ある日突然、もう1人の自分と出会う…戦慄のドッペルゲンガーの謎に迫る!

いる筈のないもう1人の自分――。「出会ってしまったら死を免れない」と古くから言い伝えられ、人々に恐れられてきた謎の現象『ドッペルゲンガー』。その真相は“生霊”か、“異次元への誘い”か? ドッペルゲンガーの謎に迫る。 (取材・文/本誌編集部)





20180711 04
ドッペルゲンガーはドイツ語で“二重に出歩く者”という意味で、自分とそっくりのもう1人の存在を表す言葉である。昔から人々の間で語り継がれ、同時に恐れられてきた現象であり、ある日突然、自分とそっくりの人間が姿を現し、そのもう1人の自分を見てしまった者は近いうちに死ぬと言われる。この自分とそっくりの存在に自分や他人が不意に出会ってしまう現象は、ドイツはもとより、世界各地で度々報告されており、一定の共通点を持つ現象として科学的に研究の対象にもなってきた。著名人でも、アメリカ合衆国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンや、フランスの文豪であるギ・ド・モーパッサン、戯曲『ファウスト』で有名なドイツのヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、日本では小説家の芥川龍之介等、 世界中で多くの人物が「自分のドッペルゲンガーを見た」と証言している。しかし、“もう1人の自分が存在する”等という現象が本当に存在するのだろうか? 日本では“離魂体”と呼ばれる、ドッペルゲンガーと同等の報告例が古くから存在している。そして、この現象が多く目撃される場所を“霊場”と呼んで、人々は恐れてきた。霊場とドッペルゲンガーの因果関係がわかっていないが、ドッペルゲンガーが多く目撃されるといわれている霊場に岩塔ヶ原というところがある。岩塔ヶ原は群馬県の尾瀬ヶ原の北西に位置し、国内最後の秘境とも呼ばれる場所だ。ここはサンカ(※1950年代に消滅したと言われる、嘗て日本の山間部に見られた漂泊民)の霊場で、半地下の大神殿があると言われており、様々な怪奇現象が目撃されてきた。この岩塔ヶ原一帯は自然保護の為、立ち入り禁止措置が取られているが、それすら「サンカによる隠蔽工作だ」という疑いも持たれている。

また、尾瀬ヶ原周辺のガイドブックや、観光関連の書籍を開いてみても、何故かこの岩塔ヶ原には触れられていない。岩塔ヶ原の情報は極端に少なく、どれも憶測の情報ばかりである。嘗て食生態学者で登山家の西丸震哉氏は、岩塔ヶ原に行った時に「自分のドッペルゲンガーに2回も出会った」と自著で記している。ドッペルゲンガーが、いつ、どこで現れるのかを予測することはできないが、どうしてドッペルゲンガーが現れるのかということについては、近年の科学で解明されつつある。この現象を研究しているある欧米の専門家によると、俗に言うドッペルゲンガーに似た症状は、医学的には『オートスコーピー(自己像幻視)症状』と言い、統合失調症や境界例(※人格障害の一種)でみられる症状ではないかというのだ。現在、ドッペルゲンガーが現れる原因として一番有力なのが、脳の異常による幻覚(※幻視)であるとする説である。これは一種の精神病の状態にあると言えるのだが、脳神経の伝達異常に原因があるという見方が多い。一方、スイスのピーター・ブルッガー博士は、心理学とは別の見方からドッペルゲンガー現象が起こる原因を説明している。ブルッガー博士によると、脳の側頭葉と頭頂葉の境界付近に腫瘍が出来た場合にドッペルゲンガーを見ることがあるというのだ。これは、ボディーイメージと呼ばれる自分自身を認識している感覚に異常が起きる為だそうだが、他にも偏頭痛による血流の異常による説等、何れも物理的に脳神経がダメージを受けることでドッペルゲンガーを見る可能性があるとしている。確かに、脳腫瘍等の脳疾患が原因であるならば、“自分のドッペルゲンガーを見た人間が近いうちに死んでしまう”という理由にも繋がってくる。しかし、脳の疾患だけでドッペルゲンガー現象の全てを説明できるのだろうか? 東京都内の病院に勤務する精神科医は本誌の取材に対し、自身の体験を証言してくれた。「実は以前、自分のドッペルゲンガーを訴えてきた患者さんがいたんですが、脳には異常は見られませんでした。そこで念の為、暫く通院してもらうことにしたのですが、その時から私が不思議な体験をすることになったんです。私が病院の廊下を歩いていると、目の前をその患者が横切ったんですよ。私が挨拶しても返事もせず歩いて行ってしまって。そんなことが何度か続いたんです。当然、診療も無いのに毎日のようにその患者が病院にいる筈がない。不思議に思っていると、1週間くらい経った頃、その患者が亡くなったっていう話を聞きまして。若しかしたら、私が見たのがその患者のドッペルゲンガーだったのかもしれません」。

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政府肝入りの巨額研究プロジェクト、責任者の偏りに高まる不満

20180615 05
『富士通』の佐相秀幸顧問(※右画像)と慶應義塾大学の安西祐一郎名誉教授が、内閣府の2つの大型研究開発プロジェクトの責任者を其々兼務することになった。研究開発予算が減る中、一部の研究者だけが国のお墨付きで巨額研究費を差配する状況に、怨嗟の声が上がっている。プロジェクトは、どちらも今年度に始まる『次期戦略的イノベーション創造プログラム』に今年度の予算325億円、『官民研究開発投資拡大プログラム』に同100億円。両プロジェクトの2事業に“フィジカル空間”・“サイバー空間”という共通テーマを設定し、前者に佐相氏、後者に安西氏を責任者として兼務させることを決めた。佐相氏は富士通副社長や『エレクトロニクス実装学会』会長、安西氏は慶應義塾長や『日本学術振興会』理事長を歴任した業界の“大御所”だ。他の研究者からは、「目玉のプロジェクトが“知名度頼み”では、イノベーションなど生まれる筈がない」と落胆の声が漏れてくる。


キャプチャ  2018年5月号掲載

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世界のパンダ、白浜が救う――「“浜系”は大家系を構成している」、中国も注目の繁殖法

『上野動物園』が昨年6月に生まれた赤ちゃんパンダ“シャンシャン(香香)”の公開に沸く中、本場の中国では、和歌山県白浜町のレジャー施設『アドベンチャーワールド』で生まれ育ったジャイアントパンダの一族が“浜系”と呼ばれ、自然繁殖の未来を支える存在として注目を集めている。 (取材・文/国際部 津田知子・中国総局 竹内誠一郎)

20180222 07
アドベンチャーワールドを昨年12月上旬に訪れた。飼育されているパンダたちは、木にぶら下がる等元気に動き回り、食欲も旺盛で、もりもり竹を食べていた。オスの“永明”とメスの“梅梅”・“良浜”との間に生まれた子供たちだ。この施設で2000年から2016年9月までに、生後間もなく死んでしまった1頭を除き、15頭が誕生した。1つの飼育施設としては、中国を除けば世界一の実績だ。15頭はいずれも、名前に地名の白浜から取った“浜”の字が使われ、日本のパンダファンからは“浜家”とも呼ばれる。アドベンチャーワールド等によると、現在、アメリカ、イギリス、シンガポール、フランス、マレーシア等18ヵ国・地域の23施設でパンダが飼育されている。繁殖にも取り組んでいるが、死産や生後間もなく死ぬことが多い。上野動物園では5頭のパンダが生まれたが、2頭は生まれて直ぐに死んだ。中国も合わせると、世界で飼育下にあるパンダは約520頭。白浜生まれのパンダとその子や孫は29頭に上り、約5.5%を占める。浜系が桁違いの実績を残している理由は何か? 海に面した白浜町は、適度な湿度がある上に風が通って涼しく、本来は中国内陸の山岳部で生息し、涼しい気候を好むパンダにとって過ごし易い環境にある。飼育担当者の遠藤倫子さん(31)は、後背地となる紀伊山地の恩恵もあって、「空気や水も綺麗で、主食の竹も手に入れ易い」と、地理的な利点を強調した。日中平和優光条約締結10周年を記念し、1988年にパンダ2頭が北海道等日本各地で短期間レンタルされた。和歌山にも同年9月から翌年1月まで貸し出されたが、長旅の疲れ等で体調を崩していたパンダは、滞在中に元気を取り戻し、中国に帰国してから繁殖にも成功した。

「和歌山は環境がい良い」と中国側に好印象を与えたことが、その後の正式なパンダ貸し出しに繋がったという。2016年9月に生まれた末っ子の“結浜”は、誕生から1年を過ぎた2017年10月、母親の良浜から独り立ちした。嘗てのパンダ飼育では、半年ほどで母子を離す手法が主流だったが、母と子の同居期間が長くなるほど、その後の自然交配能力が高くなることがわかり、1年以上の期間を確保しているという。こうした取り組みの効果で、既に中国に返還された白浜生まれのパンダ11頭の多くは、繁殖で多くの子孫を残している。2001年に生まれたオスの“雄浜”は既に5頭の父親。オスの“秋浜”(※2003年生まれ)も4頭の子を作り、いずれもメスの“愛浜”(※2006年生まれ)や“梅浜”(※2008年生まれ)も、其々2頭と1頭を出産した。長年に亘る研究で“パンダ教授”と呼ばれる西華師範大学生命科学学院(四川省南充)の胡錦矗教授(88)は、「白浜生まれの優秀さは、1年以上という母子の同居期間と、2年に1回に抑えている繁殖のペースにある」と指摘する。中国の研究者によると、半年程度で母親から離されたパンダや、人工授精で生まれたパンダは本能が薄れ、自然交配の能力が低いとの研究結果もある。若いパンダのペアに交配のビデオを見せて刺激するという手法まで採られている。中国では、人工授精も多用して毎年のようにパンダの誕生が続いている中、胡氏は「中国も“量よりも質”の方針に転換しつつある」と強調した。繁殖の本場である四川省の『成都パンダ繁殖研究基地』の担当者・楊奎興氏は、「飼育下にあるパンダには“成都系”や“北京系”等があったが、白浜生まれは既に“浜系”という大家系を構成している」と語った。パンダ繁殖では、近親交配を極力避ける為、世界で飼育下にある全てのパンダの血筋や繁殖実績の記録を基に、計画的にペアリングが行なわれている。上野動物園の元園長で、『日本パンダ保護協会』会長の土居利光氏(66)は、「中国に集中しがちな家系に、“浜系”が多様化の効果を齎している」との見方を示し、「貢献の度合いは大きい」と指摘する。中国では、繁殖させたパンダを野生に返す取り組みも進められている。遠藤さんは、「白浜で生まれ育ったパンダがどんどん中国に旅立ち、その子や孫が野生に復帰することになれば嬉しい」と話した。

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日本が進む“科学衰退国”への道――引用されない無価値な論文、巨額科研費をただ浪費するのみ

20180110 09
猫の目のように変わる政権の成長戦略の内、“科学技術立国を目指す”というのは最も万人受けするものだ。安倍晋三首相も科学技術振興に力を入れることをアピールし、今年4月には「今後3年で科学技術予算を9000億円増額させる」と大風呂敷を広げた。一方で、研究者からは「予算が足りない」「このままでは基礎研究が危ない」という声が続く。「研究者の訴えは間違ってはいないが、実は予算を無駄遣いしているのも彼らだ。しかも、誰もがその事実から目を背けている」。東京都内の国立機関に勤める40代の研究者は、こう指摘する。無能な研究者が限られた予算を浪費した結果、皺寄せを基礎研究が被る――。実用化が期待される先端的な研究に多くの予算を投じなければならないことに、議論の余地はない。今で言えば、iPS細胞による再生医療の早期実用化や、電気自動車社会を担う新しい蓄電池の開発には巨費を投入すべきだろう。一方で、多くの科学者が訴えている通り、基礎研究予算は将来への投資であり、これを絞ることは自殺行為である。どの研究が将来化けるか等はわからない為、新薬開発の“シード(種)”のように数を増やすしかない。「国の研究予算は“重点研究”と“基礎研究”の2つだけでいい」。こう語るのは、東京大学の生物系中堅研究者の1人だ。あくまで極論だが、このどちらにも属さない中間の研究が実に多い。この研究者は更に、「件数や予算額でいえば、中間層の研究が最も多く、しかも大した成果を上げていない」と指摘する。冒頭の研究者が指摘した“浪費”とはこのことだ。

“研究の成果”を可視化するのは極めて難しい。しかし、医学・理学・工学の研究は、必ず最後は英語論文という成果になり、その多くが査読付きのジャーナルに掲載されている。論文が発表後に他の論文に引用された回数は、その研究がどれだけ有用かを測る指標になる。つまり、“被引用回数”が少ない論文は有用性が低い。情報が最もオープンになっている文部科学省の科学研究費補助金(科研費)を見てみよう。年間2284億円(※2017年度)が様々な研究に投下されているが、前述した重点研究にあたる特別推進研究(COE)に配分されているのは、僅か72億円程度に過ぎない。COEは「1件あたり5億円程度配分される」と喧伝されているが、実際には平均して8000万円程度しか割り当てられていない。一方で、基礎研究にあたるであろう予算規模の小さい科研費はどうか。配分額500万円以下の“若手研究(B)”には総額200億円、これに“挑戦的研究”(※開拓・萌芽含む)の約110億円を加えても、総額300億円余りだ。つまり、残りの8割以上である約1800億円が、前述したような無駄な研究である疑いが濃いグループだ。実際に、どの程度被引用回数が少ないのか検証してみた。科研費を支給された研究テーマについては、全てデータベースで詳細が公表されている。そこで、“再生医療”というキーワードでテーマを絞り込み、総額1000万~5000万円が使われた研究テーマについて、その論文の被引用回数を検証した。最近の研究の場合、論文掲載から時間が経過していない為、被引用回数が少なくなってしまう。公正を期す為に、2010年を研究年度に含むものに限った。直近のものから100件について、最後の雑誌掲載論文について、検索サービス『グーグルスカラー』で被引用回数を調査したものが右上のグラフである。一般に、被引用回数が100件を超えると“一人前の研究”と言われるが、それを下回るものが殆どだ。こうした中間層の研究について、前出の東大研究者がこう語る。「全て不要と言ってもいいが、感覚として半分は無駄な研究だ」。単純計算で900億円もの血税が、愚にもつかない論文制作経費に消えていることになる。このレベルの研究は、「大して能力の無い研究者が、流行に乗って科研費を得たケースが多い」(同)。最近では“再生医療”が重要なキーワードであり、猫も杓子もこの単語を科研費申請に盛り込む。冒頭の研究者は、こう断言する。「貴重な研究予算を口八丁で掠め取っているようなもの」。彼らの犯意の有無とは別に、こんな科研費獲得が罷り通るようになったのは2000年代に入ってからだ。きっかけは、1996年度からスタートした文部省(※当時)の“ポストドクター等1万人支援計画”である。5年計画で始まったこのプロジェクトは、ポスドク(※博士研究員)の有期雇用者数を増加させた。そのポストを埋める為にドクターを無闇に増やし、彼らが論文を乱造している。

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【南鳥島に注目せよ!】(35) 「日本は資源大国ではなく資源立国を目指せ」――加藤泰浩氏(東京大学大学院教授)インタビュー

ものづくりの技術は高いが、資源に関しては古くより輸入に頼り切ってきた日本。「新たな資源算出など期待できない」と誰もが思い込んでいたところに齎されたのが、日本の最東端に位置する南鳥島周辺海域の海底に、高濃度のレアアース含む“泥”が存在するとの大ニュースだった。新聞やテレビ等で盛んに取り上げられ、「日本が資源大国になる可能性がある」等と報じられたのは、未だv記憶に新しい。これを発見したのが、東京大学大学院の加藤泰浩教授とその研究グループ。その後も、新たな発表の度に世界中をあっと言わせている同分野のパイオニア的存在である。今回はそんな加藤教授に、これまでの道程や現在の状況、そして日本の未来図等について熱く語って頂いた。

20171213 07
レアアースを含んだ“資源になり得る泥”が海の底にあること。それ自体は、2000年くらいには既に把握していたんです。場所についても、「太平洋のハワイ沖やタヒチ沖に、いい資源になりそうなものがある」との目星がついていました。とはいえ、これほど早い時期に論文を発表しようだなんて思っていなかったんですよ。これについては2012年に出版した著書『太平洋のレアアース泥が日本を救う』(PHP新書)でも触れましたが、「もっと時間をかけてデータを蓄積して、それから論文にしよう」と考えていたんです。そんな矢先に起きたのが、2010年9月7日の尖閣諸島における中国漁船衛突事件と、それに端を発するレアアースショックです。中国は、この事件に対する報復措置として、日本にはもうレアアースを輸出しないか、或いは輸出量の制限を行うとの圧力をかけてきた。このような暴挙を看過する訳にはいかないですよ。こんなふざけた真似ができるのも、今やハイテク産業に欠かせないレアアースについて、中国が独占的なシェアを有しているからに他なりません。しかし、海底に眠るレアアース泥の存在が明らかになれば、状況は一変する。その為にも、論文を早く書き上げて発表しようという方針に転じた訳です。それに、日本にレアアースの備蓄があったというのも大きい。というのも、レアアースの輸出について、中国は日本に対して2005年くらいからプレッシャーをかけていたんですよ。だから、いざという時に備えて、ある程度の量が蓄えてあった。レアアースショックで慌てたのは日本ではなく、実は備蓄が無かったアメリカやヨーロッパなんです。それもあって、レアアースショックは世界中のメディアが取り上げる事件になった。

これは、レアアース泥の存在を発表しようとする我々にとって、ある意味チャンスです。論文のインパクトを考えると、発表するなら今しかない。しかし、それまでに蓄積していたデータの分量では、論文が通らない可能性もなくはありません。太平洋で1000個の泥データを取得していましたが、論文に迫力を持たせる為には、倍の2000個くらいあったほうがいい――。そう考えて、2ヵ月で一気に1000個の分析を追加しました。そして、私の研究室の学生や研究員を総動員して論文を書き上げたのが2010年12月。論文に携わった全員を共著者に入れた上で、世界で最も権威がある学術誌『ネイチャー』に投稿したのが12月14日。ここから、我々の戦いが幕を開けたことになります。レアアース泥についての論文は、ネイチャー系列の学術誌『ネイチャージオサイエンス』に受理され、掲載誌が出たのが2011年7月4日のこと。少しでも早く発表しようと頑張った甲斐あって、世界中のメディアがこれを大きなサプライズを以て報じました。例えば、『ロイター通信』は「日本がレアアースの資源を見つけた」と報じ、フランスの『AFP通信』は「21世紀の金と言われるレアアースを独占する中国に海底が泥を塗る」と題した記事で、我々が見つけた新たな資源が中国の独占を突き崩すだろうと期待を寄せました。更に、イギリスの『BBC』やアメリカの『ウォールストリートジャーナル』でも大きく取り上げられ、我々の仕事とレアアース泥の存在が広く世界に知られる結果となったのです。では、このネイチャージオサイエンスでの論文発表で、判明している全ての情報を公表したかといえば、そんなことはありません。ある“戦略”をもって、特定の情報を態と伏せたんですよ。公表しなかったのは、「南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)に高濃度なレアアース泥が存在する」という事実です。だって、日本の国益に関わる重要な情報を、態々教えてあげる必要はないじゃないですか。この発表には“中国の暴挙に対する牽制”という意味合いもありましたから、尚更です。そして、更に重要なもう1つの狙いは、フランスやアメリカを本気にさせることにありました。我々はこの論文で、「フランスやアメリカのEEZであるタヒチ沖やハワイの周辺海域にレアアース泥が分布する」と発表しました。この事実を知って、彼らは嘸かし奪いたでしょうね。当然、その水域の調査や開発に逸早く着手するでしょうし、そういった動きは、これまでレアアース市場を牛耳ってきた中国に対する大きな牽制となる。となれば、中国は日本ではなく、フランスやアメリカの動向に目が向きますよね。その間に、日本は南鳥島周辺のレアアース泥の調査や開発を進めることができる。経済産業省にも、「少しでも早く、尚且つ秘密裏にやるべきだ」と伝えようと思ったんです。

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【南鳥島に注目せよ!】(34) 新たな日本へと生まれ変わる為に

20171206 07
ここまで“エネルギー”をメインテーマに、メタンハイドレートからエネルギーミックスまで、幅広い事物を取り上げた。エネルギー資源であるメタンハイドレートはいいとして、太陽光や地熱といった再生可能エネルギーが出てきたのは、些か奇異に感じられたかもしれない。海洋資源の連載であるのを考えると尚更だ。しかしながら、実は本連載には“表の顔”と“裏の顔”がある。表の顔は勿論、レアアース泥や海底熱水鉱床等、日本のハイテク産業や製造業に大きく貢献してくれるであろう資源の紹介だ。真っ先に取り上げたのが、南鳥島の周辺海域に分布する高濃度のレアアース泥。左表は、現在までの調査で明らかになった資源量を纏めたものだ。含有量が比較的少ないジスプロシウム(Dy)でさえ、国内需要の330年分をカバー。イットリウム(Y)は1700年分、スカンジウム(Sc)に至っては9000年分もの量が、この海域に眠っている。レアアース泥の分布域で発見されたマンガン団塊も、コバルトだけで日本での消費量1600年分という資源量の多さ。

貴金属やベースメタルが回収できる海底熱水鉱床や、貴重な鉱物資源の宝庫であるコバルトリッチクラストも含めると、トータルでどれほど膨大な資源量になるのか見当もつかない。日本の近海に有望な資源がこれほど多く眠っていたこと。そして、優秀な研究者や日本を代表する企業が一致団結して、その開発に邁進していること。それらは我々に、「日本の未来は明るいものだ」と信じる“希望”を与えてくれる。そして裏の顔だが、それは現在の日本が如何に危険な状況下にあるかを、様々な側面から実証するというものである。テレビ等では、日本人や日本という国の素晴らしさが盛んに繰り返されている。本連載も基本的には、そういった方向性と言えるだろう。では何故、日本を称揚するようなものが増えたのか? それは恐らく、現在の日本が抱える構造的な危なっかしさを無意識に感じている人が多いからではなかろうか。不安だから安心したいのだ。そして実際に、現在の日本は我々が感じている以上に危なっかしい状況にある。この事実を、レアアースに代表される希少な鉱物資源だけでなく、エネルギーという側面からも伝えたかったのだ。とはいっても、殊更に不安を煽りたかったのではない。逆に、現在の日本が抱える問題点をきっちり伝えることで、不安を消し去りたかった。わからないと不安だが、わかってしまえば意外と平気なのが人間という生き物。そして、“希望”ほど不安に効くクスリはない。資源の無い国“だった”日本は、ここから大きく変わる。日本の近海に眠る豊かな資源と、その開発に必死で取り組む人々が、必ずやいい方向に変えてくれる――。そう信じつつ、今後の進展を見守っていきたい。


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【南鳥島に注目せよ!】(33) 急成長を続ける太陽光による発電

20171129 08
日本が推進している再生可能エネルギーの導入。発電コストの高さや出力の不安定さ等、課題は残るが、エネルギー自給率の向上・安定供給・環境保全の為にも、導入を更に進める必要がある。2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度によって、一気に導入が進んだのが太陽光だ。以前から発電事業者に対する補助金等は出ていたのだが、FIT制度の開始は、それとは比較にならないほどのインパクトを齎した。ここで、FIT制度の概要を説明しておこう。簡単に言えば、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度だ。対象となる再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスである。これにより大きく動き出したのが、産業・事業用の太陽光。20年間の買い取りを国が保証したことや、新規参入を促す為に買い取り価格が高めに設定されたことで、ビジネスとしての旨みが格段に増した。

その結果、住宅の屋根に取り付ける小規模なものから、出力1000kW以上を誇るメガソーラーと呼ばれる大規模な施設まで、売電を目的とした太陽光による発電が急速に増加。2014年度には約4.5倍にも達している。こう聞くと、“国や電力会社が身銭を切って再生可能エネルギーの導入を促進したイイ話”のようだが、そうではない。電力の買い取りにかかる費用は、電気料金に上乗せされて、我々の財布から出ているのだ。FIT制度がスタートしたのは、東日本大震災の影響で原発がストップし、エネルギー自給率が大幅に落ち込んだ直後。国がそれだけ形振り構わぬ状況にあったと言えるかもしれない。太陽光での発電がここまで身近になった背景には、導入にかかる費用が安くなったという理由もある。ではここで、右上の表を見て頂こう。棒グラフの部分が、太陽光発電の導入に必要なコストを、出力1kWあたりの価格で示したもの。導入コストがこれほど安くなったのかと、その価格推移に驚かれること間違いなしだ。1993年には370万円だったものが、普及が進むにつれて価格がどんどん下がり、10年後の2003年には約5分の1に。FIT制度によって需要と生産量が増えた恩恵もあり、最近は何と40万円を割り込むところまできている。導入のコストが下がれば、発電に要するコストも下がる。抑々、FIT制度は再生可能エネルギーの導入コストを回収し易くして、普及を進める為に始まったものだ。自然現象による影響を受け易いという弱点もある太陽光だが、発電効率の向上や、電力を蓄える大規模蓄電池の開発等で、使い勝手はもっと向上する筈。クリーンエネルギーの“大本命”として、更なる導入促進を期待したい。


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【薬のホント・健康食品のウソ】(17) 気になる健康食品の有効性&安全性リスト

20171128 07
巷には、効果を謳ったり、想起させるフレーズで購買意欲をそそる健康食品が溢れているが、ヒトでの有効性が確認された健康食品や成分は、実はそう多くない。最も信頼性が高いとされる『国立健康・栄養研究所』のウェブサイトには、『“健康食品”の安全性・有効性情報』というページがある。かなり細かい内容だが、健康食品・成分の数は沢山あるので、人気の高いものを本誌がピックアップしたところ、俗に言われる謳い文句ははっきり効果が確認されていないものばかりだとわかる。評価がはっきりしない表現もあるが、それが実態である。“効果がある”という研究結果、“効果が無い”という研究結果等がある中で、総合的に評価するが故だ。有効性と共に、医薬品との相互作用による副作用のリスクだったり、安全性に関する情報もたっぷりある。「薬は副作用があるけど健康食品は安全」とは軽々しく言えないことが見て取れよう。

そんな中でも、健康への有効性について強い根拠があるものの筆頭は、魚に多く含まれているドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)。心臓疾患のリスクを下げる効果が示唆されており、生活習慣病と相性がいいことが窺える。葉酸は、妊婦における葉酸不足が胎児に障害を齎す可能性があることから、厚生労働省は特に妊娠を希望している女性に対し、1日400μgを摂取することを呼び掛けている。妊娠の可能性のある女性は摂取したほうがいい。摂取方法によっても効果は変わる。例えば、コラーゲンを食べたり飲んだりして美容や関節に効くかどうかはわかっていない。コラーゲン入りドリンクを飲んで潤うのは、肌ではなく喉のほうかもしれない。世界を見渡しても、日本ほどウコンが「肝臓に良い」と宣伝されている国はない。肝障害予防に効くのかといえば、きちんと信頼できる根拠は無い。それどころか、大量に摂取すると肝障害を引き起こすリスクがある。肝臓に良いと信じていたものが、寧ろ肝臓に負担をかけてしまうのだ。実際、日本では「ウコンを取って肝臓等が悪くなった」という報告は多く、『日本医師会』も注意を呼び掛けている。肝障害はウコンに限らず、健康商品を取ることで多く見られる健康被害でもある。肝臓に問題を抱えて酒を控えないといけないのに、「毎日ウコンを取っているから安心」と大酒を浴びる…なんていうのはご法度である。また、俗にブルーベリーが「目に良い」と謳われるが、目に対する効果について色々な実験がなされているのは野生種のビルベリーであり、別種。お間違えなさよう。気になる健康食品があれば、冒頭の栄研のウェブサイトで情報を確認し、メリットとデメリットを冷静に見極めてほしい。メーカーに問い合わせる前の情報武装としても役立つ筈だ。何より、健康食品は治療の代わりにはならないことも認識しておきたい。治療に使えるほど効果が高いものは、大抵医薬品になっているもの。医療機関を受診して相談してみるのが最善だ。 =おわり

               ◇

臼井真粧美(副編集長)・鈴木洋子・松本裕樹・野村聖子(嘱託記者)が担当しました。

               ◇

「バランスの良い食事と適度な運動、十分な睡眠」――。健康の特集を担当すると、毎回、専門家の方にこう言われます。そんなことは百も承知。読者もそんな答えは求めていないのがわかるだけに、毎回、作り方に悩みます。科学的根拠に基づけば、冒頭の言葉に反論の余地はありませんが、それでは誰も食い付かないので、何か糸口を見つけてサイエンスを仕立て、「○○で健康になれる!」を作り上げる。メディアも健食業界もその繰り返しだと、関係者は口を揃えます。しかし、今回の取材では「健康食品に流行があるのは、結局、効果のあるものが無いから」と言われ、KO寸前。そろそろ諦めて、生活習慣の見直しを真剣に検討したいと思います。 (本誌嘱託記者 野村聖子)

最近漸く克服したのですが、子供の頃からずっと玉葱が嫌いでした。小学校の給食では毎日必ず玉葱が使われていたので、本当に苦痛でした。先生から「仕方ない、もう残していいよ」の声が掛かるまで、食器を前に我慢比べをしていたので、昼休みに遊んだ思い出があまりありません。玉葱を食べさせる為に、大人たちは皆一様に「食べると頭が良くなるよ」と論すのですが、その度に「そんなの絶対嘘だ」と反発し、「だったら、玉葱とにらめっこしてる無駄な時間を勉強に充てる!」とまで抵抗していたものです。未だに「これを食べると○○になる!」という言い回しに懐疑的・冷笑的なのは、そんな記憶のせいかもしれません。 (本誌編集長 深澤献)


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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【南鳥島に注目せよ!】(32) 地熱発電のシステムと大きな魅力

20171122 05
再生可能エネルギーといっても、その内容は様々。身近なのは太陽光で、よく知られているのは水力や風力だが、日本の“地の利”が最も活用できるのは地熱である。地面を掘れば熱い温泉が出るのも、火山活動が活発な国だからこそ。世界に存在する活火山の内、何と7%が狭い日本に集中しているというのだから驚きだ。そんな世界でも有数の火山国だけに、火山の地下にマグマだまりが存在する場所はかなり多い。そして、このマグマだまりによって熱された地下水を蓄えた地層のことを“地熱財留層”と呼んでいる。ここで、右に掲載している地熱発電の仕組みを解説した図をご覧頂きたい。マグマだまりの右上辺りに、地熱貯留層と書かれている部分がある筈だ。地熱貯留層には豊富な地下水があるので、ここに深い井戸を掘れば、そこからは熱水と蒸気が噴き出す。この井戸が図にある“生産井”で、“蒸気井”と呼ばれる場合もある。但し、熱水と蒸気が入り混じった状態では発電に使えないので、セパレーターとも呼ばれる“気水分離器”にかけて熱水と蒸気を分離。ここで取り出された蒸気はタービンへと送られ、蒸気の力でタービンを回して発電するというのが基本的な仕組みである。

順を追って説明すると難しく感じるが、実際は温泉の蒸気で風車を回すようなもの。発電するシステム自体は至ってシンプルだ。火力発電では水を燃料で熱して蒸気を発生させるが、マグマの熱を利用する地熱発電では燃料を使う必要が全くない。発電量あたりの二酸化炭素排出量が低いクリーンな発電方法と言えるだろう。燃料を必要としないクリーンエネルギーである以外にも、地熱発電のメリットは幾つもある。他の再生可能エネルギーとの大きな違いでもあるのが、天候や昼夜を問わず安定した発電が可能という点だ。自然条件によって出力が大きく変動する風力や太陽光ではそうはいかない。政府もこの点を高く評価しており、今後も可能な限り導入を進める方針である。半面、地熱には“発電能力の高い大きな発電所を作り難い”という難点もある。日本にある地熱発電所で最も発電能力が高いのは、大分県の八丁原地熱発電所。その最大出力は、1号機と2号機を合わせて11万kWだ。そして、日本最大の火力発電所である茨城県の鹿島火力発電所は、最大出力566万kW。規模そのものが全く違うとはいえ、その差はあまりに大き過ぎる。また、地熱発電所の建設によって、その近隣の温泉地に影響が出る可能性がある。観光に力を入れている日本にとって、風光明媚な温泉地は大きな財産。温泉が出なくなるような事態を招かない為にも、入念な調査を行う必要があるのだ。とはいえ、こういった難しい面を含めて考えても、魅力的な再生可能エネルギーであるのは間違いなし。力を入れる価値は十分だろう。


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【薬のホント・健康食品のウソ】(16) 自然食材“安全神話”の嘘…食品は膨大なリスクの固まり

自然食材なら安心という“安全神話”を信じていいのか? 食品リスク研究の第一人者である『国立医薬品食品衛生研究所』安全情報部の畝山智香子部長が、真実を明かす。

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――自然食材は安全ですよね?
「それは先入観です。コメやヒジキ等には、天然の発癌物質である無機砒素が結構多く含まれている。白米よりも玄米により多く、程度の差はあれ、穀物・野菜・海藻・水等に含まれているんです。自然食材を含め、食品はリスクゼロの“真っ白”なものではない。未知の膨大なリスクの固まりであり、私たちはその正体を正確には知らない。食経験と科学で、リスクを可能な限り低減してきました。食品を汚すものとして残留農薬や食品添加物を思い浮かべる人が多いようですが、これらは大きな問題ではない。安全性を評価した上で使われているので、食品自体の成分に比べれば寧ろ安全。それら以外に有害な物質や微生物が普通に含まれています」

――オーガニックはより安全ですか?
「『有機栽培やオーガニック認証された農作物のほうが、普通に栽培されたものより健康に良い』と宣伝する人たちがいますが、食品安全で優れているということはありません。『普通の栽培より農薬の使用が少ないので、残留農薬が少ない』という宣伝が見受けられますが、元々、残留農薬は指示通りに使えば無視できる程度の小さなリスク。カビ毒汚染等のほうがもっと大きなリスクで、こちらは有機栽培のほうに多い。また、『農地にある程度の雑草が生えることが望ましい』と見做されているから、有毒植物の混入もしばしば報告されています。オーガニックのチキンや卵等もありますが、放し飼いされたニワトリは有毒なものも含め色々なものを突っつき、ケージで飼育するよりも汚染リスクが高い。そうしたリスクを上回る価値があるかというと、その分、栄養価が高いということも特にないんです」

――特定の食材や産地に拘るのは?
「寧ろ避けて下さい。食べ物の選択肢を狭めることは、たとえ栄養不良にはならないとしても、思いも寄らないリスクが高くなっている可能性がある。産地に拘るといっても、その土地や農作物の重金属濃度を知っている人は殆どいないでしょう?」

――結局、何が安全なんですか?
「“安全な食品”と“危険な食品”があって、安全な食品だけ食べれば安全というのは大間違い。どんな食品にもリスクとメリットがある。安全の為に意識すべきは食べ方で、色々な食品をバランスよく食べてリスクを分散すること。健康食品等で特定のものや成分を大量に継続的に食べることは、食品安全の考え方に反します」


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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