【ドクターXは知っている】(07) プロトンポンプ阻害薬は長期服用で骨折リスクが高まる

20170619 12
現在、胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断されて処方される薬は、主に2種類。ドラッグストアでも買えるOTC医薬品(※市販薬)となっているヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)と、OTC化されていないプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。患者としては、処方されないと手に入らないPPIのほうにありがたみを感じてしまいそうですが、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦先生は、「PPIは使い方を間違えると危険な薬である」と言います。「海外の論文で、1年以上続けて服用すると骨折を起こす人の割合が22%、4年以上になると54%高まると報告されました。PPIがカルシウムの吸収を妨げることに由来する副作用なのです」。PPIの薬剤の中には、胃潰瘍では8週間、十二指腸潰瘍では6週間というように、保険適応上の投与日数制限が設けられているものもあります。しかし、再発抑制(予防)の為に継続して処方することは認められており、長期間の服用となっている患者は多いようです。「予防効果は証明されていません。どのようなケースでも、8週間以内の使用に留めるべきでしょう。PPIは患者さんが求めるといった面もあります。胃酸を抑える力が強く、効くからです。特に、胸焼けにはよく効きます。ところが、ここには『胸焼けは病気なのだろうか?』という根本的な問題がある。以前は病気と認められていなかったのに、逆流性食道炎という病名が付いたので消化性潰瘍薬の適応症となり、処方されるようになったのです。胸焼けは放っておいても、それ以上悪くなるものではありません。食道が破れて死んだ人なんていませんから。不快感の軽減よりも、副作用のリスクを気にするべきです」(同)。

予てより『健康保険組合連合会』は、医療費削減の為にPPIをOTC化(※処方薬が必要だった薬を一般の薬局で買えるようにすること)するよう、厚生労働省に提案してきました。それでも同省が認めていないのは、安易な風用に対する危険性を否定できないからでしょう。一方、市販の胃薬はどうなのでしょうか? ストレスによって胃が痛くなることが多く、市販の胃薬が手放せないという人も多い筈です。しかし、総合内科専門医の大竹真一郎先生は、「多くの場合、飲んでも無駄である」と結論付けます。「抑々、胃や腸って何も病変が無くても痛くなるものなのです。ちょっと食べ過ぎただけとか、ちょっと緊張しただけでもお腹が痛くなったりするでしょう? このような時には、どんなものでも信じて飲めば多少良くなったりするものなのです。所謂“プラセボ効果”ですね」。一方で、本当に大変な胃の病気――胃潰瘍や十二指腸潰瘍の痛みには、市販の胃薬は効果が無いのだといいます。「洒落にならない痛みならば、誰でも医者に行くと思うんですが、市販薬を飲む場合ってそこまでのレベルじゃない時ですよね。でも、ちょっとくらいの潰瘍だったら、放っておいても治ることが結構あるものなんです。人間の病気で、発生した瞬間から一生残るものなど数少ないですから。市販の薬を飲んで治るくらいなら、抑々大した病気ではなく、放っておいても問題ない訳です。『ちょっと胃が痛いな』という程度で市販の胃薬を飲むのは無駄。昔からある家庭用常備薬等も、気休めでしかないと思っています」。耐えられないような痛みなら病院へ行き、処方される薬も長期の服用は避けるようにする。それが胃痛との正しい付き合い方のようです。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃・編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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【ここがヘンだよ日本の薬局】(06) 億万長者も夢じゃない? 調剤薬局経営の理想と現実

20170619 07
家賃が20万円程度の物件で調剤薬局を開業するとして、開業資金は約2000万円となる。少なくない額となるのが、外装や内装の費用だ。都道府県から開設許可を得る為には、店舗の構造や設備に条件がある為、簡易的に済ますということはできない。分包機やレセプトコンピュータ等の機器や備品を揃えるのにも、それなりの費用がかかる。また、当座の運転資金として、最低2ヵ月分の人件費や家賃等を用意しておくことも必要だ。国民健康保険や社会保険から報酬が支払われるのは、請求対象となる月の2ヵ月後だからである。20年ほど前に資金2000万円で開業した薬剤師が言う。「開業資金が底をつく頃から、ビジネスが回るようになりました。一度、軌道に乗ってしまえば順調で、卸への支払いが滞ったことは一度もありません」。国家資格である薬剤師は収入が安定するのだから、開業資金を全て銀行融資で賄うことはできないのだろうか? 「それは無理。それほど儲かる仕事とは思われていないし、事実、安定はするけれど、右肩上がりで売上が急速に伸びていくものでもない。私は自己資金に加えて、実家を抵当に入れて借り入れし、開業しました」(同)。資金と同様に、開業にあたって重要なのは人脈だ。調剤薬局は、医療機関が発行する処方箋があって初めて、業務が発生する。確実に処方箋が回ってくる状況を作らなくてはならない。理想は、独立開業する医師と組んで薬局を開業することである。医師と薬剤師の過度な接近は道義上、良くないとされている。しかし、医師と薬剤師によるペア開業は多い。処方箋が回ってくる薬剤師にメリットがあるのは勿論、薬局が病院から近ければ患者の負担も軽くなるので、医師にとってもメリットは大きい。医師との出会いが、薬局開業のきっかけとなることもあるのだ。カギを握るのは情報収集だ。「勤務医が独立開業を計画している」という情報を逸早く仕入れることができれば、話が進展する可能性も高くなる。勤務医の情報を多く持っているのは、病院に出入りしているMR(※製薬企業の医薬情報担当者)やMS(※医薬品卸販売担当者)だ。日頃からMRやMSと親しくしていれば、力になってくれることがあるかもしれない。因みに、薬剤師の資格を持っているMRは、その人脈を生かして薬局を独立開業するケースが多いという。

医師とペアで独立開業する際、病院並びに薬局を開設する場所は、別の科の病院が近くにある場所が有利だ。複数の科を受診する患者も多い為、病院にとっては相乗効果が生まれるし、薬局は処方箋枚数が増えるからである。前出の薬剤師が言う。「私は内科医と共に独立したのですが、場所は整形外科の近くにしました。正解だったと思っています。内科は風邪が流行る冬と花粉症の春に患者が集中して、夏場は比較的暇です。でも、整形外科は季節による波が無い。年間を通して安定した売上になっているのは、違う科の2つの病院が近くにあるからです」。ペア開業に限らず、薬局を開業する時は、処方箋が回ってくることになる医師から使用する薬を教えてもらうことが大事だ。そうやって薬の数を絞れば、開業当初の品揃えにおいて無駄を省くことができる。尤も、薬局を利用する患者が増えるに従い、扱う薬の種類は増えて、最終的には平均1300種類ほどになるようだ。そうなる頃には経営は順風満帆だろう。扱う薬の種類が増えるほど頭を痛めることになるのが、不良在庫の問題だ。不良在庫は、一度開封した薬は返品できないことから生じる。薬局間で融通をつけることは自由なので、ネットワークを作ると改善が可能だ。インターネット上には、不良在庫の売買サイトもある。医師と薬剤師は、処方箋を発行する側と受け付ける側なので、場合によってはあからさまな上下関係を強いられることもある。嘗て、処方箋の指示通りの調剤で患者に副作用が出た時、医師に高圧的な態度を取られた経験のある薬剤師が言う。「『何で気付かなかったんだ!』と、それはもう凄い剣幕でした。医療界の慣例として、『何かあったら薬剤師のせいにしておけ』というのがあるんです。医学部では、責任を回避することを教えるけれど、薬学部では責任を回避する教育はしていません。『処方箋の疑義に関して、薬剤師は医師に問い合わせをしなくてはいけない』という薬剤師法は、『医師は人間だから間違いは起こす。だけど、薬剤師は機械だから絶対に間違えてはならない』という考え方に基づいているように思います」。医師との関係において不満やストレスを抱えながらも、患者の安全の為にプロフェッショナルの力を発揮するのが薬剤師の役割だ。医師法に抵触しない範囲で、健康生活の為のサポートをすることも求められている。“3分診療”で医師とあまり話をすることができなかった患者が、薬剤師に健康面での心配事を訴えたり、質問を投げかけたりすることも多い。今後、薬局はそうしたニーズに応えていかざるを得ないだろう。国が“かかりつけ薬剤師制度”に舵を切ったからだ。どの薬局も業務に対する報酬は一律で、サービスも横並びで良かったものが、かかりつけ薬剤師制度によって、患者から唯一の“マイ薬局”として選ばれなければいけなくなった。決め手となるのは当然、薬剤師の人、そのものである。院内処方から院外処方の流れの中で業界を席巻したのは、門前薬局を大量出店してきた大手薬局チェーンだが、潮目は来た。やる気のある薬剤師にとっては、面白い時代になったと言えるのではないだろうか。 (取材・文/フリーライター 永井孝彦)


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【ここがヘンだよ日本の薬局】(05) 福井県は危機状態? 薬局・薬剤師の地域格差

“1票の格差”とはよく耳にするが、調剤薬局の世界にも格差が存在する。都道府県によって、人口10万人あたりの薬局数・薬剤師数に差が生じているのだ。また、薬剤師の年収にも格差が判明。意外にも、都市部の薬剤師は年収が低めだという。 (取材・文/フリーライター 青木康洋)

20170612 06
今、薬局を巡る世界には、大きなパラダイムシフトが起きている。厚生労働省が発表した統計によれば、2014年度時点で全国の薬局数は5万7784店舗で、前年度より713店舗増えている。また、5年前と比べると、日本中で4000店舗以上の薬局が増加した計算になる。全体として小規模店舗が乱立している状態にあり、大手調剤チェーンや大手ドラッグストアのシェアはトップ企業で僅か2.3%である。上位10社でもシェアは14%程度で、全体の70%を個人経営等の中小薬局が占めている。全国的に薬局店舗数が増えているということは、医薬分業が進んでいる証左の1つだ。日本全体の医薬分業率は、2014年時点で68.7%に達したとされている。しかし、80%を超えている地域がある一方で、30~40%台というところも未だある。分業率が低い地域を中心に、新たな薬局が進出しているというのが現況と言える。都道府県別に人口10万人あたりの薬局数を見てみると、最も多い佐賀県が63.8店舗、次いで山口県の58.5店舗、広島県の57.4店舗という順位になっている。逆に、全国で最も薬局数の割合が少ないのは、福井県の35.7店舗、奈良県の37.5店鋪、埼玉県・千葉県・京都府の37.7店舗。地域によって、薬局数にはかなりの偏りがある。次に、薬剤師の人数を見てみよう。厚労省のデータによれば、2014年度時点の薬剤師数は全国で28万8151人。これは薬剤師としての届出があった人数だけなので、届出をしていない“隠れ薬剤師”まで含めれば、恐らく実数は30万人をゆうに超えると推測されている。その内、薬局で働く薬剤師は半数の15万人ほど。

また、人口10万人あたりの薬剤師数を都道府県別に見ると、最も多い東京都が162.5人、次いで神奈川県の152.2人、兵庫県の150.4人となっている。逆に、最も少ないのは福井県の91.5人で、次いで沖縄県の93.1人、奈良県の96.1人等が、他県と比較すると薬剤師が少なめの自治体ということになる。首都圏や関西圏等では薬剤師が充足しているが、地方では不足気味という傾向が見て取れる。ただ、このデータはあくまでも人口10万人に対する薬剤師人数を示したものであり、仕事内容を反映している訳ではない。地域によって住人の年齢構成も異なるし、疾患を抱えている患者の数も違う。地方の過疎地域等では、都市部と比べて高齢者比率が高い為、人口10万人に対する薬剤師数が他県と比べて多くても、薬剤師1人が1日に扱う処方箋枚数が多いところもある。年収面はどうだろう。2015年に厚労省が『平成26年賃金構造基本統計調査』として、職種・性別・都道府県毎の“決まって支給する現金給与額、所定内給与額、年間賞与その他の特別給与額”を公表したが、それを見ると、薬剤師の全国平均年収は530万円。2013年に国税局が発表したサラリーマンの平均年収は409万円だから、100万円以上の開きがある。また、薬剤師の年収は地方によって大きな格差があり、以前から「都市部よりも地方のほうが年収が高い」と言われていたが、都道府県別では最も高い静岡県が660万円。以下、群馬県が613万円、広島県の609万円と続いている。逆に、最も低いのは岡山県の427万円だ。薬剤師の給与が首都圏よりも地方のほうが高い理由は、薬局数と患者数の需給バランスによる。ある転職サイトの調査によれば、薬剤師の年収600万円以上の求人割合は、大都市圏では33%程度だったが、地方では60%近かったという。特に高齢者が多く、薬剤師が少ない地域では、慢性的に薬剤師が足りていない。人手不足を補う為、高条件で求人を出しているのだ。ただ、単純に地方に就職さえすれば高収入が保証されるという訳でもないらしい。高年収を打ち出している薬局の殆どは、その地方にのみ店舗を展開している薬局である。全国一律にチェーン展開している薬局なら、年収は基本的に一律だからだ。では、このような薬局・薬剤師の地域による偏りは今後、是正されていく可能性はあるのだろうか? 先に述べたように、薬局そのものの数は増えているが、薬局を経営する企業数そのものは減少傾向にある。『日本M&Aセンター』によれば、他社へ譲渡された薬局数は2012年に42店だったのが、2014年には251店へと急増したという。ある中堅薬局チェーンでM&Aを担当する責任者は、次のように語る。「全国にある薬局の内、約2万店は後継者がいない為に廃業か身売りかの選択を迫られています。恐らく、今後は1万店ほどの薬局がM&Aの対象になるでしょうね」。中小薬局の身売りは、これまでも珍しいことではなかった。そういった身売りの理由の多くは、「近接していた病院が移転か廃業した」というものだった。ところが最近は、経営体力のある中堅クラスの薬局やドラッグストアに経営を委ねるスタイルのM&Aが目立ってきている。

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【ドクターXは知っている】(06) 大腸刺激性の便秘薬は常用NG! 下痢止めも根本治療には無意味

20170609 07
お腹の不調に見舞われた際、普段から薬のお世話になっている人は多いのではないでしょうか? 例えば便秘薬。多くの女性を悩みから解放する薬ですが、消化器系分野のエキスパートでもある大竹真一郎先生によると、便が出ればどの薬でもよいという訳ではないようです。「市販の便秘薬の多くは大腸刺激性の便秘薬で、センナやアロエといった成分が含まれます。漢方の場合は大黄が入っています。医者が出す薬で言えば、プルゼニドやアローゼン等も、これらと同じように、腸を無理矢理刺激して便を出す薬剤です。これらの薬は、週1回程度の服用でしたら然程影響はありませんが、毎日使うようになると、腸周辺の神経に作用して、次第に腸の働きが悪くなっていきます。薬だけでなく、アロエ入りのサプリメントやセンナ茶等の健康食品にも注意が必要です」(大竹先生)。刺激性の便秘薬が決してお腹に優しくないのに対して、大竹先生が勧めているのは酸化マグネシウムの便秘薬。こちらはどのような仕組みなのでしょうか? 「女性は、生理前に出る黄体ホルモンによって腸内の水分が血管に吸収されることで、便が硬くなって便秘になります。酸化マグネシウム薬は、この硬くなった便に水を引き込んで柔らかくする薬で、自身の腸の働きで便を出します。同様の仕組みの薬にアミティーザもありますが、こちらは新薬で薬価が高く、1カプセル161.1円。一方、酸化マグネシウムは1錠5.6円です。昔から長く使われている分、安全性も高いので、僕は酸化マグネシウムをメインに使って、それでも改善しなかったらアミティーザの使用を考えるようにしています」(同)。

扨て、便秘と共に悩ましいお腹の症状に下痢があります。薬としては下痢止めが思い浮かびますが、大竹先生が使用するのは限られた場合だけだそうです。「下病止めは、その症状を引き起こしている根本的な原因に対して何の効果もない薬です。よくある下痢の原因として、食中毒やノロウイルスの感染性胃腸炎があります。菌やウイルスを早く腸の外に出そうとして、吐いたり下痢をしたりする訳です。しかし、下痢止めを使えば菌やウイルスが腸に残ってしまいます。仕事に支障を来すのを避ける為、治りが悪くなるのを承知の上で下痢止めを使うというのはありかもしれませんが、治療としては寧ろ下剤を使ってもいいくらいだと思います」(同)。大竹先生は、「僕が下痢止めを使用するのは、基本的に抗癌剤の副作用による下痢を止める場合だけ」と言います。この場合は、下痢止めを飲むメリットも、下痢の原因もはっきりしているからです。また、下痢に悩まされる男性に多く見られるのが、過敏性腸症候群の下痢型。このタイプには一般の下痢止めは効かず、それとは作用機序の異なる薬が効果的だそうです。「過敏性腸症候群の下痢型は、腸と脳との連携が密過ぎることに原因があります。それを和らげるのがイリボーという薬で、とてもよく効きます。この薬は当初、男性向けとして承認され、その後、量を抑えることで女性向けとしても承認されました。ただ、女性の過敏性腸症候群は、下痢型ではなく便秘型のケースが多いんです。これは、下痢の女性によく見られる痙攣性便秘というもので、下痢をしているのにお腹に便が溜まっている状態です。この場合には勿論、イリボーは効きません」(同)。一口に下痢といっても、様々な原因や対応があります。若し薬の選択が間違っていたら、いつまでも治らないどころか、不調を悪化させる事態にもなりかねないという訳です。他に、潰瘍性大腸炎で下痢になる場合や、大腸癌で下痢や便秘になる場合もあるそうです。「病気を根本的に治す為に、何故その症状が起こっているのかを診断するのが医者の役目。下痢だからといって安易に下痢止めを出すのは、医者の仕事ではありません」。便秘も下痢も、ありふれた不調の1つであるだけに、手近な薬に頼ることで、却って健康を損なう事態にならないよう、私たち自身も注意したいものです。 (取材・文/編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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【ドクターXは知っている】(05) インターネット上で話題の皮膚保湿剤は長期連用で肌の老化を進める

20170608 01
近年、“究極のアンチエイジングクリーム”と女性に持て囃されている医薬品の『ヒルドイド』。「ローションを乳液代わりに顔に塗ると肌がすべすべになる」とか、「軟膏を手足にすり込めば翌朝には罅割れがすっかり治っていた」とか、様々なメリットが報告されています。注目はその価格。薬価は、ヒルドイドローションもヒルドイドソフト軟膏も1gあたり23.7円。皮膚科等で保湿剤として処方してもらえば、保険適用で25g入りが180円(※3割負担の場合)という安さです。「高級化粧品よりも効果がある」と、医師自らが使っているという話もよく耳にします。しかし、『練馬光が丘病院』で傷の治療センター科長を務める夏井睦先生は、「ヒルドイドは決して安全ではない」と問題視しています。夏井先生は論より証拠とばかりに、自身の手に黒い油性マーカーで線を引き、その上からヒルドイドソフト軟膏を塗ってみせました。すると、中々落ちない筈の黒い線が、僅か5秒後、軽く拭き取ると綺麗に消えました。ヒルドイドローションでも同様です。「台所洗剤の原液並みの強力な洗浄力を持っているという証拠。換気扇の油汚れまで落とせてしまう。人体に対しては保湿ではなく、寧ろ猛烈な皮膚乾燥剤として作用するんです」。

ヒルドイド製品の主成分はへパリン類似物質。保湿・血行促進・抗炎症等の作用が知られています。夏井先生は、この成分を問題にしているのではありません。ヒルドイドの洗浄力を齎しているのは別の成分です。「添加されている合成界面活性剤が問題なんです。どんなにいい成分が含まれていても、強い洗浄力を持つ界面活性剤のせいで、皮膚には逆にマイナスになってしまうんです」。界面活性剤と聞いて、はっと思われた人も多いかもしれません。2016年9月、横浜市の『大口病院』で点満を受けた患者2人が中毒死した事件です。何れも、点滴に混入していた界面活性剤が亡くなった原因でした。何故、ヒルドイド製品にこの界面活性剤が添加されているのでしょうか? 水と油のような、そのままでは混ざり合わない物質同士に界面活性剤を加えると、混合して乳化し、均一になるからです。適度な流動性を与え、皮膚に塗る際に滑らかに広がるようになるので、化粧クリーム等を製品化するには非常に便利な添加物だと言えます。「界面活性剤の最も悪い点は、皮膚常在菌を棲めなくしてしまうことです。私たち人間の皮膚上には様々な菌がいて、肌を守ってくれています。ところが、肌が界面活性剤で覆われると、皮膚常在菌が生き続ける為に必要な皮脂が分解されてしまう。その結果、軈て皮膚を健康な状態に保つことができなくなってしまうんです」(夏井先生)。ヒルドイドの効果は界面活性剤によって帳消しになり、長期に亘って連用すれば、肌の老化を進めるというマイナスの結果を齎します。アンチエイジングとは“加齢による衰えを限りなく小さくする”という意味ですが、ヒルドイド製品で肌の若返りを期待しても、却って逆効果になりかねないことを知っておいて下さい。 (取材・文/フリージャーナリスト 田中幾太郎)


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【ここがヘンだよ日本の薬局】(04) 病院前に乱立する薬局…調剤バブル終焉で淘汰の時代へ

大病院の前に軒を連ねている調剤薬局。医薬分業の恩恵を受け、調剤薬局はバブル景気に沸いていた。しかし、今後は閉店に追い込まれる調剤薬局が相次ぐことが予想されている。国の政策で増え続けた薬局は、今後は国の政策で削減されようとしている――。 (取材・文/フリーライター 青木康洋)

20170605 06
2015年4月1日の参議院予算委員会において、安倍晋三首相は「病院の近隣に乱立する調剤薬局の現状に問題意識を持っている」と答弁した。安倍首相が言うように、病院の近くに沢山の薬局が立ち並ぶ風景は、日本中どこでもよく見られる。現在、日本全国に展開する薬局の数は凡そ5万7000軒。その上、薬局以外の医薬品販売業(※ドラッグストアを含む)が2万2000店舗もあり、その市場規模は7兆円に上ると言われている。日本には、コンビニよりも多くの薬局があるのだ。首相の答弁は、こういった乱立する薬局の中で、特に大手調剤薬局チェーンが病院の近隣に矢鱈と店舗を開設して患者を混乱させている現状に、憂慮を示したものだった。しかし何故、このような“門前薬局”が多数出現したのだろうか? 患者の言察と薬の処方を医師が行い、医師の書いた処方箋に基づいて独立した薬剤師が、調剤・薬歴管理・服薬指導を行うことを医薬分業と言う。我が国には元々、医業と薬業とが未分化だった歴史がある。江戸時代の漢方医は“薬師”とも呼ばれ、本草学に基づいた漢方薬を処方するのが主な仕事だった。医者が薬を処方するだけでなく、調剤も行っていたのだ。対して西洋では、歴史的に早い時期から医薬分業が確立していた。これは、「国王等の権力者が医師に毒殺されることを恐れたからだった」と言われている。西洋社会の医薬分業は、12世紀の神聖ローマ皇帝・フリードリヒⅡ世が、病気を診察するか死亡診断書を書く者(医師)と、薬を厳しく管理する者(薬剤師)とを分けたことに由来している。勿論、日本でも、“医”と“薬”を切り離して効率的で適正な薬物療法を進める必要性は、早くから叫ばれていた。しかし、医薬分業以前は、薬を処方することがそのまま医療機関の収入になっていた。『日本医師会』の強硬な反対もあって、我が国では医薬分業が中々進まなかった背景がある。

しかし、流石に医薬分業の必要性は痛感していたようで、1973年に日本医師会は漸く重い腰を上げた。この年に開かれた理事会で、次の2点を決定している。

①技術中心の診療報酬体系への転換。
②再診料を5年以内に100点(1000円)にし、その段階で医薬分業を完全に行う。

こうして、日本医師会が分業容認へと舵を切ったことを受け、厚生省(※現在の厚生労働省)も動き出した。当時は病院内で薬を処方するスタイルが一般的だったのだが、一部の医療機関が薬価差益を出す為に大量に薬を処方する“薬漬け医療”が社会問題化していた。そこで厚生省は、薬価の改定によって差益を引き下げる一方、院外の薬局には調剤報酬を手厚く加算することにしたのだ。1971年に開かれた『中央社会保険医療協議会』は、診療報酬改定で、医師が院外処方箋を発行した際の処方箋料をそれまでの5倍の50点(500円)に、薬局が処方箋を受け取った際の調剤基本料を倍の20点(200円)に引き上げている。利益誘導によって医薬分業を推進させようとしたのである。こうして、“薬剤師100年の悲願”とまで言われていた医薬分業が、法的には実現した。1974年が日本における医薬分業元年と言われる所以だ。患者を診察する医師と、薬を処方する薬剤師の役割が分担されたのは、画期的な出来事だった。医薬分業の実現により、処方される薬がダブルチェックされることによって、医療の安全性が担保されると共に、医療費の抑制が期待された。だが、調剤報酬が引き上げられたことをビジネスチャンスと捉えた多くの企業や個人経営者が参入した。結果、大病院の周りに店舗を構える門前薬局が多数現れたのである。門前薬局は、処方元である医療機関とのコミュニケーションを取り易く、医師の処方傾向を汲み取り易いというメリットがある。処方箋の受け入れという点では極めて効率的だ。しかし、医療機関が発行した処方箋を受託するという業務の性質上、独自サービスやビジネスモデルが見え難い傾向がある。一般に、“ただ薬を出すだけ”が薬剤師の仕事だと捉えられている節がある。業界関係者の中には、「人気のある病院の近くに出店するだけで儲かる。パチンコの景品交換所と同じだ」と言う人もいるほどだ。薬剤師の重要な業務の1つに、“疑義照会”がある。医師から出された処方箋に疑問を感じた場合、薬剤師がその医師に問い合わせて確認することだ。だが、東京理科大学薬学部が2013年に実施した調査によれば、同年に疑義照会が行われた件数は僅か2.75%に過ぎなかった。薬剤師は医師と比べて、弱い立場に立たされることが少なくない。

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【不養生のススメ】(02) 医療麻薬は悪ではない

20170531 18
読者から悲痛な声が届いた。「わたしは慢性疼痛で医療用麻薬を2年程飲んでいました。一般に言われる悪い副作用は殆ど出ず、それにより痛みは改善していましたが、医者の話によると審査が厳しくなって突然処方が打ち切られました。何とか他の小さな病院や緩和ケアのところを探して薬を出してもらっていたのですが、そこでも“がんの患者にしか出せない”と遂に貰えなくなりました。役所も病院も保険団体も、どこで治療を続けられるか、教えてくれません。薬を貰えず、また医者が適切な説明をしてくれず、行き場を失い苦しんでいる患者が沢山いることを知ってください」。海外から見ると、この状況はとても理解し難い。日本では、世界に誇る国民皆保険制度の下で、必要な医療が平等に受けられる筈だ。それに、日本の医薬品市場は、アメリカに続き世界第2位である。高齢化社会に伴い、慢性疾患や癌患者の増加の為、医療用麻薬の消費量が多くても全く不思議ではない。ところが実際、日本の医療用麻薬の消費量は極端に少ない。『世界保健機関(WHO)』の協力センターであるウィスコンシン大学の『痛みと政策研究グループ(PPSG)』は、医療用麻薬によって、世界中の痛みで苦しむ人々の生活の質を向上させる為の研究施設だ。PPSGは、『国際麻薬統制委員会(INCB)』の情報を元に、世界の医療用麻薬の消費量を調査している。PPSGのデータによると、伝統的な医療用麻薬であるモルヒネの2014年の1人当たりの年間平均消費量は、日本は世界133か国の内、47位のヨルダン、48位のスロバキア、49位のバーレーン王国に続き50位である(※右表)。世界の平均消費量は6.24㎎で、日本は平均1.68㎎。しかも、日本のモルヒネの消費量は、2001年をピークに減っている。

一方、モルヒネの消費量の上位には、欧米の先進諸国が名を連ねている。勿論、それには理由がある。先ず、原因が何であろうと、堪え難い痛みは睡眠障害・抑鬱・不安・体の動きの制限等を齎し、自立性を失い、生活の質が悪化することは、これまで散々医学研究で報告されている。今では、“痛み”はそれ自体が病気として認識されている。同時に、痛みの管理は、医学界の議論に留まらず、WHO・『国際連合』やその他の国際機関を通じて、“基本的な人権”という概念にまで発展した。2010年にモントリオールで開催された『国際疼痛学会(IASP)』では、痛みの管理を求める権利として、次の3つの要素を含む声明が発表された。「誰もが差別なく、痛みに対する治療を受ける権利」「痛みのある人は、痛みを認めてもらう。そして、痛みの評価と管理の方法について知る権利」「痛みのある誰もが、訓練された医療従事者の適切な評価と治療を受ける権利」。冒頭の読者は、「慢性疼痛という理由で差別を受け、痛みを認めてもらえず、評価も治療も受けられなかった」。つまり、人権が全く無視されたことになる。それにしても何故、慢性疼痛の医療用麻薬の処方が打ち切られてしまったのだろう? 関西の緩和ケア専門医に聞くと、「学会や厚生労働省は、慢性疼痛の啓発や緩和ケアの推進をしている。この観点からは矛盾していると常々考えるが、処方の打ち切りは、慢性疼痛への医療用麻薬の保険査定(※治療や薬を認めない等診療内容を否定するもの)のせいだ。責任の所在は怠慢な学会と厚労省」と批判する。東京都内の緩和ケア専門医は、「厚労省が差別している。癌の痛みと比べて、慢性疼痛への医療用麻薬の適応は限られていて、処方したくても処方できない。緩和ケア病棟も、癌やAIDS患者しか入院できない。何故かという合理的な理由は無いと思う。非癌の緩和は、漸く心不全が加わりつつあるくらいだ」と嘆く。このように、専門医ですら慢性疼痛への医療用麻薬の処方に苦労している現状。況してや、一般の医師は更に処方が難しい。日本では、医療用麻薬を処方する医師は“麻薬施用者免許”の取得が必要だ。更に、使用量を逐一記録・管理するのは麻薬管理者の仕事で、これも免許が必要である。一般的なクリニックでも、都道府県知事に申請すれば麻薬施用者免許の取得は可能であるが、手続きが大変過ぎて、クリニックで働く多くの医師は医療用麻薬を処方していない。一方のアメリカでは、医師ならば一般的なクリニックでも医療用麻薬は処方できる。都内の内科医は、「クリニックでは、少なくとも僕は処方していないし、処方している他の医師を見たことがない。厚労省が非協力的なのは、使われない場合は彼らに責任は無いが、使って問題が起こった場合に責任を取る必要があるからだ」と言う。INCBは、医療用麻薬の疼痛ケアの障壁の1つに、過度に厳しい規制を挙げている。

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【ドクターXは知っている】(04) 傷や火傷に消毒薬は“毒”…市販の傷を乾かすスプレーも却って治りを遅くする

20170530 07
幼い頃、ちょっとした怪我をして、母親に赤チン(マーキュロクロム液)を塗ってもらった経験は、誰にでもある筈です。他にも、ヨーチン(ヨードチンキ)・イソジン(ポピドンヨード)・クロルへキシジン等、様々な消毒薬が私たちの身の周りにあります。また、傷に使われる軟膏・ヨード(沃素)の嗽薬・歯磨き粉・洗口剤の多くにも、こうした成分が入っています。これらは私たちの日常生活に欠かせないアイテムになっていますが、「消毒薬は毒である」と警鐘を鳴らす医師がいます。『練馬光が丘病院』で傷の治療センター科長を務める夏井睦先生です。「消毒薬の殺菌力は、細菌にだけ効果があるのではありません。人間の細胞まで殺してしまうのが消毒薬なんです」。何故、そうしたことが起こるのか、理由を説明するには、消毒薬が細菌を殺すメカニズムを知る必要があります。消毒薬は、細菌の蛋白質を破壊することによって細菌を殺します。化学作用や物理作用によって細胞膜の蛋白質を変性させ、細菌の生命維持をできなくさせてしまう訳です。しかし、このメカニズムには弱点があります。消毒薬は、細菌の蛋白質だけでなく、人間の細胞膜に含まれる蛋白質まで攻撃してしまうからです。

「皆さん、傷口に消毒薬を塗った時に、相当な痛みを感じた経験があると思います。消毒薬が傷口の細胞膜タンパクを破壊する為に痛みが起こるんです。実は、消毒薬にとっては、細菌の細胞膜蛋白よりも、人間の細胞膜蛋白のほうが攻撃し易い。消毒薬が細菌の細胞膜に到達するには細胞壁を通らなければなりませんが、人間の細胞には細胞壁が無く、ダイレクトに攻撃を受けてしまうからです」(夏井先生)。消毒薬の問題はわかりましたが、傷をそのまま放っておいてもいいのでしょうか? 私たちは子供の頃から、「消毒しないと黴菌が入りこんで化膿してしまう」と教えられてきました。「確かに、細菌がいなければ化膿はしませんが、それは十分条件ではなく、必要条件の1つに過ぎません。細菌だけで創感染(※傷口に細菌が付いて化濃すること)を引き起こすには、とてつもない数の細菌が必要なんです。実際には、細菌に異物や壊死組織が加わることによって創感染する。消毒薬で細菌を殺す意味は殆どないんです。抑々、消毒薬を使ったからといって、細菌を全て撃退できる訳ではありません。傷口を消毒しても、細菌は生き残って、我々の細胞だけを殺してしまうことになりかねないんです」(同)。だとすると、私たちは何故、「傷ができた時に消毒薬を使って細菌を除かなければならない」と考えるようになったのでしょうか? 夏井先生は、19世紀に活躍したフランスの細菌学者、ルイ・パスツールの名前を挙げます。「『細菌が全ての病気の原因である』と考えていたパスツールは、『感染を防ぐには消毒で細菌を殺すことが一番大事だ』と主張した。不幸にも、医学界では今もその時代の考え方が生きているんです」。常識に囚われてはならないと言えそうですが、消毒薬を使わないとしたら、私たちは傷口にどういう手当をしたらいいのでしょうか? 「先ずは水道水で洗うこと。これだけでも細菌はかなり減り、創感染を防ぐことに繋がります。そして乾かさないこと。市販のハイドロコロイド素材の絆創膏を貼るか、ワセリンを塗って食品用ラップで患部を覆う等して、湿潤状態を保って下さい。怪我や火傷の傷は消毒せず、乾燥させなければ痛まず、早く、しかも綺麗に治ります」と夏井先生はアドバイス。「消毒薬を安易に使うことは無駄なばかりではなく、危険でもある」と頭に入れておきたいものです。 (取材・文/フリージャーナリスト 田中幾太郎)


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【ここがヘンだよ日本の薬局】(03) 誰にとってもメリット無し? かかりつけ薬剤師制度の正体

2016年から始まった“かかりつけ薬剤師制度”。国は制度の拡大を急いでいるが、現場からの声は冷ややかだ。24時間対応が求められるので、薬局のブラック化や薬剤師不足が懸念される。そして、利用する患者側は調剤薬局を1つしか選ぶことができず、不便極まりない制度であることも明らかとなってきている。 (取材・文/フリーライター 永井孝彦)

2016年4月から調剤報酬が改定され、かかりつけ薬剤師制度がスタートした。かかりつけ薬剤師とは、読んで字の如くで、かかりつけ医の薬剤師版。自分が服用している薬全般を把握してくれて、何かあった場合には24時間対応で相談に乗ってくれる。そんな薬剤師が、自分にとってのかかりつけ薬剤師となるのだ。かかりつけ薬剤師にサービスを受けると、“かかりつけ薬剤師指導料”として70点(700円)の負担となる。但し、旧来のサービスを受けても“薬剤服用歴管理指導料”として38点、或いは50点がかかるので、実質的な追加負担は20~32点(200円~320円)。医療保険が3割負担であれば、自己負担は凡そ60~100円ということになる。薬剤師にとっては増えた点数分、即ち患者1人につき200~320円が新たな収益となる訳だが、薬剤師なら誰でもかかりつけ薬剤師を名乗れるものではない。かかりつけ薬剤師となるには、以下のような条件を満たす必要がある。

①薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、1つの薬局に週32時間以上勤務していると共に、その薬局に半年以上在籍していること。
②『薬剤師認定制度認証機構』が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること(※3年毎に更新が必要)。
③医療に係る地域活動(※地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会・研修会等)の取り組みに参画していること。

処方箋に書かれた薬を調剤するだけではダメで、薬剤師として、より能動的な姿勢が求められている訳だ。患者はかかりつけ薬剤師を1人しか選ぶことができない。その結果、患者の処方箋は一元管理されることとなり、複数の医療機関での重複処方や、禁忌の組み合わせによる処方等を防止できると見込まれている。残薬問題も改善することだろう。当事者である薬剤師の中にも戸惑いを隠せない者がいるかかりつけ薬剤師制度は、何故導入されたのか。結論に至る前に、制度導入に関連する周辺事情を見てみよう。注目すべきは、規模の大きい病院の門前を舞台にした大手薬局チェーンの出店ラッシュだ。全国どこでも見られる光景だが、大病院の前には門前薬局が列をなしている。その多くは大手薬局チェーンの店舗だ。大病院が院内処方を院外処方に変える、或いは病院自体を移転するといった情報が流れると、周辺の土地やテナントは大手薬局チェーンによる争奪戦となり、価格が急上昇。中小の薬局では手が出せない相場となる為、地元密着型で住民に長く信頼を得ているような薬局でも、思うようには門前に出店できないのが現状だ。それは、大手スーパーマーケットやショッピングセンターが地方都市に進出し、旧来の地元商店街がなす術もなく廃れていく図式に似ている。

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不動産価格が高くても資本力で門前に進出するのは、大病院の処方を扱うことにそれだけの旨みがあるからだ。更地に病院が建設される際等は、敷地のどこに外来患者の出入り口が設けられるかを、建設会社等を通じて聞き出そうとすることもあるという。2013年には、兵庫県小野市に県内6位の規模で設立された『北播磨総合医療センター』を巡る薬局出店に関し、常識的には考えられない高額の落札が話題となった。薬局チェーン最大手の1つである『日本調剤』が、78坪の敷地を1㎡あたり約163万円となる4億2000万円で落札したのだ。同医療センターは山間部の造成地にあり、土地そのものが高いということはない。にも拘わらず、小野市の平均呼単価約13万円の40倍以上もの価格で落札したということは、門前薬局が如何に高収益であるかを示している。門前薬局については、進出に際してのトラブルも報じられている。2015年、神奈川県相模原市にある病床数162の中核病院・Tの門前に、茨城県を拠点とする薬局チェーン・Xが出店しようとした。同病院の近くには、病院設立の5年後に開業した地元密着型の薬局・Zがあるが、Xが出店計画を進めたのは、Zよりも外来患者の出入り口に近い場所だ。そのこと自体に問題はないのだが、「病院への根回しも無い強引な進出の裏には、Zへの入札競争に失敗した医療用薬品卸・Y(※Xと業務関係がある)の存在があるのではないか?」と噂されるようになった。不信感を抱いた病院は「院外処方を院内処方に戻す」と宣言し、Xの進出は頓挫している。診療を済ませたら薬局で一息吐くという患者も多いだろうが、時として病院の門前は殺伐とした争いの場となるのだ。「門前薬局を展開する大手チェーンの高収益は是正すべきだ」という声も多い。『日本医師会』は、報酬が7億円を超える日本調剤の三津原博社長を名指しで問題視した。三津原氏は、医療従事者の転職支援や、人材派遣等を業務とする『メディカルリソース』や後発医薬品メーカー『日本ジェネリック』の社長でもあり、億単位の年収があっても不思議ではない。しかし、「医療の頂点にある」と自負する医師としては、三津原氏の桁違いの収入が納得できないのだろう。大手薬局チェーンを代表する存在として、三津原氏への風当たりは強い。

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【ドクターXは知っている】(03) 鎮痛剤で注意すべきは副作用だけではない!

20170524 12
頭痛等の痛みを和らげてくれる鎮痛剤。ドラッグストアで購入できるものもあり、私たちは深く考えずに使いがちです。しかし、総合内科専門医の大竹真一郎先生は、鎮痛剤が抱える様々な問題を指摘します。「鎮痛剤のメリットは痛みを抑えるだけで、根本的な治療にはなりません。痛いとか苦しいというのは、体が発するアラームのサインですが、鎮痛剤はそのアラームを切ってしまう薬です。鎮痛剤によって、見逃してはいけないアラームを切ってしまう恐れもあります。鎮痛剤を使っても問題ないのは、ある程度症状の診断がついて、根本的に治すのが難しく、怖い病気でもないということが確認できた場合に限ります。例えば、急性腰痛症(ギックリ腰)等ですね」。鎮痛剤の中でも代表的なロキソニンは、ボルタレン等と共に非ステロイド性抗炎症薬に分類されるものです。痛みを強く抑える効果がある一方、副作用の心配もあり、市販薬は薬剤師しか販売できない第1類医薬品に指定されています。とはいえ、「ロキソニンを薬局で買えることには怖さを感じる」と大竹先生は言います。「ロキソニン等の非ステロイド性抗炎症薬は、痛み・炎症・発熱を起こすプロスタグランジンという物質の合成を阻害することで、鎮痛・消炎・解熱をしています。しかし、この物質は胃粘膜の保護や腎機能維持といった役目も果たしている為、副作用で胃潰瘍・胃炎・腎不全を起こす恐れがあるのです」。

ロキソニンの副作用対策として、整形外科等ではよく一緒にムコスタという胃薬が処方されますが、残念ながら効果は殆ど無いと言います。「ムコスタを朝昼晩と飲んでいる状態でロキソニンを服用した場合に、多少胃潰瘍が予防できる程度。一緒に飲むやり方は、治療ガイドラインでも勧めていません。他にも、非ステロイド性抗炎症薬は、抗生物質との組み合わせで痙攣を助長する場合があり、薬の飲み合わせに注意が必要です」(同)。また、鎮痛剤は解熱目的でも使われますが、インフルエンザでの使用は特に薬を選ぶ必要があります。「過去に、インフルエンザで非ステロイド性抗炎症薬を使用した子供が、ライ症候群やインフルエンザ脳症になってしまった症例があります。現在は、インフルエンザでは非ステロイド性抗炎症薬ではなく、比較的安全とされるアセトアミノフェンが配合されたものを使用するようになっています。ただ、これもあくまでデメリットが少ないというだけです。抑々、インフルエンザは熱を下げる必要がないですから」(同)。鎮痛剤に頼り過ぎることで起こるデメリットとして、痛みが余計に酷くなる場合もあるそうです。頭痛には緊張性頭痛や偏頭痛がありますが、これらを抑えようと薬に依存することで起こるのが“薬物乱用頭痛”です。「緊張性頭痛には非ステロイド性抗炎症薬、偏頭痛にはトリプタン製剤がよく使われますが、これらを日常的に服用していると、体が痛みに対して過敏に反応するようになる恐れがあります。痛みは体からのアラームで、鎮痛剤はそれを切るものです。飲み続けているうちに、体はもっと早くアラームを出すようになります。痛みのスイッチが入り易くなるんです」(同)。痛みを無くそうとすればするほど、痛みに敏感になってしまう…。そんな悪循環に陥らないよう、気を付ける必要がありますね。使い方によっては、メリットに対して割に合わない大きなデメリットを引き起こす恐れもある鎮痛剤。頼り過ぎることなく、慎重を期して使用しましょう。 (取材・文/編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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