【Global Economy】(50) 進まぬ財政再建論議…“言い訳探し”脱却の時

日本の財政再建を巡る議論が停滞している。“増税棚上げ”を勧めるアメリカの経済学者の理論が注目され、政府の財政再建目標は達成が難しくなっているが、先送りが許される時間は残り少ない。 (本紙編集委員 佐々木達也)

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“ワニの口”(※グラフ①)――。国の歳出と税収をグラフにしたものをこう呼ぶ。開いた口の部分を埋める為に発行されるのが、国の借金となる国債だ。国と地方を合わせた借金(長期債務)の残高は、既に1000兆円を超える。にも拘わらず、財政への危機感は高まらない。その中で、ある経済理論に注目が集まった。「(デフレ脱却には)金融政策以上に財政支出の拡大が有効だ」「『増税はしない』と宣言する必要がある」。ノーベル経済学賞の受賞者であるプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が、今年2月、都内での講演会で持論を展開した。“シムズ理論”と呼ばれる。理論の中身を要約するとこうだ。①デフレ脱却に向けて政府が増税を否定した上で、財政支出を増やす②国民は増税に備えて貯蓄する必要が無くなる③「物価が上がる」との予測が広がり、その前にモノを買おうとして消費が増える④一時的に財政は悪化するが、物価上昇(インフレ)で税収が増え、財政再建にも繋がる――。従来、物価を左右するのは中央銀行の金融政策だと考えられてきた。しかし、シムズ教授によると、政策金利がゼロになって利下げの余地がない日本のような状況では、合わせて財政支出を拡大する必要がある。財政再建は永遠に放棄する訳ではなく、「物価上昇を実現した後で消費税率を引き上げればいい」と唱える。“劇薬”と言える理論だけに、異論も多い。先ず、増税を棚上げしたとしても、「物価が上がる」と国民が考えるかどうか。既に、『日本銀行』が2%のインフレ目標を掲げ、異次元の金融緩和に踏み出したが、目標を達成できていない。

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1990年代に大規模な財政出動が何度も行われながら、日本経済の低迷は続いた。一時的に増税が棚上げされても、財政の危機的状況を知る国民が、将来不安も棚上げして消費にお金を回す保証はない。インフレになれば、実質的に国の借金を減らす効果を齎すが、副作用に注意が必要だ。「物価が2倍になると名目の税収も2倍に増える」と想定される一方、借金額は変わらず、実質半分の負担で返済できる。ただ、国民が持つ預貯金等は価値が大幅に下がる。インフレが止まらなくなれば、国民生活は困窮する。それでも、金融政策の限界が指摘され、デフレ克服策に手詰まり感が漂う日本にとって、シムズ理論は都合のいい理論となり得る。2019年10月の消費税率引き上げは、景気状況を見て慎重に判断する必要があるが、経済学者の中には「消費増税を再延期する際に、シムズ理論が根拠として使われるのではないか?」と勘繰る向きもある。「2020年度に基礎的財政収支を黒字化する」という政府の財政再建目標も危うい。先月、内閣府が発表した試算では、名目成長率が3%前後になる楽観的な“経済再生ケース”でも、2020年度に8.2兆円の赤字が残る。消費税率は10%が前提だ。政府は目標を撤回していないが、6月に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針』に、“債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げ”との目標が加わった。確かに、世界では財政状況を示す指標として、債務残高のGDP比が一般的だ。日本は突出して高い(※グラフ②)。内閣府の試算では、“経済再生ケース”で2016年度の190%から、2025年度に163%に下がる(※グラフ③)。財政出動でGDPを増やせば比率が下がる為、経済界からは「『GDPを増やせば借金をしてもいい』という言い訳に使われる」との声が聞かれる。勿論、財政再建には経済成長が欠かせず、経済の実力を示す潜在成長率を引き上げる為に、必要な歳出は惜しむべきではない。ただ、無駄な支出の拡大を防ぐ意味で、基礎的財政収支の黒学化も重要になる。

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【労基署ショックが日本を襲う】第2部(08) 前科者『ゼンショー』・『ワタミ』の試行錯誤

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「人手? 足りている訳ないじゃないですか。新人は入っても直ぐ辞めていくし、シフト通りに帰れたことなんてないですよ」。都内のとあるチェーン店に勤めるアルバイト店員は、諦め顔でそう愚痴をこぼす。「でも、どこもそんなもんじゃないですか」。人手不足が叫ばれて久しい外食産業。『ロイヤルホスト』や『すかいらーく』等が24時間営業の廃止に追い込まれる等、あまりにも人が集まらない状況に、遂に企業は音を上げ始めている。しかし、外食産業の“ブラック化”は今に始まったことではない。本を糺せば、労働者を“食い物”にすることで急成長した外食産業自身が、その竹箆返しを食らっているに過ぎない。2014年、牛丼チェーンの『すき家』は突如として、大量の一時閉店を余儀なくされた。理由はアルバイトの大量離職による人手不足だ。深夜のワンオペレーション(1人勤務シフト)や、社員の残業時間が月100時間を超えるような過重労働が常態化する中、手間のかかる新メニュー投入がとどめを刺した。遂にスタッフたちの我慢の限界を超えた。働き手がいなくなったすき家では、全国約2000店舗の内、最大250店舗で営業を一時取り止める羽目になった。時を同じくして、居酒屋チェーンの『和民』も、人手不足を原因に60もの店舗が閉店に追い込まれた。和民といえば、2008年に女性従業員が過労自殺したことが、当時、社会問題に。この問題を軽視するような創業者の渡邉美樹氏の発言もあり、和民は多くの批判に曝された。結果、“ブラック企業”の代名詞にもなったほどだ。労働者を酷使することで人件費を圧縮し、客単価よりも客数を重視する薄利多売路線を邁進。競合とは利益なき価格競争を続けた結果、自ずと外食業界にはブラック企業のレッテルが貼られることになった。

その代償として、一向に人手が集まらない現在の歪みを生んだ。デフレの雄と呼ばれた嘗ての外食チェーンの勇姿は見る影もなく、ビジネスモデル崩壊の危機に直面している。勿論、こうした現状に手を拱いているだけではない。すき家を運営する『ゼンショーホールディングス』は、過酷な勤務実態を詳らかにした第三者委員会の報告を受けて、抜本的な労務管理体制の見直しを行った。それまで1つだったすき家を地域毎に7社に分社化し、各分社の社長と労務担当の管理部長、組合代表を含めた時間管理委員会を組織した。時間管理委員会では、毎月半ばに、それまでの推移から、労働時間が長くなりそうな社員とその上司にヒアリングを実施している。その原因を話し合い、対策を施すことで、長時間労働を抑制する仕組みだ。実際、ピーク時には月100時間を超えていた社員の平均残業時間が、足元では同40時間前後まで激減し、2014年以降、1200以上の店舗で取り止めていた深夜営業も、管理体制の構築に伴って、既に9割の店舗で再開している。すかいらーくでは、2011年に『べインキャピタル』の傘下に入って以降、人事改革が加速。昨年10月には、それまで形骸化していた変形労働時間制の運用を変え、4~12時間の間で労働時間を変更できる新たな仕組みを導入した。「1年にも亘る労使の交渉の中で、インターバル規制等の対策も盛り込んだ。個人の実態に合わせて働き方の選択肢を増やすことで、従業員にとって働き易い環境を作った」(同社人財本部デピュティーマネージングディレクターの西山浩蔵氏)。しかし、各社の試行錯誤は続く一方、“人手不足”という根本は変わらない。すき家のある従業員からは、「深夜のワンオペは無くなったが、 午後の時間帯のワンオペは続いている。客が少なくても雑務は多く、辛いのは変わらない」という不満も漏れる。「“名ばかり店長”が復活するのではないか。そこが一番心配だ」。ある労働基準監督官は、そう警戒する。実際の権限が無いのにも拘わらず、管理職扱いされて残業代が支給されない名ばかり店長。残業時間の上限規制が導入されようとする中、「時間規制を逃れる為に名ばかり店長が復活するのでは?」というのだ。正攻法の人材確保が難しい以上、こうした“抜け道”を探る動きに、労基署は目を光らせる。同様に、社員をオーナーとして独立させることで、時間規制の対象外にするようなフランチャイズ化の手法にも注意を向ける。独立支援自体は従業員のキャリアプランにとって望ましい側面を持つ一方で、「フリーランスへの業務委託と同様に、人件費圧縮や労働の強制化のツールとして悪用されれば、大きな問題となる」と、ある労働関係に詳しい弁護士は指摘する。しかし、いずれも導入にはトラブルが付き纏う上、人手不足解消の決定打とはならず、企業は八方塞がりの状況だ。「最も単純な方法は、値上げして十分な人件費を確保することだ」とあるアナリストは言うが、企業規模が小さく、競争も激しい外食産業で、直接的な客数減に繋がる値上げは禁じ手に近い。「植上げに踏み切れる企業は稀だ」(同)。薄利多売と人材枯渇のダブルパンチが、外食チェーン淘汰の引き金を引こうとしている――。


キャプチャ  2017年5月27日号掲載

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【働き方改革の表と裏】(02) 残業100時間で書類送検、10年前より給料が減少した『HIS』

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6月14日、厚生労働省東京労働局は、旅行会社大手『エイチアイエス(HIS)』を“違法な長時間労働”を行った労働基準法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検した。捜査を担ったのは過重労働撲滅特別対策班(※通称“かとく”)だ。容疑は、2015年6~9月、団体営業を担当する40代女性、店頭で接客を行う20代女性(※いずれも当時)に、労使協定(※繁忙期で月最大72時間)を超える100時間前後の残業をさせていたというもの。グループ代表の澤田秀雄社長兼会長の他、現場の労務管理担当者2人を書類送検した。かとくが間題視したのは、「違法な残業を許す風土があったこと」(統括特別司法監督官の戸谷和彦氏)。少なくとも、2010~2014年度の5年間で十数回の是正勧告を受けたが、改善が見られなかった。HISは同日夜に声明を発表。今年3月以降、社長を委員長とするプロジェクトを立ち上げ、労働時間管理の徹底や業務効率の見直しで、「現状では労務管理上の違法状態は解消した」としている。

HISは2012年に半休制度を導入。店舗の営業時間の短縮も進めてきた。2004~2011年に月40時間程度だった平均残業時間は30時間台前半まで減少したが、2015年には再び38時間に増えている。社内調査では、「働き甲斐がある」と回答した比率が、2010年度の63%から年々下がり、2016年度は50%になっている。嘗て、「若手女性社員は殆ど店頭の接客要員。3年でほぼ全員が入れ替わった」(元社員)。現在、3年内離職率は推計で男性が3割弱、女性が4割弱にまで改善した。ただ、2015年の平均年齢は34歳と、10年前に比べて5歳以上上がったが、年収は逆に443万円と20万円以上も下がっている。毎年500人以上を採用するHISは、今年も大量の新卒採用を計画している。労働環境の改善を明確に示せなければ、人材確保はこれまで以上に困難になるだろう。尤も、旅行会社の労働環境は他社も似たり寄ったりだ。嘗て、『JTB』では2011年に団体旅行の担当者が月間250時間超の残業を苦に自殺したこともある。別の旅行会社に勤めていた30代の女性は、「もう、この業界では働きたくない」と話す。旅行の専門学校を経て3年半勤めたが、日中は店頭での接客、閉店後は書類の発行や発送業務に追われる日々。朝8時に店舗に出社し、退社は22時過ぎ。それでも給料は手取り20万円に届かない。「安いツアーだけが売れ、ホテル・旅館・バスの運転手も安い給料に抑えられてしまう」。負のスパイラルから抜け出す術はあるのか――。 (取材・文/本誌 松浦大)


キャプチャ  2017年7月1日号掲載

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【東京五輪後の地方経済を読み解く】(12) リニア新幹線融資計画の3兆円を何故北海道経済の救済に回さないのか?

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2016年10月、2016年度の第2次補正予算(※総額3兆2869億円)が参議院本会議で可決・成立した。同補正予算は、8月に閣議決定した事業規模28兆円超の経済対策の一環。この経済対策には「リニア中央新幹線の大阪延伸を最大8年前倒しするため」との理由で、『JR東海』に対してゼロ金利に近い超優遇金利での3兆円融資が盛り込まれている。政府はこれまでも、JR東海に対しては土地を取得する際の税金をゼロにすることを決定する等、リニア建設に関する優遇政策を進めてきた。リニアに詳しい全国紙記者のA氏は、「3兆円融資は意味不明」「国会で徹底的に議論するべき」と語る。「これまでJR東海は、『自力でリニア整備をする』と啖呵を切り、政治家が口を挟むのを嫌っていたのに、突然、融資が決まりました。JR東海内部では、『安倍晋三首相と懇意の葛西敬之代表取締役名誉会長との関係が背景にある」と囁かれています。安倍首相にとっては、莫大なキャッシュフローを誇る超優良企業のJR東海に融資するなら、焦げつく心配もなく、景気対策の“見た目”の金額を膨らますことができます。安倍首相の所信表明演説では、リニア中央新幹線への融資が『地方創生回廊になる』と言ったのですが、東京と名古屋と大阪の3大都市が便利になるリニアは、“地方創生”とは真逆の巨大プロジェクトです」。JR東海は「リニアで東京と大阪間の飛行機の需要は貰う」と鼻息が荒いが、航空会社の東京-大阪のドル箱路線が激減すれば、『全日空』や『日本航空』の経営に影響が出てくる。また、「今世紀中に南海トラフ地震が起こり、東海道新幹線が被害を受ける可能性は十分にある」と予測されているが、「その場合にリニア整備を進める余力がJR東海にあるのか?」と専門家は疑問提示している。「東海道新幹線のバイパス機能を果たす為にリニア中央新幹線が必要」という推進論もあるが、政権が掲げる国土強靭化と矛盾する。新しいタイプのリニア中央新幹線ではなくて、東海道新幹線と同じ車両を使う普通の“中央新幹線”であれば、新幹線車両を直ぐに回すことができるからだ。

更に、リニア中央新幹線ができると既存の東海道新幹線の本数は減るので、岡山駅や広島駅等中国地方で山陽新幹線を利用している人は、新大阪や名古屋で乗り換える必要が生じ、不便になる。しかも、リニアは京都を通らないので、日本を代表する観光地へのアクセスが悪くなってしまう。南アルプスの自然破壊、脆弱な地盤、不十分な住民合意等、問題が山積しており、こうした懸念についての十分な検証も国会審議もなされてもいないのだ。ドル箱路線の東海道新幹線を抱えるJR東海とは対照的に、『JR北海道』の赤字は年間約500億円。最早、自力での経営改善を断念する寸前にまで追い込まれている。「JR北海道は、『もう自力では再建できない』という“万歳宣言”を出そうとしています。北海道は人口減少に陥っていて、運賃収入が増える見込みはありません。JR北海道が経営危機に陥った一因は、道内で鉄道と並行する高速道路が整備されていき、しかも他地域に比べて無料区間が多いことがあります。高速道路を無料で走る車との競争に負けたのです。その結果、JR北海道は鉄道の維持管理費すら十分に捻出できずに繰ろうして、整備不足から事故が相次ぐことになり、それが更なる鉄道離れを招く悪循環に陥ってしまったのです」(A氏)。景気浮揚や政治的点数稼ぎも兼ねて、日本中に張り巡らされた道路網に敗北し、赤字規模は年間約500億円、10年間で約5000億円だ。2016年に株式上場した『JR九州』と比較すれば、「経営の理念が足りなかった」と批判したくもなるが、ここでは地域特性の違いに目を向けたい。JR九州は、分割民営化時の予想に反して、本州3社に続く4社目の上場を果たした。何故、JR九州とJR北海道で明暗を分けることになったのか? 地元記者はこう解説する。「不動産や流通の“副業”(※鉄道事業以外の収入)が急増した為です。JR博多駅の駅ビル等、駅前の不動産を活用した商業施設や賃貸用物件を運営、学童保育を始め、ドラッグストア・居酒屋・青果業にまで進出、多角経営化を図っている」。数字にもハッキリ表れていた。JR九州の収益は、鉄道部門の本業が全体の約4割であるのに対し、不動産と流通を合わせた副業でも約4割と肩を並べている(※2017年3月期予想)。『JR東日本』・『JR西日本』・JR東海の本業比率が6割以上であるのとは、大きな違いがあるのだ。JR九州が経営改善を進めていく中で特に注目されたのが、豪華観光列車『ななつ星』だ。博多を出発して、由布院等九州の主要観光地を巡って鹿児島に到着するのだが、価格が3泊4日で1人100万円以上でも予約が殺到するほどの人気なのだ。「乗客が圧倒的な西日本・東海・東日本は兎も角、九州も運輸事業の営業利益はずっと100億円以上の赤字です。但し、唐池恒二氏という“指宿のたまて箱”やななつ星等観光列車を生み出した地味ながらも傑物の経営者がいました。特急“ゆふいんの森”やSL快速“あそBOY”等のリゾート列車、博多-釜山間の高速船“ビートル”の企画も唐池氏が手がけ、会長に上り詰めます。こうした競争の背景には、永遠のライバルである西鉄の存在があります。今やはほ同じ業態内容(※鉄道・スーパーマーケットの流通・マンション建設等)で競い合っています」。

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『三菱重工』の真っ暗な近未来図――延々続くMRJへの“ミルク補給”、遥かに遠退く“売上高5兆円”

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“世界に飛ばすぞ!国産ジェット”――。愛知県営名古屋空港の傍らに立つ『三菱重工業』の航空宇宙システム製作所。その航空機最終組立工場を訪れた同社取引先関係者の1人は、工場内壁にこう大書された横断幕に何とも皮肉気な視線を送った。三菱重工が社運を賭けて進める小型ジェット旅客機『MRJ(三菱リージョナルジェット)』開発プロジェクトが“危機”に陥っている。量産初号機の納入時期が、ここにきてまたまた延期へと追い込まれたのだ。2018年半ばとしてきたローンチカスタマー『ANAホールディングス』への引き渡し時期は2020年半ばへと、凡そ2年先送り。当初の予定だった2013年からは実に7年もの遅れで、しかも5度目の納入延期だ。「最高水準の安全性能を国際的に説明できるようにするには、設計の変更が必要だと判断した」。今年1月の会見で宮永俊一社長はこう釈明したが、2020年半ばに納入するには、遅くとも2019年末までには安全性のお墨付きである“型式証明”を取らなければならない。これまで、アメリカで1年間に亘って積み重ねてきた400時間超の飛行試験は一からやり直しとなり、計画されている2500時間の飛行試験をクリアするには、スケジュールはかなりタイト。業界関係者からは、早くも「6度目があるかも…」との揶揄も飛ぶ。

宮永社長ら首脳陣にとって気掛かりなのは、リージョナルジェット市場で過半のシェアを持つ最大手の『エンブラエル』(ブラジル)が、この間にも着々と次世代機『E2』シリーズの開発成果を上げていることだろう。6月19日からパリ郊外のル・ブルジェ空港で開催された世界最大級の航空ショーには、実機を持ち込み、地上展示に留まったMRJを尻目に、飛行展示まで演じてみせた。MRJの最大のライバルと目されている座席数88席の量産機『E175‐E2』投入は「2021年頃」(事情通)とみられており、そうなると、これまで三菱重工が頻りと吹聴してきた“先行者利得”は大きく揺らぐ。開発の遅延に次ぐ遅延は、財務や資金収支の面からもプレッシャーとなってのし掛かる。三菱重工が64%を出資する開発子会社の『三菱航空機』は、2016年3月期に305億円の最終赤字を計上。資本金と資本剰余金合わせて1000億円あった資本基盤を、ほぼ食い潰した。2017年3月期には、最終赤字は更に511億円にまで増大。累積赤字は1510億円に膨らみ、遂に510億円強の債務超過に転落した。これでは資金繰りが持つ筈もなかろう。今では、三菱重工が開発費や固定費等の不足資金を毎月貸し付ける形で、「ミルク補給」(幹部)している有り様。こうした三菱航空機への長期貸付金は、2017年3月期だけで600億円規模に達した模様だ。その煽りをもろに食らったのが、三菱重工の単独決算だ。債務超過に陥った子会社株は、バランスシート上の簿価を引き下げる減損処理を行わなければならず、その与信に対しては貸倒引当金を積み増す必要がある為だ。三菱重工が2017年3月期に計上した保有株の減損特損は、三菱航空機分691億円に他の関係会社分を含めて1336億円、貸倒引当特損は510億円超。これにより、最終損益は186億円の損失超過(※前期は31億円の黒字)となり、2005年3月期以来、12年ぶりとなる単独最終赤字に沈んだ。こうした惨状を抜本的に改善するには、恐らく三菱航空機の増資くらいしか手段はあるまい。関係者によると、既に内部では三菱航空機向けの貸付金をDES(※デッドエクイティスワップ=債務株式化)で優先株等の株式に振り替えた上、三菱重工を始めとした既存株主らが割当増資を引き受けるといった案が検討されているという。とはいえ、このままだとMRJの開発コストは、当初計画を3倍超上回る5000億円規模にまで膨らむ見通し。これを全額増資で賄うとすれば、最低でも3000億円前後の追加出資が必要だ。仮に、現在の株主構成と出資比率の枠組みを維持するとすれば、各10%を出資する2位株主の『トヨタ自動車』と『三菱商事』は約300億円、各5%を保有する『住友商事』と『三井物産』は約150億円の追加出資を余儀なくされることになるだけに、調整は容易ではあるまい。といって、全てを三菱重工単独で引き受けるのは、今の手元資金の水準(※約2500億円)から言って、ほぼ不可能だ。それに、増資が実現して開発資金の確保に成功し、MRJを完成にまでこぎつけたとしても、それがビジネスとして軌道に乗り、最終的に投下資本の回収に繋がるのかどうかは、また別の問題となる。

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【EV大転換】(下) これが持続可能な未来だ

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先月上旬に横浜で開かれた太陽光発電の見本市。目玉は『テスラ』だった。「太陽光で作った電気を蓄電池で溜めて、電気自動車(EV)で使う。これが持続可能な未来だ」。同社シニアディレクターのカート・ケルティ氏は、こう語った。テスラは2月、社名から“モーターズ”を外した。2016年にアメリカの太陽光発電ベンチャー企業を買収。EV用電池に加え、据え置き型蓄電池にも事業を広げる。創業者であるイーロン・マスク氏の狙いは、発電からEVまで一気通貫のエネルギーインフラを作ることにある。何故、そこまでするのか? 「発電時の二酸化炭素(CO2)排出量まで考えれば、エンジン車はEVとの差が無くなる」。ある国内自動車メーカー幹部は、こう主張する。背景にあるのは、“ウェルトゥーホイール(油井から車輪)”という考え方。燃料を作る段階から、トータルの環境負荷を見る発想だ。『国立環境研究所』の調査では、ガソリン車に対するEVのCO2削減率は、フランスで90%。一方、中国では15%減に留まる。フランスは原子力発電の比率が高いのに対し、中国は7割以上をCO2を多く排出する石炭火力発電に依存する為だ。

いくらEVを増やしても、エネルギー源から変えなければ、根本的な地球温暖化対策に繋がらない。EVシフトの先には、太陽光発電等再生可能エネルギーの拡大が待ち受ける。多くの企業が、その事に気付き、動き始めている。北欧では『IBM』や『シーメンス』等が連携し、風力発電による電力をEVに供給するシステムの整備が進む。日本でも一部自治体で同じような実証実験が進むが、「ヨーロッパでは既に商用段階に入っている」(『日本IBM』スマートエネルギーソリューション部の川井秀之部長)。石油メジャーも“変身”に動く。フランスの『トタル』は、低炭素の液化天然ガス(LNG)等、ガスの生産量が発熱量ベースで原油を超えた。同国の電池メーカーを買収し、再生エネ事業の拡大にも走る。自動車に素材、そしてエネルギーまで産業構造を大きく変えようとしているEVへの大転換。それは、世界の秩序にも影響を与える。「2040年には、1日に800万バレルの石油の需要が減る」。アメリカの調査会社『ブルームバーグニューエナジーファイナンス』は、EVシフトの影響をこう予測する。800万バレルは、『石油輸出国機構(OPEC)』の1日の生産量の4分の1に相当する。世界の石油消費量の65%は、自動車等輸送用が占める。発電用途は全体の4%程度。自動車用の落ち込みを補うのは難しい。「各国が協調して需給調整するOPECの戦略が成り立たなくなるかもしれない」。『日本エネルギー経済研究所』中東研究センター長の田中浩一郎氏は指摘する。需要減によって協調が崩れれば、次世代産業に舵を切れるかどうかで産油国間の格差が広がる。不安定な中東に新たな不協和音を生みかねない。EVへの大転換は、地政学に大きな影響を与える可能性もある。

               ◇

藤野逸郎・上阪欣史・榊原健・工藤正晃が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年8月11日付掲載⦿

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【EV大転換】(中) もっと増産できないか

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東京都港区にある『住友金属鉱山』本社。材料事業本部には、催促がひっきりなしに届く。「もっと増産できないか?」。主な相手は、車載用リチウムイオン電池で世界首位の『パナソニック』だ。住友金属鉱山は、車載用電池の正極材で世界大手。世界各国で次々に電気自動車(EV)の量産計画が立ち上がるのを見据え、国内工場の生産能力を一気に2.5倍に引き上げることを決めた。世界で進むEV大転換。当惑気味の日本の自動車メーカーとは裏腹に、素材産業は“EV特需”に沸いている。『デロイトトーマツコンサルティング』によると、2015年に約450兆円だった自動車産業の総付加価値額は、2030年に約630兆円に拡大する。増加額の3割を占める“素材・部品”では、日本企業の強さが目立つ。EVシフトで急拡大が期待される需要を狙い、攻めの投資が活発になっている。「直ちに進出を決めなければ」。リチウムイオン電池の発火を防ぐセパレーター世界2位の『東レ』の井上治常務取締役の目線は、東欧に向く。東レは2020年までに、1200億円を国内外に投じる方針。2019年にもヨーロッパ初の工場を新設し、EVシフトの震源地でシェア拡大を目論む。セパレーター世界首位の『旭化成』も、2020年に国内外の生産能力を2倍に引き上げる計画だ。

尤も、我が世の春が続く保証は無い。一昨日、『NEC』はEV向け電極事業を手掛ける子会社の株式を売却する方針を発表した。EV市場が本格的に立ち上がるタイミングで撤退するのは、中国や韓国企業の台頭で競争が激しくなり始めている為だ。売却先は中国の投資ファンド。中国企業は、母国のEV市場の成長を見込み、貪欲に技術を取り込もうとしている。EVはガソリン車に比べ、構造が単純だ。デジタル製品のように、ものづくりの水平分業が進むとみられており、世界中の企業が新規参入を狙う。「困った問題だ。EV化の流れが予想を超えている」。自動車素材の主役である鉄鋼メーカーの幹部はこぼす。リチウムイオン電池を大量に搭載するEVは、ガソリン車と比べ重くなる。走行距離を延ばす為にも、車体等に使う素材の軽量化は待ったなしの課題だ。自動車の主要部材を、重たい鉄から軽いアルミニウムや樹脂等に置き換える動きが加速するのは避けられない。アメリカのエネルギー省は、「自動車材料の内、2015年に重量比で7割超を占めた鉄の比率は、2030年に4割台に低下する」と分析する。エンジン等が不要になるEVへの大転換が進めば、鉄の比率はもっと下がる可能性がある。『新日鉄住金』や『JFEスチール』は、軽量化に向く高強度鋼板や、EV用モーターに使う電磁鋼板の拡販に力を入れるが、鋼材需要の減少を食い止められるかは未だわからない。1980年代に世界を席巻した日本の半導体産業は、世界の技術トレンドを見誤り、坂道を転げ落ちるような衰退に直面した。“日の丸素材”は大転換を乗り切れるか? 戦いは既に始まっている。


⦿日本経済新聞 2017年8月10日付掲載⦿

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【EV大転換】(上) 海図なき戦いだ

100年超続いたエンジンの時代の終わりが見えてきた。イギリス、フランス両政府は2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止し、中国やインドは環境規制を盾に自動車産業での下克上を狙う。『トヨタ自動車』と『マツダ』は、電気自動車(EV)の共同開発に向け、資本提携を決めた。うねりを増すEVシフトは、あらゆる産業に大転換を迫る。

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“EV試作1号車”――。今春、トヨタはEVの投入に向けた試作車を完成させた。昨年12月にEV事業企画室を立ち上げ、従来の開発期間の半分となる僅か3ヵ月で仕上げた。『デンソー』等トヨタグループからの出向者ら企画室の4人が、社内調整を省き、迅速に仕様を決定。普及を見据え、銀行や愛知県豊田市の関係者等も加えた約30人を集め、開発期間を縮めた。「海図無き戦いだ」。マツダとの資本提携を発表した記者会見で、トヨタの豊田章男社長はこう述べた。世界の2大市場であるアメリカと中国で環境規制が強化され、英仏政府が2040年までにエンジン車の販売を禁止する等、大気汚染対策の動きも世界中に広がる。「EVシフトは想定よりも早い」(トヨタ役員)。異例の開発体制は危機感の裏返しだ。トヨタは、走行距離の長い燃料電池車(FCV)を次世代環境車の本命とする。走行時に水しか出さず、“究極のエコカー”とされるFCVだが、量産が難しく、水素の充填インフラも未整備。開発が容易なEVが先に普及すれば、トヨタのシナリオに狂いが生じる。

トヨタを突き動かした“EVドミノ”。車の技術革新を牽引してきたヨーロッパと、世界最大の中国市場の“共振”が発端だ。『フォルクスワーゲン(VW)』から広がった排ガス不正問題で、ディーゼル車の信頼が失墜。パリやマドリードは2025年からの乗り入れを禁じ、他の大都市も追随する構えを見せる。一方で、ドイツ車の“ドル箱”である中国は、EV普及を国策に掲げる。ドイツ勢の変わり身は早く、VW・『ダイムラー』・『BMW』のドイツ3社は、2025年に販売台数の最大25%をEV等電動車にする計画を打ち出した。「未来は間違いなくEV」。VWのマティアス・ミュラー社長は言い切る。中国やインドが狙うのは、参入障壁が低いEVシフトによる自国メーカーの競争力底上げだ。中国は既にEVの世界シェア3割を占め、『比亜迪(BYD)』等地元メーカーが市場を席巻。中国資本傘下であるスウェーデンの『ボルボカー』は、2019年から販売する全モデルの電動化を宣言した。従来のエンジン車の部品点数は約3万個。「EVでは、部品の約4割が不要になる」との試算もある。それだけに、従来の“勝ち組”には痛みを伴う。トヨタは今春、EV等の生産拡大による部品メーカーへの影響を調べ始めた。トヨタ幹部は、「変革のスピードアップと影響を抑える施策の両立を考えなければ」と悩む。『富士経済』によると、2016年のEVの世界販売は47万台で、うち日本車は14%。未だ世界販売全体の1%にも満たないEVが、エンジン車の誕生から100年以上続いてきた自動車産業を根本から揺るがす。


⦿日本経済新聞 2017年8月9日付掲載⦿

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【地方銀行のリアル】(05) 岡崎信用金庫(愛知県)――“普通銀行”転換への夢と現実

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名古屋から名鉄名古屋本線の特急で約30分。東岡崎駅で下車して北に上り、“二十七曲がり”と呼ばれる旧東海道沿いの右に左に何度も折れ曲がる道を少し西に行ったところに、その建物はある。『岡崎信用金庫』資料館――。赤煉瓦と地元産の御影石を組み合わせ、本格的なルネッサンス様式を取り入れた外観が特徴で、1917(大正6)年竣工というから、今年で丁度生誕100周年という訳か。2008年には国の有形文化財にも指定されている。元々は戦前における岡崎経済の支柱とされた『岡崎銀行』の本店として建てられたものだが、同行が1945年に『東海銀行』(※現在の『三菱東京UFJ銀行』)に吸収合併された後は、終戦直前の岡崎大空襲による被災とも相俟って、廃墟同然になっていた。これを『岡崎商工会議所』が買い取って修復し、自身の本部として再稼働させたのは1950年のこと。ただ、それも組織の拡大と共に手狭となり、“解体”が取り沙汰され始めた矢先、土地ごと購入を名乗り出たのが岡崎信金だった。「(建物は)岡崎の金融・経済の歴史そのもので、取り壊すのは忍びない」。当時の理事長で、商工会議所会頭も兼ねていた服部敏郎の鶴の一声だったとされている。そして、戦災で失った尖塔屋根や箱型屋根を往時の姿に再現する等、復元に約5年の歳月をかけた上、1982年にオープンさせたのが今の資料館だ。全国の信用金庫数は、今年3月末時点で264。その中でも、こうした施設を自前で持つ信金は例がない。その意味では、謂わば「岡崎信金の矜持の象徴」(関係者)とも言えるが、旧銀行本店を敢えて買い取って後生大事に維持・保存し続けているところに、同金庫が今なお「密かに抱いている」(事情通)とされる“銀行”への憧憬も垣間見える。

普銀転換――。岡崎信金が協同組織金融機関という殻を脱ぎ捨て、1991年の『八千代信用金庫』(※現在の『八千代銀行』)以来となる普通銀行への業態転換を模索し始めたのは、2013年中頃のことだとされている。信用金庫は、会員による相互扶助を目的とした組織だ。この為、預金は会員以外からでも自由に集められるものの、非会員への融資は一定の範囲でしか認められておらず、原則禁止されている。新規顧客へ融資しようと思えば、同時に顧客に金庫へ出資して会員になってもらう必要がある。実際、岡崎信金の貸出先をみても、今年3月末で約1.57兆円の残高の内、95%が会員(約13.2万人)向けだ。しかも、融資対象は事業者の場合、従業員300人以下、又は資本金9億円以下の中小企業に限られる。その上、営業エリアも枠をはめられ、岡崎信金に現在認められているのは、愛知県全域と静岡県湖西市だけ。会員資格を有する対象も、個人ならエリア内の居住者か、エリア内の事業所への勤務者、又は事業所の所有者等に制限されている。要するに、ビジネスを拡大しようとしても思うに任せず、顧客の金融ニーズにも十分に応え切れないのだ。況して、愛知県は自動車関連産業を中心とする製造業が集積する。海外進出等グローバル展開を志向する取引先も少なくないが、こうした動きを支援して、取引基盤の厚みを増していくこともままならない。その点、銀行なら融資先規制やエリア規制等は無く、自由裁量の余地は格段に広がる。銀行に業態転換するということは、組織形態も株式会社に転換することを意味する。上場・公募増資などといった資本増強策の幅も増え、自己資本が充実すれば、その分だけ貸出余力も増し、取引先の拡大に繋がる。「金融機関としての認知度が高まれば、若手の優秀な人材も集め易くなる」といった狙いもあったのだろう。2013年当時の理事長で、現会長の大林市郎自らが主導する形で、内部で検討が進められたという。信金といっても、岡崎信金は預金量2.91兆円余。業界では『京都中央信用金庫』(※預金量4.48兆円)や『城南信用金庫』(※同3.57兆円)に次ぐ3番手につけ、総資産は3.34兆円を超える。普銀転換すれば、2018年4月の『第四銀行』との経営統合を表明した『北越銀行』を始め、青森・秋田・山形・大分・宮崎といった銀行を抜き、一気に地銀中位に躍り出る。地元金融界では一時、「転換後には名古屋・愛知・中京の各行始め、東海地区を地盤とする地銀との再編も視野に入れているらしい」といった噂さえ飛び交った。だが、2015年に入ると、転換への機運は急速に萎縮する。確かに普銀転換のメリットはある。が、デメリットも少なくないとして、「金融当局から“待った”がかかった」(関係筋)為だ。信金には、信用組合等と共に、税制上の優遇措置が与えられている。現在の法人税率は原則19%。一般法人の23.4%を4ポイント以上下回る。銀行になれば先ず、この恩恵が受けられなくなる。その上、看板や通帳等を全面的に取り換える必要もあり、一時的には多大なコスト負担を強いられる。

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アホでマヌケな関西の大企業…民度の低さはやっぱり企業でも健在だった!

関西人がアホでマヌケというのは百も承知のニッポンの常識だが、ならば関西発の企業はどうなのか? 本誌が調べてみたところ、お粗末で恥ずかしい関西企業エピソードが山のように出てきた。やはり、その土地の民度の低さは企業にも影響するようだ。

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書店で一番売れているビジネス誌らしい『週刊ダイヤモンド』2017年5月20日号では、『関西流企業の大逆襲』と題し、大阪・京都・神戸辺りの企業を手放しで持ち上げている。古くから関西には“商人の町”のイメージがあるが、現代において関西企業ってそんなに“エエトコ”ばかりでしたっけ? 厚生労働省では、長時間労働や賃金不払い等で送検された、所謂“ブラック企業”の一覧を公開している。それによると、リストアップされた全国344社のブラック企業の内、大阪府だけでも27社もの企業が挙げられている(※2016年10月1日~2017年4月30日公表分)。これは、愛知県に次いで全国で2番目の数字だが、僅か1社の差なので、大阪府は全国トップのブラック自治体と言っても差し支えない。全国平均では約7社だが、京都8社、兵庫15社と何れも平均を上回っている。この2府1県だけで約15%を占め、前述のビジネス誌が低迷を指摘する東京の企業は、全国で最も多くの企業が犇めく中、10社に留まっている。因みに、47都道府県で唯一、ブラック企業ゼロなのが石川県だ。若者よ、働くなら加賀百万石の石川県! 大阪に本社を置く『パナソニック』では、工場勤務の社員3人に月最大138時間の残業をさせたとして、労働基準法違反で幹部2人が書類送検されている。また、昨年6月に自殺した男性社員が、長時間労働による過労死認定を受けていたことも判明。同社は、偽装請負でも2005年に行政指導を受けている。黒い印象を弘試する為か、近年では“グローバルチャレンジャー”を標榜し、「新卒採用の8割が外国人です」とアピール。しかし、元社員によれば、現場で働く外国人は精々5%ほど。抑々、外国人を採用した程度でグローバルというなら、片言店員ばかりの居酒屋チェーンは最先端のグローバル企業ではないか。

2011年に労働局が開示した情報によれば、就職人気企業の時間外労働上限ランキング第2位は、京都に本社を置く『任天堂』で、何と年間1600時間! 月133時間以上もの時間外労働を強いることができるよう、労働組合との協定を締結し、社員を死ぬまで働かせる仕組みを敷いているのだ。大阪に本社を置くゲームメーカーの『カプコン』は更に酷い。2012年3月、同社のプロデューサーである小野義徳氏が自宅で倒れ、救急車で緊急搬送。その後に受けたマスコミ取材に小野氏は、「カプコンは労働組合も労働者運動も許さない。不満を言ったらクビ」と、苛酷で真っ黒な職場の内情を告白。また同社では、20代の女性クリエイターが“仕事を干される”等のパワハラに遭い、鬱病を発症。休職・自殺未遂を経て何とか復職したものの、一方的に“休職期間満了による自動退職”を宣告され、1576万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。パワハラ訴訟は、同じ大阪の企業『サントリー』でも。2007年、上司から過度の叱責・罵倒を受け続けた男性社員が、重度の鬱病を発症。男性は労災申請と共に、上司と会社を提訴。2013年2月に労災認定、2015年1月には東京高裁が上司と会社の不法行為を認定。165万円の支払いを命じた。にも拘わらず、男性は復職叶わず、会社から一切の謝罪も無いという。ブラック体質を改善する気が無いのは明らか。関西のブラック企業にとって、社員に謝罪など汚辱の極み。ボーナス支給の際、刑務所の配給の如く社員を並ばせ、「貰えることに感謝しなさい」という社長訓示を聞かせる京都の『京セラ』もその好例。「賞与は正当な対価報酬ではなく、嫌々ながら恵んでやるもの」という認識か。黒っ! ブラック企業の“人を人とも見ない”姿勢は、そこで働く者だけでなく、社会全体にも直接的な害悪を齎す。わかり易い例が“健康被害”だ。大阪府泉大津市にて『中交総社』として創業し、現在は東京にも本社を持つ『日清食品』。同社では、冷凍パスタの中にゴキブリを混入させる事件を2014年に起こしている。異物混入など日常茶飯事の中国の話ではない。日清では“美健賢食”(美しく健康な身体は賢い食生活)を創業者精神に掲げているが、インスタント食品を世に撒き散らしておいて何の冗談か? 美しく健康な賢い食生活を送ってもらいたいのならば、今直ぐ自社製品を全回収すべきだ。異物混入騒動を引き起こしておいて、一方で美や健康を謳う厚顔さも如何にも中国的だが、それも致し方ない。創業時の社名からも想像がつくように、創業者の安藤百福は中華民国(※台湾)出身なのだ。その“血”が行き渡っているのは衛生管理の面だけではないようで、昨年4月に起きた騒動にもよく現れている。同社の看板商品『カップヌードル』の新しいテレビCMに矢口真里を起用し、彼女の口から「二兎を追うものは一兎をも得ず」「ヤッちゃえ、皆さん」と言わせたのだ。ご丁寧なことに、この言葉に対し、「これ、実体験だよね?」と嘲笑する女性の台詞も。矢口が起こした不倫騒動を茶化しているのは明らかで、“商売の為には手段を選ばない”という姿勢が見て取れる。案の定、テレビCMは瞬く間に大炎上を呼び、僅か1週間で放送中止となる羽目に。

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