【崩壊する物流業界】(17) 物流施設の建設ラッシュ…燻る供給過剰の不安

20170623 03
「首都圏でも昨年後半から、『供給過剰なんじゃないか?』と皆が言い始めた」――。賃貸大型物流施設の大手開発業者『プロロジス』日本法人の山田御酒社長は、そう話す。在庫管理等の拠点となる物流施設は、空前の建設ラッシュ。不動産サービス大手『CBRE』によると、首都圏における2016年の賃貸大型物流施設の新規供給は36万坪、新規需要は34万坪(※左図)。共に過去最高で、市場は拡大している。だが、空室率に目を向けると景色が変わる。2015年は3%台後半から6%前後半に急上昇し、2016年も6%台後半。需要は増えているが、それを上回る供給があり、テナントが埋まらない施設が出ているのだ。数年前は、竣工前にある程度埋まっているケースも珍しくなかった。2017・2018年も高水準の供給が見込まれ、一段の空室率上昇が懸念される。施設の供給が急増した背景には、インターネット通販市場の拡大や企業の物流コスト削減の動きがある。物流拠点を新たに設置したり、効率化の為に従来の拠点を集約したりする需要が高まっている。また、開発業者から見ると、オフィスより利回りが高い上、テナントの契約期間は一般的に5年と、中期で安定した収益が見込める。そこに目をつけて、新規参入する会社が次々に登場した。従来から事業を展開してきたプロロジス・『大和ハウス工業』・『野村不動産』等に加え、2012年頃から『三菱地所』や『三井不動産』、それにアジアに拠点を置く『ESR』(※旧社名は『レッドウッドグループ』)等が加わり、開発競争が過熱したのだ。では、空室は埋まるのか? 「首都圏はそれほど心配していない」と山田社長は言う。根拠として、竣工から1年以上経った物件の空室率が2016年で3%と低いことを指摘する。「通常、竣工から1年~1年半かけてテナントを埋めていく。以前の竣工前に埋まっていた案件の中には、新規参入組が空室を恐れて家賃を割り引いていたケースがある。今はビジネスがわかってきて、竣工時にガラガラでも無理しない。それでも1年後には埋まっている。正常な状態に向かっているということだ」。

開発業者大手の『グローバルロジスティックプロパティーズ(GLP)』の帖佐義之社長も、「需要は底堅い」と見る。「供給水準は予想の範囲内。施設ができると、『あそこを使いたい』という需要が顕在化することも多く、まだまだこれからだ」。ただ、「供給増加でテナント側の選訳肢が増え、どの施設が最適かを精査するようになっている」(CBREインダストリアル営業本部首都圏営業部の佐藤亘部長)。開発業者も、選ばれる為に工夫を凝らす。東京都江東区にあるGLPの物流施設『GLP東京Ⅱ』。この内部には不思議な光景が広がっていた。LED照明の明るい室内には印刷機が並び、作業員たちが以々と企業のDM等を作っている。ここは物流施設でありながら、印刷会社の工場として使われている。企業からの依頼で印刷物を作り、郵便局等に配送している。GLPは、一部フロアを倉庫から工場に用途変更して、印刷会社を誘致した。GLPの施設に工場が入るのは初めてだ。「需要が広がる中で、求められる機能も多様化しており、それに応えていく必要がある」(帖佐社長)。プロロジスは『アッカインターナショナル』と手を組み、2016年5月に竣工した『プロロジスパーク千葉ニュータウン』で、アパレルのインターネット通販向けに商品の撮影・採寸・原稿作成・在庫管理等の業務代行サービスを提供し、同施設に入居する『プーマジャパン』等複数の企業の業務を受託した。今後は、こうした付加価値の提供による顧客獲得競争が激しくなる。首都圏は楽観的な見方が多い一方、警戒感が強いのは近畿圏だ。2016年の空室率は11.4%と、2015年の3.5%から急上昇した(※左上図下)。特に湾岸部は2016年後半から供給が相次ぎ、2017年も延べ床面積17.7㎡の『レッドウッド藤井寺ディストリビューションセンター』等、巨大施設が竣工する。テナント側は様子を見ている状態だ。その結果、近畿圏全体の賃料は、2016年10~12月期で1坪当たり3680円と、7~9月期より3.7%下落した。元々、近畿圏は中心部に物流施設に適した平野が少なく、供給が限られていた。そこに、鉄鋼業や電機メーカーの拠点再編で湾岸に土地が生まれ、開発業者が雪崩れ込んだのだ。一方で、需要は首都圏ほど大きくなく、関係者の間では「テナントを埋められない施設が賃料のダンピングに走るのでは?」と囁かれる。「空室を埋めるのに2~3年はかかるだろう。我々の施設の賃料にも少なからず影響があると思う」(プロロジスの山田社長)。目前に迫る嵐を、どうやって乗り切るか。開発業者にとって頭の痛い問題だ。 (取材・文/本誌 中島順一郎) =おわり

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「いつかは東芝みたいにみんな辞職だね(笑)」――“鉄面皮”富士ゼロックス、不正発覚直前に不可解人事

20170620 09
『富士ゼロックス』が、今月22日に開く定時株主総会と取締役会で、経営陣の全面刷新を決める。『富士フイルムホールディングス』が富士ゼロックスの役員更迭を発表したのは今月12日。富士ゼロックスのニュージーランド子会社(『FXNZ』)とオーストラリア子会社(『FXAU』)での一連の不適切会計で、375億円の損失を出した責任を負わせる為だ。富士ゼロックスでは、山本忠人会長・吉田晴彦副社長・柳川勝彦専務執行役員ら5人のプロパー役員が退任。代わりに、富士フイルムHDから新たに4人の役員を送り込み、古森重隆会長が富士ゼロックス会長を兼務してガバナンスを強化する。僅か2ヵ月ほど前、富士ゼロックス経営陣は、まさかこんな事態になるとは思っていなかったに違いない。今年4月1日付の2つの人事がそれを物語る。1つは今回、退任する本多雅常務執行役員。国内営業事業全般の担当を任された。だが、本多氏こそ、今年3月末までシンガポールの現地法人社長として、アジア太平洋地域全体を統括する立場にあった人物。過去10年分のFXNZの決算書にも、責任者の1人としてその名は何度も登場している。今年4月20日に、富士フイルムHDがFXNZの会計精査を理由に、今年3月期の決算発表の延期を発表した直後から、富士ゼロックス社内や関係者から「FXNZの不適切会計に深く関わっていたであろう本多氏が、何故日本本社に返り咲いて出世したのか?」と訝る声があった。

「今回の異動は昇進。前任者は1年ちょっとで外されており、不可解だった」と、富士ゼロックス社員は声を潜める。もう1つの不可解な人事は、本多氏と入れ替わりでシンガポール現法トップに就いた関根勇氏。同氏は経理部長を務めたこともある経理畑で、これまで営業出身者が占めていた同現法社長としては異例の就任だった。「富士ゼロックス経営陣が最後まで、不適切会計問題を小さく処理できる、問題にならないと軽く見ていたということだ」。ある富士ゼロックス関係者が囁く。経理出身者をFXNZやFXAUでの不適切会計問題に当たらせる一方で、疑惑の渦中にいた本多氏も出世させ、「問題は無い」という姿勢を鮮明に打ち出したという訳だ。そんな富士ゼロックスの目論みは大きく崩れた。今月12日に公開した第三者委員会報告書には、関係者間の生々しいやり取りが記されている。例えば、不適切会計を指弾する通報メールが2015年7月に届いた直後に、調査担当者が同僚とやり取りしたチャットのメッセージ。「あのメールが言っていることは全部本当」「いつか東芝みたいになって、みんな辞職だね(笑)」――。富士ゼロックス経営陣が通報メールの内容を事実だと認識していたことは、第三者委の報告書が指摘している。それにも拘わらず、「一部のサンプル調査しかせず、『問題無し』と我々には報告していた」と、富士フイルムHDの助野健児社長は今月12日の会見で強調した。イギリスの『ランクゼロックス』(現在の『ゼロックス』)と富士フイルムHDの折半出資の合弁会社として1962年に設立した経緯もあり、独立志向が強かった富士ゼロックス。だが、海外販売子会社の不適切会計を隠蔽したことで、主導権は遂に富士フイルムHDに奪われる。事態を軽く見た代償は大きかった。 (取材・文/本誌 松浦龍夫)


キャプチャ  2017年6月19日号掲載

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【男たちの貧困】(04) 赤字しか出さないアイドルに自分を重ねて投資…売れないアイドルに夢を託す赤字生活の芸能事務所経営者

20170620 07
“ふじわらくん”という芸名で芸人の活動をしながら、現在、個人事業主として芸能事務所を運営しているのが藤原徳浩さん(40)だ。藤原さんは元々、九州で電力会社に勤める父親を持つ中流家庭に生まれ育った。しかし、自分と同じ道を勧める親への反発もあり、『福岡よしもと』に入学。芸人の道を目指した。東京に出て来たのは27歳の時だ。東京ではゲームセンター・ビル清掃・コンビニのアルバイト等をしながら、毎月の収入は20万円を超えていた。大手立ち食い蕎麦チェーン店でのアルバイト時代には、その仕事ぶりを評価され、芸人との兼業を認めるという異例の待遇で社員登用され、店長にまで昇格。挨拶の徹底等を行い、店の売り上げを向上させ、収入が手取りで25万円を超えたこともあったという。と、ここまでは貧困とは無縁の稼ぎを得ていたようだが、転機は7年ほど前に訪れた。ある知人が地元の福岡でアイドルと芸人を交えたイベントを企画した際に、そこに共同主催者として誘われたのだ。藤原さんは正社員の職まで捨てて、この企画に力を注いだのだが、知人が突如として行方不明に。イベントは資金面も含めて、藤原さんの手に委ねられてしまったのだ。「中止することもできたんですが、動き出した企画を止めるのは申し訳なくて。全く初めてで、何に幾らかかるのかもわからないまま、開催までこぎつけたんです。ただ、蓋を開けてみると収益は雀の涙なのに、東京から呼んだタレントさんのギャラ・交通費・会場費等で150万円の大赤字。消費者金融で満額借りても足りず、親にまで借金して何とか補填しました」。

20170620 08
このイベントがきっかけとなって、アイドルをプロデュースする仕事に興味を抱いた藤原さん。自分がMCをやっていたインターネット番組に出演させたりして、何人かのアイドルの面倒をみるようになる。「ただ、人気のメンバーが大勢いる訳じゃないですし、ラジオは枠を買うのに月に何万円かかかっています。それから、主催ライブを定期的にやっていますが、これが一度も利益が出たことがありません。オフ会ですら1~2人くらいしかお客さんがいないので、赤字で…。事務所経営の収支は、大体平均して毎月6万~7万円の赤字になっています」。芸人としての稼ぎもほぼゼロなので、収入はほぼ全てアルバイトだ。コンビニの深夜アルバイトで20万円ほど稼ぎ、家賃の6万3000円は一緒に暮らす弟と折半している。「実は、今も限界ギリギリまで消費者金融の借金があるんですが、東京に出てくる前から続けているパチンコがどうしても止められないんです。数年前に累計で1200万円の赤字になるところまで帳簿をつけていたのですが、そこからは怖くてつけていません。その後もずっと負け続けているので、今は1500万円以上の負けになっている筈」。パチンコの負けと、毎月赤字を垂れ流す芸能事務所経営。おかげで食事は1日1食だけで、自分の為の服や家具やモノなど、もう何年も買ったことがないという。とはいえ、半ば依存症とも言えるパチンコを除けば、自分を着飾る一切を捨ててまで所属アイドルたちに投資している訳だが、そのモチベーションはどこから来るのだろうか? 「正直言うと、自分が芸人として売れなかったので、彼女たちに夢を託しているところがあります。ラジオもイベントもお金がかかりますが、いつか誰かに見てもらって、大きなチャンスになるかもしれない。そんな思いで続けています」。藤原さんの夢が叶う時は、いつか来るのだろうか――。 (取材・文/編集プロダクション『QBQ』 渡辺則明)


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別れたほうが母子手当で身入りは増える…偽装離婚者に空き部屋提供、過疎地の“エア賃貸”大家

20170620 03
バブル時代、所有する土地に次々とアパートを建てた狩野正則さん(仮名・54)。現在は過疎化が進み、地元は限界集落一歩手前となり、アパートの空き室は増え、大家として窮地に立たされた。「『固定資産税とか維持費もバカにならない。扨て、どうしたものか…』と思っていたところに、親戚から相談を持ちかけられたんです」。この親戚は離婚したばかりだったのだが、実は偽装離婚。会社をリストラされた上、借金で首が回らなくなった為、妻子を路頭に迷わせないように離婚をでっち上げたのだという。「それで、『籍を抜いた奥さんと子供の住所が必要になったから、アパートを世話してほしい』と言うんです。実際は奥さんも子供も彼と同居しているから、名義だけということになりますね。『手持ちの物件を遊ばせているのももったいない』と思い、空き部屋を毎月3万円で“架空貸し”することにしました」。これが裏仕事の始まりだった。「最近じゃ“エア賃貸”なんて言い方もしていますよ(笑)。通常の家賃の約半分とはいえ、『住んでもいない部屋にお金を払うなんて酔狂だなぁ』と思っていましたけど、聞けば母子家庭だとその何倍もの経済的恩恵が受けられるそうですね。この親戚は、同じように偽装離婚している夫婦を何組か知っていて、その人たちを紹介してもらうことになり、後は口コミって言うんですかね。気が付けば、所有するアパート全てに架空貸しの部屋が存在するようになりました。物件にもよりますが、大体1室3万円です」。最近では偽装結婚カップルへの賃貸も始めたらしい。「どれも実際は空き部屋ですが、民生委員のチェックが入るということで、私と女房で全部の部屋を回って洗濯物を干したり、ゴミ出しをしたりして、恰も住んでいるような偽装工作をしています」。過疎から生まれた驚きの裏仕事だ。 (取材・文/フリーライター 清水芽々)


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【バス進化形】(下) 運転技術、数値化し指導

20170620 01
交差点を過ぎて運転手が訓練専用車を加速させると、教官の佐藤誠さん(49)が指摘した。「アクセルの踏み込みが強過ぎる。かなり燃料を使いました」。訓練専用車は運転技術を高める為、『ジェイアールバス関東』(東京都渋谷区)の安全研修センター(栃木県佐野市)が2013年10月に導入したものだ。教官席のモニターには、運転手の視点やアクセル、ブレーキの踏み具合等のデータが表示される。佐藤さんは、「数値で結果が出るので、欠点を伝え易くなった」と話す。『西日本鉄道』(福岡市)も、自社の自動車教習所で安全運転推進車を使い、新人らの研修に力を注ぐ。急発進や急加速等の状況を点数化する他、車両と障害物の距離を計測するセンサー等から運転レベルを把握し、指導に役立てている。視線の動きを捉える『アイカメラ』も、夏頃から活用予定だ。右左折や交差点通過の際、運転手はどこを見ているか? その傾向を分析して、指導の質の向上を図る。

大型の高速バスは、2014年11月以降の新型車から、衝突被害軽減ブレーキや、エンジンやブレーキを制御して横滑りや転覆を防止する車両安定性制御装置の搭載が義務化された。しかし、バス旅行者の多くは、こうした安全装置の無い車両に乗っているのが現状とみられる。高速バスの寿命は10年以上とされ、全面的に新型車に切り替わるには相当の時間がかかる。『日本バス協会』は貸し切りバス事業者の安全への取り組みを評価し、公開する制度を2011年度に始めた。三つ星を最高ランクとする『セーフティバス』マークを交付。利用者や旅行会社が事業者を選ぶ時の参考になり、九州・山口では西鉄の他、『JR九州バス』(福岡市)・『大分バス』(大分市)・『鹿児島交通』(鹿児島市)等も三つ星に認定されている。バス会社独自の対策も進む。『札幌観光バス』(札幌市)は、昨年1月に起きた長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故を受け、脳ドックを今年から全運転手に受診させることを決めた。国土交通省によると、2011~2015年に運転手の体調不良が原因で起きた事故の内、脳疾患が19%を占めていた。安全面の課題について、バス専門誌『バスラマインターナショナル』の和田由貴夫編集長は、「運転手不足で、経験の浅いドライバーが多くの乗客を乗せるケースが増えている。人材育成が急務だ」と指摘している。

               ◇

経済部 小沢理貴・吉田昂・岩崎拓が担当しました。


⦿読売新聞 2017年6月13日付掲載⦿

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【熱狂!アニメビジネス最前線】(10) “好き”が財布を開かせる…“アニメ×消費”の最前線

20170620 05
アニメ作品所縁の場所をファンが訪問することが近年、宗教行為に擬えられ、“聖地巡礼”と呼ばれている。作品に登場する実在の土地だけでなく、架空の都市が舞台だが、実在の場所をモデルに背景を精緻に描いた結果、モデルとなった場所が聖地になることもある。後者の例が、映画『君の名は。』(東宝)。舞台とされる岐阜県飛騨市に、ファンが大挙して押し寄せたことが話題となった。この聖地巡礼を喚起する今最もホットなアニメが『ユーリ!!! on ICE』(テレビ朝日ほか)。昨年10~12月に放送された深夜アニメだ。グランプリファイナルを戦う男子フィギュアスケーターたちの物語。時折目につくボーイズラブ的な描写から、主な視聴者は女性と思われるが、完成度の高いストーリーと手に汗握るスケート演技の描写は、男性が見てもハマる。舞台は九州の“長谷津”。架空の街だが、山と海、高台の城といった風景にファンはピンときた。「これ、佐賀県の唐津市でしょ」。唐津は唐津焼や唐津くんちの祭りで知られるが、観光目的の訪問率は全国210位(※市調べ)に留まる。祭りの時期を除けば、比較的静かな街だ。ところが、インターネットで“長谷津=唐津”という情報が広がり出した11月頃から、街に女性ファンの姿が目立って増えた。遠くに唐津城が見える橋、商店街のアーケード。地元住民には日常の風景を、ファンは愛おしそうにカメラに収める。そして市内の温泉施設を訪れ、併設の食事処で“お約束”のカツ丼を食べる。作品中に、この施設をモデルにした旅館で主人公が、好物のカツ丼を食べる場面があるのだ。この場面が放映された途端、1日に6~7杯程度しか売れていなかったカツ丼の注文が、いきなり10倍に。150杯出る日もある。唐津名物でもない普通のカツ丼がここまで人気を集めるのが、聖地の力なのだ。「佐賀なら絶対やってくれると思った」。放送終了後に佐賀県がユーリとのコラボレーションを発表するや否や、ファンが沸いた。過去にも自治体として初めて『おそ松さん』(テレビ東京系)とコラボする等、知名度向上に一際熱心な県なのだ。県広報広聴課の担当者は、「第1話を見た瞬間、『これだ』と思った」と話す。担当者が早速、製作会社にコラボを持ちかけたところ、あっさりOKが出た。製作側にとっても、パッケージソフト販売や続編製作への土壌作りを狙い、放映終了後も人気を維持する必要があるからだ。

佐賀が当初提案したのは、佐賀県産のブランド米をPRする“サーガ・オン・ライス”という企画。スケーターを回転寿司に見立てて、カウンターの上で登場人物がくるくると回転するアイデアだ。だが、「アニメの世界観が損なわれる」という理由で却下。この案は、明治神宮外苑アイススケート場を作品中のスケート場に見立て、県産米のおにぎりを販売する内容に変更された。今年3月6日からは県と市の協業で、アニメに登場した場所を紹介する聖地巡礼マップの配布を開始。初日はJR唐津駅に早朝から、100人もの女性ファンがマップ入手目的で列を作った。東京や新潟と、遠方から足を運んだ人も多数。元々予定していた九州旅行にイベントを組み込んだ人が大半だったが、イベントの為に態々来たファンもいた。同日から、市内各所の飲食店でもコラボメニューがスタート。商店街近くのカフェ『hanaはな家』の店主は、「若い女性を見掛けるようになり、『当店にも来てくれないかな?』と期待していたが、勝手にユーリで商売する訳にもいかないし…」と思っていたという。そんな中、市の担当者からコラボメニューの販売を打診された。売り出したのは、登場人物ゆかりのボルシチ。「ロシア料理ですが、肉や野菜等、具材は県産です」(店主)。コラボメニューを注文すると、県が作成した限定グッズが貰える。タクシー各社も、聖地を案内するサービスを展開している。ある運転手は、「娘に教わり全話見た。単に聖地に連れていくのではなく、どの所に立つとアニメと同じアングルで写真が撮れるのか、何度もロケハンした」という。「放映開始前からコラボし、観光名所や特産品をアニメにどんどん登場させれば、観光収入が飛躍的に増えるのではないか?」――県の担当者にそう質問したところ、「ファンはPR臭に直ぐに気付くので、簡単には乗ってこない」と言下に否定された。そして、更に強烈な一撃。「抑々、作品に魅力が無いと、ファンは聖地巡礼をしようとは思わない」。確かに、企画段階から自治体が関与したにも拘わらず、聖地ブームが起きなかったアニメ作品も過去にあった。聖地巡礼ブームを受け、これをビジネス化しようとする動きが活発だ。昨年9月には、大手出版社・旅行会社・航空会社等が中心となって、聖地巡礼を支援する『アニメツーリズム協会』を設立した。聖地を8ヵ所選んで公式指定し、それらを繋ぐ広域周遊観光ルートを作るのが目的だ。更に、聖地のコンテンツを活用したサービスや商品で新たな経済効果を創出したいという。だが、自身がアニメ愛好家でもある本誌記者は、聖地を公式指定する発想にはやや疑問を感じる。アニメの好みが多様化している時代に、全ての聖地を訪問したい人がどれだけいるか? また、聖地に精力的に赴いて盛んに消費するファンでも、過剰なビジネス化には白けてしまう筈だ。抑々、聖地は観光名所ではなく、ファン以外にはごく普通の場所に過ぎない。だからこそ、知る人ぞ知る聖地の魅力があることも忘れてはならない。 (取材・文/本誌 大坂直樹)


キャプチャ  2017年4月1日号掲載

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【JR・栄光と苦悩の30年】(10) 「やるべきことに手が打てず、30年前、“株式会社”に憧れた」――松田昌士氏(『JR東日本』顧問)インタビュー

20170619 13
――国鉄改革を意識するようになった背景について教えて下さい。
「当時の日本国有鉄道は、毎年1兆円ずつ赤字が増えていくのに、改革に手を付けられない状態でした。何をやるにも国会の承認がいる。不採算路線の廃止・余剰人員の整理・運賃の値上げ…やるべきことはわかっているのに手が打てない。廃線は国会議員が反対しますから。当時は物価が上昇基調にあり、私が知るだけでも、国鉄末期の13年間で11回の値上げをしないと収支が合わなかった。毎年1兆円ずつ赤字を計上し、当時は金利が高いので、借金が雪だるま式に増えていきました」

――経営計画とは別に、現場では労働組合の問題も抱えていました。
「労働組合がどんどん大きくなって、左傾化していきました。典型的なのが闇協定の横行です。組合の主導で闇賃金が発生していました。赤字で給料は十分なベースアップとは言えなかったから、給料とは別に闇賃金として闇手当を出していたのです。法律では認められていませんが、全国の管理局が其々勝手にやってしまう。本社は完全に指揮能力を失っていました」

――嘗ての国鉄と言えば、組合活動が過激だった印象があります。
「昭和51年10月から約3年半、私が総務部長を務めた九州・門司の管理局管内も、荒れた職場が多かった。駅長や区長といった管理職は、大勢の組合員に取り囲まれて、『手当を認めよ!』とか詰め寄られる訳です。毎日、何十人に取り囲まれて監視されている状態ですから、ノイローゼになるし、疲れてしまう。自殺した職員も多くいました。また、事故も度々起きて、今の常識では考えられない状況でした」

――それで、「一旦解体するしかない」と。
「不退転の覚悟が必要でした。本気で改革に取り組み始めてからは、家に帰るのは2週間に1回あるかないか。東京駅の前にあった本社の地下3階の風呂に入って寝るという生活。着替えは運転手が取りに行ってくれました。人間、寝なきゃならんので、どこでも直ぐに寝られる体質に変わりましたよ(笑)」

――国鉄の経営陣は、分割民営化には反対でした。松田さんら若手改革派には、制裁人事が行使されたようですね。
「上司が1人支持してくれましたが、後は全員反対。そのうちに北海道への転勤命令が下されました。国鉄の人事発令は午前中にあるのですが、私の時は19時でした。揉めていたのでしょう。夜に仁杉巌総裁(※当時)にお会いして、『札幌に行きますが、国鉄は辞めません。この人事は左遷と受け止めて、必ず国鉄改革を実現してみせます』と宣言してから北海道に行きました。実は、総裁は『国鉄改革が必要だ』と考えておられて、密かに私の考えを支持して頂いた筈ですが」

――民営化後は『JR東日本』の常務に就任しました。
「札幌での名刺の肩書は部長ですが、何の指示もありません。そこで、1ヵ月半かけてローカル列車を全て乗り歩きました。データを整理して、年間3800億円の赤字をどうやれば減らせるか考えた。分割民営化後は生まれ故郷の北海道を率いるつもりでした。ところが、直前になってJR東日本に行くよう言われました。あの頃、『国鉄は政治に使われることから離れて、普通の会社にならなければならない』と思いました。今から30年前に、我々は“株式会社”に憧れたのです」


キャプチャ  2017年3月25日号掲載

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【Global Economy】(41) TPP漂流、強かなオーストラリア…対日輸出、EPAで優位に

オーストラリアが、牛肉や果物等の対日輸出で攻勢をかけている。2015年1月に日豪の『経済連携協定(EPA)』が発効して関税削減が進んだことで、ライバルとなるアメリカやニュージーランドより有利になった。世界の自由貿易体制が揺らぐ中、オーストラリアは強かさを見せている。 (本紙ジャカルタ支局 一言剛之)

20170619 10
オーストラリア南西部の地方都市・アルバニー。地平線まで広がる牧場で、約1600頭の黒毛牛が牧草を食んでいた。主に子牛を育てている畜産農家の牧場で、大半の牛は嘗てアメリカに輸出された和牛の子孫だ。経営するピーター・ギルモアさん(57)は、「日本の農家を何度も訪問し、ノウハウを学んできた。関税が引き下げられた今こそ、子牛の出荷を増やしたい」と意気込む。母牛が妊娠した時から綿密な栄養管理を行う。子牛に与える穀物を細かく砕いて消化し易くする等、手間をかけている。日豪EPAの発効で、300㎏以下の子牛1頭当たり3万8250円かかっていた関税は、現在は3万600円となった。輸送費はかかるが、日本に出荷すればオーストラリアの国内価格の5倍近い値段で売れるという。スティーブン・チオボー貿易観光投資大臣は今年4月、「オーストラリア産品の競争力は際立っている」との声明を発表した。昨年の対日輸出額は、発効前の2014年と比べ、牛肉は22.5%増、ニンジンが約6倍になった。5183.5%増(約53倍)になった生食用葡萄は、“タイプミスではない”との注釈を加え、成果を誇った。背景には、アメリカのドナルド・トランプ政権の『環太平洋経済連携協定(TPP)』離脱表明で、アジア太平洋地域の貿易の構図が様変わりしたことがある。TPP発効が見通せなくなったことで、既に日豪EPAを結んでいるオーストラリアは、関税引き下げの恩恵を最大限生かす戦略だ。日豪EPAにより、スーパーマーケット等に並ぶオーストラリア産冷蔵牛肉の関税は、発効前の38.5%から現在29.9%に下がった。毎年少しずつ引き下げられ、15年目に23.5%になる。

一方、アメリカ産やニュージーランド産の牛肉の関税も、TPP発効時に27.5%、16年目以降に9%に下がる筈だったが、TPPが頓挫し、38.5%のままだ。昨年のオーストラリア産牛肉の輸出は、干ばつ等で価格が上昇して苦戦したものの、今後は日本市場で攻勢をかける考えだ。葡萄や胡桃等の業界団体が次々と来日し、日本の小売店やレストランにアピールしている。先月下旬に訪日したオーストラリアの『全国柑橘類産業協会』のジュディス・ダミアーニCEOは、「先行して日本市場への浸透を図る」と上機嫌だった。尤も、オーストラリアにとっても、TPPの漂流は望ましいことではない。TPPが発効すれば、巨大市場であるアメリカへの砂糖の輸出増が期待できる他、各国へのオーストラリア産ワイン等の輸出拡大に弾みがつく筈だった。『国際通貨基金(IMF)』によると、オーストラリアの今年の実質国内総生産(GDP)成長率見通しは3.1%と堅調だが、鉄鉱石や石炭等の資源価格に左右され易い。人口約2400万人の国内市場も、それほど拡大が望めない。近隣のアジア各国と比べて人件費は大幅に高く、『トヨタ自動車』は今年10月にオーストラリアでの生産から撤退する予定だ。オーストラリア政府が成長産業の1つとみているのが、広大な主地と豊かな四季という環境に恵まれた農業等の1次産業だ。アジアとの距離の近さを生かし、高品質・高付加価値の食品輸出を拡大する計画を描いている。在日本オーストラリア大使館のブレット・クーパー公使は、「品質への拘りの強い日本は、チャンスが大きい。EPAの関税メリットを最大限生かし、シェアを伸ばしたい」と意気込む。オーストラリアは戦後、イギリスの後押しを受けて発展し、1960~1970年代は日本、現在は中国と、経済大国への輸出で成長してきた。オーストラリアにとって最大の貿易相手は中国だ。昨年は、物品・サービスの輸出額全体の28.2%を占め、2位の日本(11.7%)と3位のアメリカ(6.3%)の合計を上回った。オーストラリア国内では、中国人による土地の買い占め等を警戒する声が強まっている。昨年には、中国企業によるオーストラリアの大型牧場の買収計画に対し、オーストラリア政府が「国益に反する可能性がある」として計画を見直させた。また、中国人バイヤーによる買い占めで、オーストラリア国内の粉ミルク不足が社会問題化した事例もあった。独協大学の永野隆行教授(オーストラリア外交)は、「近年は中国依存が強まり過ぎることへの懸念が広がり、日本や(中国以外の)アジアとの経済関係を再強化しようとしている」との見方を示している。

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【崩壊する物流業界】(16) ロボットは人手不足の救世主になれるのか?

20170619 09
ドライバーの不足に苦しむ物流業界。解消の切り札として期待されるのが、新しい技術だ。国土交通省は、大型トラック1台に荷台を2つ繋げた“ダブル連結トラック”の導入を目指し、昨年11月から実証実験を始めた。将来的には、自動運転や隊列走行の実現も見据える。実験は来年3月末まで行われるが、ドライバーの運転技術の向上や、車両の改良、道路幅や駐車スペース確保といった課題があり、実際の導入には時間がかかる。ただ、企業は省人化に向けて手を拱いている訳ではない。幹線輸送よりも早く新技術が使われ始めたのが、物流拠点の中だ。「人件費は毎年上がっており、何も手を打たなければ利益が吹っ飛ぶ水準に高騰している。ロボットの導入は当然だ」。『アスクル』のロジステイクス部門長や『楽天』の物流事業長などを務めた経験のある宮田啓友氏は言う。宮田氏が立ち上げた物流ベンチャー『GROUND』は、今年に入って一躍脚光を浴びた。インドの『グレイオレンジ』が開発し、GROUNDが販売する無人搬送車『Butler』(※左画像)を、家具大手の『ニトリホールディングス』が採用すると決めたからだ。ニトリは今秋までに、『西日本通販発送センター』(大阪府茨木市)に約80台を導入する。バトラーが力を発揮するのは、在庫が保管されている棚から商品を取り出す作業(ピッキング)の時だ。通常は作業者が伝票を見ながら商品を棚に取りに行くが、バトラーは作業者のいる所に棚を運ぶ。商品を取ると、別のバトラーが直ぐに次の棚を持ってくる。これによって作業効率が上がり、人手を減らすことができる。また、過去や現在のデータをリアルタイムで分析し、出荷頻度の高い商品はピッキングの作業場所の近くに、頻度の低い商品は遠くに配置するといった判断を、バトラーが自動で行う。

無人搬送車では、『日立製作所』が開発した『Racrew』も注目を集めている。バトラーと同様、棚を運ぶだけでなく、収集・蓄積したデータを分析して、棚の移動や配置を最適化する。企業の物流業務を一括受託する『日立物流』は、管理するアパレル会社の拠点にラックルを25台導入し、作業生産性は2.5~3倍になった。同社は2013年から①自動化②物流センター管理システムの高度化③物流拠点の最適な配置設計に力点を置いた“スマートロジスティクス”戦略――を進めており、ラックルもその一環。日立製作所と協力し、現場に導入した。今年度中に、更に100台追加する予定だ。日立物流が期待する技術は他にもある。無人フォークリフト・無人台車・パレットに積載された製品を取り出すデパレタイザー・商品を自動でピッキングするロボット…。昨年7月に新設された研究開発拠点では、これらの実用化に向けた検証が行われている。ピッキングロボットでは、素材や形状によっては上手く持ち上げられないことがある等、其々に技術的な課題を抱えるが、「どの技術が現場で使えるのかの見極めも含めて開発に取り組んでいく」(同社執行役ロジスティクスソリューション開発本部長の藤谷寛幹氏)。ロボットの開発競争が今後加速するのは間違いない。現場への導入が進めば人手は減らせるが、その一方でロボットの導入には費用がかかる。例えば、バトラーのリストプライス(メーカー希望小売価格)は1台2.7万ドルと決して安くない。投資に見合う効果は得られるのか? GROUNDの宮田氏は言う。「『ロボットのスペックで差が付く』と思われがちだが、効率化のカギを握るのは寧ろソフトウェアだ」。宮田氏が目指すのは、単にバトラーの販売を伸ばすことではない。物流センターの入荷管理システムも開発しており、入荷から出荷まで全体を最適化する仕組みを提供することに商機を見い出している。ソフトウェアの重要性を強調するのは日立物流も同じだ。「目新しいので、どうしてもロボットが注目されるが、普及するのは全体を効率化するシステムのほうが圧倒的に早いだろう。実際、スマートロジスティクス(※前出の①~③)の中で最も需要が多いのは、物流拠点の最適な立地を割り出すシステムだ」と藤谷氏は言う。ロボットに頼るだけでは効果は限られる。様々な技術を使いこなして物流全体を最適化できるかどうかが、企業の勝敗を分ける一因になる。 (取材・文/本誌 中島順一郎)


キャプチャ  2017年3月4日号掲載

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

【儲かる農業2017】(13) カネ・コネ無しでも憂い無し! ビジネスマンの就農マニュアル初級者編

一過性の農業ブームが去り、本気で農業界への転職を検討するビジネスマンが増えている。一口に“農業の仕事”といっても、職種は様々。絶対に失致しない就農マニュアルをお届けする。

20170619 08
ビジネスマンにとって、今ほど農業界への門戸が開かれている時代はなかったかもしれない。健全な農家が“儲かる経営”を志すようになり、農業にもマネジメントや営業等のビジネスセンスが求められるようになっている。ビジネス経験の豊富な人材は引く手数多の状況なのだ。「農業の仕事に興味がある!」「農家になりたい!」と思っている貴方にとって、千載一遇のチャンスが訪れていると言っていい。先ずは、“非”農家のお仕事から農業界へ参入するのも一計だろう。営業力・IT・会計知識・マネジメントといった今の貴方の“強み”を農業で生かすことも十分可能だ。働きながら、週末に“農業版MBA”とも言える民間の就農準備校へ通う手もある。

それでもやはり「農家で生計を立てたい!」という貴方には、3年後・5年後に自分がどのような農場経営を目指すのか、明確で具体的なビジョンを持つことをお勧めする。長野県の有力農家『トップリバー』の嶋崎秀樹社長は、「農家を志すスタート地点で、年収目標をしっかり定めるべき」と断言する。というのも、年収800万円以上を目指す農家と、年収300万円そこそこでスローライフを送りたい農家とでは、その最終目標に到達する為のアプローチが全く異なっているからだ。コネ無しで年収800万円以上を目指すならば、やはり一番の近道は、有力な農業生産法人に就職して経営ノウハウや農業技術を学ぶことだ。だがその場合でも、生産法人のカラーや方向性は千差万別であり、事前の情報収集が必要であることは言うまでもない。異業種から農業界へ転身する場合でも、これまで培った人脈が役立つことだけは心に留めておこう。彼らが野菜を買ってくれる消費者になったり、販路開拓のキーパーソンになってくれたりするかもしれないのだ。貴方のビジネス経験を全て農業へ“移植”するぐらいの気概で、就農計画を立てよう。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載

テーマ : 経済・社会
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