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【WEEKEND PLUS】(66) 世界を驚かせた“ミスターブラックホール”にまさかの研究打ち切り指令!



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昨年10月、本誌の企画に登場した際の本間氏。今回、国立天文台にも取材を申し込んだが、「現在対応協議中の為、取材をお受けできる段階ではありません」との返答だった。

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水沢VLBI観測所。アンテナの周囲にはVERAの説明が。同所以外の入来、小笠原、石垣島局の運用が7月に停止される予定だ。

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テーマ : 宇宙
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【2020年火星の旅】(下) 各国が探査機打ち上げ予定

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宇宙開発で急速に実力をつけてきた中国も今年、火星に向け、周回衛星と探査機を同時に打ち上げる予定だ。有人宇宙活動を単独で実現し、月の裏側に無人探査機を着陸させた中国にとって、火星探査は次の大きな挑戦だ。アメリカや欧州・ロシア連合と同様、火星に嘗て存在した可能性のある生物の痕跡の発見と、太陽系の形成の解明に繋がる岩石採取等を目標に掲げる。中国は、宇宙開発に関する計画の詳細を明かさない。火星探査機『HX-1』(※左画像)の装備も不明な点が多く、火星表面での活動もかなり限定的な内容にとどまっている模様だ。探査機の技術力はアメリカや欧州の水準に追いついていないが、この計画を機に、他の惑星探査への足がかりを築いていくだろう。また、アラブ首長国連邦(UAE)も来年の建国50周年を記念し、日本のH2Aロケットを使い、火星探査衛星の打ち上げを計画している。中東諸国初の人工衛星になる。日本は火星にある2つの衛星(※フォボスとダイモス)を探査する計画を立て、2024年の打ち上げを予定している。


キャプチャ  2020年1月19日付掲載

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【2020年火星の旅】(中) 掘削2m、有機物の有無探る

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『欧州宇宙機関(ESA)』の火星探査計画『エクソマーズ』は、ロシアで宇宙開発を担う国営企業『ロスコスモス』との共同事業だ。今年7~8月に打ち上げ、来年3月の到着を計画している。当初は『アメリカ航空宇宙局(NASA)』と協力していたが、NASAが方針を転換した為、ロシアと手を組んだ。ロシアは旧ソ連時代、火星に探査機を送る計画でアメリカに先んじたものの、失敗が続き、本格的な探査はできなかった。欧州と協力して、漸く実現にこぎつける。6輪の探査機は、嘗て水があったとみられる火星の赤道近くに着陸し、移動しながら岩石を採取する。2mの深さまで掘削できる機能が大きな特色で、古代の火星の様子を記録する試料の発見を狙っている。試料を900℃まで加熱し、蒸発した気体を分析する機器も備え、有機物の有無を確かめる。探査機の名前は『ロザリンド・フランクリン』(※右画像)だ。DNAの構造解析に貢献したイギリスの女性化学者に因んだ。ノーベル賞を受賞していないが、偉大な業績を称えた。


キャプチャ  2020年1月12日付掲載

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【2020年火星の旅】(上) NASAのお家芸、岩石採取へ

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アメリカ、欧州、中国の宇宙機関が今年、火星に向けて探査機を打ち上げる。何れも火星表面を走行して、岩石等を採取する。一番の狙いは、過去に生息していたかもしれない生物の痕跡の発見だ。『アメリカ航空宇宙局(NASA)』のジェット推進研究所で、6輪の探査機『マーズ2020』(※左画像)の運転試験が順調に進んでいる。火星の過酷な環境でも移動しながら、試料を繰り返し採取する耐久性を重視しており、1日平均200m走行できるように設計した。2004年に火星に着陸した『オポチュニティ』は、最長で同214m移動した。探査できる範囲は格段に広まると期待する。着陸予定地は、嘗て湖だったとみられるジェゼロだ。周回衛星による観測から、微生物の痕跡が見つかる可能性の高い岩石を最も多く含んでいると考えられている。採取した試料は容器に入れてその場に戻し、2028年に予定している探査機で回収し、地球に送る計画だ。『バイキング1号』が1976年に火星表面の鮮明な画像を地球に届けて以来、火星探査はNASAのお家芸と言える。


キャプチャ  2020年1月5日付掲載

テーマ : 宇宙
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【火曜特集】(92) “ビジネス化”する環境問題の危うさ――まるで見てきたように語るエセ学者、悲観論を語りたがる気象学界の本音とは?



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話題に事欠かなかった国連気候行動サミットの期間中、『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』は、「温暖化対策が不十分だった場合、2100年に海面が最大1.1m上昇する」という特別報告書を公表した。日本では大きく報じられたが、その内容は果たして適切なのだろうか? 地球温暖化に対する取り組みの原点ともいえる1997年の『京都議定書』採択から20年余り。当時あった温暖化による絶望論が“誇張”であることが明らかになる一方で、一定の影響は避けられないこともわかってきた。これをビジネスにしようという勢力も出てきた。温暖化問題は、様々な思惑が絡む複雑な気圧配置の中で、漂流を続けている。「地球温暖化によって海面が5m以上上昇し、太平洋の島々が沈み、ハリケーンが多発して、人類は危機に瀕する」――。2006年に公開された『不都合な真実』の中では、こう描かれた。この映画自体が、アメリカのアル・ゴア元副大統領による偏向したプロパガンダだったことは周知の事実だが、環境運動家や気象学者の一部も五十歩百歩のやりかたを続けてきた。「2100年までに地球の平均気温が6℃上昇する」。これが現在も撤回されていないワーストシナリオである。この場合の起点は、産業革命(※人類の工業化)以降。石油エネルギーへの転換が始まった第2次産業革命は、19世紀末期から20世紀初頭に起きたとされている。ここから約100年経過した2000年頃、地球の平均気温は1.1℃上昇したとされる。実は、2019年現在もそこから多少増加した程度で、このペースなら6℃までは到底届かない。これに対して、「一気に上昇ペースが上がって6℃も上昇する」と頻りに言われてきた。

しかし、国立大学のある気象学者は、「この6℃という上昇は、極めて特殊な初期条件でのみ算出されることがわかっている」と話す。つまり、6℃上昇という試算自体が抑々かなり強引なのだという。自然界のことをシミュレートする際には、コンピュータを使うにせよ、微分方程式を用いることになる。微分方程式は物事の挙動を調べるのに極めて利便性が高いが、初期条件が少し異なるだけで、結果には信じられないほど大きな差が生じてしまうことで知られる。気温の変化に関する初期条件として、例えば現在の地球の平均気温を考えてみよう。これを算出するには気候も気温も全く異なる地点を抽出せざるを得ず、しかも抽出する地点の数にも限界がある。地球全体の完全な平均気温を得ることは抑々不可能で、入力する初期条件には必然的に誤差が含まれることになる。この誤差が結果に影響を与えるのだ。誤差による影響を最小限にする為には、多くのシミュレーションをして、その結果を総合的に判断するというアプローチが必要だ。100通りのシミュレーションより1万通りのシミュレーションのほうが、誤差を希釈化できる。そして、その結果の平均をみればいいのだ。こうすれば、発生する可能性が高いものを選別できる。しかし、「気象学者はシミュレーションにおいて、発生する可能性が低くても、結果が悲惨なものを恣意的に選定していたのだ」と、前出の気象学者が語る。「6℃上昇というのは、発生確率5%以下の最悪のケースに過ぎないというのがコンセンサスだ」。この5%を低いと楽観するか、高いと悲観するか――。20回に一度の発生確率は“低い”と捉えるのが一般的だが、それでも温暖化に危機感を持つのなら、その意見を維持すべきだろう。しかし気象学者は、2010年代に入ると“温暖化”の言葉をあっさり捨て、方針転換してしまう。今年6月に訪英したアメリカのドナルド・トランプ大統領は、環境問題に取り組むチャールズ皇太子と会談した。その後、イギリスの民放テレビ局『ITV』のトーク番組に出演した際に、トランプ大統領は「皇太子の考えに共感したものの、自身の考えは変わらなかった」と語った上で、こうコメントした。「昔は地球温暖化と言われていたものが、気候変動と呼ばれるようになり、今は異常気象と言われていることは忘れないでほしい」。トランプ大統領が『パリ協定』から離脱したことについての賛否はあるだろうし、多分に自分勝手な都合しか考えない人物であることは間違いない。しかし、トランプ大統領のこの発言は、気象学者のご都合主義について的を射たものだ。6℃上昇というシナリオが無理筋になった時点で、彼らは“気候変動”に軸足を変えたのである。エクセター大学の研究でも、こうした過去の研究の疑問点や誇張が浮き彫りになっている。現在、国連のIPCCでは、2022年に向けて第6次評価報告書の策定を行なっている。主要なテーマは、2100年までの平均気温上昇を2℃以内、できれば1.5℃以内に抑えるにはどうしたらいいか。6℃上昇を主張していた時代からは、一挙に後退している。前出の気象学者が語る。「2℃と1.5℃は大差ないと思うが、世界の気象学者は『この差によって気候が大きく変わる』と、然も見てきたように主張する」。

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【新宇宙産業の現場】(下) ロケット、価格競争時代

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「3、2、1…エンジン点火」――。爆音と共に白煙が噴き上がった。4月、次期国産大型ロケット『H3』のエンジン燃焼試験が、秋田県の山腹で行なわれた。『三菱重工業』の開発責任者である奈良登喜雄(57)は、約500m離れた観測所から祈る気持ちで見つめていた。44秒間の燃焼が終わると、口元を緩めて言った。「試験データの解析で忙しくなるぞ」。2020年度に打ち上げ予定のH3は、日本で初めて民間主導で開発が進む。目標は“業界最安値”。欧米企業の独占市場に風穴を開ける期待が高まる。日本の大型ロケットは、1970年代のNシリーズから現在の主力『H2A』まで国の主導で進められたが、「コストを度外視したガラパゴスロケット」(業界関係者)との指摘もある。一方、欧米では“官から民へ”と移っている。アメリカの『スペースX』等新興企業が価格破壊を起こし、インターネット販売も広まる。H2Aの打ち上げ費用は約100億円と割高で、海外受注は18年間で5件と苦戦した。

「もっと構造をシンプルに、部品は安いものを」。前出の奈良は、そう繰り返してきた。H3は、部品の専用設計を止め、自動車部品を流用。ドームと呼ばれる直径5mの部品は、特注の一枚板から安価な板を溶接した。手作業だった鋲打ちに産業ロボットを導入した。目標の50億円には、あと1~2割のコストダウンが必要という。「どんなアイデアでも出して」と社内に呼びかけている。営業も強化している。26基の衛星を打ち上げている『スカパーJSAT』衛星技術部長の西脇信樹(54)は、「電車と同じで、どのロケットでもいい」と話す。三菱重工営業部長の五十嵐巌(52)は、「昔はロケットを売るという意識はなかった」と振り返る。H3は、「世界中で『ご要望は?』と聞いて回った」結果、昨年末にイギリスの衛星大手から初受注した。手の平サイズの小型衛星も開発され、低コストの小型ロケットにも商機が出てきた。実業家の堀江貴文(46)が出資する『インターステラテクノロジズ』は、打ち上げ費用6億円以下の小型ロケット『ZERO』の開発を進める。堀江は、「コストが下がれば、より多くの人が宇宙を活用できる」と夢を語る。宇宙事業を検討している『清水建設』の担当部長は、「ニュースペースと呼ばれる今の宇宙産業は、大航海時代と似ている」と話す。 《敬称略》

                    ◇

小野田潤(中部支社)・野依英治(科学部)・松田俊輔(科学部)が担当しました。


キャプチャ  2019年8月10日付掲載

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【新宇宙産業の現場】(中) 上空に商機、挑む起業家

20191108 05
「地球の周囲ではごみが増え続けている。放置すると宇宙が使えなくなる」――。6月29日、大阪市で開かれたG20首脳会議の会場で、『アストロスケール』創業者の岡田光信(46)は各国の政府関係者に力説した。衛星やロケット部品等の宇宙ごみは秒速数㎞で地球を回り、大きさ10㎝以上のもので2万個を超える。衛星や宇宙ステーションに衝突する危険性がある。アストロスケールは、強力な磁石でこれらを除去する衛星を開発しており、2020年に実証機を打ち上げる構想だ。岡田は旧大蔵省の出身だが、高校1年生の時に抱いた宇宙への憧れを忘れられず、IT企業等を経て2013年、40歳でアストロスケールを設立した。独創的な取り組みが評価され、今年4月までに国内の宇宙新興企業としてはトップクラスとなる総額150億円以上の資金を集めた。経済誌『フォーブスジャパン』も昨年、岡田を国内の優秀起業家ランキングで1位に選んだ。

一般社団法人『スペースタイド』によると、国内の宇宙関連新興企業は2015年までは10社程だったが、現在は30社以上に増えている。最も参入が目立つのが、衛星データの活用サービス分野だ。5月に事業を始めた土地評価コンサルティング会社の『天地人』は、地表の温度を観測する日本の衛星『しきさい』等のデータを組み合わせ、日本でキウイフルーツの栽培に適した農地を探すシステムを開発している。創業メンバーの繁田亮(31)は、「今ある衛星のデータを上手く使えばビジネスを創出できる」と話す。他業種からの人材も集まりつつある。“1人1700万円の宇宙旅行”の実現を目指す『PDエアロスペース』には、国内重工メーカーや自動車会社の技術者、旅客機パイロット等が宇宙船の開発に協力している。来夏には実機の3分の1サイズの無人試験機(※全長10m)を打ち上げる計画で、2024年の事業開始を見込む。6月19日深夜、月例のテレビ会議に参加した約20人のスタッフに、重工メーカー出身の社長の緒川修治(49)は「全員が一歩踏み出せば大きく前進する」と力説した。国内で100億円を超える規模の資金を調達できているのは、知名度のある数社にとどまり、アメリカ等との差は大きい。新興企業が資金や人材を継続的に集められるかは、日本の宇宙産業発展のカギを握る。 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月9日付掲載

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【新宇宙産業の現場】(上) 月面開拓、新たなる希望

人類が初めて月に降り立って半世紀が過ぎた。嘗ての宇宙開発は国が全てを担っていた。近年は技術革新により、企業が宇宙をビジネスに活用する動きが広がっている。民間が主役のニュースペース(※新宇宙産業)と呼ばれる新たな潮流の現場を追う。

20191108 04
「伝統的な宇宙業界と、新たに参入する企業が力を合わせて、国際競争を勝ち抜こう」――。2029年に打ち上げを目指す月面探査車の小型模型を前に、『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』で開発を指揮する降旗弘城(46)は、そう呼びかけた。先月上旬、JAXA筑波宇宙センターに、『トヨタ自動車』や『三菱重工業』、大手電機メーカー等十数社から約70人の技術者が集まり、真剣な表情で頷いた。探査車の研究は3年前、トヨタの末永和也(40)ら“宇宙好き”の社員数人が自主的に始めた。燃料電池や自動運転といった先端技術を搭載し、昼は120度、夜は氷点下170度の月面を走る。末永は、「究極のモビリティー作りが始まる。宇宙は技術を磨く実験室になる」と主張する。他の企業も、「タイヤの次世代技術を培いたい」(『ブリヂストン』)等と加わった。トヨタやJAXAは、幅広い企業に月面探査への参画を呼びかけている。再び月が注目されているのは、月の水の存在がほぼ確実となり、移住を可能にする技術も生まれつつあるからだ。

水は電気分解すれば酸素と水素になり、燃料電池の動力源になる。月で水素ステーションを設置する研究も進んでいる。「地球より先に、月で水素社会が実現する」(トヨタ首脳)との考えも、強ち空想とは言えない。『鹿島建設』は2016年から、月面基地の建設技術をJAXAと共同研究している。重機の自動運転やAIを活用した技術を開発し、ダム工事にも活用している。「建設現場の労働者不足も解決できる」という。「2040年代には月に1000人が住む。物資の輸送、住居、食料等、様々な需要が生まれます。一昨年春、新興企業『アイスペース』CEOの袴田武史(39)は、『日本政策投資銀行』の担当者にそう説明し、出資を求めた。2021年に月に探査車を送り、月面都市(※ムーンバレー)の構築を目指す。政投銀の航空宇宙室長である竹森祐樹(47)は「一瞬、冗談かと思った」が、約1年かけて独自に市場を調べた。「言っていることは本当だ。我々もリスクマネーで勝負したい」。政投銀始め12社が総額101億円を出資した。業界団体によると、国内の宇宙新興企業が銀行や機関投資家等から調達した資金は、今年4月までの5年間で総額454億円(※延べ35社)に上る。JAXAは2015年から民間パートナーを公募している。今年3月までに463件の応募があり、『ソニー』、『LIXIL』、『タカラトミー』、『資生堂』、『ミサワホーム』等幅広い企業と共同研究を進めてきた。JAXA宇宙探査イノベーションハブ長の久保田孝(58)は、「月は殺風景なところで、音楽や娯楽も必要になる。参入のハードルは思われているほど高くない」と、宇宙への進出を促している。 《敬称略》


キャプチャ  2019年8月8日付掲載

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【日本人がノーベル賞を獲れなくなる日】(20) ゲノム編集…“神の領域”で日本勢は出遅れ感

「神の領域へ踏み込むのか」――。畏敬の念を込めて言われている技術が、遺伝情報を操作するゲノム編集だ。中でも、ノーベル賞確実と言われている技術が『クリスパーキャス9』である。

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ゲノムとは、生物の設計図である遺伝子に書き込まれた全ての遺伝情報である。クリスパーキャス9(※以下クリスパー)は、1996年頃から始まったゲノム編集技術の第3世代とされ、“究極の技術”と評される。従来の技術に比べて容易且つ安価で、ほぼ全ての生物で使えると考えられるからだ。クリスパーが2012年に登場し、ゲノム編集は世界で一気に普及した。酵素で遺伝子の狙った箇所を切り取り、機能を失わせる(※ノックアウト)。切られた箇所が修復する過程で、新しい遺伝子を入れる(※ノックイン)ことも可能だ。これにより、農業・養殖業・畜産業で品種改良が格段に進む。クリスパーを2012年に発表したのが、アメリカのジェニファー・ダウドナ、フランスのエマニュエル・シャルパンティエ両博士。この2人がノーベル化学賞の有力候補だ。

クリスパー自体のDNA配列を1987年に発見したのは日本人で、現在は九州大学大学院農学研究院教授の石野良純氏。ノーベル賞選考委員会は技術のオリジンまで遡って調べる為、「大穴として受賞はあり得る」(国内ベンチャー幹部等)との下馬評がある。ゲノム編集で特に期待されるのが医療分野。ただ、関係者が口を揃えて言うのが、「日本は総じて遅れている」ということだ。国内の主なキーパーソンや企業を挙げたのが右上表。アメリカでは、クリスパーより前のゲノム編集技術を用いて、既に遺伝性疾患・エイズ・癌等で臨床入りしている。だが、日本で臨床入りはない。「ゲノム編集に限らず、日本の風土として、不確定なものにチャレンジする精神が乏しい」と『野村総合研究所』主任コンサルタントの高田篤史氏。クリスパーに関して言えば特許紛争が起こっており、ライセンスの不透明さが日本企業の慎重な姿勢に繋がっているようだ。それでも、ゲノム編集で創薬支授をするベンチャー『GenAhead Bio』の周郷司社長は、「これからの製薬会社の研究は、クリスパーを否応なしに使うことになる」と語る。『いちよし経済研究所』首席研究員の山崎清一氏によれば、ゲノム編集治療の世界市場は2025年に約8000億円となる見通し。技術革新の余地は大きく、日本勢の巻き返しを期待するしかない。 =おわり

                    ◇

深澤献(本誌編集長)・土本匡孝・村井令二(本誌委嘱記者)・西田浩史(本誌委嘱記者)・船木春仁(経済ジャーナリスト)が担当しました。

                    ◇

世界最高の栄誉のノーベル賞受賞者に、これだけ幅広く取材できる機会もありません。特に、名古屋大学の天野浩教授の話が印象的でした。「大学の研究は直ぐにビジネスに繋がって人の役に立たなきゃ」と、ビジネスマンのような話しぶりだったからです。それも、「学生時代にビル・ゲイツに憧れていた」ということで納得でした。勿論、東京工業大学の大隅良典榮譽教授の「直ぐに役に立つか立たないかという発想ばかりでは、科学の将来に良くない」という発言もあって、これも大事でしょう。ただ、今の大学と企業の間が離れ過ぎている気がします。先ずは“直ぐにビジネスになる研究”からでもいいので、企業はどんどん大学に投資してほしいものです。 (本誌委嘱記者 村井令二)

ノーベル賞の賞金は、1901年のスタート以来、アルフレッド・ノーベルの遺産の運用益によって捻出されています(※経済学賞は除く)。その為、毎年の運用成績に応じて賞金額が変動します。実は本誌編集部でも、四半期毎に優秀記事賞や優秀企画賞を選び、金一封を出しています。財源は編集長のポケットマネー。文字通り、その時々の私の懐具合に左右される為、複数回受賞した部員は気付いているでしょうが、金額は一定ではありません。そろそろ第3四半期の表彰の時期です。ノーベル財団は、独立性を保つ為に外部からの寄付を受け入れない方針とのことですが、小遣い制のサラリーマンである私は、妻に相談を持ち掛けなければなりません。 (本誌編集長 深澤献)


キャプチャ  2018年12月8日号掲載

テーマ : テクノロジー・科学ニュース
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【日本人がノーベル賞を獲れなくなる日】(19) ブロックチェーン…交換や取引の新しい基盤に

仮想通貨取引だけのものと考えられていたブロックチェーンの仕組みを、あらゆる取引に適用できるようにしたプラットフォーム『イーサリアム』。大変革の機運が高まっている。

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『ビットコイン』等の仮想通貨の取引の基盤となっているのがブロックチェーン(※分散型台帳技術)だ。台帳を複数の人が共有し、過去データを改竄できなくする技術は、仮想通貨の取引に止まらず、新たな活用が模索されている。「一つが、管理者を置き難い領域での活用。異業界に跨るサプライチェーンでのデータ管理や、送金システムが未発達の新興国で送金手法を確保する等だ。もう一つが、中央集権的なサービス事業者への依存を拒否したい人たち。他者が介入できない取引システムを作ったりする」(『セコムIS研究所』主任研究員の佐藤雅史氏)。ブロックチェーンの仕組みを様々な分野に活用できるようにしたプラットフォームが『イーサリアム』だ。2013年、当時19歳のヴィタリック・ブリテン氏が考案した。イーサリアムの最大の特徴が、スマートコントラクトと呼ばれる、あらゆる取引や契約を改竄不可能な形で自律・自立的に行なえるようにしたことだ。「イーサリアムも含めて、ブロックチェーンの産業での活用に最も力を注いでいるのは中国だ。ブロックチェーンでビジネスや社会がどのように変わるかの議論をしないと、産業の高度化で後れを取ることになる」(『野村総合研究所』上席研究員の亀津敦氏)。ブリテン氏の技術開発動向から目が離せないが、企業間取引等でのイーサリアムの活用を検討する『エンタープライズイーサリアムアライアンス』での議論内容にもチェックが必要だろう。イーサリアムをプラットフォームに、交換や取引という形態が爆発的に変容する機運が高まっている。


キャプチャ  2018年12月8日号掲載

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George Clooney

Author:George Clooney

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