【ここがヘンだよ日本の歯科医】(02) 詰め物・かぶせ物の相場価格を見極めよう

20171016 04
虫歯の治療を受ける時というのは、ただ歯科医に言われるがまま詰めたり被せたりという処置をされ、やはり言われるがまま伝えられた金額を払う人が大半だろう。だが、待ってほしい。治療にかかる技術料であるなら兎も角、被せ物や詰め物というのは物品であるから、相応の価格というのがある筈だ。時には金にするか銀にするか、或いはセラミックにするか、医師から複数の選択肢を提示されることもあるだろう。そこで具体的な金額を明示するようなら、その医師は良心的な部類。中には、あからさまに高い素材を選ばせようとする医師もいると聞く。歯の健康の為にそれがベストと言われれば、素人である患者に抗う術は無いのが実情だ。果たして、今、自分の歯を覆っている素材は、治療の見地からベストなものだったのか? そうした疑問を解消する為には、やはり被せ物・詰め物の価格の目安を知っておきたい。今回取材を受けてくれたのは、40代の男性歯科医師。歯学部学生時代には複数のクリニックでアルバイトを経験し、卒業後は勤務医としてキャリアを積んだ後、昨春からは東京都内にある実家のクリニックで父親と共に診察にあたっている経験豊富な歯科医師だ。「被せ物や詰め物を使った治療の価格は、クリニックやそこに勤める歯科医師がある程度自由に設定しています。ただ、使用する素材やその原産地、納品形態な等によって原価にも幅があり、更にどのくらいの技術料や利益、その他を上乗せするかによって、請求額にかなりの価格差を生んでしまいます」。

治療において被せ物や詰め物をした時に請求される費用は、大きく分けて2つの要素で構成されているということらしい。ここでは仮に、一方を“原価”、もう一方を“治療費”とする。原価と呼ばれる費用は、治療にあたるクリニックが事前に(※或いは事後に)業者に支払う金額だ。歯科技工所と呼ばれることが多いそうで、大小様々な業者が存在しているという。クリニックによって1つの業者と懇意にしていることもあれば、ケースバイケースで複数の業者と付き合っているクリニックもあるらしい。「私の体感としては、それなりの素材を使って、仕上がりのいい製品を求めると、やはり相応の原価がかかります。また、金属類については、その物質毎の相場が常に変動している為、医師が絶対価格を把握することは難しいのです。製品の良し悪しは、治療の質や経年変化として違いが出てきます。私たちとしても、できるだけ良いものを使いたいのですが、そこは患者さんの立場に合わせたコスパ的な審美眼も持ち合わせなくてはなりません」。何でもかんでも最高級品を選ぶべきというのではなく、その時に必要なレベルの製品を見極める技術もまた、歯科医の腕前という訳だ。「逆に、原価を最少限まで抑えようと思えば、かなり安価な製品を入手することも可能です。同じ製品でも中国産の粗悪なものを使ったり、必要な分より小さいものを用意したり…等といったやり口で儲けを増やそうとする医師も、少なからず存在します」。また、治療費にあたる費用としては、一般診療と同様、保険治療・自費治療の違いや、治療にあたる医師の技術科、クリニックの立地に応じた土地代や人件費等が加算されているという。「被せ物や詰め物を含む治療について、私たち歯科医師は特別な利益を得ようとは思わないものです。これも個人的な感覚ですが、多くのクリニックで6~7割の原価代がかかっていると思います。そして、その原価には業者の利益も含まれている。クリニックばかりが多くの利益を得ているかというと、それは通常考え難いものなのです」。一般的な物流と同様、下請け業者が介入することで末端価格が大きくなってしまうという側面があるようだ。「ただ、やはりどんな業界にも相場よりかなり多い請求をする、所謂ぼったくり営業をしているところはあります。そういうクリニックに過度な高額請求をされない為にも、概算でいいので見積もりを貰うようにすることが大切です。一般的な相場よりも高額だった場合は、どういう理由で上乗せされているのか、具体的な説明を求めましょう」。医師曰く、過度に立地の良いクリニックや、患者数を取り過ぎない為に治療費を高額設定にしているセレブクリニックな等、ぼったくり以外の理由で平均より高値を付ける場合もあるそうだ。何事にも絶対は無い。治療後に高額請求をされてトラブルになる前に、自分の身を守る為には、あらゆる選択肢を持つことが重要なのだ。 (取材・文/フリーライター兼編集者 宇佐美彩乃)


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【ドクターXは知っている】(15) 高齢期によく使われる薬には殆ど効かない“トンデモ薬”が多い!

20171006 03
高齢化社会が進み、高齢者に的を絞った新薬が続々と登場しています。それらの薬は、医療現場で役立っているのでしょうか? 内科医の長尾和宏先生は、高齢者に広く処方されている薬の内の1つである過活動膀胱改善薬の効果に疑問を呈します。「高齢者ホームを訪問すると、夜、トイレに何度か起きない人はいません。過活動膀胱改善薬は大々的に宣伝されていますから、皆さん、効果を期待します。それで処方したとしても、結果的には喜ばれないんです。平均5回おしっこに行っていたのが4回に減る程度で、改善したとは実感できないでしょう」。過活動膀胱改善薬は、人の生死には関係のない、QOLを高める薬です。患者の継続使用が見込める分野から、製薬会社は今後、様々な種類のQOL薬の開発を進めていくことでしょう。しかし、「新しい分野の薬だからといって、行き過ぎた宣伝をしては、患者に過剰な期待を抱かせる結果になるのです」と長尾先生は問題視します。「昔から、誰だって年を取ればトイレが近くなっていました。夜間頻尿は自然な老化現象なのです。今は長寿になったから、益々トイレの回数は増えています。そのことに過活動膀胱という病名を付けて、『いいお薬がありますよ』と宣伝する。患者さんは過大な期待を持ってしまうから、期待通りでなかった時の落胆も大きい。費用対効果が悪いので、こんな薬はいらないと思います」。

『日本骨粗鬆症学会』の設立が1999年であるように、骨粗鬆症も比較的近年、話題になることが多くなった疾患です。精神科医で高齢者医療にも長く携わった和田秀樹先生は、8タイプに大別できる骨粗鬆症薬の中でも、活性化ビタミンD製剤について「問題の大きい薬である」と考えています。「ビタミンD3は体内で合成できるのに、ビタミン剤の感覚で安易に処方される薬の典型です。確かに骨量は増やすのですが、骨折を減らすというエビテンスは殆どありません。高齢者の場合は副作用で胃腸障害になることが多く、食欲が低下することで逆に骨が弱くなるという“トンデモ薬”になり易い。ところが、日本老年医学会は元のボスに気を遣って、“高齢者に危険な薬”のリスト(※右上表)の中に、これらの骨粗鬆症薬は一切入れていません。学界政治の為に今後も使われ続けるであろう怖い薬と言えます」。神経内科医の米山公啓先生も、「骨粗鬆症薬には安心して使うことのできない薬が多い」と警告を発します。「骨粗鬆症薬は、高齢者での信頼できるデータが無い上に、副作用が多いことも問題です。ビスホスホネート製剤と、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤は、顎の骨の壊死が報告されています。エストロゲン製剤についても、心筋梗塞や脳卒中の危険性が増すというデータがありますから、メリットよりもデメリットのほうが大きい薬と言えるでしょう」。米山先生は、高齢者がふわふわするような浮動性目眩感を訴える場合に処方される抗目眩薬(※内耳循環改善薬)についても、「メリットが少ない」との見解です。「主に、脳や内耳の血流を増やすことにより、血液の循環を改善して目眩を抑える薬ですが、効果に対する実証データがありません。中には『効果がある』と言う患者さんもいますが、薬理作用で治っているとは考え難い。プラセボとしての効果はあるのかもしれませんが…」。得られる効果に過度な期待はかけられない薬や危険な薬が多数、処方されている。それが高齢者向けの薬の現状のようです。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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【薬のホント・健康食品のウソ】(09) 怪しさに満ちたサプリの正体…知られざるビジネスのカラクリ

医薬品と違い、規制が緩いサプリメント。それ故に、参入企業や商品の質は様々だ。不正が横行するサプリ業界の怪しい実態と、正しい商品の選び方を探った。

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“たった1粒で1000㎎のビタミンCが取れる、ローズヒップ生まれの100%天然サプリメント”――。このような謳い文句で、全国の有名百貨店等で販売されているサプリメントがある。ローズヒップはビタミンCが豊富な食材として名が通っているので、恐らく表示を疑う人は殆どいないだろう。しかし、このサプリは虚偽表示である可能性が極めて高い。サプリ業界の驚きの実態を暴いた『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)等の著者であり、医療機関専用サプリの専門メーカーである『ヘルシーパス』の田村忠司社長は、「表示を見れば、実現不可能なことが簡単にわかる」と言う。どういうことか? 「抑々、ローズヒップに含まれているビタミンCの割合は1%未満。従って、1000㎎、つまり1gのビタミンCを摂るなら、単純計算すると100倍の100gを超えるローズヒップが必要になる筈。商品にするには膨大な量のローズヒップが必要で、実際には不可能。従って、原料を100%天然と謳っているこの商品は、ビタミンCの含有量が虚偽なのか、若しくは合成ビタミンCを使っているかのどちらかだ。いずれにせよ、虚偽表示である可能性が極めて高いということだ」(同)。大手百貨店で売られるサプリですら、このような虚偽表示が罷り通っているのが現実。その他の販売店やインターネット通販では、数多くの疑わしい商品が販売されている。実際、今年3月に東京都が発表した『平成28年度健康食品試買調査』によれば、健康食品販売店で販売された商品45品目中17品目、インターネット通販で販売された80品目中67品目で、不適正な表示・広告が見られた。

サプリメーカーといっても、その企業の質はピンからキリまで様々だ。田村氏によれば、「医薬品レベルの管理基準で製造している工場は、全体の3%程度に過ぎない」というのが実態で、更に「しっかりとした品質の商品を作っているメーカーは、恐らく全国で10社に満たない。どのような原料をどれぐらい配合するか等の商品設計をわかっている人は、あまり多くおらず、それどころか、専門家が殆どいないメーカーも少なからずある」という。そうした悪質な企業の中には、碌に原材料コストを掛けないところもあるのだろうが、一般的なコスト構造は右上図の通りだ。商品価格1000円のサプリを例に、コストの主な内訳を本誌で推計した。先ずは、原材料を仕入れて商品に加工し、それをサプリメーカーが卸を通じて小売店に販売し、消費者の手に渡る。原材料費・加工賃・パッケージデザイン費を合わせても、凡そ1割程度。また、広告宣伝費や販売促進費も1割程度とみられる。とはいえ、知名度の低い商品やメーカーが売り出しに注力する商品の場合は、5割以上のケースもあるようだ。特に、消費者にアピールする上で影響力が大きいのがテレビ通販だが、そのコストは半端ではない。あるケースでは、テレビ通販で販売した売上高の内、テレビ局への支払いが6割、更に番組を企画した制作会社への支払いが2割だった。メーカーの取り分は僅か2割。更に、視聴者からの注文に品切れを起こさないよう大量に商品を作る為、メーカーは売れ残りリスクも抱える。こうした条件がある場合、商品価格が1万円でも、掛けられる原材料費は数百円程度とみられる。サプリは玉石混交。果たして、信頼できる商品をどう見つけ、どう使うべきなのか? 田村氏は、サプリの賢い選び方として5つを挙げる(※左下図)。先ず1つ目は、サプリを飲む目的をしっかりと把握することだ。健康に不安を抱える人の多くが先ず選ぶべきは、食生活で不足しがちなビタミンやミネラル等の必須栄養素。その為、特定の症状の改善が期待できるといって、華々しい広告宣伝等を行うサプリメーカーも多いが、「医薬品を使うほうが遥かに確実、且つ安価なケースが多い」(同)為、十分に見極めが必要だ。2つ目は、購入前にパッケージをじっくりと見ることだ。見るべきポイントは5つある。①原材料は何か?②サプリに含まれている栄養素・成分の配合量はどれくらいか?③栄養素が天然原料由来か、化学合成か?④どのような添加物が使用されているか?⑤それらがどのくらい使用されているか?

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【ここがヘンだよ日本の歯科医】(01) 「今の制度で真面な治療を行っていたら歯科医はどこも潰れてしまう」――長尾周格氏(歯学博士)インタビュー

『歯医者の99%は手抜きをする』(竹書房)――。そんな過激、且つ率直なタイトルの書籍を著した現役歯科医がいる。『稲毛エルム歯科クリニック』(千葉市稲毛区)の長尾周格院長だ。「3年前に保険診療を辞めたことで、変な患者が来なくなりました。おかげで毎日、ストレス無く仕事ができるので幸せですよ」。歯科医における保険診療の弊害とは何か? 長尾氏が保険診療を続ける道を断念した理由とは何か? その背景にあるのは、現状の歯科医療が抱える大問題そのものだった。 (聞き手/フリーライター兼編集者 友清哲)

20171002 04
――先ず、長尾先生が保険診療を辞めたのは、どのような経緯でしょうか?
「この稲毛エルム歯科クリニックを開設したのが2008年で、当時は普通に保険診療をやっていたんです。保険診療を行う為には、各地の厚生局に保険医療機関登録をする必要があるのですが、これを更新せずに辞めたのが2014年末のこと。つまり、今の体制でやるようになって3年目ということになります。この保険医療機関登録の審査というのは、基本的に歯科医師免許を持っていれば先ず落とされることのないものです。ただ、実態を言えば、厚生労働省としてはあくまで保険診療を“やらせてやっている”という立場なのが実情なんです。『そんなにやりたいなら登録して請求してくれていいぞ』と。実は、ここが1つのポイントで、彼らとしては、歯科医師の側が制度上の不備や診療報酬に対する不満を漏らそうものなら、『嫌なら辞めてくれて結構』という態度が取れる。僕はそこで、『じゃあ辞めます』と言った訳です。そんなことを言う歯科医は先ずいませんから、向こうもびっくりして、『えぇと…ご病気か何かでクリニックを閉めるんですか?』とあたふたしていましたけど(笑)」

――保険診療を辞めた結果、どのような患者が来院されるようになりましたか?
「元々、メディア等を通して僕のことを知っている人が中心です。県内の患者は2割程度で、東京都内や関東近県の人が殆ど。中には北海道や沖縄から態々来られる人もいます。こういう立地ですから、偶に間違えて入って来る人もいますが、保険診療をやっていない旨を伝えると直ぐに出て行ってしまいますね」

――そして現在は、予防歯科専門に。
「そう、虫歯にならないように指導する為のクリニックです。しかし現実的には、全く虫歯の無い状態で予防に来る人は100人に1人程度。特に3冊目の著書(※歯医者の99%は手抜きをする)を出版してからは、治療希望の患者が増えましたね。但し、『うちの予防法や考え方を受け入れられる人しか診ませんよ』と明言しているんです。具体的には、うちが用意した精密検査を受けた上で、食事内容まで全て改善できる人。うちの食事指導は、果物も含めて甘いものを一切口にしてはいけない、かなり厳しめの内容なので、“日本一治療を受けるのが難しいクリニック”を自称しているんです。その為、来院された人の中で、実際に治療に繋がるのは半数ほどです」

――そうなると、クリニックの経営に差し支えるようなことはないのでしょうか?
「確かに、保険診療を辞めてから患者数は激減しています。治療にかかる料金についてはホームページに明記していますが、やはり患者の負担は大きく、全ての治療を終えるまでの平均額は、凡そ100~150万円といったところ。見積もりを見て断念する人も少なくありません。それでも、保険診療時代と比べて稼げなくなったかというと、意外とそうでもないんです。勿論、僕より儲けている歯科医は大勢いますが、諸けるだけが正義ではないですからね。僕自身、保険診療を否定するつもりはなく、色んな歯科医がいて、 色んな考え方や方針があっていいと思っています。うちもその選択肢の1つに過きません。大切なのは、保険診療がどういうものかを、しっかりと理解しておくことではないでしょうか」

――保険診療を理解する。これは具体的にはどういう意味でしょうか?
「保険によって何が行われていて、世間で保険診療の何が問題視されているのか――。そういった背景を、それなりに理解した上で通院するのであれば、それは本人の自己責任なので構いません。問題は、その実態を知らないまま治療されている人が、あまりにも多いことでしょう。人間は楽観的なので、わからないことは良いほうに解釈してしまいがちです。只でさえ日本人は日本人を無条件に信用する傾向がありますから、商品でもサービスでも『メイドインジャパンであれば安心だ』と思い込んでいますよね。歯科治療も同様で、『日本の大学を出て、日本の行政が与えた免許を持っている歯科医師であれば大丈夫だ』と考える人が多く、本当に適切な治療が行われたのか等、調べもしません。でも僕自身、保険診療時代はぼったくりと言われても仕方のないことをやっていました。そうした自分の過去の経験も含めて、“保険診療に救いは無い”という結論に至ったんです」

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【不養生のススメ】(06) 患者が望まぬ“胃ろう”の悲劇

20170929 05
先日、日本の看護師に、誤嚥性肺炎で入院中の独居の80代認知症患者の悲惨なケースを相談された。患者は、認知機能と嚥下機能の低下によって、口から食べることが困難だった。会話すら難しく、“胃瘻”とは何かもわからなかった。ところが、突然見舞いに来た内縁の妻の「治療をして生きていてほしい」という希望で、医師は胃瘻を開始した。患者はチューブを引き抜かないように拘束され、つなぎ服を着せられた。拘束すると、拘束するバンドから抜け出そうと体を動かし、皮膚が擦れて床ずれができた。患者は直ぐに寝たきりとなった。看護師は、「この一連の流れは本人が望んでいるのだろうか? 意思確認ができない状態で、無理に胃瘻を始めて管理することは、一体誰の為なのだろうか?」と悩んでいる。実は、アメリカでも認知症患者に胃瘻をすべきかどうかの議論が盛んだ。抑々、胃瘻とは人工的に皮膚と胃の間に穴を開けてチューブを通す処置である。1979年に、アメリカで開腹せずに内視鏡を用いて胃瘻を造る手技が開発された。胃瘻を比較的安全で容易に造ることが可能となった。認知症になると食べ物の味や香りがわからなくなる為、食への関心を失ったり、空腹を感じなくなったり、食べ物を飲み込み難くなるな等の摂食問題が頻繁に起こる。ハーバード大学医学部のスーザン・ミッチェル教授らによる2009年の『ニューイングランドジャーナルオブメディシン(NEJM)』の報告によると、22の医療介護施設(※ナーシングホーム=NH)にいる323人の重度の認知症患者を調査したところ、86%が摂食障害を起こしていた。つまり、認知症が進行すると、誰もが摂食障害に陥る可能性があるのだ。

これらの摂食障害は、栄養不足による体重減少や脱水等の問題を引き起こす。そこで、摂食障害のある認知症患者にも、栄養投与の為に胃瘻が利用されるようになった。ところが、最近の研究で、認知症患者に胃瘻をしても延命効果が無いことが示された。例えば、2012年のブラウン大学の研究者らの報告によると、全米のNHにいる約3万6000人の対象者の内、5.4%が摂食障害の発症後1年以内に胃瘻を導入した。結果、胃瘻の導入もそのタイミングも延命に効果は無かった。それどころか、胃瘻は認知症患者に害を及ぼすことが報告されている。胃瘻の主な合併症は、栄養剤の漏れ、嘔吐や下痢と皮膚の炎症等がある。重度の認知症患者は、合併症による苦痛を上手く伝えられないことが多い。その為、患者の負担になる治療が行われる一方で、痛みの軽減は不十分であり、混乱や不安等の症状が悪化することがある。「認知症は心の病気であって、体の機能はそのまま保たれている」と誤解されがちだ。重度の認知症の平均寿命は、進行癌の患者の平均寿命と似ている。前述のミッチェル教授らのNEJMの報告によると、重度の認知症患者では、摂食障害以外に肺炎や発熱発作が頻繁に起こり、6ヵ月以内に死亡するリスクが高い。18ヵ月の観察期間に、重度の認知症患者の半数以上が死亡した。何故、それでも胃瘻をするのだろうか? 理由の1つは、家族が愛する人の飢餓による死を受け止めることを恐れる為だ。アメリカ人の家族も日本人の家族も同じである。但し、ミッチェル教授らのNEJMの報告では、認知症の経過や予後がわかっている代理人を記した事前指示書を持つ患者は、苦痛な治療は受けなかった。代理人の多くは家族である。やはり、患者は判断力がある内に、認知症を理解している家族に自分の意思を示すことが重要なのだ。最近、多くのアメリカ人高齢者は、事前指示書に胃瘻による人工栄養の有無等延命治療の希望を示している。『疾病予防管理センター(CDC)』が発表した『国立衛生統計センター(NCHS)』による高齢者対象の調査では、在宅ケア患者の28%、NHにいる患者の65%、ホスピス退院後の患者の88%が事前指示書を記録していた。その割合は、加齢と共に増加している(※左上表)。NHのデータは2004年、在宅ケアとホスピス退院後の患者のデータは2007年であり、現在は更に増加している可能性がある。

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【ここがヘンだよ日本の薬局】(17) 現役薬剤師を直撃! 薬局に纏わるQ&A

薬局に関する数々の疑問は薬剤師に聞くのが一番! という訳で、現役の薬剤師や医療従事者たちに疑問の数々をぶつけてみた。これで薬局はブラックボックスではなくなる? (取材・文/フリーライター 鈴木光司)

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①何故、圧倒的に女性スタッフが多いのか?
薬局は女の園――。そんなイメージを持つ人も多いだろう。ところが、東京都内の男性薬剤師は、こう話す。「大学での男女比は半々くらいだと思います。ただ、大学を卒業した後、薬剤師になる割合が男性は少ない。私の場合、薬剤師の男友だちが10人いれば、その内の2人ほどです。後は、企業に勤めたり、研究職に就いたりしています。あくまでも薬剤師は最終的な手段、女性の場合は結婚してからでもパート等で勤められるということが大きいと思う。3000円くらいの時給は普通に貰えますからね。私たちの間では、薬剤師の奥さんを貰えばラッキーと言われています(笑)」。女性の医療従事者は、こう証言する。「女性でお医者さんになるには、ちょっとハードルが高い。そうかといって、看護師は医師から比べると地位の高いものではない。それでも医学の道を目指したい女性は、薬剤師になるような気がします。あと、医師や看護師は精神的にも肉体的にもハードなので、それを敬遠する女性もいるのでは?」。薬局は女性に優しい職場ということか。

②何故、薬局は病院から道を隔てた向かい側にあるのか?
「病院と薬局が隣同士の場合でも、一度、道に出ないと入れない等、必す両者は分けられています。その趣旨としては、医師と薬局が結託して悪いことができないようにする為です」(都内の薬剤師)。では、悪い企みとは何か? 「薬局と医師が結託してしまうと拙い理由は、何と言っても処方箋を出す決定権が医師にあるということです。例えば、医師はより多くの診療報酬を得る為、患者にとっては無駄な薬まで処方することができる。一方、医師と結託している薬局は、より利益の出る薬を患者に渡す為、医師に処方の協力を依頼することもできる。病院と薬局の場所が近過ぎると、このような癒着が生まれる可能性もあります。まぁ、これは悪質なケースを想定してですが、不正を防止する為に病院と薬局は隔てられているのです。この基準は厳しくて、然る地方の薬局で、両者の間に15㎝ほどのブロックを診けたのですが、許可が下りなかったこともあるほどです」。

③薬剤師は医師ではないのに、何故体調等を質問するのか?
都内の薬剤師は、こう語る。「病院の隣、或いは近くにあるから、情報を薬局も共有されていると勘違いされることが多いのですが、実は全く共有されていません。薬局は処方箋でのデータでしか患者さんのことがわからないんです。処方箋に疑わしいことがあった場合、薬剤師が医師に問い合わせをする“疑義照会”というシステムもあるのですが、どういう病気で処方されているのかが薬剤師のほうでわからないと、処方した医師と患者さんの間で、副作用とか体調等で掛け違いがあった場合にクロスチェックができない。その為に体調等を聞くのです」。

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【ドクターXは知っている】(14) 抗認知症薬でQOL(人生の質)が下がる?

20170915 05
日本では現在、65歳以上の7人に1人が認知症であり、患者数は約500万人に上ります。認知症と診断されると、殆どの場合、抗認知症薬を用いた治療が始まりますが、「誤った処方も多い」と憂慮するのは内科医の長尾和宏先生です。「私は抗認知症薬を否定はしません。但し、増量規定は間違っていると思います。増量規定というのは、例えばアリセプトなら、全員が1日1回3㎎から開始して、1~2週間後に5㎎まで増やさなければいけないという規定です。薬の至適用量には大きな個人差があるにも拘わらず、です」。至適用量とは、薬剤の効果が最も得られる用量のこと。3㎎の投与がべストである患者でも、規定により問答無用で5㎎に薬を増やさねばならないとしたら、それは目の前の患者の症状を無視したナンセンスな行為です。「様々な薬の中で、増量規定があるのは抗認知症薬だけ。医師は、その不可解さに気付かなければいけません。実は2016年6月1日、厚生労働省は事務連絡で抗認知症薬の少量投与を認めています。ところが、現在も多くの医師が増量規定に則った処方をしているのが現状です」(長尾先生)。事務連絡というのは、省庁が発する重用度が然程高くない通達です。厚生労働省の見解としては増量が基本であり、少量投与はあくまでも例外ということなのでしょう。

「脳に働く薬の効き方は個人差が大きく、例えばモルヒネはその開きが100倍以上もあります。抗認知症薬も個人差があって当然でしょう。増量規定に従って過剰投与になれば、食欲が無くなる・怒りっぽくなる・歩行が困難になる等の副作用が出て、高度の徐脈になると生命に関わります。繰り返しになりますが、抗認知症薬を全否定している訳ではありません。10㎎がベストの人もいれば、1.5㎎が最もよく効く人もいるということです」(同)。抗認知症薬が“効く”とは、どのようなことなのでしょうか? 「個々の患者さんの元の状態にもよりますが、例えば元気がなかった人がしゃきっとなって笑顔が戻ることです。笑っていられて、ご飯が美味しく食べられて、自由に歩けるということ。つまり、QOLを保つということですね。ところが、増量規定を信奉する専門家の中には、過剰投与によって怒りっぽくなった患者について、『これは元気になったということだから、いいことなんだ』と主張する医者もいる。一体、誰の為の医療なのでしょうか?」(同)。抗認知症薬過剰処方の副作用による暴力・暴言・攻撃性の増大等、介護者の負担となる周辺症状を却える為に、抗不安薬・向精神薬・睡眠薬等が追加処方されて、“薬漬け”の状態になるケースも少なくないようです。高齢者医療の最前線で日々、認知症患者を診ている岡田正彦先生も、「患者の身になった医療こそが大切だ」と言います。「認知症とは、脳内の神経の信号を伝える物質が少なくなる病気です。抗認知症薬はその物質を補う、或いは分泌を刺激するといった作用のある薬ですから、頭が活性化し、興奮したり、怒りっぽくなったりします。それは、ご本人にとっては不幸なことではないでしょうか?」。岡田先生は、「薬を止めると皆さん、穏やかになるんです」と笑顔を見せます。「私の施設では、抗認知症薬の投与をほぼ止めました。穏やかになった患者さんには、リハビリで体を動かしてもらい、精神面のケアをする。当たり前のことが如何に大事かということです」認知症の治療は、本人は勿論のこと、家族や周囲の人にも大きな影響を及ぼします。抗認知症薬の効果と副作用について、知識を持っておきましょう。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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【ドクターXは知っている】(13) ベンゾジアゼピン系睡眠薬は依存性が高く、認知症の原因にも

20170913 07
日本の医療機関が用いている睡眠薬で最も多いのは、処方箋発行数の約3分の2を占めるべンゾジアゼピン系です。乳用性が高く、半減期(※薬成分の血中濃度が半減するまでの時間)が2~4時間程度の超短時間作用型から、24時間以上の長時間作用型まで、様々なタイプが開発されているべンゾジアゼピン系ですが、一方で副作用の危険が高い薬としても知られています。服用の際に注意しなくてはいけないのは、依存度が高く、深刻な離脱症状が出る可能性のある薬ということ。依存症治療の研究で実績を残す『埼玉県立精神医療センター』が患者に配付する資料には、「ベンゾジアゼピン系薬を主とした抗不安薬や睡眠薬は、ヘロインよりも精神・身体的依存度が高く、耐性形成においては覚醒剤と同列」と書かれています。べンゾジアゼピン系には、他にも数々の副作用があることが知られており、総合内科専門医の大竹真一郎先生は、「高齢者への投与は、とりわけ植重であるべきだ」と指摘します。「高齢者の場合、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を長く使うと、認知症になり易くなるというデータがあります。また、フラフラして転倒の原因になることも多く、それで骨折などすれば寝たきりになって、益々認知症のリスクを高めます」。また、精神科医で高齢者医療にも長く携わった和田秀樹先生も、大竹先生と同様に警鐘を鳴らします。「時差ボケ等、どうしても眠れない時に偶に使う分にはいいのですが、耐性も依存性も強く、長期連用するとクセになって、どんどん量が増える薬の典型。若い人ならそこまでの害は無いでしょうが、高齢者にとっては物忘れや転倒の原因になる。まさに“危険な薬”です」。

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医療機関による安易な処方を危惧して、前出の大竹先生が続けます。「本音としては、日本では睡眠薬を出し過ぎだと思う。抑々、不眠って“病気”でしょうか? 鬱病の初期症状で『眠れない』と言う人もいますが、不眠を訴える殆どの方は、夜に眠れなくても、1日の内のどこかで眠っている筈です。本来寝ないといけない時間に眠れなくて、起きていないといけない時間に眠いという睡眠リズムを正す為に、睡眠薬を出す医者もいるのかもしれないけど、依存症が出てくるということがわかっているのだから、安易な処方は避けるべきでしょう。個人的には、対症療法的に薬を用いるよりも、カウンセリングを通して眠れない理由・原因を突き詰めて、それを解決していくべきだと思います。そうしないと、根本的な治療にはなりません」。精神科医の井原裕先生は、「適度な肉体疲労が質の良い睡眠の呼び水になる」と言います。「睡眠は脳波の状態によって、ステージ1から4まで4段階のノンレム睡眠とレム睡眠に分かれます。この内、ステージ3と4を合わせて徐波通眼、或いは深睡眠と呼びますが、この量が多いと質の良い睡眠となるのです。1日に7000~8000歩くらい歩く程度の適度な内体疲労は、徐波睡眠を増やします。製薬会社は、肉体疲労が齎す睡眠よりも質の良い瞳眠を得られる薬剤を作ろうと試みていますが、実現したことはありません。それどころか、ベンゾジアゼピン系の薬は、いずれも徐波睡眠を減らします。薬に頼って眠ったところで、睡眠の質は悪いということです」。質の良い睡眠を得るコツは、運動の他にもあるのでしょうか? 井原先生が答えます。「アルコールは眠りの質を悪くしますから、寝酒等はしないことです。また、起床時刻を一定にしましょう。起床時刻の17時間後に眠くなるリズムが生まれるので、そのリズムを保つことです」。非べンゾジアゼピン系等、べンゾジアゼピン系以外の睡眠薬も、副作用があることには変わりありません。健康の為にも、先ずは生活リズムを改善するのが大事ということを自覚しましょう。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃・編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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【ドクターXは知っている】(12) 抗鬱剤の主流『SSRI』の効果は小麦粉と大差無し!?

20170912 02
厚生労働省が2015年12月に発表した『平成26年患者調査』によると、鬱病等の気分障害で医療機関を受診している総患者数は111万6000人。気分障害の調査が始まった1996年が43.4万人なので、約20年間で2.6倍という急激な増加となっています。受診患者増の背景には、精神科よりも受診に心理的抵抗感の少ない心療内科が、厚労省により標榜科(※外部に広告できる診療科)として認められたことや、製薬業界主導による“うつは心の風邪”をキャッチコピーにした鬱病啓発キャンペーンがあるようです。未だ受診はしていなくても、気が滅入っていて「抗鬱薬を処方してもらいたい」と考えている人も多いことでしょう。国内の大学病院で唯一、“薬に頼らない精神科”を謳う濁協医科大学越谷病院こころの診療科で診療部長を務める精神科医の井原裕先生は、「『自分は鬱病かもしれない』と疑った時、病院に行って薬を貰うよりも、先にすべきことがある」と指摘します。「鬱に関わる生活習慣は3つしかありません。睡眠不足・運動不足・酒の飲み過ぎです。この3つを改善すれば、憂鬱な気分や不安感は軽減や解消に向かいます。1日7時間、連日が無理なら週に50時間の睡眠を取り、1日7000歩、週に5万歩は歩き、酒は一旦止める。それを2~3ヵ月続けてみて、改善されないのであれば、次善の策として医者にかかるのもいいでしょう。悩み事があって憂鬱だとしても、それを以て病気とは言えません。例えば、職場でストレスを感じるのは当たり前ですし、ストレスを感じて憂鬱になるのは正常な反応です。自分が病気だと思い込まずに、先ずは生活を立て直すべきなのです」。また、「医師が鬱症状を訴える患者にすべきことも、第一には生活習慣の指導だ」と井原先生は考えています。

「慌てて最初から薬を処方するには及びません。抑々、海外の複数の論文で、『抗鬱薬は好意的に見ても2割の患者さんにしか効かない』という結果が出ています。つまり、8割の患者さんにとっては無意味なのです。ところが、多くの精神科医は『2割もの人に意味があるのなら出すべきだ』と考えて、薬を処方している」。更に井原先生は、現在、鬱病治療の第一選択薬として最も多く使われている『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や『SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)』にしても、「巷間で言われるほど効くものではない」と言います。「私は、抗鬱薬を出す場合は、SSRIやSNRIではなく、四環系抗鬱薬のミルタザピンを使うことが多いです。でも、これも食欲増進等の副作用があるので、若い方が長く使うと太ってしまうという弊害はあるのですが…」。日本では2000年に保険薬となり、現在に至るまで代表的な抗鬱薬として使われているSSRIの1つであるパロキセチンについては、欧米で副作用が社会問題化しています。しかし、日本の医師の間では殆ど話題になりません。このことに憂慮するのは、新潟大学医学部名誉教授で医療統計学を専門とする岡田正彦先生です。「海外では、パロキセチンを服用した青少年を中心とする患者の自殺や殺傷事件が頻発し、訴訟も数多く起こされています。その過程で、『製薬会社が早い段階で重篤な副作用があることを掴んでいた』という証拠が出てきました。様々なデータの捏造も明らかになり、この薬とプラセボ(偽薬)とを比較したデータも見つかっています。結果は驚くことに、プラセボで症状が改善した患者のほうが多かった。製薬会社は、効果の認められない薬を売っていたということになります」。SSRIとプラセボを比較したメタ解析論文が、2008年(※イギリスのハル大学)と2010年(※アメリカのペンシルバニア大学)に発表されています。これらは『アメリカ食品医薬品局(FDA)』に眠っていた治験データを、未公開記録も含めて分析し直したもので、結果は、軽症及び中等症の鬱病では、SSRIとプラセボの有効性において有意差は認められず、最重症でのみ有意差が示されました。つまり、鬱病患者の大半を占める軽症~中程度の鬱病では、SSRIの効果は小麦粉(=偽薬の材料)と大差ないということになります。副作用を過剰に恐れる必要はありませんが、「鬱病の8割に薬は無意味」「偽薬程度の効果しかない可能性もある」という事実は知っておくべきでしょう。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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【ここがヘンだよ日本の薬局】(16) 絶対に行ってはいけないダメな薬局6箇条

「薬局なんてどこも一緒」というのは大きな間違いだ。薬局選びを間違うと、薬害を被る可能性もある。現役の薬剤師たちに“自分が患者なら絶対に行きたくない薬局”を聞いたところ、主に6つの答えが返ってきた。 (取材・文/フリーライター 鈴木光司)

①薬剤師にコミュニケーション能力が無い
実は、薬剤師への取材で一番出てきたNG事項がこれ。関東近郊の男性薬剤師が言う。「拙いのは、コミュニケーション能力が無い薬剤師がいる薬局ですね。患者さんが何を求めているのかを察知できないと、根本的なところを含めて色々な齟齬が生じることがあります。まぁ、そうは言っても、薬剤師を含めた理系の大学卒業者はコミュニケーション能力に欠ける人が多いのですが(笑)。それだけに、いざ実際に患者さんと接する現場に出ると、中々上手く意思の疎通ができない薬剤師も多いです。しかし、コミュニケーション能力は大切で、これが無いと薬の効果が薄れるという可能性すらある。どういうことかと言うと、薬というのは、その薬が効くと患者さん本人が信じない限り、効き難いものでもあるのです。それなのに、無用の心配をかけてしまう薬剤師もいる。患者さんによっては、医師に貰った薬を『良い薬を出してもらいましたね』と薬剤師が一言言うだけで、患者さんは安心して治療効果が上がることもありますから」。プラシーボ効果ではないが、心持ちの問題という訳だ。更には、こんな話も。「副作用についてもそうです。確かに薬には副作用がありますが、正直、私なんかの場合は、微に入り細に穿ち内容を聞きたくはありません。1000人に1人起こるかどうかの症状――橫紋筋融解症(※筋細胞内の成分が血中に流れてしまう症状。最悪の場合、腎不全等で死亡するケースも)やスティーブンス・ジョンソン症候群(※皮膚等の過敏症。致死率が10%に達することもある)等の副作用を長々と説明されたら、効く薬も効かなくなってきます。そんな説明をする必要があるのでしょうか? 『この患者さんは副作用への心配が強いな』と思ったら、『極端な副作用はレアケースであり、過度な心配をする必要はない』ということを説明したほうがいい。それもこれも、薬剤師が患者さんとコミュニケーションを取れるかどうかにかかっていると思います。今後は超高齢社会で在宅医療等も多くなってきますから、薬剤師も積極的に患者さんと交わる必要が出てきたのではないでしょうか」(同)。コミュニケーションは双方の努力でもある。患者側も積極的に薬剤師と交わることが必要なようだ。

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②ジェネリック医薬品を勧め過ぎる
今やジェネリック医薬品の認知度は上がり、患者の要望も多いと思うが…。「ジェネリックを勧めるかどうかより、薬剤師は薬局にあるものをちゃんと説明することが必要だと思います。先発の薬品だったらどれそれ、ジェネリックの場合はどれそれ…というように。そういった意味では、他の種類で在庫がある薬を患者さんに知らせない薬剤師がいるとしたら、良い薬局とは言えないかもしれません。というのも、患者さんによっては必ずしもジェネリックが最良とは限らないからです。こういう言い方は何ですが、地方や下町等で、同じ効用なら兎も角、財布に優しい薬が一番という人には、ジェネリックを勧めたほうがいいでしょう。しかし、嘗ての田園調布等の高級住宅街に住むような人は、薬にもブランド志向が強いので、ジェネリックではないほうが喜ばれることもある。そこの見極めも大切だと思います」(30代薬剤師)。尤も、薬局の規模や方針によっても変わるようである。「廃棄のリスクを考えて、ジェネリックを置いてあっても、その在庫が1種類だったりする個人薬局等ではそのようにはいきません。いずれにしても、薬剤師が必要以上に患者さんにジェネリックを勧めるようなことがあったら、おかしいでしょうね」(同)。

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