【薬のホント・健康食品のウソ】(11) 規制緩和で機能性表示食品が登場…トクホは2度死ぬのか?

昨今のトクホは、お馴染みの成分ばかりで新規性に乏しい。新たに登場した機能性表示食品とは何なのか? 健康食品業界と食品制度の裏側を覗いた。

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何故、食品メーカーは特定保健用食品(トクホ)で、新規でより優れた効果を追求しないのか? そこには業界事情がある。特定保健用食品制度は1991年に導入され、国の審査に合格した商品は、許可された範囲内で機能性を表示できるようになった。お腹の調子を整えるヨーグルト等が中心だった当初のトクホビジネスは大人しかった。そこに、効果も追求しながら大々的にトクホビジネスへ乗り出す会社が現れた。化学品メーカーの『花王』である。同社のトクホ食用油『エコナ』やその関連商品は、一世を風靡した。ところが、エコナには発癌性リスクのあるグリシドールに変換する可能性があるグリシドール脂肪酸エステルが、他の食用油よりも多く含まれていることが判明。花王は2009年に製造・販売の自粛に追い込まれた。その後、何年もかけてエコナの安全性が検証され、2015年に出された最終的な判断は「直ちに重大な健康影響があるとは考えない」というものに落ち着いたが、その間にビジネスを失った。エコナ全盛当時、食品メーカーでもない花王が様々な食品をトクホで展開していく姿が面白くない食品メーカーや関係者は少なくなかった。エコナに不利な情報収集に腕まくりして励み、事実、前述のような結果になった。と同時に、効果を追求した新規性の高いトクホ製品は足を掬われ易いという教訓が生まれた。「この時、トクホは1度死んだ」と業界関係者は振り返る。食物繊維である難消化性デキストリンのように、安全性の問題が起き難く、使い慣れたお手軽な成分で製品化しようという流れがより強まった。トクホ製品の顔触れに新鮮さは無く、難デキを筆頭に見慣れた成分ばかりだ。そんな市場に異変が起きたのは2013年。内閣府の規制改革会議で、健康食品の規制緩和が焦点となったのである。

トクホの審査に通る為には億単位の費用が掛かる為、所詮、大手のビジネス。中小企業やサプリメントメーカー等は、規制緩和による新たな制度を求めた。推進派のリーダー格は、サプリ大手の『ファンケル』や『森下仁丹』の首脳ら。サプリ大国であるアメリカもロビー活動を後押しした。アベノミクスの名の下で経済効果を出したい安倍普三首相や菅義偉官房長官らは、経済を活性化させる分野の1つにしようと推進派に呼応した。官邸が支持したことで霞が関では忖度が始まり、あっという間に健康食品の機能性表示の解禁が決まった。2015年、機能性表示食品制度がスタートした。消費者庁に所定の書類を提出すれば、企業等の責任において科学的根拠の下に機能性を表示できるというものだ。トクホよりも低いコストと少ない手間で機能性を謳えるのだから、「トクホ組も機能性表示へ乗り換え、トクホは死に体になる」と見立てる業界関係者は少なくない。トクホが消えようが、機能性表示食品が増えようが、消費者にすればどうでもいい話だ。肝心なのは、「健康への効果がどれだけあるのか?」である。効果の科学的根拠について、きちんとした審査が無い機能性表示食品市場に、トクホより効果面で信頼度が高く、優れたものが集まるとは考え難い。群馬大学の高橋久仁子名誉教授は、「食品成分に殊更大きな機能性幻想は抱かないほうがいい」と冷ややかだ。それなら、消費者はどう付き合えばいいのか? 『国立健康・栄養研究所』食品保健機能研究部の梅垣敬三部長は、トクホについて「“体脂肪が気になる方へ”とあれば、肥満気味でもない若い人だって気になるかもしれないが、彼らが利用しても効果は期待できない。大体は肥満気味の中年層に対する効果を狙ったものだ。誰がどんな目的で利用するものなのかを、正確に理解する必要がある」と言う。また、「乱れた食生活や運動不足を帳消しする免罪符としてではなく、今の生活習慣を改善するきっかけとして利用することに存在意義がある」(梅垣部長)という。トクホ・機能性表示食品共に、その点は共通している。梅垣部長は、「氾濫している眉唾の健康食品に比べたら、トクホはマシ」とも言う。例えば健康食品業界では、法の網をかいくぐるような“3点セット”の商法が長らく罷り通っている。3点セットの1点目は“キーワード外し”。トクホや機能性表示長品でないにも拘わらず、メーカーが直接的に“膝痛解消”と謳えば、医薬品医療機器等法に抵触する。そこで、「快適な歩きをサポートします」等というフレーズで機能を想起させるのだ。2点目は架空の“研究会”が情報発信するというもの。Aという健康食品を売りたい事業者が、“A療法研究会”等と名乗り、商品広告ではない形で「Aには大きな効果がある」といった情報を発信するのだ。3点目は利用者による体験談。商品を利用した人が「辛くなくなった!」等とコメントする。そこに嘘が交じっていることもある。トクホは審査を受ける許可制であり、機能性表示食品は届け出制。野放しにされた業者や商品に比べれば、多少は国の監視の目が光り易い。それによって信頼が担保されるのであれば、消費者にとっても購入時に選択の目安となろう。顧客離れで悪徳業者や悪質な商品が干上がれば、両制度に一定の存在価値は出てこよう。約2兆円とも言われる健康食品市場は現状、消費者にはあまり優しくない世界である。


キャプチャ  2017年6月17日号掲載
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『週刊文春』より凄まじいスクープを連発した『噂の眞相』伝説――出版タブーを悉く打破、岡留安則編集長の生き様そのもの

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『週刊文春』がスクープ記事において独走状態における現在、“文春砲”なるフレーズが生まれた。それ以来、何らかの衝撃報道や爆弾発言には“○○砲”と名付けられてきた。そして若し、この雑誌が続いていたら“ウワシン砲”と呼ばれていただろう。伝説のスクープ雑誌『月刊噂の眞相』である。筆者の大学時代、生協の書店に1冊だけ噂の眞相という雑誌が置いてあったのを思い出す。背表紙のネームは、“朝生文化人を斬る”だったように記憶している。当時、テレビ朝日系列の長寿討論番組『朝まで生テレビ!』が放映を開始。知識欲に飢えていた筆者は、欠かさず朝生を視聴していた。パネラーの一言二言が新鮮に映り、彼らの言葉を聞く度に自分が大人になっていくような気がした。その“朝生文化人”を批判している背表紙である。「何だ? これは」と手に取った。ページを開いてみると、安そうなザラ紙で構成されていた。何だか怪しげである。が、内容は知的好奇心旺盛だった一大学生にとって、十分過ぎるほど刺激的だった。巻頭のグラビアページには、芸能人の密会現場の盗撮が掲載されている。本文では、政治・タレント・皇室・事件、あらゆることの“裏側”が書いてある。「これこそが真実なんだ」と直ぐに夢中になって読み始め、発売日の毎月10日が楽しみでしょうがなくなった。十数年後、筆者がこの雑誌のグラビアに前妻とのキス写真を載せられるなど、当時は想像だにしていなかったのだが…。

噂の眞相の1つの柱に、皇室批判がある。後述するように、その為、右翼民族派から抗議や編集部襲撃をされたのだが、当時、これほど徹底した皇室批判をした雑誌はあまり無い。また、芸能界のタブーとされていた『ジャニーズ事務所』や『音楽事業者組合(音事協)』の批判も斬新だった。連載陣の1人だった元祖ルポライター・竹中労が、嘗て『タレント帝国』(現代書房)という本を上梓した。これは、全盛期だった『渡辺プロダクション』を中心に芸能界に斬り込んだ本だが、これに優るとも劣らない姿勢だ。“文壇タブー”というものもあった。作家を多く抱える大手出版社では、作家の批判、特に下半身批判等は以ての外。だが、噂の眞相は、これらのタブーを打ち破っていった。コラムも筒井康隆・竹中労・本多勝一・佐高信・小田嶋隆・高杉弾各氏等、「何故、こんなザラ紙の雑誌に著名な人が連載しているのか?」と不思議に思っていた。“一行情報”というアイディアは画期的だった。締切直前に入ってきたネタ、或いはもう少し詰めたいけど時間が無いから次号に回すネタを、ページの端(※専門用語で“耳”の部分)に1行で掲載してしまうのである。これは読者サービスの一環で、「得た情報はなるだけ読者に提供したい」という岡留安則編集長の想いからである。このコンセプトは、筆者も含めて色々な編集者に影響を与えたのではないだろうか。筆者は噂の眞相に夢中になり、大学4年時には創刊号から全て読んでいた。何故、噂の眞相はスクープを量産できたのか? それは、現在の週刊文春を見ればよくわかる。文春の特ダネ連発は今に始まったことではなく、筆者がこの業界に入った頃から優れた記者を他誌からスカウトしてきた。週刊文春のスクープの秘密は、記者の優秀さに他ならない。また、他誌が恐れるのは取材対象者からの裁判だ。週刊文春は提訴も辞さないで書く。そこが独走の秘密である。この“独走”によって、雑誌にとってはある好循環が生まれる。例えば、「このネタをどこに持って行っていいのか?」と迷っていた人がいたとする。現在は文春に持って行くケースが多い。それ以前、「このネタは、ここの雑誌に持ち込みをしよう」という“ここの雑誌”が噂の眞相だった。雑誌が売れる→タレコミが増える→スクープが載せられる→雑誌が売れる…という波に乗る訳だ。現在、ウワシンが存在していたら、どれだけのテレビ文化人やタレントが斬られていっただろう。だから、メディアの人間が時々口にする言葉が、「ウワシンがあったらなぁ…」である。そして、噂の眞相には勇気があった。こう書くと、まるで雑誌に人格があるかのようだが、実際のところ、“雑誌の人格”は存在する。「雑誌は編集長のカラーが出る」とは、よく言われる。もっと言うと、雑誌は編集長そのものである。特に噂の眞相は、創立者で編集長の岡留氏の生き様そのものと言っていいだろう。そのコンセプトは、岡留氏のポリシーである“反権力”と“タブーに挑戦”。噂の眞相の原型は、『マスコミ評論』という雑誌だ。評論家・文化人・作家等を、文字通り“斬って”(=批判)いった。“噂の眞相基準”というものが、筆者の中で作られていったような気がする。即ち、文化人を評価する時に、「ウワシンに書かれていないかどうか?」で先ず判断していった。今思えば、編集長である岡留氏の嗅覚や思想が、筆者にとっての羅針盤だった。現在、そのような羅針盤となるようなメディアは少なくなったように思えるのが寂しい限りである。ウェブジャーナリズムが盛んな現在、偶に他誌の記者から「インターネットでウワシンを作れないか?」という相談を聞く。その精神は、嘗ての副編集長・KさんとデスクのKさんが中心の媒体『LITERA』に受け継がれている。

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和田アキ子・菊川怜・小出恵介…相次ぐスキャンダルが大手芸能プロに与えた衝撃

今年もドラッグや不倫等、芸能人のスキャンダルが続いている。そんな中、今年上半期で本誌が注目したのが、『ホリプロ』の和田アキ子、『オスカープロモーション』の菊川怜、『アミューズ』の小出恵介だ。3人とも“最強”大手プロと言われる芸能事務所のドル箱タレント。にも拘わらず、どの事務所も手の打ちようがなかった。それだけ致命的なスキャンダルだったということだ。 (取材・文/本誌芸能取材班)

20170906 05
昨年、双極性障害を克服して復帰した歌手でタレントの泰葉が6月2日、『帝国ホテル』で記者会見を開き、「元夫の春風亭小朝と歌手の和田アキ子を提訴する」と宣言した。2人の“悪行”は既に自身のブログでも発表しており、芸能界では「泰葉の暴走は最早、誰にも止められない」と言われている。ところが、テレビの視聴者や一部芸能関係者からは、泰葉の行動を期待するような声が多く聞かれた。「和田は“芸能界のご意見番”等と言われていますが、傲岸不遜な言動が視聴者の反発を買っています。スキャンダルを起こして和田に話のネタにされた芸能人等、和田をよく思っていないタレントや事務所がありますからね。『泰葉の提訴で和田が大人しくなるのでは?』と密かな期待を持ったんです」(バラエティー番組関係者)。結婚していた時に小朝から受けた虐待をブログで告発し続ける泰葉に、和田は4月29日に放送されたラジオ番組『アッコのいい加減に1000回』(ニッポン放送ほか)で苦言を呈した。その発言内容に激怒した泰葉は、5月27日に再開したブログに「最後にもう1人告訴します 和田アキ子です」と書いた。「その前に、小朝については訴えるようなことを言っていたんですが、まさか和田も訴えるとはね…」と言うのはワイドショー関係者。「和田の前に、ダウンタウンの松本人志が泰葉の暴走に苦言を呈しつつ、小朝をフォローしていましたが、松本に対しては攻撃していない。一方、和田に対してはいきなり『告訴する』でしょ? しかも会見まで開いた。“暴走”と言われていますが、怒りが積もりに積もった結果でしょうね。会見後には『タレント活動を辞める』と発表しましたが、『私的なことで誰かに迷惑をかけたくない』という決意の表れと取るべき。“提訴宣言”で和田がダメージを受けたのは間違いありません」(同)。

また、泰葉を知るお笑い関係者は、こう話す。「泰葉は小朝の虐待の後遺症で、双極性障害に罹って長期治療を強いられた。同じ女性にも拘わらず、和田はその痛みがわからない。泰葉が会見でも言っていましたが、和田はテレビ局の楽屋に挨拶に行けば、人前で嫌味を言う。そんな和田に、元々怒っていたんだと思いますよ」。小朝は、今年1月から放送された中井貴一主演の時代劇『雲霧仁左衛門3』(NHK BSプレミアム)に、権力欲が強く、傲慢で陰湿、且つ狡猾な性格の家老役で出演しているが、「小朝は地で演じた」等と言われた。「小朝の犠牲になったのは泰葉だけではない。元恋人で女優の岸本加代子や、2人の関係を応援していたビートたけし。更に笑福亭鶴瓶等、落語界の重鎮たちも被害者です」(同)。小朝は“落語の天才少年”と呼ばれ、高校在学中の1970年に春風亭柳朝に弟子入り。1980年に異例の36人抜きで真打ちに昇進。この成功が小朝を増長させたとも言われる。更に、陰湿さも指摘されており、泰葉は小朝と仲の良かった桂三木助の自殺について、「小朝のいじめが原因」とブログで告発。その真相は定かではないが、「小朝の性格では然もありなん話だ」と落語界で言われた。「小朝は岸本加代子と交際していた際、結婚秒読みと言われながらもマスコミの目を恐れて、岸本を可愛がっていたビートたけしをデートで同席させて、カモフラージュした。その為、たけしは岸本との不倫が噂されたんですが、『岸本が幸せになるなら…』と我慢したんです。ところが、小朝は岸本を捨てて、泰葉と結婚しました」(元女性誌記者)。たけしは「アイツは海老名家が持っている林家正蔵と三平の名跡欲しさに泰葉と結婚した」と、未だに小朝を許していない。「鶴瓶は小朝らと中堅落語家の集まりだった“六人の会”を作っていましたが、同会主催の“大銀座落語祭”の会場を、小朝が勝手に銀座ではなく、九州の宮崎に決めたことで、高座で『金髪が何でも1人で決める。金髪は腹を割らない』と批判したんです。東京の落語界の重鎮も、身勝手な小朝に振り回されてきました」(前出のお笑い関係者)。和田は、そんな事情も知らずに泰葉を批判していた訳だ。そんな泰葉の提訴で苦境に立たされているのが、『アッコにおまかせ!』(TBSテレビ系)のレギュラーを務める泰葉の義兄・峰竜太である。「そのことも承知の上での会見ですよ。提訴ということになれば、和田は当分、“ご意見番”のコメントはし難くなる」(前出のバラエティー番組関係者)。しかし、泰葉は6月15日になって、「小朝と和田の告訴を断念した」とブログで報告した。「それでも、泰葉が“提訴宣言”して以降、和田はラジオでもテレビでも泰葉の問題はスルーした。『“ご意見番”もその程度だった』という印象をお茶の間に与えました」(大手芸能プロ関係者)。和田に一矢を報いたのは確かなようだ。

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『日本電産』、スマート工場化でアジアの人員3万超削減

20170906 04
『日本電産』が、アジアのグループ会社工場で、AI(人工知能)やロボットを活用し、自動化を徹底するスマート工場化を進めている。昨年3月末に約8万人いた従業員数を、今年6月には約4万8000人へ大幅削減することに成功した。産業界では、ここ数年、スマート工場化が本格的に進みつつあるが、短期間に3万2000人もの人員減を達成した例は珍しい。同社が本格的に取り組み始めたのは2015年度初めから。中国・フィリピン・ベトナム・タイの十数ヵ所のグループ工場でスタートした。スマート工場化の中核は、部品・資材・機械等を運ぶ自動搬送車と、精緻な部品取り付け等が可能な多関節(6軸)ロボット、そしてカメラを使って製品の不具合認識等を正確に行うビジョンシステムといった機器・装置等の導入だ。例えば自動搬送車は、最新機種ではレーザーで周囲を認識して、人や物の前で止まったり、エレベーターにも単独で乗って移動したりする機能も備え、自動化を徹底する仕組みになっているという。其々、グループ内の企業が持つ技術を活用した。

自動搬送車は変速機メーカーの『日本電産シンポ』、多関節ロボットは液晶搬送ロボット等を手掛ける『日本電産サンキョー』、ビジョンシステムは光学機器メーカーの『日本電産コパル』が新規事業等の一環で開発してきた。日本電産がアジアで本格的にスマート工場化を進める背景にあるのは、「人件費の高騰と生産ラインの従業員の人手不足」(同社取締役副社長執行役員の佐藤明CFO)だ。ここ4~5年、中国で人件費が高騰し、ベトナム等に日本企業の工場の一部が移転する動きが本格化したが、「そのベトナムもこの2年で人件費が30%も上がった」(同)という。更に、アジアの生活水準の向上で、大手でも生産ラインの従業員志望者が若年層でも頭打ちになってきたことから、先駆けて対応した。アジアの工場では短期間で辞めてしまう従業員が多く、募集活動を抑えると自然に人員が減る為、リストラ等による強制的な人員削減は実施していない。スマート工場化で人海戦術型の工場を自動化工場に置き換えた格好だ。欧米の工場にもこのシステムを導入する考えだが、既に自動化が進んでいるところが多く、アジアほどの効果は出ない見通しという。同社は、このシステムを今後外販し、新事業に育てる他、こうした効率化等を梃子に、今年3月期の営業利益率11.7%を2021年3月期には15%に引き上げる考え。今期約600億円(予定)の研究開発費は、2021年3月期に1400億円と2.3倍にするという。狙うのは、需要が大きく伸び続けている車載や産業用のモーター、モーターを核にした機構部品等の技術者を増やすことだ。スマート工場化等による体質強化で、「成長市場の技術者を増やし、更に成長を図る」(永守重信会長兼社長)という。 (取材・文/本誌主任編集委員 田村賢司)


キャプチャ  2017年9月4日号掲載

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通知

8月27日至30日在印度尼西亚旅行的我的博客将不在场。对不起。

「安保闘争最盛期は左翼の運動に好意的な人が多かったんですよ」――本橋信宏氏(著作家)インタビュー

安保闘争――。それは1960年代・1970年代と、2度に亘って日本で展開された、日米安全保障条約に反対する国会議員・労働者・学生・市民、及び批准そのものに反対する国内左翼勢力が参加した日本史上最大規模の政治闘争であった。国会議事堂の周囲をデモ隊が連日取り囲み、傷害事件・放火事件・器物損壊等が日常茶飯事であった。その中心となっていたのが、急進派学生が結成した『共産主義者同盟(ブント)』が主導する『全日本学生自治会総連合(全学連)』。「安保を倒すか、ブントが倒れるか」。彼らが“行動”に出る時、そこには必ずと言っていいほど、自らの思想を掲げる“犯行声明”があった。先鋭的な創作活動を続け、嘗て『“全学連”研究 革命闘争史と今後の挑戦』(青年書館)を上梓した著作家の本橋信宏氏に、当時を振り返ってもらった。 (聞き手/編集プロダクション『V1パブリッシング』 左文字右京)

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――1960年代から1970年代には、左翼による過激な事件が相次ぎました。思想的な事件と犯行声明は切っても切れませんが、『よど号ハイジャック事件』の「…最後に確認しよう。われわれは明日のジョーである」なんて、今考えると非常に現実離れしている感覚があります。当時の社会は、どういう風にこの事件を受け止めていたんでしょうか?
「政治的運動体になると、必ず犯行声明がありますよね。但し、よど号事件に限ってだと、日本初のハイジャック事件ですから、私たちもよくわからなかったですね。実行犯はブントの赤軍派です。赤軍派の塩見孝也議長も後に仰っていましたが、実行メンバーは飛行機に乗るのも初めてで、まるでバスや電車に乗る感覚だったそうです。取り敢えず空港に行って、“次の便1枚”って感覚。だから、乗り遅れて一度失敗しているんですよ(笑)」

――本当は3月27日に決行する筈が、メンバーが時間通りに集まらなくて、結局、31日に延期しています。司令塔である塩見議長が直前に逮捕されて、もう後が無い状態で、しかもぶっつけ本番で犯行に臨んだ訳ですが、逆にそんな状態でよく北朝鮮に亡命できましたね。しかし何故、彼らはそんな犯行を思いついたんでしょう?
「塩見議長の唱えた“国際根拠地論”に基づいているんですね。『革命を進めるには日本だけじゃダメで、世界各国でブロックを作って、そこを拠点に革命戦争を起こす』という計画。本当はキューバに行きたかったんだけど遠過ぎて、だから北朝鮮なんだと。結局、逆に向こうでオルグされ、『拉致問題に関与したのでは?』ということで問題になりました。向こうに行った若林盛亮さんたちにもお会いしましたが、随分日本のことに詳しかったですよ。すっかり憂国の人になっておられた」

――国際手配中の皆さんも、『何でもアリ!? よど号のyobo-yodo』でツイッターもしてます。ただ、オルグの関係もあるので、その真意を疑われてしまっていますが…。実際に、実行部隊の赤軍派を含めて、“新左翼”とか“全共闘”の時代は、「そういう過激な行動を起こす人間が現れるかもしれない」という空気に満ちていた訳ですね。
「先ず、60年安保で闘ったのは日本共産党と社会党、そしてブントでした。『先の大戦は先進資本主義国同士が引き起こしたもの。平和を実現する社会主義・共産主義国家建設には、暴力革命でしか辿り着けないのだ』とブントは主張していました。後にタカ派に転じた闘士もいましたが、ブントで挫折して、そしてその中の一部が革共同(革命的共産主義者同盟)に流れて、中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)・革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)等に分派していきます。そして、70年安保の“新左翼”と呼ばれた時代を迎える訳です」

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賭博の合法化=門戸開放で日本に襲来する“仁義なき戦い”…フィリピンカジノ贈賄疑惑を巡るFBI介入が意味するもの

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年明け早々の1月11日、『ロイター通信』が極めて興味深い記事を配信した。ドナルド・トランプの大統領就任を10日後に控えたこの時期にロイターが報じたのは、日本ではパチスロ業界の最大手企業として知られ、海外カジノ事業展開を狙う『アルゼ』(現在の『ユニバーサルエンターテインメント』)の岡田和生会長が、ラスべガス賭博市場進出の際にタッグを組んでいた嘗ての盟友、“カジノ王”スティーヴ・ウィン(『ウィンリゾーツ』社主)を相手に繰り広げている泥沼の裁判を巡る一風変わった視点からの観察記事である。つまり、裁判そのものではなく、ユニバーサルエンターテインメント(※この社名はありふれていて個性を感じないし、外国企業と勘違いする恐れがあるので、以後、当記事では同社を、その歴史や性格を連想し易い“岡田アルゼ”の略称で呼ぶ)とウィンリゾーツとの裁判の背後で展開していた、 FBIとウィンリゾーツ合作による岡田アルゼのフィリピン贈賄疑惑に対する捜査活動についてのエピソードを扱っていた。

記事の概略は以下の通りである。

2015年4月、岡田vsウィン訴訟に、元アルゼ社員・藤原孝高氏(※当時は岡田アルゼの財務経理部副部長)の宣誓供述書が出たが、これはウィンリゾーツとFBIの合作による、外国での贈賄疑惑事件に対する捜査活動の成果である。藤原氏は、ウィンリゾーツの保安主任であるジェームズ・スターンが、岡田アルゼの内部告発者として知り合った十数名の社員の内の1人。スターンは、内部告発者がFBIの捜査に協力できるようアレンジした。このアレンジ作業に、ウィンリゾーツは10万ドルほど費やした。元々、スターンはFBIの捜査員で、2007年にウィンリゾーツに入社するまで、FBIでアジア組織犯罪の担当主任をしていたベテランである。2012年3月に、岡田アルゼの社員がスターンに接触して内部告発を行った。同年11月にはスターンが東京に出向き、藤原氏に会って「FBI捜査に協力する意思があるか?」と確認を取り、快諾を得た。その結果、藤原氏と彼の同僚・小坂敏彦氏をサンフランシスコに向かわせ、現地でFBIの捜査員と面会させた。同年、ウィンは「岡田がフィリピン政府の賭博取締当局に賄賂を使って饗応接待をした」と主張し、岡田をウィンリゾーツの取締役会から追放すると共に、彼を相手に民事訴訟を起こした。スターンがFBIへの証言者として面会をアレンジした岡田アルゼ関係者は11人ほどいるそうだが、岡田vsウィン裁判で陳述したのは今のところ、藤原氏だけだ。アメリカ企業が外国で賄賂を使えば刑法犯罪になる(※だから、「ウィンは、自社取締役の岡田がフィリピンで贈賄していることを知るや否や、取締役会から追放した」と推測される)。尚、岡田自身は「非合法なことはしていない」と贈賄を否定している。FBIは、こうした法律があるのに、海外での捜査は資金やマンパワーが不足しているので、自ら行うことができない。そうした中、ウィンリゾーツが“適材の人物”スターン氏を使って、FBIと“合同捜査”の陣形を作ったのは極めて異例。但し、このやり方は“係争中の一方の企業がFBIを引き入れて優勢に立つ”という事態を招く恐れがあるので、違法ではないが、倫理的にはグレーゾーンである。実際、岡田アルゼはウィンとFBIの合作に激怒し、これを“産業スパイ”呼ばわりし、今年中にこの件で提訴する可能性もある。

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一記者が見た『朝日新聞社』の歪んだ報道倫理――社内の空気を忖度して記事を捏造、“ジャーナリスト”と“ブンヤ”の違いは何か

20170331 01
「アメリカ人が就きたくない職業の筆頭は新聞記者」――。経済誌『フォーブス』日本版の無料配信記事に、そうあった。アメリカの求人情報サイト『キャリアキャスト』の今年の調査結果だという。去年も記者が最低だった。展望が無いというのだ。調査方法がもっとわかると良かったが、独り作業的職業が多いのは興味深い。実際、記者稼業は、不人気度9位のタクシー運転手に似ている。客がいないか、鵜の目鷹の目で視線を歩道に走らす運転手のように、記者もネタを探して歩く。遠く離れた行き先を言う上客が稀なように、上ネタも減多に無い。ただ、そんな運転手記者の目にも映る会社の風情というのもある。山本七平氏に肖れば、以下は“私の中の朝日新聞”・“一記者の見た朝日新聞社”・“ある異常体験者の偏見”となろうか。割り引いてお読み頂きたい。月刊誌『WiLL』2016年9月号に、『週刊朝日』元編集長の川村二郎さんが、こんな朝日体験を書かれていた(メディア時評『朝日新聞は“君が代”に謝罪しろ』)。国旗国歌法ができる1999年のことだという。その頃、朝日新聞には日の丸と君が代に反対する有名人の意見が来る日も来る日も載り、川村さんは社外の知人から「紙面の作り方がどうかしていませんか?」と言われて、「グーの音も出ない」でいた。そんなある日、「海外の大会で、君が代が始まると、席を立つ観客が多い」というY編集委員の署名記事が載った。その記事なら私も覚えている。川村さんは、「あれって本当かよ?」とY編集委員に聞いた。海外でのスポーツ大会はテレビでよく見るのに、そんなシーンは見たことがなかったからだ。

時評は、こう続く。「すると、こういう答えが返ってきた。『ウソですよ。だけど、今の社内の空気を考えたら、ああいうふうに書いておく方がいいんですよ』。あまりのことに、言葉を失った」。編集委員は朝日の顔である。「ショックだった」と川村さんは記す。Y編集委員の話に比べると救われるが、私にもこんなことがあった。リクルート事件を追っていた1988年、朝日が「大蔵省の宮沢喜一大臣にも未公開株が渡っていた」と特報した。当時、私は週刊朝日編集部にいた(※川村さんは副編集長の1人)。同僚が蔵相の緊急会見を取材し、誌面にねじ込んだ。私は「それにしてもよく数えたな」と、同僚である後輩を労った。会見で何を訊かれても、宮沢氏は「ノーコメント」で通し、「その数、13度に及んだ」と記事にあったからだ。彼は頭を掻いて照れた。「嘘に決まってんじゃないっすか。死刑台の段数ですよ」「えっ、13回は嘘? 実際は?」「7~8回ですかねぇ」。鳥肌が立ちそうだった。その宮沢氏が首相となり、1992年1月に訪韓して盧泰愚大統領との首脳会談に臨んだ。その直前、朝日は1面トップで、「慰安施設に軍が関与していたことを示す資料が見つかった」と伝えた。議題には無かった慰安婦問題が急浮上し、韓国大統領府の発表によれば、首相は大統領に“反省”と“謝罪”を8回繰り返した。「謝罪の回数を公表するとは心ないことを…」と思ったが、ひょっとすると、大統領府は日本で話題を呼んだ週刊朝日製の“13回のノーコメント”を参考にしたのかもしれない。何れにしても、“13回”では宮沢氏に申し訳ないことをした。尤も、人のことなど言えた義理でない。嘘は書かなかったが、“世間や社内の空気”を忖度し、追おうともしなかった事柄が一方ならずある。1990年代半ば、『朝鮮総連』元活動家の知人が友人に会わせてくれようとした件もそうだった。その頃、日朝間で何か問題があると、朝鮮学校に通う女生徒の制服であるチマチョゴリがナイフで切られる事件が続いていた。ある時、知人が吹っ切れたように話し始めた。「あんなことはもう止めないといけませんよ。自分の娘を使っての自作自演なんです。娘の親は、総連で私の隣にいた男です。北で何かあると、その男の娘らの服が切られる。朝日にしか載らないが、書いている記者も私は知っている。夕べ、友人に電話しました。『娘さんが可哀想だ』と。彼は『止める』と約束しました。会いますか?」。私は、「いや、結構です」と即答した。掲載を巡って衝突すれば、社を辞めることになるのも見えている。動悸は続いたが、悲し過ぎる素材で、書かないことに対する自分の中での抵抗は幸い薄かった。それから二十余年。その間、日朝の間には拉致という途方もない事件が明るみに出たが、「朝鮮学校女生徒の制服が切られる」という記事は見ずに済んでいる。

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アマゾン、生活必需品のインフラへと大転換進める――アメリカの先進事例、いずれ日本へ

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台所でもリビングでもトイレでもいい。家のどこにいても、スマートフォンもパソコンも不要。思い立ったその瞬間に注文できる――。『アマゾンジャパン』(東京都目黒区)が今月5日に発売した『ダッシュボタン』(左画像)は、買い物の手間を極限まで省く小型端末だ。Amazonプライム会員向けに実質無料で提供する。ボタンは、『サントリー』・『カルビー』・『花王』等著名メーカーのブランド毎に40種類以上。『サントリー』の天然水のボタンなら“550ミリリットルボトル24本セット”・“2リットルボトル2箱”等、サイズや量を最初にスマートフォンで設定しておくと、その後はボタンを押すだけで注文できる。「生活必需品の入手は“買い物”ではなくて“作業”だ」。アメリカの『Amazon.com』でダッシュボタン事業を担当するダニエル・ラウシュ氏は語る。定期的に買う消耗品ならば、店舗に態々足を運んでパッケージや値段で品定めをする意味は薄い。寧ろ、“使いたいのに手元に無い”事態を防ぐほうが重要との考えだ。昨春に先行発売したアメリカでは、直近のボタン経由の注文数が当初の5倍まで増えているという。

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Amazonは近年、消費者の日常的な利用が増えるように、商品やサービスを拡充している。日本で昨年9月に始めた『パントリー』というサービスは、カップ麺1個・洗剤1本といった具合に1個単位で買える。生活必需品の取り扱いは従来、配送効率等の観点から箱単位が多かった。同じく、昨年11月に始めた『プライムナウ』は、発注から最短1時間で商品を届けるサービス。先月には、東京都内の対応地域を23区全体に広げた。書籍に代表されるように、Amazonはニッチ商品を幅広く取りそろえる“ロングテール”の事業モデルで成長してきた。ただ、これだけでは消費者との接点は限られる。生活必需品の取り扱いを増やし、同時にサービスの使い勝手も磨けば、Amazonは毎日のように消費者と接することになる。勿論、購入頻度の高い生活必需品が増えれば、発送業務の負荷は大きくなる。そこで、Amazonは並行して、物流拠点の効率化も急いでいる。神奈川県川崎市にある同社の物流拠点(上画像2枚)。広大な空間を、100台を超える黄色い商品棚がするすると自動で動き回る。向かう先は入荷したコンテナから商品を取り出したり、逆に発送用のコンテナに積み込んだりする作業員の待つ一角だ。同社が今月6日に本格稼働させた『アマゾンロボティクス』は、作業員が倉庫内を歩き回るのではなく、棚が作業員の元を訪れることで、商品管理や発送作業を効率化する。人力では数時間かかることもあった出荷作業も、「早ければ数分で完了する」(アマゾンジャパンでオペレーション技術を担当する渡辺宏聡氏)。国内導入は川崎市の拠点が初めて。今後、他拠点への展開も順次検討する。

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実録・“ヤクザの子”として生まれて――暴排条例施行下で生活するヤクザの子供たち

暴排条例施行以降、ヤクザに対する締め付けは強まるばかりだ。その影響は家族にも及び、親がヤクザというだけで不利益を被るケースも多いという。今、ヤクザの家族はどんな状況に置かれているのか。2人の当事者を直撃した。 (取材・文/フリージャーナリスト 鈴木智彦)

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ヤクザも人の親である。その息子・娘だって人の子だ。両者の間にある特殊な事情は、“父親がヤクザ”という点だけである。親は親、子は子であり、過去、愚連隊の有名人の息子が検事になったり、ヤクザの息子が教師になったりした例は、枚挙に暇が無い。最近の警察は「二親等の血族に現役暴力団員がいると合格できない」としているらしいが、どうみても差別に他ならない。とはいっても、現実は理想論で動かない。正確に記すならケースバイケースである。暴力の信奉者らしく、親であるヤクザが学校に乗り込み、当人にその自覚は無くても、教師を恫喝する例だってある。ヤクザの自己申告は極めて自身に都合よく湾曲していて、マスコミは実例を確かめずに、ヤクザとその家族の人権を、まるで鬼の首を取ったかのように叫びがちだ。左翼とヤクザは、“敵の敵は味方”という論理によって融合し易い。極端な例を全てと思うのは危険だろう。

最初に取り上げるのは、西日本に住むヤクザの息子である。19歳になった今は、強盗致傷で少年院に収容されている。この青年と知り合ったのは中学生の頃だった。「人間、馬鹿が最高。好きな漫画は“浦安鉄筋家族”。夏休みになったら、海パン一丁で学校に行きたい」。子供らしさが存分に残った笑顔は、本当にどこにでもいる中学生といった風情だった。高校受験を控えた頃、彼と“ヤクザの子供として生まれ、生きること”について語り合ったことがある。煙草を吸い、酒を飲みながらの取材になったのは、父親であるヤクザ組織幹部から「学校でやるくらいならうちの中だけでやれ」と叱られ、家庭の教育方針に口を挟めなかったからだ。「特段、どうということはないですよ。周りも知っているし、先生もわかっている。刺青を見てもどうも思わない。苛められたことも無いし、うちのお父さんがヤクザだなんて威張り散らしたら馬鹿です」。目の前の酒と煙草を除けば、言っていることは大層真面だった。が、話しているうちに、ヤクザの常識が彼の中にそのまま根付いていることに気付かされた。「やられたらやり返さなきゃ舐められる」。その後、彼は地元の工業高校に入学し、1年余りで中退した。退学後も、彼とは時々会った。実父である父親に会う度に、彼が今、何をしているか尋ね、食事の際は同席してもらうよう頼んだ。母親は看護師で、堅い仕事である。ヤクザの姉さんチックな華美さは無く、腰も低いし、社会性もある。ただ、籍は抜いてある。暴排条例以降、行政がヤクザの家族に対して補助や手当を出せなくなったからだという。息子は、そんな両親の気苦労を知らないというより、意識していないようだった。「アニメの仕事に就きたいんです。主題歌とか好きなので」。相変わらず呑気な夢を語っていた。「ならば、東京に来たらウチに泊まってくれ」と申し出ても、彼は一向に上京しなかった。そして、彼との交流は寸断された。先程、“強盗致傷”と書いたが、これは俗にいう“カツアゲ”のことだ。街を歩いているオヤジに因縁を付け、殴ってカネを奪って捕まった。ヤンキー・不良漫画でよくあるこの行為は、今の世の中で決して許されない悪行であり、その代償は大きい。「俺が若い頃なら、こんなもん事件にもならなかった」。父親の感覚を“暴力に毒されている異常者”と断じるのは、正直、適切なのか悩む。逮捕されたことを知って、こちらはもっと面食らった。両親は、明らかに普通の教育をしているとしか思えなかったし、大人しく素直で、優しい子供というイメージしか無かったからだ。ただ、思い返せば引っかかることは多々あった。「クラスメイトが喧嘩をふっかけてくるなんて無いです。そんな馬鹿はいないですよ」。さらっと流してしまった台詞の中に、ヤクザの息子だけが持つ優越感が存在していたのに、先入観と見かけで欺かれたのだ。父親は「アイツにヤクザをやる根性など無い」と一刀両断するが、その見立てには頷けない。息子の言動は、一般的なガキの頃のヤンチャな思い出を遥かに超越している。

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