【天下の暴論2017】(05) 日本も国境に“壁”を作れ

20170525 01
老生、怪しげな霞を食ってその日を凌いでいる世捨人であるが、時々、人様の面への引っ掻きを楽しむ悪人である。その武器は、ただ1つ。大阪人特有のド現実主義。これは、抽象化好きの知識人連中から最も嫌われる。さりながら、ド現実はド抽象であり、ド抽象はド現実であるとドイツの大哲学者が喝破したと学んだ遠い昔の記憶のままに、浮世の出来事について些か引っ掻いてみたい。先ずは、老生のホームグラウンドの中国。我が国の仮想敵国である。ならば十分に知り尽さねばならぬが、浮世の中国分析は甘い。例えばこうだ。中国の軍事費大増額を基に、南シナ海における中国海軍増強に由る海戦の危機を訴える。それはそれで良い。優等生知識人の素直な観点である。しかし、ド現実主義に立つと、「日本との海戦は先ず起らない」と見る。何故か? 答。殆どの中国人は泳げないから。問。何故泳げないと断ずるのか? 答。中国の公立小・中学校に維持費のかかるプールが殆ど無く、泳ぐ訓練を受けていない。私学の一部にはプールがあるが。日本の公立小・中学校の8割以上がプールを持っている。日本人の8割くらいが泳げるのは、その割合の結果である。問。しかし、海や川があるではないか? 答。殆ど全てが環境汚染されているドブ川・ドブ海。入ると生命が危ない。という訳であるから、泳げない中国海兵にとっては、いくら救命具を身に着けるとしても、海戦において艦船が沈められ、海に投げ出される時の恐怖は想像を絶する。一方、我が海上自衛隊員は、ほぼ100%泳げるのみならず、2㎞や3㎞の遠泳もできる。そういう泳げる強兵に対して、泳げない弱兵が戦いを挑むであろうか? いくら機械化され、IT化されても、最後は生身の人間の戦いなのである。これがド現実主義観点の例である。

という立場で、今が旬の世のドナルド・トランプ論を眺めると、更に引っ掻きたくなってくる。世の知識人という知識人は、彼を馬鹿にして罵倒した。いや、罵倒してきて、今もそれが続いている。トランプを罵倒することが良心派・良識派の証である気に。愚かな話である。良心派良識派知識人の大好きな『論語』に、「人(他人)の己れを知らざるを患えず。(己れが)人(の優れた点)を知らざるを患う」(学而篇)とあるのを御存知ないか? 彼らが嗤った最大のトランプ政策は、「メキシコとの間に壁を作り、メキシコからの不法侵入を防ぐ。壁作りの費用はメキシコに負担させる」というものである。しかし、老生は驚嘆した。その鮮やかな“現代性”に、である。歴史を顧みるがいい。人類は森の中で自然物採集や小動物捕獲によって細々と生活していたが、軈て平原上の生活となる。そして、移動する狩猟民族と定着する農耕民族とに分かれ、次第に農耕民族(※漁業も含む)が中心となった。そのどちらにせよ勿論、肉体労働であり、頭脳労働の要員は一部だった。だから、極普通の身体であれば働く場所も仕事もあった。有史の古代、中世となっても同様であった。いや、産業革命後も、エネルギー源の中心となった石炭を得る為に盛んとなった鉱業も、依然として肉体労働中心であった。機械や工具を動かすのも、実際は肉体労働であった。そして、それに従事した人々の多くは農業からの転業者であり、肉体労働という労働形体がそれを可能にした。即ち、古代・中世・近世、そして近代の大半において、肉体労働が労働の中心であり、多くの人々はそれによって生計を立てることができた。ところが、現代に至るや職業内容に劇的変化が訪れる。エネルギーの中心となった石油を得る時、石炭を得る方式と異なり、機械化が進み、重労働は無くなった。原子力エネルギーとなると、更に人数も少なくなった。これらエネルギーを十分に利用できる諸工業は、次々と省力化に成功し、自動化してきている。商業も物流が機械化されてきている。つまり、肉体労働的要素が劇的に減ってきたのである。その結果、肉体労働によって生活してきた人々の働く場所が激減した。農業も機械化や金肥と共に、少人数で短時間でできるようになってきた。こうして、肉体労働で生活してきた非常に多くの人々の働ける場所が消えてしまったのが、現代なのである。「しかし、働かなければならない。いや、働きたい。だが、働ける場所が無い」という状況が、近代化を推進してきた嘗ての先進諸国に起きてきているのである。アメリカがそれであり、何を隠そう、日本もそうなりつつあるのだ。更に言えば、肉体労働者向きの人が頭脳労働に転業するのは困難、いやできない。そして、僅かに残されていた肉体労働の口も、入国した外国人に奪われていっているのである。この不満にある多くのアメリカ人に対して、トランプは社会福祉的雇用としての公共事業、即ちメキシコとの国境壁建設計画を打ち出した――。そう老生は見る。鉄筋とセメントと砂とがあれば、高度の技術が無くとも国境壁は作れる。多くの無技術肉体労働者にとって、いい仕事である。しかも、10年・20年と続くことであろう。現代の持つ労働問題への果敢な挑戦をトランプ政策から学ぶべきは、日本の政治家なのである。日本にも同様の問題があるではないか? それへの対応政策はあるのか? 多分、無い。ならば、偽物世捨人の老生、一案を呈さん。心あらば嘉納を。

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【警察・腐敗する正義】(19) 顔を上気させてターゲットを監視…美女のストーカーと化す公安警察の“エロ捜査”

20170518 01
このところ、公安警察が忙しい。2015年7月、衆議院にて安保法案が可決した頃から、学生から派生した左翼活動団体『SEALDs』を始め、若い男女の左翼系活動家をマークすることが多くなったからだ。特定秘密保護法に抵触する恐れがある為、絶対匿名で部署や役職も明かさないという条件で、警視庁公安部に勤めるA氏(40代)に話を聞いた。「全国の学生系左翼団体に対して、『見ているよ』と伝える為の任務と、隠れて監視する任務があります。私の仕事は主に後者ですね。全国の反政府運動、とりわけ若い男女が主体の団体は分散している為、監視はかなり緻密な計画に基づいて進めざるを得ません」。とはいうものの、「1人のターゲットを十数人で見ることもあり、人数と経費の無駄も感じる」とA氏は言う。「東北の団体の場合は、所轄の公安課や公安調査庁のスタッフも来ます。更にややこしいことに、元公安の探偵社調査員も来ていたりする。学生団体のデモ等に、一見してそれとわかるごつい男たちが集まっていると、ある種、異様な光景になりますよ」。メディア戦略に長けているある学生団体は、美人女子大生を先頭にしてシュプレヒコールを挙げる。公安警察も1人の男である。「時には暴走することもある」とA氏は語る。「多くの場合、活動の中心にいるメンバーを監視します。お気に入りの女性メンバーを自主的に尾行して、自宅を割り出し、興奮した面持ちでウォッチし続ける同僚もいますよ。完全に変態ストーカーですね」。そんな中で、2016年春に“事件”が起こった。ある公安所属の男性が、本来のターゲットは暴力的な左翼ゲリラなのにも拘わらず、元ストリッパーの反原発活動家にぴたりと張り付いていたことが判明したのだ。

エスカレートした彼は、元ストリッパー活動家の交際相手とのメールのやり取りから、身に付けている下着の色まで掌握していたという。「彼が調査員として優秀なのは確かです。しかし、完全に暴走してしまった。他のメンバーにも、お気に入りの監視対象の彼氏に女性のふりをしてメールをしたり、ハニートラップで別れさせるなんていうことをやったりした人間がいます」。直接触れることはできないが、私生活を覗き見たい――。まるでアイドルファンの心理に酷似している。こんな危険な人間たちに、国家予算を渡していいものだろうか? 「監視していた巨乳美人を好きになってしまい、偶然の出会いを装って付き合い始めた人間もいます。尤も、そいつは仲間の嫉妬を買ってしまい、チクられて直ぐに解雇されましたがね。ざまあみろです」。そんなA氏自身も、とりわけ興味を持った活動家がいたという。「元AKB48の篠田麻里子に似た大学院生のTという活動家です。兎に角、可愛い子で、団体内の男に狙われるのはわかるが、毎週のように付き合う男が変わった。また、ライブチャットを使って“スポンサーの男”を何人もキープしていて、家賃や学費を全額出してもらうどころか、友人同士で行くヨーロッパ旅行の費用もスポンサーに負担させていたのです」。“プロ市民”ならぬ“プロ愛人”とでも言えようか。Tは徹夜でライブチャットをした後、大学に出向き、夜になると活動団体の会合に行く。それでいて週に一度はデモに出かける体力があるのだから、若さというものは羨ましい。ただ、A氏によれば、最近は学生団体の様子が変わってきているという。「新左翼系団体が入ってきています。だから、公安警察も監視を強化する必要がある。好きな女を追いかけるのを止めて真面目に監視しないと、取り返しのつかないことになる可能性もあります」。新左翼系団体のメンバーにも美女が多い。「伝手で学生団体に入った彼女らは、次第に主要な男性幹部を“女の魅力”で籠絡していく」とA氏は語る。「共産党の女性スパイの虜になった学生幹部は必ず、共産党の方針に心酔していきます。純粋な問題意識で始めた学生組織も、いつしか共産党の“票田”となっていく。この構図は昔から変わりません。“国を何とかしよう”という学生の純真さが利用されている。心が痛み、夜も眠れません」。ストーカー行為は程々にして、公安警察に求められる真っ当な職務に邁進してほしいものだ。 (取材・文/フリーライター ハイセーヤスダ)


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清水富美加を手中に収めた『幸福の科学』の洗脳力――居心地の良さと使命感、信者を篩にかけ続けた30年

20170517 10
「22歳 衝撃引退…“出家”清水富美加 幸福の科学『実は信者』(スポーツ報知)、「朝ドラ女優 清水富美加 “出家”引退 『幸福の科学のために働きたい』」(日刊スポーツ)――。各スポーツ紙の1面に、こんな見出しがデカデカと躍った。テレビのレギュラー出演番組2本、出演映画は撮影済み3作、撮影中1作、放送中のテレビCM2社という人気女優の清水富美加(※左画像)が突然、『幸福の科学』への“出家”を理由に芸能界引退を表明したのだ。約2週間、各メディアが連日、このニュースを報じ続けた。第一報が流れた当日、幸福の科学は清水不在で教団幹部と弁護士が記者会見を開いた。そこで発表された清水直筆とされるメッセージには、清水自らが“洗脳”という言葉を用いた一文があった。「皆様から見たら洗脳とも取れるであろうこの一連の出来事やこの約8年間で感じてきた素直な気持ちを、これから、偽りなく、明かしていきたいと思います」。更に、“病気療養中”である筈の清水の告白本『全部、言っちゃうね。』が『幸福の科学出版』から発刊。ここにもまた“洗脳”の文字が。「洗脳上等だよって感じですよね。『洗脳されてるんじゃなくて、されるの選んでるんだ』っていう気持ちなんですよね、こっちからしたら」。自ら洗脳されることを選ぶ。一体、どういうことなのか? 幸福の科学には、『オウム真理教』のようなLSD等の薬物を用いる修行や、体力を削り、思考力を奪うような激しい修業は無い。『統一教会』(現在の『世界平和統一家庭連合』)のように、正体を隠したり偽ったりする“偽装勧誘”も無い。

幸福の科学には、忠誠心を疑われた教団職員が長時間、詰問されたり反省を求められたりする“打ち込み”と呼ばれるものはある。しかしこれも、基本的に一般信者ではなく職員向けのものだ。現役信者のA氏は、こう語る。「私は信者と言っても、今は教団支部に殆ど顔を出していません。1年ほど前に教団は退会手続きのルールを厳格化し、自由な脱会が認められなくなりました。しかし、手続きなんかしなくても、顔を出さなくなれば事実上、脱会したも同然です。名簿上は信者のままですが、しつこい誘いや慰留はありません。幸福の科学は、一般信者にとって“怒られない宗教”なんです。支部毎に勧誘ノルマや植福(※布施)のノルマがあって、達成できなければ支部長が左遷されたり降格されたりします。しかし、それで一般信者が責められることはない。温い宗教ですね」。支部長等が信者に高圧的な態度で布施をせびるケースも聞かないではないが、それが教団全体で組織的に行われている様子はない。総じて、“洗脳”を連想させるような強烈さは見い出せない。しかし、その教義や活動は強烈に現実離れしている。自身を“宇宙の根本仏”・“地球至高神エル・カンターレ”・“再誕の仏陀”と称して憚らない教祖・大川隆法。歴史上の人物ばかりか、存命中の政治家・芸能人・宇宙人の霊まで呼び出す“霊言”。大川は、2011年に霊言本『宇宙人との対話』で、宗教指導者としては初の“日本トンデモ本大賞”に輝いたほどだ。強烈な“洗脳”が無いなら、何故信者はここまで荒唐無稽な教義を信じるのか? 清水が言うように、「自分から洗脳されることを選ぶ」だけでこうなれるものなのだろうか? カルト宗教の問題に取り組む研究者や弁護士たちの間では、“洗脳”という言葉は先ず使われない。第2次世界大戦時に捕虜を思想改造した中国共産党の行為を語源とする“洗脳”は、暴力や薬物を用いた強制的な手法を指す。一方、カルト宗教について使われる用語は“マインドコントロール”だ。社会心理学者の西田公昭(立正大学)は、著書『マインド・コントロールとは何か』(紀伊國屋書店)の中で、「洗脳は行動上の強制に過ぎず、人の信念に影響を与え、さも自発的行動であるかのように人を誘導するのがマインドコントロールである」と指摘する。清水が言う“洗脳”も、“マインドコントロール”と呼ぶほうが相応しいだろう。しかし本稿では、専門用語ではなく、社会一般の慣用的な俗語で語った清水の感覚を尊重して、敢えて“洗脳”という言葉で話を進めたい。幸福の科学を辞めた元信者の口から時折、“自己洗脳”という言葉を耳にする。自ら大川の望む行動を取りがちな信者の傾向を指す表現だ。幸福の科学の立教は1986年。その最初期に入信し、1990年代初頭から教団職員を務めた脱会者のB氏は、「教団の方針や行動が大きく変化したターニングポイントが幾つかあり、それが結果的に信者の“自己洗脳”空間を作り出したのではないか?」と指摘する。

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【憲法のトリセツ】(09) 伊藤博文の立憲主義は本気だった

20170517 08
「大日本帝国憲法(旧憲法)には自由主義的な側面がかなりあった」と前回書きました。にも拘わらず、日本が軍国主義国家になってしまったのはどうしてでしょうか? 帝国憲法のどこに問題があったのかを考えてみましょう。先週の土曜日は建国記念の日でした。日本書紀によれば、初代の神武天皇は2677年前の元日に即位しました。これを今の暦に換算して、2月11日を国の始まりの日と定めたのです。戦前は“紀元節”と呼んでいました。明治22(1889年)のこの日、帝国憲法は発布されました。「国の始まりの日に、新たな国家のスタートを宣言したい」――。明治政府のそんな気分が窺えます。明治維新は、天皇を囲む公家と江戸幕府からの権力奪取を目指す薩長土肥の藩閥勢力の連携でなされました。当初は公家が太政官等の高位に就き、藩閥勢力はその下に置かれました。君主制から立憲君主制への移行には、近代国家としての体裁を整えると同時に、天皇の名を利用して権威を保とうとする公家を追い落とす狙いもあった訳です。更に、藩閥勢力の内部でも勢力争いはありました。1877年の西南戦争と相前後して、長州の木戸孝允と薩摩の大久保利通が亡くなり、伊藤博文や井上毅ら官僚が台頭しました。他方、軍備強化に伴い、山県有朋ら軍人も勢いを増していました。帝国憲法の条文には、こうした権力闘争が反映されています。

起草者である伊藤や井上は、「天皇の権限があまりに大きくなると公家の発言権を高めかねない」と懸念。律令型の統治機構を内閣制に移行させることで、省庁を掌握する官僚が国を動かす仕組みにしようとしました。その為に帝国憲法に盛り込んだのが第55条です。「国務各大臣ハ天皇ヲ補弼シ其ノ責ニ任ス」。“補弼”とはお手伝いのことですが、「責任がある」とも書いてあります。伊藤自らが書いた帝国憲法の解説書である『憲法義解』を現代語に訳した相沢理編著『“憲法とは何か”を伊藤博文に学ぶ』(アーク出版)から引用します。「法律・勅令およびその他の国事にかかわる詔勅は、大臣の副署によって初めて実施すべき効力を得る」。つまり、「大臣が賛同しなければ天皇の命令でさえも紙屑である」というのですから、相当に厳格な君主権の制限です。現憲法第7条「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」と比べても、遜色ありません。伊藤は初代の首相として、明治政府の最高権力者の地位を手に入れました。山県ら軍も黙っていませんでした。伊藤が行政のトップに立つことは認めましたが、「軍の領域には踏み込んでくるな」と押し返したのです。それが、帝国憲法第11条「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」です。軍は天皇が統帥、つまり直に率いているので、行政から独立した存在であると読めます。伊藤は再び、「“補弼”を活用しよう」と思い立ちました。「日露戦争(1904~1905年)に勝ち、存在感を高めた軍の力を削ごう」と、1907年に明治天皇に“公式令”という勅令を出させました。その第7条は勅令について、「内閣総理大臣年月日ヲ記入シ之ニ副署シ」と定めました。勅令は内閣の補弼で出すことも、軍の要請で出すこともあったのですが、この結果、軍が自分に都合のいい勅令を出させることに成功しても、首相が日付を記入するという事務手続きを怠れば発効しなくなったのです。振り返れば、伊藤は帝国憲法の制定過程において、枢密院でこんな発言をしています。「憲法ヲ創設スルノ精神ハ第一君権ヲ制限シ、第二臣民ノ権利ヲ保護スルニアリ」。自分が権力を握りたいとの下心が見え隠れしていたとはいえ、伊藤が本気で日本を立憲国家にしようとしていたのは間違いありません。

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【日本の政治・ここがフシギ】第2部(04) “劇的”遠い党首討論

20170516 06
「見ているだけで楽しい。面白ければ人は見るよ」。イギリス出身の俳優であるイアン・ムーア氏がこう語るのは、イギリス議会下院のクエスチョンタイム(QT・左画像)だ。イギリスでは、毎週水曜日の正午から約30分間、首相が出席して、野党党首を含む与野党議員と激しい討論を繰り広げる。その様子はまさに“白熱”だ。質問したい議員が、議長の指名を得ようと次々と立ち上がる。首相は書類を抱え、激しい野次の中、全ての質問に答える。放送を楽しみにするイギリス人も多いという。日本も2000年、議院内閣制の先輩であるイギリスを参考に、党首討論を正式導入した。4回臨んだ野田佳彦前首相が「膠着した局面を打開する乾坤一擲の場だった」と振り返るのは、2012年の自民党・安倍晋三総裁との対決だ。“野田おろし”の動きがある中で、逆転の一手として討論中に衆議院解散を表明。議場は「おおーっ」とどよめいた。だが、こんな劇的な党首討論はこの時ぐらい。イギリス国民にとってのQTのような存在感は、日本の党首討論には無い。当初は原則、週1回開く方針だったが、実際は2000年の年8回が最多で、2013年以降は年1~2回だけ。与野党は2014年に月1回開催を申し合わせたが、それも形骸化した。

日本では、本会議や予算委員会等に首相が出席する週は、党首討論を開かないルールを設けた。政策研究大学院大学の飯尾潤教授は、「与野党共に、党首討論より予算委等での質疑を好む」と話す。45分間の党首討論より、7時間にも及ぶ予算委のほうが、与野党の多くの議員が首相に質問できる。野党も追及時間が長いほうがいいという訳だ。では、日本の予算委はイギリス人にどう映るのか? テレビやラジオで司会を務めるピーター・バラカン氏は、「イギリスのQTでは、首相は全ての問題に自分の言葉で答える。日本の国会は、官僚が用意した原稿を読むなど緊張感が足りず、大きな違いだ」と厳しい。「制度のいいとこ取りでは上手く働かず、議論が深まらない」と指摘するのは、早稲田大学政治経済学術院の谷藤悦史教授だ。日本の予算委は、法案審議や個別政策等、細かい質問も首相にぶつける。イギリスは違う。法案審議は法案、QTは国家戦略等大きなテーマを扱う。谷藤氏は、「イギリスと全く同じにしようという訳ではない」と話す。他の議院内閣制のヨーロッパ諸国では、首相が討論に登場する頻度はイギリスほど多くない。大統領制のアメリカは、議会で大統領が討論する場面は無い。各国様々だ。日本は、予算委等も含め、首相の答弁機会は多い。それでも谷藤氏は、「党首討論は何の為にやるのか、確認し合うことが大事だ」と語る。もっと機能させられないか、考えてもいい。 =第2部おわり


⦿日本経済新聞 2017年4月8日付掲載⦿

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【日本の政治・ここがフシギ】第2部(03) 議員縛る党議拘束

20170512 05
「法案を成立させる為、野党議員を切り崩そう」。安倍晋三首相やバラク・オバマ前大統領も熱中したアメリカの政治ドラマ『ハウスオブカード』では、こんな場面がある。与党が提出した法案に与党からの造反が見込まれるので、水面下の工作で野党の一部を切り崩す――。アメリカ人には決して珍しい光景と映らない。日本では、政党が所属議員の行動を決議で縛る“党議拘束”が当然で、会派除籍等の厳罰もある。だが、大統領制のアメリカでは、共和党・民主党共に党議拘束は無い。其々が提出した議案に是々非々で賛否を決める。「日本の議員は、個人の政策で当選した訳ではなく、党議拘束で造反し難い。アメリカでは個人に投票する意識が強く、議員が政党方針に反することもよくある」。アメリカ人弁護士でタレントのケント・ギルバート氏は語る。フランスやドイツでの党議拘束は、採決直前の段階にかかるのが一般的だ。造反への処分も緩い。フランス出身で国政選の立候補経験もある共立女子大学のジャニック・マーニュ名誉教授は、「日本のように、国民の要望より政党の意思決定を優先する政治は民主的ではなく、議論も深まらない」と話す。

背景には、大統領制と議院内閣制の違いがある。大統領制の国は、議会と大統領を別の選挙で選ぶ。政党と主張が異なっても、大統領の信任はある。一方、日本やイギリスのような議院内閣制は、国民が直接首相を選ぶ訳ではなく、議会や政党が指名する。若し首相と政党の主張が異なれば、政権の存立基盤は揺らぐ為、党議拘束の重要度は高くなる。政党交付金に政治資金を頼る為、政党の一体性も求められる。「問題は、与党が法案を国会提出前に審査する“事前審査”だ」。こう指摘するのは、元衆議院議員で立教大学大学院特任教授の亀井善太郎氏だ。日本では、政府が提出する法案は、国会審議前に党議拘束をかける。国会で与党は事前の党議拘束を死守する為、議論が深まり難い。法案修正の余地も乏しい。国会審議は空洞化しがちだ。議院内閣制のヨーロッパの国でも、法案提出前に与党が事前審査で投票行動まで決めるケースは少ない。議院内閣制だから党議拘束が必要としても、国会審議を経た上でかけたほうが、議論は国民に届く。2009年成立の改正臓器移植法では、日本共産党以外の各党が党議拘束を外した。生命倫理という議員の信条や宗教観に関わるからだ。「党議拘束を外したほうがよい」。天皇陛下の退位の関連法案では、与党にもこんな声がある。議院内閣制と党議拘束の関係まで踏み込んだ議論になるだろうか?


⦿日本経済新聞 2017年4月7日付掲載⦿

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【警察・腐敗する正義】(18) 週刊誌のネタ元疑惑も浮上…SNSを覗き放題! “出歯亀”と化したサイバー警察

20170512 04
サイバー警察が重点化された背景には、海外の工作員が容易に情報を盗める日本の脆弱なサイバーセキュリティー環境がある。“スパイ天国”と呼ばれる日本では、今日も企業情報や軍事機密を狙い、各国の諜報員が跋扈している。その動きを監視するという大義がサイバー警察にはある。「絶対に私から情報が漏れたとわからないようにして下さい」。そう念を押すのは、警視庁サイバー犯罪課スタッフのA氏だ。彼に危険を及ぼさない為に、防音完備のカラオケボックスで話を聞いた。「メンバーたちは元々、エンジニアやシステム開発者たち等、一流の人材ばかりです。ビッグデータと呼ばれる多くの人が閲覧したホームページの履歴や、インターネット上のやり取りの解析作業が主な任務です。また、イスラム国・IS・CHINA等の単語を矢鱈打ち込んでいる人物のメールやインターネットの使用履歴を監視したり、頻繁に日本の企業の株を買い占める外資系ファンドの要人等のメールをウォッチしたりしています」。企業・危険人物・外国人等にターゲットを絞り、その動きを監視し、レポートしているという訳だ。重大な責務と権限を与えられているサイバー警察だが、A氏が語るその実態は想像を絶する体たらくなのであった。「僕らは相手が誰であれ、メールやLINEのやり取りが覗ける技術を持っています。それをいいことに、好きなタレントや、お気に入りのキャバ嬢のプライベートを監視したりしています。これは完全に違法ですが、中には株の売買情報までも覗き見る輩もいます」。職権濫用がそこかしこで行われているのだ。まさに個人情報のダダ漏れで、プライバシーも何もあったものではない。彼女が浮気しないようにメールを監視するのはザラで、学生時代に憧れだった初恋の女性のLINEを覗き、ほくそ笑む中年職員もいるとか。

「同僚たちの間で流行しているのが、通称“シャドウデータ”。つまりは、有名人の“変態プレイ”の情報交換です。SMプレイは勿論ですが、身体中にバターや蜂蜜を塗ってセックスする等の情報が詰まっている。国家予算で何をやっているのかという話ですよ。何を覗いたかの履歴は消せますから、上官にはバレていません。僕が何を監視しているかは想像にお任せします(笑)」。2016年に入ってから立て続けに週刊誌に掲載された有名タレントの流出写真。A氏はそのネタ元として、ある同僚に疑いの目を向けている。「上官のX氏です。どう考えても知っている情報が芸能記者レべル。ベッキーとゲス極・川谷絵音との不倫や、桂文枝の全裸写真が週刊誌に出る前に、『近く、面白い画像がメディアに流出する』と騒いでいたのです」。流石のA氏も、上司に「流出させたのは貴男ですか?」とは聞けなかったという。「僕らは年間契約している身分なので、何か不祥事を起こしたら真っ先に切られる存在。それなのに、トップシークレットの情報を簡単に手に入れることができる。最近は、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された清原和博のヤク仲間を偶然知ってしまった。直ぐに組織犯罪対策5課に報告しましたよ」。サイバー警察が捜査に役立っているのは事実だが、悪用も簡単だ。現に、A氏の元にも情報系探偵から、「あなたが手に入れた清原の人脈情報を売ってくれないか?」とメールがあったという。「少しハッキングの勉強をすれば、誰のメールでも覗き見ることはできます。あまりにも犯罪を起こしそうな連中には、『止めておけ』と匿名のメールを出したりすることもあります。そうした時は、カルト宗教団体と見られるように偽装していますよ」。この偽装団体は、インターネット上では“SUBUD”と呼ばれている。サイバー犯罪課スタッフが、この団体になりすましているというから驚きだ。正直、疑わしい話のようにも思えるが、A氏は淡々と言葉を続けた。「システム情報セキュリティーの内、95%は突破できます。でも、こういう話をするのはこれで最後。僕はこの夏に警察組織を辞めて、ある外国の情報セキュリティー会社に転職します。あのパナマ文書をハッキングして流出させたチームと絡みがある会社ですよ」。A氏は「それじゃあ、この辺で」と言い残し、不敵な笑顔を見せながら、カラオケボックスを立ち去っていった。善意で動けば市民の味方として心強いサイバー警察だが、私利私欲の為にハッキングを繰り返しているとすれば、これほど怖い存在は無い。このまま暴走がエスカレートし続ければ、何れ国家的な危機がやって来るに違いない。 (取材・文/フリーライター ハイセーヤスダ)


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「皆で平等に貧しくなろう」と暴言かました上野千鶴子が大炎上! 若者の未来をぶっ潰して無駄に老後を満喫するジジババの“勝ち逃げ”を許すな!

「今月もカネが無い。何でだろう…」と給与明細を見ると、天引きされている年金と保険料。それは将来の為? 国の為? いやいや、多くは今の老人の為にある! 若者を困窮させておきながら己は豊かな老後を送る“老害”の実態をご覧あれ! (フリーライター ダテクニヒコ)

20170510 12
今年2月11日、建国記念日の中日新聞に掲載されたある論説が物議を醸している。論者は、社会学者でフェミニストでもある東京大学の上野千鶴子名誉教授。御年68歳。“この国のかたち”をテーマに書かれた文章の冒頭には、“平等に貧しくなろう”との見出しがあった。どういうことだろうか? 「安倍晋三首相が掲げる人口1億人規模の維持は不可能である」と言い、その理由について、1つは「泣いても喚いても子供は増えません」という自然増の否定。つまり、「日本の若者が子供を積極的に作ることはない」とのことだが、恐らく今までの統計の傾向を述べているだけで、根拠に乏しい。もう1つは移民受け入れによる社会増の否定なのだが、こちらの根拠としているのは、日本がアメリカのドナルド・トランプ大統領を始めとする世界的な排外主義の波を乗り越えられないことと、日本人が単一民族神話を信仰している為に多文化共生に耐えられないということである。これだけアメリカナイズされた日本を見てきた社会学者とは思えない暴論だ。それらの説得力に欠けた理由を基に、「日本は移民による治安悪化を受け入れても(※これも暴論だが)社会増を望むか、それともゆっくり衰退する道を選ぶかの分岐点にある」という。結論として、日本は衰退の道を選ぶべきであり、その際の犠牲者を少なくする為には、「みんな平等に、穏やかに貧しくなっていけばいい」と語っている。それは、国民負担率を増やし、再分配機能を強化するしかないという意味。つまり、労働者層の負担を今より増やして、税金や年金で収める額を増やしていくしかないということである。そう、冒頭の“平等に貧しくなろう”とは、正確には“(若者よ)平等に貧しくなろう”という意味だ。

なるほど、暴論を説く老人には暴言で返そう。自分勝手なことを言ってんじゃねぇぞ、ババア! 安倍首相が人口維持を望む最たる理由は、社会保障制度の維持である。人がいなければお金を集められない。お金が集まらなければ国は支えられない、人は支えられない。そうして支えられているのは主に老人である。2000年頃は現役世代4人で老人1人を支えていたが、2008年頃から3人になり、2022年には2人で支えられなければならない計算になっている。その主なものは年金だ。2013年から2015年にかけて段階的に2.5%の年金減額措置がなされた際、全国の年金受給者が国を提訴している。抑々、公的年金とは物価の変動によって給付額が変わる仕組みであり、減額は法に則した適切な調整であったのにも拘わらず、である。提訴した老人たちは、こう吠えていた。「何故、年金を下げる! 『年寄りは死ね』と言うのか!」。それは言い方を変えると、「自分たちが生きる為に若者は死んでくれないか?」と言っているのと同じだ。気付いているのか、クソジジイよクソババアよ。上野千鶴子や、年金減額に憤る老人等といった自分勝手なジジイやババアを支える為に、日本の労働者層は働いている部分が多分にあると言っても過言ではないのが、この国の惨状なのである。日本の社会保障制度には4つの分野がある。障害者等の社会的弱者を援助する“社会福祉”、生活保護等を行う“公的扶助”、感染症対策等国民の健康的な生活を維持する“公衆衛生及び医療”、年金保険・医療保険・介護保険等を担う“社会保険”がある。最後の社会保険に関しては、国民に保険の加入を義務付けて保険料を徴収するという強制加入の相互扶助システムなのだが、実は国や地方自治体の負担分も含めて成り立っている。つまり、我々国民の税金も投入されているのだ。因みに、税金並びに年金も含めた保険料として政府に入ってくるお金は、2015年度で凡そ220兆円。その内、年金・医療・介護サービスとして国民に給付される費用である社会保障給付費は約117兆円ある。その内訳は、約50%が年金、約30%が医療、約20%が介護に当てられている。もうおわかりであろう。我々が納めている税金や保険料の大半は、老人の手に渡っているのである。それは自分が老人になった時に必要であるし、今の老人にも必要という向きもあろうが、果たして本当に必要なのだろうか? フリーアナウンサーの長谷川豊氏は昨年9月13日、自身のブログにて「ある医師のデータによると、病院に来て診察した患者の中で、その必要があったのは全体の1割程度」だとし、残りの9割の大半は「病院の先生とおしゃべりするだけの老人」だと言う。長谷川氏といえば炎上で有名だが、得てして本当のことを言う人は叩かれるものである。病院に通っている人は気付いているだろう。辛そうな様子もなく、待合所でペチャクチャと喋っている老人の多さに。「今の社会保障給付費は、無駄の温床だと断言できます」という長谷川氏の言葉は、只の暴言だと片付けられない。老人よ、お喋りは病院ではなく井戸端でやってくれ!

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【日本の政治・ここがフシギ】第2部(02) 国会質問、前日までに通告

20170510 08
「防衛大臣として、誠心誠意、職務に邁進して参りたい」――。学校法人『森友学園』(大阪市)の問題を国会で追及された防衛省の稲田朋美大臣。時折、手元の書類に目を落とし、言葉を選ぶように答弁した。この書類が通常“答弁書”と言われる、官僚が作成したペーパーだ。日本では、閣僚答弁の殆どを省庁が作る。政府方針を踏み外さず、問題発言を避ける為だ。それを支えるのが質問通告だ。本会議や委員会で質問する議員は、前日までに省庁に質問を紙で連絡する慣例だ。官僚が出向いて聞く例も多い。通告後、役所の担当部署が中心に答弁を作り、当日朝に閣僚へ説明する。曖昧な通告は、想定問答は複数必要。作業が明け方になることもある。「その質問の担当はうちではありません」。午前0時を回ってから、役所内で押し付け合いになることも珍しくはない。財務省職員の高田英樹氏は、10年ほど前までイギリスの財務省に出向していた。「投資市場改革の進捗を聞きたい」。審議3日前に、国会から議員の質問が送られてきた。

簡潔な答弁を作成し、メールで送り返して作業は終わり。「日本で丸1日の仕事が、実質3時間で終わった」。高田氏は振り返る。イギリスでは、質問は3営業日前までに書面で通告する。閣僚は、冒頭の簡潔な受け答え以外は答弁書に頼らず、自分で答える。ドイツでは質問形式で期限が決まる。答弁に最も近い締め切りでも、週末を挟んで5日前までに通告する決まりだ。日本は明確な期限は無い。一方で、「通告に無いので答えられない」との閣僚答弁も常套句。野党は通告を遅らせ、準備不足を狙う戦術もある。「通告を早め、官僚の長時間労働を是正しよう」。民進党国会対策委員長の山井和則氏は昨秋、党内で呼びかけた。国会では過去、幾度も通告の前倒しが提起されたが、中々改善されない。「通告自体を見直すべきだ」との意見もある。アメリカ連邦議会で約10年の勤務経験がある早稲田大学の中林美恵子教授(元衆議院議員)だ。「議院内閣制の日本では、行政府への国会質問がほぼ唯一のチェック&バランス機能。事前の通告を求められては、その機能を果たし得ない」と訴える。アメリカには質問通告は無いからだ。自民党元幹事長の石破茂氏は自身のブログで、「最近、答弁に原稿棒読みのものが目立つことはとても残念」と発信した。官僚に振り付けを委ねる舞台より、政治家が随時、自分の言葉で議論するほうが重みは増すが、簡単ではない。


⦿日本経済新聞 2017年4月6日付掲載⦿

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【天下の暴論2017】(02) “人生2度結婚特区”を導入せよ

20170510 06
世は少子高齢化社会。若者は“草食系”と揶揄され、元気が無い。あるシンクタンクの調査によると、20代の若者で「将来に希望あり」と答えた人は30%に過ぎず、「希望なし」の回答34%よりも少ない。また、約6割の若者が「将来への生活不安がある」と答えている。本来、社会に活力を与えるこの世代がこういった状態では、どんなに声高に「社会に活力を!」と叫んでも空回りするばかりである。どうすればよいか真剣に考えた。話は2年ほど前に遡る。筆者の身近に、典型的な今時の若者がいた。仮に斉藤君と呼ぼう。斉藤君は、25歳の所謂草食男子。合コンには励んでいるが、告白する勇気も無く、結婚など夢のまた夢である。今一歩前に踏み出せない日々が続いていた。そんなある日のこと、1つの考えが浮かんだ。斉藤君にはメンター(※人生の指導者・助言者)が必要だ。どんな人がよいか。同世代ではダメだ。そうだ、30歳ほど年が上の女性であれば、上手く彼を包容(抱擁でもよい)して、人生を導いてくれるに違いない。25歳プラス30歳は55歳だ。当時の55歳前後の女性といえば、黒木瞳・浅野ゆう子・浅野温子、存命中の川島なお美だ。これなら斉藤君も文句はあるまい。55歳の女性が25歳の男性と結婚し、30年の歳月を掛けて彼を一人前の男に育て上げる。軈て高齢になった彼女は、立派になった男に恩返しをされつつ、看取られながら息を引き取る。その時、斉藤君は55歳の働き盛りになっており、且つ男盛り。まだまだやれる。そこで、今度は30歳年下の25歳の女性と結婚すればよい。25歳前後ということは、女優で言えば有村架純・武井咲・高畑充希に波瑠。悪くはない。彼は今一度、エネルギーを有村架純から注入され、今度はこの若い彼女を人間として育て上げる。そして時は流れ、軈て55歳になった有村架純は、その男を看取った後に、30歳年下である25歳の別の男と再婚する。これを繰り返していけばよい。何と持続的なサイクルが回りそうではないか。

経済の面から見てもメリットがありそうだ。例えば、ブライダル産業は単純に2倍の市場規模になる。住宅産業だって活性化するであろう。いいことだらけではないか。いっそ、思い切って法律で30歳年の差婚しか認めないようにすればよい。話がここで終われば、嘗て言われた“人生2度結婚説”である。しかしながら、話はここで留まらない。日本の重要な社会課題の解決にも向かう。それは、超高齢化社会の課題解決である。これから先、どんどん寿命が延びて、将来的には平均寿命が100歳に到達するかもしれない。これまでは、老後という長い時間をどう過ごすのかが多少陰鬱に考えられてきた。しかし、若い人との共同生活や、ライフサイエンスやロボット等の新技術の急速な進歩により、健康寿命も大きく延びるであろう。高齢者が元気で居続ける為の重要なポイントは社会参加であり、働くことはその代表的なものである。ざっくりとしたものの言い方をすると、一人前の人として社会に貢献できる25歳から85歳まで働く時代がやってくるかもしれない。その間は60年。気が遠くなるほど長い。流石に、この期間に1つのことをやり続けるのは難しいであろう。そこで閃くのが、“半分にしよう”というやり方である。25歳と85歳の半分である55歳を区切りとして、別の働き口に就く。強制的に55歳を定年にしてもよい。これが“55歳定年説”――“人生二毛作論”である。東京大学やお茶の水女子大学の偉い先生も唱えていた。確かに、定年後や、定年近くである60歳頃になって「老後の生き方を考えろ」と言われても、そう元気が出る訳ではない。そこでは遅過ぎる。寧ろ、元気な50代半ばの時に転身を図るほうが現実的である。確かにそうだ。しかし、そうは言っても、55歳でも元気が出るものなのか、一抹の不安を感じる人のほうが多いかもしれない。やはり、学者の机上の理論なのか。どうしようかと思い悩んでいる時に気付いた。“人生2度結婚説”と“人生二毛作論”とをカップリングさせればよい。55歳で職業を再出発させる時の原動力を、有村架純に求めればよいのではないか。きっと元気が出るに違いない。いや、必ず元気になる。複雑な世の中の問題を解決する方法論は、“カップリング(連動)”と“デカップリング(分離)”だと言われている。社会の活性を削ぎそうな高齢化という現象と経済成長は一見、両立しそうにない。温暖化ガスを押さえ込もうとする活動と経済の活性化もそうかもしれない。これらを如何にデカップリングさせるかが問題である。しかし、解はカップリングの中にある場合が多い。高齢者も活き活きと社会参加できれば、それそのものが経済活動を活性化させる。温暖化対策の新しい技術の社会実装も同じである。面倒臭い理論はどうでもよい。纏めると、こんな人生サイクルになる。

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