【北陸新幹線3年変貌】(05) 並行在来線、先行きに不安

20180621 06
『北陸新幹線』の開業に伴い、長野-金沢間のJR信越本線と北陸本線は、JRから経営分離された並行在来線となった。運営するのは、沿線自治体が出資する第三セクターの4社だ。石川県域の約18㎞を運営する『IRいしかわ鉄道』。起点の金沢駅では、東に向かう普通電車が20~30分おきに出発し、JR七尾線の和倉温泉までのJR特急も発着する。ホームは新幹線から乗り継ぐ観光客らでほぼ終日賑わう。「新幹線効果が旅客数の底上げに繋がった」と、七野利明社長の表情は明るい。2016年度の1日当たり利用者は約2万5900人と、新幹線の開業前を14%上回る。同社は3年連続の黒字。石川県は助成金を見送っている。富山県の三セク『あいの風とやま鉄道』の1日当たり利用者数は、2015年度以降、約4万人と需要予測を7%上回る。新潟県の『えちごトキめき鉄道』は2015・2016年度とも1万1000人を上回り、想定を上回る水準だ。新幹線から乗り継ぐ2次交通としての利用が伸び、並行在来線会社の経営は健闘している。この先も堅調を維持できるのか? 参考になりそうなのが、長野県の三セク『しなの鉄道』だ。

同社は、1997年の北陸新幹線の長野開業で軽井沢以北を担う並行在来線会社となり、3年前から営業区間に長野以北が加わった。過去の債務超過を乗り越え、現在は黒字基調だ。だが、先行きは厳しい。JRから引き継いだ全車両59両が老朽化し、更新には100億円以上かかる見込みだ。社員の年齢上昇も将来、人件費を圧迫する要因になる。現在年31億円の運賃収入は、20年後に4億円程度減る見通しだ。同社は、定期券収入の減少を観光利用で補う計画だ。年840万人以上が訪れる軽井沢から同沿線を巡ってもらおうと、観光列車『ろくもん』(※左上画像)を使ったワイン列車の企画や、軽井沢駅の駅ナカ開発を進める。4月にはろくもんと、えちごトキめき鉄道の観光列車『雪月花』の相互乗り入れを予定する。雪月花は、日本海を一望できる大きな窓や豪華な内装が特徴。しなの鉄道の玉木淳社長は、「沿線の活性化にも貢献したい」と語る。北陸新幹線の並行在来線は、4社とも沿線人口減少や少子高齢化といった課題を抱え、通勤・通学客は先細りが予想される。将来の値上げを想定する会社もあるが、利用者減を招きかねない。2月に北陸を襲った大雪で除雪費用が膨らんだように、想定外のリスクもある。経営安定には観光需要の開拓等が欠かせない。北陸新幹線は2022年度末に敦賀まで延伸開業する予定だ。同区間の北陸本線も並行在来線になり、IRいしかわ鉄道と福井県が今後設立する三セクが運営するとみられる。公共交通が専門の福井大学の川本義海准教授は、「福井県内は、石川・富山両県の並行在来線より、1㎞あたりの輸送密度が少ない」とした上で、「ほぼ並走する福井鉄道等他の地域鉄道の連携や、車から鉄道にシフトするまちづくりがカギ」と語る。5年先の敦賀延伸に向けて、乗り越えるべき課題は多い。 =おわり

               ◇

小野嘉伸・宮内禎一・伊藤新時・石黒和宏・井上航介が担当しました。


※本文由张的新泻居民提供。谢谢。


キャプチャ  新潟支局版2018年3月10日付掲載
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【北陸新幹線3年変貌】(04) スポーツ合宿、誘致追い風

20180621 05
男子バスケットボール『Bリーグ』のオールスター戦。年に1度の祭典が2019年1月、『富山グラウジーズ』の本拠地である『富山市総合体育館』で開かれる。開催地選びで決め手となったのは地域を挙げてのバックアップだが、『北陸新幹線』の存在が必要条件であったことは間違いない。地方での試合で重要視されるのは会場への足だ。Bリーグによると、今年1月に熊本で行なわれたオールスター戦では、53%の観客が県外から訪れた。市内に空港があることに加え、新幹線の駅から徒歩圏内という体育館の立地は、富山にとって大きなポイントだった。「北陸新幹線が通ったことでイメージは変わった。街全体がバスケットに染まり、富山を元気にできるオールスターにしたい」と、Bリーグの大河正明チェアマンは期待を口にする。正月の『箱根駅伝』で4連覇した『青山学院大学』の陸上競技部。昨夏に強化合宿をしたのは、ラグビー等の高地トレーニング場として知られる長野県の菅平高原と新潟県の妙高高原だった。『妙高市観光協会』等は、約10年前から駅伝等のスポーツ合宿を誘致してきた。

箱根駅伝の予選会等に出向いて関係者に声をかける一方、食事講習会等で受け入れ体制も充実させた。バスを仕立てて合宿入りするチームも多いが、新幹線という移動手段の選択肢が増えたことは、選手を呼び込む上でメリットになった。観光協会は、「アクセスの改善で誘致のターゲットが広がった」と話す。“目指せ菅平・妙高”を合言葉に合宿誘致を進めるのが、富山県立山町だ。昨夏には『明治大学』と『早稲田大学』の競走部が合宿した。売りは立山黒部アルペンルート。高地トレーニングに適した500m以上の標高差に加え、マイカーの乗り入れ規制がある為、練習に専念できる環境も整っている。アルペンルートで9月は夏と紅葉シーズンの端境期だが、学生を招き寄せることができれば集客の平準化に繋がる。「新幹線開業でアクセスが変わり、やることも変わった」(商工観光課)。廃校となった学校を使って文化系のサークルも受け入れ、合宿地としての足固めに挑む。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック等、先行きは国際的なスポーツイベントが目白押しだ。選手団の宿泊費等直接的な経済効果に加え、対外的なシティープロモーション等による地域活性化も期待できるとあって、地方の合宿争奪戦は熱を帯びる。北陸や信越の新幹線沿線でも、事前合宿等で五輪参加国との交流を図るホストタウンが続々と決まった。スポーツに限らず、国際会議等の開催地も、新幹線の延伸に伴って広がりをみせている。問題は、便利さが当たり前になる中で、効果を如何に持続するかだ。「オールスター後も観客をどう引き留められるか」と、富山グラウジーズの黒田祐社長は“祭の後”を気にかける。開業4年目を控え、地に足のついた戦略が問われる。


※本文由张的新泻居民提供。谢谢。


キャプチャ  新潟支局版2018年3月9日付掲載

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【北陸新幹線3年変貌】(03) 訪日客増、ホテル活況

20180621 04
雪見の温泉地として知られる新潟県妙高市の『赤倉温泉』(※左画像)。1月に開業したホテル『ザ・アドレス赤倉』のオーナーは、オーストラリア人のリッキー・メギーさん(47)だ。閉鎖した4階建てホテルを約1億円で購入して改装した。13室は常に満室で、宿泊客の9割は外国人という。今後、更に約1億円を投資し、部屋等を拡充する。「首都圏からのアクセスの良さが決め手」とメギーさん。最寄りの妙高高原駅は、新幹線の上越妙高駅から在来線を乗り継いで約30分だ。北陸新幹線が開通した2015年以降、妙高高原では訪日客を見込んだ宿泊・飲食施設の起業が増えている。妙高市によると、外国人が購入、又は借りている物件は、先月15日時点で41施設あり、うち半分がペンションや飲食店とみられる。国土交通省が纏めた2017年の外国人延べ宿泊者数は、北信越5県の合計で約267万人と前年比16%増えた。伸び率は全国平均を4ポイント上回る。『JR東日本』と『JR西日本』が2016年に発売した訪日客向け新幹線フリー切符『北陸アーチパス』も、北陸や信越の観光振興に一役買っている。

沿線各県は東海道新幹線に代わる周遊ルートとして、海外の個人客を呼び込んできた。観光ルートが広域化する中、長期滞在のニーズも高まっている。『日本政策投資銀行』が先月発表した訪日客の意識調査によれば、北陸訪問経験者で日本での滞在日数が6~7日以上と答えたのは7割を上回った。国内の移動手段は新幹線が66%と最多。訪日客の満足度を高めようと、海外勢のホテル投資も熱を帯びる。北陸の玄関口であるJR金沢駅の西口では先月、アメリカの高級ホテルチェーン『ハイアットホテルズ』が運営する2棟建て高級ホテルの建設が始まった。金沢市が誘致し、2020年6月の開業を目指す。うち1棟は日本第1弾となる長期滞在型ホテルで、広めの部屋にキッチンや電化製品を備える。開発を担う『オリックス』は、「欧米の休暇スタイルに合ったサービスを提供できる」と話す。観光政策に詳しい『小西美術工藝社』のデヴィッド・アトキンソン社長は、「日本は5つ星ホテルが足りない」と指摘する。金沢では域外資本によるホテル開発ラッシュが続き、2020年までに18施設で2500室程度の新設が計画されている。尤も、観光振興の度合いは地域によって濃淡が目立つ。石川県でも金沢市と対照的に、奥能登の拠点である輪島市の2017年の宿泊者数は前年比18%減り、新幹線の開業前を下回った。首都圏から日帰り圏となった富山市等でも、宿泊客数の底上げが課題となっている。糸魚川駅を抱える新潟県糸魚川市は、2016年の大火で打撃を受けた観光の活性化がなお道半ばだ。“一人勝ち”とされる金沢では、観光客増加に伴う交通渋滞等マイナスの影響が出始めた。市は景観保全や観光客の受け入れ体制整備を目指し、2019年4月に“宿泊税”を導入する方向だ。『北陸経済研究所』の倉嶋英二総括研究員は、「地域間格差の是正には、金沢を起点とした広域周遊ルートを充実させ、周辺への送客を促すことが必要」と指摘する。


※本文由张的新泻居民提供。谢谢。


キャプチャ  新潟支局版2018年3月8日付掲載

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【北陸新幹線3年変貌】(02) 進学、強まる関東志向

20180621 03
『北陸新幹線』の敦賀延伸を控えて、西に目を向ける企業が増える一方、沿線の若者の視線は東を向いている。4月に長野市に開学する『長野県立大学』。初の入試には、新潟県や富山県からの志願者が目立った。「戦略的に北陸新幹線の沿線を狙った」(県立大学設立準備課)。昨年10月、長野県は富山県内の高校15校の進路指導教諭を集め、富山市で県立大の説明会を開いた。県外での説明会は、新潟県上越地域と群馬県の合計3回となる。富山県から長野県の大学へ進学する高校生は、新幹線開業後に増えている。開業前の2014年4月は大学進学者の0.9%だったが、昨年4月は1.8%。長野県立大学の開学で、更に増える可能性がある。富山では、県東部の高校は関東、県西部は関西の大学への志向が強かったが、『富山予備校』(富山市)によると「県西部でも関東志向は高まっている」。同校では新幹線開業後、毎年5%ほど関東を志望する学生が増え、関西は減っている。長野県で学習塾や予備校を運営する『信学会』(長野市)は4月、初の県外教室を新潟県上越市に開く。「長野市内の教室に新幹線で通う高校生もおり、需要はあると判断した」(北信本部長の原山敏一氏)という。

大学生の就職先も変化した。『金沢工業大学』(石川県野々市市)では、2016年3月の卒業生から就職先トップが東京都の企業となり、地元の石川県の企業が首位を譲った。昨年3月卒は、東京が25.4%で石川は22.7%。差は広がりつつある。「新幹線による時間短縮もあり、学生の就職先は明らかに首都圏へシフトした」(同大学の就職担当者)。背景には、人手不足に悩む首都圏企業の求人活動もある。『金沢大学』(金沢市)の担当者は、「新幹線開業以降、首都圏企業の求人が2倍以上に増えた」と指摘する。北信越域内でも人材獲得の競争は激しさを増す。長野県の『セイコーエプソン』や『新光電気工業』等は、北陸の大学巡りに力を入れる。『リクルートキャリア』が金沢で開くインターンシップ告知イベントには、昨年から長野県の企業も参加した。「関東は競争が厳しく、長野の企業も北陸に目を向け始めた。アクセス改善で採用し易くなったと、この3年で確信した」(同社新卒メディア事業本部長野グループマネージャーの吉岡究氏)。石川県の大手繊維関連会社の担当者は、人材獲得が難しくなった為、首都圏で働く北陸出身者を対象にUIターンの中途採用を強化した。「こちらからも人材を取りに行く」考えだ。『日本政策金融公庫』は先月4日、長野・新潟・富山3県の協力を得て、東京で『UIJターン応援フォーラム』を開いた。「北陸新幹線繋がりで初開催し、相乗効果があった」と信越地区統括室長の鎌田彰氏は語る。新幹線開業は、北陸から首都圏への若者流出に拍車をかけている面があるが、UターンやIターンの人材誘致ではチャンスになる。“移住したい県”で常に上位を占める長野県のポイントの1つは、首都圏との近さ。北陸も工夫の余地はある。


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キャプチャ  新潟支局版2018年3月7日付掲載

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【北陸新幹線3年変貌】(01) 繋がる市場、越境争奪

『北陸新幹線』の金沢開業から間もなく3年。北陸と信越、首都圏を結ぶ高速鉄道は、人の流れを変え、ビジネスと観光の両面で新たな市場と競争を生んだ。5年後に敦賀延伸を控えて、沿線を巡る攻防は激化。スポーツ合宿誘致等の動きも広がる。今後の岐路を追う。

20180621 02
6月のリニューアル開業に向けて改築工事が進む新潟県の上越市立水族博物館『うみがたり』。「北陸新幹線で集客圏が変わる」と桜健太郎館長は期待する。昨年5月まで営業した旧施設は、年間約20万人が訪れたが、新施設は商圏拡大を追い風に60万人を目指す。先月16日、同館は開業説明会の第1回に長野市を選んだ。海が無い長野県からの客は旧施設で約4分の1を占め、新施設も同程度を見込む。第2回は内陸部の前橋市で開く。高崎-上越妙高は『はくたか』で1時間。桜館長は「富山も照準だ」と意気込む。『JR西日本』が昨日発表した北陸新幹線の開業3年目の利用者数は、先月末時点で827万6000人とほぼ2年目並みだ。開業初年度より7%以上減ったが、開業前の在来線特急の利用者と比べると2.7倍。北信越の企業は商圏拡大に動く。『星野リゾート』の『軽井沢ホテルブレストンコート』(長野県軽井沢町)は、新幹線開業の前年、富山市にウエディングサロンを設けた。2016年12月~2017年11月の北陸3県からの獲得件数は、開業前年の2倍だ。「富山県の自然とは違う軽井沢の良さが評価されている」と、ブライダル戦略室ディレクターの深谷遼太氏は語る。北陸の企業は、結び付きの強まった首都圏の開拓を急ぐ。

石川と富山で百貨店を3店展開する『大和』は昨夏、『ヤフー』の通販サイトへの出店を果たした。石川県産の加工食品や菓子等500点を販売する。顧客の半数超は首都圏。店舗の売り上げが伸び悩む中で、インターネット販売は2桁増だ。2022年度末の敦賀延伸を控えて、西に視線を送る企業も。「包装紙をもっと高級にできます」。JR福井駅前のビルの一室。老舗菓子店の幹部が、シンガポールから訪れたレストラン関係者に説明する。海外販路を開拓する福井の食品企業を支援する為に開いた商談会。仕掛けたのは、石川県が地盤の『北国銀行』だ。この日は福井の企業9社とパイプを築いた。福井県を最重要エリアと位置付ける北国銀行は、7月を目処に越前市に県内3ヵ所目の支店を出し、地場産業と取引拡大を狙う。『北陸経済連合会』が2010年に試算した敦賀延伸の経済波及効果は850億円。『今村証券』の今村九治社長は、「敦賀の辺りに店舗をもう1つ欲しい」と話す。本店は金沢市だが、「延伸で敦賀にも人材を出し易くなる」とみる。昨年には営業員がタブレットを使い、顧客の自宅や移動中でも株売買を発注できるシステムを整えた。「敦賀に足場ができれば関西への扉も開く」(今村社長)と期待する。一方、北陸では新幹線開業の直後に広がった域外企業の拠点集積に一服感が漂う。『新生銀行』は、金沢市に持つ北陸唯一の支店を6月で閉鎖する。金融機関の競争が激しくなる中、「全社的な店舗網の再編方針の下で決めた」(広報担当者)。2014年秋から2016年秋までに石川県外の企業が金沢に開設した支店や営業所は68件あったが、「直近1年間の純増数は限られそうだ」(石川県商工労働部)。富山では『YKK』が本社機能の一部を県内に移す一方、グローバル戦略を進める『不二越』は東京に本社を一本化した。北陸では深刻な人手不足が続き、人材の争奪も激しい。商業施設の責任者は、「人材が集まらず、撤退を検討するテナントもある」と明かす。


※本文由张的新泻居民提供。谢谢。


キャプチャ  新潟支局版2018年3月6日付掲載

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【日本の聖域】(24) 自動車会社――マスコミが忖度する最大の広告主、小説『トヨトミの野望』を巡る圧力の噂

20180620 10
マスコミが巨額な広告費と引き換えに、批判や不正の追及を忖度する、所謂広告タブーの中でも、最もマスコミが顔色を窺うのが自動車業界だ。『東洋経済オンライン』が2016年に調査した企業の広告宣伝費調査では、1000億円を超えた9社の内の3社が自動車メーカー、1社がタイヤメーカーとなっており、この国のメディアにとって自動車産業が最大の得意先であることがわかる。しかし、そんな“自動車タブー”の中でも別格の存在が、日本最大480億円という桁外れの巨額広告宣伝費を持つ『トヨタ自動車』である。トヨタは忖度どころか、批判を徹底的に抑え込む“言論封殺”さえも可能なのだ。わかり易い例が、2016年10月に出版された『小説・巨大自動車企業 トヨトミの野望』(講談社)だ。“梶山三郎”という覆面作家が著したこの小説は、豊臣という創業家が創った『トヨトミ自動車』を舞台に、武田剛平という叩き上げのサラリーマン社長と、豊臣統一という創業家のサラブレッド2人の主人公を軸に物語が展開するのだが、タイトルからもわかるように、トヨタをモデルにしていることは明白だ。

マスコミ業界では“人物対照表”なる怪文書が流れ、主人公の武田剛平は奥田碩氏(※現・トヨタ相談役)、豊臣統一は豊田章男社長等、他にも過去のトヨタ幹部や近しい政治家の名が実名でずらりと並んでいた。だが、この小説がトヨタの逆鱗に触れたのは、そのようなリアリティーさだけではなく、若かりし時代の章男社長のスキャンダル等、トヨタ社内では“タブー”視されている裏面史が臨場感たっぷりに紹介されていることだ。それを可能にしたのは、“原案協力”しているフリージャーナリスト・井上久男氏の存在だ。『朝日新聞』経済部時代からトヨタを取材してきた井上氏は、トヨタの内部事情を知り尽くしているのだ。そのような“トヨタタブー”に触れた小説は発売から話題を呼び、10刷のヒットを記録したが、テレビ・新聞・雑誌では殆ど扱われることはない。「新聞で全面広告をやる筈だったが、トヨタの顔色を窺って急遽取り止めになった」(講談社関係者)という話も漏れ伝わってくる等、何らかの圧力があったとも囁かれている。一方、井上氏もタブーを犯した報復として、トヨタの会見やイベントから出入り禁止となった。批判を許さぬ業界が新たなイノベーションを生み出すことができる訳がない。日本の自動車産業の先行きは暗い。 (ノンフィクションライター 窪田順生)


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『九州電力』新社長に池辺和弘常務…原発再稼働で若返りへ

20180620 09
『九州電力』で社長交代が決まった。しかも、10人抜きの抜擢人事だ。新社長になるのは池辺和弘常務取締役(60)。1981年東大法学部卒で入社。経営企画畑を中心に歩み、2016年に執行役員に。翌2017年6月から現職となり、コーポレート戦略部門長を務めていた。現社長の瓜生道明氏は2012年、前年の原発再稼動に関する“やらせメール”問題で辞任した眞部利應前社長に代わって昇格。赤字が続いていた経営の建て直しや、失墜した信用の回復、川内・玄海の両原発の再稼動に力を注いできた。「その結果、2015年に川内原発は1・2号機とも稼動が再開。玄海原発も3号機が今年3月から稼動し、4号機も5月中に稼動する予定で、安定黒字化に目途が立ち、責務を果たした」(業界関係者)。経営陣の若返りには丁度いいタイミングだ。


キャプチャ  2018年5月号掲載

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市場は“いじめっ子”トランプが勝つと知っている――G7が無駄だったのか、株価下落の予兆か

20180620 07
ドナルド・トランプ氏がアメリカの大統領に選出された時、投資家は即座に期待と不安に苛まれた。期待は、トランプ氏がアメリカの法人税を大幅に引き下げ、規制に大鉈を振るい、アメリカの景気回復を持続させることだった。不安は、気紛れな新大統領が、例えばカナダの首相に暴言を浴びせる、又はEUや日本等、アメリカの長年の経済的同盟国との貿易戦争に乗り出す等、何か酷く愚かなことをしてしまうことだった。期待は2017年に見事に叶えられ、リスク調整後ベースで、株式にとって恐らく史上最高の年を齎した。最悪の不安は、カナダでのG7首脳会議の最中、及び閉幕後に現実となったが、市場はこの外交関係のどん底を軽く受け流した。これには幾つかの説明がある。先ず、投資家は国際的なサミットが空手形に満ちていることを知っており、各国首脳がどんな結束や分裂を披露しようとも、1回のサミットに基づいて資金を分配することは決してない。

次に、投資家はこの時点で、トランプ大統領が時折、非常に愚かで侮辱的なことを言うことを知っている。こうした発言は、ライバルを不安定な状態にする為の(※成功を収めている)戦略の一環であり、今では誰もがこれを無視していいことを知っている。第3に、投資家はこの“いじめっ子”が恐らく勝つことを知っており、それを気にもしない。若し、トランプ大統領が自国の有利になる方向へ世界を多少傾けたとしても、害を齎す“報復”関税の戦争を引き起こさなければ、それはそれで構わない。長期的には大きな違いは生まないという訳だ。第4に、今週は他にも多くのことが起きている為、投資家は兎に角、貿易に集中できない。BREXITに関する重要な採決や、アメリカの『連邦準備理事会(FRB)』と『欧州中央銀行(ECB)』、『日本銀行』の政策会合があり、米朝首脳会談もあった。第5に、“ルールに基づく国際秩序”とその支持者が呼びたがるものをアメリカが壊す中で、世界の貿易ルールの荒廃の潜在的なマイナス面は、既に市場に織り込まれている(※トランプ時代に入ってから、カナダの資産がアメリカの資産の値動きを下回ってきた様子をみればいい)。或いは、より現実的に見れば、なお続く企業の楽観姿勢とマクロ経済の力強いデータという背景には、世界最強の指導者たちが時折みせる幼稚な行動に市場は耐えられると投資家が考えていることを意味するのかもしれない。或いは、第6に、投資家は慢心に陥って呆けており、軈て酷い暴落へと向かっていくのだろう。これら全ての点に、かなりの真実味があるように思える。だが、これほど憂慮すべき事態の展開がこれほど小さなインパクトしか齎さないことは、やはり大いに不安になる。これはつまり、G7首脳会議が常に時間とお金の完全な無駄だったか、又は世界中の株式が下落に向かっているか、どちらかだということだ。或いは、その両方かもしれない。 (John Authers)


⦿フィナンシャルタイムズ 2018年6月13日付掲載⦿

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【The CONFIDENTIAL】(31) 三井三菱を食らう謎の造船一族

造船シェアで国内首位、世界でも4位の『今治造船』(愛媛県今治市)。非上場のオーナー企業故、その実態が殆ど知られていないトップメーカーが業界再編に動き出した。『トヨタ自動車』の次に鉄を買い、ライバルの三井・三菱グループも靡く。謎多き造船集団を牽引するオーナー檜垣家の素顔とは――。





20180619 10
「資金はどうとでもできる。引き受けるのがいいんじゃないか?」。今治造船社長の檜垣幸人(55)が重い口を開くと、居並ぶ役員たちはそれに応えるように頷いた。先月12日、今治造船が『南日本造船』(大分県臼杵市)を買収すると発表した。南日本の大株主である『商船三井』(※持ち分24%)と『三井造船』(※同25%)から話が持ち込まれたのは、昨春のことだ。半年以上かけてデューデリジェンス(※資産査定)を進めたが、結果は芳しくなかった。今治造船の造船所は瀬戸内海に集中する。南日本の造船所がある大分に厚板・ブロック・機器類を運ぶと、建造単価が跳ね上がってしまう。企画部門の意見は“買収見送り”に傾きつつあったが、社長の幸人の一言がその空気を変えた。幸人には考えがあった。商船三井と三井造船は、2期連続赤字の南日本を整理したがっていた。提案を受けて良好な関係を築ければ、今治造船の納入先でもある商船三井から利鞘の大きい案件を取り易くなる。三井造船も、ライバルであると同時に、舶用エンジンの調達先。恩を売れば今後の調達に有利になる。損して得とる戦略に、造船トップ企業の余裕が垣間見える。日本の造船会社の世界シェアが5割を維持していたのは1990年代まで。中国・韓国勢が台頭し、直近では2割前後まで低迷している。リーマンショック後の造船不況も重なり、『三菱重工業』や『川崎重工業』等総合重工系がリストラに走る中、唯一気を吐いているのが今治造船だ。売上高は3734億円(※2016年度)ながら、商船建造量は年400万総トン前後。三菱重工業の6倍、三井造船の7倍を超える。世界シェアでも、『現代重工業』や『大宇造船海洋』等韓国財閥系に次ぐ4位だ。昨年9月には約400億円を投じた新ドックが丸亀市に完成。総合重工系とは対照的な積極路線を走る。三菱重工業との関係も逆転した。

20180619 11
昨年3月末、今治造船は三菱重工業と提携合意を発表。提携を申し入れたのは三菱重工側だ。狙いは厚板等の共同調達にある。圧倒的なシェアを背景にした今治造船のバーゲニングパワーに、三菱側が乗ってきた格好だ。「シェアでも世界的な知名度でも、今治が三井三菱を“食って”いる。名実共に盟主の座が移った」。業界関係者は感慨深げに話す。実は、今治造船は1971年以来、三菱重工業から設計技術供与を受ける見返りに、丸亀事業本部(香川県丸亀市)の売り上げの一部を“指導料”として支払う片務的な業務提携を結んでいた。今治造船の技術力が向上したとして提携が解消されたのは、2000年代に入ってからのことだ。「漸く対等な関係と見てもらえるようになった」と幸人は話すが、その差は逆に広がりつつある。今治造船の独走には、やっかみの声もあがる。「合理的とは思えない買収や、投資回収が難しい大型案件を決議できるのは、四半期決算に縛られない非上場のワンマン経営だから」(造船会社社長)。実際にどうなのか? 発祥の地である愛媛県今治市にオーナーの檜垣家を訪ねた。JR今治駅から歩いて30分。海岸線に白亜の今治城が聳える。戦国武将の藤堂高虎の築城時は、堀に海水を引き、大型の船舶が往来できる“海城”だった。その内堀にかかる橋の袂に銅像が立っている。藤堂のものと思い、近付いたが違った。像のモデルは今治造船社長の幸人の父で、グループ社主の檜垣俊幸(89)だ。「檜垣さんのおかげで町が大きくなったけんね」。ベンチに座る高齢男性は、像を示しながら笑う。“4-2”・“5-1”――。今治造船に20人弱が在籍する檜垣一族の社員の名刺には、こんな番号が振られている。左の数字は元会長で実質的な創業者である正一(※1989年没)の何番目の息子か、右は更にその何番目の息子かを示している。例えば、“4-2”は四男・孝則(※2002年没)の次男で現常務の睦也(53)。“5-1”は五男・栄治(※2005年没)の長男で常務の清志(48)の背番号となる。

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【The CONFIDENTIAL】(30) プリファードの全て④…もうクラウドじゃない、異端のAIが巨人を動かす

富士山麓の山梨県忍野村。広大な森の中にある『ファナック』の本社には、初めて訪れる者にとっては驚きの光景が広がっている。製品である工作用ロボット、工場棟の外装、社内を行き交うトラックも社員の服も、全て黄色だ。来客に出すおしぼりまで黄色。大半の社員が本社近郊か黄色の社宅に住む。





20180619 08
ロボットの巨人として知られる同社の近付き難い雰囲気は、そのまま社風を表している。独自路線に拘るロボットの技術者集団は、孤高の存在として知られていた。2015年2月、ファナック本社を初めて訪問した『プリファードネットワークス』社長の西川徹が見たのは、ロボットがロボットを作る生産ライン。無言で見入る西川に、ファナック会長兼CEOの稲葉善治が語りかけた。「ほら、あそこに5台ロボットがあるでしょう。あの内の1台が壊れても、残りの4台でカバーできるような柔軟な作り方ができないかなと思うんですよ」。その瞬間、西川は「これだ」と思った。プリファードが持つAIのディープラーニング(※深層学習)をロボットに導入すれば、工程で起きる様々なエラーからロボット自身が学び、自動的に完成度が高まっていく“賢い工場”が出来上がる。行き着く先は、ロボットがロボットを作る無人工場だ。西川は、東京に戻る車中で、同行した幹部たちに捲し立てた。「もう、今やっていることは全部止めちゃってさ、こっちに行っちゃおうよ」。西川が大学同級生の岡野原大輔らとプリファードを起業して1年近くが経っていた。西川は、「あの時、運命が変わった」と言う。孤高のファナックは何故、新興企業のプリファードに門戸を開いたのか? ファナックが構想していた賢いロボット工場には、大きな課題があった。生産工程で生まれる膨大なデータの存在だ。工作ロボットは同じ動きを繰り返すように見えるが、実はそうではない。“ロボットによるロボットの生産”は、人間の目ではわからないような微細な動きの違いを、ロボットの正確無比な動作に落とし込むことで初めて成立する。

例えば、超音波センサーは毎分1ギガ(※ギガは10億)バイトのデータを生む。画質にもよるが、映画1本分に相当する量だ。それが工場の至るところに存在し、その工場が世界中に点在する。センサー類だけではない。箱の中に置かれた螺子の位置もばらばらだ。そこから1つずつの螺子の形を割り出して、ロボットが正確に掴むには、高度な画像処理が不可欠で、やはり大量のデータが発生する。これらのデータを一々クラウドを経由してやり取りしていたのでは追いつかない。仕掛け人であるファナック研究統括本部次長の玉井孝幸は、「データをエッジで処理できる技術を探していた」と話す。エッジとはクラウドのような中央管理型ではなく、ネットワークの末端にあるモノを指す。生産ラインの“末端”に並ぶロボット自らがデータ分析までこなしてしまうことを意味する。「当時、AIを使った“エッジヘビーコンピューティング”という概念を強く主張していた会社は、私の知る限り、プリファードだけでした」と言う玉井。稲葉に話を通したところ関心を示し、都内まで西川に会いに行くと言う。西川と岡野原からAIによるエッジ処理の話を聞いた稲葉は、その場で腹を決めた。富士山麓に帰る車中で、同行した側近にこう話した。「彼らの話、良いじゃないか。是非、あそこと一緒にやろう」。西川がロボット工場に未来を見い出すより先に、プリファードが持つAI技術が、孤高のファナックを唸らせていたのだ。ただ、西川にはポリシーがあった。「下請けはやらない」。それは、生まれたばかりのスタートアップ企業が巨人に飲み込まれない為の、譲れない一線だった。当時、プリファードは未だ数十人。ファナックから見れば吹けば飛ぶような存在と言えるが、稲葉は西川の言葉をすんなりと飲んだ。「我々も元はベンチャー企業です。エンジニアとして共感する所があるんですよ」。この時、稲葉に同行し、賢いロボットの構築も任された取締役専務執行役員の松原俊介は、稲葉の心中をこう代弁する。下請けはやらないという拘りは、ともすれば大企業の反感を招きそうだが、技術者の琴線に触れれば強固な信頼関係を生み出す。『NTT』でソフトウエア開発一筋の桑名栄二(※現在は『NTTアドバンステクノロジ』取締役)も、西川に共感した1人だ。西川が未だ前身企業である『プリファードインフラストラクチャー(PFI)』を率いていた2010年末頃、桑名は初めて会う西川の言葉に耳を疑った。「僕たちは単なる請負仕事をやるつもりはありませんから」。桑名が旧知の技術者から話を聞きつけ、クラウドでの協業を持ちかけたところ、一回り以上も年の離れた西川がこう言った。「それに、抑々これからはクラウドじゃないと思いますよ」。追い打ちをかけるように、西川は桑名の提案自体も否定してみせた。当時はスマートフォンが爆発的な普及を始め、世界のIT大手がこぞって『Apple』の『iCloud』のようなクラウド技術の開発競争に明け暮れていた。“データ資本主義”とも言われる、現在に至る国境を越えたデータ争奪戦の始まりだ。だが、いずれデータ量が膨大になり過ぎ、クラウドは限界を迎える。西川は後にファナックに語ったエッジヘビー時代の到来を、この頃から予言していた。

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テーマ : 経済ニュース
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