【2017衆院選・課題を追う】(02) 北の核、身守る個人

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相次ぐ北朝鮮のミサイル発射や核実験を受け、嘗てなく緊張が高まっている。「対馬にとって、半島情勢は遠い話じゃない」。今月8日、約50㎞先の釜山の街並みが霞んで見える長崎県対馬の展望台で、早田吉夫さん(87)はぽつりと漏らした。朝鮮戦争が始まった1950年初夏。早田酸は対馬北端の海栗島で、今も航空自衛隊の分屯基地として存続するアメリカ軍レーダー施設の建設作業員として働いていた。汗だくで資材を運んでいると、時折、対岸の韓国南部に爆撃機が近付いていることを知らせる空襲警報が鳴った。防空壕へと逃げ込み、茹だるような暑さの中、ひたすら警報が鳴り止むのを待った。「異常な状況だった。戦争は本当にばからしいことだ」。早田さんは思う。 北朝鮮は昨年以降、ミサイル発射を繰り返し、先月には6回目の核実験も強行した。半島有事は、対馬の住民には、より現実感を持って迫る。早田さんは「その時、対馬は無関係ではいられない。なのに、日本はあまりにも無策だ」と語り、選挙戦で安全保障が活発に論じられることを期待する。神戸市須磨区の住宅街にあるモデルハウスでは、家庭用の地下核シェルター(※約20㎡・左画像)の見学者が後を絶たない。「広島の原爆と同じ爆弾が投下されても被害を受けません」と、シェルターを手がける『織部精機製作所』(兵庫県神戸市)取締役の織部信子さん(73)は言う。仕様は、家庭用核シェルターが普及しているスイスの基準に従った。重さ1トンの頑強な扉に、厚さ約50㎝のコンクリート製の壁。1坪あたり約240万円と安くはなく、これまで注文は年間1~2件だった。それが今年は、既に約100件に達したという。

和歌山市の元高校教諭・畔取義彦さん(75)は、北朝鮮の移開発の動きが報じられていた2013年、大阪の業者に依頼し、約700万円かけて自宅敷地内に12㎡のシェルターを設置した。「自分の身は自分で守りたい。でも、シェルターの技術開発を促したり、設置に補助制度を設けたりと、国の政策でできることはある筈だ」と話す。海外では、ノルウェー等が公共の地下駐車場を頑丈に整備し、シェルターにしている例もある。織部さんは、政治にこう注文する。「万が一に備えた議論から逃げないでほしい」。今年8~9月、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは2度に亘り、北海道上空を通過した。政府は全国瞬時警報システム『Jアラート』を作動させ、国民に警戒を呼びかけた。各地でミサイル飛来を想定した避難訓練が行われているが、「いざという時、どこに逃げればいいのか?」との戸惑いもあり、模索が続く。山口県阿武町の奈古地区で今年6月に行われた訓練では、小学校の校庭にいた児童や住民が、発射を告げる放送から3分で体育館へと駆け込み、他の住民も町役場に避難した。しかし、参加した同町の東方自治会長・小田利春さん(65)は、「1回だけの訓練では中々実感が掴めない。本当にミサイルが飛んできた時、どう対処したらいいのか、多くの住民がわからないままなのでは」と不安が拭えないでいる。山形県酒田市は避難先として、公民館や学校等と共に、立体交差道路の下やコンクリート製の橋脚の傍等を示す。6月にあった訓練で、実際に立体交差道路の下に駆け込んだ建設会社役員の大場昇悦さん(57)は、「公民館等の避難場所が都合良く近くにあるとは限らない。上手く対応できた」と振り返りつつ、「本当にこれでいいんでしょうか?」と複雑な胸中も明かした。「各党には、具体的な身の守り方にも触れてほしい。そうでないと心構えもできないですから」。北朝鮮対応についての各党の主張は、圧力と対話の力点の置き方に違いがある。自民党は「圧力を最大限に強化」、希望の党と立憲民主党は「対話の為の圧力」、日本共産党と社民党は「対話による平和的解決」と唱える。一方、公明党は「対話と圧力」、日本維新の会は「国際社会と連携」、日本のこころは「敵基地攻撃能力の保有」を掲げている。ミサイル落下を想定した具体的な避難方法や身の守り方についての議論は低調だ。


⦿読売新聞 2017年10月13日付掲載⦿
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暴排条例は漫画表現をも殺す? ヤクザコミックが書店・コンビニの本棚から消える日

コンビニの本棚等で静かに売られているヤクザコミック。数々の抗争や、親分の伝記、裏社会のシノギ等をテーマにし、ヤクザ以外にも熱心なファンがいる。そんな作品たちが今、絶滅の危機に瀕しているという。 (取材・文/フリーライター兼編集者 鈴木長月)

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2011年10月までに、最後に残った東京都・沖縄県を含む全都道府県へと波及した暴力団排除条例、所謂“暴排条例”の施行は、取材対象・売れ筋ジャンルの1つとしてヤクザを積極的に扱ってきた出版業界にとっても、とりわけ大きな“事件”であったと言っていい。何しろ、2009年12月には、翌年4月に条例の施行を控えた福岡県の県警本部が、県内のコンビニ各社に対して、暴力団関連の“有害”なコミック73冊、月刊誌3冊の計76冊を店舗から撤去するよう“要請”するといった、異例の事態となったのだ。当局から名指しされた73冊全てのヤクザコミックの版元であった『竹書房』を始めとした中堅の出版各社は、この時点で既に書店を超える市場規模ともなっていたコンビニ戦略の大幅な見直し――売れ筋としてのヤクザとの訣別を、俄かに迫られることになったのだ。因みに、ここでのヤクザコミックとは、コンビニ各店の書籍・雑誌売り場に現在もあるペーパーバック、所謂“廉価本”のコーナーで、一時期、かなりの面積を占めていたヤクザを題材にしたコミック本のこと。“実録”や“流血抗争”といった過激なキーワードと共に、山口組を筆頭とする実在の組織・人物を描いたそれらは、折からの出版不況に苦しむ当時の各社にとっても、ある程度の利益が確実に見込める優良コンテンツだったという訳だ。では、暴排条例が出版業界に齎した影響とは、実際問題、どれほどのものだったのか?

ヤクザ関連の出版物を長年手がける東京都内の編集プロダクション代表・A氏は、当時の状況を次のように解説する。「福岡の件については、原作者の1人でもあった作家の宮崎学さんが、県に対して損害賠償を求める訴えを起こしたりもしましたが(※2014年7月に最高裁で原告敗訴確定)、業界全体としては粛々と受け止めたというのが正直なところ。あれ以降、何らかの圧力があったという話も聞きませんから、あくまでも流通を握るコンビニの顔色を窺って、各社が自主的に撤退したというのが実情だと思います。なお、当局から名指しされた竹書房については、後に部署もろとも解散していますが、同社にそこまでの決断をさせたのは、実は警察ではなく銀行のほう。要は、融資を受けるにあたって、“ヤクザもの”を扱っていることがコンプライアンス違反とされたんです。竹書房といえば、音からそっち系のジャンルにはイケイケな会社。若しも無借金経営であれば、未だに手を替え品を替えしてやっている筈ですよ」。無論、コンビニの規制が厳しくなったのは、A氏の中にも実感としてある。だが、「現実問題としての彼らの本音は、表向きの建前とは別だ」とA氏は言う。「彼らも商売でやっている訳ですから、本音の部分では僕らと一緒。極端なことを言えば、“売れればOK”な訳です。その証拠に、“6代目山口組”や“司忍”といった国有名詞が表紙に毎週デカデカと躍る実話系週刊誌なんかは、今も変わらず店頭に並んでいますし、近年でも“実録 六代目山口組対神戸山口組”(※2015年・メディアックス)等といった、そのものズバリなヤクザコミックも扱っている。抑々、現在進行形の事象はれっきとした“報道”ですし、過去の抗争事件を描いたものは三国志なんかと同じ“歴史もの”。そういう大義名分がしっかりありさえすれば、売ること自体に何ら問題は無いんです。まぁ、ああやって当局がアクションを起こした以上は、コンビニの側も表立っては言いませんけどね(笑)」。だとすれば、山口組の分裂騒動が起きた2015年等は、ヤクザコミックにとっても大きな商機。先にも挙げた実話系週刊誌が軒並み部数を伸ばしたことを考えても、ノウハウを持つ各社が殆ど触手を伸ばさなかったことには疑問が残る。コミック市場に詳しい元実話系コミック誌編集長・B氏の見解はこうだ。「それはもう単純に、費用対効果が低いという判断だと思います。コンビニ廉価本の棚は、現状でも既に飽和状態ですし、中小の版元が新規でそこに割り込むのは至難の業。実際には、セブンイレブンを始めとした大手3社に扱ってもらえなければ、たとえ2次使用原稿を寄せ集めたアンソロジー的なものであっても、とても採算は合わないというのが現実でもある訳です。だから、ヤクザコミックについては、暴排条例のせいで衰退したというより、ジャンル自体が頭打ちになってきたところに、丁度お上からの横槍が入ったというほうが実は正しい。当局の動きが、『そろそろどうかな』と思っていた各社に“踏んぎり”をつけさせたんですよ」。

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【しばき隊・連鎖する暴力】(01) M君リンチ事件“隠蔽”関係者は今①…師岡康子弁護士は無責任な完全取材拒否

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本誌取材班は、M君リンチ事件隠蔽と関わりがあると思われる関係者への“再度のご質問と取材申し込み”を送付し、2017年3月21日正午までにファックスでの回答をお願いした。しかし残念なことに、全員、期限までに回答は無かった。それならばと同27日、電話での取材を試みた。『ヘイト・スピーチとは何か』(岩波新書)の著者である師岡康子弁護士は、しばき隊界隈でも一ランク上の存在と見られ、軽率な行動は取らない。取材班の携帯電話に出た師岡は、揚げ足を取られぬように慎重だった。しかし、どこから自身の携帯電話の番号を入手したのかについての不安感を覗かせていた。本誌には様々な情報入手ルートがあることに、若干の恐怖心を抱いているような声であった。だが、2013年に師岡弁護士は、ことヘイトスピーチ問題に関してはバイブル的な同書を世に出しており、有田芳生議員やフリージャーナリスト・安田浩一氏との交流もある。M君リンチ事件を知らない筈はなく(※仮に知らなかったとしても、弊社刊『ヘイトと暴力の連鎖』・『反差別と暴力の正体』を送付しているので、一瞥はしている筈だから、我々は知っていると推認している)、故に「完全な取材拒否であった」と考えるのが妥当だろう。公権力が被疑者を取り調べる際には“黙秘権”が保証されているが、民間の出版社からの質問を無視することは、師岡弁護士において、この問題に関しては自らが世に問うたヘイトスピーチに関連して発生した事件について、口を閉ざし、責任を放棄するものであり、無責任の誹りを逃れないだろう。

「はい、もしもし」
――お邪魔致します。師岡先生の携帯電話で間違いございませんでしょうか?
「はい、師岡です」
――お忙しいところを申し訳ございません。先生に鹿砦社から郵送で“ご質問”を送らせて頂いていると思うのですが、ご覧頂きましたでしょうか?
「あの~、この携帯電話番号はどちらで聞かれたんでしょうか?」
――取材の情報源は秘匿しなければいけないので、申し訳ございませんがそれは申し上げられません。
「あぁ、そうですか」
――はい。
「ちょっと、あの~対応する気はありませんので」
――(“ご質問”は)ご覧は頂いているのでしょうか? 郵送したものは。
「それについてもちょっとノーコメントで」
――レターパック便で一応送らせて頂いておりますので、こちらで届いたという記録は残っているのですけれども(※レターパックは質問者の誤認で、正確には普通郵便)。
「えぇと、あの~私のほうでちょっと対応する気がありませんので、失礼します」
――対応なさるおつもりが無いと…。 (聞き手/本誌特別取材班)


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コンビニに成人雑誌は必要か? カバーかけ実験は頓挫

20171017 12
青少年の健全育成の為に、コンビニ売り場の成人雑誌をカバーで覆う──。今夏実施予定だった千葉市の事業が、関係者の同意を得られず頓挫した。老若男女が訪れる社会インフラを自任するコンビニにとって、避けられない課題となりそうだ。「取り組みの意義は、どのチェーンにも理解してもらえたと思う。だが、どう実施するかで折り合いをつけられなかった」。千葉市健全育成課の担当者は悔しがる。予定していたのは、コンビニエンスストア売り場の成人向け雑誌にビニールのカバーを被せ、表紙の扇情的な写真やイラストが購入客以外の目に触れ難くする取り組み。市の今年度予算に、カバーや告知ステッカー代として約39万円を計上。『セブンイレブンジャパン』に協力を要請し、8~9月に市内12店で実施する計画を立てていた。何故、実現しなかったのか? コンビニの主力商品は食品だ。購入客層が限られる成人雑誌は、決して売れ筋とは言えない。ただ、成人雑誌はそれ自体単価が高く、購入客の多くが他の商品を“ついで買い”してくれる旨みもある。食品のような厳格な消費期限が無い為、在庫管理の手間も少ない。

複数店舗を経営するある加盟店オーナーは、成人雑誌について「立地にもよるが絶対外せない商品」と話す。千葉市の施策は、売り場から成人雑誌を排除する訳ではないが、商品の顔と言える表紙を隠すことは確か。販売減を懸念する声が想定以上に多かった模様だ。雑誌が、コンビニの通常商品とは異なる経路で流通する構図も影響したとみられる。コンビニでは、食品や日用品等の一般的な商品は、加盟店が数量を決めて発注する。だが、「雑誌の場合はコンビニであっても、書籍の取次会社が過去の実績を基に納本数を決める」(業界関係者)。売れ残りは返本できる等、在庫リスクは原則として出版業界側が負う。成人雑誌はコンビニにとって、店舗での取り扱いを自らの判断だけで変え難い商品なのだ。成人雑誌の表紙をカバーで覆う取り組みは、千葉市が初めてではない。昨年3月には、大阪府堺市が『ファミリーマート』と連携。約80店舗での実施を目標に掲げ、2016~2017年度で計150万円の予算を計上した。だが、実施店は先月末時点で11店に留まっている。インターネットの普及により、成人向けのコンテンツは書店に足を運ばなくても入手・閲覧できるようになった。だが、見たいと思う人が閲覧できるインターネット上の成人向けサイトと違い、コンビニの場合は見たいと思っていない人の視界にも入ることがある。日本を訪れる外国人の数は右肩上がり。2020年には東京オリンピックの開催も決まっている。千葉市の熊谷俊人市長は、コンビニに成人雑誌が並ぶ現状について、「国際的な感覚に照らしても疑問を持たれかねない」と強調する。若い世代の男性を主要顧客に抱えて成長したコンビニ業界だが、既に女性の来店比率は高まっている。老若男女が訪れる“社会インフラ”を自任するからには、千葉市や堺市のケースを材料に、成人雑誌の取り扱いについて業界を挙げて議論すべき時を迎えている。 (取材・文/本誌 藤村広平)


キャプチャ  2017年10月16日号掲載

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【昭和&平成放送禁止大全】(06) 故意か偶然か…“炎上CM”の陰に企業側の都合が見え隠れ

20171017 10
テレビというメディアの発展と共に、星の数ほど生み出されてきた企業CMの数々。テレビ離れが叫ばれる昨今だが、まだまだ我々の目に触れる機会は多い。しかし、有名企業が巨額を投じて制作し、更に番組のスポンサー料を払ってまで放送にこぎつけたにも拘わらず、ちょっとしたきっかけで放送禁止になってしまうのが、この業界の怖いところだ。最近でも、2017年4月2日に公開を開始した『三ツ矢サイダー』のCMが、トランペットを吹く女性に後ろからぶつかるのが危険と、僅か1日で自粛することになった。神木隆之介と芳根京子という句の俳優を起用し、『アサヒ飲料』も歴史ある主力商品のCMとして力を入れていたのだが、どこかのお節介な楽器経験者の一言で、その努力も時間もお金も、まさにサイダーの如く水の泡という訳だ。大企業が莫大な宣伝費をかけるCMで、どうしてこれほど放送禁止作品が生まれるのか? 幾つかの実例を挙げて分析していこう。例えば、2007年に広末涼子が出演した『からだ巡茶』(『日本コカ・コーラ』)のCMは、「ブラジャーが透けるほど…」という台詞が不快だとするクレームがついて差し替えとなった。敢えてドキッとするようなフレーズを狙ったようだが、それが裏目に出てしまったのだ。実は、1つ前のバージョンでも、CM内で使用した“浄化”という言葉が薬事法に抵触する恐れありとして差し替えになっており、それで却って話題となった。連続した差し替え騒動を受け、巷では「“炎上商法”として態と問題を起こして話題作りをしたのではないか?」とも言われている。実際、こうした炎上商法的な認知度アップの手法は昔から存在し、『ACジャパン』のCMが不快として自粛されることが多いのも同じパターンだろう。

敢えて普通はやらないような“外した”、或いは“異様な”表現を多用し、他のメディアに取り上げられることで、CMのインパクトを高めるのが目的なのだ。『渋谷ゼミナール』等は、「おちたぞ、おちたぞ、みんなおちた、おちたら渋谷ゼミナール」と連呼。あまりの露骨な煽りに、トラウマになった受験生も多かった。他にも、浅野忠信が男性を追い回しながら「カラープリンターといえば何?」と執拗に聞き続けるシーン等で自粛と差し替えを繰り返した『富士ゼロックス』のCMも似たような例だ。椎名桔平をフルチンにして“ラ族”とする等、矢鱈と自粛CMを量産してきた『日清食品』も、故意にせよ偶然にせよ、炎上商法を得意とする大企業と言える。また、別のパターンとして、特定の層をターゲットに絞り込んだマーケティングの結果、それ以外の層にとっては不愉快と感じられてしまうケースがある。人気アイドルグループ『AKB48』のメンバーが、ソフトキャンディーを口移しでリレーしていく『ぷっちょ』CM(『UHA味覚糖』・2010年8月)等は、その典型だろう。あまりにも抗議が殺到してアニメへと差し替えられたぐらいだ。ターゲット層のファンにすれば至福の映像かもしれないが、女性同士の同性愛的なイメージを連想せずにはいられない以上、少なくとも当時の日本の価値観においては、お茶の間が気まずくなるタイプのCMだったと言える。同様に、『大塚食品』の『MATCH』(2009年)では、タレントの南明奈が「大人が飲んだら逮捕だぞ!」「高校生しか飲んじゃダメ!」と言い放ち、除け者にされた大人たちから抗議が殺到。やはり差し替えとなった。MATCHは高校生世代をターゲットに開発された商品。社員が真面目に仕事をした結果、こちらも炎上してしまった訳だ。更に、これは裏話になるが、放送禁止になるようなCMが生み出される原因として、業界人が「これが一番多い」と指摘するのが、お偉いさんの“鶴の一声”である。言うまでもなく、CMには莫大な予算が組まれる。テレビCMともなれば、当然、宣伝部を超えて取締役会での決裁が必要となる。そこでお偉いさんがしゃしゃり出てきて現場に介入。あれこれとロ出しする。現場に口出しするのはワンマンなタイプと決まっている。周囲も止めることができず、「妻子が言っていた」やらホステスから聞き込んだと思しき情報で、いい加減な指示を繰り出し、その果てに「一体、何を考えて作ったんだ?」というトンデモCMが世に出てしまうという漫画かドラマのような展開が、現実に起こっているらしいのだ。 (取材・文/フリーライター 西本頑司)


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【2017衆院選・課題を追う】(01) 残業190時間…「限界」

突然の衆議院解散や新党結成による野党再編で、今回の衆院選は公示前から激動が続いた。政策論争は埋没しがちだが、日本には難問が山積している。長時間労働・北朝鮮ミサイルの脅威・子育て支援…。社会が直面する課題の現状を報告する。

20171017 09
上空から望むと、巨大な楕円形の骨格が既に姿を現していた。2020年東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設現場。クレーンが林立し、鉄骨の組み立てが急ピッチで進む。騒音防止等の為、高い壁に囲まれた現場について、「“堀の中”って呼んでいました」と元請けの『大成建設』元社員が振り返った。「働き方改革なんて“堀の外”のことで、僕らには関係なかった。オリンピックという国のプロジェクトの足元で、あんな過重労働が横行していたなんて…」。ここで働いていた1次下請けの新入社員の男性(当時23)が失踪したのは、今年3月のことだ。地盤改良の現場監督を務め、工事の進行状況のチェックや翌日の段取り等、慣れない仕事で徹夜することもあった。失踪前1ヵ月間の残業は約190時間。4月に遺体と共に見つかったメモには、「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と記されていた。労働基準監督署は今月6日、男性の自殺を労災と認定した。作業員らによると、自殺後、現場には“残業は午後8時まで”と掲示されたという。ただ、2019年11月の完成予定はそのままで、「残業が制限されても、どこかに皺寄せが行く」と嘆きの声も漏れる。政府は働き方改革関連法案で、時間外労働に罰則付きの上限を盛り込む方針だ。ものつくり大学の三原斉教授(建築生産学)は、「無理な工期や予算が過重労働を生むことを、政治家は勿論、社会全体で理解すべきだ」と求める。

「企業が多様な働き方を認めて、1人ひとりの負担を減らす社会にならなければ」――。長時間労働や過労死をテーマに講演活動を続ける大分市の野本幸治さん(75)は、こう訴える。システムエンジニアだった次女(当時31)は2007年4月、心臓疾患で亡くなった。同年2月の時間外労働は127時間に及び、その後も仕事で徹夜することがあった。労災認定を受けたが、責任を認めなかった次女の勤務先とは訴訟になり、和解で決着した。次女の死から10年。大手広告代理店『電通』の社員やNHK記者ら、長時間労働の犠牲になる人は後を絶たない。「命より大切な仕事は無い。社会は本質的に変わっていないのではないか」。野本さんは疑問を投げかける。一方、運輸業やサービス業では、改革の動きがじわりと広がっている。『ヤマト運輸』は今年6月、ドライバーの休憩時間確保の為、時間帯指定配達の内、“正午~午後2時”を廃止した。飲食店『ロイヤルホスト』は、今年1月までに全国221店舗で24時間営業を止めた。今年上半期の平均営業時間は15.5時間で、前年より1.3時間減ったが、売り上げは1.3%増えた。同社戦略企画室の小池真一郎課長は、「従業員の負担が減り、サービスや調理の質が向上したのも一因」と話す。長時間労働是正と共に、政府の働き方改革で柱の1つとされてきたのは、同一労働同一賃金だ。大阪府吹田市の郵便局で契約社員として働く岡淳志さん(53)は、雇い主の『日本郵便』を相手に、正社員との格差是正を求める訴訟を大阪地裁に起こしている。同様の訴訟の判決で、東京地裁は先月、年末年始勤務手当等が契約社員に支給されないのは違法と判断した。岡さんは、「正社員と基本給が違うのはわかるが、同じ仕事に対する手当は同額であるべきだ」と主張する。衆議院解散で、働き方改革関連法案の審議を先送りした政治への視線は厳しい。「選挙では誰と誰が組んだという話ばかりで、働き方の議論が置き去りにされている。雇用形態に拘わらず、体を壊さず働き、生活できる社会を実現してほしい」。岡さんは、そう願う。働き方改革を巡っては、多くの党が長時間労働の是正や規制等を掲げている他、同一労働同一賃金の実現にも前向きな姿勢を示している。政府は、高い専門知識が必要な職種について、成果で賃金を決める“脱時間給制度”も設ける方針だが、日本共産党や社民党等は反対している。


⦿読売新聞 2017年10月12日付掲載⦿

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姦通罪の恐怖から騙すのは簡単だった? “美人局”がヤクザのシノギになるまで

ヤクザのシノギとして定着する以前、日本ではいつ頃から美人局が行われていたのだろうか? ここでは、その歴史を紐解いてみたい。 (取材・文/本誌 高橋ダイスケ)

20171017 08
美人局――。美女といい感じになって、いざ事に及ぼうとしている途中、若しくは事後に怖い人が現れて、「俺の女に何しとんじゃあ! 誠意! 誠意!」のアレである。ヤクザの伝統的なお家芸とも言える美人局だが、一体いつ頃から常套手段となっていたのだろうか? 抑々、“つつもたせ”の“つつ”はサイコロ博打で使う筒のことで、イ力サマをする際に“細工した筒を使う”ことから、使われるようになったと言われている。主に人を騙す行為、“詐欺”に対して使われていたという考え方が一般的で、実際に“筒持たせ”と書かれていた。では、“美人局”という字がどこからきたのかというと、南朝時代の中国の書『武林旧事』で、男女関係の詐欺行為を“美人局”と書いていたことから、当て字として使われるようになったという説が有力だ。では、日本で美人局が行われるようになったのはいつ頃か? 『実録!!戦国時代ミステリー』(双葉社)等の著者で、歴史研究家の跡部蛮氏は、こう解説する。「信長公記によると、天正9(1581)年には既に“つつもたせ”という言葉が使われていたようです」。『信長公記』とは、織田信長の旧臣・太田牛一によって書かれた一代記である。その書の中に美人局に関する記述がみられるという。「同書によれば、この頃には既に一般的な賭場での詐欺行為では、女性絡みの詐欺行為をつつもたせ(※以下“美人局”)と言っていたことがわかります」。記されていた内容とは、次のような出来事だ。天正9年12月5日の雨の夕暮れ時、野尻湖近くの東善寺という寺に若い女が駆け込んでくる。そして、延念という住職に「雨宿りさせてほしい」と願い出るが、寺という場所柄、女性を寺へ上げる訳にはいかず、延念は女の願いを断る。

しかし、女は軒下で勝手に焚き火を熾して暖を取り始めてしまう。延念が追い出せずにいると、どこからか男たちがやって来て、「出家の身で女を上げるとはけしからん!」と金銭を要求したという。しかし、何の後ろ暗いこともない延念はお上に訴え、この男たちは引っ捕らえられることに――。当時の時代背景を考えれば、女性が1人、夕暮れ時に寺を訪れて雨宿りをするというシチュエーションは考え難い。この女と難癖を付けてきた男たちがグルだったことは、先ず間違いないだろう。肉体的な行為は無かったが、「現在の美人局と同様の行為と言えるのではないか?」という話だ。では、この男たちはどのような連中だったのか? 「彼らは、野武士等に類する者たちであろうと思われます。天正18(1590)年に浪人停止令が発せられ、野武士が生業に就かなければならなくなり、それができないと村を追い出されてしまうという状況になりました。村を追われた浪人たちは、軈て香具師(=野士)になります。彼らの中には、毒薬や毒物を密かに売ったり、人攫いをしたりと悪さをする者も多く、現代のヤクザとほぼイコールの存在でした。文献にはあまり残っていませんが、そうして後に野士となる者たちが、悪事の一環として美人局を企てていたと考えられます」(同)。現代ヤクザの“祖”となる野武士たちの成れの果てが、所謂“シノギ”として美人局を行っていたことになる。しかも、現在と比べて姦通罪はとてつもない重罪とされ、姦通した2人の体を重ねて4つに斬るのが決まりとされる等、「罪人は切り捨てられて当然である」という風潮が強かった。その為、口止め料を支払うことは当然と言えば当然。殺人事件の現場を押さえられて、脅されているも同然な状況である。「“間男は 七両二分と 値が決まり”という江戸時代初期の川柳があります。礼銭という名目の示談金をそれくらい支払うのが相場だったということですが、当時の1両は現在の貨幣価値で約10万円。かなりの大金ですよね。それだけ重罪だったのです」(同)。ところで、江戸時代の美人局の記録は殆ど文献には残されていないという。「被害者の男性が礼銭を支払って解決、つまり示談で処理しているので、姦通罪の事例として上がってきていないだけではないかと思います。その為、具体的な事件が後世に伝わっていないとも考えられます」(同)。重罰に処される“姦通”は、場合によっては脅され、口止め料を支払ってまでして収めていたからこそ、七両二分という示談金の相場が慣例として広まったのであろうし、その結果、多くは表沙汰にはならなかったとの見方もできる。それこそ、美人局という犯罪が“機能”していた証左ともなるだろう。とすれば、暴対法により厳しくなったとはいえ、現代ヤクザの美人局は、昔から変わらず体面や面子を気にする人たちをターゲットに行われているのではないだろうか? 時代は変われど、シモの事情はあまり変わらないのかもしれない。


キャプチャ  別冊第5号掲載

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【ニッポン未解決事件ファイル】(31) 東電OL殺人事件(1997年)――東電OLを殺害逃亡、真犯人は巣鴨に?

1997年3月8日深夜から9日未明、『東京電力』の女性社員が渋谷区円山町にあるアパートで殺害された。彼女は売春婦として体を売っていたことで、報道は過熱。ネパール人男性が逮捕・収監されたが、後に冤罪として釈放された。 (取材・文・写真/ノンフィクションライター 八木澤高明)

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1997年3月19日、渋谷区円山町の古ぼけたアパートの一室で、1人の女性の遺体が発見された。その女性は東京電力のOLで、夜は売春婦という2つの顔を持っていた。大手企業のエリート会社員が売春婦として体を売っていたという事実は、世間に衝撃を与えた。この事件の容疑者として逮捕されたのは、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリーさんだった。3月8日から9日の事件発生当時、ゴビンダさんは被害女性が殺害された部屋の隣りにあるアパートで暮らしていた。事件発生の20日前には、現場となった部屋で被害女性と関係を持っていた。また、以前にその部屋を借りる為に鍵を持っていたことから、警察は彼を容疑者として逮捕したのだった。因みに、その部屋は当時、常に鍵がかけられておらず、被害女性が度々客の男を連れ込んでいた。裁判は1審無罪、控訴審無期懲役、最高裁では上告が棄却され、有罪が確定したが、一貫して無実を主張してきたゴビンダさんの再審請求が認められ、無罪判決が下されたことは記憶に新しい。この裁判では、被害女性の膣内から発見された体液がゴビンダさんのものではなく、第三者のものであるとDNA鑑定によって明らかになったことが、無罪を言い渡された理由となった。部屋に残されていた陰毛や被害女性の爪からも、膣内に残されていた体液と同じDNAの皮膚片が発見され、真犯人は被害女性の体内に体液を残した男ということが明白となった。果たして、被害女性を殺した真犯人はどこに潜んでいるのか?

犯人と同じDNAを持つ者を見つけることができれば簡単な話であるが、警視庁のデータベースに同じ型のものは存在しないという。そうなると、現時点で明らかとなっている犯人の足取りから推測していくしか方法はない。この事件で犯人と結び付くのは、巣鴨で見つかった被害女性の定期券である。巣鴨は被害女性の自宅とも通勤経路からも外れていて、恐らく土地勘の無い場所だ。彼女の定期券が発見されたのは、殺害されてから4日後の3月12日の午前中のことで、とある民家の庭先に落ちていた。定期券が発見された巣鴨にある民家は、都電荒川線の新庚申塚駅から、白山通りを渡り、お岩通りに沿って歩いて1本目の路地を入ったところにある。土地勘のある人物でなければ、恐らく来ることはない場所である。家主の主婦が言う。「朝、花に水やりをしていたら、壁際に黒い定期入れが落ちていたんだよ。名前を見たら“ワタナベ”と書いてあったから、近所にもワタナべなんて名前の人はいないから、娘に頼んで警察に届けてもらったんだよ」。水やりは毎日の日課で、前日には定期券は無かったという。そう考えると、定期券は夜中に捨てられたことはほぼ間違いない。被害女性を殺害してから4日後に定期券を庭先に捨てる人物とは、如何なる者だろうか? この界隈に当時住んでいた人物か、若しくは友人・知人が住んでいた人物が捨てたということが考えられないか? 地元の住民に話を聞いてみると、警察は事件後から一度たりともこの界隈で聞き込みをしていないという。警察にしてみれば、最初からゴビンダさんが犯人であり、定期券を持った人物の存在は、ゴビンダ犯人説を崩す障害でしかなかった。当時、この付近を徹底的に聞き込みをすれば、定期券について知る人物を見つけることも可能だったのではないか? 因みに、定期券が発見された場所の周辺では、1997年当時、イラン人やバングラデシュ人等が多く暮らしていた。特にイラン人は、違法テレフォンカードを販売したり、新大久保界隈で体を売っていたコロンビア人娼婦たちの“ヒモ”等をしながら暮らしている者も少なくなかった。「当時は、ちょっと夜になると物騒なところはあったね。イラン人が、店を閉めた後の夜中に『酒を売ってくれ』って来たんだけど、売らなかったら自動販売機を壊されたなんてこともあったな」。定期券が発見された現場周辺で酒屋を経営する男性が言う。そうした話が直接この事件と結び付く訳ではないが、事件の温床となり売る空気が、当時、この町の周辺には漂っていたのである。警察は現在も犯人逮捕の為に捜索を続けている訳だが、日本に暮らして数十年になるネパール人男性が呆れた表情で話してくれた。

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親戚友好団体は多額の上納金に不満タラタラ…『6代目山口組』が繰り広げる“盃外交”に破綻の兆候

盛夏の山陽道に衝撃が走った。中四国ヤクザ業界におけるキーマンの『5代目浅野組』組長が、『6代目山口組』の縁戚から離れたのだ。『任侠団体山口組』旗揚げの際に唱えられた“他団体との親戚付き合い不要論”が、業界のスタンダードになりつつあるのか――。 (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)

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7月3日午前11時前、JR新神戸駅の新幹線改札から、10人ほどのスーツ姿の男たちがコンコースに現れた。7月と12月の年2回、6代目山口組では親戚友好団体が総本部を訪問し、司6代目と挨拶するのが慣例となっており、その先頭を切って『稲川会』(※清田次郎会長)の一行が訪れたのだ。稲川会の内堀和也理事長(※『3代目山川一家』総長)と最高幹部らは、6代目側の竹内照明若頭補佐(※『3代目弘道会』会長)を始めとする最高幹部や直参らにエスコートされながら車に乗り込むと、総本部へ向かった。凡そ20分後、今度は『松葉会』(※荻野義朗総裁)の一団が到着。伊藤芳将会長以下、最高幹部や理事長補佐ら計13人は、稲川会と同様に6代目側の最高幹部らに案内されていた。「この日は昼頃にも、原田昇会長(※当時勾留中)が統率する7代目会津小鉄会の最高幹部らが、車両で直接に総本部を訪問したようだ。どの組織も司6代目と談笑しては、20分ほどで総本部を後にしている」(地元紙記者)。翌4日にも、親戚友好団体は6代目側の総本部を訪れている。午前11時頃に『双愛会』の推塚宣会長、『東声会』の早野泰会長の両名が、其々最高幹部ら5人を引き連れて来神。その20分後には、『7代目合田一家』の末広誠総長、『5代目浅野組』の中岡豊組長が、其々3人ずつ最高幹部を従えて改札を潜った。その後、車で新神戸駅に着いた『2代目親和会』の吉良博文会長及び最高幹部3人と合流し、一緒に総本部へと向かった。また、正午前には『3代目福博会』(※長岡寅夫会長)の金城國泰理事長ら最高幹部5人が到着。いずれの組織も20分ほど総本部に留まり、その間に司6代目と会談したとみられている。

更に、同13日には『5代目共政会』が単独で総本部を訪問した。共政会トップの守屋輯会長は長らく懲役に服し、同5日に出所したばかりだった。しかし、出迎えた6代目側の安東美樹若頭補佐(※『2代目竹中組』組長)らと談笑しながら、共政会の最高幹部らを従えて堂々と歩く様子からは、今後にかける強い意気込みが窺えた。6代目体制発足後、守屋会長の総本部への公式訪問は初めてだった為、この日の会談は1時間以上にも及んだ。こうした親戚友好団体との密接な付き合いは、司6代目体制の象徴とも言える。「2005年、司6代目は自身が当代となって以降、史上最も組織の活性化が図られた田岡一雄3代目組長時代を目指した“原点回帰”、過去に命懸けで組織を維持・拡大させてきた先人を敬う“先人顕彰”、ヤクザ業界の恒久的な和平を願った“平和共存”の3点を推し進めてきました。これらは“司イズム”と呼ばれ、今も6代目側の組織運営における根源を成しています。そして、この“平和共存”を広める為、『親戚友好団体とは身内同然に付き合うように』とのお達しが、司6代目から全組員に向けてあったようです」(ヤクザ業界の動向に詳しいジャーナリスト)。2007年7月、当時は親戚友好関係にあった10団体が初めて、6代目側の総本部に集結。以降、夏と暮れには親戚友好団体が総本部で定期的に集まるようになった。2015年8月、6代目側で分裂騒動が勃発し、『神戸山口組』(井上邦雄組長)が発足した年の暮れだけは休止されたが、翌年7月には再開され、現在に至っている。「但し、最大12にまで増えた親戚友好団体が、今回は10まで減っています。神戸側の井上組長とは分裂以前から親しい間柄にある吉村光男組長が率いる9代目酒梅組、神戸側の寺岡修若頭(※『侠友会』会長)の兄弟分である池澤望会長が牽引する3代目侠道会は、一昨年8月に分裂してから6代目側と距離を置くようになりました。親戚友好団体の頭首の誕生日には、司6代目の名札が付いた紅白の胡蝶蘭が届けられ、また最高幹部らが親戚友好団体の本部を訪れては、司6代目から預かったお祝いの言葉を贈っています。ところが、両組織はこの誕生祝いを遠慮するようになり、6代目側の総本部訪問も止めました。逆に、両組織は井上組長の元を頻繁に訪れているようです」(全国紙関西支局社会部記者)。会津小鉄会は今年1月に内紛で分裂し、現在は原田会長と、金子利典会長が率いる2つの7代目会津小鉄会が存在している。これは、長いヤクザ史でも過去に例が無い。そして、原田会長側は6代目側と、金子会長側は神戸側と其々太いパイプを築いているのだ。このように、1つだった山口組が6代目側と神戸側とに分裂した余波は、親戚友好団体にも確実に影響を及ぼしている。

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【昭和&平成放送禁止大全】(05) 東日本大震災による自粛ムードで次々とメディアから姿を消した作品

20171010 15
2011年3月11日、東日本大震災が起こると、“自粛”という名の余波が一気に日本中を巻き込んでいった。「被災者に配慮するべし」を合言葉に、道頓堀のネオン街の明かりが消え、当時の東京都知事だった石原慎太郎が「花見は自粛すべきだ」と発言したことで、毎年人で溢れ返っていた筈の花見の名所から、人の姿が次々と消えていったのである。こうした過剰とも思える自粛の波が真っ先に押し寄せたのは、間違いなくテレビ業界だろう。震災発生から3月14日未明まで、NHKや民放各局は通常番組を休止して、60時間近くを震災の報道に割いた。そんな中で、あるものが極端に減っていたことに気付いた方も多いのではないだろうか。そう、テレビCMが次々と自粛され、放映されなくなったのである。震災とCMは無関係のようにも思えるのだが、東日本大震災のような大規模災害が起こった際には、必ずと言っていいほどCMを放映する企業に対して、「被災者が困っている時に金儲けの為の宣伝をするのか」「不謹慎だ」といったようなクレームが多数寄せられるのだ。その為、大規模災害が起こると直ぐに各企業はCMの放映を取り止めてもらうよう、テレビ局に打診するのである。こうして、企業CMの放映が少なくなると、代わりに流されるのがご存知、『ACジャパン』のCM。東日本大震災の時には、“ポポポポ~ン”というフレーズが話題となった『あいさつの魔法。』を何度も見た記憶があるだろう。ACジャパンは、公共広告により啓発活動を行う公益社団法人である為、大規模災害等でCMの自粛や差し止めがなされた際は、同法人の収益性の無い公共広告の出番となる訳だ。ACジャパンの公共広告は、テレビ局や企業にとって災害時の強い味方であり、楽しくリズミカルな『あいさつの魔法。』は視聴者の心を穏やかにしてくれたのである。

しかし、そんな『あいさつの魔法。』も軈ては放送自粛に追い込まれていく。震災直後は好意的な意見も多かったのだが、次第に「あのCMを観ると震災を思い出す」というクレームが増えていき、遂には放送されなくなってしまったのだった。3月11日から震災特番一色だったテレビ番組も、14日未明頃から次第に通常の番組が放送されるようになり、同深夜からはバラエティー番組が復活。翌15日夜には日本テレビが『火曜サプライズ』を放送したことで、他局もこれに追随し、漸くゴールデンタイムにもバラエティーが戻ってきたのだった。しかし、中には戻ってこられなかったり、放送時期やタイトルを変更して再開するバラエティー番組もあった。例えば、放送内容が不適切だったことから打ち切られたのが『密室謎解きバラエティ脱出ゲームDERO!』(日本テレビ系)だ。同番組は、様々な謎や仕掛けが用意された密室から脱出するゲームバラエティーだったが、“水の間”という制限時間までに謎を解かないと部屋が水没するというゲームが津波を連想させるとして問題視され、番組はそのまま終了した。そして、こうした災害や社会的事件が起こった時に、必ずと言っていいほど槍玉に挙げられてしまうのがアニメだ。東日本大震災の際にも、あまり関係の無いシーンが問題とされてしまい、放送の自粛・差し替え・打ち切りが行われたものも少なくない。中でも可哀想だったのが、UHF局系で放送されていた『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』だ。タイトルの通り、震災や事件とは無縁のアニメなのだが、第10話の一部シーンに主人公が大波に呑まれるという演出があった為、丸々1話がお蔵入りになってしまったのである。しかも、この第10話は第11話と内容が連続していた為、いきなり第11話から放送が再開されても内容を理解できない視聴者が続出した。有名どころでいくと、『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送ほか)も、この震災で自粛したアニメの1つである。報道特番によって第10話から放送休止となっていたが、第11話に廃墟となった街が描かれているシーンがあった為、放送休止のままお蔵入りする可能性もあった。その後、ファンからの熱い要望を受けて、4月21日に第10話から最終話である第12話までを一挙放送。しかし、テレビ版の第11話では多くの自主規制が加えられての放送となっている。この他にも、丁度この時期が番組の切り替わる直前だった為、最終話のみが放送されずお蔵入りになった作品も多い。纏めてご紹介すると、『ドラゴンボール改』(フジテレビ系)・『スイートプリキュア♪』(朝日放送・テレビ朝日系)・『電波女と青春男』(TBSテレビほか)・『テレパシー少女蘭』(NHK教育テレビ)等が、最終話がテレビ放送されないまま終わった。また、NHKや民放各局とは違い、映画やテレビ番組の再放送が多いCSチャンネルは内容の修正ができない為、多くの番組で放送中止措置が取られた。『ファミリー劇場』で放送された『ウルトラセブン』の第26話は、核への警鐘を鳴らす内容で放送中止。『キッズステーション』では、宮崎駿が監督を務めたアニメ『未来少年コナン』に津波のシーンがあるとして、第6話で打ち切られた。他に、『日本映画専門チャンネル』が放送を予定していた黒澤映画『夢』の中にも、原発事故によるパニックを描いたストーリーが含まれていた為、急遽差し替えとなる等、CSチャンネルは番組の中止・差し替えが頻発したのだった。

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