・11月と2ヵ月連続で、列車が長時間運休するトラブルに見舞われた。東急の野本弘文社長に、ブランド力の秘密と今後の課題について聞いた。 (聞き手/本誌 大坂直樹)

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――ブランド力が強い理由は?
「当社は鉄道会社だが、ベースにあるのは街づくり。街の利便性を高める為に電車を走らせ、街の価値を上げる。単に不動産を売るというのではない。系列企業で百貨店やストアを展開するのも、街の利便性を高める為だ。創業者の五島慶太や元会長の五島昇が日吉駅に慶應義塾大学を、大岡山駅に東京工業大学を誘致したのもその一環。常に若い人が沿線にやって来ることは、街の活性化に繋がる。しかし、長年かけて築いたブランドも、今回の田園都市線のようなトラブルが続くとあっという間に毀損する。ブランド価値が下がると不動産価値も下がり、お客様に大変なご迷惑がかかる。非常に重く受け止めており、『これは警鐘だ』と社員には言っている。このようなトラブルを二度と起こさないことが、我々の最大の使命だ」

――沿線が便利になると、沿線人口が増えて益々混雑するのでは?
「その可能性はある。あくまでアイデアのひとつだが、ピーク時間帯を避けて乗ると運賃が安くなるような仕組みを定期券でできないかと考えている。PASMOとの関係で当社単独ではできず、頭を痛めているが、できるなら直ぐにやりたい。駅に保育所を設置する取り組みも同時に進めているので、例えば子供を駅に預けての10時頃に出社すれば、お客様が便利になる上、経済的にも少し楽になる」

――今後、開発に力を入れる駅は?
「田園都市線では南町田駅や鷺沼駅。将来的には青葉台駅もやりたい。東横線では2022年度に相鉄線との相互直通運転が始まるので、綱島駅あたりで再開発案件が出てくるのではないか」

――複々線化で東急からの利用者シフトを狙う『小田急電鉄』は脅威ですか?
「危機感はゼロではないが、当社は街づくりの発想なので、街に住むお客様の通勤が便利になるのは結構だ。お客様を取られて困ると嘆くのではなく、当社線の魅力をもっと高めないと」

――「小田急に利用者が移り、田園都市線の混雑が減る」という見方もあります。
「そのほうがお客様にとって便利ならそれでよい。だが、何もしない訳ではなく、お客様の利便性を高める努力は続ける。例えば、行きは小田急線、帰りは田園都市線というアイデアも、ひょっとしたら出てくるかもしれない」

――渋谷再開発の勝算は?
「渋谷はクリエイティブな人が集まる街だし、エンターテインメント性もある。以前は大型のオフィスビルが少なく、渋谷で起業した会社が大きくなると外へ出ていってしまった。だが、再開発で広いフロアスペースを提供できるようになり、嘗て渋谷にあったGoogleがまた渋谷に本社を戻してくれるようになった。渋谷を職場として選んで頂けるチャンスが増えると思う。再開発が完了すると、JR埼京線のホームがJR山手線の隣に移設され、利便性が高まる。大宮方面から渋谷に通勤する人も増えるかもしれない。『渋谷で働く全ての人に東急沿線に住んでもらいたい』という考えは無い。東横線沿線よりも家賃が安くて、通勤に便利な場所もある。360度色々な方向から人が集まるような拠点にしていきたい。勿論、田園都市線や東横線にお住いの方から多くお越し頂きたいですけどね」


キャプチャ  2018年2月14日増刊号掲載

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【ここがヘンだよ日本の司法】(11) 現役弁護士座談会…実名NGの本音トーク!

弁護士の世界で起こっている問題を知るには、現役の弁護士に話を聞くのが手っ取り早い。そこで、年齢がバラバラの5人の弁護士に集まってもらった。先ずは、司法修習生に生活費を給付する“給費制”復活について聞く。 (聞き手・構成/フリーライター 青木康洋)





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――2017年4月に改正裁判法が成立し、司法修習生の給費制が復活しましたね。2017年の司法試験合格者から導入されます。
C「貸与制では無利息で18万~28万円の貸付を受けられるんだけど、やっぱり弁護士になった途端、多額の借金を抱えているのは苦しい。給費制が復活して良かったと思いますよ」

――新制度では月額13万5000円の基本給付金の他に、住居費が必要な修習生には月額3万5000円の住宅給付金が追加され、修習先への引っ越し代も国が負担することになりましたね。
E「法曹は国の宝ですからね。給付制の意義は司法修習生に公的使命を自覚してもらうこと、そして法曹志望者に貧富の格差を持ち込まないことですよ。一時的とはいえ、貸与制に移行したのがおかしかったんです。お金が無ければ法曹になれないというのは本末転倒ですから」
B「研修期間中は基本、兼業が禁止されていますから、アルバイトもできません。修習に専念する義務がありますから。でも、中には難関試験を突破した反動からか、こっそり合コン三昧しているような輩もいると聞きますが(笑)」
A「噂は聞いたことがあります。そんな人はごく一部だと思いたいですけど…」
C「『そんなヤツらに税金から給料を与えるのはもったいない』という発想があったから貸与制にしたのかな(笑)」
D「どうだろう? そういう面もあったのかもしれない。ただ、貸与制になったせいで法曹を目指す若者の数自体が減ったことは事実。以前より額は減ったとはいえ、給費制が復活したことで法曹希望者がまた増えることを期待します」

――昨今は弁護士同士の格差が広がっていると聞きます。同じ弁護士なのに格差が生じてしまうのは何故でしょう?
C「大本の原因は、やはり新人の就職難にあるような気がする。司法制度改革や新司法試験の導入で、合格者が増え過ぎた。町の法律事務所が増えた分を吸収できずに、あぶれてしまったんです」
E「昔は司法研修所を修了したら、直ぐにでも既存の法律事務所に拾ってもらえた。就職先に困るなんて考えられなかったですよ」

――司法修習生時代の就活事情は、どんなものなのでしょう?
A「最初は皆、5大法律事務所を目指すんですよ。普通の事務所だと新人の年収は600万円くらいですけど、5大事務所は1000万円超えですから。僕は首都圏で登録をすることも考えて、実際に大きな事務所を訪問したこともあります。東京での事務所訪問は、面接もシステマチックでしたね。企業での採用面接と殆ど変わらない印象でした」
C「5大事務所には毎年20人前後の新人が入るんだけど、兄弁の使い走りのような雑用ばかりで、皆、疲弊してしまうと聞く。数年で半分は辞めるみたいだから。私の場合は、最初から5大事務所は頭に無かったですね」
B「僕の場合は20くらい受けて、内定を4つ貰いました。今は小さな事務所でイソ弁なんですけど、1年目の年収は700万円くらい」
D「1年目だと弁護士会の会費が負担だと思わなかった?」
B「東京の場合は比較的安くて、年間60万円くらいなんです。食えない新人弁護士に配慮しているんだと思います」

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【進む格差の固定化】(03) 貧困家庭をピンポイントで支援する“こども宅食”

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本当に困っている子供たちを支援したい――。子供のいる貧困家庭に直接、食品を届ける試みを行なっているのが東京都文京区だ。就学援助や児童扶養手当を受給している1000世帯の者を対象に、寄付やフードバンクで集めた食料を無償で2ヵ月に1回配る。自宅に届けた際に今の状況を確認したり、困り事を聞いたりするアウトリーチも目的の1つだ。財源はふるさと納税で、文京区とNPO法人や財団等5団体が協働で事業を行なっている。初年度は150世帯の枠を設けていたが、想定を上回る458世帯が申し込んできた為、抽選となった。2年目の2018年度は600世帯に配送する仕組みを整えた。この“こども宅食”のアイデアを出したのは、子育て支援等を行なうNPO法人『フローレンス』。きっかけは同団体が開いた子ども食堂だった。子供の居場所を作ることを優先し、対象者を限定しなかったことから、「本当に困っている子がわからず、支援効率が悪かった」と担当者は振り返る。こども宅食では、対象となる生活困窮者世帯へ文京区が手紙を送り、希望者を募る。個人情報を持つ行政と事業を行なうことで、支援を必要としている人を明確にすることができる。一方、文京区子育て支援課の鈴木裕佳課長も悩みを抱えていた。同区は所得の高い世帯が相対的に多く、貧困であることを隠しているケースが多い。子ども食堂のような場を設けても、「貧困家庭と思われたくない」という気持ちから出向かない。直接家に業者が届けることで、周囲に知られずに支援できるようになった。初年度は8000万円超の寄付金を集めたが、「初年度だから集まったという不安もある」(鈴木課長)。事業を継続していく為に、コストダウンや周知を進めていくという。 (取材・文/本誌 富田頌子)


キャプチャ  2018年4月14日号掲載

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【ニッポン新階級社会】(03) 子供を下流に沈めない! 中流死守サバイバルの壮絶

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最近、ある厚生労働省幹部は驚いたことがある。政府が“人づくり革命”の一環として盛り込んだ(大学等)高等教育の無償化に対して、妙なところからクレームが付いたからだ。政策に一長一短あるのは毎度のことではある。意外だったのは、クレームの主が中高生の親であること。「国が余計なことをしてウチの子供の敵を増やさないで!」というのだ。高度経済成長期の“1億総中流”の社会は崩れ去り、1980年代以降に格差は拡大し続けた。そうして形成されたのが、身分が固定化され、分厚い中間層(=中流)が下流に滑り落ちる“新階級社会”である。富裕層はより豊かに、貧困層はより貧しく――。人々は、日本社会における自身のポジションをはっきりと意識するようになった。実際に、自分を人並みより上と考える人の比率をみると、富裕層では急速に上昇したのに対して、貧困層では緩やかに低下した(※左図)。そして今、中間層の間で起きているのが、下流に転落しない為の競争である。中流レベルを死守する為のサバイバルと言ってもよい。

一度、中流生活を経験した人々は、下流へ転落することを極端に恐れるもの。中流の親が、子供に身の丈を超えた教育費用を投じがちなのもその為だ。中流の親からすれば、アンダークラスに属する子供でも大学へ行けるようになる教育無償化は、受験の失敗等により自分の子供の教育機会を奪い、下流転落を導きかねない代物に見えたのだろう。そんな冗談のような話が罷り通るくらい、日本人が中流を維持することが難しくなっているとも言えそうだ。中央大学の山田昌弘教授によれば、「ある時点で中流生活を送れている人には2つのリスクがある」という。1つ目は、世代間の転落リスク。自分の親が送っていた中流生活を自分が送れなくなるリスクのことをいう。2つ目は、世代内における転落リスク。今送っている中流生活を、将来維持できなくなるリスクのことだ。日本で飛躍的な経済成長が望めない以上、いずれのリスクも回避し難くなっているのが実情だ。それでも、人々は中流にしがみつきたいと思うから、下流へ滑り落ちない為の競争は続く。SNSが普及したことで、誰でも“隣の芝生”の生活を覗き見し易くなった。他人が閲覧することを前提にしたSNSだから、ある程度“盛った生活”を見せられていることは確かだろう。子供にどんな習い事をさせているのか? どんな服を着せているのか? 長期休暇にはどこに旅行しているのか? そうした何げない投稿を見ているうちに、その家庭の年収や財政事情が何となくわかってしまうのも事実だ。現段階では、政府が目指す賃上げを望むのは難しいだろう。本当は中流の生活が厳しくなっている筈なのに、“隣の芝生”を意識して中流を維持しようとすると、いずれ家計は破綻してしまう。その行き着く先はアンダークラスへの転落である。中流を維持するか、下流へ転落するか――。中流を死する為のサバイバルは、熾烈を極めることになりそうだ。


キャプチャ  2018年4月7日号掲載

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【テレビの裏側】(26) 広瀬香美の独立騒動で注目! 芸能界の“マネージャークラッシャー”たち

歌手の広瀬香美(52)がSNS上で一方的に独立を発表。対する所属事務所も、広瀬のワガママによって8年間で28人もマネージャーが代わったことを明かす等、現在、トラブルに発展している。芸能界では、広瀬のように担当マネージャーが頻繁に代わる“マネージャークラッシャー”は決して珍しくない。「例えば、ロンブーの田村淳と友近がマネージャーに厳しいことで有名ですね。淳はマネージャーがミスをすると楽屋でネチネチと説教する為、歴代マネージャーの中には吉本興業自体を辞めた者もいます。友近も芸への拘りが強い故、小道具や資料を1つでも用意し忘れると、番組スタッフとの打ち合わせ中だろうが関係なくお説教が始まる」(キー局プロデューサー)。一方で、「淳や友近は責められない」という声も上がっている。「経費削減の為か、吉本は売れない芸人をマネージャーに転身させる等、素人同然のスタッフを使ったりするので、“事故”が多い」と若手芸人は語る。「楽屋に用意してある芸人の弁当を食べてしまったり、芸人が説教している最中に『しんどいから横になっていいですか?』と聞いてくる猛者も。先日、ひょっこりはんがネタで使うBGMを巡って著作権侵害だと騒動になりましたが、クレームが来た時点で本人は相談していた。ところが、マネージャーがBGMを『フリー素材だから大丈夫だ』と思い、対策を怠ったから大ごとになってしまった」。

和田アキ子(68)もマネージャーに厳しいタレントとして有名だが、バラエティー番組ディレクターによれば「和田のマネージャーは出世コース」だという。「アッコさんは厳しいだけでなく、芸能界のノウハウもきちんと叩き込んでくれるので、マネージャーが成長する。現在、ホリプロで役職に就いている人の大半はアッコさんの元担当マネージャー。一度もアッコさんにダメ出しをされなかった伝説のマネージャーは、独立して制作会社の社長をやっていますよ」。『吉本興業』の大﨑洋社長や『よしもとクリエイティブエージェンシー』の藤原寛社長ら、同社の幹部の多くが『ダウンタウン』のマネージャー出身であることは、よく知られたエピソードだ。「大﨑社長は、優秀な人物を自分の派閥に入れることで、盤石な体制を築こうとしているようです。社長自身がこれと見込んだ人材を、公私共に仲の良いダウンタウンのマネージャーに付けている節がある」(吉本関係者)。マネージャーと共に成長したのが、朝ドラヒロインも務めた有村架純(25)だ。「デビューから3年間、オーディションで落選続きだった有村を見放さず、マネージャーと一緒になって悩み、苦しんだ。そんな姿を見て有村は、ラブシーンに挑戦することを決意。現在の地位を確立したのです。有村を売った功績で、そのマネージャーは好待遇を得たそうです」(芸能プロマネージャー)。マネージャーを出世させてこそ、真の一流芸能人なのかもしれない。


キャプチャ  2018年6月22日号掲載

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