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【言論StrongStyle】(92) 日本に真面な野党は無い…東京都知事選を機に“枝野おろし”の号砲だ!

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キャプチャ  2020年7月14日号掲載
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テーマ : 立憲民主党
ジャンル : 政治・経済

【INSIDE USA】(47) 学校の先生が大量にリストラ…新型コロナウイルスが襲う財政難の矛盾

州財政の苦境が、新型コロナウイルスの感染拡大で深まっている。連邦政府の追加支援を得られなければ、景気の大きな足枷になりそうだ。非農業部門就業者数が前月比250万人増と幅広い産業で雇用者数が増え、失業率も改善した5月の雇用統計。だが、例外的に雇用者数を大きく減らした業種が州・地方政府である。コロナ禍が深刻になる2月以来の減少者数は約160万人と、2008年のリーマンショック時の約2倍に達した。州・地方政府の雇用者急減は、財政の厳しさが背景だ。殆どの州政府は州法等で均衡財政を義務付けられている。だが、コロナ禍による景気悪化で落ち込む税収と、失業で貧困者向けの医療保険(※メディケイド)に頼る人が増えた歳出を受け、各州とも州予算の一部を削減し、赤字回避を急いでいる。同時に、州政府からの補助金削減を受け、市町村等の地方政府も緊縮財政に追い込まれた。深刻なのが初等教育への影響である。アメリカでは地方政府が初等教育を運営する。その財源の内訳は地方政府が45%、州政府による補助金が47%、残りの8%が連邦政府だ。州政府からの補助金依存度が高いだけに、州政府の緊縮財政は地方政府の初等教育を直撃する。2月から5月までの州・地方政府による雇用者減の内、約半数が地方政府による教育関連の雇用だった。初等教育の窮状は、リーマンショック時の悪夢の再来である。当時も州・地方政府は教育関連の予算を大きく減らした。だが、その後の回復は鈍く、予算規模が削減前の水準に戻ったのは2017年になってからだった。

今回の州財政の悪化は、リーマンショック時を上回りそうだ。州政府が埋めなければならない2021年度の財政赤字は、3000億ドルを超えると見込まれる。リーマンショック時の1.4倍に相当し、教育予算への影響は深刻にならざるを得ない。教育予算の削減は、雇用の悪化を通じて地方経済を疲弊させるだけでなく、格差の拡大に繋がりかねない。初等教育は貧困から抜け出す重要な手段で、州政府による補助金の削減は地域間の教育の格差を広げてしまうからだ。また、州政府の補助金削減を埋め合わせる財力は、各地方の豊かさに左右される。地方政府の税収は固定資産税に偏っている為、貧しい住民が多く住む地方は地価も低く、固定資産も少ない。教育予算を増やす余裕に乏しいのが現実である。厳しい州財政に救いの手を差し伸べられるのは連邦政府だ。連邦政府は均衡財政を義務付けられておらず、財政赤字を増やせる。これまでの感染対策予算にも、州政府への財政支援が含まれてきた。しかし、州政府が求める一層の支援上積みには懐疑的な声が一部にある。州政府によるこれまでの無駄遣いを棚に上げ、連邦政府に頼るべきではないというわけだ。実際にはリーマンショックの反省を生かし、州政府は万が一の為の基金をこれまでにない水準にまで積み上げていた。新型コロナウイルスの衝撃が、州政府の想定を上回っていただけだ。寧ろ、州財政の予想以上の悪化の背景には、セーフティーネットへの歳出増等を通じて、景気の悪化を和らげる役割があったことは見逃せない。このまま連邦政府の追加支援を得られず、困窮した州政府が医療の歳出削減等に踏み込めば、セーフティーネットは弱体化する。今後のアメリカ経済にとって不安材料だ。


安井明彦(やすい・あきひこ) 『みずほ総合研究所』欧米調査部長。1968年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、1991年に『富士総合研究所』(※現在のみずほ総合研究所)入社。在米日本大使館専門調査員・みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長・同政策調査部長等を経て、2014年より現職。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)。共著として『ベーシックアメリカ経済』(日経文庫)・『全解説ミャンマー経済 実力とリスクを見抜く』(日本経済新聞出版社)等。


キャプチャ  2020年7月11日号掲載

テーマ : アメリカお家事情
ジャンル : 政治・経済

【人が集まる街・逃げる街】(131) 山口県萩市…維新の志士を育てた三角州の街

萩市は山口県の北部に位置する、人口約4万6000人の街である。多くの日本人が思い浮かべるのは、明治維新にあたって偉人を輩出した土地柄だろう。萩は江戸時代、長州藩の城下町として栄える。幕末には長州藩士だった吉田松陰や高杉晋作、桂小五郎(※木戸孝允)らが、『松下村塾』で将来の国家像について激論を交わし、軈て明治維新へと時代の階段を駆け上がっていく。萩の中心部は三角州で、街を切り裂くように流れる阿武川は川島地区で2つに分かれ、松本川、橋本川と名称を変えて日本海に注ぐ。城下町はこの三角州地帯に、萩城は三角州の北西端、日本海に突き出す指月山の麓にあった。街全体の三方は山、残る一方は海に面し、まさに難攻不落の様相だ。この街から望む日本海の景観は圧巻だ。沖には大島、櫃島、肥島、羽島、尾島、相島の六島諸島と県最北端の見島の計7島があり、この内、大島、櫃島、相島、見島は有人島である。最も遠方に浮かぶ見島では、見島牛が飼育されている。その肉は霜降りで高品質。外国種を交えていない希少な超高級和牛で、年に数頭しか出回らない。釣り好きな人を驚かせるのが、『北長門海岸国定公園』の中心に位置し、世界最小の火山と称される笠山の麓にある明神池だ。池といっても、溶岩塊と砂州でできた汽水湖で、海から多くの海水魚が回遊してくる為、ボラやマダイ、イナダ、イシダイ等が泳ぐ。“磯の王者”とも呼ばれ、釣り上げるのが難しいイシダイが、観光客の投げるパン屑に飛びつく姿は見ものだ。

萩の課題は何といっても人口減少と住民の高齢化だ。高齢者人口比率は43%にも達し、人口は毎年1000人程減少している。主要な産業の一つである農業では、コメや野菜、夏ミカン等の果実の生産が盛んだが、農家数は1990年の5000軒から2015年には2700軒へと激減、農業就業者数も同期間に半減している。難攻不落の地に形成された街であるだけに、交通の便の悪さは特筆に値する。JR山陰本線は、地盤が軟弱な萩の中心部を避けるように迂回する。山陽新幹線の新山口駅からもバスで1時間。『萩・石見空港』は、“萩”の名こそ付いているものの、実際にはバスで1時間、『山口宇部空港』からは2時間の道程だ。市は萩の歴史と自然を生かして、観光業を伸ばすことに活路を求める。吉田松陰の妹を主人公とする大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK総合テレビ)が放映された2015年は、7月に市内にある萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、大板山たたら製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾の5ヵ所が世界遺産に登録され、萩が大いに注目された年だった。また、2018年9月には『萩ジオパーク』が日本ジオパークに認定された。同年は明治維新150周年に関連するイベントも多く開催された。だが、成果は芳しくない。2014年に230万人だった観光客数は、2015年に306万人となったものの、様々な施策後の学年でも237万人。萩に限らず、世界遺産登録や大河ドラマにより単年度で増加した観光客の勢いは持続し難いのだ。また、観光業で地域経済を潤すには、日帰りや1泊の観光にとどまらない、魅力的な滞在型メニューの発信が求められる。萩の今後の施策に期待したい。


牧野知弘(まきの・ともひろ) 不動産事業プロデューサー。1959年、アメリカ合衆国生まれ。東京大学経済学部卒。『第一勧業銀行』(※現在の『みずほ銀行』)や『ボストンコンサルティンググループ』を経て、1989年に『三井不動産』に入社。『三井不動産ホテルマネジメント』に出向した後、2006年に『日本コマーシャル投資法人』執行役員に就任し、J-REET(不動産投資信託)市場に上場。2009年に『株式会社オフィス・牧野』、及び『オラガHSC株式会社』を設立し、代表取締役に就任。2015年に『オラガ総研株式会社』を設立し、代表取締役に就任。著書に『なぜビジネスホテルは、一泊四千円でやっていけるのか』(祥伝社新書)・『2020年マンション大崩壊』(文春新書)等。


キャプチャ  2020年7月11日号掲載

テーマ : 住宅・不動産
ジャンル : ライフ

【劇場漫才師の流儀】(138) 116日ぶりの舞台

先月26日、実に116日ぶりに『なんばグランド花月(NGK)』の舞台に立ちました。僕らの漫才は、1週間空いたら息と間(※喋るタイミングと待つタイミングのこと)が狂ってしまうのですが、1週間どころか約4ヵ月も空いてしまうと、それよりもネタを飛ばさないかだけが心配でした。前日に阪神君と1時間ぐらいネタ合わせをしたんですが、やり慣れた劇場ネタとはいえ、お客さんがおらん所でやってもしっくりこんのですよ。ネタ合わせの最中もネタを忘れて、直ぐ詰まってしまうというか。きっと、お客さんの笑い声や反応と一緒にネタを記憶しているんでしょうね。テレビ等でご覧になった方もいるかもしれませんが、今、吉本の舞台は密にならないよう、スタンドマイクを2本立て、その間に大きなアクリル板パネルを立ててやっています(※『吉本新喜劇』のような集団演劇はどうしたって密を避けられないので、未だ休演中です)。今回、他の漫才師の方々は2本のスタンドマイクでネタをやっていましたが、僕らはお願いしてハンドマイクにしました。偶に営業等で使うこともあるんですが、ハンドマイクだと動きにも幅が出ますし、スタンドマイクの時のように、話す時に顔を近付ける必要もないので、咄嗟に言葉を挟めたりもします。中々劇場で使うことはありませんが、特に違和感はありませんでしたね。

ただ、やはり大きかったのはブランクです。1ヵ所、ネタが飛んでしまって…。阪神君に至っては気付いてもいませんでしたが(笑)。アクリル板パネルは思ったほど気になりませんでしたが、ネタは制限されてしまいます。医者ネタ等は体に触ったり、聴診器を当てたりするのでできませんもんね。レントゲンを撮るシーンで、アクリル板に胸を当てさせるとか、逆に利用する手もありますけど。ネタ中、阪神君を叩いてツッコミを入れたいところが何度かあったんですが、ずっと我慢していました。それでも一度だけ我慢できず、息を止めてアクリル板の仕切りを越えて突っ込ませてもらったら、そこはまぁまぁウケましたね(笑)。客席はソーシャルディスタンスを守る為、NGKでは858席中、112席しか使っていません。普段、100人くらいのお客さんの前でやることもあるんですが、そういう時は大体、前のほうに集まってもらいます。だから、今回のように前後1列、左右3席ずつ空けて、ポツポツと均等にお客さんが入っている光景は、何とも不思議でした。僕らも目線が定まらないですし、これで爆笑を取るのはちょっと無理やなとも思いました。ただ、そんな状況の中でも見に来てくれはるお客さんには感謝しかありません。


オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(共にワニブックス)。


キャプチャ  2020年7月20日号掲載

テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

【山根明のノックアウト人生相談】(76) たばこくらい止めたらどうですか?

Q. 妻が相談もなく、「来月、正社員の仕事を辞める」と言い出して驚いています。子供はおらず、家事も分担してきたつもりで、仕事を辞める程の負担はかけていないと思います。転職活動もせず、暫く専業主婦をするそうです。正直、今の自分の稼ぎでは相当切り詰めないと妻を養えません。飲み代やたばこ代を節約するはめになるかと思うとショックです。妻は「結婚しても働く」と言っていたのに、裏切られた気持ちです。どうすれば妻を働く気にさせられるでしょうか? (千葉県・35歳・会社員)

A. 山根明がね、若しこういう立場になったとしたら、嬉しい話ですね! 「愛する女房は常に近くに置きたい!」いう気持ちですから。だから、この話は決して悪い話じゃないね! 嫁さんが家庭に入るいうことに関して、僕の場合やったら、非常に歓迎する! その代わり、今7~8時間仕事しているとしたら、最低11時間でも12時間でも働く! やっぱり男いうのはね、ある程度、女性に対して養う義務があると思う。どうしようもない事情で、お金儲けもできず、生活していくのもいっぱいやという方も、沢山おられるけど。努力によってね、それなりの幸せもやって来ますから。35歳の男性となってくるとね、馬力はバリバリにある年代です。もう何十時間働いても大丈夫ね! だから、奥様を愛しているんやったら、今の倍働くようにしたらどうですか? たとえ1年でも2年でもね。その後で、奥様に「俺もしんどいんやけど、ちょっと助けてくれ」とか言ってね。それで協力してもらって、結婚生活をしたほうがいいんじゃないかと。奥様が家庭に…ってね、男・山根から見たら、この男性は幸せですよ! 今の時代の女性ってね、家にジッとおる方なんて少ないですよ。いてないのが殆どなんですよ! 殆どは表に出て、無論、仕事もしますけど、結構、遊んでいるわけですよ(笑)。だけど、この方は反対なんやね。だから、良いように解釈をして、3年は頑張って! 奥様の気持ちが変わるまで頑張るべきや。男としての義務ですね! たばこも止めなならんと言っているけどね。僕はたばこを1日60本以上吸っとったの。だけど、キチッと止めてね、もう4ヵ月になります。3月1日に止めましたから! 病院行って禁煙している人間もおるけど、僕からしたら考えられへんね。男らしくない! 僕はね、一旦自分の口で「止める!」言った場合はきちんと止めます。だって、他人様の為でも家族の為でもなく、己の為に止めるんですからね! 僕の場合は、お金がないんじゃなくて、健康管理と新型コロナウイルスの影響です。「たばこは肺に良くない」ということを聞いたんでね。だから、この男性もね、たばこ止めたら、ちょっとでも家計が助かりますから。健康の為にも良いと思いますよ。その程度はね、お止めになったらどうですか? 奥様が専業主婦になるっちゅう意味では、嬉しい話やんか。だから、ご主人も協力してね。「頑張って下さい!」と言いたいね。


山根明(やまね・あきら) 『日本ボクシング連盟』前会長・在日コリアン2世。1939年、大阪府生まれ。大阪商業大学ボクシング部ヘッドコーチ、大阪経済大学ボクシング部監督、シドニー五輪日本選手団ボクシング競技監督を歴任。2011年2月に日本ボクシング連盟会長に就任、2012年10月に理事会全員一致で終身会長となったが、助成金の不正流用等を理由に2018年8月8日を以て同会長・理事を辞任。著書に『男・山根 “無冠の帝王”半生記』(双葉社)。


キャプチャ  2020年7月20日号掲載

テーマ : 人生を豊かに生きる
ジャンル : 心と身体

【騙す悪党・騙されるアホ】(20) 出版不況下に“デマ本”を撒き散らすアホ



今年1月、不況に喘ぐ出版関係者は、2020年の幕開けに際して一縷の光を見ていた。1月24日、公益社団法人『出版科学研究所』が、2019年度の出版業界の市場規模を発表したのである。それによると、同年度の出版市場規模は1兆5432億円(※紙書籍6723億円、紙雑誌5637億円、電子3072億円)である。この数字の何が凄いのかと言えば、前々年度(※2018年)の同市場規模1兆5400億円よりも、微々たるものだが市場規模が反転(※+32億円)したからである。出版市場は、1996年の2兆6564億円をピークに、以来、消費者物価指数よりも遥かに高い割合で減少を続けてきた。この数字を出版関係者は、活字離れ、長期デフレ、少子高齢化、インターネットの普及、消費税増税等様々な理由で説明しようとしてきたが、結局、徒労であった。他の不況業種以上に、出版業界だけが説明のつかない縮小に見舞われ続けてきたからである。ところがこの数字が、漸く微小なりとも反転したことが判明したのだった。縮小を続けてきた出版業界にも底が見えたという事で、今年は更なる反転攻勢の時期であると喜び勇んだのも束の間、コロナ禍の到来である。4月初旬における大手取次会社『日版』のPOSデータによれば、コロナ禍による外出自粛と書店休業があるものの、前年同月比でコミックは出荷約2割増、書籍はほぼ変わらず(※一方、雑誌は2割弱減)と、書籍需要が概ね底堅いとの報道が出たが、これはあくまで4月初旬の短期間を切り取っただけであり、今後の見通しは全くわからない。緊急事態宣言が発令されてから、東京都は古書店に対しては休業要請、書店に対しては休業要請をしないというちぐはぐな方針を打ち出した。

だが、“お上の要請から逸脱すると世間から白眼視される”等という不可解な翼賛意識が蔓延する中、書店はその規模の大小を問わず、休業要請が出ていないのにも拘わらず、自主的に閉鎖する動きが相次いでおり、この動向は出版業界にとって更に厳しいことを暗示させるものである。結局、今の時代、書籍流通は通販の天下等と言っているが、未だ全紙書籍における約7~8割が実店舗を通じた購買である以上、実店舗が閉鎖となれば業界全体に与えるダメージは計り知れない。当初、こうした実書店の休業による減を代替するものとして勝手に期待していた通販サイトは、生活必需品の出荷を優先し、書籍の納品を渋っているとの情報もある。水や食料、日常消耗品等を最優先とし、“不要不急”である書籍は後回しという状況で、期待していた書店休業の代替としての通販サイトの活躍は、その見通しがかなり怪しくなってきた。出版業界は今年、荒天の中に垣間見た束の間の日差しを最後に、再び大きな縮小を余儀なくされるだろう。業界の末端にいる私としても、これは極めて由々しい展開であるが、最早万事休すの感が否めない。書店が閉まり、図書館も閉鎖し、外出が“不可解な翼賛体制”の中で憚られる今、ウェブニュースには“今こそ読むべき本”等の特集が乱舞している。アルベール・カミュの『ペスト』、小松左京の『首都消失』『日本沈没』等である。だが、往々にしてこのような名著を実際に“この機”に乗じて購入して読んだ人物を見たことがない。インターネット上で繁茂するのは、著名アーティストが先導する、愚にもつかない“#お家で踊ろう”動画だったり、ゲーム実況、既存の芸能人の自宅中継動画、料理動画等である。では、地上波テレビで書籍の特集が組まれるのかというと全くそんな風潮はなく、医学に無知な落語家や芸人等のコメンテーターが「PCR検査が、PCR検査が」等とまくし立て、生活情報コーナーでは「テレワークで夫も子供も家にいるので食費が高騰! 70円以下でできる節約レシピ」等が跋扈しているのだから、始末に負えない。一食を70円以下で抑えようという時に、1000円以上する一般書など買うわけがない。

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テーマ : 本、雑誌
ジャンル : 本・雑誌

【ときめきは前触れもなく】(34) 美意識という無上の資産

青森県弘前市に住む友人から手紙が来た。長らく『暮しの手帖』で原稿等を書いていた女性で、独得の文体のエッセイを書く。水茎の跡麗しい墨字で、青森と五所川原のカルチャーセンターが閉校になったことを伝えていた。新型コロナウイルスのせいで、各地の文化センターが消えていっているという。彼女は長らくエッセイ教室の講師を務めていたが、24日が最終日になった。そこで記念文集を出すことにして、編集から印刷まで皆、自分たちの手弁当でやったそうだ。私の講演を聞いて、私のことを書いてくれた人もいる。片山良子さんというその同い年の友人は、嘗て私が弘前に講演に行った時に、担当者が空港から真っ直ぐ連れていってくれた林檎園の女主人であった。手作りの昼食でもてなされ、元々、東京から疎開で弘前に来たという彼女とすっかり打ち解けた。岩木山の麓に広がる林檎園へ私を連れていってくれるという。麦わら帽子を被り、すっかり林檎園の少女になって、その年一番早く収穫する『茜』という小ぶりの林檎を見に行った。無袋林檎という袋を被せず自然に近い栽培法なので、日の当たる側が紅くなったら、日陰の部分を日に当てる為に、手で軸を回してやる。茜は拳ほどの大きさで、真紅の皮に包まれた肌は蒼白いほどの白さである。少し酸っぱくて、昔からある林檎の味がする。羚羊が岩木山から降りてきて顔を出す刻もあるとか。

それから何度通ったろう。5月頃、桜を追って裾野一面が霞のように白くなる林檎の花をどうしても見たくて訪れたことも。真白い花なのに、染めると黄色くなるという。彼女が『暮しの手帖社』からエッセイ集を出すことになった。『明日も林檎の樹の下で』というタイトルで、私が会員の国際文化会館で出版記念会を開くことになった。林檎というのは、鳥や獣や沢山の動物たちが集うからその名がついたと、御主人から教えて頂いた。片山さんの林檎は、箱を開けた瞬間から匂い立つものが違う。人々の手がそれだけかかっている証拠だろう。息子さんに代を譲って、89歳の御主人の世話をしながら、彼女は『太宰治まなびの家』の館長をしたり、カルチャー教室でエッセイを教えながら今を過ごす。本当に良いもの、美しいものを知る数少ない女だ。その彼女の美意識を教える場所がなくなる。残念だ。各地でカルチャーセンターが閉校するのは、一時のカルチャーブームが過ぎたからでもある。生徒が集まり難いというが、月一回、私が唯一、二十数年続けるNHK青山の『下重暁子のエッセイ教室』には、東京近郊だけでなく、鶴岡、上田、浜松等、遠くからずっと通ってくれる方がいる。男性も多く、年代も職業も様々。密を避けて休講の時も、彼らで始めたメール句会『あかつき』は続いている。コロナ禍で文化が失われていくことが何とも寂しい。


下重暁子(しもじゅう・あきこ) 作家・評論家・エッセイスト。1936年、栃木県生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業後、『NHK』に入局。名古屋放送局や首都圏放送センターを経て、1968年からフリーに。『家族という病』(幻冬舎新書)・『若者よ、猛省しなさい』(集英社新書)・『夫婦という他人』(講談社+α新書)等著書多数。


キャプチャ  2020年7月10日号掲載

テーマ : 生き方
ジャンル : ライフ

【誰の味方でもありません】(157) “夜の街”のもっと広い意味

https://megalodon.jp/2020-0709-2028-03/www.dailyshincho.jp/article/2020/07090555/?all=1


キャプチャ  2020年7月9日号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【危機の羅針盤】(12) 仕分けが肝心、クレーム対応

1999年の夏、ある暴言がインターネット上で“熱い”議論を呼んだ。警察OBの『東芝』の社員が「お宅さんみたいのはね、クレーマーちゅうの!」と言い放った音声が公開されたからだ。何と、1ヵ月に600万件ものアクセスがあったという。そして、このクレーム騒動は、まさに世紀末の様相を呈することになったのである。音声を公開したのは福岡県に住む男性。ビデオデッキの不具合で、何度も東芝にクレームをつけた人物だ。週刊誌の報道によれば、福岡の『ベスト電器』から2年間に384万円の買い物をして、その内の235万円分の商品を返品していたという。驚くべき返品率だ。すぐさま東芝は記者会見を開いた。町井徹郎副社長(※当時)は、「如何なる事情を考慮しても不適当なもので、真摯に反省している」と謝罪。しかし、記者の質問には、「一般論として、インターネットなら何をやってもいいというわけではない。一方的な自分の見方を公表することが許されるのか」と反論も交えた。その言葉が火に油を注ぐこととなり、町井副社長は福岡まで謝罪に出向くことになった。ところが、その謝罪の場面でも一悶着が起きてしまったのだ。謝罪を受けた男性が、「暴言のことは許しますが、私を総会屋の窓口に回したことを詫びてほしい」と要求。それに対して、「その対応は間違っていない」と反論。結局、物別れに終わってしまったのである。日本を代表する企業の副社長が、インターネットを通して消費者に屈服させられた。そのニュースは世の経営者に暗い影を落とし、クレーマーを勢いづかせた。別の見方をすれば、企業と消費者のパワーバランスを変えた瞬間とも言えよう。この事件には、企業のクレーム対応における大切な教訓が含まれている。キーワードは、“私を総会屋の窓口に回したこと”という件だ。

当時は総会屋という存在が跋扈していたから、その窓口もあって、面倒なトラブルを全て引き受けていた。そこに回されたことを言ったのだろう。確かに、消費者と警察OBが対峙する構図は、適切とは言い難い。今の警察官の態度は謙虚だが、当時は未だ“おいコラ”型が少なくなかったからだ。冒頭でご紹介した暴言も、そんな土壌から出てしまったのだろう。企業にとって警察OBは有用な人材だ。とりわけ犯罪という領域の危機管理には、今でも欠かせない存在とも言える。顧客情報の窃盗やインターネット上での犯行予告等は、警察の助けを借りなければならないから。勝手を知り、人脈を持つOBは有り難い存在となるのだ。では、企業のクレーム対応は今後、どのように行なっていくべきなのか。答えは、“仕分け”という発想を持って臨むこと。即ち、クレーム対応を一律にせず、先ず分類から始めるのだ。具体的に言えば、①愚痴のレベル②真っ当な要求レベル③常識外れな要求レベル④犯罪的な要求レベル――の4つに。そして、其々に適した人材に応対させるのである。①には聞き上手なタイプを。また、②には分別のあるタイプ、③には法律に詳しいタイプ。更に、④には警察OBや弁護士というように。分担するのだから、他部署との兼務でも十分な筈だ。東芝の場合は、③を飛ばして④を投入してしまったのだろう。この“仕分け”という発想は、個人の危機管理にも応用が可能だ。例えば、嫁と姑の関係においても。姑がご立腹になられた時、嫁はそれを“愚痴”・“教育”・“怒り”・“苛め”の4つに分類してみる。その上で、“愚痴”は辛抱強く聞く。“教育”は学ぶ姿勢でメモを取る。“怒り”は上手に謝罪する。“苛め”は亭主の助けを借りるといった対応を取るわけである。コロナ禍のせいでテレワークになって、家族で過ごす時間が増えた。そのせいでDVも増加しているという。夫婦の間で試してみる価値はありそうな気がする。 (リスクコンサルタント クラッチ・ビット)


キャプチャ  2020年7月9日号掲載

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

【寝言は寝て言え!】(157) 愛なき“不時着”続く南北関係

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/07100555/?all=1


キャプチャ  2020年7月9日号掲載

テーマ : 北朝鮮問題
ジャンル : 政治・経済

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George Clooney

Author:George Clooney

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