FC2ブログ

【病院クライシス2020】(14) 売却案件は引きも切らず…盛り上がる病院のM&A



20200713 09
2017年秋。医療関係者の注目を集めた、病院の事業譲渡に関する入札が実施された。その病院は、品川区東大井にある『東芝病院』。不正会計で揺れていた『東芝』が、経営再建策の一環として事業譲渡する方針を打ち出したからだ。東芝病院は、東芝が1945年に設立した企業立病院。当初は社員や家族の診療を目的にした職域病院だったが、途中から一般患者も受け入れるようになり、地域に根差した病院となっていた。但し毎年、赤字を計上し、業績は芳しくなかった。「東芝がやっていたから上手くいかなかっただけで、立地や施設を考えればポテンシャルは高い。これだけの“出物”は中々ない」(病院のM&Aに携わる投資ファンド幹部)。医療関係者の間では、そうした声が上がるほど関心が高く、1次入札は8社前後に上った。応札したのは、サテライト病院として活用したいと考えていた大学病院、大手病院グループ、周辺の病院等錚々たるプレーヤーばかり。その後、2次入札も実施され、価格は吊り上がっていった。結果、275億円で手中に収めたのは、ここ数年、大手病院グループの一つとして頭角を現してきた『カマチグループ』。外資系投資銀行をアドバイザーに就け、他を圧倒する価格で競り落としたのだ。事業譲渡から1年半が経過し、東芝病院、現在の『東京品川病院』は大きく変わった。再スタートを切った直後、入札に敗れた大手の大学病院が一斉に医師を引き揚げた為、産科が運営できなくなるという事態に見舞われたものの、昨年10月からは再開。救急患者も2.4倍に増え、医業収益(※会社でいう売上高)も増加しているという。

では、東芝病院を再建しているカマチグループとは、どのようなグループなのか。1974年、山口県下関市に開院した19床の『下関カマチ病院』からスタート。それ以降、福岡市に『福岡和白病院』を開院する等、九州・山口を中心に病院を展開していった。当初こそ急性期病院が中心だったものの、2000年代初めから千葉県の八千代市や埼玉県の所沢市等で相次いでリハビリテーション病院を開院。回復期病院の展開を進めると共に、関東進出を図る。途中、経営が立ちゆかなくなった佐賀県武雄市の市民病院や、埼玉県久喜市の『埼玉県厚生農業協同組合連合会』が運営していた病院を譲り受けて勢力を拡大。現在では、22の病院と7つの学校を運営する大手の医療法人グループだ。このように、経営不振に陥った病院を大手病院グループが譲り受ける、事業会社でいうところのM&Aをするケースは、何もカマチグループだけではない。ここ10年の事例を見ると、『日本郵政』が赤字に陥っている各地の逓信病院を一斉に譲渡。『平成医療福祉グループ』、『葵会グループ』、『板橋中央医科グループ』等が譲り受けている。また、東芝病院のように企業が運営する病院についても、『日立製作所』が『小平記念東京日立病院』を『大坪グループ』に、『日立横浜病院』を平成医療グループに譲渡している。民間病院も然ることながら、公立・公的病院の経営は更に苦しい。カマチグループが武雄市の市民病院を譲り受けたことは前述したが、神奈川県立の『七沢リハビリテーション病院脳血管センター』や『川崎社会保険病院』等は葵会グループが譲り受けている。「200床以上で譲渡価格が10億円以上の病院は、大手病院グループが受け皿となっている。公立病院等は人件費が高く、労働組合もあるから、M&Aもやり難いが、二進も三進もいかなくなり、大手病院グループに泣きつくケースは多い」(病院経営に詳しい関係者)。右上の表をご覧頂きたい。これは、介護老人保健施設(※老健)を除いた一般病院で、2500床以上の大手病院グループを2018年末時点の病床数でランキングしたものだ。殆どのグループが、これまで様々な病院の受け皿となって事業譲渡を受け、勢力を拡大させている。ある大手病院グループの代表は、「色々な人から、毎週のように買収案件が持ち込まれる。そういう意味では選び放題だ。地銀を始めとする銀行も『いくらでもお金を貸しますよ』と言ってくれるし、病院のM&Aにはもってこいの環境だ」と豪語する。トップの『徳洲会グループ』は、創設者の徳田虎雄氏の病気や一族の不祥事もあって急ブレーキがかかっているものの、それ以外はこの代表の言葉通り、如何にも元気だ。

続きを読む

スポンサーサイト



テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【新型コロナウイルス・日本再生への道】(01) 病床調整、綱渡り

新型コロナウイルスへの対応で、日本の社会は、緊急事態宣言発令という前例のない対応を迫られた。感染拡大の第2波に備え、課題を点検した。

20200709 04
集中治療室(ICU)がいっぱいになった。4月20日、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れている東京都江戸川区の中核病院『東京臨海病院』に緊張が走った。ICU6床が満床だと、30人余りいる感染患者の誰かが急変すれば救えない。危険水位だ。同日夕、保健所に転院先探しを依頼し、同時並行で医師も他の病院に片端から電話した。断られ続けた。患者の振り分けを担う都の調整本部から連絡が来たのは、翌日午前。漸く1床空けた僅か5分後、重症の急患が運び込まれ、ICUはまた満床に。「4月中は、この繰り返し。いつもぎりぎりだった」。同病院の山口朋禎医師は語る。保健所は増大する業務に忙殺されていた。電話相談、PCR検査の手配、感染経路の調査――。入院先の調整機能を強化しようと、同2日、都庁に調整本部ができたが、混乱の中、「機能するようになったのは4月下旬頃」(都幹部)。

病床の調整は綱渡りだった。同じ時期、大阪では、救急の最後の砦である救命救急センター4ヵ所が新型コロナウイルス対応に追われ、通常救急の停止や制限に至った。『日本救急医学会』代表理事で大阪大学教授の嶋津岳士氏は、「新型コロナウイルス患者を受け入れられない地域の病院もあり、重症でない感染者も救命救急センターに運ばれることが多かった」と話す。感染疑い患者の盥回しも問題になった。日本はPCR検査の実施が少なく、確認に時間を要した。疑い患者は、病床を確保した病院でも受け入れ難い。他の陽性者からも一般の患者からも隔離が必要で、病床の逼迫を招きかねないからだ。「改善には検査の迅速化が不可欠だ」。救急が専門の大友康裕氏(※東京医科歯科大学教授)は指摘する。病院が受け入れを躊躇う要因は多い。マスク等防護具の不足、通常診療や病院経営への影響――。再び患者が急増する前に、医療現場への支援を拡充した上で、適時に病床を確保できるよう準備が必要だ。重症は大病院で、そうでない患者は地域の病院で診るといった役割分担や、患者の入院先を割り振る調整機能の強化が急がれる。第1波の収束にほっとしたのも束の間、福岡県北九州市では6月1日までの1日間で、無症状も含め、113人の感染がわかった。入院は5月31日時点で58人。同市は90床余を確保したというが、感染拡大を想定し、今後も病床確保を急ぐ。北橋健治市長は断言した。「第2波の真っ只中にあると認識している」。ウイルスは僅かな隙を突いて近付いてくる。これからも。どこにでも。


キャプチャ  2020年6月2日付掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【THE MONEY TIMES】(58) 女詐欺師の種は尽きまじ“山拓副総裁”



20200709 01
他人を出し抜いて地位や仕事を得ようと、権力者の威光に寄り縋る人間心理が招いた“コネ社会”。東京地検特捜部に逮捕された過去を持つ女詐欺師は、その人間心理を巧みに利用した。嘗ての自民党ナンバー2である元副総裁、山崎拓氏の政治力を以ってすれば、輸出規制のかかる医薬品が入手可能と持ちかけ、中国への転売を目論む医薬品の卸会社社長から、清水絵夢氏は300万円を騙し取ることに成功。更に、証券取引等監視委員会から金商法違反(※偽計)容疑で強制調査を受けたジャスダック上場企業『Nuts(ナッツ)』の医療関連事業にも参画した。当然、“虚飾の道具”として、山崎氏の名を前面に掲げたことは言うまでもない。証取委の強制調査を機に平取締役に降格したナッツの森田浩章前社長が、前回からの証言を続ける。「ナッツが手掛ける中国人富裕層対象のヴィデビムスクリニックは、山崎さんとのパイプを持つ清水さんの口利きで、徳洲会に提携の申し入れができました。医療サービスの拡充と、アジュバントを用いた健康食品を販売する為の提携です。アジュバントとは、元慶應義塾大学准教授の森山雅美氏が開発した免疫活性化物質。ナッツは、アジュバント製品の開発販売も医療関連事業の柱に据えていました」。昨年7月16日、ナッツは森山氏が経営する『アジュバント・R&D』との契約締結を発表。契約金5000万円を支払い、日本と中国におけるアジュバント製品の営業権等を取得したという。

「それから間もなく、森山先生と共同でアジュバントイミュニティプロベスラボラトリー(AIPL)というナッツの子会社を設立しました。事前に、『清水さんは中国で国賓の山崎先生と非常に懇意』と聞かされていた為、AIPLの顧問の斡旋を依頼したところ、昨年9月12日、日本医師会推薦候補だった自見庄三郎氏(※元参議院議員)に引き合わされたのです」。政界人脈を見せつけられ、ナッツは絵夢氏とコンサルティング契約を取り結ぶ。「清水さん曰く、『私ならヴィデビムスクリニックに中国人の会員を大勢集められる』とのことだったので、医療関連事業全体の助力を得ようとしました。昨年10月31日に契約を交わし、自見氏の紹介料500万円を含め5000万円の報酬を支払った。清水さんだけでなく、山崎さんとのコンビに対しての報酬のつもりでした。実際、清水さんから『山崎先生には私から渡しておきます』と伝えられていました」。尚且つ、絵夢氏は“中国人富裕層向けの医療ツーリズム”が成功した暁には、山崎氏にナッツの株式100万株を譲渡することも要求したという。「その後、清水さんが『ヴィデビムスクリニックで人間ドックを受ける中国人を毎月400人斡旋できる』と紹介してきたのが、本拠地が福岡のコンサル会社、笹川総合研究所でした。更に、笹川総研が中国人送り出しの業者として、上海にあるセレスという会社を連れてきた。昨年11月21日、ナッツはその2社と業務提携し、記者会見まで開きました。ところが、実際に斡旋された中国人は、これまでただの一人としていません。ゼロです」。やはり、絵夢氏は法螺吹きだったか。一方、ナッツのもう一つの医療関連事業であるアジュバント事業は、絵夢氏の“新たな餌”となる新型コロナウイルスワクチンへと繋がっていくのである。「最終的に、清水さん橋渡しの徳洲会との提携もご破算に終わりました。ただ、森山先生が『アジュバントとインフルエンザワクチンを混ぜたら新型コロナウイルスの感染予防が可能』と言い出し、アジュバント事業は別方向に展開した。中国で新型コロナウイルスワクチンを開発する計画が立てられたのです。嘘か真か、清水さんは『中国で国賓の山崎先生の親書を、私が習近平に届けるから』と、中国政府の協力も得られると請け合いました」。今年1月29日、ナッツは中国と共同で新型コロナウイルス対応のワクチンを開発すると発表。その途端、株価は85円から114円へとストップ高を演じた。しかし、その1ヵ月後に行なわれた証取委の強制調査を機に、森山氏から契約解除を通告され、未だ誰も見ぬ新型コロナウイルスワクチンの開発は頓挫した。ところが、後にナッツを蚊帳の外に置き、絵夢氏が新型コロナウイルスワクチンのビジネスを尚も進めていることが判明。契約に違反しているとして、ナッツは森山氏含め、其々5000万円の返還を求める訴訟の準備を進めている。とはいえ、絵夢氏が進めているビジネスは、案の定、詐欺紛いだった。実は、在日中国人の女性社長が1000万円を騙し取られたという。

続きを読む

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【病院クライシス2020】(13) 「地域密着では民間病院の出番」――加納繁照氏(『日本医療法人協会』会長)インタビュー

諸外国と比べ、日本の医療の特徴は民間病院の多さだ。病床数の約7割を民間病院が占めている。公立病院の改革が促される中、民間病院が果たす役割とは何か。多くの民間病院が加盟する『日本医療法人協会』の加納繁照会長に話を聞いた。 (聞き手/本誌 井艸恵美)

20200706 09
――公立病院と民間病院の違いは何でしょうか?
「日本の医療は民間が主体になっている。例えば、救急搬送受け入れ件数の約6割を民間が担っている。これを都道府県別に見れば地域差がある。民間の救急搬送受け入れが最も高い埼玉県は78%であるに対し、最も低い富山県は7%だ(※2017年)。民間が5割以上を占める地域は首都圏や関西の都市部が中心だ。高齢化社会によって、今後は75歳以上の人口が増加する。東京都や大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県等は高齢者が増える。こうした都市部でも民間病院の重要性が増していく。一方で、人口減少が進む地方や僻地は採算性が低く、民間では経営が成り立たない。公立病院は赤字を出しても自治体から税金(※繰入金)が投入されるが、民間は2期連続で赤字を出せば銀行からの借り入れが難しくなる。こうした地域では、公立病院と補完的な関係を築く必要がある。公立病院への多額の繰入金(※自治体からの補填)を寛容できる時代ではなくなっている。厚生労働省による再検証病院の発表は妥当だろう。但し、公立が医療を担う地方と民間中心の都市部は分けて考えるべきだ」
――病院の再編・統合で、大規模な病院が増えています。
「病院の新築や建て替えは現在、自治体の首長にとって唯一、造り易いハコモノになっている。私が懸念するのは、地域医療構想がこうしたハコモノ造りの格好の材料になっていることだ。膨大な税金を投入し、病院統合で大規模な病院を新設しても、結果的に統合前よりも赤字が膨れ上がっているところもある。例えば、2015年に2つの県立病院が統合して建設された兵庫県の公立病院は、2017年の収支報告で2億3300万円の黒字であった。ところが、約28億5800万円の繰入金があり、実質的には約26億円の赤字だった。自治体からの繰入金は、統合前の2病院の繰入金合計額の約1.5倍に増えている。人口はどんどん減っている為、集約化は必要だが、問題点は大きな病院の独り勝ちになっているということだ。日本の病院は300床以下が約8割、民間病院では200床以下が約8割を占めている。大きな病院ができれば患者がそこに集中し、職員も引き抜かれる為、周囲の病院の経営が悪化する。特に、税金が入っていない民間病院はダメージが大きい。再編を検討するには、公立病院の拡張による中小病院への影響と、投入される税金の額が適切なのか、十分に議論すべきだ。勿論、再編して集約化すべき機能もある。救命を必要とする重篤患者を受け入れる救命救急センターや小児・周産期、癌治療等だ。しかし、中程度の重症患者を受け入れる救急医療や高齢者医療は、集約化せずに分散していたほうが寧ろよい」
――これからの民間病院の役割は何でしょうか?
「中小規模の民間病院は、その多くが地域で育まれ、医療と介護を展開する地域密着型の病院だ。人生100年時代に求められるのは、治療から社会復帰まで担うこうした地域密着型の病院だ。巨大病院よりも、小回りの利く民間中小病院の存在が重要になるだろう」


キャプチャ  2020年1月11日号掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【THE MONEY TIMES】(57) 女詐欺師の新たな餌は新型コロナウイルスのワクチン開発



20200702 01
愛人に“変態プレイ”を赤裸々に綴った暴露本を出版された影響で、自民党元副総裁の山崎拓氏が選挙に敗れ、代議士の座を失ったのは、遥か17年も前のこと。しかし、東京地検特捜部に逮捕された過去を持つ女詐欺師は、その政治力を未だに利用できるかのように装った。本来、輸出用の卸売販売が規制されている『武田薬品』製の糖尿病治療薬『ザファテック』等の中国への転売を、清水絵夢氏は医薬品の卸会社社長に持ち掛けて、1300万円を騙し取ることに成功したのである。その“騙しの舞台”の二人目の役者として、絵夢氏が卸会社社長に引き合わせたのは、『日本医師会』推薦候補の自見庄三郎氏(※元参議院議員)だった。“山崎先生からの宿題”を引き受けた自見氏は、実娘である自見はなこ厚生労働大臣政務官の園田弘幸秘書に、医薬品卸大手『アルフレッサ』の医薬営業部渉外担当部長と、“個人的な相談事”レベルの交渉に当たらせた。その園田秘書の証言から、絵夢氏が卸会社社長に伝えていたことは、全て真っ赤な嘘だったと判明する。前回に引き続き、園田秘書の話。「清水さんが送ってきた卸会社の販売先10社のリストをアルフレッサの部長に郵送したところ、2ヵ月後に調査結果を伝えられました。それによると、問題企業2社が含まれていた。東京都台東区の販売先は、中国人への医薬品無許可販売で社長らが大阪府警に逮捕され、また大阪市の販売先はC型肝炎治療薬の偽造品を扱い、厚労省から行政処分を受けているとのことでした」。当然、アルフレッサが卸会社社長と契約するわけもなく、門前払いされたことを絵夢氏に伝えたという。

ところが、卸会社社長によれば、「調査結果が伝えられたとされる時期、清水さんの口ぶりは『愈々アルフレッサとの契約が本決まりになりそうだ』というものでした。昨年9月12日には、山崎先生立ち合いの下、自見先生、園田秘書らがアルフレッサの担当者とホテルの会議室で面会し、契約を進めると知らせてきた。しかし、そこまで具体的な話をしながら、それ以降は全く進展しなくなった。清水さんは『園田秘書とアルフレッサの連携が上手くいっていない』等と言い訳をしていました」。更に2ヵ月後の昨年11月4日になって、「契約が進まないのは、販売先リストに薬事法違反で裁判中の業者が含まれているから」との自見氏のメッセージを寄越したという。「しかし、清水さんがその業者名を明かさない為、顧問弁護士に東京・大阪の裁判所を調査してもらったのですが、結局、裁判中の販売先は見つけることができなかったのです。ただ、販売先リストは抑々、中国向けであることを表向き隠す為のアリバイ的なもの。問題企業があれば外せばいいだけの話です。要するに、清水さんは契約が進まない理由をこちらの落ち度のように仕向け、詐欺ではない体裁を取り繕おうとしたのではないでしょうか」。そのうち、絵夢氏と連絡が中々取れなくなり、卸会社社長は詐欺の疑いをより強めた。伝手を頼って園田秘書に確認したところ、まんまと騙されたことがわかった為、現在、警視庁に詐欺容疑で告訴する準備を進めている。実は、卸会社社長から1300万円を騙し取る一方、絵夢氏は別の医療ビジネスにも触手を伸ばしていた。ジャスダック上場企業『Nuts(ナッツ)』の医療関連事業に参画し、その一環として、ナッツの子会社である『アジュバントイミュニティプロベスラボラトリー(AIPL)』顧問に自見氏を招聘した。昨年9月12日、山崎氏らが一堂に会したホテルの会議室に現れたのは、アルフレッサの担当者ではなく、実際は自見氏と初顔合わせをするナッツの森田浩章社長(※当時)だったのだ。そのナッツだが、今年2月26日、証券取引等監視委員会から金商法違反(※偽計)の疑いで強制調査を受けている。証取委が問題視したのは、昨年2月8日付のプレスリリース。コロンビア大学と業務提携した『ヴィデビムスクリニック』の会員権販売で、前期比10倍に相当する15億円超の売上高が見込めると公にしたのである。結果、ナッツの株価は77円から一気に160円にまで跳ね上がった。虚偽の情報開示をした疑いのあるナッツとタッグを組み、絵夢氏は何を目論んだのか。結論から先に言えば、中国人富裕層向けの医療ツーリズムと、新型コロナウイルスのワクチン開発ビジネスだった。

続きを読む

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【病院クライシス2020】(12) 東京の都心部でも安泰ではない…医療法人倒産は何故起きるのか?



20200629 10
「今日を以てこの法人は解散。従業員の方は全員解雇となります」――。東京都中央区京橋にある高層ビル『京橋エドグラン』。都心のビジネス街に聳え立つこの建物の24階に入居していた『石井クリニック』では、昨年9月末、業務終了後に40名余りの従業員が突然、集められていた。戸惑う従業員に向かって、クリニックの理事長や弁護士が告げたのが、冒頭のせりふだった。「遂にXデーがやって来たんだなと」。それまでにクリニックの異変を感じていたある従業員は、当時のことをそう振り返る。石井クリニックを運営する医療法人社団『光人会』は、9月20日に破産手続きを開始。『帝国データバンク』によると、負債総額は凡そ9億円に上った。石井クリニックは『新日本橋石井クリニック』として、医師の石井光氏が中央区日本橋の小舟町で1996年に立ち上げ、2018年5月に京橋エドグランに移転した。石井氏は内視鏡医としての評判が高かったといい、移転前の日本橋時代から内視鏡検査がクリニックの収益の中心になっていた。1件数万円で、大腸や胃の検査を請け負っていた。また、ビジネス街に近いという場所柄、企業の健康診断を多く手がけていた。更に、『ANK免疫療法』という、免疫力を活性化させて癌を治す治療を行なっていた。6週間の治療で400万円からという価格設定の自由診療で、月に数人、富裕層の患者が訪れていたという。2013年度には年間売上高は9億円、事業利益(※営業利益)は2000万円の黒字を確保していた。だが2013年度以降、売上高は右肩下がり。2017年度には5億円を割り、事業利益は赤字に転落してしまう。「石井氏はクリニックの経営と並行して、健康食品の販売にも力を入れ始めた。そちらに割く時間が多く、収益柱だった内視鏡検査の件数が減ってしまったのではないか」(クリニック関係者)。

転機が訪れたのは2018年。入居していた日本橋小舟町のビルの老朽化による建て替えに伴い、立ち退きを迫られたのだ。それを機に、石井氏は業容の拡大を目指すようになる。立ち退きを巡って、数億円の立ち退き料を手にしたことも背景にあったとみられる。「収益が細っていく中、石井氏は単価が高い訪日中国人客の医療ツーリズムの取り込みを狙っていた。転居先を探す中で、経営計画を立てないまま、京橋エドグランに一目惚れをしてしまったようだった」(同)。訪日客向けの広告宣伝も不十分なまま、2018年5月には京橋エドグランへ移転し、営業を開始。結果、クリニックは石井氏が思い描いていたような賑わいを見せることは、遂になかった。移転前の患者に移転後のクリニックの場所等の周知をしていなかったことで、既存患者も激減。クリニックでは閑古鳥が鳴いていたという。そこを異常なコスト構造が襲う。先ず、京橋エドグランの賃料だ。24階の凡そ270坪を借りており、賃料は月1300万円に上った。加えて、人件費も嵩んだ。在籍していたスタッフは40人以上。売上高5億円弱のクリニックとしては、あまりに多い人員である。人件費負担だけで月1600万円になっていた。訪日客の富裕層を狙った過剰な設備投資も仇となった。血液浄化(※血液クレンジング)装置やエコー検査装置等、高額な医療機器を次々に導入。毎月のリース料も1000万円規模に上った。こうして、資金繰りは急速に悪化していく。取引先への支払いが滞りがちになっていた昨年4月、取引銀行の要請もあり、理事長が石井氏から石王道人氏に交代、経営再建に乗り出した。だが、石王氏も資金繰りを好転させることはできなかった。スポンサー探しに奔走したものの、ネックになったのが多額の賃料。スポンサーとの話が纏まることは遂になかった。ANK免疫療法を行なっていた癌患者には、手紙で引き継ぎ先の病院の案内がなされたというが、他の通院患者に知らされることはなく、石井クリニックは閉院となった。解雇を宣告された従業員たちが感じた数々の異変は、最悪の結末を迎えたのだ。民間病院の経営は厳しさを増している。診療報酬等を決める政府の中央社会保険医療協議会が昨年11月に公表した調査では、民間では3割を超える病院が赤字経営に陥っていると回答。クリニック(※診療所)においても、3割程度が赤字だとしている。

続きを読む

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【暮らしの救急箱】(05) 屋外での切り傷、破傷風に注意の世代は?

20200624 10
GW中の突発的なトラブルに対し、家庭でできる処置をお伝えする。先ず、鼻血は圧迫止血が基本。鼻の入り口付近で出血していることが多いので、正しく止血すれば大半は15分程度で止まる。俯いて、“臭い”時のポーズのように、鼻の柔らかいところを親指と人差し指で挟むのだ。『湘南鎌倉総合病院』ERの関根一朗医師の話。「ティッシュを詰めたり、上向いて延髄をトントンするという止め方をする人を見かけますが、これはNG。医学的に根拠がありません。肺に血液が入れば誤嚥性肺炎を起こしますし、胃の中に入ると嘔吐を誘発します」。頻度は少ないが、正しく行なっても鼻血が止まらない場合は、鼻の奥で出血等の可能性がある為、病院での治療が必要だ。次に、屋外で“出血する切り傷”ができた場合、兎に角、水道水でしっかりと洗うこと。土壌に常在する破傷風菌に感染すると、毒素によって破傷風を発症し、命に関わる場合がある。特に、昭和42年以前生まれの人は幼い頃、破傷風の予防接種が義務化されていなかった世代の為、注意が必要だ。毎年100人程度の中高年が破傷風を発症している。

「深い傷や、浅くても手足の傷は、後に傷が膿んでしまったり、破傷風の原因になったりすることがあります。予防する為には、兎に角、大量の水で洗うこと。川や海の水でなく、水道水を勢いよく出して、しっかり洗って下さい」(同)。しかし、中の汚れが中々取れなかったり、血が止まり難い場合は、医療機関の受診を。一方で、浅い傷であれば、患部を洗った後に、市販のハイドロコロイド絆創膏(※キズパワーパッド等)を貼ろう。嘗ては“消毒してから乾燥させる方法”であったが、現代では消毒せず、乾かさず、傷口から出ている溶出液を保持して患部を覆う“湿潤療法”が主流だ。そのほうが早く、綺麗に治る。火傷で小さな水ぶくれになった場合も、その水分に傷を治す成分が含まれている為、破かず、上から密封して様子を見よう。蜂等による虫刺されは、アレルギーの過剰反応、所謂アナフィラキシーに気をつけたい。「刺された部分が痛い、痒い場合は、自然に治癒することが多いです。左上図のようなアナフィラキシーを疑う症状が出たら、速やかに医療機関を受診して下さい。アナフィラキシーの症状は30分以内に出ることが多く、急速に悪化します」(同)。最後に、今の時期から徐々に熱中症が増えてくることを覚えておきたい。屋内も屋外も共に注意が必要で、持病がある人は少し暑い環境でも陥り易い。脱水のサインは尿だ。尿の量が少ない、又は濃くなっているなら、体内での脱水が進んでいる。口腔内の乾燥や、いつもより皮膚の弾力がない場合も黄信号。人は常に皮膚からも水分が蒸発している為、汗をかいていないから脱水でないと思ったら大間違いなのだ。適宜、水分と休憩を忘れずに。


笹井恵里子(ささい・えりこ) 医療ジャーナリスト・『日本医学ジャーナリスト協会』会員。1978年生まれ。『サンデー毎日』編集部記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)等。


キャプチャ  2020年6月号掲載

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【病院クライシス2020】(11) 「嘘を重ねては再編が進まない」――相澤孝夫氏(『日本病院会』会長)インタビュー

厚生労働省は、再編を検討すべき公立・公的病院を発表したが、各地で反発が起きている。『日本病院会』は、加入する約2500の公立・民間病院向けに、各病院の機能や地域の状況を把握できる独自データの公表に踏み切る予定だ。 (聞き手/本誌 井艸恵美)

20200622 10
――国は、団塊の世代が75歳になる2025年に向け、地域の医療体制を見直す“地域医療構想”を各都道府県に作成するよう、要請しています。2025年に必要な急性期、回復期等の機能毎の病床数を調整するよう求めていますが、異論があるそうですね。
「地域医療構想は一度白紙に戻し、最初からやり直したほうがいい。基になっているデータが間違っているからだ。厚労省は、各病院が病床機能を自己申告したデータを基に、2025年に必要な病床数を割り出している。しかし、これは病院の自己報告によるもので、地域の実情に合っていない。急性期(※病気を発症したばかりの患者の治療)として申告されている病床も、実際にはその後の回復期(※治療後のリハビリ等)の病床として使われている病床が多い。実情に合っていないデータを机の上に並べて、各地域で議論をしろと言われても、再編が進むわけがない。抑々、病床の数合わせをすることは“構想”ではない。地域でお互いの病院の役割分担を考え、将来の地域医療の絵姿を描くのが本来だ」
――厚労省は、地域医療構想の議論を促す目的で、再編を検討すべき病院を今回発表しました。これは、診療実績と近隣病院に類似機能があるかを分析したデータを基にしています。
「このデータにも問題がある。これは癌や心臓疾患等、一部の診療実績に限られている。更に、2017年7月の1ヵ月分しか見ていない。これでは偏りがあり、360度から見ているわけではない。病気によっては、季節変動がある地域とない地域がある。少なくとも1年間のデータが必要だ。レセプト(※診療報酬の明細書)があれば、1年通したものを示せる筈だ。地域医療構想の基になったデータも今回のデータも問題があり、嘘に嘘を重ねていては再編が進まない。総合的なデータを国が出さないのであれば、自分たちが出すしかない。日本病院会としては、会員向けに自分の病院の機能と地域の状況を把握し、考えるきっかけとなるような独自データを示そうと考えている。行政目線ではなく、『貴方の病院はこうです。周囲の病院はこんな状況です。さぁ、どうしますか?』ということを考えてもらうデータにする。1月中には公表し、4月以降はより詳しいデータを出したい。中には、自分の病院の正確なデータすら把握していない病院もある。自院と地域全体の状況がわかれば、重なった機能を分担して補完し合うことができる。そのほうが個々の病院経営も良くなる筈だ」
――これから病院はどのように変化しますか?
「社会は急激なスピードで変わっている。75歳以上の人口が増え、それに対応した医療体制が必要になる。更に医療が進歩し、入院日数が短縮されれば、高齢患者も減る。私の病院(※相澤病院)がある長野県松本市では、病院間で役割分担を進めて連携する現在の体制ができるまで、20年かかった。それくらい地域医療の再編には時間がかかる。このまま旧態依然とした体制を放置すれば、突然、病院の機能が止まり、患者が困るような事態になりかねない。そうならない為にも、大鉈を振るって変えるしかない」


キャプチャ  2020年1月11日号掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【水曜スペシャル】(174) 塩野義製薬が黙殺する抗インフルエンザ薬『ゾフルーザ』の副作用死

20200617 08
新型コロナウィルスが猛威を振るう陰で、『塩野義製薬』の抗インフルエンザ薬『ゾフルーザ』による副作用死が急増している。ゾフルーザは塩野義製薬が2018年3月から販売しているインフル薬で、これまで430万人の患者が使用。抗インフル薬全体のトップシェアを占める。このゾフルーザ販売後、製薬会社が厚生労働省に報告する抗インフル薬の死亡症例報告数が急増しているのだ。民間の医薬品監視機関『薬害オンブズパースン会議』メンバーの隈本邦彦氏(※江戸川大学教授)が語る。「ゾフルーザ販売前は(使用患者数百万人当たり、以下同)年0.71~1.45人程度で推移してきた抗インフル薬死亡症例報告数が、2018~2019年シーズンは5.54人に増加した」。隈本氏によると、ゾフルーザとそれ以外の抗インフル薬の過去9シーズンの死亡報告頻度を比較したところ、ゾフルーザ以外の抗インフル薬の1.3人に対し、ゾフルーザは7倍の9.1人。「2018~2019年での抗インフル薬に関する大きな変化は、ゾフルーザが本格参入し、ベストセラー薬になったこと以外にない。抗インフル薬の死亡率急増の原因がゾフルーザによるものなのは明らか」(同)。この為、薬害オンブズパースン会議は今年1月21日、厚労省と塩野義に対し、ゾフルーザの承認取り消しを求める要望書を提出したが、梨の礫だという。

厚労省が同省審議会に提出した資料を見ると、2018~2019年シーズンのゾフルーザの死亡症例は37。ところが、厚労省は「情報不足により因果関係が評価できない」「因果関係が認められない」と積極的な安全策を取ろうとしない。隈本氏は「37症例の内、33症例については、診療に当たった医師が『死亡との因果関係あり』と報告している」とし、「販売中止、承認取り消しは急務」と訴える。一方、塩野義は取材に対し、「厚労省主催の安全対策調査会では、他剤と比較して、ゾフルーザにおいて特に死亡のリスクが高いといった指摘はなかった」と反論する。だが、これは事実と異なる。ゾフルーザと死亡率急増の関連については、昨年10月29日の令和元年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で、慶應義塾大学特任教授の望月真弓委員が「しっかり見たほうがいい」と発言し、厚労省に対し報告を求めていたのである。「この事実は厚労省担当記者クラブの新聞・テレビ・通信の記者も知っていますが、これだけ重大な問題にも拘わらず、どこも報じません。恐らく、厚労省が何か対策を決めて発表するまで報じないつもりでしょう。“大本営発表”を待つ記者クラブ制度の弊害というしかありません」(同)。厚労省の鈍い対応の背景には、ゾフルーザが厚労省の“先駆け審査指定制度”で承認された第1弾の薬という事情もある。この制度は、日本発の薬を世界に先駆けて短期間で承認して売り出す為に導入された。ゾフルーザは一躍、ベストセラー薬になり、2018年11月、塩野義の株価は上場来高値を記録。“感染症の塩野義”の面目を施した。しかし昨年、ゾフルーザを服用した子供を中心に、薬が効き難くなる耐性ウイルスが発生し、売り上げが激減。2020年3月期の連結決算予想の下方修正を余儀なくされている。だが、金儲けより安全が第一。ゾフルーザは即刻、販売中止にするべきである。 (取材・文/フリージャーナリスト 長谷川学)


キャプチャ  2020年5月号掲載

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

【病院クライシス2020】(10) 地域医療の牙城を守れるか? 日本赤十字病院の危機



20200615 09
『日本赤十字社(日赤)』が揺れている。厚生労働省が公表した“424病院リスト”の影響だ。日赤が運営する全国91病院の内、左表の24病院がこのリストで名指しされた(※閉院した『柏原赤十字病院』を除くと23病院)。日赤病院全体の2割超が、国から存在意義を問われたことになる。日赤本社はこの事態をどう捉え、どう対応するのか。昨年11月から複数回に亘り取材を申し込んだが、本件についての取材は「今は全て断っている」との回答だった。多額の税金で成り立つ公的病院グループの本社が、地域医療の取材で拒否を貫く事態は尋常ではない。日赤本社職員はこう明かす。「日赤は医療を通じた地域貢献を理念としてきた。しかし今、病床の転換や削減だけでは済まない病院が幾つもある。理念と現実の狭間で揺れに揺れている」。兵庫県丹波市では昨年春、経営不振にあえぐ柏原赤十字病院が『県立柏原病院』と合併して『丹波医療センター』となり、閉院した。日赤病院と他の医療機関との統廃合は、これから増えると予想される。だが、“お荷物病院”を次々と切り捨てれば済む話ではない。日赤は、1952年制定の日本赤十字社法に基づく認可法人として誕生した。病院運営は柱の事業で、災害医療、救急医療、地域医療等からの地域貢献を理念としている。各病院は独立採算制を取り、日赤からの返済不要の補助金はない。地域の健康を支え、財政面では地域に支えられた病院運営が求められる。

2018年度、日赤の医療事業は総収支238億円の赤字となった。前年度比54億円の収支悪化。医業収益は前年度比2.2%の伸びを示したが、医師の増加や働き方改革への対応による人件費の増加と、新築移転等による費用の増加が足を引っ張った。人件費の削減は容易ではない。病院は医師がいなければ始まらず、医師が減れば対応可能な患者が減って、経営は悪化する。その為、病院は医師確保に躍起になる。新臨床研修制度の導入後、大学からの医師派遣が激減した地方病院の医師不足は特に深刻で、医師獲得合戦を強いられている。過疎地域にある日赤病院の院長は、こう漏らす。「数年前、ベテラン医師に年収千数百万円を提示して、うちに誘ったことがある。すると、『公立病院は倍以上の額を出すと言っている』と言われ、ふられてしまった。首長の中には、医師確保の実績を上げる為に破格の年俸を約束する人もいて、勝負にならない」。こうして人件費は過度に上昇する。常勤医師を確保できない病院は、大学病院等からの短期派遣で凌ごうとする。だが、これを繰り返すと、医師が行き来する為の交通費が積み上がっていく。前出の院長は明かす。「派遣会社から医師の紹介を受ける手もある。しかし、そのルートで僻地に来る医師は、総じて質が悪い。特に問題なのは、ある日突然辞めてしまうこと。これでは住民の信用を得られない」。地方の日赤病院が厳しい懐事情に喘ぐ中で、生き残りの為の様々な策を講じてきた病院もある。その一つが、牛の飼育頭数が人口の5倍を超える町、北海道清水町(※人口約9300人)の『清水赤十字病院』(※92床)だ。4人の常勤医師と複数の非常勤医師が支える同病院は、十勝平野の西部にあり、病院がない隣の新得町(※人口約6300人)の住民も多く訪れる。清水町中心部から、医療機関が集まる帯広市中心部までは35~40㎞。新得町中心部から帯広市中心部までは、ルートによっては50㎞にもなる。清水赤十字病院は、小麦や馬鈴薯等の畑作や酪農で日本の食を支える西十勝の人々の生命線となっているのだ。「病院は儲からない。但し、黒字化は難しくない」。2017年5月、清水赤十字病院の藤城貴教院長は、清水町議会の全員協議会でそう言い切った。この時に示した黒字化策は、次のようなものだった。「職員数や給与の削減を一層進める。患者にコスト転嫁できないサービスは廃止する。例えば、内視鏡検査時の鎮静剤は病院負担になるので、患者が苦しくても使わない。人工透析患者の無料送迎は止める。時間外救急も、夜間は人件費が大変高いので止める。災害救援活動もお金がかかるので、少し遠慮する。町民公開講座等も廃止する」。そして、こう付け加えた。「こういったことを止めるのは、非常に我々の良心に反する行為だと思っている」。

続きを読む

テーマ : 医療ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

产品搜索
广告
搜索
RSS链接
链接