【南鳥島に注目せよ!】(08) 資源量が物語るレアアース泥の高い可能性

20170524 13
ここまで解説したように、レアアースは現在のところ、中国等の陸上だけで生産されている。しかし、レアアースは太平洋の底にも“泥”として堆積しており、しかもそれは陸上で採取されるものより高濃度である。ここで左図をご覧頂きたい。これは、太平洋の“海底面下2m”で採取された泥が、平均してどれだけのレアアースを含有していたかを図解したものだ。2011年7月4日に『ネイチャージオサイレンス』で発表された内容を簡略化した図である為、南鳥島周辺海域等、日本の排他的経済水域(EEZ)については触れられていない。その理由は、連載最終回の加藤教授インタビュー内で詳細に語られている。扨て、この図で大きめの黄色い円が集中しているのが、タヒチの東側海域である。総じてレアアースの濃度が高く、1500ppm以上のレアアース泥が採取されたポイントも少なくない。あとは、南アメリカ大陸のイースター島付近でも、高濃度のレアアース泥が採取されているのがわかる筈だ。また、ハワイ島の東側や西側等でもレアアース泥が発見されたが、タヒチ東側海域と比較すると、その濃度はやや低め。

更に深く掘ることで、より高濃度なものが見つかる可能性もあるが、この海域には“海底の水深が深い”というネックがある為、開発は容易ではない。海底から揚泥するにあたって、水深が浅いほうがベターなのは自明の理だ。このような背景から、世界中の注目を集めているタヒチの東側海域。しかもこの海域は、世界最高水準の海洋資源開発技術を有するフランスのEEZなのだ。つまり近い将来、日本だけでなくフランスもレアアース資源国となる可能性がある。レアアース泥の魅力を語る上で欠かせないのが、資源量の多さ。堆積している範囲が広いだけでなく、堆積層の“厚み”も凄いのだ。例えば、赤道よりも北の中央太平洋では、何と50mもの厚さでレアアース泥が堆積しているという。南太平洋海域と、ハワイ周辺の中央太平洋海域の2つを合わせたレアアース泥の資源量は、凡そ120億トンと推測されている。アメリカ合衆国西海岸のファンデフカ海嶺の西側も、レアアース泥が厚く堆積している海域。海底から15mほど掘り進むと、そこには30mほどの厚みでレアアース泥の堆積層が存在している。こういった“海底に眠るレアアース”の資源量を試算すると、陸上におけるそれの実に1000倍以上になるのだ。また、開発にあたっての資源探査が容易であるのも、レアアース泥が注目を集めている理由の1つ。調査海域の4点を探査するだけで、凡その資源量が把握できてしまうのだ。コスト高になり易い海洋資源の開発において、これは非常に大きなメリットである。レアアース泥が如何に大きな可能性を秘めているか、これらの内容だけで十分に感じられる筈だ。


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【“地震予知”という名のニセ科学】(07) 新保険料率増減リスト掲載! 地震保険料率引き上げのカラクリ

戸建て新築時や分譲マンション購入時に誰もが加入を迷ってしまう地震保険だが、保険料率は年々上昇している。加入率や地域別のリスク判定はどうなっているのか? (取材・文/フリーライター 高島昌俊)

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住宅ローンを組む際、火災保険は完済までの加入が義務付けられている。任意である賃貸の場合でも、多くの世帯が入っている筈だ。それに対して地震保険は、持ち家・借家に関係なく全て任意だ。『損害保険料率算出機構』の調べによると、2015年度の地震保険の加入世帯率は29.5%と、全世帯の凡そ3割。それでも、調査開始の1994年時点では9%しかなかったものが、毎年右肩上がりで上昇を続け、約20年間で3倍以上に増えている。特に1995年の阪神淡路大震災、2004年のスマトラ沖地震の後は例年以上の伸びを見せており、2011年の東日本大震災の後は5年間で実に5.8%も増えている。とはいえ、地震大国という日本の事情を考えると、加入率は低いと言わざるを得ない。2016年11月現在、我が国で加入できる地震保険は商品単体で独立している訳ではなく、全てが火災保険の付帯保険という扱いだ。わかり易く言うと、オプションとして用意されている保険に過ぎない。そんな“おまけ”みたいな扱いの地震保険だが、保険料は加入を躊躇してしまうほど上昇の一途を辿っている。2014年7月には全国平均で15.5%の保険料率引き上げを実施したが、2017年1月にも5.1%が引き上げられる予定だ(※変更後の料金は下表の通り)。但し、引き上げがこれで終わりかといえばそうではない。同年以降も時期は未定ながら数年の間に2回の改定が控えており、2017年1月時点の料率よりも平均19%も高くなることが確定している。「地震が起きた場合のことを考えると加入しておきたいですが、家計の面から考えると、これほどの急激な保険料率の上昇は、間違いなく大きな負担になるでしょう」。そう話すのは、地震保険を始め各種保険に詳しい生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏だ。

地震保険料率は各都道府県によって細かく分けられているが、2017年1月は多くの自治体で引き上げとなる中、逆に下がっている地域もある。これは何故なのか? 「地震保険の保険料率は、各都道府県や発生リスクに応じて1~3等地に区分され、同じ等地でも更に細かく料金が分かれています。保険料率は構造によって、主に鉄筋コンクリートの建物・木造建築の2種類が存在しますが、それが予てより懸念されている南海トラフ地震のリスクを反映させて、震源モデルを更新しました。結果、地震リスクが最も高いとされる3等地→2等地、2等地→1等地へと引き下げられた自治体もあった。全体的には保険料率自体は引き上げになったにも拘わらず、等地ランクが下がったことで、対象地域においては事実上の値下げになってしまった訳です」(同)。具体的には、愛知県・三重県・和歌山県で15.3%のダウン。逆に埼玉県は14.7%、茨城県・徳島県・高知県では14.4%増と、平均以上の大幅引き上げとなっている。とはいえ、常に新しい震源モデルが反映される為、これはあくまで現時点でのものに過ぎない。しかし、本来なら保険商品の料金引き上げは、そう簡単に行われることはない。にも拘わらず、何故地震保険の保険料率だけが短期間でここまで引き上げになるのだろうか? 「大地震の発生リスクを考えた場合、『従来の財源では十分にカバーすることができない』と判断したからです。抑々、地震保険は生命保険や自動車保険等のように、各保険会社が用意する保険商品と性格が異なります。形態こそ各保険会社の火災保険の付帯保険という扱いになっていますが、地震保険は国が運営に携わっている特殊な保険。つまり、国の政策が反映されているのです」(同)。確かに、1966年に『地震保険に関する法律』が施行され、1980年に改正。条文には、「地震等による被災者の生活の安定に寄与するため、次の要件を備える地震保険を保険会社が引き受けた場合に、政府は再保険を行なうことができる」と定められている。更に同法には、「保険の対象は住居や家財のみ」「地震や噴火、それによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害のみを填補」「独立させた保険ではなく特定の損害保険契約に附帯させる」「保険金額は、附帯される損害保険契約の保険金額の30~50%に相当する金額が原則」といった内容が盛り込まれている。要は、地震を起因とする災害が保険適用の対象だが、補償額は付帯元の火災保険の50%を超えることはない。あくまで完全復旧ではなく、被害者の生活再建が目的なのだ。そして、地震保険の独占禁止法の適用除外も明記されている。その為、地震保険は各保険会社で取り扱う火災保険に付帯されているが、中身自体に大差も無ければ、どれだけ地震保険の加入世帯が増えても保険会社の利益にはならない。営利目的の販売ではない、謂わば“護られた保険”なのだ。とはいえ、冒頭でも触れたが、肝心の地震保険の加入世帯は期待したほど増えず、阪神淡路大震災で支払われたのは783億円。当初の想定を大きく下回った。その後、東日本大震災では加入世帯が増えたことで、支払われた地震保険は1兆2579億円と大幅に増えたが、震災直前の岩手県の世帯加入率は12.3%、福島県も14.1%と平均以下。地震保険に入っていなかったことで、生活の立て直しに苦労した世帯も多かった。

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【南鳥島に注目せよ!】(07) 待ち望まれるレアアースの国内生産

20170517 02
陸地面積は狭いが、その分、海洋面積の面では恵まれている日本の国土。海洋資源の開発に目が向くのは自然の成り行きで、その中でも特に大きな可能性を秘めているのがレアアース泥である。何よりも魅力的なのが、岩盤の掘削等を必要としない採取のし易さ。深海の底とはいえ、広々とした地形上や窪地に堆積しているケースが多い為、揚泥の障害となるものが少ないのだ。また、堆積層の厚さが十分にあるので、質だけではなく“量”の面でも期待できる。海洋資源の開発は得てしてコスト高となるものだが、レアアース泥は他の資源に比べると、格段に低いコストで開発できる。レアアース泥以外では、世界初の商業化を目指すプロジェクトが急ピッチで進められている“海底熱水鉱床”も注目すべき存在だ。これは、海底の地中から熱水と共に噴出した鉱物が堆積したもの。金や銀等の貴金属に、銅や亜鉛といったベースメタル等、多くの鉱物元素を含んだ鉱床である。海底火山の火口付近にある鉱床ながら、水深700~1600mと比較的浅いところに分布。

この浅さは大きな魅力だが、火山の噴火口から噴き出す熱水や、掘削機器へのダメージが大きい酸性度の高い海水等、開発に立ちはだかる壁も大きい。更に、自然環境への配慮といった課題も残されており、期待は大きいが容易ではないというのが正直なところだ。世界初の商業化がなるかどうか、今後も要注目と言える。後は、レアアース泥と同様に海底に沈殿しているコバルトリッチクラスト(マンガンクラスト)も、世界各国が開発に着手している海底資源の1つ。その名の通り、コバルトを豊富に含む鉱物だが、レアアースも平均で2000ppm前後と高い含有率を誇っている。2012年には、コバルトリッチクラストの公海上での探査を、日本と中国が国際海底機構に申請している。これが2014年1月に認められ、日本は世界に先駆けて、15年間の探査契約を結ぶことになった。これがどのような成果を齎すか、先々が実に楽しみだ。このように、海洋資源の獲得に向けた日本の動きは、近年、かなり活性化している。しかし、大本命はやはりレアアース泥。南鳥島の周辺海域だけで、何百年分もの国内需要を賄える埋蔵量がある。何よりも急ぐべきは、中国による支配からの脱却だ。ハイテク産業に不可欠なレアアースの生産を中国が独占している限り、いつまた“レアアースショック”が起こっても不思議ではない。それに備え、また中国の強硬姿勢に対抗する為にも、先ず先鞭を付けるべきはレアアース泥の開発。その開発が順調に進み、商業化が果たされた暁には、これまでとは全く違う“未来”が待ち受けている。資源を輸入して、ものづくりで儲ける国として歩んできたこれまでの日本。しかし、レアアース泥という資源は、そんな日本を一変させる可能性を秘めているのだ。


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【“地震予知”という名のニセ科学】(06) 地震予知が可能と謳う民間の地震予測会社の実態

「国がやらないなら民間で」ということなのか? 怪しい“民間地震予測会社”が増えている。その背景には、科学者たちの事情もあるようだ。 (取材・文/フリーライター 槍田創)

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民間の地震予測会社が存在することをご存知だろうか? それらの会社のホームページには、夢のような言葉が並ぶ。「巨大地震発生を○日~○日前後に予測する」「M7以上の地震の予兆について、○~○週間前までに会員に情報を提供する」といった具合である。日本の地震学者でさえ短期予知を困難としているが、彼らは先行現象を捉え、数日~1ヵ月単位での予測が可能としている。「非常に懐疑的である」と語気を強めるのは、東京学芸大学の鴨川仁准教授(物理学)だ。「私自身、地震発生の前触れとされる先行現象を研究していますが、我々の研究を含め、地震予測が可能な確かな先行現象は今も確認できていません。多くの民間地震予測会社は、『地震発生前に起こる異常を様々な手法で観察し、それを基に地震の予測を行う』としていますが、地震とそれら先行現象に相関関係があるとは言い切れない筈です」。鴨川氏は、アマチュアの天文学者であり、地震予知者としても有名な八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏による“FM電波の地震予報”を例に挙げ、こう続ける。「彼はFM電波を用いた流星エコーの観測中、流星のものとは異なる電波の変動を発見し、それが地震活動と関連があるとの結論を出しています。それが彼の地震予測法で、串田氏は阪神淡路大震災以降、会員向けに地震予知情報の配信を行っています」。月額5000円を支払うと、ファックス又はメールで、月に数回情報が配信される仕組みのようだ。串田氏の著書によると、普段は届かない遠くのFM放送局の電波が、地震発生前に震源の上空で散乱して受信強度に変化が現れる為、これを解析することで地震予測が可能としている。

テレビ出演時にも「M6以上の地震なら75%の確率で的中する」と発言する等、その手法には大きな自信があるようだが…。鴨川氏が続ける。「抑々、地震はマグニチュードが小さくなると、桁違いに数が増える。極端に言えば、マグニチュードの小さな地震を対象に警告を出せば、かなりの確率でその警告は当たったことになります。一方で、マグニチュードの大きな地震に対して警告を乱発していれば、かなりの確率で警告後に地震が発生する。当たっているとされる地震予測情報の殆どが、この何れかによって導き出された適中率・予測率の高いほうだけを宣伝していると思われます。ビジネスとしてやる以上、“○%当たった”等とわかり易い数字で宣伝しなければ、商売にはならないのかもしれません」。他の民間の地震予測会社のサービス内容を見てみても、確かに強気な数字が並んでいる。「震度5以上の地震はすべて的中」(メールマガジン『MEGA地震予測』)、「地震該当率92%」(富士防災警備株式会社のサービス)。MEGA地震予測では「GPSデータを用いた地殻変動解析により地震予測できる」とし、富士防災警備では「VLF/LF・ULF・GPSといったいくつかの観測手法で予測している」と、尤もらしい科学的根拠が書かれてあるのだが…。一体、この2つの会社は何なのか? 鴨川氏がこう続ける。「ここ数年、メディア等に登場し、有名となっているのが、東京大学の村井俊治名誉教授が顧問を務めるメールマガジン“MEGA地震予測”です。国土地理院が全国1240ヵ所に設置したGPSを用いて地殻変動を解析し、地震予測情報を有料メールマガジンとして会員に配信しています。国土地理院の方と随分協議を重ねましたが、地震の前兆としての地殻変動を見ることはできません。先行現象として、地震の直前に僅かな地殻変動がある可能性はゼロではないかもしれませんが、“地震予測として使用できる”との科学的な証明はなされていません」。メールマガジン同様、富士防災警備も権威ある専門家を抱え、サービスを展開しているようだ。ある地震学者がこう話す。「電気通信大学の早川正士名誉教授が顧問として関わっています。電磁環境学専門の早川教授は、地震の前になると電離層が2~3㎞下がることに注目し、『この電離層が下がる現象を観測すれば地震が予知できる』としています。具体的には、潜水艦の通信に用いられている超長波(VLF電波)を使用し、地表面のある地点から電離層までの届く時間を調べる。地表面と電離層を交互に反射しながら進むVLF電波は、電離層の高さに応じて進む距離が増減する為、電離層の高さによって時間の変化が起きるのです。早川教授は研究論文も数多く書いており、『VLF電波の電波異常も地震の先行現象である』と見られています。但し、地震予測として使えるものかどうかははっきりしません」。

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【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(13) 「車向けは第2の波、次世代電池も開発進む」――吉野彰氏(『旭化成』顧問)インタビュー

20170512 07
――リチウムイオン電池の試作品完成から30年。これだけ普及している現状をどう見ているか?
「試作を経て商用化したのは1990年代。当初はビデオカメラ用を想定してのもので、市場は大きくなかった。しかし、1995年以降に急速にIT化が進み、パソコン・携帯電話・スマートフォン向けが急拡大した。IT機器用途など想定もしていなかったが、時代のニーズに乗って大きな市場を創ったと言える。今、世界の共通課題となっている環境問題を背景に、リチウムイオン電池は第2の大きな波に乗っている。その先頭にいるのが電気自動車(EV)だ」

――EVでは航続距離を伸ばそうと、各社が研究開発に熱心だ。
「自動車は、開発着手から世の中に出るまでに5年間かかる。実証実験や認証が必要だからだ。2015年にマイナーチェンジした日産自動車・リーフの航続距離は約300㎞だ。これは2010年頃の電池技術と言える。現在はニッケルの比率を高めたリチウムイオン電池が開発されており、400㎞まで到達したとみられる。2020年に商用化されるEVは、このレベルになるだろうという流れはできている」

――どこまで距離は伸びるのか?
「2025年に商用化されるEVは、500㎞までは行くだろう。しかし、それ以上伸ばすとなると、材料を根本的に変えなければ技術的に難しい。正極に使うニッケルの資源量が限られているという問題もある」

――日系電池メーカーは先行して市場に参入したが、中国・韓国勢に追い上げられた。部材メーカーも同じ道を辿る懸念はないか?
「EV用電池は現在、毎年のように技術改良をしている。日系メーカーは、最先端の技術開発・実用化には強い。改良ペースが速いうちは心配していない。中国の部材メーカーは、国内産業保護の観点から、中国国内では使われている。しかし、現段階で中国の部材メーカーが日本・ヨーロッパ・アメリカまでを席巻することは考え難い。ただ、技術開発ペースが落ちてくると追いつかれる可能性はある」

――リチウムイオン電池の次に実用化されそうな電池は?
「次世代電池として検討されているのが、全固体電池・空気電池・リチウム硫黄電池だ。この内、全固体電池の技術進歩は目覚ましい」

――全固体電池の技術進歩とはどのようなものか?
「昨年、東京工業大学の菅野了次教授が、リチウムイオンの伝導率(※イオンが移動するスピード)が液体の2.5倍という画期的な電解質を開発した。この電解質を使うと、出力は25倍になることがわかった。これまで、全固体電池は『電解液を固体にするので、液漏れが無く、安全だ。しかし、イオンが動き難いので出力は低い』と言われていた。しかし、菅野教授が開発した電解質を使って作ってみると、逆の結果となった」

――全固体電池の試作はどの程度まで進んだか?
「リチウムイオン電池材料評価研究センターでは、スマホ大のものを試作した。スマホ程度ならば動かせて、今はドローン(小型無人機)を動かすまでの出力を目指している」

――EV向けリチウムイオン電池の航続距離が2025年に500㎞で限界を迎えるとすると、それ以降は全固体電池に期待がかかる。実用化の目途は?
「未だ時間がかかる。電解質の固体は粉末だ。『どのようにして大量生産用に電極に加工するのか?』という技術的な問題がある。コスト面の課題もある。EV向けに2025年までに実用化するのは難しい。ただ、EV普及前に、市場で電子機器等民生用に普及させて、実績を作らないといけない」 (聞き手/本誌 種市房子) =おわり


キャプチャ  2017年2月14日号掲載

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【南鳥島に注目せよ!】(06) 火山活動とマグマがレアアースの源

20170510 09
レアアース泥の成り立ちについて、これまでの繰り返しになってしまう部分もあるが、大変重要な項目なので、ここでより詳しく解説させて頂こう。レアアースを生み出す上で欠かせないのが、火山の活動である。海底に堆積するレアアース泥だけでなく、陸上に生成されるレアアース鉱床においても、それは同じだ。何故なら、火山活動によって地中から噴き出すマグマの中に、レアアースの主成分が含まれているからである。陸上のレアアース鉱床は、地上に噴き出したマグマが、地殻の割れ目等に染み込んでいく過程で、レアアースの成分が濃集されたものである。そしてレアアース泥も、海底火山の活動により発生したマグマだまりが熱水活動を促し、地中から海中へと鉄質懸濁物質が噴き出す…といった過程を経て生成されるものだ。何れも、火山活動の“副産物”なのである。海中へと噴き出した鉄質懸濁物質は、マグマの中にあったレアアースの成分だけでなく、海水に溶け込んだレアアースやレアメタルの成分も吸着するという特徴を持つ。

海中を漂いながら吸着を繰り返し、レアアースの含有量を上げつつ、軈て静かに海底へと沈殿していく。これらが途方もない年月をかけて海底に堆積したものが、レアアース泥の正体だ。その生成を助ける存在は鉄質懸濁物質の他にもあるが、基本的にはこれが、レアアース泥が生み出される一連の流れと言える。泥の中に高濃度のレアアースが集積される上で、鉄質懸濁物質と同様に大きな働きをすると考えられているのが、『フィリップサイト』という鉱物。灰十字泥石とも呼ばれる合水珪酸塩鉱物の一種である。フィリップサイトは、その空隙にレアアースを強く引き付ける特性を持っている。“空隙”とは聞き慣れない言葉だが、簡単に言えば岩石や鉱物にある“隙間”のこと。要するに、鉄質懸濁物質と同様、レアアースを吸着し易い物質なのだ。このフィリップサイトが海中で生成される理由については、未だ十分な検証がなされていない。しかし、フィリップサイトの起源物質は“火山ガラス”というガラス質の物質で、マグマが急激に冷やされる過程で生成されるのがわかっている。つまり、この物質も海底火山の活動が生んだ副産物と言えそうである。鉄質懸濁物質やフィリップサイトとは対照的に、レアアースの集積を阻害する作用を持つ物質があることも明らかになってきた。炭酸カルシウムを成分に持つ、有孔虫の死骸が堆積したケースがそれだ。炭酸カルシウムは、泥の中にあるレアアースの濃度を希釈してしまう。その為、有孔虫の死骸が化石化して海底に堆積している場合がある“水深4000mまで”の海域では、高濃度のレアアース泥が採取できない可能性が出てくる。しかし、海嶺や海底火山から遠く、海底が4000mよりも更に深い海域であれば、そのような心配は無用。高濃度のレアアース泥が十分に期待できる。


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【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(12) リチウムの次は何か…材料研究では日本がリード

20170508 06
便利なリチウムイオン電池だが、性能の限界も見えてきた。“次”を巡る研究が本格化している。次世代電池の最有力候補と目されるのは、“全固体電池”だ。全個体電池は、電解質・正極・負極等全てを個体で構成する電池。リチウムイオン電池は電解液の中をリチウムイオンが往来することで充放電するのに対して、全固体電池は固体の電解質の中をリチウムイオンが移動する。固体の為、液漏れが無くなり、また難燃性の素材を電解質に使用するので発火の危険性が低くなり、安全性が高まる。更に、1つのセルに電極を積層できる為、高電圧化・大容量化し易く、理論的には電気自動車(EV)の走行距離をリチウムイオン電池の2.5~3倍に伸ばすと考えられている。充電時のイオンの移動が限られているので、電極や電解質の劣化が抑制されるメリットもある。全固体電池は、ほんの数年前までは“夢の次世代電池”と考えられていた。だが、近年は実用化に向けた研究開発が急速に進み、実用化の目途が従来よりも10年前倒しされ、2020年代には製品が出回る見通しだ。実用化前倒しのきっかけとなった研究の1つが、2015年に東北大学が電極にコバルト酸リチウム、電解質に窒素添加リン酸リチウムを用いて、リチウムイオンが移動する時の抵抗を液体電解質よりも低く抑えることに成功したというものだ。「全固体電池は電極と電解質の境目の抵抗が大きく、リチウムイオンの移動が制限されて十分な出力を出せない」と言われていたが、その課題を克服する技術として注目された。

2016年には、実用化に向けたコスト抑制や量産化の課題解決に関する研究が、民間企業から出てきた。『トヨタ自動車』は東京工業大学と共にセラミックス電解質を開発し、従来の2.5倍の出力特性を実現。『日立造船』は、硫黄物系固体電解質を使用した全固体電池の開発に取り組む。電解質と電極原料の粉末をプレスによって加圧成形する技術を開発して、製品化に向けて一歩前進した。『三菱ガス化学』も東北大学と共に、量産化技術を開発している。この他、『村田製作所』も全固体電池の研究を進めており、同じく全固体電池の研究開発を進めてきた『ソニー』の電池部門を傘下に収めることで、実用化に弾みがつくと期待されている。既に全固体電池は、センサー用等超小型の分野では実用化されている。また、フランスのベンチャー企業『BatScap』は、全固体電池を搭載したEVを開発し、カーシェアリング車両向けに実験的ながら供給を始めていると言われる。だが、スマートフォン等の民生品や、将来的に車載向けの分野で本格的に実用化していく為には課題も残る。その1つは、材料の構造に合わせた最適な製造方法と安定的な量産体制の構築だ。電解質を固体にすることで、液体の場合と違って高度な材料成形の技術が必要となる。電解質には、リチウムイオンが行き来する微細で複雑なナノ構造を構築しなければならないからだ。謂わば、製造時の歩留まりが低くなるという課題がある。また、高い安全性が要求される車載向けでの実用化は、更に時間がかかることになりそうだ。リチウムイオン電池や全固体電池よりも蓄電密度を高められると考えられている“金属空気電池”の研究も進んでいる。金属空気電池は、正極は空気中の酸素を利用し、負極に金属を使い、酸素と金属の化学反応で電気を生み出す電池。エネルギー密度(容量の大きさ)はリチウムイオン電池の50倍に達すると考えられており、勿論、全固体電池をも遥かに凌ぐ。現在、『新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)』・京都大学・トヨタ自動車・『日産自動車』・『パナソニック』等が研究を進めている。金属空気電池はまだまだ研究の途上にあり、データの蓄積も少ない。実用化は2030年以降になると見られている。スマホ等の民生用も車載用も、量産化が進めば進むほど、電池の価格低下の圧力は強まる。近年は中国メーカーの台頭で、電池の価格は急速に下落している。メーカーは、次世代電池の開発に取り組まなければ、電池の価格下落の圧力に対抗することができない。また、リチウムイオン電池の価格が下がり過ぎると、太陽電池同様、廉価に大量生産できる企業による寡占化の問題もある。次世代電池の開発に当たっては、技術面のみならず、コスト競争力の向上が必須な状況にある。希少金属であるリチウムの消費も著しく、早晩、材料費が高騰することが予想されている。こちらも、ナトリウム等の新たな材料の電池開発、電池リサイクルの社会インフラの早期確立が求められる。

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【“地震予知”という名のニセ科学】(05) 地震学の頂である『東京大学地震研究所』は本当に必要なのか?

“調査研究費”という名の恩恵を受けてきた学者たち。そのトップに君臨するのが『東京大学地震研究所』である。この知られざる組織の内部に迫る! (取材・文/本誌編集部)

20170508 01
“日本地震研究の1丁目1番1号”・“地震村の村役場”・“地震学の総本山”――。東京大学地震研究所(以下“地震研”)は、そんな呼ばれ方もする。地震研は関東大震災後の1925年、地震・火山の現象解明とその減災研究を目的に、旧文部省の『震災予防調査会』を引き継ぐ形で設立された。競合する組織も無く、戦後も地震研究の中では最も多くの予算を獲得してきた。地球物理学としての地震学は、観測データが取得できるようになって僅か100年の学問と言われる。その為、地震学に関する研究部門を有するのは、東京大学を始めとする旧帝国大学が中心だ。そのスター教授たちが集まる地震学の頂点、それが地震研である。地震予知や減災に関する研究を中心に、予算を獲得してきた。文部科学省から各大学への交付金は、具体的な詳細が明らかではないが、『東京大学地震研究所年報2015』(※左図)によれば、人件費と物件費だけで30億円(2014年)を超えている。そんな潤沢な資金を持つこの研究所は、内部の研究者から“プロ野球で言えばジャイアンツ”と例えられているようだ。資金力があり、有力な選手を集められる『読売ジャイアンツ』同様、全国各地の帝大や独立行政法人系研究所の有力な地震学者を引き抜き構成される、まさに“地震学の総本山”だからであろう。内部の研究者が語る。「東大以外の旧帝大系の地震学の研究室と比べれば、研究室当たりの年間予算はゼロが2つ違う。地震学者であれば、『何れは地震研へ…』と願っている人は少なくない」。

とはいえ、若手の研究者には人気が無いようだ。国からの予算が潤沢にあるが故、研究計画書(※請求書)や研究報告書(※領収書)を作る等の事務仕事に忙殺される為、地震の研究をする時間が無いからだ。地震研内部を知るある地震学者は、こう話す。「地震研に声をかけられるまで、地方の大学で准教授クラスまで自分の研究を続けるのが王道でしょう。若くして地震研に入っても、教授の雑用係になってしまう」。だが、そんな地震学の総本山が地震予知や防災等、我々国民にとって有効な研究結果を出しているかと言えば、甚だ疑問である。大地震発生後の地震研に所属する研究者の発言を振り返ってみても、眉を顰めざるを得ない。「ノーマークだった」「想定できなかった」。誰でも言えることだ。一方で、地震予知の可能性は否定しない。否定すれば最後、自らの立場が無くなってしまうからだろう。地震研は謝罪会見に追い込まれたこともある。2013年に起きた断層誤認事件だ。事件の舞台は、東京都で最も大きい断層の1つと言われていた立川断層(※後に「立川市内には断層の痕跡が見つからない」として、“箱根ヶ崎断層”に名称変更)。地震研の佐藤比呂志氏が、武蔵村山市内にあった『日産自動車』村山工場の跡地内で断層の掘削調査を行った。所謂“トレンチ”と呼ばれる大きな溝を掘り、そこに露出した地層から過去の地震の履歴等を調査した。この時、佐藤氏は「掘削断面で凝灰岩と見られる石が垂直方向に並んでいるのを発見した」として、「これまでは立川断層が上下に動く逆断層と言われていたが、横ずれ断層の可能性が高い」と発表した。ところが、この現場を一般公開した際に見学した土木関係者から、「佐藤氏が凝灰岩と判断したものはコンクリートではないか?」と指摘を受けた。その後の調査で、日産村山工場建設時の基礎工事で打ち込まれたコンクリート杭の残存の可能性が高まり、佐藤氏は「(活断層がある筈だという)催眠術にかかっていた」という珍妙な言い訳で謝罪に追い込まれた。前出の地震学者が語る。「早期に率直な謝罪をしたということで、研究者の中では概ね好意的な評価でした。ただ、この時のトレンチによる掘削範囲は、通常の同じ調査の数倍の規模だった。『それだけの予算を使いながら何をやっているんだ』という声もあったのは事実です」。だが近年、地震研の評判を最も悪化させた事件は他にある。東日本大震災翌年の2012年1月23日、読売新聞の1面に衝撃的な記事が掲載された。『首都直下型 M7級 4年内70% 地震活発 切迫度増す 東大地震研試算』。当時、政府の『地震調査研究推進本部』が同じ首都直下型地震で公表していた30年以内の発生確率は70%。極めて大きな数字だったことから話題になった。この試算は、地震研の平田直教授を中心とする研究チームが纏めたもの。平田教授は現在、東京大学地震研究所地震予知研究センター長や『東海地震判定会』会長も務める日本を代表する地震学者だ。試算そのものは、“グーテンベルクリヒター法則”と呼ばれる古典的な地震の確率理論から算出されていた。しかし、概算と言っていいほど、その時々の地震発生状況や地域の設定で誤差が出る試算方法であり、試算結果を公表することには一定の考慮が必要だった。

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【南鳥島に注目せよ!】(05) レアアース泥の特徴と優位性

20170501 17
どれほど貴重な資源を含んだ鉱床であっても、“含有量”が少ないのでは採算が取れず、事業として成立しない。また、抽出や精錬にかかるコストが高い場合にも成立しない。では、加藤教授が発見したレアアース泥はどうか? 含有量の比較対象として最も適しているのは、中国南部にある世界唯一の重レアアース鉱床『イオン吸着型鉱床』だろう。この鉱床のレアアース含有量は400ppm。それに対して、太平洋・タヒチ東側海域の海底から採取されたレアアース泥は、ランタノイド15元素とイットリウム(Y)が1501ppm・1536ppmと、中国の陸上鉱床を大幅に上回る含有量を示している。また、南アメリカ大陸のイースター島付近で採取されたレアアース泥も、1150ppmという高い含有量をマーク。海域や海底の堆積状態により左右される部分はあるが、レアアース泥の含有量は全体的に、陸上鉱山よりも多い傾向にある。商業化を考える上でも、大変魅力的な鉱物資源と言えるだろう。その資源量は陸上の800倍とも言われており、より希少な重レアアースの含有量も陸上鉱山を上回るというのだから素晴らしい。

レアアース泥が持つもう1つの特徴が、トリウムやウランといった放射性元素を殆ど含まないということ。つまり、陸上の軽レアアース鉱床とは違って、放射性元素の処理や、それに伴う環境問題に頭を悩ませる必要がないのだ。コスト面だけでなく安全性においても、これは大きなメリットである。更に、資源開発に必要な探査が比較的容易であるのも、レアアース泥の大きな魅力。海底の状況を把握する基礎調査だけで、その堆積状況がある程度はわかってしまう。鉱床の探査のように硬い岩盤を掘削する必要はなく、船上からピストンコアラー等の機器を海底に向けて沈み込ませれば、レアアース泥が詰まったコア試料を採収できる。当然ながら、探査にかかる費用も、陸上のレアアース鉱床に比べると、格段にローコストなのである。そして、忘れてはならないのが、泥からレアアースを抽出するのが容易で、しかも高効率であること。濃度の薄い硫酸と混ぜ合わせるだけで、含有するレアアースの85%ほどが抽出できる。前述のイオン吸着型鉱床では、硫酸アンモニウムを用いてレアアースの溶液を作成しているが、こちらの抽出率は75%前後。効率という観点から見ても、レアアース泥は極めて優秀なのだ。最後に、環境に及ぼす影響の低さについても触れておこう。レアアース泥はその名の通り、海底に堆積している“泥”であり、それ自体には何の害も無い。海底から揚泥する際に泥が舞い上がることがあっても、周辺海域の環境に悪影響が出るようなケースは考え難い。つまり、レアアース泥は環境に優しく、探査や抽出が容易でローコスト。それでいて、埋蔵量が多い上に含有量まで高いという、文句無しに有望な資源なのである。


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【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(11) 航続距離の競争…電池を使うノウハウがカギ

20170501 07
世界の電気自動車(EV)市場で、航続距離(※1回の充電で走行できる距離)競争が激化している。昨年8月、EVとして初めて航続距離500㎞を超える『モデルS』を発表したアメリカのEVメーカー『テスラモーターズ』に対し、自動車メーカー各社の対抗姿勢が鮮明になっている。『ダイムラー』は翌9月29日、パリで開催された『パリ国際自動車ショー』で、航続距離500㎞の『メルセデスベンツ』のEVブランド『EQ』を発表。EV専用の車体を新開発し、2025年までに10種類のEVを発売する計画を打ち出している。『フォルクスワーゲン(VW)』も同日、EV専用に開発した車体『MEB』を採用したコンセプトカー『I.D.』(右画像)を発表した。このI.D.をベースに、航続距離最大600㎞のEVを2020年に発売する。『BMW』は2013年、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)のブランド『i』を立ち上げている。同年に発売した『i3』の航続距離は最大190㎞だったが、昨年改良されたi3では300㎞へと延伸された。テスラの次にEVの販売実績を持つ『日産自動車』も、『リーフ』の航続距離を228㎞から280㎞へと延伸させている。テスラが今年7月に新たに発売するEV『モデル3』の航続距離は345㎞だ。モデルSが1000万円台と高価格だったのに比べて、車体が小さくなったモデル3は400万円台と大幅に価格を下げている。高級車から大衆車へとシフトする世界のEV市場は、テスラのEVの航続距離を1つの指標に、今後10~20年は航続距離400~500㎞前後の間での品質勝負となっていくことが予想される。

航続距離延伸のカギは、EVに使われるリチウムイオン電池の技術進化だと言われるが、実際は違う。「様々な研究開発プロジェクトが、既存の電池性能を飛躍的に向上させた」というニュースを頻繁に目にするが、これらは実用性の域に達していない。地道な研究の積み重ねで進化してきた電池の技術革新が、そう簡単に起こるとは考え難く、現段階で電池メーカー各社の電池技術・性能に大きな差は無いだろう。では、何が航続距離延伸のカギとなるのか? 例えば日産は、電池のパッケージ技術を見直し、単電池(セル)の電池容量を高めることで、リーフの航続距離を伸ばすことに成功した。EVの電池は、複数のセルからなるモジュールの集合体から、1つの電池パックが構成される。従来は1つのモジュールに4つのセルを組み込み、48個のモジュールで1パックとしていたが、これを1モジュール当たり8セル組み込んで、合計24モジュールを1パックとする構成に変更した。総セル数は同じだが、モジュール数を半分に減らし、スペース効率を向上させることで、冷却効率を高めながら、セルの電池容量も増やすことができたとみられる。また、VWが本国で2012年に発売したEV『e-Up!』では、電池の電圧と充放電の流れを1つひとつ監視して、細かく制御する半導体を搭載した。電圧を均等にしたり、電圧が異常に高くなるのを防ぎ、電池の性能を効率良く、最大限引き出した。このように自動車メーカーは、「狭い空間にセルを詰め込んでも、如何に放熱し、電池性能を安定して引き出すか?」という“電池を車に積む”ノウハウや、「自社の車の設計や制御機能にどんな工夫が必要で、そこにどんな電池を積むか?」といった目利きが大切になる。その点では電池メーカーも、「既存の電池性能で如何に要件を満たし、安全でコストを抑えながら量産化できるか?」といった知見が求められている。最終的には、こうした積み重ねが航続距離延伸の決め手になると考えられる。 (自動車ジャーナリスト 川端由美)


キャプチャ  2017年2月14日号掲載

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