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【基礎からわかる東証市場再編】(06) TOPIX、質を向上

20210421 03
『東京証券取引所』は市場再編と合わせて、東証株価指数(※TOPIX)の改革に乗り出す。株価指数に連動するパッシブ運用が世界的に広がる中、投資対象としての魅力を高める狙いがある。一定の基準に満たない銘柄をTOPIXから除外し、指数の質を担保するのが柱だ。現在のTOPIXには東証1部の全銘柄が組み込まれている。東証1部に上場している限り、パッシブ運用や日銀の上場投資信託(※ETF)買いに伴うマネーが無条件に流れ込み、経営者の緊張感を緩めるとの指摘があった。パッシブ運用をする投資家が流動性の低い小粒銘柄を売買する必要があることも、敬遠される一因になっていた。具体的な改革として、今年6月末と企業毎の翌決算期末ベースの流通株式時価総額が100億円未満の企業は、指数内の構成比率が段階的に下がるウエイト低減銘柄に指定する。来年10月末から少しずつ下げていき、2025年1月末で完全に除外する。東証によると、2年3ヵ月で東証1部の3割に当たる約600銘柄が除外される可能性がある。敗者復活制度も設けた。3月期決算企業なら2023年3月期末の流通時価総額が100億円以上に回復していれば、同年10月以降は引き下げを停止する。東証1部企業は、流通時価総額が100億円未満でも改善計画書を出せばプライムに移行できるが、TOPIXからは除外される可能性がある。指数に残れるかどうかは株価に大きく影響する。東証は、市場再編と指数改革の両輪で東京市場の魅力向上を目指す。 =おわり


キャプチャ  2021年1月28日付掲載
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ジャンル : 政治・経済

【基礎からわかる東証市場再編】(05) 基準未達でも経過措置

20210421 02
来年4月の新市場発足時に、東証1部上場企業はプライムの基準を満たしていなくても、希望すれば原則として移行できる。『東京証券取引所』は、こうした未達企業には“経過措置”と呼ぶ暫定的な基準を適用する。経過措置の期限は指定されていないが、未達企業は基準達成に向けた改善計画書を策定し、移行から一定期間後の開示が必要になる。移行スケジュールでは、先ず東証が6月末を基準日として各企業の流通株式時価総額や比率を判定し、各市場の上場基準に照らして、7月末までに企業に新区分の適合状況を通知する。仮に1部企業がプライムの基準を満たしていなくても、今年末までに改善計画書を提出することでプライムに移行できる。こうした企業に適用される経過措置基準は、本来の基準よりも大幅に緩い。“流通株式時価総額100億円以上(※比率35%以上)”を設定しているプライムの場合、経過措置基準は10億円以上(※同5%以上)まで下がる。東証は経過措置について「当分の間」としている。カギとなる改善計画書については、移行後に終了する事業年度末から3ヵ月以内に進捗状況を開示することを求める。一律の期限は設けないが、中長期的には、未達が続く企業はプライムからの退出を迫られそうだ。「企業が各市場の役割を理解した上で選ぶ以上、プライムを選択する企業の責任は重い」(『ニッセイアセットマネジメント』の井口譲二統括部長)との声がある。


キャプチャ  2021年1月27日付掲載

テーマ : 経済
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【基礎からわかる東証市場再編】(04) グロース、“10年ルール”廃止

20210420 04
新興企業向け市場のグロースは、現在の『東証マザーズ』と比べて成長基準のハードルが厳しくなる。東証1部への最短ルートとして企業に選ばれてきた面があるマザーズとは異なり、グロース市場での着実な成長を促すのが狙いだ。東証が“1部を目指す成長企業向け”と位置付けていたマザーズの企業は、昨年10月まで時価総額40億円以上等の基準を満たすと1部に昇格でき、『ジャスダック』からの昇格等に比べて緩かった。新制度では市場変更は各市場への新規上場扱いで、プライムへ行くには、プライムの新規上場基準(※時価総額250億円等)をクリアする必要がある。マザーズは上場10年後に2部に移動するか、一定の基準を満たすことを条件にマザーズにとどまるかを選択する“10年ルール”がある。これは廃止し、グロースの上場維持に必要な時価総額は上場後10年で40億円以上と、マザーズの10億円以上から引き上げる。その代わり、新規上場時の時価総額基準は設けない。グロース上場時に企業は“事業計画及び成長可能性に関する事項”を開示する。内容は、計画の進捗から経営に重大な影響を及ぼす取引先との契約内容まで多岐に亘る。投資家保護が目的の措置だが、企業には「競合に知られたくない事項も多い」との声があり、開示内容のバランスには苦慮しそうだ。


キャプチャ  2021年1月26日付掲載

テーマ : 経済
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【基礎からわかる東証市場再編】(03) プライム、流通株35%以上

20210420 03
企業に大きな変革を迫るのがコーポレートガバナンス(※企業統治)の強化だ。『東京証券取引所』が最上位市場と位置付けるプライムは、時価総額全体に占める流通株比率で35%以上を求める。政策保有等安定株主だけで特別決議の可決に必要な“3分の2以上”を占める株主構成は認めない。特に政策保有株の場合、これまでは保有比率が10%未満なら固定的な株主とは見做されなかったが、新基準では流通株から除外される。安定株主の比率に上限を設け、多様な投資家による企業監視を強化する。『野村資本市場研究所』の調査によれば、上場企業の持つ政策保有株の約9割が10%未満と推定されるという。『トヨタ紡織』は昨年、『トヨタ自動車』に自社株式の一部売却を依頼した。東証の基準変更を受けて、こうした持ち合い解消の動きが広がりそうだ。スタンダードとグロースは何れも流通株比率で25%以上が必要になる。今春に東証と金融庁が改訂を予定するコーポレートガバナンスコード(※企業統治指針)では、社外取締役の規定も強化される。プライムでは現行の“2人以上”から“取締役全体の3分の1以上”となる見通し。女性や外国人、中途採用者等人材の多様性確保も焦点となる。基準を順守しない場合は、対外的にその理由を説明する義務が生じる。プライム用の指針以外の部分は、スタンダードは全適用、グロースは基本原則を適用する。例えばジャスダックから新しいスタンダードに移行した場合、ガバナンス基準は厳しくなる。


キャプチャ  2021年1月23日付掲載

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【基礎からわかる東証市場再編】(02) 売買のし易さ重視

20210420 02
東京証券取引所が来年4月に3市場に対して導入する新しい上場基準では、市場で実際に売買できる“流通株”を重視する。時価総額が大きくても一般投資家が活発に取引できない銘柄は、上場基準に抵触する可能性が出てくる。流動性を重視する海外マネーを呼び込む狙いだ。新市場に適用される流通株の計算で特徴的なのが、政策保有株の扱いだ。これまで保有比率が10%未満であれば政策保有株も流通株と見做されてきたが、新しい基準では大量保有報告書で保有目的が“純投資”とされているもの以外は固定的な株主と見做す。但し、流通株について東証は株式の分布状況について提出を求め、個別に判定する。流通株は指数の算出に用いられる浮動株と異なる点には注意が必要だ。例えば、投資ファンドや投資信託の保有は基本的に浮動株にはならないが、流通株としてはカウントされる。有価証券報告書を基に算出する浮動株と違い、正確な流通株数は開示資料のみでは計算できない。流動性は投資家が買いたい、売りたいと思った際に円滑に売買できるかどうかを左右する。プライムは流通時価総額100億円以上、スタンダードは10億円以上、グローズは5億円以上を求める。東京市場の上場企業は、アメリカ等と比べて相対的に時価総額が小さい上、流動性が低い銘柄が多いことが海外の機関投資家に敬遠される理由の一つになっていた。活発に売買できるようにすることで、幅広い投資家を呼び込む狙いがある。


キャプチャ  2021年1月22日付掲載

テーマ : 経済
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【基礎からわかる東証市場再編】(01) ガバナンス基準厳格に

『東京証券取引所』は来年4月に東証1部等既存の4市場を廃止し、新たにプライム等3市場体制へ移行する。企業のステージに応じて市場毎の役割を明確にする他、ガバナンス等の基準にもより厳格な基準を設け、上場企業の価値向上を促す仕組みを盛り込んだ。市場再編のポイントを連載で纏める。

20210420 01
市場再編の狙いは、「上場会社の持続的な成長を促し、市場の魅力を高める」(『日本取引所グループ』の清田瞭CEO)ことだ。実質的な最上位市場となるプライムは、海外投資家のマネーを呼び込みたい大企業向けの位置付けで、他の2市場と比べてハードルが高い基準を設ける。主に東証1部に上場している企業の移行を想定する。スタンダードは東証2部等からの移行が中心で、謂わば“標準”市場だ。グロースはその名の通り、新興企業向けで、『東証マザーズ』と同じ位置付けとなる。東証が市場再編に踏み切った最大の理由は、現在の4市場は区分が投資家にとってわかり難くなっている為だ。東証1部は2000社を超える企業が上場し、時価総額が100億円を下回る企業も少なくない。中堅企業向けは東証2部に加えてジャスダック(※スタンダード)があり、新興向けもマザーズとジャスダック(※グロース)がある。各市場間の変更基準も区々だ。区分見直しに合わせて、新3市場の新規上場や上場維持基準も見直す。投資家の活発な売買を確保する流通株基準や、政策保有株の縮減を促すガバナンス基準等だ。次回以降は、具体的な移行手続きや新しい基準・ルールについて解説する。


キャプチャ  2021年1月21日付掲載

テーマ : 経済
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【新型コロナウイルス・試練の電機業界】(27) 「白物家電でさえ単品売りは崩壊へ」――冨山和彦氏(『経営共創基盤』CEO)

20210419 07
コロナショックによる影響は、伝統的な製造業の事業モデルである“ハード単品売り”の比率が高く、デジタル化が進んでいない企業ほど大きい。というのも、自動車や家電等の耐久消費財は、一般的に不況に弱い。先のリーマンショックを振り返っても、真っ先に需要が冷え込んだのは耐久消費財とその材料・部品、設備投資だった。人々がコロナ禍の終息を実感できない限り、消費は冷え込むだろう。リーマンショックの前後には、テレビやパソコンといった黒物家電における日本企業の敗北が完全に決定付けられた。最早、テレビは動画コンテンツの表示装置に過ぎず、消費者はハードに付加価値を見いだしていない。一方、製造過程でアナログ技術がものをいう白物家電は、単品モデルが辛うじて機能してきた領域だった。だが、コロナ禍をきっかけに製品やサービスのデジタル化が加速度的に進む。例えば、エアコンというハードが提供してきた“室内の空気を調整する”という価値を直接訴えかける別のビジネスモデルが登場すれば、消費者は高性能なエアコンよりもこれに飛びつくだろう。今、世界中の起業家たちが虎視眈々とこのチャンスを狙っている。つまり、今回のコロナ禍で何も手を打たなければ、今度は冷蔵庫や洗濯機等の白物家電も黒物家電と同じ道を辿るかもしれない。

家電以外では、産業機器等にも同様のことが言える。コロナショックの前後で、こうした単品販売モデルの崩壊スピードが加速する可能性がある。今、経営者に課されているのは、コロナ禍をてこにデジタル変革をやり遂げ、こうした破壊的な変革の下でも生き残れる会社の形を真剣に議論することだ。尤も、デジタル変革を成し遂げるには時間がかかる。デジタル化が比較的進んでいる『日立製作所』は、サービスモデルへの転換を宣言してから10年かけて漸く芽が出た。持ち株会社体制への変更を発表してエレキの会社からの決別を表明した『ソニー』も、長い間、“第二のウォークマン”の呪縛と戦ってきた。1995年には出井伸之元社長が“デジタルドリームキッズ”というスローガンを掲げ、インターネット企業への転換を訴えたが、当時のソニー社内には響かなかった。アメリカでは出井氏のスローガンを体現するようなIT起業家が多く登場し、彼らが巨大IT“GAFA”を作って世界を支配している。また『パナソニック』は、白物家電で構成された居住空間をサービスモデルに転換しようとしている。社外取締役として社内の本気度 感じるが、大量生産モデルに最適化された組織が変わるのは容易ではない。彼らが直面しているのは、プロ野球チームがいきなりサッカーで世界の強豪と戦うくらいの大変革だ。今のパナソニックは、支配する側・される側のどちらに立つかの岐路にある。この局面において、“電機”という括りは最早、無意味だ。嘗てのライバルであった日立、ソニー、パナソニックの幹部は、お互いの良いところを学ぼうと積極的に情報交換をしているようだ。経営陣が考えるべきは、業界の動向ではなく、各社の持つ組織能力が適合する市場はどこか、その市場は成長領域であるかだ。双方が交差するところに今後のビジネスがある。 (聞き手・構成/本誌 印南志帆) =おわり

                    ◇

我が家では家電の買い替えを検討中。新たに家族になる者ができることを契機に、日常生活の更なる便利さを求め始めました。現在、テレビはソニーとパナソニック、冷蔵庫と調理家電は『シャープ』、洗濯機は『東芝』(※『美的集団』傘下入り前)、エアコンは『三菱電機』、照明は日立。普段の生活で、如何に多くの日本の電機企業に支えられているかを実感します。そして家電は進歩中。インターネットに繋いでスマホから操作するのは当たり前。自動調理、自動で洗剤投入、好みの番組を自動録画。これからも私たちの生活をどれだけ豊かにしてくれるのか。素敵な未来を作る技術を持った電機企業に、是非事業を続けてほしい。そう思える企業の製品を大事な人と選ぼうと思います。 (本誌 劉彥甫)

『世界銀行』が今月8日に発表した世界経済見通しによると、今年のGDP成長率はマイナス5.2%。4月中旬にIMFが発表した見通しはマイナス3%であり、状況は一段と厳しくなっているようです。この内、先進国はユーロ圏が9.1%減、日本とアメリカは6.1%減と見込まれていますが、懸念されるのは、アメリカは抗議デモ等の混乱が長引くと更に悪化する可能性があること。アメリカのGDPが1%削られるだけで2000億ドル規模の減少になる為、影響は甚大です。自動車や電機等、アメリカへの依存度が高い企業は極めて大きな影響を受けることになります。“危機連鎖”の行方を注視する必要があります。 (本誌編集長 山田俊浩)


キャプチャ  2020年6月20日号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【新型コロナウイルス・航空と鉄道に激震】(21) 「新幹線は物流の価値を高める」――真貝康一氏(『JR貨物』社長)

20210419 06
『JR貨物』が発足して33年、鉄道事業は約100億円の営業利益を上げられるようになった。関連事業では不動産もそれなりに育っている。今後、会社を伸ばしていく為には、強みをどう生かしていくかだ。上場を目指す以上、持続的に一定の利益が確保され、投資家の期待にも応えられることが前提になければならない。我々には鉄道の全国ネットワーク、設備、ノウハウがある。これらを生かし、物流の結節点である貨物駅の機能を高めていく。これまで鉄道中心で考えてきたが、マルチテナント型物流施設・レールゲートを建てて利便性を高めている。3PL(※物流の改革提案・一括受託)の動きもあるが、顧客は物流の効率化が経営課題になっている。鉄道輸送だけではなく、そうしたところにも参画していかなくてはならない。国内の物量は人口減によって、新型コロナウイルスがなくても減っていく。一方で、デジタル化のスピードは速まっていくだろう。人口が減って生活様式が変わり、技術革新への投資、消費や新しい製品への需要が出てくる。その中で物流の少量化、高頻度化が起きている。今後は物流の品目、運ぶ時の形状、運び方も変化していくだろう。こうした中で、貨物新幹線は物流全体の価値を確実に向上させるものだが、将来の顧客のニーズに合致していくかが大事なことだ。例えばリードタイム。結節が悪いと積み替えをすることになり、時間がかかる。新たにコストが発生し、運賃も高くなるが、そうしたことをクリアしていかないと実現は難しい。青函問題の解決というより、冷静に物流と人流のバランスをどうするのか、国の施策としても検討していくべき大きな課題だ。 (聞き手・構成/本誌 森創一郎)


キャプチャ  2020年10月3日号掲載

テーマ : 鉄道関連のニュース
ジャンル : ニュース

【定年制度終了のお知らせ】(15) 定年後も働きたい職場④…定年延長で要望の多様化に対応

20210419 05
昨年4月、『明治安田生命』は業界に先駆けて65歳定年に踏み切った。「定年延長を検討した背景には、ビジネス環境や社会環境の変化もあるが、当社独自の事情もある」と話すのは、同社人事部人事制度グループの石川和正グループマネージャー。それは社内の“人口ピラミッド”の偏りだ。多くの企業がバブル崩壊後の不況の時期に新卒採用を絞った為、40歳前後の社員が少ない。同社は2004年に『明治生命保険』と『安田生命保険』が合併して誕生した。それが偏りを一段と進めた。2019年時点の社員数を100として、採用数が現状のままだと、2029年には8割、2049年には6割になる。シニアを活用しなければ、客のニーズの多様化に伴い、高度化・専門化していく業務に対応できない。そこで、定年延長への早い取り組みに繋がったという。新しい制度を作る上で最も難しかったのは処遇だという。定年を引き上げれば、その分、人件費が膨らむ。とはいえ、60歳以上の処遇を下げれば、「これまでと同じ仕事をしているのに、何故下がるのか?」という不満が出るだろう。これまで通りのポストを残せば、今度は若者が出世できなくなり、世代間対立が生まれる。一方で、60歳で退職しようと考えていた人にとっては、退職金を貰える時期が5年も延びる定年延長は迷惑だろう。

皆が納得できる制度にする為には、どうすればいいのだろうか。凡そ4年の議論の末、新しい体系が導入された。中でも特徴的なのは左上図で示した3つだ。“実能資格”は課長とか部長といった役職、“職種”は全国転勤があるかどうか。シニアに対しては、“実能資格”を廃止し、職種は転勤なしに一本化された。これらにより、60歳未満の時の約7~8割は処遇が下がる。こう説明されれば納得し易い。特に注目すべきは“役割”だ。この職制のこの職務はいくらと処遇水準をはっきりさせた。10人の営業職員を抱える営業所長はいくら、50人の営業職員を抱える営業所長はいくらといった具合だ。役割には若手もベテランも関係ない。それは年功序列の廃止にも繋がる。一方、これまでは総合職やアソシエイト職等入社経路によって処遇が違ったが、同じ規模の営業職員を抱える営業所長なら、仕事の内容は同じだ。入社経路に関わらず、“同一職務=同一賃金”が導入された。配属先については、勤務地か職務で選ぶ。勤務地によって給与が変わることはないが、職務によっては給与が変わる。勤務地で選ぶ人と職務で選ぶ人は半々だという。一方、定年延長を望まない人に対しては、MYシニアスタッフ制度を用意した。60歳で退職し、嘱託社員として働く。フルタイム、短時間、短日数等、希望に応じて様々な働き方を選べることが魅力だ。1年更新で5回まで更新できる。制度の説明は50歳(※キャリア開発研修)、58歳(※キャリアデザイン研修)の2回実施している。凡そ9割が定年延長を選び、1割がMYシニアスタッフ制度を選んだ。概ね予想通りだったという。ただ、これで制度が完成したわけではない。不具合があるかどうかチェックしながら、基本的には3年に1回見直す。来年4月には、契約社員の希望者全員を社員にする社員化に取り組む予定だ。 (取材・文/フリーライター 竹内三保子)


キャプチャ  2020年10月17日号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【年収1000万円のリアル】(06) 新築マンションはバブル期に次ぐ高値…年収1000万円組の家選びの泥沼

新築マンション価格は高騰し、年収1000万円であっても理想のマイホームの実現は困難になっている。アフターコロナも住宅相場の値崩れは起きておらず、家選びの難しさが増している。

20210419 02
「本来ならば今年の東京五輪・パラリンピック後に暴落した筈だ。五輪は延期したが、コロナ禍の影響でこれから価格が下がる筈」――。こう力説するのは、大手商社に勤め、東京都心の賃貸マンションに住む39歳の岡崎祐一さん(※仮名)だ。岡崎さんは海外駐在から帰国した5年前に家探しを始めた。職住近接は絶対条件と考えて、都心で新築・中古マンションを探したものの、予想以上の価格に二の足を踏んだ。妥協すれば買える物件はあったものの、駐在時代の優れた住環境がちらつき、決め切れない。住宅相場の暴落を信じて待つうちに、5年が過ぎてしまった。腹立たしいことに、後輩が目一杯の住宅ローンを組み、自分も一時は購入候補にしていたタワーマンションを買った。「高値掴みだよ」と当時は馬鹿にしていたのだが、その後もマンション相場は上昇。気付けば、自分が支払った5年分の家賃と相場の上昇で、後輩とは2000万円以上の“資産格差”がついてしまった。岡崎さんは夜な夜な不動産情報サイトを巡る日々だ。しかし、期待する暴落は未だ起きない。「まさか、予定していた価格より1000万円近く高い物件を買う羽目になるなんて」。こうぼやくのは、大手メーカーに勤め、横浜市内で7000万円近いマンションを購入した36歳の後藤光也さん(※仮名)だ。後藤さんは元々、賃貸物件派。ところが、教育熱心な妻の要望で、家探しが二転三転する羽目になった。後藤さんの長男は来年から小学生だ。「良い学区に通わせたい。良い塾がある駅の近くがいい」という妻の要望で、1年前から家探しがスタートした。そして、『小田急電鉄』成城学園前駅エリアで『UR都市機構』の賃貸物件を見つけた。

ところが、いざ契約を進めようとすると、妻はこんなことを言い放った。「URでは子供が同級生に馬鹿にされる」。結局、マンション購入も選択肢に入れ、予算6000万円で家探しを続行した。ある時、希望エリアで思わぬ好条件の中古マンションを見つけた。内見に行き、何故こんな物件が出ているのかと聞くと、不動産の営業マンは笑いながらこう明かした。「夫婦でペアローンを組み、離婚したんです。マンションを売れば売り主は住宅ローンから解放されるので、300万円は値引けますよ。私に任せて下さい。それをリフォーム代に充てませんか?」。ただ、条件が合わず、この物件はスルー。結局、予算を1000万円近くオーバーした横浜市内の新築マンションを買った。都内の職場まで通勤に1時間近く。購入費用は頭金なしの35年フルローンだ。念願のマイホームに上機嫌の妻は早速、学習塾に加え、英語塾やキッズダンス教室等のチラシを真剣な目つきで眺め始めた。習い事はそこまで必要なのか。住宅ローンと教育費で家計がパンクしないのか。妻に不満を漏らしたい気はあれど、拗れてしまって万が一のことがあれば――。家探しで出会った不動産営業マンの言葉が、後藤さんの耳から離れない。暴落待ちや予算オーバー。こうした事態が続出するのは、住宅相場の高騰が続いているからだ。『不動産経済研究所』によれば、2019年の首都圏の新築マンションの平均価格は5980万円と、バブル期のピークだった1990年の6123万円に次ぐ水準まで上昇した。東京23区内に至っては7286万円にまで達している。新築に釣られ、中古も値上がりを続け、『東京カンテイ』によれば、2019年の中古マンションの平均価格は平方換算で3709万円と、6年連続で上昇中だ。そんな住宅市場を新型コロナウイルスの感染拡大が襲った。ただ、目下のところ相場の下落には繋がっていないようだ。不動産コンサルティング会社『さくら事務所』の長嶋修会長は、「2008年のリーマンショック後は、デベロッパーが新築物件を投げ売りし、それに釣られて中古価格も下落した。ところが、今回のコロナ禍では投げ売りが起きていない。6月以降は停止していた需要が噴き出し、相場はコロナ禍前の延長線上に戻った」と指摘する。実際、6月以降の中古マンションの平均価格は、2019年の価格を若干上回る水準で推移しており、東京カンテイの井手武上席主任研究員は「データ上、コロナ禍で中古マンションが値崩れする事態にはなっていない」と話す。マンションに手が出せないのならば、次の選択肢は郊外の一戸建てだ。テレワークの普及もあり、郊外需要が高まっていると思いきや、年収1000万円組ではこうした動きは鈍いという。「年収1000万円の層は、利便性や時間をカネで買うという思考で家選びをする。コロナ禍で在宅勤務が増えたとはいえ、週に数日は通勤する。都心・駅近志向は却って強まっている」(長嶋氏)。寧ろ、郊外で一戸建てを買う動きが顕著なのは、年収が1000万円よりも一回り下の層だ。平均販売価格が約4400万円で、年収500万~600万円程度の会社員をターゲットとするオープンハウスの一戸建ての仲介契約件数は、7月が同55.5%増と絶好調だ。勿論、年収1000万円組ならば容易に買えるが、価格が安めで郊外という点が、妥協したくないという思いを強めてしまう。不動産情報サイト『住まいサーフィン』を運営する『スタイルアクト』の沖有人社長は、「分譲一戸建ての購入層は年収300万~700万円で、年収1000万円あれば、本来なら都心寄りのもっと良い物件が買える筈。マンションは値上がりし、一戸建ては丁度いい商品がないという、年収1000万円組にとって家を選びようがない状況に陥っている」と語る。共働きのパワーカップルが新築・中古マンションに手を伸ばし、年収600万円世帯は郊外の分譲一戸建てを買い漁る。狭間の年収1000万円組の理想のマイホーム探しは、泥沼化の一途を辿っている。


キャプチャ  2020年11月28日号掲載

テーマ : 経済ニュース
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George Clooney

Author:George Clooney

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