「これから第2幕が始まる」…北朝鮮“電撃訪問”狙う亀井静香氏の政治力

20180222 09
前回の衆院選に出馬せず、政界を引退した亀井静香氏(81)が、昨年11月28日、東京都内のホテルで『“ありがとう”感謝の集い』を開き、石原慎太郎氏や森喜朗氏、元公明党委員長の矢野絢也氏らが駆けつけた。森氏は1994年、自民党が政権復帰を果たした自社さ政権誕生の秘話を語り、亀井氏が社会党に工作を仕掛けた内幕を喋った。「男と抱き合ったのは後にも先にも亀井さんとだけだよ」(森氏)。亀井氏は未だ続けるつもりだったが、裏で小沢一郎氏と小池百合子氏の動きがあったと語った。「小沢から『総選挙で佐藤公治君(※広島6区・希望の党)を頼む』と言われた。『よし、応援する』と言うと、小沢は『亀井さんは希望の党の比例1位で小池さんと話がついた』と言ってきた。『冗談じゃない。81歳のジジイになって、女性のスカートの中に入って政治をやれるか!』って断ったんだ」(亀井氏)。亀井氏は「これで政治家を辞めるんじゃない。これから第2幕が始まる」と宣言し、翌12月7日には官邸で安倍首相とも会談している。今月には韓国で文在寅大統領と会談し、更に北朝鮮への電撃訪問も狙う。「もうアメリカには任せておけない」と吠える亀井氏は、益々元気だ。

               ◇

野党第一党となった立憲民主党の枝野幸男代表が、安倍首相に異常な敵対心を燃やしている。枝野代表は、安倍政権の悲願とも言える憲法改正には反対していないものの、「憲法改正の発議は全会一致でなければならない。その時、首相の解散権も制約すべきだ」と呼びかけ、牽制に必死だ。その枝野代表、実は大の日本酒好き。大抵の銘柄を飲むが、絶対口にしないのが『獺祭』だという。獺祭は、杜氏に頼らない科学的な製造方法で知られ、世界的人気を誇る酒だが、枝野代表は「安倍首相の地元・山口県の酒だから飲まない!」と周囲に公言している。そんな“拘り”を聞いた政治部記者は、こう皮肉った。「彼は自分自身に酔っている」。


キャプチャ  2018年1月号掲載
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菅義偉官房長官の今後を左右する『きさらぎ会』の存在感が増す

20180222 08
昨年12月19日、自民党派閥横断の政策グループ『きさらぎ会』の忘年会が開催された。関係者に届いた案内状には、「現内閣を支えるきさらぎ会として、親睦を深めることができればと思います」等と書かれていたが、ここにきて、顧問を務める菅義偉官房長官の存在感が増している。最近も、出国者1人あたり1000円を収する“出国税”の名称が“観光促進税”に変わったが、これは菅長官が「目的がわかる名前にすべき」と担当者に異議を唱えたからだ。きさらぎ会は、鳩山邦夫元総務大臣(※故人)が2011年に結成。参加メンバーは、自民党最大派閥で安倍晋三首相の出身でもある『清和会』(※細田派)を上回る100余名。2016年6月に鳩山氏が死去した時、菅長官がすんなり顧問に就任した。自民党関係者は、「菅長官は顧問になって政治スタンスを変えた」と語る。その象徴が、鳩山氏の死去による衆議院福岡6区補選で、これまでの“世襲打破・世襲候補不定”から、無所属で立候補した鳩山氏の次男・二郎氏を支援したのだ。党内からは「変節だ」との批判も出たが、「菅長官は今後、安倍首相が3選、或いは新総理総裁が誕生しても対応できるよう、党内基盤を強化する」とみられる。その時、きさらぎ会が菅長官の今後の政治人生を左右する重要な存在となる。


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【日本の聖域】(09) 原発交付金――電源三法で手に入れた“打ち出の小槌”、原発が原発を呼ぶ補助金中毒のカラクリ

20180221 08
東日本大震災による『東京電力』福島第1原発の事故により、俄かに注目されるようになったのが原発交付金である。原発交付金のルーツは、1974年に制定された電源三法にある。前年に発生したオイルショックにより、それまで火力発電に頼っていた電力政策を見直し、原子力発電にシフトしていく為、言葉は悪いが、“撒き餌”として電源三法は作られ、交付金が支給されるようになった。その名目は、電源立地地域対策交付金、核燃料サイクル交付金、原子力発電施設等立地地域特別交付金等、多種多様に亘っており、当然ながら原発を多く抱える県には多額の交付金が支給されている。給付金を高い順に挙げると、1位は福井県の306億円、2位は青森県、3位は新潟県と続いていく。高速増殖炉の『もんじゅ』等15基の原発を抱える福井県、更には5基の原発に核燃料リサイクル施設のある六ヶ所村がある青森県が続いていることから、“電源三法交付金=原発交付金”という見方をしてもいいだろう。

因みに福島県は、原発事故以前の2010年には140億円の交付金が支給されていたが、事故により原発が停止した為、約100億円に減額されている。福島第1原発を始め、原発や原発関連施設が建てられる場所には共通点があり、主要な産業が無く、経済的に貧しい土地が殆どである。日本が高度経済成長で沸く中、原発が建てられていった町は、その光が当たらない忘れられた土地ばかりなのだ。原発交付金は条件付きの“打ち出の小槌”となり、豪華な箱物や道路といった公共事業の原資となった。条件付きというのは、原発という危険物を受け入れるという意味と共に、更には交付金自体が原発を運転して10年経つと、4割ほどに減額されるからである。一度、原発が齎す現金の旨味を知った自治体は、1基だけの原発で満足することができず、次々と原発を作ることになる。それが原発銀座の生まれる要因である。核燃料の再処理工場を誘致した青森県六ヶ所村は、原発マネーによって潤う村として知られている。村民の平均年収は約1500万円。2016年の村の予算は160億円、その内訳は原発関連施設の固定資産税が殆どを占める。村税が約70億円、電源立地対策交付金による国支出金が約35億円。村の予算の歳入の6割以上が原子力関連によるものだ。村の文化施設には、落語家の三遊亭円楽から演歌歌手の天童よしみまで、一流の芸能人が原発マネーによってやって来る。原発マネーの旨味を知ってしまうと、もう手放すことはできなくなってしまうのだ。 (ノンフィクションライター 八木澤高明)


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【憲法のトリセツ】第2部(02) 新天皇は何を象徴するのか

20180221 01
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」――。日本国憲法の第1条は、天皇の地位をこう規定しています。今の天皇陛下が退位の意向を滲ませるお言葉を発せられた昨夏以降、“象徴とはどういう存在か”という議論はかなり活発になされました。未だ十分ではないかもしれませんが、それと同時にこれから論ずべきは、“国民統合”や“国民の総意”ではないでしょうか。何かにつけて国論が全くばらばらだったら、新天皇もそれを象徴しようがないからです。「人民に主権があると言っても個々人が主権者だということではない。国民の総意をいかに形成し、何によって表現するかが重要な問題になる」。哲学者の和辻哲郎氏(※左画像)は、1948年に出版した著書で、こう指摘しています。「そんなの、政権選択選挙である衆院選に決まっている」。そう答えるのは容易いですが、国家の重大事を決するのにそれで十分でしょうか? 今回の天皇退位でも皇室会議を開き、立法、行政、司法の三権の全ての意見を統合した形を整えました。国の方向性は時々の民意によって変わり得ます。それが民主政治です。だとしても、変えてはならないものもある筈です。憲法の三原則(※国民主権、平和主義、基本的人権の尊重)は、その代表例でしょう。

昭和天皇と今の天皇が自らに課した務めの1つに、慰霊の旅があります。先の大戦の敵国や多くの血が流れた激戦地を訪れることが、“二度と侵略戦争を行なわない”という日本の平和主義を体現するとお考えになられたようです。昭和天皇は嘗ての敵国であるアメリカを1975年に訪問されました。前年に大統領として初めて日本に来たジェラルド・フォード氏への答礼の意味合いがありました。今の天皇は、中国を始め、フィリピンやベトナム、更に太平洋の島々にも足を運ばれました。1992年の訪中が終わった後、外務省高官とこんな会話をしたのを覚えています。「次は韓国ですね」「こっちは中々難しい」。難しいと言いつつ、そこには「いつかは行くものだ」という暗黙の了解がありました。皇室外交に政治的な意図を持たせるのはタブーですが、他方で日本の善隣友好外交の最大の切り札が天皇外遊であることは否定できません。その後の日韓の軋轢は、日本だけが責められる筋合いではありません。とはいえ、気がかりなのは、安倍政権の支持勢力に「日本の植民地支配で朝鮮半島は発展した」等と平然と語る向きがあることです。これでは、たとえ韓国に親日政権が生まれたとしても、天皇が訪韓する必要はないことになります。次の天皇は、王室のあるオランダやベルギーのような国との無難な社交だけを担うのでしょうか? この他、集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しのような国論が二分される事例が増えてきています。背景に衆議院への小選挙区制の導入や、極端な言説が好まれるインターネット世論の拡大等がありますが、メディアまで世論の分裂に手を貸している感があるのは何とも残念です。国民に直に選ばれたアメリカのドナルド・トランプ大統領ならば、「国民の半数の利益だけを代弁していればいい」という理屈も成り立ちますが、“国民の総意”を体現することを憲法で義務付けられた天皇は、そうはいきません。民意をばらけさせる政治から、束ねる政治へ――。新天皇の下で、そんな新時代にしなくてはならないと思います。


大石格(おおいし・いたる) 日本経済新聞編集委員。1961年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。国際大学国際関係学科修士課程修了後、1985年に『日本経済新聞社』入社。政治部記者・那覇支局長・政治部次長・ワシントン支局長として、様々な歴史的場面に立ち会ってきた。現在の担当は1面コラム“春秋”・2面コラム“風見鶏”・社説・電子版“ニュースこう読む”等。


⦿日本経済新聞電子版 2017年12月6日付掲載⦿

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【日本の聖域】(08) 農協――自民党の“集票マシーン”として権益拡大、日本の農業を衰退させた戦犯

20180214 11
日本の農業を長らく牛耳ってきた『農業協同組合』こと農協は、1948年に発足。農業従事者の経済的地位向上と、農業生産力の増進という2つの目標を掲げ、農地改革で小作農から抜け出し、漸く自作農となることができた農民たちがスクラムを組んだ協同組織として歩み始めた。農協は全国、都道府県、市町村の3つのレベルでのヒエラルキーによって構成され、市町村レベルで農家と接する農協は、1960年には約1万あったが、2014年現在は700ほどに減少している。農協の組合員は、農家である正組合員約467万人と、農家でなくとも加入できる准組合員約517万人がいて、合わせて約984万人いる。この会員数のバランスを見てもらえばわかるだろうが、現在の農協が農業以外の分野に重点を置いているのは明らかである。

農協には、農作物の買い上げや農機具・肥料を農家に販売する経済事業と共に、『JAバンク』による信用事業、『JA共済』が行なう生命保険等の共済事業がある。農業に関する経済事業は大幅な赤字を示しているものの、信用事業と共済事業は大幅な黒字をマークしていて、損失を補填して余りある利益を上げている。JAバンクの預貯金残高は、2014年1月末で約93兆円まで拡大している。この内、貸し付けているお金の9割以上は住宅ローン、アパートローン、事業資金等に使われていて、農業資金に回されているのは僅か3%に過ぎない。この数字から見ても、農協は既に農業協同組合としての役割を終えて、存在価値を失っている。それでも解体されないのは、1000万人規模の組合員を抱える農協が自民党の集票マシーンとして機能していることが大きい。農協と自民党が結び付き、農業政策が打ち出されると、農林水産省に予算が付くことになる。三者の利害は一致し、強力なトライアングルを形成してきたのである。そのトライアングルにおいて、農協も零細農家が多ければ多いほど会員数が維持でき、自民党にしてみれば票も増え、都合がよい。米価維持や所得補償等、農家を保護する政策に予算が付く。それにより、日本の農業は大規模化できずに、停滞したまま今日に至ったのである。2014年になって三者の蜜月関係に亀裂が入る。『環太平洋経済連携協定(TPP)』批准を進める安倍晋三内閣は“農協改革”を宣言し、TPP反対を掲げる農協と真正面から衝突したのである。ドナルド・トランプ政権の樹立でTPPは頓挫したが、新たな貿易交渉の準備が進んでおり、農協にとっての苦境は続きそうだ。 (ノンフィクションライター 八木澤高明)


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テーマ : 農政
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繰り返し流れる二階俊博氏体調不安説…取り沙汰される後任候補

20180214 07
自民党内で、昨年12月に入る頃から、二階俊博幹事長に纏わる“事件”が実しやかに流布されている。ある日の未明、二階幹事長が担当のSPも付けず、タクシーで、警備員しかいない党本部にやって来たというものだ。事の真偽は兎も角、二階幹事長については「“高齢者特有の症状”が出ている」との危惧が頻繁に聞こえる。記者会見では小泉進次郎筆頭副幹事長が党の会議の内容を説明することになったが、「発信力のある小泉氏を活用したい」という理由だけではないそうだ。「会議中に、発言すべき重要な部分を読み飛ばし、突然居眠りすることもある」(党関係者)という。流石に、「総裁に代わって党務を仕切る幹事長が、このような状態で仕事を続けるのは難しいのでは?」という声も出始めており、今年は“ポスト二階”が秋の総裁選と同時に注目を集めそうだ。これまでも菅義偉官房長官の“横滑り”が取り沙汰された他、秘書の金銭授受問題で謹慎していた元経済再生担当大臣の甘利明氏が狙っているという話もあった。ただ、霞が関を仕切る菅氏が官邸を離れるのは難しいとされ、甘利氏を起用すれば“首相のお友だち”との批判を浴びるのは必至。小泉氏の大々抜擢という説もあり、暫くこの話題が続きそうだ。


キャプチャ  2018年1月号掲載

テーマ : 政治のニュース
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【右派×左派で読み解く日本経済】(07) 立ち位置を見誤らない為のメディア右派・左派度マップ

日本経済を読み解く上で、情報を伝えるメディアの役割は大きい。そのメディアにも勿論、右派と左派がある。“発信源”の立ち位置を見誤らぬよう、改めておさらいしよう。

20180212 02
右に産経、左に朝日――。メディアの立ち位置と聞いて、その程度ならご存知だろう。ただ、地方紙に記事を配信する『共同通信』や『NHK』となると、曖昧になるのではないか。そこで本誌は今回、社説や日頃の報道姿勢、関係者への取材を基に、独自に記者クラブメディアをマッピングした。影響度は原則、発行部数や配信社数に依拠した。ポジションにこそ目新しさはないが、メディア全般が右傾化している為、左派が中央に寄り、右派が更に右に振れた結果、「中道を示す座標軸自体が右にずれている」という指摘が多く、注意したいところだ。左派の代表格である『朝日新聞』。従軍慰安婦報道の誤りを認める検証記事が掲載された2014年頃を境に、ニュースの扱い等で政権に遠慮したような姿勢が垣間見える。非常に保守色の強い番組をインターネット配信する『日本文化チャンネル桜』が、冗談半分とはいえ、「朝日は右傾化している」と褒めるのだから、重症かもしれない。

一方、最大発行部数を誇る右派の『読売新聞』。文部科学省の前事務次官が出会い系バーに通っていたことを今年5月に社会面で報じ、「政権への露骨な援護射撃ではないか?」と批判が巻き起こった。安倍晋三首相が同月、憲法改正の考えを問われ、「読売新聞を是非熟読して」と国会で答弁したことも、嘗てなく権力との近さを印象付ける。次は出版業界。出版物の傾向、論壇誌を発行している社はその主張、週刊誌を出している社はニュースの報道姿勢、経済誌は経済政策への報道等から、こちらも本誌が独自に判断した。出版社は様々な本を出している為、影響度ではなく、“権威”の大きさを縦軸に取った。右派の代表格は『文藝春秋』。『中央公論新社』は読売傘下に入って以降、右に寄ってきた。左派の代表格は『岩波書店』だろう。業界事情としては、出版不況で『論座』(朝日新聞出版)・『諸君!』(文藝春秋)・『月刊現代』(講談社)等、左右の象徴的な論壇誌が2008~2009年に相次ぎ休刊に追い込まれる等、元気が無い。また、出版業界の左右の幅は、右は嫌韓・嫌中本、左は『週刊金曜日』まで、新聞に比べて遥かに広いと言える。媒体の立ち位置を理解し、可能ならば複数を読み比べることで、上手く“中和”して情報を読み取ろう。


キャプチャ  2017年11月18日号掲載

テーマ : 右翼・左翼
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【日本の聖域】(07) 記者クラブ――“特ダネ”のアメと“特オチ”のムチで警察・検察発表の垂れ流し窓口に

20180207 08
第85代内閣総理大臣の森喜朗氏は、就任から未だ間もなかった2000年5月15日、『神道政治連盟』の国会議員懇談会の席上において、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」等と発言した。すると、このコメントを聞きつけた野党やマスコミから、「国民主権や政教分離に反する」といった内容の批判を浴びる等、瞬く間に激しい猛反発を受ける事態となったのだ。これが世にいう“神の国発言問題”である。森首相は同26日、釈明会見を開いて発言について陳謝する。だがその前日、首相官邸に隣接する『内閣記者会』のコピー機付近に、『明日の記者会見についての私見』というタイトルの付けられたペーパーが落ちていたのを、同記者会所属の『西日本新聞』記者が発見した。その内容とは、「各マスコミとも依然として『この際、徹底的に叩くしかない』という雰囲気」と記者クラブ内の雰囲気を伝えた上で、「質問をはぐらかす言い方で切り抜けるしかありません」と助言するものだった。更には、望ましい発言内容をわかり易く例示して、「こうした方針の転換をするのであれば、事前に官房長官と幹事長に了解してもらうことが不可欠だと思います。公明党から直ちに歓迎の声をあげてもらうことも必要です」とまで書いてあった。まさに、秘書官も真っ青の懇切丁寧な“指南書”と言えるだろう。当時の週刊誌報道によれば、この指南書を纏めたのはNHK政治部内閣記者会サブキャップのA記者だといわれている。「政治部で一番森と仲がよかった」とされ、神の国発言そのものについての報道にも消極的だったという。

官公庁や経済・業界団体の動きを素早く察知して、取材対応する為として、当該団体の施設内に拠点を置いて活動する記者クラブについては、「様々な弊害がある」との批判が各方面から絶えない。その最たるものが、この“指南書”問題に端的に表れていた記者と取材対象の癒着である。記者は多くの場合、スクープ、特ダネ、独占取材を望んでいる。それを実現してくれる情報提供者は、記者にとっては貴重な“資産”と言って間違いない。「大切に守って、誰にも渡したくない」と思うのは人情だろう。問題は、その為にジャーナリズムとしての一線を見失いがちだという点にある。記者クラブが存在を許されているのは、“世間のジャーナリズムに対する期待に応える為”との大義名分があればこそである。そこから逸脱し、“資産”が自分に齎してくれる利益に目が眩んだ時から、その記者は最早ジャーナリズムを名乗る資格を失う。尤も、現実を見れば、最早こんな主張は単なる“綺麗事”に過ぎない。記者クラブに詰める新聞・テレビの記者たちが恐れるものに“特オチ”がある。他を差しおいて自社だけ報道するのが“特ダネ”ならば、特オチは、他は皆が1面やトップで扱っているのに自社だけが取りこぼすことをいう。この特オチを回避する為にも、取材対象と上手く付き合うことはとりわけ大切なことである。つまり、官公庁等の担当者らと仲よくなれば特ダネの機会が増していき、逆に担当者から嫌われてしまえば特オチのリスクが著しく増すという訳だ。しかし、考えてもみてほしい。A新聞とB新聞が朝刊で報じたネタを、C新聞は夕刊で初めて扱ったとする。たった半日の差だ。読者の生活への影響は、問題にならないくらい軽微な筈だ。抑々、これだけインターネットが浸透している時代に、マスコミ1社だけを情報源にしている人間はごく少数だろう。勿論、特ダネを狙わないメディアというのはつまらないが、特オチを嫌うのはマスコミ人の内輪の事情に過ぎないのだ。そんなことよりも、警察や検察の発表を垂れ流しにすることのほうがより問題だと言える。冤罪の結論が出された事件について、当初から疑問を持って取材していたマスコミがどれほどあるのか? 寧ろ現実には、特ダネや特オチの競争が最も熾烈な事件報道においてこそ、記者クラブが警察・検察発表の“垂れ流し窓口”となっているのが実態である。逆の見方をすれば、記者クラブは特ダネというアメと特オチというムチによって、権力により操られていると言っても過言ではないのだ。それにしても、こうしたことは遥か昔から指摘されてきたのに、未だに改められないのは何故か? その理由は、週刊誌やスポーツ紙等も含めた日本のジャーナリズム全体が、“記者クラブのある風景”に慣れきってしまっているからだ。経営体力に劣る週刊誌等が記者クラブにスタッフを常駐させるのは難しい。それよりは、クラブ詰めの記者たちと仲よくなり、新聞やテレビでは扱えない“裏話”をこっそり教えてもらったほうが余程効率がいい。つまりは、記者クラブに加盟しているメディアも加盟していないメディアも、多くは“一蓮托生”という訳なのだ。 (フリージャーナリスト 李策)


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内幕スクープ! 皇室会議を揺るがした常陸宮さま“たった1人の反乱”

20180207 01
天皇陛下の譲位を決める皇室会議が、昨年12月1日午前9時46分から宮内庁3階の特別会議室で開かれた。会議は議長を務める安倍晋三首相が招集するもので、皇族や衆参両院の正副議長、最高裁判所長官、宮内庁長官の計10人で構成される。だが、会議では驚くべき異変が起きていた。会議のメンバーではない筈の菅義偉官房長官が出席していたのである。奇異に感じた立憲民主党の逢坂誠二議員は、「従来と何かが違う」と思い、その日、『皇室会議における菅官房長官の役割に関する質問主意書』を提出した。答弁書にはこうあった。「(議案が)天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行日に関する件であったことから、同法を立案し、及びその施行に関する事務をつかさどる内閣官房の事務を統括する者として、当該事案とこれに関連して同法の内容等を説明するため」、会議に出席したという。同14日に更新された『皇室会議で何が? 内幕に迫る』(NHK NEWS WEB)の中で、皇室会議の議員を務めた衆議院の大島理森議長(※自民党)は、「会議に先立って他の議員と協議等はしていない」とした上で、「『衆議院の副議長、参議院の議長、副議長にはおおよそこういう趣旨で発言しようと思っていますとお伝えしたのは事実だ。ただ(自分の意見に)賛同を求めたものではなかった』と明らかにしました」と語った。番組によると、会議に出席した他の議員も、大島議長と同じようなことをしていたという。当たり前のことだが、譲位される幾通りかの日程についても、情報を得ていたようだ。

ところが、車椅子で出席された皇族議員の1人である常陸宮さまは、そうではなかった。実は、皇室会議の議題等について、会議の数日前に説明に来た担当官に、「私はテレビニュース以上の情報は何も知らない。経緯を知りたいので交渉担当者を呼んで下さい」と語ったというのだ。その為、菅官房長官が急遽、“説明員”として会議に出席することになった。会議当日も常陸宮さまの怒りは収まらなかった。例えば、譲位の日は2018年12月31日、2019年3月31日、同年4月30日と幾通りもあった。ところが、何故4月30日になったのか、整然と説明できる人は1人もいなかった。常陸宮さまは、「そのようなことでは困ります」と言われる。それでも今上天皇は特例法があるから辞められるが、浩宮さまが即位後に辞められるとしたら、また特例法が必要になる。常陸宮さまは続けて、「陛下は『憲法を改正して制度的に辞められるようにしてほしい』と思っておられる」と、また注文をつけられたという。宮内庁は官邸と打ち合わせたり、話し合ったことを、必ずしもきちんと天皇陛下や皇族に伝えている訳ではないことも、これでわかった。更に常陸宮さまは、「それで、陛下と宮内庁はどちらが偉いのですか?」とまで聞かれていたという。ただ、皇族議員からは「2019年1月7日の30年の儀は今上天皇の手で執り行われること」との意向が示され、了解された。皇族の実情に詳しい政治ジャーナリストが語る。「皇室会議では安倍首相が皇族議員に一方的に振り回されてしまったが、陛下と首相との間の意思疎通が充分でなかったことが関係している」。天皇陛下の生前譲位を検討する政府の有権者会議が2016年10月から開かれたが、安倍首相と親しい“お友だち”がヒアリングの対象になって、官邸主導を決定付けようとした。東京大学の平川祐弘名誉教授や上智大学の渡部昇一名誉教授(※故人)らは、2016年11月、「天皇は国民の前に姿を見せなくても、祈っていればいい」等と言い放ち、譲位反対論を展開した。2人とも安倍首相が推したヒアリング対象者だった。天皇陛下は「ヒアリングで批判されたことがショックだった」と強い不満を漏らされていることも新聞報道された。陛下の考えは、宮内庁側の関係者を通じて、首相官邸に伝えられたと言われる。昨年6月、特例法が参議院本会議で自由党を除く全会一致で可決成立した時、付帯決議として“女性宮家”の創設があったが、どうなるか見通しは全く立っていない。また、安倍内閣は2020年の憲法改正を目標にしている。自民党は当初、年内にも改憲案を纏める方針だったが、2017年7月の都議選での惨敗や、10月の衆院選でスケジュールが遅れ、越年した。一方の天皇陛下は、改憲についても快く思われていない。そうした天皇陛下の思いを、ご本人になり代わって話されたのが常陸宮さまだった。しかしその一方で、「天皇陛下は単なるわがままなのではないか?」という声がある。「陛下は国民統合の象徴とは何かを常に考えられて、それを行動に移されてきたところがある」(皇室ジャーナリスト)。

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【この政治家がひどい!2017】(07) 小池百合子からもダメ出しされた若狭勝

20180206 02
私は小池百合子という政治家を、ある意味で高く評価している。「実績が無い」と言う人たちもいるが、どうしてどうして、離反常ない政治経験の中で、彼女はいつも勝ち組のリーダーに取り入ってきた。のみならず、自分の名前で立ってからは、殆どの選挙で大勝している。これが“実績”でなくて何だろう? 勝ってナンボの選挙屋として、当代、小池百合子ほどのタマがいるだろうか? ともあれ、機を見るに敏な反射神経と、メディアを前に悠揚迫らぬ表情で矛盾した主張を並べ立ててみせる度胸の良さにおいて、現状、彼女を凌ぐ政治家はいない。扨て、その小池百合子の幾つかある弱点の内、最大のものが、本稿の主役である若狭勝だ。言い方を変えるなら、この程度の人物を参謀として起用せずにおれない台所事情が小池百合子の泣き所なのであって、結局、有為の人材を見抜く鑑識眼の無さと人望の欠如が、いずれ彼女を殺すことになる筈の宿命なのだ。何よりも先ず、風采が上がらない。「見た目だけで人物を判断するのか?」と問う声には、条件付きで「イエス」とお答えしておく。何故なら、選挙民は候補者を鑑定するにあたって、理的な判断とは別に、風貌や所作から醸されるその人間の“オーラ”を勘案せずにおれない人々であるからだ。その論理や知性とは別のところから来る判断は、当たる場合もあるし、外れる場合もあるが、大切なのは、ここで“足切り”に遭う候補者は当選しないということで、若狭勝はこの点で、大半の日本人にダメ出しを食らう風貌を備えているのだ。例えば、現在同じような立場で小池百合子の側近として彼女の為の墓穴を掘削しつつある元民進党の細野豪志は、多くの点で残念な政治家だが、それでも、ポスターにした時に絵になる男ではある。街頭に立たせて演説をさせれば、瞬時に聴衆を引き込んでしまう弁論とカリスマ性を備えてもいる。そういう意味で、偽物ではあっても一流の偽物だ。が、若狭にはその種の魅力がまるで無い。

機敏な小池百合子は、流石にこの点に気付いて、やや遅まきながらも、小池新党の準備団体の代表に据えていた若狭のクビを斬る決断を下した。この時の若狭勝の報道陣への受け答えが、また失笑を誘うものだった。彼は、自身が新版と同時に代表から降ろされた経緯について問われると、テレビカメラの前で「実は私、今日携帯電話が壊れてまして。それで電話に出れないんで、その間に小池知事から着信があったことがわかったんですけど…」と答えたのだ。電話の故障が事実であるのかどうかは兎も角として、あまりにも間抜けな回答ではないか。要するに、この人は『参謀力』(双葉社)などというタイトルの書物まで出版しながら、自身の失職さえ説明できなかったのである。司法試験に合格するだけのアタマはあったのだから、記憶力は悪くないのだろうし、検察庁でそれなりの地位に就いていた実績からして、半径3m内外の人間の気脈を察する程度のコミュニケーション能力は持っているのだろう。しかし、政治家に期待される資質は、その種の能力とは別のものだ。残酷な言い方をすれば、若狭勝のような退屈な秀才が磨いてきたと思われる“組織人として周囲の人間の中に埋没してみせる能力”は、リーダーの持ち前としては寧ろ足枷になる。政治家は、不特定多数の人間に向かって自分たちの理想を語りかけ、会ったこともない人間を振り向かせ、群衆の感情を起動し、普段は無口な人間を饒舌な支持者に作り変えなければならない職業だ。実は、若狭勝と私は同年齢だ。生まれ育ちも、通っていた高校も、東京の東半分の直ぐ隣の地区にある。なので、直接の面識は無いものの、共通の知り合いは探せば幾人かいて、以前から彼について幾つかの評判は聞いている。評判といっても大したものではない。ありていに言えば、若決勝を知っている人間の誰もが、彼の人物像を明確に記憶していないのだ。つまり、若狭少年は良くも悪くも“目立たない”生徒だったということだ。私の世代の秀才には、友人の少なさと人間としての面白味の無さが学習欲の燃料となっているタイプの勤勉家がいて、このタイプの典型がつまりは若狭勝であり、日本の戦後教育の失敗を表している。まぁ、小池百合子の人望の欠如と、小池新党の人材の乏しさを体現する生きたブラックホールとして、歴史にその名前を刻むことができるのであれば、本人の持って生まれた資質からして、そんなに悪くない晩年なのではなかろうか。選挙戦での健闘を祈っている。 (コラムニスト 小田嶋隆)


キャプチャ  2017年11月号掲載

テーマ : 政治家
ジャンル : 政治・経済

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