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【国防解体新書】(04) 自衛隊斯く戦う…秘められた“軍事戦略”



自衛隊には秘められた“軍事戦略”がある。10年前に策定した『統合戦略指針』だ。陸海空3自衛隊が統合運用で一体となり、どのように戦うのかを初めて提示した。中国との有事を中心に想定した指針だが、位置付けが曖昧で、金庫の中で眠り続けている。統合戦略指針は、自衛隊と中国軍の現有戦力を照らし合わせた。将来も見据えた自衛隊の戦い方を検証し、態勢や装備で何が足りないのか導き出す為だ。その為に具体的な対中有事シナリオを例示した。シナリオは3つある。

①尖閣奪取
中国公船が尖閣諸島(※沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返す中、偶発を装って意図的に海上保安庁の巡視船と衝突した。それをきっかけに、中国は公船を大挙して送り込んでくる。前進待機していた中国海軍艦艇も展開する。空母『遼寧』も近付き、威圧する。海保の巡視船は退かざるを得ない。海保の増援船艇や海上自衛隊の艦艇が着く前に、中国軍は空挺部隊と水陸両用車を尖閣に上陸させた。偶発を装った意図的な衝突から、一気に尖閣を奪取するシナリオだ。
②離島侵攻
尖閣だけではなく、中国が沖縄の有人離島の宮古島や石垣島に侵攻するシナリオも想定した。中国は海軍艦艇を集結させ、離島の周辺海域を封鎖する。戦闘機と爆撃機も飛来する。宮古島にある航空自衛隊のレーダーサイトをミサイル攻撃し、日本の防空の目を無力化した。特殊部隊を潜入させ、宮古島と石垣島の空港を占拠する。空港を奪えば、自衛隊は増援部隊や装備・物資を輸送する拠点を失う。
③台湾侵攻
シナリオは中国の台湾侵攻にも踏み込んだ。アメリカ軍の介入を阻むという中国の究極の狙いを反映させる為だ。台湾侵攻は海上封鎖や戦闘機とミサイルによる攻撃、特殊部隊や水陸両用の上陸作戦になる。地上配備の対艦弾道ミサイルは、接近してくるアメリカ空母を攻撃する。爆撃機も西太平洋全域でアメリカ空母を威嚇する。

これが統合戦略指針が示した有事シナリオだ。自衛隊幹部は、「10年前に作った3つのシナリオは今こそ起きる危険性が高まっている」と話す。先見の明があったということだ。政府高官も指摘する。「尖閣にせよ、台湾にせよ、どちらの事態が先に起きても、宮古島や石垣島を含めて一体の戦域になる」。3つの有事シナリオは同時か波及して起きる恐れが強い。

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【木曜ニュースX】(348) 維新躍進で自民党大阪府連が壊滅寸前…次期衆院選は比例復活も困難に

20230525 09
大阪府・市の首長選、議会選で『大阪維新の会』に惨敗した自民党大阪府連が、解体的危機に瀕している。同府連所属の国会議員は、府選出の参議院議員と、復活組を含む比例選出衆議院議員の僅か5人だが、次期衆院選は更に厳しい。また、“10増10減”に伴い選挙区が減る滋賀、和歌山選出の衆議院議員の比例転出が見込まれ、近畿ブロック比例枠が狭まる可能性がある。「維新の勢いが続けば、比例復活さえおぼつかなくなる」(関係者)のだ。候補者選びを含めた選挙対策全般を党本部直轄で行なう案が持ち上がっているが、即効性のある打開策は見つかりそうにない。そうした中、大阪選挙区の松川るい参議院議員(※左画像)が、東京での衆議院鞍替え出馬を模索しているとの話が浮上した。メディア露出が多い松川氏が辞職すると、“府連の顔”を失う。しかも、補欠選挙で維新に敗れれば参議院議員が減る可能性もある。関係者は松川氏に自重を促しているようだが、先行きは不透明だ。


キャプチャ  2023年5月号掲載

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【木曜ニュースX】(347) 不発に終わった“第二のモリカケ”…新たな疑惑で燥ぐ立憲民主党に向けられる冷ややかな目



20230525 07
3月6日午前、国会内にある立憲民主党の国会対策委員長室では、部屋の主である安住淳(※右画像)が新聞社・テレビ局の政治記者達に不機嫌な表情を見せていた。部屋のテレビでは、参議院予算委員会で同党参議院議員の石橋通宏が放送法を巡る新たな“疑惑”について、政府側を問い質す様子が流れていた。画面を凝視していた安住が威圧的に記者達に言い放つ。「民放は何故、もっとこの放送法の問題を取り上げないんだ? 自分達の問題だろう。もっと調査をしてどんどんやるべきだろう。これを取り上げないマスコミとは付き合いきれない。出て行ってくれ!」。安住が不機嫌な理由は明らかだった。立憲民主の参議院議員、小西洋之が総務省職員から入手したと主張した内部文書。安倍晋三内閣補佐官の礒崎陽輔が、2014年から2015年にかけて、放送法が定める放送局の政治的公平性を巡る法解釈を変更するように、総務省に対し圧力をかけたとされるやりとりが克明に記録された、78ページに及ぶ資料だった。放送法の政治的公平性を巡り、政府は「放送事業者の番組全体で判断する」との解釈をとってきたが、礒崎は『サンデーモーニング』(※TBSテレビ系)等を念頭に、1つの番組であっても極端な事例があれば政治的公平に抵触するのではないかと問題提起したのだ。文書に記録された生々しいやりとりに、立憲民主はこの問題を“第二の森友・加計事件”にできると意気込み、国会で連日追及していた。小西は鼻息を荒くさせながら周辺にこう語った。「これで松本剛明総務大臣の首は必ず取れるだろう。岸田政権を倒すこともできる。この国会最大のチャンスだ」。

1月の開会以来、通常国会は全くの凪状態。防衛費増額やLGBTに関する問題における野党の追及は悉く不発に終わり、岸田内閣の支持率は反転の兆しすら見せていた。こうした中で浮上した“新たな疑惑”で勢いをつけたいと安住も期待したのだが、肝心のマスコミの多くがこの問題で慎重姿勢を貫いている。ある民放幹部は本音を語った。「この話は2代も前の政権の話だし、安倍さんも亡くなり、礒崎補佐官も最早議員ではない。実際に政治的公平性を巡って放送法の問題など起きてもいないし、現場が萎縮していることもない。今更、大きく取り上げるような問題でもないだろう」。一方で、マスコミの中で“モリカケ再び”と大きく盛り上がっているのが『朝日新聞』と『毎日新聞』だった。両紙は小西の追及に呼応するように、連日、一面トップでこの疑惑を報じた。ところが、その内容は全く迫力を欠いていた。“安倍氏、番組規制に意欲”・“官邸の圧力克明”等と大きく見出しを打って、この文書の詳細を報じたが、「1つの番組で規制することは表現の自由を脅かす」「安倍政権のある種の負の遺産が露呈した」等と識者のコメントを紹介するだけで、独自の情報や続報は一切ない。中身のない問題を、見出しだけ大きく取って“安倍政権=巨悪”のイメージを植え付けようという、相変わらずの印象操作だけだった。こうした記事や立憲民主の主張に決定的に欠けているのが、“1つの番組が極端に政治的に偏向しているケースは本当に存在しないのか”という視点だ。サンデーモーニングや『羽鳥慎一モーニングショー』(※テレビ朝日系)といった番組では、出演者が口を揃えて政権批判を徹底している。政治的公平性を逸脱しているのは明白だ。例えばコロナ禍において、玉川徹を始めとしたコメンテーター陣は、一方的且つ画一的に菅義偉政権に対する批判キャンペーンを展開し、政権を瓦解させることに成功した。政治的に偏向した番組が、野党と連携して印象操作を繰り返し、延いては政権を倒す影響力すら持つ。それこそ問題の本質であり、憂慮すべき事態ではないか。抑も、安住は各社の新聞記事に“くず”・“0点”・“出入り禁止”等と書き入れ、国会の廊下に貼り出した御仁だ。“メディアへの圧力”等と政府与党を批判する資格があるのか、自分の胸に聞いてみたらいい。放送法を巡る“疑惑”は野党の期待に反して、岸田政権を揺るがす問題にはなりそうもない。しかし、自民党幹部はある心配を口にした。「高市は何故、『あの文書が捏造でなかったら議員辞職をする』なんて口走ってしまったんだ。森友問題で『私や妻が関係していたら辞職する』と答弁した安倍さんの真似をしたつもりなのかもしれないが、あまりに感情的で不用意だ。もう守り切れない」。小西が入手した文書について、経済安全保障担当大臣の高市早苗は国会質疑の中で「捏造だ」と断定。そうでなければ「議員辞職する」とまで述べたのだ。

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【水曜スペシャル】(601) 神社本庁で新たな醜聞が浮上…“守旧派理事”の責任問う声

20230524 01
総長を巡るゴタゴタが続く神社本庁に、新たなスキャンダルが浮上した。渦中にいるのは、守旧派である田中恆清総長に近い小野貴嗣常務理事(※右画像)だ。小野氏は東京都神社庁のトップも務めているが、そこで昨年12月に総額約2000万円という横領事件が発覚した。しかも、犯人は小野氏の子飼いの職員だったのだ。小野氏は当初、穏便に済ませようとしたが、金額が大きい為、1月に入ってその職員を解雇した。しかし、当初は懲戒解雇でもなく、警察に被害届も出されなかった。結果として、問題の元職員は、未だに東京都内にある本庁傘下の神社で宮司を務めているという。当然、「あまりに身内贔屓」(本庁関係社)という批判の声が上がっている。更に3月に入って、問題の元職員による新たな700億円規模の横領疑惑が浮上しているのだ。刑務所で教誨活動に従事していた元職員が、東京都教誨師会への支出に見せかける形で、東京都神社庁のカネを懐に入れたという。神社本庁内部からは「小野氏の責任を問う声も上がっている」(関係者)といい、今後、新たな火種になりかねない。


キャプチャ  2023年5月号掲載

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【火曜特集】(603) 宮内庁が頭を抱える皇族の警備…“国民との触れ合い”は事実上不可能に

20230523 04
岸田文雄首相の襲撃事件を受けて、各地の警察本部で要人警備の在り方が見直されている中、宮内庁と警察庁が頭を抱えている。コロナ禍において、天皇陛下を始めとする皇族と不特定多数の一般国民が接近するシーンはなかった。しかし以前は、那須の御用邸で静養される際に那須塩原駅前で市民の前に姿を現す等のケースがあった。コロナ禍が収束に向けて動く中で、警察庁は皇族の警備について検討している。昨年の安倍晋三元首相暗殺事件の発生以降、「日常の移動等の時に警備体制や動線等に変化がみられる」(宮内庁担当記者)という。しかし、問題は国民との接触シーンである。そして宮内庁が悩むのは、「天皇や秋篠宮が大掛かりで物々しい警備が好きではない」(同)という点だ。これまで取り組んできた“開かれた皇室”のイメージに合わないからだろう。しかし、目下の状況では緩い警備など許されない。その為、「元のような国民との触れ合いは今後、不可能ではないか」(警察庁関係者)との見方も出ている。


キャプチャ  2023年5月号掲載

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【WEEKEND PLUS】(355) なぜ安倍晋三氏“暗殺”は防げなかったのか…「組織のトップが現場を知らないなんてあり得ない」、日本の警察が抱える“宿痾”の数々



20230519 01
戦後初めて首相経験者が犠牲となった安倍晋三氏殺害事件の4日後、警察庁の中村格長官(※右画像)は臨時の記者会見に臨んだ。「警察として要人警護・警備の責任を果たせなかったものとして、極めて重く受け止めております。慚愧に堪えません。結果を踏まえれば、現場の対応のみならず、警察庁の関与の在り方にも問題があった。警察庁長官としての責任は誠に重い。今、果たすべき責任は、検証と見直しの作業に全身全霊を向けること」。長官が個別の事件直後に警察の失態を公言し、自らの責任まで認めるのは異例だ。「中村氏の父親は元福岡県警公安刑事。事の重大さを深刻に痛感している」(警察関係者)。その後、岸田文雄首相も「警備態勢に問題があった」と明言。今月中に事件の検証結果と国家公安委員会の処分が出た後、引責辞任するのは既定方針で、元警察庁長官の栗生俊一内閣官房副長官も了承済みとされる。結果の重大性から、SP(※セキュリティーポリス=要人警護員)を派遣した警視庁の大石吉彦警視総監、警察庁の櫻澤健一警備局長らも処分を受ける可能性が高い。検証作業は、後任の長官就任が有力視される警察庁の露木康浩次長をトップに、検証班と見直し班に分かれ、①警護・警備の体制・配置②警護措置の要領③装備資機材④警護員の能力向上⑤警護計画等に対する警察庁の関与の在り方――の5項目について、問題点と強化策を纏める。既に会場選びの是非、後方警備の空白、警察官の人数と配置、動き方等様々な疑問点が指摘されている。官僚らしい“焼け太り”の改善策は出揃うだろうが、世界を驚かせた警備警察の“穴”は、果たしてそれで塞がれるのか。ここでは、警察庁が自ら直視できない現場と組織の病理を検証する。

野中広務元官房長官は、財務省や外務省のエリート官僚が秘書官に就任すると、厳粛に言い渡した。「万が一、僕が襲われたら、SPは側にいる君らを咄嗟に突き飛ばして、人間の盾にすることになっている。SPは第二、第三の襲撃の可能性に備えなければならんから、一発目で自分がやられるわけにはいかない。誠に気の毒な役目だけど、黙っているのは忍びないので、申し渡しておきます」。野中氏は1995年3月、当時の警察庁長官だった國松孝次氏が出勤時に自宅マンション前で銃撃され、4回の発砲で3発が命中した事件当時の自治大臣兼国家公安委員長。要人警護の裏表を熟知していたが、大半の閣僚と秘書官達はそんな運用とは知らない。弾除けにされると知ったら、誰だって怖じ気づく。SPが秘書官と必要以上に親しくしないのは、情が移って非常時に躊躇うのを恐れるからだ。場合によっては周囲の人を犠牲にし、自ら命を賭して要人を守る任務は、警護対象者への“愛”がなければできない。実は、そこが一番難しい。四六時中密着していると、人間性の裏面に触れ、見聞きしたくないことまで知ることとなる。好き嫌いの感情も湧くので、少しでも「この人、嫌だな」と思ったら守れなくなるからだ。小泉進次郎元環境大臣が結婚前、役所の元職員とホテルで密会したと週刊誌に写真付きで報じられた時、SPは直前まで現場に同行していた。自民党の山崎拓元副総裁が議員宿舎に帰宅後、愛人を引き入れていたと写真週刊誌に報じられた時、SPはカメラマンが潜んでいた植え込みを現場検証して報告書の提出を命じられた。実態に目を瞑り、好きになれる面だけを見ようと心がけてやる気を保つのは、精神的に相当つらい。4万3000人いる警視庁警察官のうち、階級は巡査部長以上、柔道又は剣道3段以上、合格率数%の拳銃操法上級者、身長173㎝以上、所属長の推薦や面接等の審査を経て警備講習を受講し、修了時の選考で警備部警護課に任用されたSPは現在、男女約200人。首相官邸の集団警護で修業した後、個々の政治家を担当する。「メディアに露出するので容貌も考慮される」(警察関係者)というエリート中のエリートだが、外見の格好良さと裏腹に、勤務の内実は人に言われぬ苦労だらけだ。政治家を警護すれば、時間は不規則で、長時間の拘束は当たり前。それでも日額550円の手当が付く程度で、給与は高くない。「警察は担務に関係なく、昇進試験で階級が上がる。SPは勉強時間が足りず、出世は遅れがち。それどころか泊まりがけも多く、実は離婚率が高い」(同)というから報われない。恋愛沙汰もある。橋本聖子元五輪担当大臣の夫が先輩閣僚のSPだったのは有名だが、悲劇も起きる。某女性皇族がイケメンSPに恋をした。思い詰めてSPの上司に相談したら即日、北海道警に異動させられてしまったそうだ。

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【火曜特集】(600) 海上自衛隊の機密が中国共産党の手中に!? 防衛省が隠蔽する中国への情報漏洩

20230516 08
昨年末に発覚した海上自衛隊の特定機密漏洩事件だが、深刻な問題が隠蔽されてしまっているようだ。公安関係者が語る。「この情報漏洩事件には奥がある。防衛省は穏便に済ませようと、“トカゲの尻尾切り”をした」。防衛省は昨年末、特定秘密をOBに漏らしたとして、海上自衛隊幹部を懲戒免職し、特定秘密保護法違反の容疑で書類送検した。処分対象となったのは1等海佐の井上高志。外国の艦船等に関する情報収集等を行なう情報業務群(※現在は艦隊情報群)の司令を務めていた2020年3月、元自衛艦隊司令官OBに対し、特定秘密に当たる日本周辺の情勢に関する情報の他、自衛隊の運用状況、自衛隊訓練に関する秘密情報を漏らしたとされる。しかし、OB以外への情報漏洩は確認されなかったとした。これに対し、「そうではない」と前出の公安関係者が異を唱えたわけである。「機密情報に接した関係者の中に、中国系企業の代表者と連絡を取り合う者がいた。その人物を介して、中国政府にアジアにおける海上自衛隊の動き等をつぶさに伝えていたとみられる」。この企業の背後には『中国人民政治協商会議』が控えており、完全に中国政府のコントロール下にあるという。

「中国人民政治協商会議は、共産党の最高指導機関たる党中央委員会の指揮下、企業群を管轄する役割を果たしているのだが、党中央の上には総書記の秘書室たる弁公室に加え、“セクレタリーチーム”とアメリカが名付けた極秘の秘書室がある。総書記の密命を遂行するグループだ。今回の場合、このグループからの指令である可能性が高い」(同)。つまり、海上自衛隊の機密が中国共産党、即ち政府中枢に漏れていたというのだ。奇しくも2020年10月、習近平が台湾侵攻を視野に、10万人規模の極秘部隊を編成していたことが、アメリカによって確認されている。極秘部隊の名称は『marines of the Chinese Red Army(中国紅軍海兵隊)』。紅軍は、1927年に中国共産党が組織した『中国工農紅軍』の通称であるが、第二次世界大戦後の1947年に中国人民解放軍と改称し、抗日戦線で共に戦った中華民国国軍と袂を分かち、交戦。中華民国側が中国本土を追われ、台湾に逃れたことで休戦した歴史を持つ軍隊だ。以降、中華民国の一般名称は台湾となった。「こうした歴史を踏まえて今回の命名の意味を探れば、休戦を終戦へと変える、即ち台湾併合の為の部隊創設ということになる。習近平はこの時期、個人独裁体制樹立の花道として台湾奪取へと動き始めたとみられている」。公安関係者はそんな分析をした上で、こう付言した。「特殊訓練を積んだ急襲部隊たる海兵隊のコマンドが空から降下して、総統府を数時間のうちに占拠する作戦計画が既に出来上がっているともいう。アメリカが救援に駆け付ける前に実効支配するもので、これをやられるとどうにもならないのではないか」。“台湾併合”となれば、日本にも多大なる影響が生じるが、それ以前に喫緊の問題があるともいう。「この作戦には、在沖アメリカ軍への牽制の目的で、尖閣諸島奪取の付属計画も添付されている」。習近平が極秘の秘書室を動かし、海上自衛隊の情報を入手したのは、日本への攻撃の為だと関係者は言うのだ。現時点では台湾急襲の作戦計画は凍結されているとみられているが、いつそれが解除されるかわからない。国家の危機に海上自衛隊OBが関与したとすれば、“亡国”行為以外の何物でもない。事件の全貌解明が俟たれる。 《敬称略》 (取材・文/フリージャーナリスト 時任兼作)


キャプチャ  2023年4月号掲載

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【WEEKEND PLUS】(353) 岸田文雄首相に改憲の意志はありや…「最悪、党が二分される」、立憲民主党は立ち位置が定まらず

日本国憲法は今日、1947年の施行から76年を迎えた。憲法改正に前向きな自民、公明、維新、国民民主の“改憲四党”が衆参両院で3分の2議席を占める中、国会で改憲に向けた議論が徐々に進んでいる。だが、政治日程を見定めながら改憲発議、国民投票まで進めることは容易ではない。首相就任から1年半、“リベラル色”が強いと言われる岸田文雄首相が、改憲に踏み込むか否かが今後の焦点となる。 (取材・文/政治部 加藤明子・木下訓明)



20230512 03
先月25日の夕方、東京都内のホテルの宴会場で、自民党憲法改正実現本部の会合が開かれた。岸田首相が到着すると、古屋圭司本部長はマイクを握り、昨年の首相の発言を紹介した。「1年前の会合で、『私はリベラルと言われているが、誰もなし得なかった憲法改正を自分の世代でしっかり実現したい』とはっきり言われた。改めて激励の言葉をいただきたい」。古屋氏からマイクを受け取った首相は「私の語ることはもうなくなってしまった」と苦笑したが、「(2021年の)総裁選で、任期中に憲法改正を実現したいと言って支持を頂いた。2回の国政選挙で公約の柱に掲げて勝った。憲法改正に対する思いは些かも変化していない」と、約70人の議員を前に強調した。岸田首相は、7年8ヵ月に亘って首相を務めた安倍晋三氏を強く意識してきた。安倍氏亡き後も、同氏の支持基盤だった保守層や最大派閥の安倍派の取り込みに腐心している。安倍氏が目指した、防衛費の大幅増や相手国のミサイル発射拠点等を叩く反撃能力(※敵基地攻撃能力)保有も決断した。ロシアのウクライナ侵攻が後押しした影響は大きいが、国民の間で反対論は広がらなかった。安倍氏や菅義偉前首相ほど政権運営が強引に見えないのは、リベラル色もいくらか寄与しているようだ。この点について、政権幹部が首相に「リベラルっていいですよね」と冗談めかして話しかけたが、首相は何も言葉を返さなかったという。首相が改憲に意欲を示すのも保守層を引き込む戦略の一環だが、その本音は見えない。首相周辺は「安倍氏ができなかったことをやろうとしているのではないか。憲法改正に道筋をつけることもあり得る」と話すが、党幹部は「首相は外交への関心は強いが、憲法は話題に上らない」と漏らし、改憲への思い入れは強くはないようだ。

だが、自民は着々と準備を進めている。岸田首相は、安倍氏が9条改正や改憲スケジュールを突然打ち出し、野党の猛反発を受けたことを教訓にしている。2021年の首相就任直後、党憲法改正実現本部の幹部に「野党が審議拒否しない環境づくりをしてほしい」と指示し、憲法審査会では野党と協調して国会運営にあたるよう求めていた。自民は、9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設等、改憲4項目を纏めている。野党第一党である立憲民主党の賛同を得たい考えだが、同党が応じる気配はない。自民は新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、緊急事態時の国会議員の任期延長を認める改憲論議を主導し、昨年12月に衆議院憲法審(※右上画像、中央は森英介会長、撮影/竹内幹)で各党の論点整理が纏まった。しかし、今年4月以降は「究極の緊急事態は安全保障だ」等として、9条への自衛隊明記の議論に重心を移している。公明党は自民の動きについて、衆議院憲法審で「突然、9条が議論の中心となったことに唐突感を覚えた」と苦言を呈した。“平和の党”を掲げ、支持母体の『創価学会』は9条改正に否定的だ。山口那津男代表は「9条に手をつける必要はない」と明言している。公明は立憲民主を含む合意形成が“国民の理解”の目安と考えており、事実上、発議の前提条件としている。自民が立憲民主を切り捨てて発議へと突き進めば、公明が反対に回る可能性もある。野党は第一党、第二党で憲法改正に対する立場は分かれている。第一党の立憲民主は憲法改正に関して、立憲主義に基づき、国民の権利拡大に資する議論を積極的に行なう“論憲”のスタンスだ。先月28日に党本部で泉健太代表も出席した憲法対話集会。参加した支持者からは、「衆議院の憲法審査会は各党が主張を言いっ放しで、全然、論憲になっていない」「憲法審の議論で立憲民主の戦う姿勢が見られない」と厳しい意見が出された。立憲民主は2021年衆院選で議席を減らした為、枝野幸男氏が党代表を退いた。新代表となった泉氏は、憲法審での積極的な議論を掲げ、“枝野路線”との差別化を図った。その結果、昨年は通常国会、臨時国会共に衆議院憲法審の開催回数が過去最多となり、緊急事態時の国会議員の任期延長の議論が進んだ。立憲民主を巡っては、源流である旧民主党の時代から、憲法改正に対する意見が纏まらず、明確な見解を示すことはできなかった。立憲民主が論憲を掲げるのも、党として賛否を決めきれないことが背景にある。護憲派は、憲法審で議論が進展している現状に危機感を募らせている。参議院憲法審野党筆頭幹事の小西洋之議員は3月、毎週開催が定着した衆議院憲法審について、「毎週開催はサルのやることだ」等と発言して更迭された。立憲民主と維新は昨年秋から国会で“共闘”を始めたが、この発言で両党関係は急速に悪化した。立憲民主の憲法審メンバーは、「改憲への賛否をどちらかに決めれば、反対派が党を割りかねない」と指摘する。立憲民主の見解が曖昧なことが、憲法審で議論が深まらない一因にもなっている。党中堅は泉氏に、「次の衆院選では党の立ち位置をはっきり決めて下さい」と直談判したという。

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【火曜特集】(597) 国土交通省だけじゃない! 厚生労働省の呆れた“天下り強要”

20230509 08
国土交通省の“天下り強要問題”が明るみに出たが、似たような話は他にもある。特に、厚生労働省のあるケースは「あまりに酷い」と波紋を広げている。問題になっているのは、昨年夏まで厚労省保険局長だった濵谷浩樹氏。『日本医師会』内の総合政策研究機構(※日医総研)に密かにポストを得ていたのだ。保険局長時代には、診療報酬の大幅プラスを主張。75歳以上の2割負担導入の際にも、当時の官邸や財務省の方針に逆らって、日医案を推す等、あからさまな姿勢を見せていた。厚労省内部でも「日医べったり」(若手官僚)の姿勢が問題視されていたという。その日医に再就職したのだから、「歴代局長の中でも異例」(厚労省関係者)と呆れられているのだ。函館ラ・サール高校出身の濵谷氏は、日医の前会長である中川俊男氏と同窓という。今回の天下りについては、日医内でも驚きの声が上がっている。


キャプチャ  2023年5月号掲載

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【永田町LIVE】(07) 菅義偉氏、一転して人気弁士に…派閥重視の岸田首相と対峙、“非主流”次の一手は?



20230428 12
『千葉都市モノレール』が乗り入れる千葉市郊外のJR都賀駅前。先月21日の夕暮れ時、車から降り立った自民党の菅義偉前首相(※右画像の中央左、撮影/李舜)を待っていたのは、ロータリーを囲むように詰めかけた400人程の聴衆だった。割れんばかりの拍手の中、街宣車の上へとよじ登ると、「菅さん、頑張って!」と声援が飛んだ。照れくさそうな笑みが、菅氏の顔に浮かんだ。菅氏が訪れたのは、県議選の自民党候補の応援の為だった。新型コロナウイルス対策、不妊治療の保険適用、携帯電話料金の値下げ――。マイクを握った菅氏は、首相や総務大臣時代の自身の実績を一つひとつ、噛みしめるように列挙した。「どうでしょうか、皆さん」と呼びかけると、再び拍手が湧き起こった。演説を終えた菅氏の元へは、多くの聴衆が押し寄せた。「皆様の元に菅前首相が参りますので、押し合ったりしないで下さい」とのアナウンスが流れる中、菅氏はロータリー沿いを200メートルほどゆっくりと歩きながらグータッチを重ねた。「あれだけ人が集まるとは思わなかった。自信になったよ」。菅氏は後日、周辺にこう語った。首相として世論と自民党内の激しい反発を受けた菅氏は、2021年10月、追われるように政権の座から去った。追い打ちをかけたのが、翌2022年7月の盟友・安倍晋三元首相の急死だ。「何もかもやる気がなくなっちゃった」。当時、周囲にそう語ったこともある。落ち込み方は激しく、一時は健康不安説すら流れた。そんな菅氏に脚光が集まったのは、岸田文雄政権の迷走が要因だ。『世界平和統一家庭連合』(※旧統一教会)問題等で岸田政権への批判が強まるにつれ、インターネット上で岸田政権との対比から菅政権の実績を評価するコメントが相次いだ。

退陣から約1年半。菅氏の立場は党内随一の“人気弁士”へと一変した。統一地方選では各陣営から応援依頼が殺到。菅氏は多忙な日々を送り、千葉市の演説後も北海道や愛知県等を回った。演説は自身の実績の列挙が中心で、岸田政権を評価することもない。それでも多くの聴衆が押し掛けるケースが目立つ。自民党関係者は、「あれだけ人を集められる政治家はいない」と口を揃える。「菅氏を核に非主流派が結集すれば脅威になる」。政府関係者はこう漏らす。政権にとって“不気味な存在”にもなった菅氏の今を追った。先月30日夕、国会内の菅義偉前首相の事務所を訪ねたのは岸田首相だった。岸田氏がこの場で菅氏に明かしたのは、政府の“異次元の少子化対策”の叩き台に、出産費用への公的健康保険適用の検討を盛り込む方針だった。出産費用の保険適用は、菅氏が先月初旬から打ち上げた案だ。「良いアイデアですね」。岸田氏が持ち上げると、菅氏は「取り入れてくれてありがとうございます」と謝意を述べた。菅氏には首相時代、不妊治療の保険適用を主導し、実現させた成功体験がある。菅氏の事務所には、保険を適用して不妊治療を受けた家族から感謝の手紙も数多く届けられた。出産費用の保険適用も、この延長線上にある。岸田氏が“丸呑み”したのは、菅氏への配慮からだ。岸田氏は菅氏の動向を気にかけており、首相就任以来、菅氏と度々面会している。先月の面会は8回目。前回の2月6日の面会では、岸田氏は『日本銀行』新総裁人事について「迷っている」と吐露してみせた。「菅氏が政権に対して何か仕掛けてくるのではないか、と不安に思っている」。閣僚経験者は首相の心情を解説する。菅氏は1月10日発売の月刊誌『文藝春秋』2月号のインタビューで、自民党の派閥の弊害を指摘し、岸田派(※宏池会)会長として派閥会合に出席する岸田氏を、「派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の見る目は厳しくなる」と批判した。1月18日放送のラジオ番組では、防衛費の一部を増税で賄う政府方針にも「議論がなさ過ぎた」と苦言を呈した。こうした一連の発言は注目を集め、菅氏はポスト岸田の有力候補にも取り沙汰された。菅氏は一時、岸田氏と共に宏池会にも所属したが、政治主導を志向する菅氏と、宏池会の伝統を重んじ霞が関との関係を重視する岸田氏の路線は、根本から異なる。2009年に同派を離脱し、無派閥となった菅氏は3年後、第二次安倍政権で官房長官を務めた。当時の安倍晋三首相は一時、岸田氏を二階俊博氏の後任の自民党幹事長に交代させる案を模索したが、それに反対したのが菅氏だった。

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