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【水曜スペシャル】(183) ウイグル大規模暴動から11年、中国で続くウイグル族抑圧

新疆ウイグル自治区で、イスラム教を信仰する少数民族のウイグル族と漢族が衝突した大規模暴動から、昨日で11年となった。中国政府はテロ対策を名目にウイグル族らへの厳しい管理を続けており、ウイグル族らの強制労働等を指摘する報告が相次いでいる。 (上海支局 南部さやか)

20200708 08
3日、ウイグル族らが集団労働しているとされる浙江省杭州市の電子機器工場を訪ねた。工場の南北2ヵ所の門に警察の詰め所が見える。警察官が目を光らせる。約2㎞離れた場所に4~5階建ての寮3棟があった。数百人程度が暮らしているとみられる寮の門に看板が掲げられている。民族衣装姿の人々が描かれ、その下に“民族は一つの家族として団結しよう”との中国語の標語が記されている。自治区の政府系ニュースサイト『天山網』は3月4日、この工場に2月下旬、貧困対策等を名目に自治区の97人が専用機で移送されたと伝えた。寮近くの住民に尋ねると、工員は引率者を“先生”と呼び、寮と工場をシャトルバス3台で往復していると明かした。工員は1~2年で入れ替わり、外を出歩く姿は見かけないという。海外の研究機関等は最近、ウイグル族らの人権状況の悪化を伝えている。

『オーストラリア戦略政策研究所』が3月に発表した報告書によると、中国の9省27ヵ所のサプライチェーン工場に2017~2018年、自治区から8万人以上が移送され、当局の管理下で働いた。報告書は、ITや自動車等の分野で世界の大手企業83社が恩恵を受けている可能性も指摘した。報告書によると、ウイグル族らの一部は、中国政府が『職業技能教育訓練センター』と称する施設から直接、工場に送られ、事実上の監視下で労働時間外に中国語や思想教育を受けている。報告書は「強制労働を強く示唆する」としている。職業技能教育訓練センターには数百万人が強制収容されているとの見方があるが、中国政府は「既に全て終了した」としている。収容に代わる集団労働の手法で、ウイグル族らの統制を続けている可能性がある。一方、アメリカの調査研究機関は先月末、中国政府が女性に不妊手術を強制しているとの報告を公表した。自治区の不妊手術の施術率が急増していることを指摘し、ウイグル族ら女性への聞き取り調査も報告の根拠にした。こうした情報が相次ぐ中、アメリカのドナルド・トランプ政権は先月17日、少数民族弾圧に関与した中国当局者への制裁を可能にする『ウイグル人権法』を成立させた。強制労働等に関わったとして、37の中国企業・機関を輸出規制対象に指定し、今月1日にはアメリカ企業に取引停止を勧告した。中国外務省は「内政干渉だ」とし、批判を撥ねつける。亡命ウイグル人組織の『世界ウイグル会議』は、「中国は非人道的で抑圧的な措置を一層強めている」と懸念する。


キャプチャ  2020年7月6日付掲載
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【水曜スペシャル】(182) 「コロナ禍で平壌の高級幹部家族へのコメ配給が途絶えた」――高英煥氏(北朝鮮元外交官)インタビュー

北朝鮮の元外交官で、金日成主席の通訳を務めた元韓国国家安保戦略研究院副院長の高英煥氏が本紙のインタビューに応じ、平壌の高級幹部の家族へのコメ配給が「今年2~3月を最後に途絶えた」と明らかにした。経済制裁に加え、新型コロナウイルス対策の為の中朝国境封鎖で、食料や日用品が不足しているとも指摘した。 (聞き手・撮影/ソウル支局 岡部雄二郎)



20200708 06
――北朝鮮内部の現状をどう見る。
「北朝鮮は今、新型コロナウイルスによって体制の耐久力が落ちている。中朝の国境封鎖が経済に決定的な打撃を与えている為だ。昨年2月のハノイでの米朝首脳会談までは、経済制裁が解除されて生活が上向くとの期待感が住民の間にあった。だが、(会談が決裂して)制裁は解除されなかった。それどころか、平壌中心部に暮らす朝鮮労働党、政府、軍の幹部の家族に対するコメの配給が、2~3月を最後に行なわれていない。幹部本人への配給は続いているが、その為に戦時の備蓄米“2号倉庫”の一部を開放しているという情報がある。国境を開けばウイルスが広がる恐れがあるが、国境を閉じ続ければ中国との貿易ができない。“苦難の行軍”(※1990年代に大量の餓死者を出した食糧危機)が再来するのではないかとの動揺が広がっている。世界的な第2波が起き、中朝の国境封鎖が長期化した場合、北朝鮮は体制の危機を迎えることもあり得る。内部の不満が高まれば、再び挑発行動に出るだろう」
――“苦難の行軍”の際、体制を支える高級幹部への配給は途絶えなかったと言われている。
「金正日総書記は当時、『私には平壊市民と軍隊さえあればいい』と言ったそうだが、今はその平壌が揺らいでいる。今回、韓国を“敵”に仕立てたのも、その為だろう。金正恩委員長に対する市民の憤怒を、韓国の文在寅大統領に逸らしたというわけだ」
――食糧や日用品を売り買いする闇市場の現状は。
「コメ価格は安定しているが、これは当局が事実上、価格を統制している為だ。実際には異なる価格で取引されることも多い。生活必需品である砂糖やうまみ調味料、大豆油、トイレットペーパー、小麦粉も不足している。農場への肥料供給量も、昨年と比べて3分の1程度減ったと聞いている」
――北朝鮮は韓国への挑発行動を強めている。住民の不満を逸らせる以外にも狙いはあるのか。
「経済制裁の緩和へ向け、北朝鮮としては、11月のアメリカ大統領選前にドナルド・トランプ大統領を動かしたい。その為に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射すれば、アメリカ軍の空母が朝鮮半島周辺に展開し、2017年のように軍事的緊張が高まりかねない。だが、北朝鮮軍には臨戦態勢を取る余裕がない。故に、最も弱い相手である韓国を叩き、間接的にアメリカを攻めようとしたのではないか」

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【火曜特集】(183) 中国が“監視型都市”を提唱――独自規格で影響力狙う、日本は標準化を警戒

20200707 09
中国政府が、感染症対策を想定し、ITを活用した都市整備モデルを国際標準として提案していることが12日、わかった。個人の行動情報を把握して新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めた経験を踏まえたものだ。日本政府は、平時から個人情報を追跡する“中国モデル”が標準化されかねないとみて、危機感を強めている。中国がモデルを提案したのは、国際的な取引の規格を認証する『国際標準化機構(ISO)』。ISO規格は企業間の国際取引等で安全性の目安とされ、入札でも採用されることが多い。関係筋によると、中国の国家標準化管理委員会が4月下旬、ビッグデータを活用して感染症対策を進める都市行政の仕組みとして、モデルをISOに提案したという。個人の行動データを事前に把握できる体制を構築し、AIやビッグデータ技術で解析すること等を想定している模様だ。データの効果的な活用に向けた指南書(※ガイダンス)の他、都市や地域の衛生管理方針を示したガイドライン(※指針)、情報活用を前提としたプラットフォーム(※社会基盤)の在り方も提示している。ISOの作業部会は今月中旬、中国の提案を追加聴取する方針だ。提案の内、一つは国際規格として策定を進めるかどうか採決される。日本政府は、中国の提案が、危機対応だけではなく、普段から個人情報を集めることを前提としている点を警戒する。個人の行動把握は、プライバシーを侵害しかねない為だ。日本政府は今後、『国家安全保障局(NSS)』経済班を中心に対応する他、国際標準規格を検討する民間団体を通じ、中国側に具体的な説明を求める。 ISOでの採決にも反対する方針だ。

中国政府がITやビッグデータを活用した都市整備を巡り、国際標準化に向けて動く背景には、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めた独自モデルを輸出し、影響力を誇示する狙いがある。だが、個人情報の常態的な収集を前提とし、プライバシーを軽視しかねない手法は、日本を始め、先進国の反発も想定される。「中国政府がISOの規格取得を進めている」――。NSS経済班に中国の動きが伝えられたのは、先月中旬のことだった。同班幹部は「放置するのは危険かもしれない」と、経済産業省等関係省庁に対し、状況把握と対策の検討を指示した。NSS経済班は、デジタル社会が進展する中で、機微技術の管理や通信環境等を巡る国際的な競争に対応する為、今年4月に新設された。国家間の競争がIT分野へと移る現在、NSS経済班は経済安全保障の司令塔となっている。中国は新型コロナウイルスの震源地となったものの、感染者が集中した武漢から他都市への拡大を封じ込めるのには成功したとの見方もある。ただ、住民の動向は全てモニタリングし、マスクを着けているかどうかをAIで判定して警告を出す等、強い統制には批判も根強い。勿論、移動データ等の活用は、感染症の拡大防止には大きなメリットがある。日本政府も3月末から、携帯電話大手やIT企業が提供する混雑データを活用した。スマートフォンの近距離無線通信機能『ブルートゥース』を活用し、感染者との濃厚接触にアラートを発することができるアプリも、近く提供を目指す。何れも個人を特定せず、危機時に活用する仕組みだ。中国では身分証システムや監視カメラ網が整備され、個人の行動を把握し易い環境が整っている。今回のISOへの提案でも、危機だけでなく、平時からの情報把握や、個人の特定を前提としたような事例を取り上げ、行動監視の重要性を示している。ISOは今月19日までに、中国提案の4規格の内、官民で感染症対策のプラットフォーム作りを進める規格について採決する予定だ。日本側は中国提案を否決に持ち込みたい考えだが、中国から支援を受ける新興国等では賛成に回る国も少なくないとみられる。監視を基本とするデータ活用が定着すれば、個人の行動や表現の自由も制約されかねない。感染症対策等緊急事態の対応と、個人情報の保護を両立した対案を示す等、日本が先進各国の連携を促す必要もありそうだ。


キャプチャ  2020年6月13日付掲載

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【火曜特集】(181) 「正義連は自分たちの利益ばかり追求している」――千英宇氏(元韓国大統領外交安保首席秘書官)インタビュー

20200707 07
韓国の李明博政権で大統領外交安保首席秘書官として慰安婦問題の対日交渉にあたった千英宇氏(68)が、本紙のインタビューに応じた。国庫補助金等の流用の疑いが浮上する市民団体『日本軍性奴隷制問題解決の為の正義記憶連帯(正義連)』と在任時に接触したことを明かし、「元慰安婦の為というより自分の利益を追求する団体だ」と語った。千氏によると、京都で2011年12月に行なわれた日韓首脳会談で、李大統領が野田佳彦首相に慰安婦問題の解決を迫った翌2012年春、斎藤勁官房副長官が解決に向けた腹案を持って、ソウルにある千氏の事務所を訪れた。腹案は、駐韓日本大使が元慰安婦に1人ずつ面会し、日本の首相の謝罪親書と、日本の国家予算による補償金を直接手渡すことが柱だった。千氏はこれに先立ち、中心的な元慰安婦5~6人を大統領府に呼んで、意向を聞いていた。千氏は、「元慰安婦のお婆さんは、生きているうちに日本政府の謝罪と補償金を受け取りたがっている印象を受けた。日本が受け入れられないことを承知で、正義連が強硬に求めている“日本政府の法的責任の認定”といったことについて、お婆さんたちは難解でよくわかっていなかった」と述べた。千氏は斎藤氏との会談後、正義連の尹美香前理事長(55)と面会して案を説明した。正義連が「法の上に君臨していると言っても過言ではないほど絶大な影響力」を持っていた為だ。尹氏は腹案の内容を喜ぶと思ったが、「困惑に満ちた表情を浮かべた」という。千氏は、「尹氏は純粋に元慰安婦の利益を代弁していると思っていたが、元慰安婦と利害関係が違うのだとその時、悟った。斎藤案は元慰安婦にとって悪いものではないが、尹氏にとっては自らの役割を終える死刑宣告に等しかったのかもしれない」と語った。政権内部には、「尹氏に睨まれた公職者は(左遷等)一生が台無しになる」という空気があったという。千氏の身の上を心配する政権内部の後輩から、斎藤案を諦めるよう勧められたことも明らかにした。2015年末の慰安婦問題を巡る日韓合意によって、当時生存していた元慰安婦47人中の7割以上にあたる36人が1億ウォン(※約870万円)の支給を受けた。にも拘わらず、文在寅政権は、日韓合意に反対する正義連の主張に同調し、合意を事実上白紙化した。千氏は、「文政権は、元慰安婦ではなく、正義連を被害者と錯覚したのが大きな問題だ。文政権の言う被害者中心主義は、正義連中心主義だったということだ」と批判した。 (聞き手・撮影/ソウル支局 豊浦潤一)


キャプチャ  2020年5月24日付掲載

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【アメリカ大統領選2020】第4部・バイデン研究(下) 協調主義の“外交通”

20200707 05
ジョー・バイデン前副大統領(77)は外交政策通を自任する。選挙戦では「ドナルド・トランプの“アメリカ第一主義”がアメリカを孤立させた」とトランプ政権の外交を批判し、アメリカの指導力回復を訴えている。アメリカの外交専門誌『フォーリンアフェアーズ』3・4月号に掲載されたバイデン氏の論文『何故アメリカは再び指導力を発揮すべきか』には、政権を奪還した後に目指す外交の骨格が示されている。最大の柱は国際協調主義への回帰だ。トランプ外交について「同盟国やパートナーとの関係を損ない、時に見捨てた」と断罪した上で、「私はアメリカの民主主義と同盟関係を刷新し、再びアメリカが主導する世界を実現する」と宣言している。バラク・オバマ前大統領が署名し、トランプ氏が離脱した国際合意の中で、地球温暖化の国際的枠組み『パリ協定』については復帰を明言し、イラン核合意についても再交渉に意欲を示した。バイデン氏は36年間の上院議員時代、外交委員会に長く所属した。旧ソ連や欧州との外交に深く関わり、冷戦後は東欧諸国の『北大西洋条約機構(NATO)』加盟を後押しした。歴代政権の外交政策に影響力を及ぼし、各国首脳との議員外交にも力を注いだ。オバマ氏はバイデン氏の外交能力を高く評価していた。バイデン氏を副大統領候補に選んだ理由の一つとして、「外交政策の専門家だからだ」と語っている。

異なる評価もある。世界が賛同した1991年の湾岸戦争開戦に反対したことや、2011年にアメリカ同時テロ首謀者のウサマ・ビン・ラディンの殺害作戦に慎重姿勢を示したこと等は、度々批判の的になってきた。オバマ政権で国防長官だったロバート・ゲーツ氏(76)は、2014年に出版した回顧録で、「40年間に亘り、ほぼ全ての重要な外交・安保問題で誤りを犯してきた」と、バイデン氏の外交センスを酷評した。副大統領時代にはオバマ氏に代わり、アジア各国を歴訪することもあった。日本との関係、特に安倍晋三首相との間には因縁がある。2013年12月の日本、中国、韓国歴訪の際のことだ。首相の靖国神社参拝が囁かれていた当時、バイデン氏は日本で首相と会談した後、韓国の朴槿恵大統領(※当時)に「首相は参拝しないと思う」と伝えた。しかし、首相は直後に参拝し、アメリカ国務省は「失望している」とする異例の声明を発表した。複数の外交筋の証言によると、“失望”という強い言葉を入れるよう拘ったのはバイデン氏だったという。首相から参拝しないとの言質はとれていなかったが、結果的にメンツを潰されたことに怒ったとの見方がある。日本としては、バイデン氏の対中政策も気になるところだ。オバマ政権は気候変動対策等での協調を重視するあまり、中国の強引な海洋進出等に弱腰だったと指摘される。バイデン氏自身も昨年5月に「中国は競争相手ではない」と発言し、トランプ大統領から「中国に甘い」と攻撃された。オバマ政権で駐中国大使を務めた中国系アメリカ人のゲーリー・ロック氏(70)は、バイデン氏の対中姿勢を擁護し、「人権問題や知的財産保護、報道の自由を議題にするのを避けなかったが、あくまでも敬意を示しながらなので、相手はそれに感謝してきた」と語った。トランプ政権下で様変わりした米中関係に、どう対応するのか。バイデン外交の全体像は未だ見えない。

                    ◇

(ワシントン支局)海谷道隆・横堀裕也・蒔田一彦が担当しました。


キャプチャ  2020年5月24日付掲載

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【アメリカ大統領選2020】第4部・バイデン研究(中) 黒人社会と深い絆

20200707 04
デラウェア州ウィルミントン。ニューヨークとワシントンD.C.の中間地点にある街は、人口約7万人の6割が黒人だ。ジョー・バイデン前副大統領(77)は10歳の時、ペンシルベニア州からウィルミントン近郊に引っ越した。市内の公園に、バイデン氏の名前を冠した小さな市民プールがある。1962年夏、19歳だったバイデン氏が監視員としてアルバイトした場所だ。利用者の殆どは黒人だった。前ウィルミントン市長のデニス・ウィリアムズさん(67)は、その頃にプールを利用した一人だ。露骨な人種差別が残っていた時代に、黒人に交じって監視員をしていた若きバイデン氏の姿が、瞼に焼き付いているという。「ジョーは自らの行動で人種間のギャップを埋めたんだ」と語る。バイデン氏はしばしば、黒人の公民権運動に共感を示してきた。2007年出版の自伝『守るべき約束』では、人種差別撲滅を訴えたマーティン・ルーサー・キング牧師の名を挙げ、「私も変革の一部になりたかった」と記した。そんなバイデン氏に、黒人社会は礼をもって報いてきた。市民プールでのアルバイトから半世紀以上が過ぎた今年2月、バイデン氏は大統領選の民主党指名争い初戦のアイオワ州党員集会から3連敗を喫し、脱落の瀬戸際に追い詰められていた。

流れを変えたのは、4戦目のサウスカロライナ州予備選だ。州内民主党員の大半を占める黒人有権者が投票所に押し寄せ、バイデン氏に圧倒的勝利を齎したのだった。投票日直前には、黒人社会に大きな影響力を持つ州選出下院議員のジェームズ・クライバーン氏(79)が、「ジョーは我々のことをわかっている」とバイデン氏への投票を呼びかけていた。クライバーン氏は、個人的にも付き合いが長いというバイデン氏について、「若い頃から黒人住民と接してきたので、我々の気持ちに敏感だ」と本紙に語った。サウスカロライナ州の黒人社会は5年前、大きな悲劇に見舞われていた。チャールストンにある黒人教会で2015年6月、白人の人種差別主義者が銃を乱射し、9人を殺害した事件だ。事件の約1週間後、乱射で妻を失い、悲しみの淵にあった牧師のアンソニー・トンプソンさん(68)宅の電話が鳴った。受話器をとると、相手は副大統領だった。バイデン氏は慰めの言葉をかけ続けた。トンプソンさんは、「妻の死を、私たち家族と同じくらい重く受け止めてくれた」と振り返る。バイデン氏はその前月、長男のボー・バイデン氏を脳腫瘍で失ったばかりだった(※享年46)。上院議員に初当選した直後の1972年12月にも、最初の妻のネイリアさんと1歳の長女のナオミさんを交通事故で亡くしている。家族の絆に対する思い入れは、「身内に甘い」という批判も招いている。バイデン氏は副大統領時代、度々子供や孫を公務に同行させた。2013年12月の中国訪問には、次男のハンター・バイデン氏が同行した。ドナルド・トランプ大統領や共和党は、ハンター氏がその訪問の間に中国の財界人と私的な商談を行なったとして、問題視している。ハンター氏は、父がバラク・オバマ政権の副大統領を務めていた2014年、ウクライナのガス会社役員に就任して、月最大5万ドル(※約530万円)の高額な報酬を得ていたことも物議を醸している。バイデン氏は「海外でのビジネスについて息子と話したことはない」と述べるにとどめ、詳しい説明を避けている。


キャプチャ  2020年5月23日付掲載

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【アメリカ大統領選2020】第4部・バイデン研究(上) 前副大統領、集大成へ挑む

アメリカ大統領選(※11月3日投開票)は、共和党現職のドナルド・トランプ大統領(73)に対し、民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が挑む構図となった。バイデン氏とはどのような人物か。本人の言動や経歴、関係者の証言等を基に、実像を探った。



20200707 02
アメリカで猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大で、候補者は今までと様変わりした選挙戦を強いられている。バイデン氏は、地元のデラウェア州の自宅地下室に設置した特設スタジオから連日、メディア等が主催するオンライン集会に参加している。今月19日夜は、コロナ禍におけるアメリカが直面した食料問題が議題になった。トランプ政権が貧困層向けのフードスタンプ(※政府による食料費補助)の削減を打ち出したのに対し、バイデン氏は「食料不足が問題なのではなく、リーダーシップが問題なのだ」とトランプ批判に力を込めた。バイデン氏には、誰とでも打ち解けて個人的関係を築く能力があるとされる。親しみ易い人柄は、選挙戦では大きな強みだ。しかし、オンラインでそうした魅力を伝えるのは難しい。保守系の『FOXニュース』はバイデン氏が置かれた状況について、「社会的距離の時代にバイデン氏が大統領選に臨む。何とも皮肉な事態だ」と伝えた。トランプ氏自身も、相手陣営の焦りを見透かしたかのように、「ジョーが地下室で寝ぼけている」と自身の『ツイッター』での攻撃に余念がない。バイデン氏は2009年、黒人で初の大統領となったバラク・オバマ氏の下で副大統領に就任した。それまで36年間に亘って上院議員を務め、ワシントンD.C.の議会政治を熟知していたバイデン氏は、政治経験の浅いオバマ氏を補佐する役割を果たした。特に力を発揮したのが、当時、野党だった共和党との交渉事を纏める仕事だ。2009年にリーマンショック後の大規模景気対策を打ち出した際には、共和党議員に電話攻勢を仕掛け、「まるでストーカー」(※アメリカの政治専門紙『ポリティコ』)のような粘り強さで、反対姿勢を転換させるのに成功した。

翌年には、無保険者をなくすことを目的とした医療保険制度『オバマケア』の成立にも尽力した。バイデン氏は今年2月の対話集会で、「共和党からの票なしでも成立したが、票を固める為に上院と下院に入り浸った」と振り返った。党派の壁を越えて信頼関係を築ける人物――。バイデン氏を知る関係者の見方は一致している。『ワシントンポスト』等で長年政治記者を務め、バイデン氏に関する伝記を出版したジャーナリストのジュールス・ウィットカバー氏(92)は、「上院議員時代に培った人脈は、副大統領時代にも大いに生きた」と指摘する。「オバマ氏自身は議員としての経験が浅く、バイデン氏をとても頼りにしていた」という。バイデン氏は今回の選挙戦で、「長い政治経験の集大成を大統領として成し遂げたい」と訴えている。「この国には“癒やしの政治”が必要だ」と党派対立の克服を掲げるが、アメリカの政治の分断はトランプ政権の下で更に進んだ。アメリカ議会は、トランプ大統領支持で固まる共和党、激しく抵抗する民主党という与野党対立が固定化している。分断を煽って熱狂的な支持を繋ぎ留めてきたトランプ大統領は、バイデン氏への攻撃を強めている。ウィットカバー氏は、「共和党は劇的に変わった。トランプ大統領の破滅的な政策に抵抗できずにいる」と与野党連携の難しさを強調した上で、「バイデン氏は超党派で物事を動かせると証明してきた」と期待を滲ませた。バイデン氏は支持者への演説で、自らを“ミドルクラスジョー”と呼ぶ。中産階級の男という意味だ。出身地のペンシルベニア州スクラントンは、所謂ラストベルトの一角に位置する。父は自動車のセールスマン、母は専業主婦だった。アメリカ社会のエリートはプロテスタント系と相場が決まっていた時代に、アイルランド系カトリックの決して裕福ではない家庭で育った。父が失職し、バイデン氏が10歳の時に隣のデラウェア州に転居した。この時の体験について、「親が子供に『もう今の学校には戻れないし、友だちともお別れをしなくてはならない』と告げることほど、苦しいことはない」と述べている。「誰もそんな経験をしなくて済むよう、私は自分のキャリアの全てをかけて戦ってきた」と訴えるのは、雇用の不安定な労働者層にアピールする狙いがある。選挙戦のスローガンには“中産階級の復活”を掲げている。地元のデラウェア大学を卒業し、シラキュース大学法科大学院を出て弁護士となった。郡議会議員として環境問題等に関わったことで政治と接点を持ち、29歳の若さで連邦上院議員に当選した。

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【一国二制度の死・香港大規模デモから1年】(05) 経済力低下、切り捨てる中国

20200702 04
北京在住の政治研究者である劉英(※仮名、49)は昨年8月、雨の香港・ビクトリア公園にいた。香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする『逃亡犯条例』改正案に反対する市民らと一緒にデモ行進したのだ。「香港人民の本当の考えが知りたくて」現地を訪れたという。劉自身も、大学1年生だった1989年、中国の民主化要求デモに参加した。北京の『天安門広場』を拠点とするデモ隊は、6月4日に武力で鎮圧され、劉も3ヵ月間拘束された。あの天安門事件当時、イギリスから中国への返還(※1997年)を控えた香港の市民が、資金や物資面で北京の学生を援助し、指名手配者の海外逃亡も支援したことが思い出される。両者を結び付けたのは中国民主化への思いだ。だが今、香港の若者は、共産党一党独裁を維持したまま香港を呑み込もうとする中国に、強い拒絶感を抱く。「(香港の民主化を求めた)2014年の雨傘運動まで、香港独立を唱える勢力は非主流派だった。北京が圧力を強めた結果、香港の中産階級は徐々に独立という選択肢を受け入れるようになった」。逃亡犯条例改正案に反対する100万人規模のデモが香港で起きてから、昨日で1年となる中、劉は「中国の習近平指導部による統制強化が、結果的に香港独立派の伸長を招いた」と指摘する。中国は、民主派への締め付けを更に強めている。『全国人民代表大会(全人代)』は先月、全人代常務委員会が国家分裂行為等を禁じる『国家安全法』を立法して、香港で施行させる決定を採択した。

国際金融都市である香港で一国二制度を崩壊させることは、当然、米英の強い反発を招く。アメリカは、香港に認めてきた関税上の優遇措置の撤廃等制裁措置を発動する手続きに入った。しかし、習指導部は強気な姿勢を崩さない。嘗て公式メディアの編集幹部を務め、現在は北京で独立系ウェブメディアを運営する楊清泉(※仮名、50)は、「共産党は香港を捨て去ることを恐れていない。寧ろ厄介な存在と感じている」と断じる。香港は、中国の改革開放において外資調達の貴重な窓口だった。国家統計局によると、外国や香港等から中国本土への2018年の直接投資の内、67%が香港からだ。ただ、香港からの投資には、中国の外資融資策を利用する為、香港に拠点を置いて投資を還流させる本土企業によるものも多く含まれている。香港の経済的地位は低下しているのだ。経済規模は返還時、中国の約2割に相当したのに、2019年には2.5%まで落ち込んだ。2018年には隣の広東省深圳市に名目GDPで抜かれ、上海・北京には大きく離されている。中国当局からみれば、香港の代替はいくらでもある。米欧が中国の巨大市場を放棄することはないと踏んでいる。習指導部が、国策として対外姿勢をより強硬に転換してきたことも無視できない。他国の思惑に翻弄されず、批判を受けても自ら決めた道を突き進む。台湾や香港、新疆ウイグル自治区等の問題を巡っては、「鉄のような意志と決意を示す」(党政治局員で中国外交トップの楊潔篪)方針だ。行政管理手法の多くを学んできた香港を切り捨てようとする中国。その姿勢に劉は、嘗ての中ソ対立を連想する。「中国は、兄貴分的な存在であるソ連からも多くのことを学んだが、結局、反目に至った。70年経っても何も変わらない」。中国は天安門事件で国際社会から孤立したものの、『世界貿易機関(WTO)』加盟によって国際貿易体制に迎え入れられた。世界第2位の経済大国となり、巨大市場を盾に先進国を恫喝する力を持った。変わらぬ強権姿勢で今は、香港の一国二制度を“死”に追いやろうとしている。国際社会は同じ轍を踏むのだろうか。 《敬称略》 (西見由章) =おわり


キャプチャ  2020年6月10日付掲載

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【一国二制度の死・香港大規模デモから1年】(04) 「移民せず、諦めないで」

20200702 03
「中国との境界を全面封鎖せよ!」――。香港の医療関係者が参加する新労働組合『病院管理局職員戦線』は1月24日、香港政府に要求した。武漢で発生した新型コロナウイルスの感染者が香港で初めて確認された次の日のことである。背景には、昨年6月から続くデモによって、反中ムードが社会に広がっていた事情もある。組合員の大半はデモ参加者だった。行政長官の林鄭月娥は要求を拒否した。「中国の顔色を窺い、市民の健康は二の次だ」。反発する組合員から「ストライキをしよう」との声が上がった。戦線代表で元看護師の余慧明(33)は苦悩する。「今、病院は最も看護師や医師が必要な時だ。ストをしたら大きな混乱を招く。でも、だからこそ政府に圧力をかけられる」。戦線の組合員は約2万人。医療関係者全体の4分の1を占めていた。戦線は、組合員の投票でスト実施を決定。ストは今年2月3日から5日間続いた。結局、“部分封鎖”しか勝ち取れなかったが、余は「私たちが大規模ストをする力があることを政府に示せた」と考えている。デモ参加者たちが主導するこうした新興労組は、公務員や鉄道、金融等、多くの業種で誕生していた。ストの動きに関心を寄せていたのが、香港大学准教授の戴耀廷(55)である。戴は今年9月の立法会(※議会)選で、民主派が過半数を取れるとみていた。要は、その後だ。来年5月、立法会で予算案を否決→行政長官が立法会を解散→来年10月、立法会選で再び民主派が過半数を獲得→来年11月、立法会で再び予算案を否決――。予算案が2度否決されると、行政長官は辞職しなければならない。戴が想定していたXデーは、この後である。

業を煮やした中国は来年末、国家政権転覆行為等を禁じる『国家安全法』を導入して民主派を大量逮捕し、一国二制度を死に追いやるとみていた。その時、街頭デモや国際社会との連携に加え、大規模ストで対抗するしかないと考えた戴は、新興労組に注目していたのだ。だが、彼の想定より1年半も早く、中国が動いた。先月28日に、国家安全法の香港導入を決めたのである。「移民しないで、香港にとどまって下さい。諦めないで!」。民主派の政治家である黄之鋒(23)は今月4日、街頭で市民に訴えていた。国家安全法の香港導入が決まってから、移民斡旋業者への問い合わせが急増している。黄は市民の動揺を抑えるのに懸命だった。黄自身、同法が施行されると、海外に支援を求める活動が従来のように自由にできなくなる。立法会選への出馬準備も進めているが、当局から立候補を認められない可能性が高い。その際、代わりに出馬する民主派候補として黄が推しているのが、女性区議の梁凱晴(25、右上画像)だった。香港では、区議と立法会議員の兼職は可能だ。黄が「政治家としては素人だが、しっかりした意思を持っている」と梁を評価すれば、梁も「立法会議員は区議よりも、市民の声を政府にしっかりと届けることができる」と意欲的だ。2月の医療ストを主導した余もまた、立法会選の出馬を目指す一人である。香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする『逃亡犯条例』改正案に反対する大規模デモから、今日で1年。反政府デモは、普通選挙の実現等を求める民主化運動や反中デモに転化しながら続いてきた。“リーダーなき運動”と評されたが、街頭デモ・議会・国際社会・労組を軸にした複合的な運動に発展していった。そこが従来と異なる点で、“四輪駆動”故に1年の長期に亘って持続できたと言える。「中国は運動の成果に危機感を抱いたからこそ、国家安全法の導入に動いた」と戴はみている。「安全法が施行されれば、一国二制度は死を迎える。中国は国際社会の厳しい批判に晒されるだろう」。中国と国際社会に香港の決意を示す為、立法会選で大勝するしかない。中国が大量逮捕に踏み切れば、国際社会は更に圧力をかけてくれる筈だ。中国はどこまで耐えられるか――。戴は、民主派が同じ選挙区に乱立しないよう、候補者調整を急いでいる。自分もいつ逮捕されるかわからない。 《敬称略》 (藤本欣也、写真も)


キャプチャ  2020年6月9日付掲載

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【一国二制度の死・香港大規模デモから1年】(03) “勝利”の陰に若者らの犠牲

20200701 05
昨年11月18日深夜、香港・九竜地区にある香港理工大学付近のビル屋上。東京五輪を目指す高校生アスリートの李信栄(※仮名、18)は、身を屈めながら、恐怖と絶望に打ちひしがれていた。街中は学生らを捜索する警官でいっぱいだった。自分も見つかるかもしれない。しかし、スポンジ弾で足を撃たれ、階段から転落して腰を強く打っていた。もう逃げられないだろう。李は13歳の時に、母親と一緒に中国広東省の広州市近郊から移住してきた。香港のアパートは本当に狭く、中国の自宅のトイレぐらいの広さしかなかった。学校では、「言葉のアクセントがおかしい」とよくからかわれた。それでも陸上競技に打ち込み、漸く五輪の切符が手の届くところまで来た。しかし――。仲間に救出されたのは、次の日の朝だった。医師によると、やはり重傷だった。足と腰の骨が一部砕けていた。選手生命は絶たれた。落ち込む間もなく、信じられないことが起きる。母親の通報によって、警察に捕まったのだ。李も、中国を愛する気持ちは母親と同じだ。しかし、中国共産党を愛する気にはなれなかった。愛国と愛党は違う。だからデモに参加するのだ。それが母親にはわかってもらえなかった。「これで自分は全てを失った」。李は釈放された後、そう思った。理工大の構内から下水道を通って脱出を試みた10代の中学生・葉継一(※仮名)は、1時間余りの逃避行の末、大学の外に出ることができた。しかし、葉もまた、警察から逃れることはできなかった。マークされていたのだろう。今年に入り、別件で逮捕された。

民主派の女性候補として区議会選に出馬した梁凱晴(25、右上画像、撮影/共同通信社)も悪戦苦闘していた。立候補を表明した当日の夜、選挙区でチラシを配っていた時、後ろから何者かに硬いもので頭を殴られ、病院へ運ばれた。大事には至らなかったが、その後もポスターやチラシを破られる妨害工作は続いた。兎に角、地道に駅前に立つ他なかった。「デモを続けるだけではだめ。区議会からも政府に圧力をかけましょう!」。11月24日の投開票の結果、僅差で親中派候補との一騎打ちを制した。素人候補のまさかの勝利に、内外のメディアに取り上げられた。日本でも、容姿が似ているとして、「“香港の綾瀬はるか”が区議に!」と評判になった。しかし、本人に高揚感はなかった。「今回の選挙戦は反政府運動の一環であり、デモで戦っている若者たちの犠牲の上に私の勝利がある。私個人の力では決してない」。民主派は区議会選で8割以上の議席を獲得して圧勝した。その数日後、今度はアメリカから朗報が届いた。11月27日、ドナルド・トランプ大統領の署名を経て、中国に香港の一国二制度を守らせるよう圧力をかけるアメリカの香港人権民主法が成立したのだ。アメリカ議会公聴会で証言する等、早期成立を訴えてきた民主派の政治家・黄之鋒(23)は、記者会見でこう述べた。「(デモが本格化した昨年の)6月9日からこれまでの間に、様々な犠牲を払った香港人に感謝しなければならない。彼らの犠牲がアメリカを動かしたのだ」。丁度その頃、もう一つの流れが反政府デモから生まれようとしていた。昨年6月9日に起きた大規模デモに、元看護師の余慧明(33)も参加していた。以降、殆どのデモに加わったが、「デモの後、皆が普通の生活に戻っていく。この繰り返しでは政府を動かすことはできない」と考えていた。そこへ、10月1日の銃撃事件が起きる。デモに参加していた高校生が、警官に至近距離から実弾を撃たれて重傷を負ったのだ。衝撃を受けた余は行動を起こす。インターネット上で呼びかけられていた、業界別の労働組合を新たに作る動きに応じ、医療関係者が参加する新労組『病院管理局職員戦線』を結成した。香港の病院管理局で働く彼女が代表に選ばれたのは12月である。その時、あの新型コロナウイルスが香港を襲い、自分の人生を大きく変えることになろうとは、夢にも思っていない。 《敬称略》 (藤本欣也)


キャプチャ  2020年6月8日付掲載

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