【ダークウェブ】(下) 「あなたは捜査対象だ」――監視・摘発、攻防激しく

20170426 06
昨年10月、ダークウェブを悪用する世界中の犯罪者が驚いたであろう出来事があった。「貴方は特定されている」「捜査の対象だ」――。麻薬取引等を扱うサイトのトップ画面が改竄され、利用者に警告を発するメッセージが表示された。オランダの捜査機関の名前と共に。セキュリティー会社『スプラウト』(東京都渋谷区)リサーチャーの岡本顕一郎氏によると、捜査機関がサイトの不備を突いてサーバーを乗っ取った可能性がある。アメリカでは、『連邦捜査局(FBI)』が2013年、最大規模の違法サイト創設者を逮捕した。裁判資料等によると、複数の捜査員がサイトの運営スタッフになりすまして、創設者とみられる男に接触。サイト運営や違法取引に関与した証拠を掴んだとされる。匿名性の高さから、犯罪の温床になっているダークウェブ。リスク管理支援の『デロイトトーマツリスクサービス』(東京都千代田区)シニアマネージャーの岩井博樹氏は、「海外ではサイトの運営者側に潜入したり、犯人側のサーバーにプログラムを仕込んだりする手法を駆使し、摘発を強化しているようだ」という。

法律の違いもあり、日本で同じ捜査手法が使える訳ではない。犯罪が疑われる書き込みを探して監視の目を光らせるものの、発信元に辿り着くのは難しい。できるのは、違法行為がサイバー空間から実社会に移った瞬間を逃さないことだ。愛知県警は昨年、掲示板に口座の売買情報を投稿した男を、犯罪収益移転防止法違反の疑いで逮捕した。ウェブ上で購入希望者に伝えた口座番号から、身元を特定した。捜査幹部は、「現実世界でのカネや物の流れを丹念に分析するしかない」という。企業には自衛の動きもある。「金融機関なら流出したカードや口座情報、インフラ企業ならサイバー攻撃の兆候、メーカーなら自社製品の欠陥情報を逸早く見つけ、被害が広がる前に対策を打てる」。IT機器販売の『テリロジー』(東京都千代田区)は、イスラエルの企業がダークウェブで収集した情報を提供するサービスの販売を始めた。昨年、日本に分析拠点を設けた『アーバーネットワークス』名誉アドバイザーの名和利男氏は、「ダークウェブは今後も拡大する。誰もが被害を受ける可能性があり、防御の為にも、ダークウェブ上で情報収集することが不可欠になる」と予測する。サイバー犯罪の増加に対応する為、全国の警察当局は捜査体制を強化している。警視庁は昨年度、捜査や人材育成の司令塔となる“サイバーセキュリティ対策本部”を新設した。複数の部署が連携して捜査する体制を整える。小規模な県警も体制作りに乗り出しており、滋賀県警は今春、サイバー犯罪対策室を“対策課”に格上げした。警察庁によると、他に7県警が対策課を新設した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、企業や政府機関を狙ったサイバー攻撃の増加も懸念されている。警察幹部は、「官民の連携強化や専門知識を持った捜査員の育成も急務だ」と話している。


⦿日本経済新聞 2017年4月21日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【ダークウェブ】(中) 17歳の掲示板、悪意群がる――開設者逮捕後も独り歩き

20170426 05
「ハッカーの情報交換の場を作りたい」――。2014年暮れ、神奈川県川崎市に住む17歳の少年が、ダークウェブ内にある掲示板サイトを開設した。名称は『恒心教サイバー部』。少年自身もハッカーで、企業サイトを改竄する行為を繰り返していた。既に海外ではダークウェブが広がっていた。通常のインターネットユーザーが入れない掲示板で、高い技術を競い合う。周囲の人によると、狙いは同じような仲間を呼び込むことだったようだ。少年が繰り返していたハッキングも違法行為。ただ、興味半分だった本人の意図を超え、掲示板には様々な悪意を持つ人が集うようになる。「インターネットバンキングの口座情報求む」「犯罪の手口を教えてほしい」。ハッカーからの投稿は減り、犯罪による金稼ぎや児童ポルノの取引を目的にした投稿で溢れた。暴力団関係者やITの知識に乏しい人物の投稿も目立つようになった。“恒心教”の名は、国内の闇の世界で広まった。情報セキュリティー会社『ネットエージェント』(東京都墨田区)の杉浦隆幸会長は、参加者について「ダークウェブを使う日本唯一の犯罪者集団」とみる。投稿内容から、「多い時で約100人が参加していた」と分析している。

少年は2015年、企業に対する不正アクセス禁止法違反容疑で警視庁に逮捕された。ただ、生みの親がいなくなったにも拘わらず、掲示板が閉鎖されることはなかった。何者かが管理用サーバーを乗っ取り、運営するようになったとみられる。事件として摘発された事例もある。昨年2月、掲示板でのやり取りを通じてコンピューターウイルスを入手する等した高校1年生の男子生徒が摘発された。同年7月には、他人のカード情報を売る広告を書き込んだ男が逮捕された。摘発が相次いだ為か、昨年から投稿は下火になった。今春の時点では既に閉鎖されたとみられている。しかし、最近でも大手眼鏡店チェーンがサイバー攻撃を受けた事件で“恒心教”の名が使われる等、余波は続いている。当時、掲示板を頻繁に閲覧していた20代の男子大学生は振り返る。「犯罪の舞台になったのは残念だが、ハッカーが技術を競い合える場ができた意義は大きかった」。幼い頃からインターネットに慣れ親しんできたデジタルネイティブ世代の言葉からは、自分たちの行為に潜む危うさを深く考えた様子は窺えない。サイバー犯罪に手を染めるのは若い世代が多い。警察庁によると、他人のIDやパスワードを無断で使ってネットワークに侵入する等の不正アクセス禁止法違反で、昨年1年間に摘発されたのは、10代(14~19歳)が62人で、年代別の最多。20代も含めると、全体の6割近くを占める。捜査関係者によると、サイバー犯罪を犯す少年は罪の意識が薄い傾向がある。「専門知識が無くても、ダークウェブ上でウイルス等を簡単に入手できる」(捜査幹部)といい、悪戯の延長のような感覚で違法行為を行う若者も少なくない。


⦿日本経済新聞 2017年4月20日付掲載⦿

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【ダークウェブ】(上) カード情報1人1万円――麻薬・企業機密まで売買

違法取引や犯罪の温床になっているとされる“ダークウェブ”。増殖する闇のサイバー空間の実態を追う。

20170426 04
「貴男のクレジットカード情報が売られています」――。北陸地方の40代男性は昨春、警視庁からの突然の連絡に驚いた。「誰がどこで売っていたのか…」。売り主は岐阜市の男(30)だった。失業中の生活費を稼ごうと、他人のカード情報を転売することを思いついた。最初は一般的なインターネットの掲示板で情報を入手しようとしたものの、失敗。しかし、ダークウェブの存在を知ったことで状況が変わった。ダークウェブのあるサイトで、1人分1万円程度で買うことができた。別のサイトで価格を上乗せして売りに出すと、買い手は次々に現れた。売り上げは4ヵ月で約450万円に達した。逮捕後の調べに、「通常のインターネット空間よりも効率的に売買できた」と供述した。男は昨年7月、他人の口座から現金を引き出した窃盗容疑で逮捕された。捜査の過程でカード情報の売買が判明。警視庁幹部は、「ダークウェブ内の売買だけだったら、犯行は明るみに出なかったかもしれない」と漏らす。ダークウェブは、特殊なブラウザソフト等を使わなければ接続できないインターネットサイトの総称だ。検索サイトには表示されず、自分でアドレスを調べなければならない。発信元が特定されず、犯罪の温床になっているとされる。

そこで取引されるのは、個人情報に留まらない。「あらゆる違法なものが揃っています」。東京都渋谷区にあるセキュリティー会社『スプラウト』のオフィス。高野聖玄社長がパソコンを操作すると、数十種類のコンピューターウイルス・麻薬・偽造免許証が並ぶ英語のサイトが次々と画面に表れた。取引対象毎に専門分化が進み、あるサイトには“殺人請負”の文言も。一般的な通販やオークションサイトと同じように、出品者の信頼度を評価するシステムを導入したサイトもある。競争の激しさは、本物のインターネット通販業界宛らだ。脅威は、人々の暮らしや企業活動にも忍び寄る。イスラエルのセキュリティー会社の調査では、日本に本社があるクレジットカード会社の利用者約10万人分の情報がサイト上で売買されていた。「企業の経営会議資料や新製品の図面を確認したこともある」(高野社長)。情報は世界中からアクセスできる。インターネットのサイトが犯罪行為に悪用される事例は、過去にもあった。2007年には、携帯サイトで知り合った男3人が女性を殺害する事件が発生。大規模な掲示板で違法薬物が売買されるケースも少なくない。しかし、これらは誰もがアクセス可能で、身元の特定も容易だ。捜査機関が取り締まりを強化したことで、違法行為の摘発も進んだ。代わって台頭したのがダークウェブだ。身元を隠すソフトと仮想通貨が普及し、通信と決済の両方で高い匿名性を保つことが可能になった。捜査幹部は、「犯罪者が活動する舞台は、表のサイトからダークウェブに移っている」とみる。セキュリティー大手『トレンドマイクロ』シニアスペシャリストの鰆目順介氏は、「今後、日本語のダークウェブも増える。専門知識が無くても、簡単にサイバー犯罪等に手を染められる環境が整いつつある」と懸念する。

続きを読む

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【科学捜査フロントライン】(15) 内偵中に「離脱しろ!」のメッセージが…『LINE』を使用するイマドキ公安警察官の通信事情

20170313 09
2014年11月4日、京都市にある京都大学のキャンパス内で、京都府警の公安警察官と思われる人物が内偵捜査を行っていたところ、学生たちに発見され、拘束されるという事件が起こった。新聞等の報道によると、その日のキャンパス内では、その2日前に東京で開かれた『11.2全国労働者総決起集会』で、京大生2人を含む3人の学生(当時)が公務執行妨害で逮捕されたことに抗議する一部学生らによる演説が行われていた。その際、見慣れぬ30代の男性がその模様をカメラで撮影しているのを不審に思った学生が問い質し、その男性が所持していた保険証や免許証等から、京都府警の警備2課に所属する警察官であることが判明した。京都府警警備2課は、国内の過激派対策等を行う公安部門の部署で、京大周辺には数十人もの捜査員や機動隊の車両等が集結し(右画像)、キャンパス内は一時騒然となったという。京都大学の副学長が現場に駆けつけ、この警察官を大学施設内に引き入れて事情の説明を受けた後、数時間後に京都府警に身柄を引き渡した。この事件は、今から60年以上前の1952年、東京大学で『ポポロ劇団』という学生劇団が政治色の強い演劇発表をしていた際、学生が会場にいた私服警察官に暴行を加えて問題となった『東大ポポロ事件』を捩って、『京大ポポロ事件』と呼ばれた。今回の事件では、拘束していた際、公安警察官が所持していたスマホの画面を学生らが確認したところ、無料通信アプリの『LINE』に「離脱しろ!」のメッセージが残っていたことが判明。そのことから、「公安は連絡手段にLINEを使っているのか?」と、日本の公安警察の情報伝達手段に疑問が持たれることとなった。

LINEは、全世界の利用者数が2億人を超え、日本では7000万人前後の利用者がいるが、このアプリを提供している会社の親会社は韓国系企業。LINEは、その日本法人が企画・開発した日本製アプリではあるものの、親会社が韓国系企業であることに変わりはない。その為、「韓国国家情報院(※嘗てのKCIAから改編)により、LINE内でやり取りされている情報が抜かれているのではないか?」という噂が絶えない。そんな機密漏れの恐れがあるアプリを、日本国内の諜報機関とも言える公安の警察官が使って問題はないのだろうか。所謂諜報機関というと、一般人からしてみれば、連絡のやり取りには慎重を期し、外部との連絡ではすれ違いざまにメモを渡したり、符丁を使って電話連絡したりといったイメージがある。通信のデジタル化が進んだ現在なら、「特殊な回線や回線暗号化装置等を使って連絡を取り合っているのではないだろうか」と想像してしまう。果たして実際のところ、日本の公安警察官は日頃、どのような連手段を使っているのだろうか? 各国情報機関の最新動向・国際テロ・日本の防衛安全保障等に詳しい軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏に話を聞いた。「捜査官同士の連絡にLINEを使っていたのは、流石に公安として脇が甘いと思いますが、協力者というかネタ元となる新聞記者や商社マンといった外部の人たちとの連絡では、実は公安はGmailのようなフリーメールをよく使っているんです」。何と、公安も一般人と同じように、普通にメールのやり取りを外部としているのだという。「但し、そこでは本名は勿論、自分の身分も書きませんし、メールアドレスも頻繁に変えています。連絡内容についても、具体的な内容等は書きません。若し、他の誰かに見られてもいいように、名前は偽名ですし、固有名詞も出しません。警察のことも、本社とか支社とかいった言い方をしています。但し、自宅のパソコンは危ないので、そこから連絡するのは禁止されているのではないかと思います。携帯電話も複数台持っていて、公務用と個人用と使い分けている。フリーメールは、そのサービスを提供する外国企業や、そのサーバーに侵入している外国の諜報機関に中身を見られる可能性はありますが、見られて拙い内容は先ず書かないですし、国際的な諜報関連の事案は兎も角、国内の案件では外部との連絡で流石にそこまで警戒はしていません」(同)。

続きを読む

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【仁義なきメディア戦争】(17) 盛者必衰のSNS業界…“王者”フェイスブックは盤石か

20170313 08
アメリカでは、2016年にテレビ広告の市場規模を追い抜くとされるインターネット広告(※『eMarketer』調べ)。その内訳は、検索連動型やディスプレイ型が大半を占めている。但し、成長率で見ると、SNS広告の伸びがとりわけ著しい。今年の成長率は、インターネット広告全体が前年比10.9%のところ、SNS広告は同30.9%と予測されている(同)。SNS広告は、タイムラインやニュースフィードといったSNS上の情報の一部に広告が挿入されている為、一般的に利用者にとって広告の情報が自然に認識され易いとされる。また、広告主にとっては年齢や学歴等、利用者の詳細な属性が把握できる為、マーケティング対象を絞り易いという特長がある。急成長を遂げるSNS広告で先頭を突っ走るのは『Facebook』だ。今月2日に発表された第3四半期(今年7~9月期)決算では、月間利用者が17.88億人、毎日の利用者が11.79億人に上ることが明らかになった(※今年9月時点)。利用者はアジア太平洋地域が最も多く、欧米の利用者を足した数値を上回る。リオデジャネイロオリンピック開催期間中には、Facebook上で2.7億人の利用者によって15億回の“いいね!”やシェア等の行動がなされており、世界で最も存在感のあるSNSと言える。運営元は、中核サービスのFacebookを含めたSNSの巨大企業集団でもある。買収した画像・動画共有アプリの『Instagram』は月間利用者5億人(※同6月時点)、メッセンジャーアプリの『WhatsApp』は同10億人(※同2月時点)を擁す他、本体サービスから独立した『フェイスブックメッセンジャー』も10億人の月間利用者を抱える(※同7月時点)。

第3四半期の売上高は、前年比56%増の70.11億ドルを計上し、業績も好調だ。広告売り上げは全体の97%を占め、集客力に対する広告主の関心は高い。その一方で冴えないのが『ツイッター』だ。第3四半期(同7~9月期)決算では、月間利用者が3.17億人に留まり、右肩上がりのFacebookとは対照的な伸び悩み状態にある(左上図)。売り上げも当然ながら頭打ちで、2013年11月に『ニューヨーク証券取引所』へ上場する直前期も含めて、最終損益は万年赤字状態だ。そんなツイッターを9月下旬、身売り観測が襲った。『Google』や『ウォルトディズニー』等が入札候補として報じられたが、条件面で折り合わなかったとみられ、結局、この動きは頓挫した。ツイッターは決算発表同日、「従業員の9%を削減する」と発表している。同じSNSでも両者に大きな差がついた理由は、「収益化に必要な投資をツイッターが行わなかったから」(日本のSNS業界関係者)との見方が強い。サイト内の友人を増やしたり、個人情報を登録したりするよう利用者に促す機能を磨くFacebookと比べ、「ツイッターはそうした要素が薄い」(同)。SNS広告の中でも、最近は動画が主流になりつつあるが、ツイッターは傘下の動画投稿サービス『Vine』を向こう数ヵ月で閉鎖することも明らかにしている。Facebookとて安泰ではない。最近は、投稿が消える機能で人気の『スナップチャット』が若年層を中心に支持されており、1日当たりの写真共有回数はFacebookの主要4サービス合計に迫る(※『KPCB』調べ)。運営会社の『Snap』は来春にも上場するとみられ、時価総額は250億ドル以上と報じられている。但し、Facebookはスナップチャット対策に抜かりがない。傘下のInstagramは8月、シェア機能を充実させると同時に、スナップチャットと同じく、自動的に投稿が消える『インスタグラムストーリーズ』という機能を開始。一時はスナップチャットへの利用者流出が危ぶまれていたが、「ストーリーズ機能によってInstagramが一気に活性化した」(SNS向け動画メディアを運営する『エブリー』の吉田大成代表取締役)。日本では、スナップチャットの本格展開は未だ始まっていない。Facebookほどの勢いを獲得できるのか。盛者必衰が倣いのSNS業界の動向に、広告主も追いついていかなければならない。


キャプチャ  2016年11月19日号掲載

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

どのサイトも嘘だらけ! まとめサイト不正で化けの皮が剥がれたインチキIT企業『DeNA』のとんでもない正体

大手IT企業『DeNA』が又もやらかした。インチキ医療情報サイトが炎上し、経営陣が謝罪する羽目に追い込まれたのだ。しかし、こんなものは氷山の一角に過ぎない。DeNAのトンデモ企業ぶりを全て暴露する!

20170223 01
東証1部に上場する大企業が、インターネット上に嘘だらけの医療情報を大量にばらまき、広告収入でボロ儲けしていた――。最近、こんな問題が発覚し、大炎上したのを知っているだろうか? その大企業とは、モバイル向けゲームサイトの『モバゲー』を運営する『DeNA』。日本有数のIT企業であり、『横浜DeNAベイスターズ』というプロ野球チームまで持つあの会社だ。先ず、知らない人の為に、事件のあらましを説明しておこう。インチキ医療情報サイトとして炎上したのは、医療・健康・美容に関する記事を1日100本以上も垂れ流し、一月当たり600万もの人たちが訪問していた『WELQ』というキュレーションサイトだ。この“キュレーションサイト”とは、簡単に言えば“まとめサイト”のこと。我々が何かを調べようとしてグーグル検索にかけると、よく結果上位に『NAVERまとめ』というのが出てくる筈だ。あの手のものがまとめサイトで、専門家や商業メディアが手間暇かけて作った記事をほぼ丸ごとパクり、著作権も無視して写真をそのまま転載するな等の特徴がある。にも拘わらず、まとめサイトは“パクっているのはまとめを投稿して小遣い銭を稼ぐ一般人”という建前になっていて、運営企業は問題化しても「自分たちに責任は無い」と主張する。こうしたやり方はWELQでも全く同じだった。つまり、DeNAはキュレーションサイトという泥棒行為によって、莫大な収益を上げていた訳である。しかも、DeNAがより悪質なのは、このインチキ行為を医療情報サイトでやっていたことだ。医療や健康に関する情報は本来、きちんとした知識を持つ専門家に取材して紹介すべきもの。実際、真面なメディアは皆、そうやっている。ところがDeNAは、主婦等の素人ライターを1文字0.5円という格安の条件でかき集め、信憑性の無い医療情報を山ほど作って、インターネット上に公開していたのだ。

例えば、「肩こりの原因は幽霊」「風邪には家系ラーメン」「吉野家の牛丼でアレルギー」…と、まさにトンデモ情報のオンパレード。恐らく、これほど酷い医療情報をここまで大量にインターネット上にまき散らしたのは、今回のDeNAが史上初めてだろう。尤も、DeNAの悪質さは今に始まったことではない。DeNAというのは、昔からずっと“碌でもない企業”なのである。ハーバード大学を卒業した大手コンサル出身のおばさんが1999年に創業したDeNAは、僅か10年ちょっとで売上高1000億円を突破する等、爆発的に急成長し、東証1部に上場を果たした企業だ。最大のドル箱となったのは、ガラケー向けのゲームプラットフォームとして始まった『モバゲー』。2000年代後半から2010年代初めにかけてテレビCMをバンバン流し、『怪盗ロワイヤル』等のソシャゲを宣伝しまくっていたので、モバゲーの会員になった方も多い筈である。当時のDeNAは、モバゲーの大ヒットによってウハウハ状態で、新卒社員の年収が500万円を超えていたという。その為、東京大学出身のエリートがどんどん入社し、一時は新入社員の半数が東大卒だったほど。そして、このエリートたちが更なるボロ儲けの仕組みを編み出していくのだ。しかし、企業がボロ儲けするということは、その裏側で碌でもないことをやっている証拠でもある。DeNAの場合、それが有料籤の“ガチャ”だ。よく知られているように、ソーシャルゲームは最初こそ無料で遊べるが、ゲームが進むと課金せざるを得ないようにプログラムされている。例えば、強力なモンスターを倒すにはレアカードが必要なのだが、レアカードを集めるには時間もかかる。そこに登場するのが、ユーザーに有料籤を引かせる“ガチャ”という仕掛けだ。ガチャにはレアカードやレアアイテムが隠されていて、1回数百円の籤を利用者に延々と引かせる。「もうすぐ当たるかもしれない」と思わせて、実際には滅多に当たらないのだ。この射幸心を煽る仕掛けは、パチンコと全く同じだ。事実、ガチャは東大卒のエリート社員たちが、パチンコ好きの下流層をターゲットに考えたもので、これにハマっていたのは主婦・ホステス・土木作業員・トラックの運転手等。まさに。パチンコ好きの層と重なる。しかも、パチンコは大当たりの確率が法律によって一応決まっているが、ガチャの当籤確率は、現在も業界団体の自主規制によるガイドラインしか存在しない。この為、一時はガチャが社会問題化し、消費者庁に苦情が殺到。一月の課金額が数万円ぐらいなら未だマシで、中にはお頭の弱い人が「70万円以上使ったのに当たらない」と訴えてくるケースもあったという。ソシャゲの課金の内、凡そ8割が、このガチャによるものだったのだ。

続きを読む

テーマ : ブラック企業
ジャンル : 就職・お仕事

【ネットビジネスの闇】(下) 操作されるランキング

20170222 04
「評価は★4つ」「ランキング上位を獲得」――。インターネット上では、商品・店・サービス等、あらゆるものが評価され、ランク付けされている。利用者の判断材料となるこれらの情報も、ビジネスの対象となっている。スマートフォン向けアプリの人気ランキング。そのランキングを操作しているというインターネット広告関連会社の30代の男性社員は、「騙している意識はないし、違法でもない」とあっけらかんと話す。男性は、アプリの制作会社から依頼を受けると、換金可能なポイントを得られるポイントサイトで、依頼されたアプリのダウンロードを呼び掛ける。ダウンロードした人は、スマホから直ぐ消しても構わない。ダウンロード回数だけ増えれば、ランキングが上がるからだ。男性は、「商品宣伝の為に工夫するのは、どの会社もやっている」と話し、「インターネットビジネスは早い者勝ち。稼げるやり方を見つけ、それが規制されたら次のやり方を探せばいい」と持論を展開する。ポイントサイトを巡っては、別の問題も起きている。今年に入り、“焼き肉お食事代5万円分プレゼント”や“牛丼1万5000円分食べ放題”といった偽のキャンペーン広告がインターネット上で出回った。

何れも有名チェーンを装っており、クリックした人はポイントサイトに誘導され、別のサイトの会員登録等も求められた。有名チェーンには、誤って登録した顧客から「悪質な広告メールが頻繁に届くようになった」という苦情が寄せられたという。偽の広告をばらまいたのはポイントサイトの運営会社2社で、有名チェーンとは全く関係がなかった。2社は今月上旬までに広告を削除。公式サイトで、「誤解を招く内容だった」「商標法や景品表示法といった法令の認識に甘さがあった」等と釈明した。インターネット上の偽情報に、利用者は振り回される。商品や飲食店を評価する口コミサイトでは、対価を受け取って宣伝目的で書き込む“ステルスマーケティング(ステマ)”が横行している。消費者庁によると、「飲むだけで痩せた」とのサプリメントの口コミを見て試供品を取り寄せたものの、全く効果が無く、定期購入者として登録されて商品を送りつけられ、代金を請求されるケースもあったという。不動産情報サイトでは、客に足を運ばせる為の架空物件の“囮広告”が問題になっている。新築で家賃も安い好条件の物件がサイトに出ており、内覧の為に不動産業者を訪れると、「つい先ほど成約した」と言われ、条件の劣る違う物件を薦められるといったトラブルが各地で発生。国土交通省は昨年11月、業界団体に注意喚起した。恵泉女学園大学の武田徹教授(メディア論)は、「インターネット上で偽情報が犯濫する背景には、正誤の判断のし難さを悪用したあくどいビジネスの存在がある」と指摘した上で、「インターネットの特徴を肝に銘じ、被害者にも“加害者”にもならないよう、注意が必要だ」と警鐘を鳴らしている。

               ◇

村山誠・大重真弓・駒崎雄大が担当しました。


⦿読売新聞 2017年2月20日付掲載⦿

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【ネットビジネスの闇】(中) まとめサイト、ゆがむ情報

20170222 03
特定のテーマで情報を集約する“まとめサイト”で昨年末、虚偽の情報や他サイトからの原稿や画像の無断転用が相次いで表面化した。IT大手の『DeNA』が運営する医療や子育て等のまとめサイトでは、10サイト全てが休止に追い込まれた。「素人が安い報酬で原稿の大量生産を求められ、誤字・脱字は当たり前。内容の真偽を確認されることもなかった」。同社サイトで原稿を書いていた千葉県内のフリーライターの女性(56)は、こう振り返る。女性は出版社で編集経験もあり、2015年秋からDeNAの医療情報のまとめサイトから原稿の依頼を受け始めた。ライターは、専用ページにある“肩こり”や“妊娠”といったテーマ一覧から、書きたいものを選ぶ。女性は「誤った医療情報は人命にも関わるから」と、時間をかけて様々な資料を調べながら原稿を書いた。しかし、サイト側の指示は「文字数や写真を増やして」だった。検索サイトで上位になる為の単語を加えるよう指示され、意味不明の見出しになることもあった。

当初、1文字1円だった“執筆料”は、半年間で0.2円程度まで落ち込んだ。赤ちゃんの初期の離乳食なのに硬い食材を薦めるといった危険な間違いを同社サイトで目にするようになり、女性は昨春、同社サイトへの執筆を止めた。「収益が最優先で、内容の正確性・ライター・利用者は二の次。これ以上、健康被害に結び付くような危ない情報を垂れ流すサイトに加担したくなかった」。インターネット利用者が気軽に情報収集に使うまとめサイトは、閲覧数が増えれば広告収入が増えるビジネスモデルだ。ここ数年で急成長し、同社は問題発覚前、「まとめサイト事業の利益が来年度中に一時10億円を超える」との想定を発表。同業他社も次々と参入し、まとめサイトが乱立した。DeNA等は、まとめサイトを“キュレーションメディア”と称していた。博物館等の学芸員“キュレーター”が専門知識を基に情報収集をするという意味を持たせていたが、その実態はまるでかけ離れたものだった。浴衣等のインターネット販売を手がける大阪市東成区の男性社長(40)は、自社サイトにある浴衣の着付け手順のイラストや写真がまとめサイトで勝手に使われた(左上画像)。インターネット上で批判が高まり、まとめサイトの写真等は削除されたが、社長は「費用をかけて作ったのに、やっていいことと悪いことがある」と溜め息を吐く。早稲田大学の上野達弘教授(知的財産法)は、「他のサイトから無断でコピーした画像を使うことは、著作権侵害に当たる。原稿の場合は、引用した文章の量等で判断が分かれるが、出典を示さずに無断転用すれば違法となる可能性がある」とした上で、「無断転用した素材で収益を上げようとするまとめサイトが悪質なのは間違いない」と指摘している。


⦿読売新聞 2017年2月19日付掲載⦿

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

【ネットビジネスの闇】(上) 広告、秒単位で次々

日々の情報収集やコミュニケーションに欠かすことができない存在となったインターネット。ただ、広告不正・誤情報・無断転用等の負の側面が次々と表面化している。インターネットの世界では、そこに流れ込む膨大な資金に群がり、利用者らを食い物にする怪しいビジネスも存在している。

20170222 02
「広告が出ているかどうかが、他のメディアに比べて極めてわかり難い。逆に言えば、出ていないことも認識し難い」――。インターネット広告で約1億1500万円分の架空請求や運用実績の虚偽報告等が発覚した『電通』の広告不正で、同社の山本敏博常務執行役員(当時)は昨年9月の記者会見後、現状をこう説明した。不正の背景となったのは、同じサイトを見ていてもパソコンによって異なる広告が表示される“運用型広告”の複雑な仕組みだ。広告の配信先が事前に決まっていない上、広告主側は、電車の中吊り広告等のように、掲載実績を確認することも難しい。その一方、データ上で“多くの人が見た”・“沢山クリックされた”インターネット広告には、より多額の広告費が注ぎ込まれる。アドフラウド(広告詐欺)も、こうした運用型広告の仕組みを悪用している。アドフラウドの手口の1つと問題視されているのが“水増しサイト”だ。「換金できるポイントを与える」等と会員登録を促し、登録した利用者のパソコン等に大量の広告を表示させたり、クリックさせたりする。法人登記のある東京都内の水増しサイトの運営会社に行ってみたが、そこにはスーパーマーケットやスポーツジムの建物があるだけで、従業員らは「そんな会社は知らない」と怪訝な表情を見せた。

別の運営会社の所在地も、人の出入りのない倉庫だった。電話番号だけ判明した3つの水増しサイトには、昨年末から電話をかけ続けているが、誰も出たことがない。水増しサイトの1つに会員登録し、画面上のボタンを押すと、パソコンにサイトが次々と自動で表示された。サイト内の広告を読もうとしても数秒単位で表示が切り替わり、内容は殆ど確認できなかった。別のボタンを押すと、今度はクリックを求められ、クリックし続けると表示が次々と切り替わったり、重なったりする。広告の内容を確認することは、やはり困難だった。表示されるサイトには、家電や通販といった大手企業の広告が掲載されていた。そのサイトは、防犯グッズや健康グッズの販売を謳いながら、商品は全て“品切れ”や“未入荷”。インターネット販売に義務付けられている“特定商取引法に基づく表記”も無い。広告が掲載されていた大手通販会社は、「広告配信を受ける審査を潜り抜ける為に、防犯グッズ等の販売サイトを装ったダミーサイトの可能性が高く、不正に広告費を得ている可能性がある」と分析。ただ、「こうしたサイト全てを広告主が把握することは不可能に近い」と憤る。一旦広告審査に通り、口座を登録すれば、サイト運営者は国内外どこにいても広告の掲載料を受け取ることができる。大量の広告が人に閲覧されないまま消え、多額の広告費がインターネットの先の何者かに流れ続けている。


⦿読売新聞 2017年2月18日付掲載⦿

テーマ : ITニュース
ジャンル : ニュース

持っているだけでダサい端末! AndroidはiPhoneと比べ物にならない欠陥スマホだ!

iPhoneとスマホのシェアを二分しているAndroidは、実はとんでもない欠陥品だった! 使い難い、セキュリティーが甘い、そしてGalaxyに至ってはいつ爆発するかわからない危険物。そんなAndroidのクソっぷりを徹底解説する! (フリーライター 高田純一)

20170131 01
2016年9月16日に発売された『iPhone7』シリーズの売れ行きが上々だ。旧モデルに比べ、デザイン面での変わり映えがしないばかりか、満を持して投入された防水・デュアルカメラ(『iPhone7Plus』)・『Suica』対応といった機能も、「やっとAndroidに追いついたか」と揶揄されたものの、『Apple』の発表によると、全世界の初回出荷分は予約だけで完売し、同社株も年初以来の高値を更新。とりわけ、新色のジェットブラックは今も尚、入荷待ちが続いているほどの人気で、このまま年末商戦に雪崩れ込みそうな勢いだ。片や、ダダ下がりなのがAndroidの評判。そのA級戦犯が、ご存知、“爆発スマホ”との異名を持つ韓国『サムスン電子』製の『Galaxyノート7』であることに異論はないだろう。発売当初からバッテリーの爆発事故が相次いだ同機は、世界中で旅客機への持ち込みが全面禁止となったばかりか、リコール対策後の交換品ですら爆発事故が発生した為、現在では生産・販売自体が中止と“残念な事態”となっている。Galaxyはスマホ黎明期、開発に出遅れていた日本メーカーを尻目に、唯一、iPhoneに対抗していたAndroid陣営の雄。そのブランド力から、嫌韓ムードが日本社会に漂う昨今ですら一般ユーザーからの支持が厚く、一時、『NTTドコモ』が“ツートップ”として大々的に販売プロモーションを行った通り、『ソニー』の『Xperia』と並ぶ国内の携帯キャリアの稼ぎ頭でもあった。謂わば、Galaxyのハイエンドモデルは、順調にアップデートしていれば間違いなく売れる端末。なのに何故、爆発事故を起こしてしまったのか? 「それがiPhoneのせいだ」と言ったら、皆さんは驚くだろうか。しかしここに、いつまでもiPhoneに敵わないAndroidの残念さが表れているのだ。

その理由は簡単。韓国でのGalaxyノート7の発売は8月19日と、例年9月に発表・発売されるiPhoneを兎に角出し抜く必要があったからだ。これは、嘗て秋にデビューしていたiPodに合わせ、夏に『ウォークマン』の新型を投入し、三日天下の売上げベストをマークしていたソニーと同じ不甲斐なさ。王者のAppleに先んじる為、何が何でも夏にはリリースしなくてはならない――。Galaxyノート7が“バッテリー爆発機能付き”という恐怖のスペックを備えることとなった背景は、「安全に纏わる十分な開発や検証の時間を確保できなかったから」とも推測できるのだ。その証拠に、Galaxyノート7は、イメージ面でもiPhone7に引けを取らないよう、先代モデルの『Galaxyノート5』から“6”を飛ばして、一気に7とナンバリング。未だサムスンが“追いつけ追い越せ”の姿勢でiPhoneを意識していることが窺えるだろう。残念なのはサムスンだけではない。中国製を中心に、iPhoneのデザインやネーミングをパクったようなスマホは、相変わらず市場に溢れている。尚且つ、6月には北京市知的財産権局が「iPhone6が佰利公司のスマホ“100c”を模倣している」として、iPhoneの販売禁止を命じたのを始め、8月には同じ北京市の高級人民法院が“IPHONE”の商標権を中国企業に認める等、国を挙げてそのブランド力に乗っかっている始末。如何にも中国らしいエピソードだが、我々日本人も笑っている場合ではない。9月に『ロイター通信』が報じたところによると、公正取引委員会が独占禁止法違反でAppleを捜査する可能性があるという。大手3キャリアが等しく廉売しているiPhoneを取り締まるのが大義名分とのことだが、全く魅力が無く、売れ行きが悪い国産スマホを援護射撃する為の“Apple苛め”といった見方もある。しかし何故、こうもAndroidは残念なのか。普段、iPhoneの恩恵に与っている人ほど、家族や友人から「iPhoneとAndroidのどっちがいいの?」と改まって訊ねられると、モゴモゴと口籠ってしまうのではないだろうか。そんな時、「素直にiPhoneにしておけば間違いない」と断言できるよう、そのポイントを整理したい。先ず挙げられるのが、一口に“Android”といっても、メーカーや端末によって、ハードウェア、ユーザーインターフェイス(使い勝手や操作性)、プリインストールアプリに至るまで仕様がバラバラで、最悪の場合、対応要件を満たしているアプリでも動かない場合がある点だ。iPhoneと違い、膨大なモデルが存在するAndroidスマホだけに、アプリメーカーが動作状況をチェックできるのは、世界的に売れている一部の端末のみだからだ。

続きを読む

テーマ : Android
ジャンル : 携帯電話・PHS

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR