【ここがヘンだよ日本の薬局】(14) 薬局とドラッグストアの違いは何か?

薬局で日用品を売っていることもあれば、ドラッグストアで薬を貰うこともできる。両者の明確な違いはどこにあるのか? どうやら、将来的な優位性はドラッグストアにあるようで…。 (取材・文/フリーライター 青木康洋)

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私たちが街を歩いていると、薬品を扱う様々な店舗を目にすることがある。調剤薬局や薬局店、また最近では調剤を行うドラッグストアも増えてきた。しかし、消費者や患者にとっては、その違いがわかり難い。抑々、医薬品・医薬部外品・化粧品といった人体に影響を及ぼしかねない製品の開発・製造・流通・販売は、薬事法で規定されている。処方薬やOTC薬(一般医薬品)を扱う薬局も同様だ。薬事法では、薬局は次のように定義されている。「薬剤師が販売もしくは授与の目的で調剤の業務を行う場所」。薬局を開設しようとする時には、薬事法で規定する構造設備や人的要件を満たした上で、都道府県に申請をしなければならない。因みに、“調剤薬局”という名称は薬事法には無い。厚生労働省の通知には一部言及したものもあるが、法律的には単に薬局である。また、ドラッグストアの許可も薬事法に基づいている。医薬品販売を行う店舗には、調剤機能の有無により、“薬局”と“店舗販売業”の2種類に分けられる。ドラッグストアを開設する際にも、薬事法上の許可は“薬局”ないし“店舗販売業”のいずれかで申請することになる。余談だが、“ドラッグストア”という名称は法的に位置付けられたものではなく、流通用語だ。但し、統計法に基づく日本標準産業分類の改訂(2007年)で、ドラッグストアは単独の業態として認められてはいる。

ところで、薬局とドラッグストアはどこが違うのか? 前述したように、薬局の定義は調剤を行う場所である。薬剤師が常駐し、薬を調剤する調剤室が併設されていなければならない。更に薬局では、医師の処方箋に基づいて薬を調剤する“医療用医薬品”と、一般医薬品である“OTC薬”の双方を取り扱うことができる。それに対して、ドラッグストアではOTC薬を取り扱うことはできるが、薬剤師の常駐や調剤室が無い場合は医療用医薬品を扱うことはできない。ただ、現在ではドラッグストアにも薬剤師を常駐させる店が増えてきた。調剤機能の併設は、調剤報酬を得られるのみならず、薬剤師が専門知識を生かした健康指導を客に行うことにより、健康食品等の販売にも繋がるからだ。業界内では「調剤を入れたドラッグストアは、従来よりも売上が平均2割は伸びる」という声もあり、今後も調剤機能を備えたドラッグストアは増えることが予想される。そんな調剤機能を備えたドラッグストア増加の追い風になりそうなのが、“健康サポート薬局構想”だ。地域包括ケアやセルフメディケーション推進の一環として、厚生労働省が2017年度からの実施を日指しているプランだ。その基本コンセプトは、「薬局の薬剤師が健康相談に応じながら医薬品や健康食品、食生活、運動、在宅医療、介護といった健康情報を幅広く提供すること」にある。つまりは、薬局の薬剤師を調剤業務ではなく、国民の健康管理の担い手として活用しようということだ。勿論、健康サポート薬局の認定には厳しい条件の設定が予想されている。2016年9月に公表された検討会の報告書では、次のような条件が示された。

①かかりつけの薬剤師が存在し、薬局の基本機能を備えていること。
②24時間対応、在宅対応の体制が整備されていること。
③地域の医療機関との連携が図れること。
④利用者が適切に選択できるだけの一般用医療品を置き、助言の体制を有していること。
⑤要指導医薬品・衛生材料・介護用品な等について相談し易い環境を作ること。

この中で、中小薬局にとって最も厳しいのは“24時間対応”だろう。となれば、資金力やマンパワーに勝る大手のドラッグストアが、健康サポート薬局の主役に躍り出る可能性が高い。厚労省は、現在5万7000店舗もあり、その7割が門前の調剤薬局を半数にまで削減して、2025年までに健康サポート楽局を1万ヵ所設ける計画を明らかにしている。近い将来、調剤機能を備えたドラッグストアが、健康サポート薬局として増加していくことが予想される。


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『中外製薬』が抗がん剤で研究不正、資金提供で明らかな利益相反――患者の不利益と医療費の浪費、『大鵬薬品』の研究も同一人物

『中外製薬』の抗癌剤『カペシタビン』(※商品名『ゼローダ』)の効果を巡る研究――。第三者の研究機関が独自に試験を遂行したように装い、実際の効果が不確定なまま、恰も効果覿面の如く謳って売り捌く。患者のことなど、所詮は二の次。どこまでも深い癒着の闇を追跡する。

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今、医療現場は“エビデンスに基づく医療”が主流だ。エビデンスとは科学的根拠の意味で、医学専門誌に掲載された論文も有力な論拠となる。医師が治療方法を選択する際、患者にエビデンスを示さねばならない。逆に言えば、医学専門誌に新薬の効果が明記された時点で、その新薬は錦の御旗を得る。たとえ、その研究が利益を最優先にする製薬会社の紐付きであったとしても、である。中外製薬のカペシタビンも然り。製薬会社『ノバルティスファーマ』の降圧剤の臨床研究データを改竄したとして、元社員が薬事法違反に問われた事件の判決は無罪となる一方、司法はデータの改竄を認定して、道義的な姿勢が世に問われた。だが、これは氷山の一角に過ぎない。実は、製薬会社が巨額の資金を研究機関に提供し、見返りの形で新薬の効果を過剰に喧伝するお手盛りは、今も密かに横行しているのだ。その論文は、京都大学の戸井雅和教授(乳腺外科・右下画像)を中心とした日韓の多施設共同研究グループの研究成果として、世界最高峰の医学誌である『ニューイングランドジャーナルオブメディシン(NEJM)』に載った。2007年2月から2012年7月までの間、陰性且つ標準的な手術前の化学療法で効果が不十分だったハイリスクの乳癌患者910人を登録。標準的な手術前の抗癌剤治療と外科手術を施した後、抗癌剤のカペシタビンを受ける患者と受けない患者に無作為に割り振った。結果は衝撃的だった。2015年3月の中間解析で、カペシタビン投与群のその後の病状が明らかに良好だった。2016年7月の最終解析では、カペシタビン投与により、乳癌が進行・再発するリスクが30%、5年後までに死亡するリスクが41%も低下したという。

それまで、カペシタビンは臨床試験で有効性を示し得なかった。2015年にアメリカ、最近ではドイツで発表された臨床研究の結果は、何れも否定的。今回は再発防止ばかりか、生存期間まで延長したとされ、世界の製薬・医療関係者を驚嘆させた。今回の研究と他の研究は、どこが違うのか? 世界の研究者の間で侃々諤々の議論が始まっている。遠からず、その再現性を確認する為に追試も実施されるに違いない。実は、研究者の中には、「医師主導の臨床試験の仮面を被った製薬企業の販促活動」と癒着を指摘する声が少なくない。疑念の源は、臨床試験の資金の提供元だ。NEJMの記載によれば、助成金を出しているのは一般社団法人『JBCRG』と特定非営利活動法人『先端医療研究支援機構』だ。JBCRGは前出の戸井氏が創設し、現在は『がん研究会有明病院乳腺センター』の大野真司氏が代表理事。理事には、乳癌専門の大物医師が名を連ねている。奇妙なことに、この団体の代表理事・常任理事6人の内、5人が今回の論文の著者なのだ。日本人著者12人全体で見ると、9人がJBCRG関係者で占めている。つまり、臨床試験を実施し論文を書いた研究者と資金提供元が事実上同一、シンクロしているのだ。しかし、論文には「JBCRG、先端医療研究支援機構は研究計画に関わっていない」と態々明記している。名前を重ねれば、根っこが同じことは誰の目にも明らかであるにも拘わらず、何故、こんなことわり書きを付したのか? それは後ろめたさ・疚しさの裏返しだろう。カペシタビンを販売する中外製薬は、製薬企業が医師への資金提供を開示し始めた2012年度からの4年間だけでも、JBCRGに1億円を寄付した。更に、先端医療研究支援機構にも2012年度~2015年度までに2億円超を提供している。つまり、中外製薬から3億円以上の資金が、JBCRG等の第三者機関を介し、カペシタビンの臨床研究と研究者に流れ込んだことになる。2011年以前の寄付金は非開示の為、実際にはもっと巨費に膨らむ筈だ。ところが、前述の通り、論文では中外とJBCRG及び先端医療研究支援機構とは関係ないと強調している。事実を隠蔽する為に、中外からの資金提供と書かず、無関係の資金で研究が実施されたかのように装ったのだ。こうした資金提供は、『日本医学会』や『全国医学部長病院長会議』が利益相反として報告するように勧告しているが、臨床研究の不正を防止する目的で今年4月に成立した臨床研究法では、規制の対象に含まれていない。資金提供は研究機関だけではない。2012年度から2015年度に、中外は戸井氏が主宰する乳腺外科講座に総額1600万円の奨学寄付金を拠出し、講演料等の名目で戸井氏にも150万円を支払っている。更に、本誌編集部がこの研究のプロトコールを入手したところ、プロパティの作成者の欄には“jp023622”と記されていた。「これは製薬企業の社員番号だ」と、ある製薬企業の社員は指摘する。JBCRGのオフィスは、東京都中央区日本橋に所在する。日本橋は、大阪の道修町と並ぶ製薬企業の中心地で、中外もこの地に本社を置く。その距離は図らずも、双方の根深い関係を物語る。

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【薬のホント・健康食品のウソ】(03) 医師監修でも信用できない…インターネット上にエセ情報が蔓延る理由

「サプリが癌に効く」等の記事で大炎上し、閉鎖に追い込まれた『DeNA』の医療キュレーションサイト『WELQ』。しかし、また同様の事態が勃発しているという。インターネット上で医療情報を扱う難しさが垣間見える。

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「そもそも私たちの周囲には、常に細菌が存在しています。それは、尿管周辺も同じです」――。この文章は、『ヘルスケア大学』という医療情報サイトに掲載されていた“膀胱炎”に関する記事の一部だ。この中には、医学的には極めて初歩的な間違いがあるというが、どの箇所かわかるだろうか? 泌尿器科が専門の『五本木クリニック』・桑満おさむ院長によると、「尿管は、腎盂腎炎という病気でもない限り、通常は無菌状態」という。へルスケア大学は、全ての記事を「医師をはじめとする医療の専門家の監修の下に作成している」と謳っており、其々の記事の一番上には監修医師の名前と写真が掲載されている。しかし、冒頭の膀胱炎の記事には、「15分見ただけで、他にも致命的な間違いが複数あった。真面な医師が監修しているなら、これに気が付かない筈がない」(桑満院長)。桑満院長は自身のブログで、同サイトの複数の記事に医学的な間違いがあることを指摘した。すると間もなく、該当する記事から医師の写真と名前が削除されて、“ヘルスケア参画ドクター”という言葉に変更されたり、記事自体が非公開とされたページもあった。因みに、6月7日時点で、冒頭の膀胱炎の記事は、他の医師の監修を受け、修正済みのものに変更されている。ヘルスケア大学の運営会社である『リッチメディア』は本誌の取材に対し、「お問い合わせを受け、内容に誤りが見つかった記事について、事実確認及び修正対応中であることをお知らせする対応を取っている」と回答するが、桑満院長はこの姿勢に疑問を呈する。

桑満院長が直接話をした際、リッチメディアの坂本幸蔵社長兼CEOは、「掲載記事が数万ページに及ぶ」としながら、「走りながら精査して訂正する」と弁解していたという。医学的な誤りがある記事は、問い合わせがあったものだけとは限らない。全てのページを改めて医師に監修させ、更に他ページからの無断引用は無いかを調べる等の作業をいつまでに完了できるのか。その間にも、誤った医療情報が世間に拡散する恐れがある。昨年騒動になったWELQは、指摘を受けて潔く閉鎖した。「へルスケア大学も一旦閉鎖した上で、記事の見直しをすべき」と桑満院長は促す。ヘルスケア大学には、他にも不可解な点がある。トップページに記載されている参画医師の数が、5月24日には5183名だったが、6月7日時点で4313名になっているのだ。「医師、若しくは医療機関と契約を締結し、掲載している」(リッチメディア広報)というが、この騒動が明るみに出て「初めて自分がこのサイトに参画医師として掲載されていた事実を知った」という医師もおり、削除要請が続出したとみられる。昨年、誤った医療情報で大炎上 したWELQが閉鎖に追い込まれ、他の医療メディアも閉鎖や内容の見直しを図る等、医療に関して信頼性の低い情報はある程度淘汰されたように見えた。そんな中で、ここにきてヘルスケア大学の問題が急浮上してきたのは、「健康関連のキーワードを検索すると、このサイトが上位に表示されていたことが背景にある」と、SEO(※特定のキーワード検索で上位に表示される対策)に詳しい『so.la』の辻正浩代表は分析する。WELQも同様で、「一時期は健康関連キーワードの検索結果で、他の医療情報サイトにかなりの差をつけていた」(辻代表)という。左上図は、健康関連キーワードの検索結果で、上位表示されるサイトと、そのキーワード数の推移を表したものだ。辻代表は「上位に表示される医療サイト全ての信頼性が低い訳ではない」と断った上で、「Google検索では、短期間で大量の記事を掲載したウェブサイトが上位に表示される傾向がある。WELQは、まさにそのアルゴリズムを絶妙に突いていた」と解説する。ヘルスケア大学も前に述べた通り、記事は数万ページに及んでいる。大量の記事を短期間に投下するには、人海戦術しかない。WELQでは、インターネットを介したクラウドソーシングで、医療媒体の経験を問わずライターをかき集め、安い単価で大量の記事を執筆させていた。その結果、医学的な間違いや、他サイトからの無断引用等といった欠陥だらけの記事が量産されてしまった。ヘルスケア大学は「テスト原稿を基に編集部でライターを精査している」と言うが、抑々、最大の売りだった“医師監修”に疑問符が付く以上、この説明は少々苦しい。ウェブメディアの多くは広告料が主な収益。広告料を得るには、民放テレビ番組の視聴率と同じで、多くの人にサイトを訪れてもらう必要がある。その為には検索結果の上位表示が不可欠だが、辻代表は「医療メディアは、SEO以上に、先ずはサイトの信頼性に力を注ぐべき」と苦言を呈する。冒頭で紹介した膀胱炎の記事の誤りを指摘できた人は、殆どいないだろう。基本的に、素人が医療情報の真贋を見抜くのは至難の業。“信頼できるサイトはごく僅か”ということを前提に、上手く付き合っていきたい。


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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【ここがヘンだよ日本の薬局】(13) 卒業試験は超難関! 薬剤師への道

医師ほどではないが、薬剤師になるには難関な卒業試験と国家試験をパスしなければならない。大学が6年制となり、果たして薬剤師のレベルは上がっているのだろうか? 現役の薬剤師たちが、大学卒業後のメリットを語ってくれた。 (取材・文/フリーライター 鈴木光司)

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患者を含めた一般の人間にとって、医療関係の各資格は縁遠いものにも思える。それだけ専門性が高いということだろうが、これらの資格は大きく次のように分かれる。医師・歯科医師・薬剤師・看護師だ。どの資格も、然るべき教育機関で正規の講義を受けた後、初めて国家試験(※准看護師は都道府県知事によって免許が交付される)を受けることができるものである。よく知られた例を挙げれば、「医師の国家試験は大学の医学部に6年間通って受験資格を得られる」という具合に。薬剤師も当然、国家試験に受からなければいけない訳だが、実は2006年を境に大きく状況が変わっている。東京都内に勤務する30代の薬剤師が言う。「僕らの時代は4年制の大学でしたが、2006年に医学部同様、6年制が取り入れられることになりました。理由としては、医師が医学のスペシャリストであるように、薬剤師は薬のスペシャリストであるということを明確にする為です。薬剤師サイドからすれば、社会的地位の向上ということも考えていたと思います。当然のことながら、国家試験を受験する資格も、6年制の薬学部を卒業しなければ与えられません。ここ10年弱で、薬剤師にとって一番変わった点はそこに尽きますね」。4年制から6年制への移行というのは、かなり大きな変化だろう。ところが、現状は4年制の薬学部も残っていたりするから、部外者から見れば少しややこしい。「6年制じゃなければ薬剤師になれない訳ですから、殆どの人が6年制を目指すと思います。『どうせ薬学部に行くなら、資格はきちんと取っておこう』と。でも、4年制の薬学部で、しかも一般的にハイクラスと言われている大学だと、事情は変わってきます。抑々、そのような大学の薬学部に進学する人は、『薬剤師になろう』とは思っていない。基本的に研究者か、或いは大手企業への就職を念頭に置いている。ですから、ざっくりとですが、今、6年制の薬学部に通うのは薬剤師の資格を得たい人。4年制の薬学部に通うのは、研究職等学術の世界に行きたい人と考えればいいと思います」(同)。

この4年制から6年制への移行は、未だ10年しか経っておらず、国としても、4年制の大学を卒業した人の為に薬剤師の受験資格への道を開いている。修士課程や博士課程の修了者(※2年以上の在籍が必要)、或いは薬剤師に必要な6年制大学と同等に実務学習を含めて単位を取得していること…等を条件に、国家試験を受けることができるのだ。一義的には、薬剤師の社会的地位の向上、そして研究者等専門職を充実させる為の改革であるが、未だ多少の試行錯誤は続くということだ。薬剤師になるには、当然のことながら、大学で専門教育を受けなければならない訳だが、やはり国家試験、それも人の命を預かる医療の資格とあって、在学中の努力も並大抵ではないようだ。首都圏で勤務する男性薬剤師は、こう話す。「私の場合は私立大学だったのですが、大学の勉強に対する締め付けが凄かった。兎も角、合格率を気にするので、国家試験の前提となる卒業試験がめちゃめちゃ難関なのです。つまり、国家試験を成績不良で落ちそうな学生は出口を締めて卒業させない。中には卒業試験に比重を置き過ぎて、肝心の国家試験に落ちた学生もいる(笑)。それくらい大変です」。薬学部もそうだが、医療系の資格を取れる私立大学は合格率を実に気にする。理由は簡単で、それによって入学希望者が増えるからである。それこそ、合格率100%等と入試案内に謳えば、志望者が殺到することもあるからだ。因みに、平成27年度の薬剤師国家試験の合格率は76.85%。同年の医師の国家試験の合格率が91.5%である。前出の男性薬剤師の時は「80%以上だったとは思う」というから、大学側としても「少しでも合格率を上げたい」と思うのは仕方ないかもしれない。「私の大学では、3年生の時に研究室に配属されるのですが、成績が悪い下位50名は配属こそされますが、実際には研究はさせてもらえませんでした。何をしているか? そりゃ、勉強ですよ。まるで予備校のような勉強室に集められ、ひたすら勉強、勉強の毎日です。勿論、遊んでいる暇なんてありません。下手したら、大学受験の時よりハードな勉強かもしれません(笑)」(同)。日本の大学は入り口こそ狭いが、出口は緩いという印象もある。そう考えると、やはりタイトな学部だとは言えるだろう。そんな薬学部だが、どんな学生が集まるのだろうか? 「中には、医者の息子だけど、医学部に行くには学力が足りなくて、3浪・4浪してから薬学部に入ったという学生もいました。そういう滑り止め感覚の人もいるのは確かです。こう言っちゃ何ですが、看護師(看護学科)には合格できても医学部は無理…みたいな中途半端なところがあるのは否めません。但し、めちゃめちゃ学費が高い歯学部ほどじゃないにしても、私大の薬学部は学費も高いから、親の負担は相当なものだと思います。親に負担をかけない為には、奨学金を得るか、国公立の薬学部に行くしかない。それだけに、薬剤師として生きていくのか、研究職等に就くのか、それなりに将来の目的意識は持っていないとダメでしょう」(同)。医師ほど大変ではないが、さりはさりとて医療系の学問であるから、勉強のレベルは低くない――。薬剤師志望者のジレンマが見て取れるようだ。

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【ドクターXは知っている】(10) コレステロールの“悪者論”と“基準値主義”を疑うべし!

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“善玉”と呼ばれるHDLコレステロールと、“悪玉”のLDLコレステロールに分かれるコレステロールについては、リスク評価の議論が続いています。どこまでを正常値とすればいいのか、研究者でも判断が難しいようですが、血液中のLDLコレステロールが増え過ぎると動脈硬化が進行するのは事実。現在、高LDLコレステロール血症の診断基準は、主としてLDLコレステロール値にあり、検査値が140以上の場合は治療の対象とされています。このように基準値が定められているものの、総合内科・循環器専門医の池谷敏郎先生は、「数値だけを基にして投薬するのは間違いだ」と言います。「先ず、男性と女性は分けて考えるべきでしょう。女性は、女性ホルモンのエストロゲンによってLDLコレステロールの代謝が円滑に行われますから、本来、数値はあまり高くなりません。しかし、閉経後は女性ホルモンの働きが無くなる為、自ずと数値は上がります。これは病的なものではないので、投薬治療の必要はありません。ところが、勉強不足の医師は、数値だけを見て『160あるから薬を出しておきましょう』ということになる。数値だけで判断することなく、動脈硬化等他の病気のリスクを調べてから、状況に応じて投棄するのが正しいやり方でしょう。男性は、コレステロール値と動脈硬化が強く関連する為、数値が高ければ積極的な治療が必要となります。その場合も、数値が高過ぎない限り、先ずは生活習慣を改善すべきであり、投薬はそれでも下がらない時の手段です」。

内科医の長尾和宏先生も、「コレステロール値だけを見た女性への投与には違和感がある」と言います。「LDLの高さを気にして、閉経後の女性が来院した場合、念の為に頸動脈エコーをしますが、動脈硬化が無ければ、たとえ200あっても薬は出しません。コレステロール値が高くても、良性であれば問題は無いのです」。実は、「コレステロール値は少し高めでも問題無い場合が多い」という“容認派ドクター”は少なくありません。精神科医で、高齢者医療にも長く携わった和田秀樹先生もその1人です。「特に高齢者では、『コレステロール値が低い人よりも高い人のほうが、自分で買い物に行ける、一定の距離を歩けるといった日常生活能力が保たれる』というデータがあります。また、鬱病予防にもコレステロールは大切。体内の細胞膜やホルモンを作る材料でもありますから、一概に悪者扱いしていると、却って健康を損なうことになりかねません」。前出の長尾先生は、「コレステロール低下薬は年齢に応じた使い方も大事だ」と問題提起します。「スタチンという種類の薬はエビデンスが豊富で、心筋梗塞や脳血管障害の予防に効果があることは明らかですから、特に壮年期の40代・50代で動脈硬化が起きている人は飲んだほうがいい。過去に脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことがあるなら尚更です。しかし、80代・90代になったらいらないと思いますね。グループホームに入っている80代・90代の方は、ほぼ全員と言っていいくらいスタチンを飲んでいるし、大学病院でも同じです。ところが、データによると、スタチンを飲んでも死亡率が僅かに下がるだけで、正直な話、効いている実感はありません。現在、問題となっている多剤投与の一因はスタチンであり、使用を減らすべきでしょう」。スタチンは1970年代に日本で開発され、現在は世界各国で使用されている薬です。日本の医薬品開発力の高さを示す薬という訳ですが、医療現場では、個別のケースに応じた適切な使い方が求められています。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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【薬のホント・健康食品のウソ】(02) 医者と賢く付き合う為に…やってはいけないNG5選

飲んでいる薬を見直したい時には、医者とのコミュニケーションがとても大事。医者と賢く付き合う為のポイントは何か? やってはいけないNGを、東京大学の秋下雅弘教授が伝授する。

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①聞く耳がゼロ
「花粉症になったので薬を下さい」。診察室に入って早々、こう切り出してきた患者がいました。「どんな症状でしょうか?」と聞くと、「花粉症は花粉症」とピシャリ。「鼻炎とか目が痒くなるとか、症状が色々ありますよね。症状をお話し頂かないと、いい薬も探せませんよ」。再度丁寧に尋ねると、「何でそんなことを聞くんだ? 医者なら一番いい薬を出せばいいんだ」と怒られてしまいました。勝手に診断名を決め付けるのではなく、医学を勉強してさまざまな患者を診てきた医者の経験を尊重するというか、上手に利用してほしい。症状・生活環境・飲んでいる薬等を話してくれれば、正しい診断を導き出していけます。「花粉症です」ではなく、「花粉症だと思うんですけど、どうでしょうか」という言い方がいいと思います。

②リクエストがゼロ
医者も外来が混んで忙しいと、効きそうな薬を出して早く帰ってもらおうとすることがあります。診断名を付けてもらったり、薬を貰うこと以外に自分なりの目的があれば、「あまり薬は飲みたくない」とか「薬が欲しくて来たのではない」と口に出して下さい。その際は要領よく伝えてもらえると助かります。1人の診察時間は長くても精々10~15分。早い医者は5分で終わりますから。薬を処方されて不安があれば、「何故、その薬なのか?」「どんなリスクがあるのか?」等聞いて下さい。黙って飲まずにいると、症状が改善しないことになりかねません。

③“自分”がゼロ
患者1人ひとり、症状や薬の効き方は異なります。自分はどうするのかを考えて、「こういう見方もあるようですが、先生はどう思われますか?」「薬をなるべく減らして対処する方法はありませんか?」とぶつけて下さい。すると、医者のほうも「薬をあまり飲みたくないなら、減らして少し様子をみましょうか」等、貴方の為の対応を考えます。診察室では病気を診てもらうのではなく、病気を持っている“自分”を診てもらうという気持ちで医者と向き合うことが大切です。

④飲んでいる薬の情報がゼロ
病気を治療する為の薬も、使い方を誤れば毒になる。他の病院で貰っている薬は必ず教えてほしい。但し、「血圧の薬を飲んでいます」とうろ覚えの薬の名前を言われても、100種類くらいあるのでよくわかりませんし、同じ薬でも量が違います。一番いいのは、薬局で記録してもらう『お薬手帳』を持っていくこと。薬歴が載っているので、大変役に立ちます。

⑤医療リテラシーがゼロ
「偉い医者の先生が言うことなら、全て信じて自分は受け入れるだけだ」という方がいますが、大切な体は医者任せでなく、自分の力で治そうと思って下さい。賢い患者は、「思ったほどには効果が出ないんですよね」とか、「先生のお考えではどうですか?」等、自分の状況を語りながらも医者から情報を引き出そうとします。相手から情報を引き出すのは、自分にある程度の知識がなければできないこと。情報収集するといっても、テレビの健康番組や週刊誌等でセンセーショナルに言われたことを、「そうなんだ」と単純に信じてしまうのはNG。もう少し系統立てて勉強し、最低限の医療リテラシーを持ちましょう。


キャプチャ  2017年6月17日号掲載

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【ここがヘンだよ日本の薬局】(12) “疑義照会”の裏に潜む薬剤師と医師の不健全な関係

「薬剤師は医師が処方した薬を出しているだけ」――。一部の薬局では、それが事実として罷り通っている。薬剤師側から見ると、義務を果たしたくても果たせない苦しい事情もある。薬剤師が医師の“言いなり”となっている現状をレポートする。 (取材・文/フリーライター 永井孝彦)

20170731 13
薬局の窓口で、「先生は何て仰っていましたか?」と尋ねられたことはないだろうか? 穏やかな口調だったとしても、その言葉の向こうには、薬剤師と医師との間に流れる深くて暗い川が見えるかもしれない。本題に入る前に、薬剤師の仕事を確認しておこう。調剤薬局で働く薬剤師の業務は、大きく3つに分けられる。1つ目は、処方箋に従って患者に薬を提供すること。2つ目は、患者に薬の飲み方を説明し、また薬が適正に服用されているかを確認して、服薬指導をすること。3つ目は、処方箋の内容に疑問が生じれば、疑義照会をして、誤りがあれば正すこと。何れも、患者の安全の為には重要な業務だが、薬剤師自身が実感する労働負荷には濃淡がある。1つ目の薬の提供は、薬の種類と数量を間違えなければいいのだから、慎重さは求められるものの、心理的な負担は無い。一方で、薬剤師の収益のベースとなるのが、この業務だ。例えば、月に2000回を超える処方箋受付や、特定の医療機関に関わる処方箋受付が70~90%を超えないような、即ち大病院の門前薬局ではない一般的な調剤薬局の場合、処方箋受付1回につき、報酬点数は41点。ジェネリック医薬品の調剤数量が75%以上の薬局なら22点が加算されるので、合計63点。棚から薬を出して、袋に詰めると、調剤基本料として630円の収入になるのだ。東京郊外の街で薬局を経営する薬剤師が言う。「はっきり言って、調剤基本料はおいしい。でも、薬局にはそれなりの設備投資や人件費が必要な訳だから、高過ぎるという批判は当たらないと思う」。2つ目の服薬指導は、人と対面しての業務だが、相手が患者なので、心理的負担はそれほど無い。「ただ、『病院で診察を受けてきている筈なのに、どうしてそんなに病気のことを俺に聞いてくるの?』っていう患者さんはいるよね。お年寄りが多いから、なるべく文句を聞くようにしているけどさ」(同)。服薬指導に対しては、薬剤管理料の中の薬剤服用歴管理指導料が報酬となり、点数は38点ないし50点だ。

3つ目の疑義照会は、端的に言えば医師のミスを見つける作業がベースとなる。その為、薬剤師にとっては心理的負担が大きい。しかも、患者を副作用等の薬害から守る最後の砦とも言える作業なので、責任も重い。「薬のプロフェッショナルとして、処方箋のチェックが一番大事な仕事だと思う。薬の準備ができるのを待っている患者さんからは、机に向かってただボーッとしているように見えるかもしれないけど、慎重にチェックしているんだよ。処方箋のミスって結構あるんだよね。うちは1日に5枚くらいの処方箋を扱うけど、必ず1~2枚はミスが見つかる。義務だから疑義照会はするけど、医者のミスを指摘する訳だから、気は進まない。言葉を選んで話すことも多いよ」(同)。薬剤師の仕事は医師の処方箋があって成り立つので、薬剤師はどうしても医師に遠慮しがちになるのだ。患者の安全を守るという大義の前では、立場の違いによって円滑なコミュニケーションが妨げられるようなことはあってはならない筈だが、現実はそうではない。門前薬局ではなくても、多くの薬局は、主に立地条件を理由として、特定の病院と関係性を深めることになる。病院と薬局が密接に結び付いている場合、医師の機嫌を損ねてしまったことにより、薬局が経営難に陥ることも考えられるのだ。中部地方の薬局に勤務する薬剤師が打ち明ける。「開業内科と開業皮膚科の間にある薬局で働いています。毎日のように疑義照会をしていますが、一番多いのは処方箋の期限切れですね。それを指摘しても迷惑そうな口調になることもあるから、処方内容については、副作用の危険が大きい等、余程おかしいものでない限り、問い合わせることは難しいです。患者さんに話を聞いてみて、『この症状なのにこの薬を出すか?』と感じることもあるのですが、処方権は医師にありますから、こちらから『間違っている』とは指摘できません」。仮に、処方の誤りを指摘したことで医師と薬剤師の関係が悪くなったとしても、立地条件が良ければ患者はその薬局を利用するのだからいいではないか――。そう考えることもできそうなものだが、「それでも気を使わざるを得ない」と、この薬剤師が続ける。「友人の医者から聞いたのですが、あからさまに『○○薬局に行きなさい』と指定する医者がいるそうです。裏でバックマージンがあるのかもしれないですけど。ということは、患者に対して、特定の薬局に行かないように指示することもできる訳ですよね。そう考えると、医者には逆らえませんよ」。そうは言いながらも、処方薬による薬害が稀なのは、薬剤師が肝心なところでは疑義照会を行っているからだろう。『日本医療機能評価機構』の調査によると、疑義照会によるヒヤリハット(※重大事故に至っても不思議でない事例の発見)の解決件数は例年、15%前後で推移している。1年間の総処方箋枚数が8億枚、疑義照会率が2.7%として計算すると、疑義照会件数は約2160万件。その内の15%がヒヤリハットだとすると、年間300万件強の処方が薬剤師のチェックによって安全を保たれていることになる。同機構は典型的な事例も示しているが、中には「初回アンケートで『肝疾患がある』と回答した患者に、疾患禁忌の医薬品が処方されており、医師に伝えた上で該当の薬を削除」といった、医師の不注意では済まされないような重大な処方ミスも多い。薬剤師の疑義照会によって救われている生命も、少なからずあることだろう。

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【不養生のススメ】(04) 小さくなっていく日本人

20170728 14
最近、気がかりなことがある。それは、日本人が小さくなっていくことだ。昨年7月の科学雑誌『eLife』に、『インペリアルカレッジロンドン』等の約800人もの研究者らが、『世界保健機関(WHO)』と共同で“過去100年間における世界200ヵ国の人々の身長の変化”について報告した。研究者らは、1896年から1996年の間に生まれた対象者が18歳以上になった時、つまり1914年から2014年の身長データを解析した。結果、日本人男性の平均身長は、1896年生まれの156.2㎝(※世界ランキング187位)が、1996年生まれは170.8㎝(※同102位)。女性の平均身長は、1896年生まれの142.3㎝(※同195位)が、1996年生まれは158.3㎝(※同112位)になった。これまでの研究で、身長が高い人は一般的に心臓病や脳卒中を患う可能性が低く、長生きする傾向が報告されている。戦後の経済成長と共に、日本人の栄養状態が著しく改善し、平均身長や寿命が延びた。ところが、日本人の平均身長は、1960年代初期に生まれた世代で頭打ちになった。栄養状態が改善されて、遺伝的な潜在能力の上限に達した可能性がある。但し、気がかりなのは、男性は1979年、女性は1977年に生まれた世代をピークに、毎年平均身長が少しずつ小さくなっていることだ(※左グラフ)。肥満に比べて、身長の低下はそれほど注目を浴びないが、この傾向は深刻に受け止めるべきだと思う。厚生労働省は、子供の栄養素の偏り、朝食の欠食やダイエット等の問題に注意を呼びかけているが、大人の歪んだ“痩せ願望”や、それに伴うバランスの悪い“○○制限食信仰”を改善しない限り、子供の健全育成の実現は無理だ。

抑々、痩せる為に頑張らなくても、私たちの体の殆どの部分は、加齢と共に驚くほど自然に萎縮していく。無理なダイエットをすれば、当然、体の病的な萎縮を促し、老化が進む。例えば身長。誰もが加齢に伴い、身長は低下する。1999年の『アメリカ国立老化研究所』の研究者らの報告によると、男女とも30歳頃から身長の低下が始まり、その速度は加齢に伴って高まり、特に70歳以降に加速した。具体的には、男性だと30~70歳までの間に平均3㎝、80歳までには平均5㎝、身長が縮んだ。女性は30~70歳までの間に平均5㎝、80歳までには平均8㎝と、より大きく減少した。特に急速に身長が低下する人は、骨粗鬆症のリスクが高まり、骨折、高齢者の寝たきりの原因になる。『公益財団法人 骨粗鬆症財団』によると、日本の総人口の10%弱、即ち約1100万人が骨粗鬆症で、予備軍まで含めると2000万人に達すると言われている。因みに、『ロチェスター大学医療センター』の報告では、顔の骨も加齢に伴い縮小し、周りの筋肉や皮膚が皺となり、老け顔になる。更に、南カリフォルニア大学と北京大学等の研究者らの大規模追跡調査では、身長の低下と認知機能の低下に強い関係が認められた。より多く身長が縮んだ人ほど、短期記憶・基本的な計算・日付の認識等の標準的な認知機能のテスト成績が大きく低下した。次に筋肉。サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉が減少していくこと。「筋肉組織の量と質の低下は40代より前に始まる」とも言われ、そして徐々に減少していく。以前の研究報告では、40歳以降、一般的には10年代毎に、8%以上の筋肉量を失い、更に70歳以降に加速するということだった。筋肉が減ると、体を動かしたり支えたりする機能が衰えて自立性を失う。また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者は、サルコペニアが肥満に関係なく、筋肉量が少ないことが、糖尿病の発症の早期予測因子であることを示した。更に、ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らによると、老化に伴い心臓の筋肉も縮小し、血液を送り出すポンプとしての機能が低下するという。そして脳。脳の重さは出生時に約400gで、青年期までに約1.2~1.4㎏まで大きくなるが、20歳を超えると発育が止まり、少しずつ小さくなる。特に脳の重さは、40歳以降、10年毎に約5%の割合で減少し、70歳を超えると加速する可能性が広く知られている。特にアルツハイマー型認知症では、脳が早く萎縮していく。他にも、生殖器や膀胱の容量等も、加齢と共に萎縮していく。つまり、生活の質の高い自立した人生を送る為には、痩せるより痩せないように努力することのほうがよっぽど重要だ。

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【ドクターXは知っている】(09) 糖尿病治療期待の『SGLT2阻害薬』は痩せ気味の人や高齢者には危険

20170726 07
国民病とも言われる糖尿病。厚生労働省が3年毎に実施している『患者調査』によると、2014年の患者数は過去最高の316万6000人となり、糖尿病予備軍の層も含めると、優に1000万人を超えるとされています。薬も様々なタイプが開発されてきました。現在は8タイプの薬が使われていますが、内科医の長尾和宏先生は、「高齢者には血糖値を下げる薬の半数は不要」と考えています。「糖尿病の飲み薬は、症状が軽度なら、若年者にはBG薬(ビグアナイド薬)、高齢者にはDPP-4阻害薬、更に必要ならSU薬(スルホニル尿素薬)。それと、場合によってはインスリンを併用します」。生命に関わる低血糖の副作用が無いことから持て囃されている『α-GI薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)』は挙げられていません。「ナンセンスだから、私は一切使いません。糖の吸収を遅らせるといいますが、それなら薬を飲まずとも、野菜を食べてからご飯を食べればいいことです。低血糖の心配が無いからといって、直ぐに出してしまう医師もいるけれど、効果も大したことはなく、ヘモグロビンA1c(※赤血球中のヘモグロビンの内、どれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値)を0.5くらいしか下げない。一方で、お腹が張ったり下痢をしたりといった副作用があるから、積極的に使う意味は無いでしょう」(長尾先生)。

また長尾先生は、新商品が次々に登場している『SGLT2阻害薬』については、「使用に際して注意が必要」と指摘します。「SGLT2は、40~50代くらいまでの肥満の患者にはよく効くというのが国際的評価です。しかし、高齢者には脱水による死亡例が報告されている危険な薬でもあります。抑々、若くて太っている人は、食事と運動で痩せることを優先するべきでしょう。それをしないで、1錠250円もする高い薬をどんどん出すということには疑問を感じます。世界糖尿病学会のランク付けで1位となっているBG薬は、1錠僅か9円ですよ」。SGLT2が効く仕組みは、糖質制限ダイエットと同じだと言われています。「糖質制限ダイエットと同じように、機関限定で痩せる為に使うのはいいかもしれません。『一切使うな』とまでは言いませんが、効き方に個人差があり、場合によっては危険が伴うということを認識しておく必要があります」(長尾先生)。また、「薬の効果と副作用は隣り合わせであり、特に高齢者については慎重な処方が求められる」と注意を呼びかけるのは、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦先生です。「私は現在、高齢者医療の現場にいますが、血糖値が上がり過ぎて具合が悪くなる人はいません。一方、薬によって低血糖となり、冷や汗や震えに始まって、失神、時には死亡に至るというケースは少なくないのです」。確かに、薬によって血糖値をコントロールして、神経障害・網膜症・腎症等の合併症を引き起こさずに済んでいる人はいるものの、一方で、副作用によって亡くなる人もいるという点を岡田先生は指摘します。「海外で、糖尿病の薬を飲んだ人と飲まなかった人とを比較する大規模な追跡調査が行われたのですが、総死亡率には差がありませんでした。一言で言って、薬を飲んでも飲まなくても寿命には差が無いのです。問題ありと考えられる薬の一例はチアゾリジン薬(インスリン抵抗性改善薬)。『飲んだ人は、飲まない人と比べて、脳卒中や心筋梗塞となるリスクが50%ほど高まる』というアメリカの研究報告があります」。ともすると、糖尿病薬の服用は、血糖値の降下自体が目的となってしまいます。しかし、健康的に長生きする為の手段と捉えると、薬選びの基準も変わってくるのではないでしょうか? (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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【薬のホント・健康食品のウソ】(01) 薬全否定は危険! 薬の止め方&付き合い方

年を重ねていくほどに飲む薬の数が増えていく――。出された薬は何でも黙ってずっと飲むべきか? 本当の“止めどき”“止める薬”を知る者こそが、賢い患者だ。

20170725 11
2016年に数ヵ月に亘って薬や医療を批判する特集を組み続けた『週刊現代』が、今年5月に再び薬特集を組んだ。昨年は「医者に出されても飲み続けてはいけない薬」等、今年は「あなたは薬を“誤解”している」と銘打った。その影響は医療現場に表れた。兵庫県尼崎市で開業する『長尾クリニック』の長尾和宏院長の元には、同誌を握り締めた患者が「先生、この薬は危険なん、知らんやろ!」と興奮しながらやって来て、「飲んでいる薬が載っているから止めたい」と訴えてきた。実は、長尾院長は去年も今年も同誌の薬特集に登場している。医療を否定する過激な見出しが並ぶ特集だけに、「何でこんな取材に応じるんだ」と非難する医者仲間もいる。「センセーショナルを売りにするのは雑誌の宿命だから、誇張した表現で医療を否定したんだろう」と苦笑する長尾院長は、「でもね、“薬漬けはおかしい”という大筋には賛同している」と続ける。「自分は真っ当なコメントをしただけ。30種類もの薬を飲み続けている患者に出くわしたら、『何とかしないと』と思うよ。薬にはリスクとベネフィットがあり、リスクの部分が軽視されてきた。リスクを啓発するには、これくらい乱暴な方法も仕方がない」。とはいえ、薬の悪口を書き連ねる記事全体には文句もある。「人間と同じで、薬もいいところ・悪いところの両方がある。『コレステロールを治療するスタチンという薬は、稀に横紋筋融解症という重大な副作用がある』と槍玉に挙がっているが、頻度は非常に少ないし、スタチン無しでは命に関わるハイリスク患者もいる。全否定しているのは非常に問題」(同)。副作用はその重篤度と共に、発生する頻度も伝えなければ、リスクを正しく理解できない。長尾院長がもう1つ心配するのは、「医者を悪者に仕立て過ぎて、患者との信頼関係に罅が入ること」。自身のクリニックでも、記事の影響か、通院を止めてしまった患者がいる。必要なスタチンを止めたがる患者に飲み続けるよう説得するのには苦労した。一方で、記事が適切に薬を減らすきっかけになった患者は十数人に及ぶ。患者には、記事を機に適切な治療から遠ざかった者と、より適切な治療に繋げた者がいるということだ。良い・悪いを断定する記事はわかり易いが、「真実は極論と極論の間の“中庸”にある」と長尾院長は強調する。最適な中庸を見い出すには、健康や医療に関する情報を調べて理解し、その情報を使う能力――ヘルスリテラシーを患者が身に付ける必要がある。

薬の本当の止めどきはいつなのか? 老年医学の第一人者である東京大学大学院の秋下雅弘教授は、「年を取ったら、若い頃と同じつもりで薬を貰う姿勢は改めたほうがいい」と促す。若者や壮年と同じ量の薬を出されていたり、自分で購入した市販薬で“大人”の量を飲んでしまうかもしれないが、若い人と同じように薬を飲んでいると、予想外の副作用や中毒症状が出ることがあるからだ。秋下教授に引き続き解説してもらおう。薬の量の次に問題になってくるのが種類だ。飲む種類が多い分だけ、副作用のリスクは増える。にも拘わらず、7種類以上の薬を薬局で受け取る割合は、40~60歳で10%、65~74歳で15%、75歳以上で26%と上がっている(※厚生労働省『2014年社会医療診療行為別調査』)。高齢者では、処方される薬が6種類以上になると、副作用の頻度が15%くらいに跳ね上がる(※Kojima T. Akishita M, et al. Geriatr Gerontol Int. 2012)。薬を飲まないのが一番いいが、かといって病気を放置する訳にはいかない。では、何種類くらいが適当か? 『日本老年医学会』で検討した結果、「5種類までを目安にする」という方向で意見が纏まった。複数の薬を飲む一番の問題は、薬同士の相互作用が起きることだ。3種類以上を一緒に飲んだら何が起きるかについては誰も調べていないが、実際に相互作用は起きている。薬で現れた副作用を「病気だ」と勘違いし、次々と薬を追加された為に、新たな副作用が生まれ、最後は重篤な状態に陥ってしまう例もある。老人だから“転倒”したり、“認知症”になるのではなく、副作用によって“ふらつき”や“筋力低下”が出て“転倒”する、認知症紛いの症状が出ることもあるのだ。具体的に、薬との付き合い方はどう変わっていくのか? 血圧の薬で見てみよう。一般に高血圧と診断される基準は、年齢に拘わらず、上の血圧(収縮時血圧)が140、下の血圧(拡張時血圧)が90。ただ、加齢と共に生理的に血圧は上がっていき、高齢者は血圧が凄く低い人のほうがその後の寿命が短い傾向がある。その為、年齢によって血圧の管理基準はやや異なる。75歳以上の高齢者の管理基準は、上150未満・下90未満と少し緩く、この範囲なら降圧剤を4種類も5種類も飲んで無理に下げるのは止めたほうがいい。ループ利尿薬・α遮断薬・β渡断薬は副作用を起こし易いので、高齢になったらできれば使用を控えたい。尤も、血圧を下げる薬を飲むのか飲まないのか、飲むとしたら血圧をどこまで下げたらいいのかは、個々の老化度や体の状態によって異なる。これまで心疾患を起こしたことがある人や糖尿病患者は上130・下80、脳血管障害を起こしたことがある人は上140・下90と、高齢者であっても少し厳しめの基準がある。脳卒中や動脈硬化を予防する為に飲むコレステロールを下げる薬は、高齢になったら使わなくてよい場合が多い。75歳以上の人がコレステロールの薬を飲んだからといって脳梗塞が減ったというデータは、どこにも無いのだ。糖尿病についても、高齢者に血糖を下げる薬でどこまで血糖値を下げる治療をしたほうがいいのか、本当のところはよくわかっていない。寧ろ、「血糖を下げ過ぎないほうが長生きする」という指摘もある。その他、疾患別の薬との付き合い方は右上図を参考にしてほしい。特に慎重な投与を要する薬の一覧(※下図)も掲載した。但し、決して独断で薬を止めないこと。薬をどうするかは、その人の老化の具合や病気の種類、置かれた状況等で違う。100人いれば100通りの薬の飲み方がある。薬の止めどきも止め方も、匙加減が大事なのである。ポイントは薬に依存しないことだ。

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