【岐路に立つウェブ広告】(06) 消費者心理を代弁? 『Apple』が“付き纏い広告”に鉄槌

20180219 07
「ここぞというプレゼンテーションだったのに大恥をかいた」――。そう言って憤懣やる方ない様子なのは、ある女性起業家だ。顧客企業の男性社員び、自社サイトを見せてビジネスプランを説明しようとしたところ、セクシーなブラジャーの広告が幾つも画面に表示されたという。彼女のビジネスは下着とは無関係。原因はプレゼンの前週に、新しい下着を買おうとインターネットの通販サイトを物色したことだ。プレゼンで表示されたのは、その行動に基づいた広告だった。「確かにブラジャーを探したのは私。だが、あの場面でよりによって下着の広告が出るなんて…」。インターネット上での検索やクリック履歴に基づく広告を“リターゲティング(リタゲ)広告”と呼ぶ。運用型広告の一種で、アドテク分野の主たる手法だ。消費者の関心にある程度沿った広告が表示でき、購入に至る確率が高いとされる。だが、ユーザーの中には、インターネット検索という個人的な行動が第三者に把握されることに、不快感を覚える人がいる。下着以外にも性的志向や健康問題に関連する広告はデリケートな領域だ。また、既に購入した商品がしつこく表示されることがある為、煩わしく思う消費者もいる。こういった消費者の心理を配慮して、IT界のガリバー企業がリタゲ広告に鉄鎚を下した。

『Apple』は今年6月、自社ブラウザ『サファリ』にインテリジェントトラッキングプリベンション(※ITP)と名付けた新機能を導入すると発表。実際に9月から導入されている。リタゲ広告は、ブラウザ内に蓄積されるクッキーというデータを利用し、ユーザーの行動をトラッキング(※追跡)している(※右上図)。クッキーにはどのサイトを閲覧したか、どの端末やIPアドレスからアクセスしたかといった情報が含まれる。ITPはクッキーデータの利用を制限することで、過去の一定時間までしか行動追跡ができないようにした(※同)。「行動が追跡され、了承していない目的の為に個人情報が収集されると、ユーザーからの信頼が損なわれる」。Appleのエンジニアであるジョン・ウィランダー氏は、開発者向けのサイトでITP導入の背景を説明している。この施策が広告業界に打撃を与えている。アドテク専業の『クリテオ』(※『ナスダック』上場)は、パソコンでのリタゲ広告で世界大手。日本の企業やメディアにも取引先を多数抱える。クリテオの時価総額は発表直前に34億ドル(※約3875億円)あったが、6月のITP発表、9月の導入で段階的に同社の株価は下落し、半年後の12月上旬には6割にまで落ち込んだ。広告業界関係者は当初、「ITPが主にパソコンでのインターネット利用を対象とする」と考えていた。「サファリはパソコンブラウザとしては世界シェア3%程度。スマートフォンには影響が少ない」と、事態を楽観する向きがあった。ところが9月、『iPhone』と『iPad』のサファリにもITPが導入されている事実が確認された。ここで多くの関係者が慌てふためいた。「インターネット広告は、デジタルのコンテンツやサービスの資金源だ。この広告のエコシステムを混乱させることについて、Appleに再検討を強く求める」。『インタラクティブアドバタイジングビューロー(※IAB)』等アメリカの広告業界6団体は9月、Appleに公開書簡を送り、強く抗議した。日本のアドテク業界の上場企業ではITP対策が進む。「トラッキング方法を変更する」(『ファンコミュニケーションズ』)、「クッキーに依存しないトラッキングを導入する」(『バリューコマース』)、「ITPの影響を受けず、リタゲ広告の配信・効果計測ができるよう対応した」(『フルスピード』)。業界企業は9~10月、決算説明会やプレスリリースで次々と対策を表明。日本はスマートフォン市場におけるiPhone比率が約7割と、他国より高い。広告もAppleの動向に大きく左右される恐れがある。各社は、「アメリカのように業界ぐるみで異議を申し立てるより、『対策済みです』と表明するほうが株主や取引先の不安払拭に役立ち、Appleの感情も逆撫でしないで済む」と考えている。だが、こうした企業にとって本当に恐ろしいのは、ITPがどこまでインターネット広告に打撃を与えるのか不透明な点だ。最大の理由は、“クッキーの利用をどの程度制限するのか”についての判断基準が今ひとつわからないことだ。クッキーデータには、ユーザーの閲覧しているサイトが利用する“ファーストパーティー”と、それ以外のサイトが利用する“サードパーティー”があり、リタゲ広告では後者が活用されている。

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【The CONFIDENTIAL】(10) 詐欺か革命か…ICOに沸くシリコンバレー

ベンチャー企業が仮想通貨で資金調達をするイニシャルコインオファリング(ICO)が活況を帯びている。6月以降に企業に流れた額では、従来型のベンチャーキャピタル(VC)を上回る状況が続く。「法規制が無く、リスクが高い」との指摘も少なくないが、それでもブームは止まらない。待ち受けるのはバブルの崩壊か、それとも新たな金融技術の誕生なのか――。

20180213 10
先月27日にサンフランシスコ市内で開かれた仮想通貨のイベント『イーサリアル』。会場内では、『どうやって“トークン”を発行するのか』と題したICO準備の為の講演を、300人超もの聴衆が熱心に聞き入っていた。トークンは、ICOで資金を得る見返りに発行する電子の通貨交換券で、新規株式公開(IPO)時に企業が発行する株式のようなもの。ただ、株式のような議決権は存在せず、法的な位置付けも定まっていない。それでも、登壇者の1人が「古いルールに囚われず、新しい金融のエコシステム(※生態系)を作っていこう」と呼びかけると、客席から拍手が起きた。上場準備セミナーというよりも、革命前夜の決起集会だ。新たな資金調達の手段として注目されるICO。関連するイベントは、ベンチャー企業が集まるシリコンバレーでも日に日に増えている。だが後日、偶々同じイーサリアルに居合わせたベンチャー投資家が忠告してくれた。「あそこにいた人は、8割は詐欺師だと思ったほうがいい。皆、ブルシット(※馬鹿げた大嘘吐き)だよ」。興味深いデータがある。『ゴールドマンサックス証券』によると、仮想通貨を使ったICOによるインターネット関連企業の資金調達額は、今年6月以降、現金による調達額を上回る状況が続いている。3月までは精々2000万ドル台に乗せる程度だったICOだが、5月から急騰。9月の調達額は8億ドルに上っている。現金による調達額のざっと2.6倍だ。夏からの活況は、エンジェルやシードと呼ばれる初期段階のベンチャーを相手にした投資家に代わり、ICOが市民権を得出したことを示す。だが、何事も急過ぎるブームは危うさを孕むことは、金融界が歴史を以て証明済み。実際、イノベーションの名を借りたマネーゲームは既に始まっている。

9月半ば、サンフランシスコ市内で開かれた“ICO勉強会”と称する有志の集まりに、記者はビットコインユーザーを装って潜り込んでみた。大手IT企業の会議室を借り切って夕方から開かれる会合。出されたピザを頬張りながら、ICO関連ビジネスを手掛けているというベンチャー企業CEOのプレゼンテーションを聞く仕組みだ。ビットコインの取引システムを構築したという創業者が強調したのは、大手VCの助けを借りないことの利点だ。「面倒なプレゼンテーションをする為に、VCのオフィスに態々通う必要などない」。シリコンバレーでは、起業家は複数のVCを回りながら資金を調達するが、「ICOならグローバルレベルで誰からも直ぐにお金を調達できる」という説明だ。では、資金を得る見返りに発行する“トークン”は、ここでは何か? このICOは、「ガスや水道と同じ。決して株ではない。我々のエコシステムで使えるユーティリティーだ」と言明した。この会社が成長し、サービスが離陸すれば、その使用料をトークンで支払える。トークンが株でなければ、ICOは法律が規制するIPOではない――。そんな理屈だろう。驚いたのは、会の最後にCEOが発した一言だ。「このまま残ってくれればトークンを特別に安く割り当てるよ」。記者はここで引き揚げたが、50人近い聴衆の半分以上がその場に残った。実績も何も無く、抑々実在しているかもわからないシステムの為にお金を出すには抵抗がある。だが、そんな不安を嘲笑うかのように、ICOは投資家を惹き付けていた。別の会合で、企業のICO準備を支援している業界関係者に匿名で話を聞くことができた。ICO前にトークンを特定の投資家に安く売りつけるのは常態化しているようで、実際の資金調達時にトークンを売り抜いて差額を稼いでいる人たちがいるという。IPOであれば証券会社がロックアップ条項を設ける為、原則禁じ手の措置だが、「現時点ではルールが無いので問題はない」(同)。トークン発行後、上場企業のように企業業績を3ヵ月毎に出すよう求める声も投資家にはあるようだが、「真面目に捉えている発行体は殆どいない」(同)。業績や製品の開発状況はメールやメッセンジャーソフトを通じて開示されることが多いとされるが、あるICO経験者は「相手は株主ではないのでそこまでケアしない」と話していた。価値の危ういものであっても、ブームを理由にお金が流れる――。同じ事を、世界は既に2000年代前半に“ドットコムバブル”として経験している。大手VC『ホーンキャピタル』のマネージングパートナーであるベロニカ・ウー氏は、「今のICOは当時と同じ臭いがする」と警鐘を鳴らす。「今の熱狂がこのまま続く筈がない」というのが、シリコンバレーのVC投資家たちの多くが抱く共通認識だ。

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【岐路に立つウェブ広告】(05) 日本企業が軽視するブランド毀損リスク

20180212 11
企業は一般的に、広告に2種類の効果を期待している。1つは、消費者に自社の商品・サービスを知らしめ、購入してもらうきっかけを作ること。もう1つが、自社のイメージをビジュアルやコピーで伝え、消費者の共感やブランドロイヤルティーを喚起することだ。例えば、テレビ放送でいえば『日立 世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ系・スポンサー企業は『日立製作所』)や『世界の車窓から』(テレビ朝日系・スポンサー企業は『富士通』)のような、長年に亘り特定の企業が広告を提供している番組がある。これは誰もが楽しく見られる良質な番組で、幅広い層にブランドを認知してもらう機会として相応しいと考えているからである。ところが今、インターネット空間で起こっているのは、企業がコストをかけて出稿した広告が、逆に企業イメージを損なう危険性を招いているという事態だ。公序良俗に反していたり、極端に思想が偏っていたりするインターネットメディアに、自社の広告が想定外に配信されてしまうことで起こる。所謂“ブランドセーフティー”の問題で、欧米の大手ブランド企業の間では、ここ2年ほどで急速に危機管理意識が高まっている。今回、本誌はブランド価値を損なう恐れのある問題サイトを4つ選び、日本の大手企業の広告配信があるか確認した。4サイトはいずれも、広告価値毀損測定の世界最大手『インテグラルアドサイエンス(IAS)』により、サイト全体、又はサイト内の一部コンテンツによるブランド毀損リスクが、同社の定める中程度以上と分類されている。4サイトとも、リターゲティング広告が配信される広告枠を設置しており、閲覧者の過去のウェブ利用履歴を反映した広告が自動的に表示される。

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企業が指定して配信する広告枠ではないが、配信禁止サイトのブラックリストを作成したり、一定のリスク要素(※アダルト、暴力的、政治的偏向等)に抵触するサイトを排除したりすることは可能だ。今回は結果が特定的人間の検索履歴に左右されないよう、記者8人で確認作業を行なった。先ずは『ブライトバートニュースネットワーク(Breitbart News Network)』。アメリカのドナルド・トランプ大統領の元側近で、今年8月まで首席戦略官兼上級顧問だったスティーブン・バノン氏がトップを務め、極右と言うべき偏向した視点に立ったニュースを主に掲載している。右派有権者層には読者が一定程度おり、今回の4サイトの中では最もメディアの体を成しているが、アメリカの大手企業は配信を忌避するメディアだ。このサイトには、『トヨタ自動車』・『日本航空(JAL)』・『村田製作所』・『キヤノン』・『LIXILグループ』の広告が表示された。トヨタは、日本の大手広告主の中で特にブランドマネジメントに厳しいことで知られる。「出稿全般について、ブランド毀損になり得る不適切サイトへの掲載には対策を講じているが、指摘されたサイトについては認識していなかった。対応を検討する」(同社広報部メディアリレーション室)。JALは、「Googleの広告配信システム(※GDN)を介して自動配信されており、通常はGoogleのアルゴリズムで配信先から排除される。Googleに報告し、改善を依頼した」(同社広報部)と明らかにした。また、求人広告が表示された村田製作所は、「このようなサイトへの広告掲載は避けるべき。インターネット広告に関しては出稿部門に任せており、ブランドマネジメント対策は特に講じられていなかった。リスクに関して周知徹底を図る」(同社広報室)と答えた。

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【岐路に立つウェブ広告】(04) その広告、割に合っていますか?

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先ずは右の画像を見てほしい。ある掲示板サイトをキャプチャしたものだ。最初に目に留まるのはその長さ。これが1ページ分で、ページ内には企業イメージの向上を意図した『KDDI』の2種類の広告が大量に表示されている(※画像内のオレンジ枠で囲んだ部分)。その数、何と17。広告の表示回数を示す専門用語でこれを表現すると、17インプレッションになる。インプレッションとして数えるのは、インターネット利用者のブラウザに広告データが届いた段階というのが現在の主流。ページの下部に掲載され、インターネット閲覧者が画面を下までスクロールしない限り視認できないような広告でも、ブラウザがページのデータを読み込んでいれば、1インプレッションとしてカウントされる。インプレッション数は、広告料金を決める際にも用いられる重要な数値だ。しかし、このサイトでは容易に数を増やせるようになっている。そこに問題はないのだろうか?

広告主から見ると、このサイトは“クラッター”と“同載広告”という2つの問題を抱えていると指摘できる。クラッターは乱雑や散乱を意味する単語。1つのページに大量の広告枠がある場合、閲覧者の意識に残り難い為、広告としての価値が下がるとされる。後者の同載広告は、1つのページに同じ広告が複数出ることを指す。インプレッション数で広告料金が決まる場合、広告を見ている人は1人しかいないので、費用は割高になる。しかも、「広告がしつこい」という印象を与え、逆効果になりかねない。当のKDDIに見解を尋ねると、「費用面の問題だけでなく、ブランドイメージの毀損に繋がりかねない。閲覧した人からすると、『KDDIは何故こんなに多く出しているのか?』と疑問を持たれる掲載となっているので、何らかの対処をしたい」(広報部)とコメント。やはり本意ではない形での掲載だったようだ。こうしたインターネット広告の表示については、掲載広告の総面積の50%以上が一定時間露出されている状態にすべき等、広告業界で議論が進行中だ。クラッターも含めて、ただ表示させるだけのインターネット広告は消える運命にある。 (取材・文/本誌 緒方欽一)


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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『NTTドコモ』も参入、QRコード決済が戦場に

20180130 07
「当社の大規模な顧客基盤を武器に、新たな決済サービスを迅速に立ち上げる」――。こう意気込むのは、『NTTドコモ』の前田義晃執行役員だ。同社は、スマートフォンを使う新たな決済サービス『d払い』を今年4月に始める。2019年3月までに『ローソン』や『高島屋』等計10社、1万9000店で利用可能にし、早期に10万店へ広げる計画だ。ドコモが始めるのは、QRコードと呼ばれる2次元バーコードを使うモバイル決済。利用者は店頭でスマホアプリに個人を特定するQRコードを表示し、それを店員がPOS(※販売時点情報管理)レジのバーコード読み取り機やタブレットで読み込んで決済する。QRコードは、他人に盗まれ無断で使われないよう、買い物の度に生成する。ドコモが店舗向けのスマホ決済サービスを立ち上げるのは初めてではない。2004年、非接触型ICチップを使う『おサイフケータイ』を競合他社に先駆けて商用化した。携帯電話事業の成熟に備え、新たな柱の1つとして育てるのが狙いだった。

『KDDI』や『ソフトバンク』も追随したが、利用が広がっているとは言えない。利用者がIC対応端末を購入し、店側も読み取り端末を設置する必要があるのがネックだった。こうした壁を打ち破ったのがQRコード決済だ。スマホアプリで画面にQRコードを表示すればいいので、端末の対応機種を問わず利用でき、店側も新たな読み取り装置がいらない。だが、携帯大手は非接触ICを使うタイプを推進したこともあり、QRコードでは出遅れた。中国の『アリババ集団』の『支付宝(アリペイ)』や『騰訊控股(テンセント)』の『微信支付(ウィーチャットペイ)』は、本国で巨大なQRコード市場を作り上げ、日本でも対応店舗を増やしている。国内勢では、『楽天』が『楽天ペイ』、『LINE』が『LINE Pay』でQRコードを使った決済を広げている。急拡大するQRコード決済で、ドコモは巻き返せるのか? 頼みにするのが、携帯料金と合算して支払えるサービスの利用者だ。ドコモ回線の契約者が、インターネット通販等の料金を月額の携帯料金と合わせて支払える。月間1500万人が使うこのサービスにd払いを紐付けて利便性をアピールするが、利用者獲得の決め手になるかどうかは不透明だ。日本は、「来店客の8割が依然として現金払いを選ぶ」(ローソンの野辺一也執行役員)という“現金大国”。キャッシュレス決済の比率は2015年時点で18%と、中国の55%や韓国の54%、アメリカの41%に比べて低水準だが、それだけに伸びしろが大きい。ドコモに続き、KDDIやソフトバンクも追随してQRコードを採用する可能性もある。モバイル決済という潜在市場を巡る戦いが激化しそうだ。 (取材・文/本誌 高槻芳)


キャプチャ  2018年1月29日号掲載

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【岐路に立つウェブ広告】(03) 蔓延する広告詐欺、“偽りの成果”で料金請求

20180129 11
「明らかに数字がおかしい」――。『GMOインターネット』の子会社である『GMOペパボ』で社長室マーケティング統括チームに所属する相田傑氏は、昨年末、ある異変に気付いた。同社はハンドメイド作品売買支援サービスのスマートフォンアプリを手掛けており、そのインターネット広告を出稿していた。出稿先は、“CPI課金”で広告料金の決まるメディアが中心だった。CPI課金では、広告を経由してインストールされたアプリの数に応じて広告料金が決まり、その数は広告代理店等から定期的に報告される。ところが、アプリ販売ストアで実際にインストールされた件数より、代理店から報告された数のほうが1割前後も多かったのだ。実態の疑われるものは月間2万件ほど。CPI課金で契約したメディアには、1インストール当たり300円強を払っていた。相田氏は「インターネット広告を巡って何らかの不正が行なわれた」と判断し、直ぐに対策として、疑わしいメディアを広告出稿先から除外。だが、怪しげなメディアは入れ替わり立ち替わり現れる。そこで、特定のメディアのみと取引するプライベートマーケットプレイス(PMP)市場に出稿先を限定し、半年ほど続いた問題は漸く収束した。相田氏は当時をこう振り返る。「確証を得るのは難しかったが、あれは間違いなくアドフラウドによる被害だった」。アドフラウドを一言で説明すると広告詐欺だ。インターネット広告で実態がないにも拘わらず、料金を請求し、広告費を詐取する行為である。GMOペパボの場合はアプリのインストールだったが、より典型的なのは、広告の閲覧やクリックで実態のない数字に基づいて料金を詐取する行為だ(※右図)。こうした詐欺を働く悪徳業者は、広告を掲載して広告費を得る為だけにメディアを構える。広告の表示回数(※インプレッション)に 応じて広告料金が貰える課金体系であれば、表示回数を増やせば増やすほどメディアは多くの広告収入を得られる。そこで悪徳業者は、ハッカー等に作らせたボット(※自動化プログラム)をメディアに大量にアクセスさせることで、広告の表示回数を水増しする。広告主は人による閲覧を期待して広告を出しているのだが、閲覧しているのは機械でしかない。広告主に報告される成果は偽装されたものだ。アメリカの広告業界団体である『全米広告主協会(ANA)』によると、このようなボットによる不正表示数は、インターネット広告の主流を占めるディスプレイ広告で約9%、動画広告だと約22%に上るという。

20180129 14
ANAの推計では、2017年のアドフラウドによる被害額は世界合計で65億ドル(※約7300億円)。2000億ドル超とされる世界のインターネット広告費の3%程度ではあるが、決して少なくない金額だ。日本の状況については、広告価値毀損測定の世界最大手である『インテグラルアドサイエンス(IAS)』の調査が参考になる。そこでは、国内の運用型広告の内、最大で8.4%程度が不正と推定されている。ただ、これは参考値であり、広告主や広告出稿の仕方によっては20%程度まで上昇する事例もあるという。広告詐欺の手口は実に巧妙だ。アドフラウド対策を手掛けるITベンチャー『モメンタム』の高頭博志社長が代表例として解説してくれたのは、ボットが人間(=消費者)に成り済ますというものだ(※左図①)。ボットには、先ず標的とする広告主のサイトを訪問させる。この時、ボットは人がブラウザで閲覧している時と同じ状態をデータ上で作っている。サイトの閲覧記録がブラウザを通じて作成・記録されることで、このボットは広告主の商品・サービスに興味を持っているという属性が付く。その後で自ら運営するメディアにボットを訪問させると、狙った広告主の広告が掲載されるという訳だ。これは、閲覧履歴等の情報を基に、個人の志向に合った広告を配信するというリターゲティング広告の仕組みを悪用したものだ。しかも、表示回数に応じて課金するタイプの広告より、リタゲ広告のほうが単価は5倍ほど高い為に儲かる。これらボットを用いる悪徳業者は、「ロシアや中国にサーバーを構え、不正行為を働いている」(高頭社長)という。詐欺には、掲載されるページを偽って広告費を掠め取る手法もある。自社メディアのURLを、「ページ閲覧数が多い」等良質なメディアのものに偽装することで、広告枠を高く買わせたり、広告主が出稿を避けたい有害サイトだったら、正常なメディアであると見せかけたりするものだ(※左図②)。この手口で被害を受けるのは広告主だけではない。成り済まされたほうは、本来得られたであろう利益を逃していることになる。『フィナンシャルタイムズ』は9月、自社URLに成り済ました動画広告枠が売りに出されていたことを突き止めた。成り済ましによって受けていた損失は、推定で月1億円程度に上るとしている。個人が知らぬ間に広告詐欺に加担している場合もある。スマートフォンにダウンロードしたアプリに不正プログラムが組み込まれており、そのアプリが自動的に広告を読み込んでいるようなケースだ(※左図③)。

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【岐路に立つウェブ広告】(02) 経営者・幹部必読! 『P&G』ブランド責任者による怒りのスピーチ

トイレタリー用品最大手の『P&G』は世界最大の広告主だ。同社の最高ブランド責任者が今年1月、アメリカの広告業界の会合でスピーチし、アドフラウド(※広告詐欺)を始めとするインターネット広告の問題を厳しく批判。取引を希望する全てのメディアや代理店等に、透明性を保証する証明書等の提出を義務付けることを明かした。インターネット広告市場において、過去最も影響力の大きい発言となった同講演を要約して掲載する(※要約に際しては専門用語を平易な言葉に置き換える等の編集を行なった)。

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インターネット技術によって、大量の“ゴミ広告”が齎されている。この会場にいる企業は皆、消費者に毎日大量の広告を浴びせ、広告を表示するのに限りなく長い時間を使わせ、ポップアップ広告でコンテンツの閲覧を妨害している。広告をブロックする消費者が急増しているのも当然。インターネット広告を実際に見ている消費者は、果たしてどれだけいるのだろうか? 翻って、インターネット広告におけるサプライチェーンは、よく言っても不透明、悪く言えば詐欺的だ。広告のビューアビリティー(※視認可能性)を確保する為の統一基準は無く、『Facebook』や『ツイッター』等プラットフォームによって異なる。広告代理店へのリベート等、時代遅れの取引慣行も存在している。また、犯罪者の搾取に利用されてしまう抜け道が多く、広告主は時間とカネを使い過ぎている。それらを一掃し、節約できた時間とカネを、成長を促進するような優れた広告に投資する必要がある。

広告に関係する全ての企業が一致団結し、問題を解決すべきだ。インターネット上のメディアは現状、アドフラウドを行なうような犯罪者からすると、絶好の狩場になっている。非効率且つ不透明なシステムや、説明責任能力に欠けている等の欠陥を、彼らは突いてくる。P&Gは当初、こうした状況に対処できると考えていた。しかし、外部の専門家と一緒に監査し、我々の努力だけでは手に負えないことがわかった。当社の持つ誰にも負けない強みとは、シャンプー、歯磨き、洗濯用洗剤等を製造して世界の消費者に届けること。アドフラウドの防止ではない。白状しよう。P&Gはこれまで、「インターネット広告の世界で先んじている」と考えていた。インターネット広告に対する幻想の下、数多くの問題にも甘んじてきた。だが、我々は漸く事実に気付いた。複雑、不透明、非効率で詐欺的なサプライチェーンに持続可能性は無い。従って、当社はアクションを起こす。信頼できる特定の団体や第三者機関等に検証、又は認定されたビューアビリティー、アドフラウド防止、透明性のある代理店契約等を明確に要求し、今後はこれらの基準を満たす企業としかインターネット広告の取引をしない。我々は、ゴミのようなサプライチェーンに時間とカネをもう使いたくない。限りある時間とカネは、当社ブランドの成長に繋がるようなクリエイティブな広告に投資したい。今回のアクションは当社だけでなく、消費者にとってもよいことであり、業界での責任も果たせる。皆さんも一歩を踏み出そう。


キャプチャ  2017年12月23日号掲載

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【岐路に立つウェブ広告】(01) 「これは広告詐欺だ」…ウーバーvs電通子会社の行方

20180115 09
「モバイルでの我々の経験と、電通グループのスケールを生かし、日本の広告主に比類ないサービスを提供する」――。自信に満ちた言葉が、ピンクと黒を基調としたウェブサイトに躍る。『電通』子会社の『フェッチメディア』が今月1日、日本で事業を展開することを発表した。フェッチは2014年11月、同じく在英子会社の『電通イージスネットワーク』に買収され(※金額は非公開)、電通の傘下に入った。スマートフォン向けの広告配信等、モバイルマーケティングの戦略と分析を強みとする新興企業で、ジェームズ・コネリーCEOは現地のモバイル市場で最も影響力のある人物という触れ込みだ。拡大が続くインターネット広告市場にあって、モバイルは特に成長著しい。電通もモバイル領域の強化を成長戦略と位置付ける。だが実は、重要な役割を担うフェッチが「広告に絡む詐欺を看過・助長し、甚大な被害を与えた」として、顧客企業から損害賠償請求訴訟を起こされている。訴えたのは、ライドシェアの世界最大手であるアメリカの『ウーバーテクノロジーズ』だ。フェッチによって5000万ドル(※約56億円)の損失を被ったとして、9月中旬、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所へ提訴した。賠償金の請求額は明示していないが、訴状で“punitive damages(損害賠償)”を求めると複数回言及している。懲罰的損害賠償は英米法特有の概念。被告の行為が社会的責任等の観点で強い非難に値する場合、制裁の意味を込め、実際の損失より大きい賠償額の支払いを裁判所が命じることだ。今回、裁判所がこれを命じるかは未知数だが、ウーバーの強い憤りが窺える。

訴状によると、ウーバーは2015年1月にフェッチと広告キャンペーンの契約を締結。様々なウェブサイトに広告を配信し、ウーバーのアプリをダウンロードしてもらうよう誘導する内容だった。キャンペーンは実際に行なわれたが、今年2月に起こった消費者からのバッシングを機に、ウーバーはフェッチとの取引に不信感を抱いた。極右系メディアとされる『ブライトバートニュースネットワーク』にウーバーの広告が出ていたのだ。当時のアメリカでは、大統領選でヒラリー・クリントン候補を破ったドナルド・トランプ氏が大統領に就任。国民の間では、大統領選中にクリントン候補に関する極端なネガティブ情報や、事実無根のフェイクニュースを伝えたメディアに対して批判が高まっていた。その1つがブライトバート。『AT&T』や『ケロッグ』等800社余りが広告配信を止めると早々に表明したが、ウーバーの広告は表示され続け、これが大きな非難を浴びた。実は、ウーバーもブライトバートへの広告配信を禁じていたが、方針が守られなかったのだという。こうした事態を受け、同社は3月にフェッチとのキャンペーン契約を解除。そして、更なる疑念が解除後に浮上した。キャンペーンを打ち切ってもアプリのダウンロード数が変わらなかったのだ。ウーバーは、「フェッチが報告してきたダウンロードに繋がるクリック数は水増しされたもので、クリックを偽装する“アドフラウド(広告詐欺)”が第三者によって行なわれていた」と主張している。アドフラウドには様々な手法があるが、今回のケースに即して仕組みを解説しよう。広告主はフェッチのような代理店を窓口とし、『Google』のような企業のアドネットワークを介してサイトに広告を配信する。サイトは掲載した広告がクリックされ、アプリがダウンロードされれば報酬が貰える。この報酬システムを悪用したのが、大量のクリックを機械的に発生させてインターネット空間に割り込ませ、実際のダウンロード履歴と結び付いたデータを作り、「うちのサイトのクリックがきっかけでダウンロードされた」と報酬を騙し取る手法だ。この被害は、信頼できるサイトにだけ配信すれば防げる。だが、アドネットワークを介した広告は、内容や広告費に見合った最適な広告枠をコンピュータのアルゴリズムが選び出し、自動で配信する“運用型”と呼ばれるもの。そして広告主は、より多くのクリックとダウンロードを求めるから、自動配信先には“よからぬサイト”がどうしても混入しがちになる。ウーバーは、「こういったアドフラウドが蔓延する中、フェッチがアドネットワークとサイトの監視を怠って、詐欺行為を看過した結果、過大な広告支出を強いられた」と主張。また、「サイト等が広告収入の見返りにフェッチにリベートを払ったことを、フェッチは我が社に報告せず、返金もしなかったことでも支出が膨らんだ」と指摘し、これらの損害に対する賠償を要求している。

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“情報戦争”の勝者は誰だ――ソフトパワー戦略見直しはトランプ大統領の下では空論に過ぎない

20170809 01
『ノースロップグラマン』製のステルス爆撃機『B2』は恐ろしい兵器だ。全く探知されないまま数千㎞も飛行でき、どんな標的にも熱核爆弾を落とせる。アメリカ政府の試算では、アメリカ空軍は稼働中のB2爆撃機の開発と配備に、1機あたり平均21億ドル(約2300億円)を費やしているという。こうした兵器を開発できる資金や技術がある国は殆ど無い。核兵器と精密誘導ミサイルにおけるアメリカの圧倒的優位は健在だ。だが、急激に変化する世界にあっては、それだけでは十分と言えない。例えば、ハイジャックテロはB2爆撃機にかかる経費に比べ、微々たるコストで実行できる。政府が支援するハッカーも、巨額資金が無くても他国の銀行や交通インフラ、そして民主的な国の選挙にまで大混乱を引き起こせる。バーチャルな世界では、相手の意図や能力を判断する手段が無いに等しい。自分が勝っているか負けているかすら確証を持てない。こうした曖昧さは、欧米諸国の軍事力を破壊しようと目論む者にとっては理想的だ。中国の戦略家は、この新局面を逸早く詳述した。1999年、中国人民解放軍の将校2人が『超限戦』という本で、あらゆる戦争に不可欠な3つの要素――つまり、兵士・武器・戦場が劇的に変化したと指摘した。兵士にはハッカー・投資家・テロリストが含まれる。彼らの使う武器は、民間機からウェブブラウザー、コンピューターウイルス等多岐に亘り、世界のどこでも戦場に変えられるという。

ロシアも多様な“武力”を用い、近年、ジョージア(※旧国名グルジア)とウクライナに軍事侵攻する一方、両国とエストニアにサイバー攻撃を仕掛けている。昨年のアメリカ大統領選へのハッキング疑惑も拭えない。加えて、“ニセ情報作戦”も強化している。ロシア問題専門家のマーク・ガレオッティ氏が言う“情報の武器化”だ。国営テレビのキャスターを務めるドミトリー・キセリョフ氏によると、「情報戦争が主要な戦闘行為になっている」という。アメリカ国防総省の元高官は、「多方面に及ぶ脅威に対抗する為、欧米諸国は社会を守るソフトパワー戦略を見直し、国家全体で取り組まなければならない」と主張する。尤も、アメリカ大統領の座にドナルド・トランプ氏がいる限り、こうした考えは机上の空論だ。トランプ大統領は旧来の軍事設備を増強しようとしている。それだけでなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を称賛し、『北大西洋条約機構(NATO)』の集団的自衛権にすんなりとは支持を表明せず、アメリカのメディアを「フェイクニュースを流している」と非難している。ロシア政府にとっては、この上なく御し易い存在だ。インターネット上の情報戦で、ロシア政府は既に勝利を収めたようだ。しかし、プーチン大統領の側近は、勝利に酔い痴れる前に、欧米諸国がロシアとは違い、特定の個人や機関だけに依存している訳ではないことを肝に銘じるべきだろう。現に、アメリカ議会は大統領選への介入を理由に、対露制裁を強化しようとしている。ロシア国内でも、野党指導者のアレクセイ・ナワリニー氏が年初、ドミートリー・メドベージェフ首相の腐敗疑惑を追及する動画を公開した。ソーシャルメディアで2400万回近く再生されている。独裁国家がどれだけ情報の武器化に長けていても、それは最早、指導者だけの専売特許ではなくなりつつあるのだ。 (John Thornhill)


⦿フィナンシャルタイムズ 2017年7月25日付掲載⦿

テーマ : 軍事・安全保障・国防・戦争
ジャンル : 政治・経済

旅行サイトが“脇役”になる…旅行予約は“メタサーチ”へ、グーグルも本格参入間近

20170808 11
ホテルや航空券等のインターネット予約サービスを横断的に検索し、価格等を比較する“メタサーチ”を提供するサイトの存在感が高まっている。先月、メタサーチ大手『カヤック』を運営する『カヤックソフトウェア』が、日本への本格進出を表明。日本に支社長を置き、旅行サイトの他、ホテルや航空会社のサイトとの提携も増やして、広告宣伝に力を入れる。同社シニアバイスプレジデントのデビー・スー氏は、「日本はアメリカや中国に次ぐ重要な市場で、成長余地も大きい」と語る。ドイツ大手の『トリバゴ』も、日本でテレビCMを積極的に放映。旅行口コミサイト大手の『トリップアドバイザー』は、2013年から日本でも本格的にメタサーチを取り入れてきた。更に、『Google』も旅行予約のメタサーチを強化している。検索窓にホテル名等を入れると価格を比較できる機能を既に導入済みだが、昨年からスマートフォン用の旅行アプリ『グーグルトリップス』の英語版の提供を開始。日本語版の提供時期について、同社関係者は「極めて近い将来」と明かし、日本でも本格参入する構えだ。何故今、メタサーチが台頭してきたのか? 背景には、旅行予約サイトの競争激化がある。

特に変化が起きているのが国内旅行だ。『楽天』の『楽天トラベル』や『リクルートグループ』の『じゃらんnet』等、日本の予約サイトの独壇場だったが、訪日外国人の増加で『エクスペディア』やオランダの『ブッキングドットコム』といった外資系が日本国内での事業を強化。有力ホテルも自社サイトに注力するようになり、安さを求める消費者にとって比較検討する煩雑さが増した。その手間を解消するサービスとして、複数の予約サイトを自動的に検索・比較し、ホテルや航空券の価格を瞬時に一覧表示するメタサーチへのニーズが高まっている。メタサーチは、提携サイトへ誘導した際のクリック課金や、予約成立時の手数料が主な収入源。予約業務を直接手掛けない一方、泊まりたいホテルの値下げを通知する機能や、旅程の管理機能、旅行予約サイトを訪れなくても予約できる機能等も開発。メタサーチの利便性が増すことで、既存の予約サイトは、メタサーチに利用される“脇役”へと押しやられる可能性も出てきている。こうした構造変化は欧米で先行して起きており、大手旅行サイトは傘下にメタサーチを取り込んできた。実は、カヤックは12年にブッキングドットコムの親会社である『プライスライングループ』に買収され、トリバゴも同年にエクスペディアの傘下に入っている。国内にも、『ベンチャーリパブリック』(東京都港区)が運営する『トラベル.jp』等がある。だが、世界大手が資本力を武器に日本で攻勢をかけ始めたことで、旅行予約の在り方が大きく変わり、旅行業界が新たな競争に曝されるのは必至だ。 (取材・文/本誌 宇賀神宰司)


キャプチャ  2017年8月7日・14日号掲載

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