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【火曜特集】(263) 人妻が不倫するのは生物学的に正しい!? “グラサン博士”五箇公一が教える生物の性の不思議

『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)にサングラス&革ジャン姿で登場する異色の学者。その正体は『国立環境研究所』所属の生物学者・五箇公一。生物の性を知ることで、生物多様性、そして人類の性が見えてくる! (フリーライター 松本祐貴)



20210126 07
生物学と聞くと、学校の授業での“光合成”や“えんどう豆の背の高さ”を思い出して、うんざりしてしまう方もいるだろう。だが、「一番精子が大きな哺乳類は?」や「実は人妻は浮気し易い生き物?」と聞けば、俄然興味が湧く。先日発売された書籍『これからの時代を生き抜くための生物学入門』(※著・五箇公一、辰巳出版)から、面白そうな生き物と人間の性の話をしてみよう。先ずは単純な疑問から。生物には何故オスとメスがいるのだろう。単純ながらも難しい問いに、五箇氏は真摯に答える。「生殖には“有性生殖”と“無性生殖”の2種類があります。無性生殖は自らの分身を作る形で増える方法で、いわゆる“クローン繁殖”のこと。アメーバ、ミドリムシ、ゾウリムシ、イソギンチャク、クラゲ、是虫類、ダニ類など、どちらかというと進化の歴史上、古めの生物によく無性生殖が見られます。一方、われわれ人間を含め脊椎動物だと“無性生殖”はあまり見当たりません」(※同書より引用、以下「」内は同じ)。単純に増えるだけなら無性生殖が有利だが、生物を取り巻く環境は、餌不足や住む場所の変化等が激しい。更に、生物が高度化すると、細胞に取り付きエネルギーを貰おうとする寄生者が発生する。これがウイルスやバクテリアだ。生物はどのように対応してきたのか? ウイルスの進化は早い。「この絶え間ない環境変化に対抗するために宿主生物が編み出した戦略が“遺伝子を宿主の間で交換する”という画期的な方法、すなわち有性生殖でした。この方法によって、宿主生物集団内の遺伝子の多様性を高めることで、寄生者の蔓延を防ぎ、それぞれの宿主生物の子孫を残す確率を上げたのです」。要するに、オスとメスがある理由のひとつは、ウイルスに対抗する手段だったのだ。

高等生物である人間は、その上、オスは狩猟をし、メスは子供を生む等の分化を進めた。五箇氏に言わせると、「生物学的にオスとは悲しい存在」である。メスに試され、命がけの求愛をし、メスと交尾ができなければ、天敵や仲間から食べられ、死んでしまう。独身男性が人生を謳歌できているのは人間社会だけなのだ。現代では、男性の草食化・少子化が進んでいるとされる。これは、人間社会が成熟し、男女間の差がなくなったことが理由だ。「少子化は、男の“性”としての魅力の劣化とともに、女性自身が子どもを持とうとする欲求より、自分の人生を楽しみたいという欲求が上回った結果とも捉えられます」。女性の社会進出が進むこの時代。どんな男性がモテるのか? 「パートナーとして一緒にいて楽しくて、ずっと優しい人、ひらたくいえば“便利な人”ですね」。モテる力も生物学的な考え方で解決できるかもしれない。では、お待ちかねの哺乳類の精子の大きさナンバーワンを発表しよう。それは、オーストラリアの有袋類でフクロミツスイという動物だ。全長は15㎝から20㎝程、口先が尖った鼠のような外見をしている。では、何故フクロミツスイが最も大きな精子を持つことになったのだろう。生物全体では、メスは子育ての為に体が大きくなる傾向がある。ただ生活上、オスが縄張り争いをしたり、天敵からメスを保護する動物たちは、オスが武装し大きくなる。だが、このフクロミツスイのオス間競争は、武装ではなく精子だったのだ。五箇氏の解説を聞こう。「(フクロミツスイは)食糧が花の蜜と果汁だけなので、オスもメスも食べることに忙しい。のべつまくなし食べていないといけないので、交尾するための競争をしている暇がありません。だから乱交します。【中略】メスの体内に入ってから、精子同士が受精までの早さを競います。そうなると運動能力が高い精子が勝ちます。個体ではなく精子レベルで競争が起こっているのです。その結果、精子自体は運動能力を高めるためにどんどん大きくなって、それを蓄える睾丸も巨大化してしまったのです。体重比では哺乳類最大、狸の置物状態です」。実は、フクロミツスイの精子はシロナガスクジラよりも大きい。その理由は乱交だったが、人間はどうなのだろう? 「チンパンジーは群れの中で乱交をするので、睾丸が大きめ。ゴリラは一夫多妻ですが、メスを独占するので、精子競争の必要がなく睾丸は小さめとなります。人間の睾丸の大きさはチンパンジーとゴリラの中間ぐらいです」。

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テーマ : 生物学
ジャンル : 学問・文化・芸術

【宇宙探査2.0】(04) 同志でありライバル

20201223 06
今月13日夜、テキサス州ヒューストン。『アメリカ航空宇宙局(NASA)』研究者の中村圭子は、日本の探査機『はやぶさ2』が持ち帰った試料の開封作業をビデオ会議で見守った。約1万㎞離れた『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』の施設で小惑星『りゅうぐう』のものとみられる黒い砂粒が回収されると、「一気に気持ちが高まった」。日米は、小惑星から持ち帰った試料の一部を分け合う約束だ。中村はNASAジョンソン宇宙センターで試料管理の責任者に手を挙げた。来年末に故郷の日本を訪れ、試料を持ち帰る。NASAに入る為にアメリカ国籍を取ったが、「心は日本人。はやぶさ2の完璧な任務は誇りだ」。科学探査で世界をリードしてきたアメリカも、小惑星からの試料採取では日本が先輩だ。アメリカの探査機『オシリスレックス』は今年10月、小惑星『ベンヌ』に着陸し、試料を採取した(※左画像)。

2023年に地球に帰還すれば、はやぶさ、はやぶさ2に次ぐ3番目の快挙になる。「日本が次々と成功するので、NASA内部のプレッシャーが凄い」(中村)。NASAは日本の3倍超の資金を投じる。日米は協力する同志であり、負けられないライバルだ。競い合うのは日米だけではない。「挙国体制の強みを生かし、難関を乗り越えて得た重大な成果だ」。中国国家主席の習近平は、昨日、無人月面探査機『嫦娥5号』が地球に帰還し、土壌サンプルを持ち帰ったことを受けて談話を発表した。月のサンプルを持ち帰るのはアメリカ、旧ソ連以来44年ぶり。米中対立の長期化に備える習にとって、宇宙開発は国家の威信をかけた事業だ。習は「宇宙強国を建設し、中華民族の偉大な復興に新しい功績を立てることを望む」と宣言、インターネット上では「偉大な祖国だ」の書き込みが相次ぐ。中国は、アメリカしか成功していない火星への探査機の軟着陸と表面探査にも乗り出す。今年7月に火星探査機『天問1号』を打ち上げ、中国共産党の結党から100年を迎える2021年に探査を実施。2045年には有人探査を計画する等、宇宙開発を加速する。アメリカは中国の台頭に警戒するが、「宇宙物質の試料交換では米中で協力できるかもしれない」(ホワイトハウス高官)。世界が切磋琢磨すれば、人類は宇宙の歴史の解明に近付く。 《敬称略》 =おわり

                    ◇

越川智瑛・西岡杏・鳳山太成・多部田俊輔が担当しました。


キャプチャ  2020年12月18日付掲載

テーマ : 宇宙
ジャンル : ニュース

【宇宙探査2.0】(03) 「若い技術者の刺激に」

20201223 05
「はやぶさ2での経験は若手の自信に繋がった」――。『三菱重工業』の主席技師である高見剛史は、開発を共にした若手技術者の表情に手応えを感じている。開発したのは、『はやぶさ2』に載せる化学エンジン。その真価が問われるのは、小惑星『りゅうぐう』の表面に金属弾を打ち込み人工クレーターを作る時だ。破片を避ける為に、はやぶさ2が素早く動けるようにしなければならない。「長時間連続で」「短く断続的に」。長崎造船所内の宇宙機器工場(長崎県諫早市)。田中伸彦らはモニター画面で噴射口の様子をみては、様々な燃焼パターンを試行。軌道を迅速に変えられるエンジンを実用化した。りゅうぐうの砂等が入ったカプセルは地球に帰還。新型エンジンは役割を果たし、次の探査に赴いた。「噴射口の形状調整が大変だった」と振り返りながらも、田中は充実した様子。

「若い人材を育てなければ」。初代はやぶさで経験した数々のトラブルを後輩に伝えようとした高見の思いも報われた。チームは違うが、三菱重工は来年度打ち上げ予定の次世代ロケット『H3』も手掛ける。高見は「社内の同じ世代の技術者の刺激となるだろう」と、はやぶさ効果に期待する。今月6日未明の夜空に輝いたカプセル。「手が届く所に帰ってきた」。『NEC』の益田哲也ら、はやぶさ2に関与した技術者が抱いた安堵感。それとは別に、火球に自らのビジネスの未来を重ねる人もいた。人工流れ星を開発するスタートアップ『ALE』(東京都港区)の技術者、江川雄亮もその一人だ。「はやぶさ2のカプセルは秒速12㎞。うちのはもっとゆっくりだね」。火球をみて、江川は社内チャットに呟いた。目指すのは、人工衛星から出した球体で流れ星を発生させるサービス(※右上画像)。イベント等での利用を見込むが、事業化は未だ先だ。それでも、カプセル帰還後は『ツイッター』で“人工流れ星”といった言葉が話題になった。流れ星に注目が集まれば商機も広がる。「我々の事業は間違っていない」。人々の関心の高まりに、COOの藤田智明は確信を深めている。今回の事業を成功に導いた日本企業は、技術力の高さを世界に示した。「はやぶさ2を経験した人が宇宙産業の更なる成功を支える筈」とNEC社長の新野隆は語る。日本はりゅうぐうの砂と共に新たな自信も得たようだ。 《敬称略》


キャプチャ  2020年12月17日付掲載

テーマ : 宇宙
ジャンル : ニュース

【宇宙探査2.0】(02) “玉手箱”の中身は

20201223 04
突き抜けるような快晴の小春日和。JAXA相模原キャンパスの正門前には市民ら数十人が集まり、その時を今か今かと待っていた。今月8日午前、探査機『はやぶさ2』が地球に届けたカプセルを載せたトラックは、拍手と共に迎えられる。「お疲れさま」。長旅を労う声が飛んだ。1週間後、竜宮城から持ち帰った“玉手箱”の蓋が開いた。カプセルの中の容器には、小惑星『りゅうぐう』の黒い砂が肉眼でわかる程にどっさり採れていた。数㎜サイズの大きな粒子がごろごろと入っている。「記憶が飛ぶくらいに驚いた」。採取装置を担当した主任研究開発員、沢田弘崇の予想を遥かに超える大漁だった。「惑星形成の研究で一つ上のステージに突っ込んでいける」。はやぶさ2の科学責任者である名古屋大学教授の渡辺誠一郎は期待する。

小惑星は、地球のような惑星になり損なった天体だ。地球や火星は岩石がドロドロに溶け、冷えて固まってできた。今ある岩石をいくら調べても、溶ける前の状態はよくわからない。しかし、“太陽系の化石”とも呼ばれる小惑星は、太陽系が誕生した46億年前の痕跡が残るとされる。とりわけ地中の物質は太陽や宇宙線による宇宙風化の影響を受け難く、新鮮な状態を保ち易い。はやぶさ2が持ち帰った地表や地中の砂は、太陽系の成り立ちを探る貴重な手がかりだ。地球の生命の起源にも迫れるかもしれない。太古の地球に衝突した小惑星が生命の材料になる水や有機物を齎し、生命誕生に繋がったとの仮説もある。カプセルはJAXAの専用施設に慎重に運び込まれた。地球の物質と混ざらないように丁寧に取り分け、先ずはどんな砂を採取できたのか、カタログ作りを進める。詳しい分析が始まるのは来年6月以降だ。同12月以降には『アメリカ航空宇宙局(NASA)』等海外の研究機関にも試料が分配される。玉手箱の真価は、これから世界の研究者の手で明かされる。カタログ作りを担う地球外物質研究グループ長の臼井寛裕は、NASAの研究者だった10年前、はやぶさ初号機の帰還を目にし、進むべき道を見つけた。「自国のミッションに役立ちたい」。はやぶさ2責任者の津田雄一が「100点満点で1万点」と誇った完璧な帰還。「2万点、3万点にできるよう頑張りたい」と臼井は意気込む。 《敬称略》


キャプチャ  2020年12月16日付掲載

テーマ : 宇宙
ジャンル : ニュース

【宇宙探査2.0】(01) 襷を繋いだ挑戦

大きなトラブルもなく、カプセルの地球帰還を果たした『はやぶさ2』。宇宙探査の最前線を追う。

20201223 03
今月5日午後2時半。小惑星探査機『はやぶさ2』が地球まで22万㎞に迫ってきた。『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』相模原キャンパス(神奈川県相模原市)の管制室では、緊張感と高揚感が綯い交ぜになっていた。「カプセル分離と判断したいと思います。おめでとう」。はやぶさ2の責任者であるプロジェクトマネージャーの津田雄一はこう宣言すると、両拳を突き上げた。12時間後、カプセルは大気圏に突入し、満天の星空に一筋の光跡を描いた。「よーし、生きていた」。JAXAのチームがカプセルの放つ電波を捉えた。6日早朝、オーストラリアの砂漠で“玉手箱”が無事見つかった。はやぶさ初号機の地球帰還から10年後、はやぶさ2は小惑星『りゅうぐう』に行って帰ってくる6年間、52億㎞の旅を完遂した。だが、道程は平たんではなかった。はやぶさ2の目的は、小惑星の砂等の試料をカプセルに採取し、地球に届けることだ。試料は太陽系の成り立ち等を探る貴重な手がかりになる。初号機は小惑星から試料を持ち帰るサンプルリターンを実証した。2号機で目指したのは“行きたい小惑星に行く”こと。数十万個の小惑星から選んだのは、有機物や水が豊富そうな星。それがりゅうぐうだった。2011年5月に計画が正式発足したが、最初の壁が立ちはだかる。りゅうぐうと地球の位置関係から、エンジン稼働率を高めずに到着できる打ち上げ時期は2014年12月に限られた。開発期間は通常、約5年だけに「時間がない」。そこでJAXAは異例の体制を取った。

指揮を執ったのは、初号機でイオンエンジン開発を担った国中均(※現在はJAXA宇宙科学研究所長)。宇宙研のプロジェクトは1人の責任者が全うするのが通例だが、計画を立ち上げた吉川真から引き継いだ。小惑星の軌道の研究者だった吉川は内外の交渉に長けるが、ものづくりの経験は浅い。3年半の超短期開発で「適材適所が必要」だった。吉川はチームに残り、『アメリカ航空宇宙局(NASA)』等との調整に奔走した。打ち上げ後、プロジェクトマネージャーの襷は3人目、当時39歳の津田へと渡された。新人で初号機の運用に携わり、2号機の開発で中核を担った津田は適任者だ。「若手を多くチームに配置し、経験を積ませる」(国中)と決断した。はやぶさ2は小惑星に到着後、1年半の探査を計画していた。「必要なのは持久力」。津田はJAXA内外から人を集め、チーム作りに努めた。「初号機と同じトラブルは何一つ起こさない」。管制室がある建物には“神の間”と呼ばれる部屋があった。訓練を出題する“神様”役のメンバーは、ここで仮想のはやぶさ2を操り、様々なトラブルを起こせる。探査機の姿勢制御装置や管制室の端末の故障、果ては担当者が急病で姿を消した。過酷な状況を敢えて作り、対応力を鍛えた。1回目の着陸を果たした後の昨年4月、はやぶさ2は小惑星に人工クレーターを作り、地中の物質を剥き出しにした。近くに着地すれば、世界で初めて月以外の地中の物質が手に入る。千載一遇の機会だ。だが、探査機のカプセルには最初の着陸で貴重な試料が収まっている筈だった。岩だらけの険しい小惑星に再び降りるリスクは大きい。墜落すれば「全てを失う恐れもあった」(津田)。国中は「着実に地球に帰すことを優先すべきだ」と問い質した。津田は、挑戦したいチームとJAXA上層部からのプレッシャーの板挟みで押し潰されそうだった。チームは10万回に及ぶシミュレーション(※模擬実験)で着実に降りられることを示し、国中らを説き伏せる。昨年7月、2回目の着陸は1回目を上回る高精度だった。前のめりの過信ではなく、確かな自信で成功を掴んだ。りゅうぐう出発後も試練は続く。新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、オーストラリアでのカプセル回収が困難になる可能性も出てきた。春の緊急事態宣言下ではJAXAの活動も制限された。「帰還の延期も頭の中を過った」と国中は打ち明ける。津田はカプセル回収後の記者会見で、茶目っ気たっぷりに誇った。「100点満点でいうなら1万点」。 《敬称略》


キャプチャ  2020年12月18日付掲載

テーマ : 宇宙
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【宇宙開発サバイバル】(03) “JAXA村”に変革の波

20200805 08
先月21日未明、鹿児島県の『種子島宇宙センター』で歓声が上がった。『宇宙航空研究開発機構(JAXA)』の無人補給機『こうのとり』を積んだ『三菱重工業』のロケット『H2B』最終機の打ち上げが、無事成功したのだ。同社打上げサービス射場チーム長の鈴木啓司は、3密回避の為、握手ではなくプロ野球選手のような肘タッチでスタッフらと喜びを噛み締めた。華やかさとは裏腹に、現場は今回、薄氷を踏む思いだった。「絶対に感染者を出すな」。新型コロナウイルスの感染防止の為、島外からの派遣人数を通常より2~3割減らした。総合指令棟ではマスクにフェースシールドを重ねる徹底ぶりだった。だが、安堵できるのは束の間だ。今年度中に打ち上げ予定の次世代機『H3』を待つのは、市場経済の荒波だ。9回打ち上げたH2Bの顧客は全てJAXAだったが、今後は衛星通信会社等民需の開拓を迫られる。「継続的にコストを下げないと取り残される」。同社防衛・宇宙セグメント長の阿部直彦は焦りを隠さない。

H3の開発陣はコスト削減に突き進む。「車用の電子部品を使ってみては?」「3Dプリンターも試そう」。打ち上げ回数も増やし、1回当たりのコストを従来の半分の50億円程度に引き下げる構えだ。世界では、宇宙開発の“官から民へ”の流れが加速する。日本も例外ではない。今月11日、東京都千代田区のJAXA東京事務所。理事長の山川宏と『IHIエアロスペース』社長の牧野隆が、契約書にペンを走らせた。IHIグループはJAXAから事業を引き継ぎ、小型ロケット『イプシロンS』の打ち上げサービスに参入する。H3との部品の共通化によるコスト低減も狙う。「極めて重要なステップだ」。山川は民への移管に期待を込める。一方、政府の宇宙政策委員会は今月2日、宇宙基本計画の改定案をまとめた。国内の宇宙産業は技術面も含めて欧米よりも遅れていると指摘。「このまま格差が拡大すれば深刻な影響が生じる」と警鐘を鳴らした。「日本も遅れずに宇宙利用大国を目指して頑張らなければいけない」。宇宙政策を担当する科学技術担当大臣の竹本直一は語る。国の支援は引き続き重要とはいえ、今後の主役はやはり民間企業。創意工夫をどう生かすか。長らく国家の論理で動いてきた“JAXA村”も変革を迫られる。 《敬称略》


キャプチャ  2020年6月24日号掲載

テーマ : 宇宙
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【宇宙開発サバイバル】(02) 軍と融合、「強国目指せ」

20200805 07
シルクロードのオアシス都市として栄えた中国の新疆ウイグル自治区コルラ。先月末、巨大なゴルフボールに似た真っ白な施設が出現した。表面に書かれた文字は“GEESPACE 時空道宇科技”。中国の民営自動車最大手『浙江吉利控股集団』傘下で宇宙関連事業を手掛ける企業の施設だ。人工衛星から信号を受け取り、衛星を遠隔操作する役割を負う。「地球に根を張ると同時に、広大な宇宙に目を向けなければいけない」。そんな考えを持つ吉利の董事長である李書福の狙いと、アメリカに対抗できる宇宙強国を目指す国家主席の習近平の野望が重なって生まれた施設だ。実は、2人の関係は20年近く前まで遡る。習が2002年から浙江省トップ等を務めた際に、地元の有力企業を経営する李と知り合い、酌み交わす仲となった。李がスウェーデンの高級車メーカー『ボルボカー』の買収や、ドイツの『ダイムラー』の株の買い占めに動いた時も、習が全面的に支援したからこそ実現できた。

単なる自動車大国から脱皮して世界をリードする自動車強国を目指す習の構想を、李が“紅い企業家”として体現してきた面もある。そんな2人が次の目標に定めたのが宇宙強国だ。自動車で成功して宇宙に歩みを進めたことから、“中国版イーロン・マスク”とも呼ばれるようになった李。今年中に低軌道の人工衛星を打ち上げる。衛星を通じた高精度カーナビの提供で自動運転技術の実用化を加速し、世界全体をカバーするネット網を張り巡らす構想を描く。習も支援に動く。新型コロナウイルスで低迷した経済のてこ入れ策として、5G等“新しいインフラ建設”を打ち出したが、4月20日に“人工衛星を利用したネット網構築”を対象に加え、宇宙分野に参入した100社近くの民営企業に商機を与えた。更に、習が旗を振る軍民の技術を融合させることで双方の競争力を高める“軍民融合戦略”を、宇宙分野で加速する。「政府と軍の協力や支援は、想像を遥かに超えていた」。昨年、民間企業として初めてロケットによる衛星打ち上げに成功した『北京星際栄耀空間科技』。経営トップの彭小波は中国メディアに語った。米中のハイテクの覇権争いが激化する中、中国は民間活力を最大限に利用する軍民融合で、“2030年の宇宙強国”の実現を狙う。 《敬称略》


キャプチャ  2020年6月23日付掲載

テーマ : 宇宙
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【宇宙開発サバイバル】(01) 「月や火星に文明を」

嘗て国が主導してきた宇宙開発。今や主役は民間企業だ。新たな領域で覇権を争うプレイヤーたちの動きを追う。

20200805 06
「正しいことが起きるだろうと感じていた。どういうわけか、緊張はしなかった」――。アメリカの宇宙ベンチャー『スペースX』が、フロリダ州の『ケネディ宇宙センター』から2人の飛行士を乗せた宇宙船『クルードラゴン』を打ち上げた先月30日。CEOのイーロン・マスクは、離陸の瞬間の胸の内をこう振り返った。「美しい」。3㎞離れた展望台で打ち上げを見届けた大統領のドナルド・トランプは、そう漏らした。直後にスピーカーから流れたのは、お気に入りのエルトン・ジョンのヒット曲『ロケットマン』。満面の笑みで屋内に入り、待っていたマスクに声をかけた。「おめでとう」。この日の主役は照れくさそうに小さくお辞儀を返した。1969年に人類が初めて月面を歩いてから半世紀。国威発揚の為の宇宙開発は、冷戦の終結と共に熱気を失った。NASAにとって最大の敵は国民の無関心に変わった。『ピューリサーチセンター』の2018年の調査では、人類を再び月に送ることについて、44%が「重要でない」と回答した。1960年代に国家全体の4.5%を占めたNASAの予算は、1990年代以降、全体の1%を下回る水準に低下。2度のスペースシャトルの重大事故にも見舞われたNASAは、2000年代に入り、企業同士を競わせる民間委託に活路を求めるようになる。そこに期せずして登場したのがマスクだ。「収益基盤として、先ず衛星の打ち上げを目指し、何れ必ず有人飛行に参入する」。2003年にスタンフォード大学の講演に招かれたマスクは、17年後の自らの姿を見事に言い当てている。当時、32歳の若さ。前年にスペースXを設立したばかりだったが、「月や火星に自立した文明を築くことで巨大な市場が生まれる」とも豪語した。

マスクには確信に近い勝算があったようだ。インターネットの原型を生んだ国防高等研究計画局(DARPA)と同じように、「NASAが初期のコストを引き受けるべきだ」と主張。一旦確立された基礎技術を民間部門が取り込めば、「インターネットで目の当たりにした劇的な成長を宇宙でも見ることができるだろう」と予言した。『テスラ』のCEO等を兼務し、自身の『ツイッター』で3600万人超のフォロワーを抱えるマスク。先月30日のクルードラゴンの打ち上げはインターネットやテレビで中継され、世界で1000万人が視聴した。NASAでは、俳優のトム・クルーズが国際宇宙ステーションに滞在する映画の構想も動き始めた。民間企業による初の有人宇宙飛行という快挙も、マスクにとっては通過点に過ぎない。打ち上げ後の記者会見でも「火星への文明の旅の最初のステップになることを願う」と語り、尽きぬ野心を滲ませた。2024年までに女性宇宙飛行士らを月面に送るNASAのアルテミス計画。ここでもスペースXのような多くのベンチャーが参加する。公的機関が各社の技術力にお墨付きを与える形となり、昨年の世界の宇宙関連ベンチャーへの投資は57億ドル(※約6100億円)と、前年の1.6倍に増えた。トランプは4月6日、宇宙の資源利用に関する国際的な枠組み作りを指示する大統領令を出した。アメリカでは、営利目的での宇宙資源の利用や所有を認める宇宙法が2015年に成立した。今回のトランプの大統領令は、アメリカのやり方を他国にも認めさせようとするものだ。月や惑星の探査が大きなビジネスチャンスになるとすれば、資源開発が本命になると見込まれている。例えば、地球に近い小惑星『1986DA』には金やプラチナが多く存在し、直径約3㎞の天体には7兆ドルの価値があるとの試算もある。国家が呼び水を与えてフロンティアへの挑戦を促す手法は、探検家の大陸到達によって世界市場を生んだ大航海時代にも似る。ジョージタウン大学教授のクリストファー・ジョンソンは語る。「アメリカの明るい未来へのビジョンが、NASAやスペースXで働くことや、宇宙関連ベンチャーを立ち上げることを夢見る多くのアメリカ人の力になっている」。 《敬称略》


キャプチャ  2020年6月22日付掲載

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【WEEKEND PLUS】(66) 世界を驚かせた“ミスターブラックホール”にまさかの研究打ち切り指令!



20200403 09
昨年10月、本誌の企画に登場した際の本間氏。今回、国立天文台にも取材を申し込んだが、「現在対応協議中の為、取材をお受けできる段階ではありません」との返答だった。

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水沢VLBI観測所。アンテナの周囲にはVERAの説明が。同所以外の入来、小笠原、石垣島局の運用が7月に停止される予定だ。

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【2020年火星の旅】(下) 各国が探査機打ち上げ予定

20200310 03
宇宙開発で急速に実力をつけてきた中国も今年、火星に向け、周回衛星と探査機を同時に打ち上げる予定だ。有人宇宙活動を単独で実現し、月の裏側に無人探査機を着陸させた中国にとって、火星探査は次の大きな挑戦だ。アメリカや欧州・ロシア連合と同様、火星に嘗て存在した可能性のある生物の痕跡の発見と、太陽系の形成の解明に繋がる岩石採取等を目標に掲げる。中国は、宇宙開発に関する計画の詳細を明かさない。火星探査機『HX-1』(※左画像)の装備も不明な点が多く、火星表面での活動もかなり限定的な内容にとどまっている模様だ。探査機の技術力はアメリカや欧州の水準に追いついていないが、この計画を機に、他の惑星探査への足がかりを築いていくだろう。また、アラブ首長国連邦(UAE)も来年の建国50周年を記念し、日本のH2Aロケットを使い、火星探査衛星の打ち上げを計画している。中東諸国初の人工衛星になる。日本は火星にある2つの衛星(※フォボスとダイモス)を探査する計画を立て、2024年の打ち上げを予定している。


キャプチャ  2020年1月19日付掲載

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