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【共に闘う・TOKYO 2020】(02) ゴール裏、声の司令塔

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「シュート!」「もっと右だ」「3m下がれ」――。視覚障害5人制のブラインドサッカーで、相手のゴール裏から、ゴールまでの距離やシュートのタイミング、ゴールやボール、味方の位置等を選手に伝えて誘導するのが、“ガイド”の役割だ。東京パラリンピックに初出場する日本代表で、中川英治コーチ(45、右画像中央)はガイドとしてもチームを支えている。目の見えない選手たちにとって、ガイドの指示の声は欠かせない。「的確なタイミングでガイドをすることでシュートが打てることもあるし、守備で相手の攻撃を食い止めることもできる」と中川コーチは語る。要求される指示が人によって異なったり、攻守の切り替えの際に素早く指示をしたりと、瞬時に様々な判断が求められる難しい役割だ。1チームは、4人のフィールドプレイヤーと、主に晴眼者であるゴールキーパーの計5人。それに、ピッチ中央の脇で指示を送る監督と、ガイドを加え、「7人で行なう競技と言ってもいい。自分も選手の一人というイメージを持っている」。ピッチ上の選手たちと、気持ちを一つにして戦いに挑む。

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生まれ育った北海道でサッカーを始め、24歳まで北海道リーグでプレーした。現役引退後から、サッカースクールの運営等を手がける『クーバーコーチングジャパン』で、指導者養成等を担っている。ブラインドサッカーとの出会いは2014年。クーバーの活動で知り合った日本代表選手の一人から、「周りにサッカーを教えてくれる指導者がいない」と相談され、個人指導を始めたことがきっかけだった。練習を重ねる内、代表内でも存在が知られるように。元々つき合いがあり、リオデジャネイロ大会の予選敗退後の2015年に就任した高田敏志監督(52)の誘いを受け、コーチに就いた。技術や戦術を指導し、ガイドも務めるようになった。視覚障害者への指導で「戸惑いや難しさを感じたことはない」と言い切る。指導者としての長年の経験を生かし、実演ができない分、言葉で伝える工夫をして、戦術を浸透させてきた。強豪国の壁は高いが、開催国として出場する大舞台に向け、日本は継続して強化に取り組んできた。「やるからには当然、金メダルを取りたい。選手のパフォーマンスの100%を、東京の舞台で引き出してあげたい」。ゴール裏から送る声で、歓喜へと導く。 (宮地語)


キャプチャ  2020年3月4日付掲載

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【共に闘う・TOKYO 2020】(01) 全力跳躍、導く手拍子

8月25日の東京パラリンピック開幕まで半年を切った。障害を抱えるアスリートを支えるパートナーは、選手と同じようにメダルを授与されることもある重要な存在だ。欠かせない役割を果たす仲間たちを紹介する。

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「イチ、ニ、サン、ヨン、ゴ!」――。相方の声と手拍子を頼りに、東京パラリンピックの女子走り幅跳び(※視覚障害T11)で代表に内定している全盲の高田千明(35、ほけんの窓口、左画像左)は、助走の15歩目で踏み切り、跳ぶ。声の主は、陸上短距離で五輪にも出場した大森盛一(47、左画像右)。踏み切り位置を伝える“コーラー”である。出会いから13年が過ぎ、高田は言う。「大森さんは競技をする上では絶対に必要な存在なので、自分の“半身”です」。目が見えない選手が全力で走り、真っすぐ進むのは難しい。大森は砂場の手前に立って、声と手拍子で真っすぐに誘導し、高田が迫ってくると脇によける。タイミングは長年の練習で培ってきたもので、「安心感が全然違う」と高田。大森は練習だけでなく、送迎まで常に寄り添い、高田の“目”となる。先月中旬、東京都内の練習場。シーズンオフのこの時期は、踏み切りまでの正しい動きを体に染み込ませる。高田が5歩だけ走ってジャンプすると、コーチでもある大森は、僅かに外側に膝が開く癖を指摘し、跳ぶ方向に力を真っすぐ伝えられるように改善を促した。2016年のリオデジャネイロ大会の優勝者の記録は4m98。高田は4m45で8位に入り、現在は自身の日本記録を4m69まで伸ばしている。大森は「細かいところを修正し、数を積み上げ、どれだけ伸ばせるか。目標は5m」と、志は高い。

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大森は1992年バルセロナ、1996年アトランタの五輪2大会代表の陸上短距離の元選手。アトランタの1600mリレーではアンカーとして、64年ぶりの5位入賞を果たした。引退後の2006年、自身が所属していた陸上クラブに高田が入ってきたのが最初の出会いだ。当初は短距離のコーチとして関わり、走り幅跳びにも挑戦することになった2013年から、コーラーと短距離の伴走者という役割が加わり、一人三役でサポートしてきた。高田は「気が合うというのもあるし、走ることについて土台がしっかりある」と、信頼を寄せる。大森は産業用機器メーカーの社員で、比較的時間を自由に使える業務の為、練習や競技会では常に高田の近くに。高田の所属企業に遠征費を出してもらってきたが、活動はボランティアに近い。「周囲からは理解されない」と苦笑いする大森を突き動かすのは、昔も今も変わらない陸上競技への情熱だ。現役を引退する際、地元・富山での国体を最後のレースと考えたが、予選で敗れて出場できなかった。「やり切って辞めたわけではなかった」。陸上から離れ、『東京ディズニーランド』のキャストや運送業等、転職を繰り返した。縁あってコーチとして再び陸上に携わり、高田と出会った。2013年に東京パラ開催が決まると、リオでのパラ初出場を目指していた高田に、「東京までやるよね?」と言った程、思いは東京に向かった。100mでも出場を目指す高田の伴走者として、国立競技場を疾走するのが大森の夢だ。「東京の舞台で走りたい。(高田は)僕の思いを乗せている人でもある」。 (帯津智昭)


キャプチャ  2020年3月3日付掲載

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【プロ野球・2020年の主役たち】(05) 鈴木誠、はや臨戦態勢

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広島の主砲・鈴木誠が順調な仕上がりを見せている。堅実さと豪快さを兼ね備えたスイングはファンの視線を一身に集め、佐々岡新監督も「(周囲とは)違うところを見せてくれている」と唸る程。今夏の東京五輪の4番候補としても期待される25歳が、勝負のシーズンへ向け、早くもエンジン全開だ。宮崎県日南市でのキャンプで今月5日に行なわれた実戦形式のシート打撃では、自ら希望して若手主体のメンバーの中に加わった。遠藤や山口ら若い投手を相手に、1本塁打を含む4打数3安打。左腕・高橋樹の外角速球を逆らわずに弾き返して右中間への一発とする等、格の違いを示した。「投手の球を早い段階で見られたのはよかった」と鈴木誠。「投手と勝負するのは楽しい。先ずはしっかりスイングできた」と、表情には充実感が漂う。昨季は打率3割3分5厘で初の首位打者に輝き、最高出塁率のタイトルも獲得。日本代表が優勝した昨年11月の国際大会『プレミア12』では打率4割4分4厘、3本塁打、13打点の活躍で4番の重責を果たし、大会のMVPにも選ばれた。スター街道を着実に歩み、迎える8年目。キャンプでは通常の打撃練習の組から外れ、ランチタイムに打ち込む特別待遇を受けるが、「任されている中で自分のやりたい練習はできている」と慢心はない。キャンプ初日に朝山打撃コーチから「三冠王を取る目標を持とう」と声をかけられた主砲が先ず目指すのは、昨季リーグ4連覇を逃したチームの王座奪還だ。打撃練習では、中堅から右方向に打ち返す基礎を徹底した後でフルスイングに入る等、地に足をつけて一つひとつの練習と丁寧に向き合う。カープ、日本代表と幾つもの看板を背負って戦うことになるだろう新シーズンにも、「楽しみのほうが強い」と泰然自若としている。自覚十分のリーダーの頼もしい姿に、「流石。順調に来ている」と佐々岡監督が言えば、「仕上がりが早い。もう開幕してもいいんじゃないかというぐらい」と朝山コーチ。五輪の影響で例年より早い開幕へ向け、既に臨戦態勢は整っている。 (常広文太) =おわり


キャプチャ  2020年2月8日付掲載

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【プロ野球・2020年の主役たち】(04) 柳田、じっくり焦らず

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ランチタイムのサブグラウンドに快音が響く。主力組と離れ、リハビリ組としての調整が続くソフトバンク・柳田が、感触を確かめるようにバットを振り続ける。まだまだ調整段階の為、ボールを手元まで呼び込めずに打ち損ないとなる打球も散見されるが、フルスイングから繰り出される打球の鋭さは目を見張るものがある。昨季は左膝裏肉離れの為、開幕から間もない4月に戦線離脱を余儀なくされた。実戦復帰は8月、出場は僅か38試合で、打率2割8分9里、7本塁打にとどまった。チームは3年連続日本一に輝いたものの、個人的に満足できる1年とは言えなかった。11月には、復帰直後の9月から痛みを抱えていた右肘の手術に踏み切った。その上で、チームとは異例の長期となる7年契約を結んだ。開幕を万全の状態で迎える為、このキャンプは逸る心を抑え、段階を踏みながら調整を進めている。とはいえ、初日から続けているランチタイムの特打では、日増しに打球に力強さが増している。昨日のフリー打撃は78スイングで14本の柵越え。これには本人も納得のようで、「今日は良かった。感覚は悪くない」と手応えを口にした。3日に柳田の練習を見守った城島健司(※同球団会長付特別アドバイザー)は、「振る力やスイングスピードも含めてトップレベル」と、31歳の主砲が持つ能力の高さを再認識した様子。その上で、「何が凄いって、1球目でフルスイングできる。それができない選手も多い中、彼はその意識が高い」と評価する。時にはブルペンで打席に立って投手の球に目を慣らしたり、「気になるところがあったから」と室内練習場でマシン打撃に取り組んだりと、こと打撃に関してはその仕上がりは順調そのものだ。一方、右肘は未だ無理をせず、塁間程度のキャッチボールにとどめている。こちらは開幕を見据え、時間をかけた慎重な調整が続きそうだ。 (馬場到)


キャプチャ  2020年2月7日付掲載

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【プロ野球・2020年の主役たち】(03) 西武・山川、4番取り戻す

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夕暮れ時、人気のなくなった室内練習場で、西武・山川はひたすらバットを振り込む。フォームを確認しつつ、一振り一振りに集中していく。昨年、43本塁打で2年連続でタイトルを獲得した。チームもパリーグ2連覇を達成。この数字だけを見れば充実の1年と言えるかもしれないが、現実は悩み続けた1年だった。「良かったのは、個人としてはタイトルが取れたことだけ」。開幕当初は好調だった。11本塁打を放って3・4月の月間MVPに輝き、翌5月も日本選手史上最速での通算100号を達成する等、月間11本と本塁打を量産した。それが、夏の声を聞くと共に暗転した。チャンスに凡打の繰り返しで、7月は月間打率が1割7分3厘にまで落ち込んだ。表面上は明るく振る舞っても、打てない苦しさに「打席に立つのが怖くなった」と打ち明ける。8月11日には、開幕から続けていた4番の座をベテランの中村に明け渡す。それを機にチームは息を吹き返し、ソフトバンクとの接戦を制して、リーグ連覇に突き進んだ。4番の責任を1年間全うできなかった悔しさを感じると共に、シーズン終盤の優勝争いという重圧下での36歳・中村の活躍には衝撃を受けた。「(4番を外れずにいたとして)自分にあれだけの活躍ができたのか」。オフの間、ずっと答えを求めて、自問自答の繰り返し。「朝から晩まで打撃のことを考えた」。ボールを引き付けて打つ、右中間を意識して広角に打つ――。グリップの位置等、打撃フォームの修正も含め、「頭ではわかっている。後はそれを体に染み込ませる」。自ら見つけた課題をこなす為にも、このキャンプは徹底的に自分を追い込みたいと考える。プロ7年目の28歳は、「今までで一番の練習をしたい。誰よりもバットを遅くまで振っていたい」。それをこなしてこそ、再び4番の座に座る資格を持つことができる。勿論、開幕からシーズンを通して4番を打つつもりだ。そして、本塁打と打点の2冠を目標に掲げる。達成すれば、チームのリーグ3連覇も見えてくる。更に、今季の目標の中には東京五輪の金メダルがある。昨秋の国際大会『プレミア12』のメンバーからは外れたが、「日本人で一番ホームランも打って打点も稼げば、メンバーに選ばれる筈」。真価を問われるレギュラー3年目のシーズン。昨季の苦悩を経験した長距離砲は、「期待してもらっていい」と言い切った。 (馬場到)


キャプチャ  2020年2月6日付掲載

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【プロ野球・2020年の主役たち】(02) 20歳村上、主軸担う覚悟

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昨季ブレークを果たしたヤクルトの3年目・村上が、主砲への階段を一気に駆け上ろうとバットを振り込んでいる。首脳陣からの期待を背負い、ファンからの熱い視線を一身に集める20歳。“3割・30本・100打点”という高い目標を掲げるシーズンが始まった。キャンプ初日の今月1日からフリー打撃で沖縄の空に快音を響かせ、集まった1500人のファンを沸かせた。右へ左へと柵越えを計13発。「思った以上に体が動いている」と、順調なスタートに満足そうな表情を浮かべた。ドラフト1位で今季加わった奥川(※石川県立星稜高校)が“将来のエース”ならば、2季前に1位指名された村上は“将来の4番”だ。新人王を獲得した昨季の活躍は、そんなチームの方針を裏切らない器であることの証左となった。入団1年目を2軍監督として見守った高津臣吾新監督は、「“線路”に乗って、しっかりと走ってくれている」と首肯する。当の本人も、主軸を担うことへの覚悟を決めているようだ。好調でも不調でも「1試合1試合集中するだけ」と繰り返し、数字には言及しなかった昨季から一転。「今季は3割、30本、100打点を達成して、勝利に貢献したい」と堂々と宣言する。ただ、有言実行は容易ではない。ずぶとさとあどけなさが同居する表情と同様、村上の打撃には2つの顔がある。共にリーグ3位の36本塁打と96打点を刻んだ半面、打率2割3分1厘と184三振は規定打席到達者ではワーストだった。チームで唯一全試合に出場しながら、“(我慢して)使ってもらっている立場”というのが偽らざる意識だった。「打率を上げていかないと僕の成長はない」。飛躍の条件は自覚しており、鋭さを維持しつつ確実性を向上させることを意識して、バットを振る。昨季は拙さが随所に見え隠れした守備の改善にも、余念がない。「エラーを一つでも少なくできるように」。シートノックでは3塁に入り、丁寧な捕球姿勢からスローイングまでの一連の動作を繰り返し確認する。キャンプ2日目に20歳の誕生日を迎え、“優勝”・“ビールかけ参加”との誓いを色紙に認めた。長らく4番を担ってきたバレンティンが移籍し、最下位からの巻き返しを図る打線の真ん中には、大きな穴が開いた。「新人王は終わったこと。もっともっとやれると思っている」と語る20歳の双肩に、チームの浮上がかかっている。 (木村慧)


キャプチャ  2020年2月5日付掲載

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【プロ野球・2020年の主役たち】(01) 30歳菅野、変化に挑む

夏の東京五輪期間中に公式戦を中断する影響で、例年より1週間程開幕が早まる今季のプロ野球。勝負の年に向け、キャンプで汗を流す主役候補たちを取り上げる。

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キャンプで初めてブルペン入りした一昨日、巨人のエース・菅野の投球フォームは、昨季までとはがらりと変わっていた。左脚を上げる前に、胸の前で構えたグラブを担ぐように右肩の上まで持っていく独特のスタイル。新フォームで変化球を交えて32球を投じ、「コーナーに制球されていたと思うし、球自体も力強かったように感じられている」と納得の表情を浮かべた。チームが5年ぶりのリーグ優勝を果たした昨季、自身も3年連続の2桁勝利となる11勝(※6敗)を挙げたものの、防御率はプロでワーストの3.89。度々腰痛に見舞われ、戦線を3度離れた。「あまり振り返りたくない」という屈辱のシーズン。完全復活を目指して、オフに「今まではそこまで変える必要がなかった」フォームの見直しに着手した。先月、ソフトボール女子日本代表の上野由岐子らとの自主トレに参加。この時、専門家から下半身より先に腕から始動する体の使い方を勧められた。体の軸をしっかり安定させる為、現状に甘んじることなく変化を求めることを決断した。グラブを一旦下げ、ベルトをなぞるようにしてから右肩の上に上げるモーションは、「意識付けの為にオーバーにやっている」という。「もうちょっと落ち着いた形に収まるんじゃないか」としつつ、「体重移動もスムーズになったと思うし、何よりもバランスが一番良くなった。確実に制球も良くなる」と確信ありげ。新フォームの効果は縦に割れるカーブにも表れ、ブルペンで受けた捕手の小林は「曲がり出してからの変化量、スピン量が凄かった」と絶賛。これまでスライダーやカットボール等、横の変化球を主な武器としてきた菅野自身、「十分勝負できる球」と豪語する。投球の幅を広げるきっかけを得て、「縦の変化が良くなりそうな予感はしていた。フォークボールも更に落ちる気がする」。既に開幕投手が内定、夏には強い出場意欲を燃やす東京五輪が控える。シーズンの目標は20勝。その先に、予ての願いである大リーグ挑戦への道も開けてくる。タフに投げ続けてきた30歳にとって、体への負担を減らすバランスの取れたフォームは、夢への懸け橋。新たな挑戦が始まった。 (常広文太)


キャプチャ  2020年2月4日付掲載

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【新型肺炎・スポーツ界が危ない】(04) クボタケ、呼び戻せない?

20200402 06
先月末、1通のレターが『日本サッカー協会』に届いた。「残念だが、チームを送ることはできない」。東京五輪に出場するU-23日本代表と京都で対戦予定だった『南アフリカサッカー協会』から、来日を辞退する申し出だった。その試合も含め、今月下旬はU-23代表とA代表のワールドカップ予選が4戦続く“代表ウィーク”が予定されていた。五輪への強化、W杯予選突破、サッカー界の盛り上がりにとって貴重な約10日間は、完全に水を差された。A代表が遠征予定だったモンゴルは、日本人の入国を制限。結局、日本戦にとどまらず、3月と6月に開催する筈だったW杯アジア予選は、原則延期となった。中止は勿論痛手だが、仮に開催できたとしても頭の痛い問題は残っただろう。今となっては、日本サッカー協会会長の田嶋幸三はそう考えている。

日本代表の主軸を占める欧州組を呼ぶ場合、所属クラブとの交渉が必要になる。『国際サッカー連盟(FIFA)』が年に数回設けているAマッチデーは、各国協会に選手を招集する優先権があるが、U-23代表はその限りではない。例えば、東京五輪のエースと期待される久保建英を呼び戻したいと思っても、所属するスペインのクラブが「感染して14日間隔離の対象になったら」と心配して拒むこともあり得る。実力のあるプレーヤーほど、多額の資金を投じているクラブは、大事な商品に傷が付くリスクを回避しようとする。この先、感染拡大に歯止めがかからないようだと、海外組は益々呼び戻すのが難しくなる。テニスでは、選手自身が日本代表を辞退する例が出た。8日まで兵庫県で行なわれた男子の国別対抗戦『デビスカップ』予選の出場を、実力者の西岡良仁が取り止めた。本人がSNSで謝罪の言葉と共に明かした理由の一つは、アメリカが日本からの入国規制を検討し始めたこと。デ杯予選に出たら、その後出場予定の大会が開催されるアメリカに行けなくなるのでは――。その恐れが、デ杯予選の為に一度は帰国した西岡を、急いでアメリカへ向かわせた。代表の名誉も、日々の試合で身を立ててこそ。世界で活躍する選手たちは、自らの価値を定めるグローバルマーケットと無縁ではいられない。 《敬称略》 =おわり

                    ◇

串田孝義・岸名章友・鱸正人・本池英人・谷口誠が担当しました。


キャプチャ  2020年3月12日付掲載

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【新型肺炎・スポーツ界が危ない】(03) 宙に浮くメダルプラン

20200402 05
「五輪まで最後の試合になるかもしれないので、全力で頑張りたい気持ちだった」――。今月8日、羽田空港。各競技で大会中止や延期が相次ぐ中、国際大会から帰国した卓球日本代表の石川佳純は、複雑な胸中を明かした。中国が圧倒的に強く、東アジアで盛んな卓球には、新型コロナウイルスの影響が直撃した。今月下旬に韓国で開催予定だった世界選手権は延期に。来月下旬の日本での国際大会も中止となった。日本は五輪本番で中国勢とトーナメント序盤で当たらないシードを手に入れる為、できるだけ多くの大会に出てポイントを稼ぐ算段だった。“金メダルプラン”の青写真は見直しを迫られている。競技団体の職員は、刻一刻と変わる大会予定の確認に追われる毎日だ。お家芸のレスリングは、今月末の五輪アジア予選の開催地が宙に浮いたまま。開催地は当初の中国からキルギスへと変更が決まったものの、感染拡大を受けた同国政府が、入国時に14日間隔離する外国人に日本等を追加。

『日本レスリング協会』が隔離を前提に渡航の検討を始めた直後、キルギスは開催そのものを返上した。二転三転する異例の展開に、関係者は「情報を待つしかなく、どうしようもない」と困惑する。先月末、新設された有明体操場で行なわれたボッチャのテスト大会。コートで球を投げていたのは選手ではなく、東京大会組織委員会の職員だった。国内外のチームを集めての国際大会の中止が決定。大勢の観客に見守られて、日本選手が海外勢と相まみえる場となる筈が一転、車椅子の動線や進行の確認が淡々と行なわれた。「最初はインフルエンザくらいかと思っていたが」――。先月上旬、中国での感染状況を知ったボッチャ日本代表監督の村上光輝は、事態の重さに頭を抱えた。選手の多くは脳性麻痺や筋ジストロフィーを抱え、呼吸器の機能が低い。ウイルスの影響を受け易いと考えて、関係機関と対応を検討していたところ、各国から来日見送りの連絡が相次いだ。「いいリハーサルができなくなった」と肩を落とす。ボッチャ以外にも海外勢が来日を拒み、中止になる国際試合が相次ぐ。パラ競泳は代表選考会が2ヵ月以上先送りされ、代表が決められない。先行きが見えない不安から、「東京大会が中止になっても全然おかしくない」と漏らす代表監督もいる。最後の総仕上げどころではなくなりつつある。 《敬称略》


キャプチャ  2020年3月11日付掲載

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【新型肺炎・スポーツ界が危ない】(02) スター選手も五輪ピンチ?

20200402 04
無観客開催の予定だったゴルフの女子ツアー開幕戦『ダイキンオーキッド』の中止発表から一夜明けた先月29日夜。渋野日向子(※左画像)が自身の『インスタグラム』の動画生配信に登場した。「本当は今日、(沖縄に)行く予定でした。共に頑張りましょう」。岡山の実家からファンに呼びかけた。1月末から“地獄の合宿”をタイで敢行して迎えた新シーズン。先月下旬からのアメリカ女子ツアーのタイ、シンガポール、そして国内の開幕戦、第2戦と4試合全て新型コロナウイルスで中止になってしまった。プロとして賞金も痛いが、東京五輪出場にも影を落とす事態だ。渋野の世界ランクは今月当初、12位。代表レースが締め切られる6月末までに上位15位内にいれば、5位の畑岡奈紗、15位の鈴木愛と共に五輪出場が叶う。だが、3人揃って出られるのは、全員が15位内をキープした時だけ。1人でも16位以下に落ちれば、出られるのは上位2人になる。

日本を主戦場とする渋野、鈴木が今の位置を守りきれるか、現実は厳しい。世界ランクは、過去2年の成績を得点換算して順位がつく。直近13週の分はそのまま加算されるが、過去のものほど加算率が低くなる。渋野は、昨年8月に優勝した全英女子オープンで100ポイントを稼いだが、目減りする分をこれから伸ばさないと順位は下がる。年始に「1試合も無駄にできない」と意気込んでいたが、貴重な4試合を失った。元々、日米両ツアーの獲得ポイントには格差がある。日本の優勝で得られるのは約20ポイントで、アメリカツアーなら50~60ポイント。凡そ日本の3勝分だ。3月第3週から6月末までに日本で15試合、アメリカでは13試合が開催予定。アメリカツアー勢に対抗してランクを保つには、日本で複数回勝たないといけない計算。トップ15から落ちたら、鈴木との1枚の切符を巡るシビアな戦いが待ち受ける。新型コロナの影響は、金メダリストたちの五輪出場も脅かしつつある。バドミントン女子ダブルスの高橋礼華と松友美佐紀は、今月初旬のドイツオープンが中止に。中国からフィリピンに開催地が変わったアジア選手権も不透明感が漂う。五輪に出られるのは2ペア。現在、国内3番手の2人は、このままだと来月末の代表レース期限を待たずに“終戦”となってしまう。体操で五輪連覇の内村航平も、今月18日に予定していた大会が中止に追い込まれた。故障明けで、来月からの代表選考会はぶっつけ本番になる。 《敬称略》


キャプチャ  2020年3月10日付掲載

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George Clooney

Author:George Clooney

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