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【木曜ニュースX】(378) “国民の知る権利”はどこへやら…NHKのインターネット配信を巡り新聞協会と民放連が“すれ違い”

20230803 08
『NHK』のインターネット配信業務拡大が議論される中、『日本新聞協会』と『日本民間放送連盟』が其々手前勝手な立場をとり、顰蹙を買っている。NHKのインターネット事業拡大は現在、総務省の有識者会議で議論されており、会議のメンバーはほぼ全員が前向きな姿勢を示している。これに対し、オブザーバーとして参加している新聞協会は反対の立場だ。加盟各紙は紙面で一方的な反対論を展開して、「まるで駄々っ子」(自民党幹部)と呆れられている。新聞協会側は、「NHKのインターネット配信をこれ以上拡大すれば、地方紙は太刀打ちできず潰れてしまう。そうなれば、言論の多元・多様性が奪われ、民主主義の危機に繋がる」という論陣を張っている。しかし、放送法で縛られたNHKと、新聞社は単純に競合するものではない。抑も新聞業界が取り組むべきは、経営の合理化と紙面の質向上だ。「自らの経営責任は棚上げして、都合よく存続ばかり考えているようだ」(民放キー局幹部)との批判の声も聞こえてくる。民放連は新聞業界とは逆の立場にある。経営の苦しい地方局は、NHKとの放送設備共用を進めて経費削減に繋げたい。「その為なら、NHKのインターネット業務の拡大を認めてもいい」(民放連幹部)というのが本音だ。ただ、民放連加盟社の多くは新聞社と資本関係がある為、新聞協会の顔色を窺っている状態。新聞も民放も、“国民の知る権利”のことよりも自分達の延命ばかりを優先している。今後もジリ貧は続きそうだ。


キャプチャ  2023年8月号掲載
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テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

【情報偏食・歪む認知】第1部・脅かされる民主主義(04) デジタル空間の健全化を

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230203-OYT1T50320/
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230203-OYT1T50300/
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230203-OYT1T50293/


キャプチャ  2023年2月4日付掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【情報偏食・歪む認知】第1部・脅かされる民主主義(03) ツイッターで急増するデマ

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230202-OYT1T50258/

20230718 07
訴訟大国のアメリカで『フェイスブック』や『ツイッター』がここまで成長したのは、通信品位法230条の“免責”によるところが大きいとされる。SNSを運営する企業は、利用者の投稿内容について原則、法的責任を問われないと定める。インターネットが浸透する前の1996年に制定された条文だ。2021年1月のドナルド・トランプ前大統領支持者らによる連邦議会議事堂の一時占拠事件を契機に、有害な投稿への厳しい管理を求める機運が高まった。ジョー・バイデン大統領は、「私は以前から通信品位法230条を抜本的に改革する必要があると述べてきた」と訴える。先月、米紙『ウォールストリートジャーナル』へ自ら寄稿し、巨大IT企業の責任を追及する超党派法案の早期可決を呼びかけた。政権と対立する共和党のキャシー・マクモリス・ロジャース下院議員(※下院エネルギー商業委員長)も「バイデン政権は我々と手を組んで巨大ITを支配するべきだ」と、規制強化に協力姿勢を示している。ただ、法改正に向けた基本的な考えは異なる。共和党は「IT企業はリベラル寄りだ」と見て、「右派的な投稿を検閲しているのでは」と疑う。民主党は、人種差別等有害な投稿の排除に向け、監視の強化を求める。

規制強化に向けた議論はすれ違い、思うように進まない。一方で、IT企業側は規制強化を防ぐべく、巨額の資金を投じてアメリカ議会等へのロビー活動を活発化させ、働きかけを強めている。インターネット上の偽情報を巡る規制は、EUが先行する。昨年11月、オンラインサービスを行なう企業に対し、偽情報の拡散防止義務等を定めたデジタルサービス法を施行した。違反した企業には、全世界の売上高の最大6%の制裁金が科される。域内の利用者数が月間4500万人以上の巨大ITに対しては、今年夏から最も厳しい規制を課す。元はアメリカの巨大ITの影響力の強まりに抵抗する側面があったが、ロシアのウクライナ侵略を巡り、大量の偽情報が拡散したことを踏まえた対応にも乗り出した。ロシア政府はSNSや国営メディアの報道等を組み合わせ、偽情報を拡散して“武器”としている。そこでデジタルサービス法では、戦争や感染症の世界的流行のような危機的事態に関し、巨大ITがとるべき対策をEU側で決められる“危機対応メカニズム”も定めた。アメリカ景気の後退懸念から企業が広告費を抑えるようになり、アメリカの巨大ITは冬の時代を迎えようとしている。フェイスブックや『インスタグラム』の運営企業『メタ』、動画投稿サイト『YouTube』を運営する『グーグル』の親会社『アルファベット』は、其々1万人を超す苛烈な人員削減に乗り出す。今以上に、有害な情報の監視への影響が懸念される。インターネット上の情報発信の問題に詳しい森亮二弁護士は、ツイッターの混乱等を通じ、「企業側に偽情報への対応を委ねる限界が明らかになった」と指摘。「企業がどのように投稿の監視や削除をしているかの開示を義務付ける等、一定の規制が必要だ」と話している。 (取材・文/ニューヨーク支局 小林泰裕/ワシントン支局 田中宏幸/ロンドン支局 中西梓)


キャプチャ  2023年2月3日付掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【「平和国家」はどこへ】(11) インタビュー編…佐藤丙午氏(拓殖大学教授)

20230706 06
――AIの軍事利用はどのような状況でしょうか? 人間が関与せずに、AIが自律的に敵と認識した人や物を攻撃する兵器『自律型致死兵器システム(LAWS)』の規制が焦点となっています。
「日本は、LAWSそのものの開発や使用はしないとの立場だ。ただ、攻撃において人間の判断を必要としない、LAWS以外の無人兵器の開発は進めている。その分野で、アメリカや中国、ロシア等他国はもっと先行していることは間違いない。敵の居場所を探る索敵等にAIを活用しようとしている国は多い。韓国やフランスではAIソルジャーを作ろうとしている。兵士達の脳にチップを埋め込んでネットワーク化し、AIが支援して部隊間でコミュニケーションを取り、作戦判断をする構想だ。韓国は『意思決定は人間がする』と説明しているが、そのチップをロボットに埋め込むこともできるだろう」
――LAWSを規制する国際的な協議の現状はどうでしょうか?
「2019年に、非人道兵器を規制する特定通常兵器使用禁止制限条約(※CCW)の枠組みを使って、“使用は人間が責任を負う”こと等を盛り込んだ11項目の運用指針に合意した。これが、その後の議論のベースラインとなっているが、そこから先には一歩も進んでいないのが現状だ。各国がAIを利用した兵器システムの開発を独自に進めているが、具体的な規制の手立てが見えないまま、ここまで進んだという印象だ」
――何故、規制が進まないのでしょうか?
「LAWSに該当する兵器システムの内容を特定し、その定義を明確にするのが難しい為だ。AIを利用した兵器システムについて、各国が規制を守るよう担保することも難しい。仮にある国が違反を指摘されたとしても、『攻撃は人間が判断しており、規制内の運用だ』等と主張して否定するだろう。違反を明確にするには細かく開発のプロセスを検証し、システムを分解しない限り無理だ。ロシアが侵攻したウクライナで今、飛び回っているドローン等がどの程度のAI技術を活用しているのかも、詳細は見えていない」
――日本は規制の協議にどのように関わっているのでしょうか?
「日本は国際会議で、実効性のある法的ルールを提案しているが、各国の共感を得られていない。グローバルサウス諸国は、先進国の技術的優位を固定するような不平等なルールが作られることを警戒している。『実効性が乏しい形だけの法的規制を作ればいい』という考えの国が多い。中国は運用規制には関心を持つが、『開発規制はかけるべきではない』という立場だ。先進国と途上国で議論が噛み合っていない面がある」
――日本国内には、防衛分野でのAI利用に関するルールはあるのでしょうか?
「ほぼ存在しないと言ってよい。内閣府が2019年にAI活用の基本原則の“人間中心のAI社会原則”を策定したが、民生品が対象だ。アメリカではNGOや民間の研究者らを広範に集めて議論し、国防総省が2020年に“AI5原則”を取り纏めた。AIの意思決定過程は見え難い為、追跡して検証が可能な仕組みを作るよう求めている。日本もAIを防衛に利用するのであれば、リスクをどう管理するのか原則を示さなければ危うい。欧米等の原則を引用して運用するのかもしれないが、日本としての原則を対外的に示しておかなければ国際的に信用されない。だが、AIを搭載した装備品を他国から購入する際、国内に厳格なルールがあると購入が難しくなるので、規制は後追いでよいのではないかという意見もある」
――ロシアのウクライナ侵攻は協議に影響しているのでしょうか?
「数年前から、AIを利用した兵器システムの使用を規制する議論をしてきた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が全てを崩してしまったと感じる。人間はこれほどにも身勝手だということが露わになってしまった。議論が停滞する中で、各国の技術開発が進んでいる。ある日気付いたら、AI兵器システムによって戦争が起きているということがあるかもしれない。それを規制する方法が見いだせない状況が続いている」 (聞き手/デジタル報道センター 山下智恵) (撮影/千葉紀和) =おわり

          ◇

飼手勇介・内橋寿明・岡崎大輔・田中韻・山下智恵・高橋祐貴・田畠広景・山口桂子・岩本桜・秋山信一が担当しました。


キャプチャ  2023年1月17日付掲載

テーマ : AI / AR / VR
ジャンル : コンピュータ

【「平和国家」はどこへ】(07) AI、防衛利用へ着々



20230705 04
会議室に置かれた大型モニターに、宇宙から人工衛星が撮影した東海地方沿岸の海上の画像が映し出された。画像の範囲は500㎞四方。『IHIジェットサービス』(※東京都昭島市)が、防衛省への提供を目指す開発中のシステム『海洋監視プラットフォーム』の試作画面だ(※右画像、撮影/山下智恵、画像の一部を加工しています)。昨年12月23日午後、同社の担当者が画面をマウスでクリックすると、システム内のAIが画像解析を始めた。“検出実行中”・“AISマッチング実行中”と表示される。20秒程で解析が終わると、画像のエリア内で航行する船舶が小さな点で表示され、瞬時に赤、黄、白の3色に色分けされた。AISとは船舶自動識別装置のことだ。海上の安全を守る為、500トン以上の大型船には船名や位置情報等を含む信号を常時発信して周知するよう、義務付けられている。AIS信号は海上保安庁等が衛星や陸地の受信局で受信している。IHIジェットサービスのシステムは、地上の画像を撮影する光学衛星、レーダーで画像を撮影する衛星、AIS信号を受信する衛星等から送られたデータを組み合わせ、AIで解析した結果を表示する仕組みだ。「赤色の船は、AIS信号を発信していない不審船の為“警告”、黄色の船は登録された情報と大きさ等が異なるので“要注意”という意味。不審な点がない船は白色になる」。担当者はこう説明した後、システムを操作し、赤と黄の船の詳細なデータを更に調べていく。防衛省は現在、AIS情報や衛星画像、哨戒機の警戒監視活動等で不審船を確認している他、中露等各国軍の艦船の動きも追っている。

同省はIHIジェットサービスのシステム導入に前向きだ。AI技術によって、船舶の動向を確認する作業が飛躍的に省力化され、精度も増す為だ。画像解析はAIが得意とする分野。大量に送信されてくる衛星画像を人間が1枚ずつ目視で不審点を確認していた作業を、一瞬で終わらせることができる。同社のシステムでは、事前に“学習データ”という画像情報を読み込ませておくと、航行する船の画像を即座に、タンカー、漁船、木造船等6種類に分類することができる。民間船舶に加え、防衛分野でも活用できるように、各国軍の艦船について空母、巡洋艦、潜水艦等数種類を追加で分別できるように、改良を進めている。将来的には数十種類の識別を目指す。戦局を一変させる“ゲームチェンジャー”。自民党は昨年4月、政府に提出した国家安全保障戦略の改定に向けた提言で、AIと無人機をこう表現した。これらの技術革新で他国に対し、優位に立つことが安全保障上で「死活的に重要だ」とも記した。防衛装備庁技術戦略部の担当者は、「AIを防衛装備品にどう応用できるかを研究している。その為には民生分野の情報を詳しく知らなければならない」と強調する。防衛省は日々進化を遂げるAIを徹底的に活用しようと、民間の最先端技術の取り込みを加速させている。IHIジェットサービスは、航空機エンジンや艦船の建造等防衛産業を手がける大手『IHI』のグループ企業だ。海洋監視プラットフォームに必要な衛星データは、別の民間企業から提供されている。衛星は地球を周回しており、同じ場所を撮影し続けることはできない。必要な地点を撮影できるのは1日1回程度だ。今後の衛星技術の進展が期待されている。同社のベテラン技術者は、「商業用衛星の打ち上げは、ここ数年で一気に進んだ。リアルタイムで船舶の識別ができる環境が2~3年先に来るかもしれない」と予測する。精度向上で情報量が増えた画像データを生かすには、AIの進化が求められる。同社のシステムでは、船の種類毎の識別は概ね可能だが、同種の船が複数ある場合、1隻ずつを個別に識別することまではできない。自衛隊や各国軍にとって、各艦艇の位置情報は作戦計画等の運用に関わる為、秘密扱いとなっている。潜水艦は動きを覚知されないように潜航する為、より秘匿度は高い。AIを改良することで個別の船まで把握できる可能性があり、防衛分野での利用に向けて期待感が高まる。この技術者は、「いつも決まった港に停泊している艦艇が、別の場所に移動したことが個別に識別できれば、戦略上は有利になるだろう」と指摘する。軍用船舶にはAIS信号の発信義務はないが、画像を詳細に解析することで識別するとみられる。また、防衛装備庁は来年度から、AIで意思決定を支援するシステムの基礎研究を始める。5年後を目処に技術を確立し、訓練での活用を目指す。陸自の指揮官が部隊を運用する際、AIに敵の部隊の人数や位置、気象条件等必要な学習データを読み込ませて、取るべき行動の選択肢を提示させる。

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テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【「平和国家」はどこへ】(04) 海底通信網、攻撃潜在



20230704 07
房総半島の南端に位置する千葉県南房総市。太平洋に面した砂浜から100m程の場所に、鉄塔やパラボラアンテナを備えた通信設備の基地局がある。アメリカの西海岸を出発した光ケーブルが、約1万㎞に亘って海中を走り、ここに繋がっている。「安全保障上の問題で詳細は言えない」。施設を運営する企業の担当者は、こう前置きした上で、ケーブルが地下を通り、この基地局が結節点となって全国の光ケーブル網に繋がっていると説明した。日本周辺には無数の海底ケーブルが張り巡らされ、関東では南房総市に集中する。太平洋に面し、都心に近い為で、“ケーブル銀座”とも呼ばれる。日本はクラウドサービス等多くの情報基盤をアメリカに頼る。仮に日米間のケーブルが断絶すると、携帯電話やインターネット接続の不具合、ATMや電子マネー等の金融取引・決済等で障害が発生することもあり得る。2011年の東日本大震災では複数のケーブルが切れてメール送信の遅延等が起き、完全復旧までに約5ヵ月を要した。「ロシアの調査船が太平洋上で約1ヵ月に亘り、同じ航路上を何度も往復しては停泊している」。東京都内に事務所を置く情報調査企業の社員は約3年前、ロシア船の不審な動きに気付いた。調べてみると、移動経路が日米間の主要なケーブルの位置と一致した。日本政府も、こうした動きを把握している模様だ。政府関係者は、「センサーを付けた長いロープを水中に垂らし、ケーブルの位置や周囲の地形等を確認しているのではないか」と話す。

ロシア船の不審な動きは、欧州を中心に各地で確認されている。著名なのが、欧米メディアから“スパイ船”と呼ばれる『ヤンタル』。米紙『ニューヨークタイムズ』は2015年10月、アメリカ軍が海底ケーブル付近を航行するヤンタルを見つけ、切断されるのを警戒していると報じた。欧州を拠点に潜水艦や海洋調査船の動向を調べているH・I・サットン氏は、こう分析する。「ヤンタルには、平時に低コストでケーブルの正確な位置を調査する役割がある。攻撃があるとすれば、実行するのは水中ドローン等だろう」。海底ケーブルは最も細い箇所が直径数㎝程の為、漁具等で損傷を受けて切れることがある。だが、不審な切断事例もある。スコットランド北方のシェトランド諸島沖で昨年10月20日、海底ケーブルが切れ、島ではインターネット接続の不具合等大きな混乱が起きた。切断の前後に、ロシアの調査船が付近を頻繁に航行していた。証拠は無いものの、現地メディアはロシアが関与した可能性を報じている。この直前の9月末、ロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツに送る海底パイプライン『ノルドストリーム』でガス漏れが起き、スウェーデン検察当局は「破壊工作による爆破が原因だ」と発表した。ロシアの関与を疑う声がある。昨年12月に改定された日本政府の安全保障関連3文書では、敵の射程圏外から攻撃できるミサイルの開発や量産等、ハード面の装備が注目される。しかし、世界で急増しているのは、サイバー等“グレーゾーン”の攻撃によって標的を混乱させる手法だ。一度攻撃が起きれば、国民生活への影響は大きい。中でも、海底ケーブル切断は比較的安価なコストで実行できる。アメリカのシンクタンク『戦略国際問題研究所(CSIS)』によると、海底ケーブルは世界に約400本ある。総延長は地球約32周分にあたる凡そ130万㎞で、各国の情報通信の生命線だ。サットン氏は警鐘を鳴らす。「日本は四方を海に囲まれた島国であり、海底ケーブル切断への警戒は必要だ」。南房総市の基地局を出た海底ケーブルは、韓国や香港、台湾とも繋がる。台湾で海底ケーブルが陸に上がる結節点となっている北東部の頭城では、中国による攻撃を想定し、蔡英文政権が対策に乗り出していた。清朝時代の中国式住宅や、日本統治時代に建てられた和風の建物が残り、風情ある街並みは観光名所となっている頭城。海岸は台湾本島の最東端に近く、東シナ海を挟んで110㎞余り先には沖縄県の与那国島が浮かぶ。浜辺の近くに7階建てのビルが建つ。正面入り口のゲートは閉め切られ、門柱には中国語で“頭城海底ケーブル地区”と記されている(※右下画像、撮影/田中韻)。近付くと警備員がこう言った。「ここは国家の重要施設だ。中には入れない」。日本の房総半島やアメリカの西海岸等を出発した海底ケーブルは、頭城の基地局を結節点として、台湾全土の通信網に繋がる。昨年7月8日、ここを蔡政権の閣僚や軍人らが視察し、ケーブル攻撃への対策等を協議した。台湾国防部傘下のシンクタンク『国防安全研究院』は、2019年の時点で「中国軍がケーブルを破壊してインターネット接続を切断する可能性がある」と指摘しており、蔡政権は早くから警戒を強めていた。実際、中国共産党の機関紙『人民日報』系の『環球時報』は、ステルス性の高い軍事用水中ドローンが「海底施設を攻撃できる」と報じている。

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テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【明日への考】(46) 生成AI、新たな“人類の脅威”…進歩の速さに規制が追いつかず

人間が書いたような文章を作ることができる生成AIの利用が急拡大している。一方で、「人類や文明の存続を脅かす」等の警鐘も相次ぐ。何故、それほど恐れるべきなのか。核兵器や気候変動等、他の脅威と何が違うのか。それらとの比較で何が見えてくるのか。 (編集委員室 大塚隆一)



20230619 09
“人類存亡の脅威”と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。自然が齎す破局的な脅威には、小惑星の衝突や超巨大火山の噴火等があるが、ここでは人間の活動、特に技術や産業の発展で生じた脅威を取り上げたい。具体的には、気候変動、核兵器、遺伝子の改変、AIの4つだ。程度の差はあるが、どれも人類の存続を揺るがすリスクをはらむ。それらを年代順に並べたのが左画像である。このうち、気候変動と核兵器は“エネルギー”に関わる。18世紀後半からの産業革命で化石燃料の採掘・利用が広がり、温暖化に繋がった。気温上昇が続けば、地球の環境は激変する。20世紀に入ると、人類は原子核のエネルギーを発見し、核爆弾を製造した。今や世界の核は文明を破壊しつくす潜在力を持つ。一方、遺伝子の改変は“命”の謎解きに挑む生命科学が生んだリスクだ。特に近年、遺伝子を自在に操作できるゲノム編集が登場したことで懸念が強まった。この技術を人の生殖細胞や受精卵に使い、遺伝子を望み通りに変えた“デザイナーベビー”を誕生させるとどうなるか。改変の影響は子々孫々まで残る。専門家は「人類の多様性や進化に未知の問題を生じさせかねない」と危惧する。勿論、科学技術や産業の発展は多大な恵みを齎してきた。数次の産業革命で、私達の暮らしは豊かになった。核エネルギーは原子力という新しい電源を生んだ。核融合にも期待が集まる。遺伝子の研究は難病の治療や新薬の開発、作物の品種改良等で目覚ましい成果を上げてきた。だが人類は、恵みと引き換えに、扱いを誤れば自らの生存を危うくするリスクを背負った。謂わば、災いが詰まった“パンドラの箱”を開けてしまった。

人工知能のうち、今話題の生成AIは“知”の分野の驚くべき成果だ。代表格の対話型AI『ChatGPT』は、人間のような巧みさで“言語”を操る。それ故、脅威にもなり得る。こちらの“パンドラの箱”は、どんな災いを齎すのか。政府のAI戦略会議は先月、懸念されるリスクとして、偽情報の氾濫、犯罪の巧妙化、著作権の侵害等7項目を挙げた。一方、イスラエルの歴史家であるユヴァル・ノア・ハラリ氏は英誌『エコノミスト』で、「言語が人類の文明を築いてきたことを考えれば、生成AI問題はもっと“大きな構図”で捉えるべきだ」と論じた。「民主主義は対話であり、対話は言語による。AIが言語を乗っ取れば、有意義な対話、即ち民主主義は破壊されかねない」。更に、「核兵器は文明を物理的に破壊できる」が、生成AIは「私達の精神世界と社会を滅ぼす“新しい大量破壊兵器”になり得る」とまで指摘した。勿論ハラリ氏も、生成AIが社会の抱える様々な課題の解決に役立つ可能性は認めている。しかし今は、その能力を見極め、規制を優先すべき時だと訴える。同様の懸念は生成AIの開発者達も抱いている。その一人、ジェフリー・ヒントン博士はアメリカで先月開かれたセミナーで、ChatGPTの予測以上の賢さに驚き、怖さも感じると語った。「最新のモデルは常識的な推論ができる。IQは80か90くらいか。古今の小説とマキャベリの人心掌握術から学び、もっと賢くなったら、私達を巧みに操れるようになるだろう」。歴史を顧みれば、核や遺伝子でも、研究開発に関わった科学者達は真っ先に警鐘を発した。核エネルギー発見に貢献したアルバート・アインシュタイン博士は、他のノーベル賞受賞者らと核兵器の脅威を警告する歴史的な宣言を出した。DNAの構造解明で知られるジェームズ・ワトソン博士は、遺伝子操作の自主規制を話し合った有名な『アシロマ会議』の呼びかけ人の一人だった。だが、生成AIが他の脅威と共通するのはこの点くらいだ。表が示すように異なる点のほうが多い。この為、生成AIの規制は一段と複雑で厄介なものになる。第一に、技術の進歩や影響の波及のスピードが桁違いだ。だから規制が追いつかない。ChatGPTの利用者は、昨年11月の公開から5日で100万人、2ヵ月で1億人に達した。

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テーマ : AI / AR / VR
ジャンル : コンピュータ

【水曜スペシャル】(593) ロシアのサイバー攻撃で被害…石油連盟の甘過ぎる防御態勢

20230426 06
ウクライナを支援する国々を攻撃する民間ロシア系サイバー攻撃集団のうちの一つが最近、日本企業や官庁を標的にしている。“NoName057(16)”と名乗っており、政治的なメッセージとしてサイバー攻撃を行なうハクティビスト(※ハッキングする活動家)組織だ。2月13日に日本が反ロシアの動きをしているとして“宣戦布告”。同グループが手段としているDDoS攻撃のターゲットになったのは、『みずほフィナンシャルグループ』・『パナソニック』・経済産業省・『小松製作所』・『JR東海』・『JR東日本』・『バンダイナムコ』等だ。だが、威勢の良い割に攻撃能力が高くない為、何れも無傷で対応できている。ところが、『石油連盟』のサーバーは、このグループからの攻撃でダウンしてしまった。「原因は連盟の信じられないようなセキュリティーの甘さ。今の時代にサイトを暗号化(※SSL)すらしていなかった。2月15日と3月1日の二度、ダウンする羽目になった」(捜査関係者)。この被害が、加盟する石油関連企業への大規模攻撃の踏み台になる可能性もあり、関係者は憂慮している。


キャプチャ  2023年4月号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【火曜特集】(580) 皇室のSNS解禁に暗雲…秋篠宮家“積極関与”というリスク

20230328 06
皇室によるSNSでの発信議論の雲行きが怪しい。昨年、降って湧いたようなSNS解禁議論では、「既に宮内庁の定員を4人増やす準備が進められている」(情報筋)。来月以降に10人規模の広報室が新設され、そこにSNSの担当チームが置かれるとみられる。最終的な発信プロセス等についてのルール作りが行なわれるが、皇室ウォッチャーによると秋篠宮家の役割が大きいという。検討されているプランでは、宮家毎のアカウント作成が想定されている。天皇家については侍従らが中心となって宮内庁側とやりとりをするという。ただ、「他の宮家については、一度、秋篠宮家で意見を集約するという方針が検討されている」(同)。実現すれば、秋篠宮家が天皇家以外の情報発信を管理することになる。秋篠宮さまは昨年の会見でSNSでの発信について言及する等、「前のめり」(宮内庁担当記者)。宮内庁側が上手く制御できなければ“炎上騒動”も起きかねない。


キャプチャ  2023年3月号掲載

テーマ : 皇室
ジャンル : ニュース

【岐路の資本主義】第4部・副作用(05) 贈るお金、円から縁

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221209-OYT1T50193/


キャプチャ  2022年12月10日付掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

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George Clooney

Author:George Clooney

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