皇室メディアを右往左往させる愛子さま“激ヤセ”騒動からの体重リカバリー

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2016年以降、その激ヤセぶりが多くのメディアに報じられ、原因が取り沙汰された皇太子ご夫妻の長女・愛子さま(15)。2017年4月、学習院女子高等科の入学式では、以前と比べればかなり体重も戻った様子で、今度は“戻った原因”が話題になった。「愛子さまは、昨年9月頃から目に見えて痩せた姿になり、更に1ヵ月ほど中学校に登校できなかった時期があったと聞いています。皇太子さまの誕生日(※2月23日)の時は一番細くなっていた時で、ご一家の映像も“引き”でしか流せないほどの激ヤセぶりでした。入学式でも『愛子さま単独の写真は使用できないのではないか?』との憶測が広がっていたのですが、随分と体重が戻られたようです。2月の時点では、専門家たちが『明らかに摂食障害である』と判定していたのですが、宮内庁は頑なにそれを否定していた。原因についてははっきりしたことはわからず、思春期特有の過度なダイエットが原因ということになっています」(週刊誌記者)。

ダイエットにも様々な目的があるが、若い女性にとって一番の目的は美容上の理由――簡単に言えば「綺麗に見えるようになりたい!」という気持ちからである。一部の女性週刊誌においては、“雅子さまへの反発”説や、「同じ皇族の佳子さまが多くのメディアに露出し、大人気となっていることを意識し、“綺麗”に目覚めたのではないか?」というおせっかいな推測もあったが、実際問題として、昨年少し痩せた時点で「可愛い!」という世間の声が大きくなったのは事実だという。「ご本人がそうしたことを意識されているかどうかはわかりませんが、少なくとも食べたいのにそれができないという状況ではないことが、今回の入学式のお姿で証明されました」(同)。常に国民の注目を浴び、些細な体調の変化でもその原因を詮索されてしまうのは、皇室ご一家の宿命であるが、皇族も若い世代は携帯電話やスマホを自然に使いこなしている。「以前であれば、直接耳には入ってこないような種類の情報が、スマホを通じて入ってくるという状況は間違いなくあり、これが皇族に有形無形の影響を与えているというのは以前から指摘されています。愛子さまは未だ未成年で、公務は最小限に留められていますが、成人になればもっと色々な場所に“出る”仕事が待ち受けることになります。今は多少、不安定なところがあったとしても、その頃には体重の激変といった変調は無くなるのではないでしょうか」(同)。日本一有名な高校生である愛子さまの“復調”で、昨年来大騒ぎした皇室メディアも、漸く一息吐くことができたようである。 (取材・文/本誌編集部)


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バーベキューとバーベキューをやるヤツは日本の害悪…粗悪な不味い肉を焼いて戯れ、周囲に迷惑をかけるクズたちの実態

燦々と降り注ぐ太陽の下、「キンキンに冷えたビール片手にバーベキューしたーい!」という方々、正気ですか? 他人や周囲に多大な迷惑をかけるだけでなく、自分や家族にも危険を齎すバーベキューを楽しみたいって、正気ですか? (フリーライター ダテクニヒコ)

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『日本生産性本部』が発行した『レジャー白書2014』によると、1年に1回以上バーベキューに参加した人は2110万人にもなるという。日本の人口約1億2000万人をその数で割ると、約6人に1人。これはもう、空前のバーべキューブームと言っても過言ではないだろう。バーベキューの魅力とは何なのか? バーベキュー好きな人の意見を纏めると、以下のようになる。「先ず、準備から楽しい! グリル・トング・炭等の道具や食材を皆でワイワイ買い出しに行くところから、もう楽しい! 女子なら、更にその前に、何を着ていこうかなぁって、バーベキューファッションやバーベキューコーデを考えている時も楽しめちゃう♪ バーベキューは非日常感のあるイベントだから、恋に繋がる可能性も高いからね。ただ、準備が面倒臭いなんて人もいると思うけど、大丈夫。最近は器具から食材まで用意してくれるバーべキュー場も沢山あるし、都内近郊にはビルの屋上や川沿いのカフェのテラスなんかに、フラッと立ち寄って気軽にバーベキュー出来ちゃうところも沢山あるからね。バーベキューピットの周りに飲み物を持って集まったら、火を熾して焼きの開始。誰かが肉を並べたり、誰かが野菜の焼け具合を見たり、誰かが飲み物を注いだり。皆で一緒に料理を作って食べていることで、普通に食べるよりも一体感が生まれて、親睦がより深まるのがバーベキュー! 包丁捌きの上手いことがわかったり、他人に対して気遣いできることを知ったり、普段はあまり知らない部分が見えるのも良いところ。空の下、自然の中という環境が開放的な気分にさせてくれる。時が経てば経つほど、より開放的になって、ホントの自分を曝け出せちゃう! 皆もドンドン開放的になっていって、より一層、一体感は高まっていく! だから、バーベキューって本当に最高! 自分を全部曝け出して、気兼ねなく大騒ぎしちゃおう!」。

このように、周りが見えなくなるほど高まってしまい、迷惑を顧みずに騒ぎまくるバーベキュー好きが後を絶たない。その結果、以下のような痛ましい事件が起きてしまっている。今年5月7日、岐阜県瑞浪市の住宅でバーベキューをしていた男性が、隣に住む男に刃物で刺されて死亡した。調べによると、住宅の庭で知人らとバーベキューをしていた被害者らのところに刃物を持って現れた男は、「煩い!」等と怒鳴り、揉み合いになった後で被害者は刺されたということだ。関係者によると、逮捕された男は過去に医療機関で「コミュニケーションが取り難い」とされる発達障害だと診断されていたとのこと。偶々、そういう男が隣に住んでいたのが悪いのか? 刃物で刺し殺すといった極端な行動まで至ってしまったのは、若しかしたらそうかもしれないが、健常者であっても「煩くて殺したくなる。消してしまいたい」と心の中で思ってしまうかもしれない。「殺したい」とは思わないまでも、「煩過ぎて腹が立つ」という感情は抱く可能性は高いであろう。そこまでしてやる必要のあるものなのか? やる意味があるのか? 殺されるような危険を冒してまで、グループでのコミュニケーションを図らなければならないのか? 2010年7月、愛知県に住む会社員が、自宅の庭でバーベキューの準備をしていたところ、火のついたジェル状の着火剤が飛び散り、近くにいた知人の妻が顔等に火傷を負って、意識不明の重体になった事故が起きた。普段は火を見ることも殆ど無いような素人が、遊び半分で火を扱ってしまうのがバーベキューの怖いところ。楽しかった筈のパーティーが一転して不幸な過去、消したい過去、トラウマになってしまうのがバーベキューなのである。今年4月、宮崎県延岡市の城山公園で花見をしていた大学生らのカセットコンロのボンベが爆発する事故が発生した。調べによると、カセットコンロ2台を並べ、その上に大きな鉄板を置いてバーベキューをしようとしたらしく、それで熱がこもって爆発したと見られている。男女6人が火傷等の怪我をしたが、幸い、命に別状はないとのこと。因みに、昨年7月には、北海道大学の理学部敷地内で学生がバーベキューをしていて炎上。ヘリコプターが消火活動に参加するほどの騒ぎを起こしている。大学生ならば、カセットコンロの取り扱い説明書くらいは読めるだろうし、況してや北海道大学理学部の学生なら火の危険性を熟知している筈なのに、起きてしまう火災事故。バーベキューが如何に危険なものか、よくわかるであろう。

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【新米住職ワーキングプア】(03) 寺を見張るのが役員の仕事なのに住職の言いなりだと言われて

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住職を継職してから約1年。振り返れば、思いもよらぬことの連続だったように思います。特に、書類上の名義変更は上手くいっても、実務については必ずしもそうならないという点でのハードルは予想以上でした。自坊のみっともない話で恐縮ですが、先輩諸師へ教えを仰ぎたく存じ、恥を忍びつつ、また反省の念も込めながら、お話を続けさせて頂きます。無論、以下の話は、特定の人物へ向けた批判の類では決してありません。「お寺をどう運営していくか?」という純粋な組織論からの具体的事例です。そこから重要な何かを学び取ることを念頭に置きながら、ご紹介する次第です。扨て、先代住職の下で選任されていた門徒の役員の中には、新しい何かが始まることを、殊更喜ぶに値しないという立場の方がおられました。寺院運営は門徒・檀家の協力なくしてはなりたちませんから、正直、往生しておることでございます。「お前のことは好かん」。直接そう言ってこられる方もありました…。まさに私の不徳の致すところですが、「好き嫌いばかりで何かとクレームをつけられても…」と困惑するのです。老朽化した本堂に手を入れようとした時のことです。築100年を超える物件ですから、配線類も複雑に絡み、漏電の危険が業者から指摘されておりました。その対策と同時に、内陣を少しばかり明るく現代風にする案を門徒さんに語ったところ、件の役員さん(※A氏としましょう)が開口一番、こう仰いました。「そげなことする必要なか。無駄な金ば使うな」。のっけから戦闘モード全開です。

勿論、私も反論します。「内陣出勤される他寺院の住職方から、『明るくしてほしい』という要望があります。住職方々の高齢化もあり、他寺院でもそういう取り組みは進んでいます」。すると…。「自分の知っている寺院でも暗いままのところはある。抑々、暗いことに意味があるとやなかか。坊さんはお経ば覚えとるやろうけん、(暗くても)関係なかろう」と冷笑を浴びせられる始末。結局、最終的には役員会で承認された訳ですが、工事が始まってからまた一騒動が。工事業者についての難癖でした。門徒さんの中に、偶々照明関係で大きな仕事をされてこられたプロがおられ、その方と相談の上、会議でも了解を取り付けて進めた事案でしたが、A氏曰く、「そいつが得をしとるだけやないか」とぶつのです。「役員会で了承を得ていますよ」。そう切り返しますと、「役員は住職のイエスマンばかりやないか」と尚も絡んできます。「最早、これは“怨憎会苦”の延長上での台詞に違いない」――咄嗟にそう直感致しました。哀れみさえ誘う放言に胸が痛みつつ、何とかそうした煩悩の炎が薄まってほしいと願い続けました。「現在の役員さんの選任は、きちんと役員会に諮って決定したことですよね? その中に貴方もおられ、賛成されていましたよ」。表情を歪めたA氏は、「どうせ反対しても無駄と思ったけんたい」と言い放つと、そのまま踵を返し、足早に去って行ったのです。当寺の役員会は5名体制。うち、門徒から3名選出で、何れの方も私が任命した方ではありません。A氏と近い方もおられ、反対しようと思えば十分に否決できる体制でありました。にも拘わらず、こう言うと申し訳ないのですが、誠に不思議な言い分でありました。後日、私はこの件について総代長さんを訪ねました。「何か心当たりはありますか?」「うん、あの人は、住職のことば『あいつは好かん』って言いよりました」「他には?」「『役員の仕事は寺を見張ることなのに、皆は住職の言いなりになってけしからん』とも」「それ以外は?」「『住職は勝手なことばっかりしとる。抑々、門徒会費は門徒のお金だから、使い道は自分たちが決める。寺に権利は無い』とかも」。私が嘆息したのは言うまでもありません。好き嫌いが高じて、住職の発案に全て反対するだけならまだしも、身勝手な理屈で役員会での決定すら認めようとしない訳ですから。これではお寺そのものの否定です。抑々、お寺というのは宗教法人ですから、その法人の名の下に集められた年会費は公費であって、その使い道は議決機関である役員会で審議されるべき種のものです。勿論、うちもそうしています。ですが、正式な会議の場で己の思惑通りに事が運ばないA氏には、「住職が(裏で手を回して)勝手をしとる」と映ったのかもしれません。暫くして、突如、A氏から役員の辞意が告げられました。

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【熱狂!アニメビジネス最前線】(16) 職場で使える! ガンダムキャラクターの性格分析

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『機動戦士ガンダム』は、1979年のテレビ放映開始以来、息長く支持されているアニメだ。魅力の秘密は、架空の宇宙戦争ながら、戦時下における人間の心理と関係をリアルに描いた点にある。従来のアニメの類型には無い、多様で独特な性格・気質のキャラクターが絶妙な関係で配置され、物語と共に成長してゆく。人が物語を欲するのは、娯楽として楽しめるからだけではなく、キャラクターに自分を投影したり共感したりできるから。だから、ガンダムという物語に、世代を超えて大勢が魅せられるのだ。ファンにとって最も興味が尽きないキャラクターといえば、間違いなくシャア・アズナブル(※左画像)だ。主人公であるアムロ・レイのライバルで、赤いモビルスーツ(※戦闘用ロボット)に乗り、“赤い彗星”と呼ばれる。アムロよりも人格がダイナミックに描写されており、ガンダムはシャアの物語と言ってもいいほどである。彼の性格の最大の特徴は二面性だ。表面的には華やかで、知的な策士という印象だが、シリーズを通して見ると、実は極めて行き当たりばったりで行動していることがわかる。また、強い人間のようでいながら、非常に傷付き易い面があり、他者への依存心を持つ。アムロに精神的に依存しているようにさえ見える時期もある。こうしたギャップが、シャアにカリスマ性を齎している。カリスマ性とは、優れていれば備わるものではない。ガンダムでも、パイロットとしての資質はアムロが上だが、カリスマ性ではシャアに遠く及ばない。実在の人物で一例を挙げれば、早世したミュージシャンの尾崎豊氏はカリスマ性があった。豊かな音楽的才能に加え、折れ易さ・傷付き易さがあったからこそ、ファンはあれほどまでに熱狂したのだ。

ただ、注意すべきは、シャア的な人には所謂ナルシシストが多いこと。シャアが好んで赤という色を身に纏うのも、「赤という色の持つドラマチックで人の感情に訴える性質が、自分の人生を表現していると考えるから」と解釈できる。しかも、赤い軍服だけでなく、派手なマントを翻すあたり、ナルシシズムに酔っているとしか言えない。現実社会でも、シャア的な人は自分の人生に酔い、ルールを破ることそのものに快感やカタルシスを覚えるケースが多い。それでいて、誰か頼りになる後ろ盾がいないとダメで、単独では我が道を突き進めない。戦場の同僚や後輩にいると、周りは中々大変だ。また、このタイプが管理職だと、朝令暮改を連発する。部下はかなり苦労させられそうだ。一方、主人公のアムロは、ガンダムの能力を120%引き出せる唯一のパイロットで、物語のヒーローだ。だが、その性格は特に、物語の前半では非常に暗く、自分という砦から出られない人物として描かれている。暗さの一因は、父親との関係にあろう。アムロの父親は、自分が宇宙に魅了されたからといって、子供まで宇宙のコロニーに連れてきてしまう。要するに、自分の価値観の押し付けだ。アムロも子供として、父親の行動が自分への愛情に基づくものではないと無意識のうちに理解している。ただ、好きなことにしかエネルギーを注げない点では、アムロも父親にそっくり。だから、彼の内面では父親嫌悪と自己嫌悪とが一体になっており、それが暗さを生んでいる。アムロのように、好きなことをやると能力を発揮するタイプは、エンジニアや研究者に多い。例えば、トーマス・エジソンやスティーブ・ジョブズがこのタイプだ。アムロ型は、仕事の水準は極めて高い。シャアのようなルール破りによる鬱散には関心がなく、自分がこれと思ったことを、周りとの協調など気にせず、どこまでもやり続けてしまう。共同作業やチームワークは苦手な為、本人は誠実でも、他人からは自己中心的に見え、嫌われてしまう。こういうタイプに組織で力量を発揮させるには、「君に一任するから最後までやり抜いてほしい」と言って、全面的に任せるのが一番。バランスや協調を強いると能力を発揮できない。だが、日本企業はゼネラリストを求める傾向が強く、結果としてアムロ型の人間の資質を潰しがちだ。日本からジョブズのような異才が生まれないのは、ここに一因がある。敵側の総帥であるギレン・ザビは、所謂悪役であるが、見る者の記憶に残る人物だ。理知的に物事を判断し、原理原則で動く冷徹なリーダータイプ。外見的には細身だが、がっしりとしていて、上に伸びるように直立している。現実社会でも、この体型の人は理的な正しさを重視し、筋を通すことやルールの順守を自分にも他者にも求めることが多い。ギレンが父のデギンを殺したのは、囲碁のように周到に敵を撲滅することが正しい――つまり、原理だと信じて疑わない彼にとって、敵方と和平を結ぼうという父の政治家的な妥協は受け入れ難かったから。精神分析では、男児の父親殺しはエディプスコンプレックス、つまり父の支配に対する恐怖心の表れと見做される。ギレンの父親殺しは、彼の権威的で融通が利かない性格も手伝って、現実よりも理想や原理の完璧さのほうが優位だと見做した結果だ。

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【平成の天皇・象徴の歩み】(10) “老い”や“過疎”向き合い

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「陛下も一緒にどうぞ」――。 天皇・皇后両陛下は1997年9月、敬老の日を前に、東京都板橋区の特別養護老人ホーム『いずみの苑』を訪問された。視察中に突然、じゃんけんで負けたほうが相手の肩を揉むというゲームに誘われた。予定に無いことだったが、誘われるままに輪に加わった天皇陛下は、70代の女性に負けてしまい、笑顔で女性の肩を解された。にこやかに見守られる皇后さま。ホームの関係者らは驚き、感動した。当時、厚生省の老人保健福祉局長で、後に宮内庁長官に就任した羽毛田信吾さん(75)も、その場にいた。初めて見る陛下の姿に、「こういう形でお年寄りと心を交わされるのだな」と驚いたという。「あそこまでなさらなくても…」という声もあったが、羽毛田さんは長官として陛下の公務に随従するようになると、「パフォーマンスでなく、象徴天皇の有りようから自然になさったことだったのだ」と確信したという。「障害者や高齢者に心を寄せていくことは、私どもの大切な務めであると思います」。即位10年の記者会見でこう述べた陛下は、皇太子時代から各地を訪れると、必ずと言っていいほど老人ホーム等の福祉施設に足を運ばれてきた。

宮内庁関係者によると、高齢者の自立を促すグループホーム・リハビリ専門施設・職業紹介所等で、社会の高齢化に対応する試みがあると知ると、積極的に視察を望まれた。「社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合…」。昨年8月のお言葉で、自身の老いに言及された陛下。65歳以上の高齢者は、1950年に日本の総人口の4.9%だったが、2015年には26.7%に増加した。2035年には3人に1人となる見通しだ。日本が避けて通れない問題に早くから向き合われてきたのが陛下だった。過疎化が進む地方都市の高齡化も、「大変深刻な問題」と捉えられた。2014年の記者会見では、屋根の雪下ろし中の高齢者の事故が多発していることに言及し、「私自身、高齢になって転び易くなっている」と我が事のように心配された。陛下の関心は、僻地での高齢者医療にも向けられた。側近によると、陛下は過疎地域等で働く医師を養成する自治医科大学(栃木県下野市)の視察を長年、希望されてきた。2007年12月に実現すると、卒業生に「お仕事はどうでしたか?」と離島や山間部の実情を尋ね、赴任前の学生を「地域医療に力を尽くされるよう願っています」と激励された。高齢化社会を見据えた陛下の視察は、お年寄りを支える側の意識も変えた。あの“じゃんけんゲーム”を目の当たりにした当時のいずみの苑職員・中山真知子さん(69)は、「両陛下と触れ合い、初めて人前で涙を流したお年寄りを見て、入所者の人生を考えるようになった」と明かす。ホームでは、陛下の訪問を機に、昔の思い出を話す入所者も増えた。「1人ひとりが生きた歴史を把握し、寄り添い続けよう」――。職員からそんな声が上がり、両陛下の視察の翌年から、一般の入所者を介護するだけでなく、回復の望みが無い人も受け入れ、最期まで看取ることになったという。


⦿読売新聞 2017年6月25日付掲載⦿

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寺の子が悩める青春を経て初の“テクノ法要”を実現した志――『YMO』に衝撃を受けた住職の夢は「西本願寺でテクノ法要を」

どのお寺も、法要こそ存在の根幹。方法も宗義と共に定められているが、在家には難解との声も聞く。ところが一転、老若驚くほど大好評な法要を実現した住職がいる。福井市の浄土真宗本願寺派照恩寺の朝倉行宣住職(49)だ。その志とは?

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5月3日、福井市は朝から夏日だった。市中心部から約8㎞の東郷地域は、清流が流れ、麦の穂が風に戦ぐ。JR越前東郷駅から徒歩5分、浄土真宗本願寺派照恩寺には、朝10時を前に市内外から続々と老若男女が集まり始めていた。照恩寺の音楽法要『極楽音楽花まつり』が目当てだ。それも、門徒でもない人たちが、朝早くから近くはない田舎のお寺まで足を運んだのは、“テクノ法要”があるからだった。慣れない様子で、お年寄りに交じって本堂の外陣に坐る若者も決して少なくない。外国の青年の姿もある。定刻の10時過ぎ。暗闇にした堂内に、鐘の音が鳴り響く。法要開始の合図だ。電子音楽が流れ、本尊の阿弥陀如来がピンク色に輝いた。アップテンポな旋律と共に、柱や欄間が赤・青・緑と色とりどりの光の映像で彩られる。仏前にサークル状に立てられた光のスティックも点滅し、ダンスホールのようだ。ふと音が止み、一瞬の静けさのあ後、本尊がまばゆく黄金色のライトで輝いた。うねるようなリズムに合わせ、朝倉住職を始めとする式衆の『正信偈』が響き渡る。「きみょうむりょうじゅにょらい なむふかしぎこう」と、正面の4本の柱に張り出された和紙がくっきりと照らされ、「帰命無量寿如来」「南無不可思議光」「法蔵菩薩因位時」「在世自在王仏所」…と、正信偈の経文が映し出された。経文はコーラスのついた読経と音楽に合わせ、次々と流れるように映し出され、プロジェクションマッピングによる光の文様は渦のように形を変えていく。天井にはミラーボールのように光が跳ね、本尊からは光明が発光するかのようだ。誰一人、余所見をする人がいない。老いも若きも、忘我の様子で目を見張っている。こうして、あっという間に、潮が引くように静かなフィナーレが流れると、思わず合掌する姿も。時間にして約30分。

この日、午前と午後の2回に亘って行われた光と音楽のテクノ法要は、インターネットの動画配信サイト『ニコニコ生放送』でも生中継され、その時間を楽しみに、1万9000人を超えるインターネットユーザーが参加したという。「かっこいい」「鳥肌が立ちそう」「南無阿弥陀仏」等と、興奮したコメントが溢れた。「極楽浄土の世界を伝えたい」。そんな思いから、朝倉住職がこの光の劇場のようなテクノ法要に踏み切ったのは、昨年5月の花まつりが初めてだ。昨年秋の報恩講が2回目で、今回が3回目。詳しくは後述するが、楽曲も照明も全て朝倉住職がプログラムしている。その技術は、20代の時にクラブでDJや照明のアルバイト経験で培ったものというが、並の思いでは務まらないのは容易に想像できよう。それにしても、伝統的な法要を現代的に、しかも光とテクノ音楽でアレンジするのは、かなりのプレッシャーだった筈。誰も手掛けたことがないのだから。それに、完全を期そうとすればするほど機材も必要だし、お金もかかるもの。照恩寺の門徒は約100軒。師父の朝倉成宣前住職(78)も朝倉住職も、兼職しながらお寺と寺族を支えてきたから、余裕は無い。だが、この3度の開催だけでも、テクノ法要は確実に発展を遂げてきた。朝倉住職が語る。「前回・前々回は、お内陣の中だけを照明していました。でも、今回は表の欄間や柱にもプロジェクターで光をあて、光のエリアを増やしたのです。表まで光をあてることができたので、お浄土の光を浴びているような感覚を演出することができました」。これを実現させたのは、朝倉住職の熱い布教への思いは勿論だが、人々の強い期待があったのは間違いない。実は、今回の斬新な法要の機材は、インターネットを使った勧募“クラウドファンディング”を通じた資金援助で揃えたのだ。5月3日の法要に向けて機材を揃える為に、目標額を30万円と掲げて、「テクノ法要の実現に力を貸してほしい」と呼びかけた。リターンの品は額に応じて、テクノ法要の音源CDや手作りの念珠を準備。すると何と、約2週間で42人が支援に応じ、支援のコメントと共に39万8000円が集まったのだ。1人あたり平均1万円近くの支援を、菩提寺でもないお寺の法要の為に行ったことになる。この資金を基に、朝倉住職はプロジェクター・マッピングソフト・照明器具を買い揃えることができた。そんな前段もあったから、多くの人が楽しみにしていたという訳だ。実際、反響は上々。前回のテクノ法要にも参加したという門徒の40代の女性は、満面の笑みで「前回と全く違う。迫力があるし、凄くよかったです。何より、こんなにお寺に若い人が来るのがありがたい」と話す。門徒のお婆さんでさえ、「極楽の家があそこにあると思ったよ」と確信を込めてにっこり。門徒ではないが、同僚に教えてもらい、市街から車で来たという25歳の女性は嬉しそうに、「普通の法要だったら、先ず来なかったと思う。でも、私もテクノ音楽が大好きで、『お寺でテクノ法要をする』というから興味が湧いて来たんです。来てわかったことは、お年寄りから若い人まで、皆が同じ空間でお寺の法要を楽しめる。これって凄いことだと思いました。仏教ってほんと、自由なんですね」。そうなのだ。“テクノ”と冠してはいるが、行うのは法要なのだ。お寺の法要を実現させる為に、見知らぬ人が支援した。門徒でもない人たちが駆け付けた。更に、インターネット中継で2万人近くが参加した。物珍しさもあるとはいえ、そこには惹き付ける何かがあったに違いない。

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【風俗嬢のリアル】(07) シズカの場合――手土産の無い名古屋の客たち

20170728 10
長野のデリへルを終えたシズカは、愛知へ移動し、JR名古屋駅から数駅先にある、とある箱へルで働いていた。店は、風俗のテナントばかりが入った、地元では有名な風俗ビルの一室で、デリへルばかりを渡り歩いてきたシズカにとって、初めての店舗型へルスだった。周辺は飲食店やオフィスビルの並ぶごく健全な通りで、看板1つ出ていないそのビルは、何も知らなければまさか風俗ビルとはわからない外観だ。しかし、「名古屋在住の殿方なら知らぬ者はいない」と言われるほど、風俗のメッカとして有名なビルだという。「そこに出入りする女の子は皆、風俗嬢だってわかるから、マスクして出動する子が多いんですよ」。余所者であるシズカは、そんな女の子たちをよそに、堂々と顔を晒して出動していた。名古屋の店での在籍期間は、約1ヵ月。客の支払う金額は50分約1万5000円程で、女の子の手取りはその約半分だ。店内は20部屋程に分けられ、女の子たちは其々の個室で、専用のコスチュームを着て待機している。店の営業は深夜までだが、シズカは専ら昼をメインに出勤していた。「今日は5時間働いて、お客さんは4人。結構みっちりでしたね」。名古屋に来て、今日で3週間目である。店は忙しく、ひっきりなしに客が付いているようだった。「多分、期間限定って書いてあるから。それと、プロフィールの前職欄に『東京タワーで働いていました』って書いてあるんですよ。その2点に惹かれてやって来るお客さんが多いです。第一声が『東京タワーで働いていたって本当?』って言う人ばっかり。今日も4人の内、2人のお客さんと東京タワーの話で盛り上がりましたもん。1人は70歳くらいのお爺ちゃんで、昔の写真を封筒に入れて、『オープンから1年目の東京タワーだよ』って見せてくれましたね」。

実際にシズカが東京タワーで働いていたのは、学生時代のアルバイトで半年程の期間だ。それでも、プロフィールで“東京の女”をアピールできるのか、多くの男性が反応しているのは面白い現象であった。「名古屋に来て驚いたのは、皆、必ず時間内にイってくれることですね。シャワーに入る時間を抜いて、10分前にタイマーをセットすると、3分前くらいに皆、綺麗にイってくれて、残りの1~2分は脱力して、いい感じの時にタイマーが鳴る。ほぼ皆。それが出来なかった人は2~3人しかいない。『名古屋って凄い』と思いましたもん」。因みに他県では、時間内に射精できない客がザラにいるという。果たして名古屋人の特徴なのか、箱へルのしきたりなのか、シズカにもわからないようだ。「でも、手土産は全く無い。ジュース1つ無い。ここまで一切無いのは、全国回って初めてですよ。大体コンビニで買ってきてくれたりするけど、自分のお茶は買ってきても私には無い。指名のお客さんも、いつもいるほうなのに、名古屋では2人しかいないし、1回こっきりのお客さんが殆どですね。性欲を発散したいだけで、女の子側に気に入られようとは思っていないんだと思う。そういうドライさはかなり感じますね」。それでも、デリへルと違って移動時間のない箱へルは、シズカにとって居心地のいい職場だったようだ。店には寮が無く、シズカは近場で一番安いゲストハウスを自分で探して宿泊していた。今回、名古屋に1ヵ月いるのは、「ゲストハウスの長期割引で、長くいたほうが安く利用できるから」というシンプルな理由だった。「観光も見たいところが多いし、丁度いいかなって」。しかし、安いだけあって、長野より遥かに粗末なゲストハウスなのであった。ドミトリーには2段べッドがギュウギュウに押し込められ、10人寝れば人の熱気でムンムンする。ペラペラの布団はサイズが一回り小さく、足がはみ出そうだ。木の床は、スリッパで歩く度にギィィヤァァと呻き声のように響き、シャワーはチョロチョロとしか出ない。たった1日でも泊まるのを躊躇するレベルのタコ部屋である。しかし、驚くべきことに、このゲストハウスでシズカは珍しく人間関係を楽しんでいた。「ゴールデンウィークが明けたら、残っているのは長期滞在者と常連さんばっかりで、サークルみたいなノリで、皆、仲良いんです。私も学生時代のキャラになって、毎日ウィーイって盛り上がっていますよ。この前も皆でゼリーパーティーやったし」。コミュニケーションが嫌いと言っていたシズカからは信じられないような台詞だ。宿泊客の3分の2は外国人で、東南アジア・中東・ヨーロッパ、アメリカ等多国籍だという。オーナーは日本人で、日本人スタッフも数人いたが、皆40歳前後で、人生に挫折して生き方を模索しているモラトリアムばかりであった。しかも、全員が世界一周を経験してきた元旅人で、一癖ある変わり者ばかり。シズカにはそんな環境が性に合っていたらしく、毎日ハイテンションで暮らしているようだった。

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広告一切無しだから書ける! カテゴリー別コスパ最強クルマ決定戦

生活必需品とはいえ、決して安い買い物ではないのが車だ。そこで今回、徹底的にコスパを研究した本誌が、自身を持ってお勧めする車を紹介。これさえ読めば、賢明なマイカー選びができること間違いなし! (選者/編集者 呉尾律波)

車を購入する際、何を基準に選べばいいのか悩む人は多いだろう。しかし、「最も重視すべきなのはコストパフォーマンスだ」と本誌は言い切る。初期コストを抑えるのは勿論、燃費の良さや、飽きずに長く乗れる性能、ドライビングの楽しさ等、費用対効果を考えるのが賢い車選びだ。今回は、カテゴリー別にコスパ最強の1台を決定した。愛車購入の際には、是非参考にしてほしい。

20170727 09
①軽自動車…アルト(スズキ)

昨今、軽自動車税がアップしたにも拘わらず、相変わらず軽自動車人気はかなり高く、新車の販売台数の40%を軽自動車が占めている。嘗て、『ダイハツ』の『ミラ』や『三菱自動車』の『ミニカ』が人気だった頃は、燃費や車両価格という安さで選ぶ人が多かったが、最近は価格の魅力だけでなく、実用性・安全性・趣味性で選ぶユーザーも増えてきている。全高が1700㎜を超えるハイトワゴンや軽SUV等、様々なジャンルの車種が登場し、軽自動車の選択の幅は広がりを見せる中、実はコスパに優れているのは『スズキ』の『アルト』だ。アルトの現行モデルは8代目、登場以来30年以上という長い歴史と信頼性を持ち、「最近の軽自動車はリッターカーよりも高い!」と言われる中、圧倒的なコスパを誇る。その秘密は、37・0㎞/リッター(※JC08モード)というハイブリッドカーを含めた全市販車の中でも、トップクラスの燃費の良さにある。また、徹底して軽量化されたボディーながら、剛性もそこそこ高いので、走りは軽快だ。アルトはユーザーの懐事情に優しく、地味ながら高いパフォーマンスに満足できるモデルとなっている。

②コンパクトカー…デミオ(マツダ)
決してファミリーカーには向かないが、それを補って余りある運動性能の素晴らしさ。『マツダ』の『デミオ』は、走りを楽しみたい人の為のコンパクトカーだ。人気のXDツーリングで価格は200万を切るが、走りでは350万円クラスのスポーティーモデルに引けを取らない。そればかりか、燃費も26.4㎞/リッターとかなり魅力的だ。デミオの1500㏄の次世代ディーゼルエンジンは、2500㏄のガソリンエンジン並みの動力性能と、リッターエコカー並みの燃費性能というバラドックスを克服した万能性を誇る。更に、高性能なサスペンショ ンの接地感や、シャシーの剛性感も素晴らしく、ハンドリングの正確性が高いので運転が楽しくなり、結果的に安全へと繋がる。また、下取り価格も高く、エンジンや車体も頑丈なので、中古車も程度のいいものが多い。居住性・積載性・燃費に走りにと、優等生的だがどっちつかずな売れ筋コンパクトカーよりも、“ファントゥドライブ”に突出したデミオは、押しの強いスタイルと抜群なハッタリ、運転だけでなく所有する満足感もある。これもコストパフォーマンスの1つの要素だろう。

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【平成の天皇・象徴の歩み】(09) 働く現場、最前線見つめ

20170726 08
「色々工夫していましたね。今は厳しいでしょう。大変でしょ?」――。天皇陛下は2009年11月、即位20年を祝う宮中茶会で、バネ製造会社会長の小松節子さん(77)に、そう声をかけられた。陛下は2007年7月、東京都大田区の『小松ばね工業』を視察された(※左画像)。同社の従業員は80人ほどだが、髪の毛よりも細い極小バネを製造する技術がある。カメラや電子機器類の軽量小型化が進む中、当時の業績は右肩上がりだった。顕微鏡を覗き、太さ約0.03㎜のバネの螺旋を確認した陛下は、「細かい作業で大変ですね」と従業員に声をかけられた。「これからも品質の良いものを作って下さい」という一言が、同社の誇りになった。だが、2008年9月のリーマンショックの影響で、受注量が大幅に減り、売上高は前年の6割に落ち込んだ。世界的な金融危機の前では、培ってきた技術力だけではなす術もなかった。その翌年、茶会に招かれた小松さんは、思い切って「バネ屋です」と陛下に声をかけたのだった。皇后さまからも「陛下も心配していました」と伝えられ、覚えているだけでなく、気にかけていてくれたことに感激した。「また頑張らなくては」と力が湧いたという。

陛下は皇太子時代から、企業の研究所や工場を訪れては、経済活動の最前線を自身の目で確かめられてきた。ここうした視察は、1989年の即位後だけでも計31回に上る。近年は、日本の先端技術を支える中小企業にも足を運ばれている。経済が右肩上がりの昭和から平成に代わると、バブルが崩壊し、“失われた20年”が続いた。陛下は元日に発表するお言葉で、「経済情勢が悪化し、多くの人々が困難な状況に置かれていることに心が痛みます」(2009年)、「経済の状況も厳しく、人々の生活には様々の苦労があったことと察しています」(2011年)と、毎年のように人々の暮らしを気遣われてきた。リーマンショック翌年の2009年5月、埼玉県の金型製造業『池上金型工業』を訪れた陛下は、社員食堂でカレーライスを口にされた。宮内庁から昼食の用意を頼まれた同社が、ホテルや仕出しの弁当の他、社食のカレーを候補に挙げると、“陛下のご希望”でカレーに決まった。社食の椅子に座った陛下は、「御所を改築したら窓ができて、風通しが良くなりました」等と世間話を楽しみ、カレーを完食された。昼食後は、従業員1人ひとりに「仕事の難しいところは何ですか?」「ご苦労様ね」と声をかけられた。社長の池上正信さん(58)は、「我々と同じものを『美味しい』と召し上がって頂いた」と感激したという。自慢のカレーと陛下のお言葉を糧に、ものづくりに取り組んでいる。2011年8月から2年間、中小企業庁長官を務め、陛下の視察に同行した『日揮』取締役の鈴木正徳さん(62)は、「陛下は直接、経済に関わる立場におられないが、労働の現場に足を運び、一生懸命働く人たちと喜びや苦労を分かち合うことで、人々の暮らしの支えになろうとされている」と感じたという。


⦿読売新聞 2017年6月23日付掲載⦿

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【平成の天皇・象徴の歩み】(08) “豊かな海”願い放流

20170725 07
「ザザッ、ザザッ」――。胴付き長靴を履き、網を手にした天皇陛下が、早朝のサロマ湖の浅瀬を進まれていった。1985年9月9日、『全国豊かな海づくり大会』に出席する為、北海道を訪れた陛下は、常呂町(※現在の北見市)の宿舎をお忍びで抜け出し、ハゼ科の魚を採取された。新種ではないが、今までサロマ湖で確認されたことがなかった魚を発見されたという。海づくり大会を手がける全漁連代表理事専務の長屋信博さん(67)は、ハゼの分類学者としても知られる陛下について、「式典でのお言葉では言い表せないほど知識が豊富で、海や魚のことを深く考えておられる」と話す。戦後、日本が経済発展を遂げていく中、沿岸域の埋め立てや工場からの汚染排水で海の環境は悪化。乱獲で水産資源も減った。豊かな海を取り戻す試みとして1956年、東京の築地市場で前身の『第1回放魚祭』が開かれた。翌年の千葉県大会から陛下は出席されている。海づくり大会は、両陛下が毎年式典に臨む『国民体育大会』・『全国植樹祭』と合わせ、“3大行幸啓”と呼ばれるが、その中で唯一、皇太子時代から参加されてきた行事だ。「海や陸水の生物に深い関心を持っていた陛下が関わられたことが、“つくり育てる漁業”の推進に大きく繋がっていった」と、長屋さんは強調する。

放魚祭は1981年に海づくり大会となり、大分県で第1回大会が開かれた。この時の式典での陛下のお言葉は、期待感に満ちている。「日本人は海の環境をよりよいものとし、海の資源が維持されるようつとめなければなりません。さまざまの困難を克服し、現在の日本をつくり出した英知と努力を思うとき、多くの期待を未来に寄せ得るものと確信しております」。2013年に熊本県で開かれた海づくり大会では、熊本市・天草市・水俣市での放流事業が行われた。関係者によると、以前から水俣に強い思いを寄せられていた陛下の希望で、訪問が実現したという。『水侯市立水保病資料館』に陛下が足を運ばれると、館長の島田竜守さん(52)は、産業優先で水俣病が見過ごされ、被害が拡大していった経緯を説明した。「国や県がそれを見逃してしまったのですね」という陛下の言葉が耳に残っている。水俣市漁協組合長の前田和昭さん(68)は、大会前日、レセプション会場で、「水俣の海は一時期、水銀で大変な時期がありましたね。その後、海は元通りのきれいな海になりましたか?」と陛下から問われたという。前田さんは、“豊饒の海”と呼ばれる八代海の恩恵を受けて育ったが、両親と妹は水俣病が原因の運動麻痺等に苦しめられてきた。両陛下は、妹に「体の具合はどうですか?」と声を掛けてくれた。光り輝く水俣の海に、カサゴやヒラメの稚魚を放流した時、揃って浮かべられた笑顔を見て、前田さんは「ずっと水俣の海や患者たちのことを考えてくれていたのだな」と感じたという。


⦿読売新聞 2017年6月22日付掲載⦿

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