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【新型コロナウイルス・日本再生への道】(05) 遠隔授業、環境整備が急務

20200710 04
「ずっとオンラインで先生の指導を受けていた人と、差がついているのでは」――。千葉県立高校3年生の男子生徒(17)は不安を口にする。高校は新型コロナウイルスの感染拡大で、3月から5月まで休校となり、対面の授業もオンラインによる授業も全く行なわれなかった。塾等の授業動画と参考書で受験勉強をしたが、質問はできず、学力が伸びたという自信はない。休校中の学習指導はインターネットを介した遠隔授業が中心にならざるを得ないが、公立の小中高校等は出遅れた。文部科学省の4月の調査では、双方向の授業を実施した自治体は5%、教員が授業を録画して配信したのは10%にとどまる。一方、『森上教育研究所』が4月上旬、関東1都3県の私立中高224校に行なった調査では、63%がオンラインを活用していた。公立でも、例えば東京都日比谷高校は家庭で端末や通信環境を整えてもらい、4月からオンラインでの双方向の指導を始めた。先月からは1日7コマ実施している。

休校中に生じた学習機会の格差は深刻だ。日本では対面での授業が重視され、学校のICT化は進んでいない。『経済協力開発機構(OECD)』の2018年調査では、国語の授業でICTを利用している日本の高校生は14%(※OECD平均は45%)と、加盟国で最低水準。今も現場からは、「インターネット環境のない家庭がある」(都内の公立中校長)、「教員のノウハウ不足」(北関東の自治体)等、遠隔授業に後ろ向きな声が聞かれる。文科省の調査では、今月1日現在、98%の小中高校等が再開したが、感染の第2波が来れば再び休校となる可能性がある。早急に遠隔授業の態勢を整えなければ、学習の遅れは取り返しがつかなくなる。政府は今年度第1次補正予算で、全ての小中学生に学習用端末を1台ずつ配備する費用計2292億円を盛り込んだ。インターネット環境のない家庭に自治体が貸与するモバイルルーター購入費(※147億円)も含む。これを受け、一斉に機器の確保に動き出した為、「端末やルーターは品薄状態で納入時期も見えない」(広島県内の教育長)という。機器の配備が遅れれば、地域や学校間の格差は広がる一方だ。先月11日、全国の教育委員会向けの説明会。文科省情報教育・外国語教育課の高谷浩樹課長は、「今は前代未聞の非常時。一部の家庭にICT環境がないから(オンライン授業を)やらないというのは大きな間違いだ」と強調した。第2波に備え、困窮家庭には学校の端末を貸与する等配慮した上で、家庭のパソコンやスマートフォン等、あらゆる機器の活用が急がれる。 =おわり


キャプチャ  2020年6月6日付掲載
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【地方大学のリアル】(06) “9月入学”を拒む時代錯誤の教育界――ブランド校は前のめり、着実に進む“選別”



20200626 16
日本の教育現場が戦後最大の激震に見舞われている。“9月入学”への移行という大波である。4月に満開の桜と共に一斉に入学し、春を待つ3月に卒業するという日本的ルーティンを変えようというだけに、小学校から大学まで大騒ぎとなっている。戦後、繰り返し検討され、見送られてきた9月入学論が今回、特別な重みを持っているのは、新型コロナウイルス感染で新学期の開講が遅れている学校現場が救済策として欲し、現実的な解としてみているからだ。予想だにしなかった“外圧”を利用しない限り、日本では9月入学は永久に実現しないだろう。9月入学への移行論は、タイトルは同じでも、立場によって語っている話が全く別物という特徴がある。文部科学省が先月19日に発表した『9月入学の2案』は小学校の新入学児童の話であり、第2案では5年かけて移行するという迂遠なアイデアである。一方、自由民主党がワーキングチームを設け、教育関係者を巻き込んで議論しているのは、主に大学の9月入学である。小学校の入学時期は勿論、中学校・高校と繋がった上で大学に影響してくるものの、大学側は欧米のギャップイヤー(※高校卒業後に大学入学までの空き時間を旅行等得難い経験の為に使う制度)を学生に提案することも可能で、実は自由度は高い。日本では2017年時点で全国の小学校の99%が国公立であり、私立は1%強の231校しかない。これに対し、大学(※2017年時点)は全国780校の内、私立が604校と77%を占める。つまり、小学校の改革は国公立の学校改革であり、教員という公務員の制度改革でもある。他方で、大学は私立主体であり、影響力のある国立大学も独立行政法人の一種である国立大学法人になっており、自主経営が進んでいる。

小学校と大学では、9月入学移行の意味合いや現実性が全く異なっている。にも拘わらず、メディアも政治家も一般国民も、その峻別をしないまま議論している為に、意見対立や実現性への感覚の違いが生じている。小学校の9月入学移行の理由付けのひとつは、教育格差の発生だ。新型コロナウイルス感染の状況によって、学校再開時期にずれが生じ、それが全国一律であるべき義務教育の根幹を揺るがしている。自宅における遠隔教育についても、パソコンやインターネット回線等のインフラの違いが格差を生むという議論が湧き起こっている。だが、大学では首都圏や関西圏等の殆どが前期はオンライン講義に全面移行しており、進度格差は生じない。開講が遅れた前期についても多少、夏休みを短縮すれば、問題なく授業の時間数を確保できるのである。「大学業界では9月入学は喫緊の重大なテーマにみえて、実はそれほど緊急の課題にはなっていない」と、東京都内の中堅私立大学関係者は言う。にも拘わらず、大学業界で、特に私立大学を中心に9月入学への移行論議が活発化しているのは、「主に需要面からのニーズ」と早稲田大学の教授は指摘する。数年前、『ベネッセ』や『リクルート』等が私立大学や地方の公立大学を回って、コンサルティング業務を受注していた時の殺し文句は“2018年問題”だった。この年を境に18歳人口が減少し始め、2018年の117万人が2031年には99万人まで急減する。年間1万4000人ずつ減り、毎年10校以上の大学が淘汰される計算だ。政府が少子化対策をとったところで、どうにもならない趨勢。大学業界にとって救いは海外からの留学生だ。大学・大学院・専修学校・日本語学校等に在籍する外国人留学生数は、2019年度で31万2214人に上る。平成の30年間で10倍に増加した。大学にとっては大きな市場であり、成長を続ける市場でもある。外国人留学生の在籍数の双璧は、4600人の早稲田大学と3000人の東京大学。共に学生数の10%前後が外国人留学生だ。更に上位をみても、九州大学、大阪大学、京都大学、東北大学等旧帝大や、慶應義塾大学、同志社大学等難関私大が並ぶ。

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【日米安保60年】第2部・経済安全保障(07) 防衛研究阻む学術会議

20200617 05
日本は第2次世界大戦中、企業や研究者が戦争に関与した反省から、安全保障分野での研究や開発をタブー視する空気が強い。学術界では、国内科学者の代表機関『日本学術会議』が、反軍事の先頭に立つ。「近年、再び学術と軍事が接近しつつある」「将来の(防衛)装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、【中略】政府による研究への介入が著しく、問題が多い」――。学術会議は2017年3月、防衛装備庁が2015年度から始めた安全保障技術研究推進制度に反対し、各大学に審査を行なう等の対応を求める声明を纏めた。この中で、「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」とする1950年の声明と、「軍事目的のための科学研究を行わない」とした1967年の声明を「継承する」と強調した。声明の決定前に学術会議が開いた公開フォーラムでは、同制度に参加しないよう求める意見が多かったという。防衛装備庁の制度は、将来的に防衛分野での活用を期待できる基礎研究を支援するもので、1件あたり20億円を上限に助成している。同庁は「研究に介入することはなく、公表を制限することもない」と説明する。企業や公的研究機関を除く大学や高等専門学校等からの応募は、2015年度に58件あったが、学術会議が問題視し始めた翌2016年度は23件と半減。2019年度は9件にとどまった。2016年度から助成を受けていた北海道大学は2018年、「学術会議の声明を尊重する」として辞退を申し出た。京都大学や名古屋大学も「軍事研究は行なわない」とする基本方針を決定し、研究者に自制を促す。

声明が大きな力を持つのは、学術会議が約4兆円に上る政府の研究開発予算の配分に影響力を持っているのも一因だ。学術会議は内閣府所管の特別機関で、政府に対する政策提言等の役割を期待されている。研究開発予算は文部科学省が配分を決めるが、学術会議は3年毎にマスタープランを策定して、推進すべき重点大型研究計画を政府に推薦している。ある国立大学教授は、「学術会議に睨まれると、プロジェクトや将来のポスト獲得で不利益を被る可能性がある。学術会議が声明を出せば、大学や学会は萎縮したり忖度したりしてしまう」と打ち明ける。以前は、国が主導した軍事研究の先進技術が民間に波及するスピンオフが一般的だった。ところが今や、AIや情報通信技術に代表されるように、民間が開発した技術を軍事に取り込むスピンオンへと変化し、軍民の技術のデュアルユース(※両用)化が進んでいる。中国は更に、最先端の科学技術を軍事に活用する“軍民融合”を国家戦略として推し進めている。防衛省幹部は、「民間技術を活用できないままでは、日本独自の防衛力整備が立ち遅れてしまう」と嘆く。ただ、過度な“軍事アレルギー”を見直す動きも起きつつある。「軍事研究は人道に反する為、行なわない」とする基本方針を策定していた筑波大学で昨年度、素材に関する研究が防衛装備庁の研究推進制度に採択された。先端素材のカーボンナノチューブ(※炭素材料)を使い、衝撃に強い次世代素材を創出する内容だ。『国立大学協会』会長も兼ねる同大学の永田恭介学長は、今年3月26日の記者会見で、同制度への応募を認めた理由について、新型コロナウイルス等に対するワクチン研究が生物化学兵器に転用される可能性を例に、「デュアルユースは線引きが難しい」とした上で、「自衛の為にする研究は、省庁がどこであれ正しいと思う」と語った。研究者の間からも、学術会議の声明への批判が出ている。東京大学の戸谷友則教授(天文学)は、2018年12月に発表した『学術会議声明批判』と題した論文で、「『いかなる軍事研究もしてはいけない』という考えをすべての人に要求するのはあまりに一面的だ」とし、こう指摘した。「戦争の惨禍が軍事によって生み出されるのは自明だが、平和を生み出し維持するうえでも軍事というものが大きな存在となっていることは明らかだ」。


キャプチャ  2020年5月14日付掲載

テーマ : 教育問題
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【水曜スペシャル】(171) 松山英樹も巻き込まれた“仁義なき戦い”…東北福祉大学、曹洞宗巻き込む利権抗争

昨年末に写真週刊誌『FLASH』が報じた東北福祉大学ゴルフ部監督のスキャンダル。その裏事情を探っていくと、学内と曹洞宗間の複雑に絡み合う事情があった――。 (取材・文/宗教ジャーナリスト 小川寛大)



20200610 09
学生ゴルフ界の名門、宮城県仙台市の東北福祉大学。同大ゴルフ部で松山英樹や宮里優作、池田勇太ら数々の有名プロゴルファーを育てた阿部靖彦監督(※右画像)は、日本ゴルフ界きっての名伯楽として著名な人物である。そんな阿部氏に金銭スキャンダルが持ち上がったのは、昨年末のことだった。12月24日発売の写真週刊誌『FLASH』が報じた『松山英樹も巻き込まれた!ゴルフ部恩師“大学私物化”告発文書』という記事で、阿部氏が大学の経費を不当に私物化し、銀座のクラブ等で年間4400万円ものカネを使って豪遊していると告発されたのだ。地元報道関係者は語る。「阿部氏の金銭問題は地元メディア周辺で以前から話題になっていて、FLASHに先んじて、地元紙の河北新報も阿部氏の名前を出さない形で記事化していた。後は全国レベルでもどれだけ広がっていくかという問題だった」。大学職員という“一サラリーマン”ながら、数千万円のカネを使って銀座で豪遊とは何とも豪気な話だが、東北の私大教員は「特に驚きはない」と冷ややかに言う。「私も大学の運動部に関わっていますが、大会等で見る東北福祉大学教職員のカネの使い方は異常ですよ。遠征に必要性もわからない数の教職員がゾロゾロついてきて、飲み食いも矢鱈と激しい。FLASHの記事は嘘ではないと思いますが、東北福祉大学に関しては阿部さんだけではないでしょう」。では何故、そんな東北福祉大学の中で阿部氏の“悪事”だけが露見したのか。その答えは簡単で、昨年末からマスコミ界隈には“東北福祉大学の未来を憂う者”という差出人名で、『内部告発“松山英樹の恩師の悪事を隠蔽!”』という怪文書がばら撒かれていたのだ。

FLASHに載った阿部氏の“悪事”は、殆どがこの文書の引き写しである。つまり、学内の誰かが、大学の内外で権勢を振るう阿部氏を“撃墜”せんと、彼の悪事だけを特にピックアップした資料を作成し、マスコミ各社に送り続けていたのだ。同大関係者は語る。 「そして厄介なことに、この怪文書が東北福祉大学の事実上のオーナーである仏教教団、曹洞宗の逆鱗に触れて、お坊さんたちが怒り狂っているんですよ」。東北福祉大学は元々、1875年に仙台市の寺院内に設立された『曹洞宗専門支校』をルーツとする仏教系である。現在も理事長や学長の指名権を曹洞宗が事実上握っており、経営権も教団の手中にあると言っていい。そして、流石にFLASHはそこまで引き写さなかったが、前述の怪文書は、曹洞宗の幹部らが阿部氏と結託して、その悪事を“隠蔽”したと指摘するもので、且つ僧侶らが大学を舞台に利権を形成し、私腹を肥やしていると結論付ける内容なのだ。曹洞宗幹部は、東北福祉大学のおかしな利権構造の存在をあっさりと認める。「東北福祉大は1994年から20年以上に亘り、萩野浩基氏という僧侶が学長を務めてきた。萩野氏は新進党や自民党に所属した元衆議院議員で、宗門も政界とのパイプ役として便利な存在なので、大学の学長に据えて厚遇していた。そして、学校法人を利用して様々な利権を形成し、それを萩野氏の政治活動の為に使うことも黙認してきた流れがあった」。しかし、萩野氏は2015年、学長職のまま死去する。「曹洞宗は後任として、同じく宗門校である駒沢大学の総長を務めた大谷哲夫氏を送り込んで、状況の整理を図った。しかし、東北福祉大学内では萩野氏の遺した利権分配を巡って派閥闘争が勃発。大谷氏もそれに巻き込まれて、いつしか曹洞宗のコントロールに服さなくなってしまった」(同)。東北福祉大学内の苛 烈な抗争は、何年も前から地元経済誌等がスキャンダラスに書き立ててきたことで、地元では知る人ぞ知る問題になっていたという。曹洞宗は昨秋、大谷学長を1期4年の任期切れとして降ろし、また新たな学長を据えて新規巻き直しを図った。関係者は語る。「それが面白くない一部の教職員が、曹洞宗サイドに取り入っていた阿部氏を撃墜すべく、彼のカネ遣いをマスコミにリークしたのが事の経緯だと思います」。つまり、学内の反曹洞宗派は、世間一般でも知名度の高い阿部氏のスキャンダルを焚きつけることで、学内の主導権を握ろうと計画していたようなのだが、動いたマスコミはFLASHだけだった。

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【水曜スペシャル】(169) 大学を挙げて内部告発者を執拗に追い込む…金沢大学医学部“黒い巨塔”の不条理

教員を脅迫する書き込みで逮捕された医学生。狙われた准教授は、大学の不正を告発した公益通報者だった。しかし、大学当局はその准教授に数々の“不条理”を仕掛けていた――。 (取材・文/フリージャーナリスト 長谷川学)



20200610 01
金沢大学医学部の男子学生が、同大医学部の小川和宏准教授を「殺す」等と脅迫し、逮捕される事件が起きた。医学生(※現在休学中)の梅田亮容疑者(22)が逮捕されたのは昨年11月末。梅田容疑者は昨年8~9月、小川氏のブログの書き込み欄に匿名で「殺す」「放火する」等と執拗に書き込んだ疑い。危険を感じた小川氏が昨年10月、被疑者不詳で警察に告訴。脅迫容疑で逮捕された梅田容疑者を、地元メディアは実名で報道した。拘留期限延長後の昨年12月、金沢地検は梅田容疑者を措置入院とし、不起訴(※起訴猶予)にした。検察は「精神面を考慮し、起訴猶予にする」と小川氏に電話で伝えたが、小川氏は「事件の背景は極めて複雑で、検察の説明を鵜呑みにできない」と話す。実際、この事件には未だ不可解な点が多い。しかも、後述のように、金沢大学と小川氏との間では現在、深刻な訴訟が繰り広げられているのだ。医学生による教員脅迫事件。この背後に何があるのか。事の発端は昨年7月。小川氏のブログを装った偽物のブログに、「大学提訴を謝罪し、裁判を取り下げる」とのデマが掲載されたのだ。後日、通信会社が小川氏に開示した資料によると、小川氏に成りすまして偽情報を発信したのは梅田容疑者だった。続く9月1日には、小川氏の本物のブログに「気をつけた方がいいよ。学年代表をやっていて頭がいいから」「薬理学の本試験の当日に病欠したのも小川先生の裁判を操作するための作戦だって昔から言われているよ」という奇妙な書き込みがなされた。警察は、これも梅田容疑者によるものだと小川氏に説明している。

梅田容疑者は2018年3月当時、学年代表を務め、小川氏と某教授が担当する薬理学の定期試験を欠席しており、この書き込みは梅田容疑者による内幕暴露とみられる。つまり、梅田容疑者は小川氏を陥れようとする一方、その謀略を白状するような両方向の記述を続け、軈て「殺す」等と内容を過激化させていったのだ。小川氏が初めて梅田容疑者の存在を認識したのは、書き込みにある“薬理学の本試験”の時だった。学年代表だった梅田容疑者は、試験規則等を他の学生に伝える役回りで、規則上、試験開始30分後の受験が認められないことを知っていた。ところが試験当日、梅田容疑者は「試験が終わった直後に私の執務室を訪ね、『体調不良で寝坊した。今から受験したい』と要求する等、奇妙な言動を取った」(小川氏)という。小川氏は当日の受験を認めなかったが、「救済策も考えて、『後日でいいから診断書を提出しておいたほうが無難だ』と伝えた」という。すると、体調不良の筈だった梅田容疑者は、その日のうちに医院を受診し、再登校。「急性気管支炎。高熱と咳のため自宅静養」「就学不可」とする診断書を学務係に提出。更に、試験を分担した教授を訪問した。小川氏によると、「会話中、梅田容疑者は一度も咳をしなかった」という。では、梅田容疑者の試験欠席が小川氏にどんな影響を与えるのか。つまり、前述の“小川先生の裁判の操作”との書き込みとの関連だ。注目されるのは、梅田容疑者の欠席直後の2018年3月下旬、金沢大学側が小川氏を相手取って試験点数開示請求訴訟(※点数訴訟)を起こしたことだ。その経緯を小川氏はこう話す。「2016年の“薬物治療の基礎”(※小川氏と某教授が試験担当)の本試験を私が調べたところ、60点以下で本来は不合格の53.9点や57.2点の学生が合格とされる一方、それより高い点数の学生が不合格とされる等、11人の成績の逆転が判明したのです。私は2017年夏頃から改竄防止策として、私自らが大学のコンピュータに点数を入力、点数原本を作成し、大学に報告することを提案し、大学もそれを認めました」。ところが、大学側は必要なID等を小川氏に与えず、入力できないようにした。「その上で、大学側は2017年暮れに、点数未提出を理由に私を懲戒手続きにかけようとし、更に梅田容疑者の試験欠席直後に懲戒処分の準備として、私を金沢地裁に提訴してきたのです」(小川氏)。提訴の9ヵ月後、某教授と大学側は梅田容疑者に上から2番目のBの成績を付けたが、小川氏は「寝坊での欠席の経緯から、私と某教授は合格最低ラインのCにすることで合意。その証拠もある」と話す。梅田容疑者は成績を優遇されたのだ。小川氏はこう推測する。「懲戒の口実は多いほうがいい。そこで、誰かが成績優遇と引き換えに、梅田容疑者に診断書を提出させ、『梅田君に不当な扱いをした』との理由で私を懲戒しようとしたのではないでしょうか。しかし、寝坊発言を私は録音しました。それでは懲戒に使えないと、仲間割れが起きた可能性もあります。事実、梅田容疑者の書き込みには、私と対立する大学側幹部を名指しで批判する内容のものが相当数あります」。実は、脅迫された小川氏は“不屈の公益通報者”として、法曹界や医療界では知られた存在なのである。今年2月4日には、『日本弁護士連合会』主催の公益通報者保護法を巡る集会で、小川氏は自らの体験を発表する予定になっている。

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【新型コロナウイルス・専門家に聞く】(09) 休校中は孤立に注意――渡辺正樹氏(東京学芸大学教授)

20200529 33
緊急事態宣言が全国に広がり、多くの小中高校等で休校が続いている。政府の要請で一斉休校が始まったのは3月上旬。春休みを挟んで自宅待機がこれほど続くのは、経験のない事態だ。一斉休校の要請対象だった1300万人に近い規模の子供たちに影響が及ぶ。友だちに会うこともままならない子供たちの心身の負担は計り知れない。新学期から学校が一度再開されながら、休校に逆戻りしたショックも大きいだろう。特に注意が必要なのは小学1・2年生だ。集団で学んだり遊んだりすることが発達上、重要な時期にあたり、孤立状態が続くと心身の不調が危惧される。学年が上がればインターネット等でコミュニケーションをとることもできるが、低学年では難しい。教員と家庭が連絡を取り合い、子供に異変があれば、養護教諭やスクールカウンセラーも交え、速やかに対処する体制が欠かせない。国は医学的な見地から、子供の発達段階に応じてどのような点に注意すべきか、指針を示すべきだ。それを基に各校がチェックできる。学習の遅れへの対応も重要になる。家庭学習では、子供の意欲や保護者の支援の有無によって、学力の格差が広がり易い。オンライン授業の導入は選択肢の一つだが、インターネット環境が整っていない家庭もあり、万全とは言えない。大事なのは、学校が教科書に沿った課題を出し、保護者と連携して進み具合をきめ細かく確認することだ。理解度が気掛かりな子には、教員OBら学習支援員の協力を得る等、外部人材のバックアップも求められる。教育委員会や学校は再開を見据え、授業時間を確保する方策も考えなければならない。児童生徒や教員の負担に配慮しつつ、夏休みの短縮や学校行事の精選等、年間計画の大胆な見直しを進めてほしい。 (聞き手/教育部 岡本裕輔)


キャプチャ  2020年4月21日付掲載

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【地方大学のリアル】(05) 急遽開始のオンライン講義で大混乱――教授にも学生にも高いハードル、過半の大学が淘汰の可能性



20200529 11
新型コロナウイルス感染は世界のあらゆる分野に影響を広げており、日本の大学はまさに大混乱の最中にある。東京や大阪等大都市圏の大学の大半は、前期講義を全てオンライン化する。欧米の大学や日本の予備校が早くから取り組んできた遠隔講義が、“地上最後の楽園”である日本の大学を大転換させようとしている。JR中央線沿線は“大学銀座”とも呼ばれる。中野の帝京平成大学から始まり、西荻窪の東京女子大学、吉祥寺にある安倍首相の母校の成蹊大学、三鷹の国際基督教大学(ICU)、武蔵境の亜細亜大学、武蔵野大学、国分寺の東京経済大学等と連なる。そんな大学銀座で3月末、突然の大波が起きた。各大学が学長名で、「前期講義を教室での対面では行なわず、全てオンライン講義とする」との通知を出したからだ。オンライン講義を大学銀座が逸早く打ち出したのは、通学に新宿や渋谷等巨大ターミナル駅を通過する学生が多く、感染リスクの回避が困難だからだ。その後、オンラインの津波は都内や神奈川、埼玉、千葉県等の国公私立大ほぼ全てを呑み込んだ。適切且つ賢明な判断であり、出席証明の為だけに教室に行く多くの学生には好評だった。慌てたのは教授たちだった。学生に背を向け、ひたすら板書し、ぼそぼそと説明する教授は絶滅しつつあるが、今なお70%の教授たちは十年一日のレジュメを使い、学生に夜のアルバイトに備えた睡眠時間を与えている。そうした“楽園の教授たち”がオンライン講義と聞いて先ずパニックに陥り、慌ててインターネットで検索して天を見上げたのは当然だった。

学生数7000人強の亜細亜大学を例に採り上げると、4月に入って『緊急実行シラバス』の作成を全教員に指示、2週間での提出を要求した。シラバスは講義の狙い、受講者の達成目標、各回のタイトルと内容、教科書と参考図書の指定等をパッケージで示すもので、教員にとって言わば“1年間の種まき”。新年明けて全てのシラバスを提出すると、教員は一息つく。それをご破算にして、未経験のオンライン講義用シラバスにしろというのだから、教員の反発は強かった。オンライン講義を既に実施している東京大学や慶應義塾大学等一部を除いて、大半の大学はキレる教授を事務方が宥め、懇切丁寧なオンライン講義の手引き等を配って、何とかシラバス作りに導いたのが実態だ。だが、首都圏の大半の大学で現実のオンライン講義が始まるのは5月上旬以降。「本当の混乱はこれからやって来るだろう」と早稲田の教授は漏らす。では、何が問題なのか? 最初のハードルは、実は学生の受講環境にある。大学に入ったら、ノートパソコンを持ち歩いて、家や大学、喫茶店で課題をこなすといったイメージは、実は過去のもの。今、大学生が自分専用のパソコンを持っている比率は30%を切っている。インターネット関連の用事の殆どはスマートフォンで済ませ、リポート等は大学のパソコンルームや家族共用のパソコンで済ませてしまうからだ。剛の者になれば、長文のリポート執筆もスマホで切り抜ける。学生をパソコンの前に座らせてというわけにはいかないのだ。勿論、オンライン講義に使用する『Zoom』・『Teams』・『Hangouts Meet』等はスマホにも対応しているものの、90分の大学講義を週七、8コマ取れば、スマホの契約したギガと呼ばれる通信容量は忽ち枯渇する。自宅にWi-Fi環境がない学生は、大学のキャンパスが閉鎖されている為、チェーン店のカフェ等で講義を受ける新種のインターネット難民になりかねない。教授陣も慣れないソフトを駆使してオンライン講義をするが、無観客試合のような環境で、パソコン付属の小型カメラに向けて90分間話し続けるのも、技量と忍耐が必要。そして何より、学生の興味を保ち、集中させるという絶望的なオペレーションに取り組まなければならない。多くの大学は、『manaba』と呼ばれるクラウド型の教育支援サービスを導入している。元々、インターネット接続会社だった『朝日ネット』が始めた教育機関向け基幹ソフト。事前の課題提供やリポートの提出、学生への連絡、出席管理、成績入力等ができる幅広いツールだ。

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【火曜特集】(159) “教育よりカネ”のトップに怨嗟の声…山梨学院大学に就任した“最年少学長”の悪評

スポーツで全国的に知られる『山梨学院大学』だが、理事長兼学長の代替わりで混乱が起きている。理事長は教員の給与削減や雇止めを進める一方、資材を蓄えることにはご執心のようで――。 (取材・文/フリージャーナリスト 田中圭太郎)



20200512 07
山梨学院大学が甲府労働基準監督署から今年1月に受けた指導と是正勧告を無視していると、複数のメディアが報じている。運営する学校法人『山梨学院』は、非常勤講師の定年を70歳から65歳に引き下げた就業規則を、労基法に沿った手続きを行なわずに作成。 労働者の過半数代表者の意見を聞くといった手続きのやり直しを、労基署から求められた。しかし、今年3月に再び適法とは言えない手続きを取り、就業規則は変わらないままだ。同月末には、少なくとも20人以上の非常勤講師が雇い止めを受けたと見られている。ところが、労働条件の悪化は専任教員や職員にも及んでいた。知らないうちに期末手当が年間5.1ヵ月分から、評価によっては3.0~4.8ヵ月分に変更。客観的な評価基準は存在しない。更に幼稚園、小・中学校、高校、短大、大学其々で単体の決算が赤字の場合は、来年度から2.0ヵ月分にする方針が示された。因みに、現在単体で黒字なのは高校と短大だけ。教職員約500人はパニックに陥っている。この異常とも言える人件費削減は、単に経営難が理由ではない。父で前学長の忠彦氏の跡を継いで就任した古屋光司理事長兼学長の“教育よりも利益重視”の方針によるものだ。古屋理事長は、男子中高一貫校の『巣鴨学園』(東京都豊島区)から『東京大学』に進学。2001年に法学部を卒業し、2004年に弁護士登録。2006年には山梨学院法人本部総務部秘書室長に就任。大学の学長補佐や副学長、法人の理事長補佐等を経て、昨年4月、39歳の若さで現職に就いた。39歳の学長は、当時、全国最年少だったと見られる。

というのも、『大阪経済大学』が今年4月に44歳で就任した学長を全国最年少と発表したが、山梨学院大学が「古屋のほうが若い」と態々電話してきたエピソードがあるからだ。古屋理事長が父親の跡を継ぐのは既定路線だったが、就任した途端に強引な人事政策を推し進めた。昨年度には腹心とみられている准教授を、今年度には准教授である実の妹を副学長に就任させた。これには長年勤務する教授も呆れる。「学長と副学長が30代などという大学は聞いたことがない。ベンチャー経営者にでもなった気分で、完全に大学を弄んでいます」。更に今年4月から、古屋理事長が“7人の侍”と呼ぶ民間企業からの転職者を、各部門の管理者に任用した。理事長の方針や、この7人に意見を言った職員は、短大に集団左遷されられているという。「少しでも意に沿わない者は、『あの人は言うことを聞かない』の一言で左遷されています。中には退職に追い込まれたベテランもいました」(同)。また関係者は、古屋理事長の妻が経営する会社に、山梨学院から多額の発注がなされていると憤る。「古屋の妻が経営する会社は、2015年に甲府市に開設されたVALEM。翌2016年には大学の新しいロゴデザインを受注した。古屋の妻が自分のインスタグラムに、ロゴと共に『VALEMもいい仕事』と投稿したことで発覚した。投稿は削除されたが、ロゴは古屋が学長に就任した昨年4月から使われている。また、ウェブマガジン“BLUE STAR MAGAZINE”も同社が受注。以前は広報誌の形態で山梨学院が発行していた」。もっと不可解なものもある。先に触れた“7人の侍”を紹介する動画も制作。古屋理事長が経営方針を教職員に説明した今年4月1日のキックオフセレモニーで上映された。他に上映する機会がない動画だ。別の関係者は、こう解説する。「夫人の会社への発注額は明らかになっていませんが、恐らくそれなりに高額でしょう。他にも、公用車にレクサスを購入したり、巨費を投じて事務室を改修する等、不透明な工事も行なわれています。理事長の報酬額も公開されていない。公的資金が投入されている学校法人を、個人商店か何かと勘違いしているとしか思えません」。大学の私物化を進める一方、古屋理事長が教育や研究を蔑ろにしているという声もある。ある教授会の資料には、「高度な研究機関として評価される大学は目指さない」「従来の日本の大学に見られる典型的な“研究者教員”を望む人は、今後、本学とのマッチングはない」と明記されている。また、先述のキックオフセレモニーで古屋理事長は、「質の高い教育サービスの提供は、給料が上がることには繋がらない。収入が増えることだけが給料が上がる要因になる」等と、教育の質よりも利益が大事と宣言している。

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【地方大学のリアル】(04) 京都大学(京都府)――“自由な校風”を守る為の変革



20200501 10
京都市左京区の吉田近衛町周辺に、京都大学のキャンパスは密集している。工学部の一部等が桂に研究拠点を持つが、それ以外の各学部校舎は、南は春日北通から北は御蔭通に至るまでの狭いエリアに密集している。最も北に位置する吉田キャンパス北部構内に農学部と共に居を構えるのが、押しも押されもしない看板学部である理学部だ。学部出身のノーベル賞受賞者数に言及するまでもなく、我が国を代表する理系研究のトップ機関であることは論を俟たないが、京大理学部が10年後、いや50年後も現在の地位にいられるのかどうかが問われている。理学研究科のある教授が語る。「どんな学生が集まるか。そして、どんな教育を施すか。世間的に優秀な学生が集まると言われる京大でさえ、重要な要素はこの2つ。そして、これについて模索を続けているのが理学部ではないか」。京大といえば、“自由な校風”と言われることが多い。キャンパス周辺の立看板や、未だに存在する自治寮等、挙げられる例は数多あるが、実は理学部こそ自由の象徴だと語るのは同学部の中堅教員だ。「学生に『何を学んでもいい』とフリーハンドで任せるのが伝統であり、ここに“らしさ”があることは間違いない」。理学部のカリキュラムにも、特徴の筆頭として、“自由な雰囲気の下で学問的創造を何よりも大切にし、自律的学修が推奨される学風”が挙げられているのだ。具体的には、学科が理学科しかないということが最大の特徴だ。東京大学を筆頭として、通常の理学部は、物理学科、化学科、生物学科といった学科に分かれており、学部段階でも特に後半以降は特定の専門領域について学ぶ。

一方で京大理学部には理学科しかなく、カリキュラムが極めて緩い。内部では、物理学等を学ぶ物理科学系、数学を学ぶ数理科学系等5つの系があり、3回生以降に自らの系を選んで専門教育を施される。では、“系”が“学科”にあたるのかというと然に非ず。通常の学科と異なり、別の系に移ることも比較的容易で、縛られない。抑々、専門科目の履修は自由で、自らの所属する系以外の科目の単位取得も可能だ。「1・2回生の時に大量の単位を取得する学生は未だにいる」。こう語るのは、修士課程で学ぶ学生の一人だ。これほどの自由度を誇る大学は類を見ないが、実は弊害もあった。縛りがない為、逆に「単位はいつでも取れる」と高を括って取得単位が極端に少なくなり、留年する学生が大量発生したのだ。特に1990年代に酷くなったが、最近では1・2回生を十数名毎に2人の教員によって担当する少人数担任制度を導入したり、このグループでのガイダンスを行なう等、理学部として学生を管理するという方策が出始めている。2011年からは学部内に1・2回生用の控え室を置く等、帰属意識も高めており、成果を出しつつあると前出の中堅教員が語る。「多少管理的ではあるが、こんなことで失われてしまう自由ではなく、内外から概ね好評だ」。大学は研究機関であると同時に、教育機関でもある。東大や京大の教授らの多くは、教員というよりも研究者のカラーが強く、それをよしとする風潮もあった。しかし最近では、前述した担任制度等、教員としての振る舞いを求められるケースも増加し、それにより「学生の気質も10年前と比較すると変化してきた」(同)という。現在でも理系学部の中では最も高い留年率(※約10%)だが、2割を超えていた過去より大幅に改善している。「多くのノーベル賞候補者が現役の教員としていることは、学生にとって大きなアドバンテージだ」。こう語るのは、最近退官した元教授である。二酸化炭素等を吸着する多孔性金属錯体を開発した北川進教授や、小胞体内変性タンパク質の検出等についての成果で知られる森和俊教授等、有力候補と言われる研究者。また、数学界の最大の謎のひとつとされる『ABC予想』を証明したとされる数学者の望月新一教授等に直接触れ合える機会は、若い学生にとって大きなモチベーションになる。

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【火曜特集】(155) 教育界を蝕む大学入試利権――全ての元凶は“ベネッセ・楽天・下村博文”、この悍ましき政官民の癒着



20200428 09
先月18・19日の両日に実施された『大学入試センター試験』は、事前に予想された雪による影響は少なく、大過なく終了した。報道では“最後のセンター試験”というフレーズが繰り返し使われ、来年からは新たな『大学入学共通テスト』が始まることがアナウンスされている。しかし昨秋以降、新テストへの不安要素が噴出し、既に英語民間試験の利用と、数学と国語の記述式試験の実施が見送られることになった。その背後では、この入試制度改革に乗じて、政官民が大学受験という巨大市場に群がっている。英語民間テストの活用を巡るドタバタの裏側や、文部科学省の官僚や文教族議員による関与の経緯は後述するが、この騒動の過程で浮き彫りになったのは、教育産業大手『ベネッセ』による我田引水とも言うべき動きだった。『福武書店』の時代から通信教材『進研ゼミ』等で有名だった同社が、入試制度改革で手にする利権は英語試験によるものだけではない。ベネッセコーポレーションの子会社である『学力評価研究機構』は昨年8月、共通テスト記述式試験の採点業務を61億円余で落札した。来年度実施が先送りされたこのテストの存在から、“採点業務”という極めて特殊な業態の寡占構造が浮き彫りになる。毎年4月、全国の小学6年生と中学3年生、各約100万人ずつが受けるのが、2007年から始まった『全国学力・学習状況調査』である。通称、全国学力テスト(※学テ)と呼ばれ、選択式(※マークシート)、短答式と記述式を併用しており、文科省の委託を請け負った民間業者が採点を行なってきた。そしてこれまで、小6はベネッセ、中3は『内田洋行』と『旺文社』系列の『教育測定研究所(教研)』による共同事業体(※JV)受注が主だった。

小6も中3も採点業務に大きな差はない。事実、ベネッセは2018年、小6は受注しなかった一方、中3は受注している。2007年以降13年間の受注業者は、ベネッセ、内田洋行、教研の3社で約9割を占める。そして、一つの会社が小6と中3の両方を受注したケースは一度もない。採点者を外部から集めるのであれば、両方受注することは可能な筈だ。採点業務の下請け企業の男性経営者は、「3社で棲み分けしていたと言われても仕方ない」と語る。この男性経営者は、教研で採点システム開発にまで関わったインサイダーであり、他社の内情も知り得る立場にあった。同氏によると、受注が続いた3社の間で採点者の人手不足が発生。その結果、同氏の部下が相次いで引き抜かれ、採点業務からの撤退を余儀なくされたという。「寡占3社の内、最もクレームが多かったのがベネッセで、採点者はアルバイトが殆ど」(同)。採点が正しいかどうかのチェックが杜撰だったとされるが、何故か文科省がこれを黙認していたという。ベネッセはこれ以外にも、入試改革に乗じた知られざる利権を手に入れている。高校生の“主体性評価”をする為に、来年度の大学入試から出願に利用される高大接続ポータルサイト『JAPAN e-Portfolio(JeP)』だ。これは、高校生が自身の活動履歴を入力していくもので、探究活動、生徒会・委員会、学校行事、部活動、学校以外の活動、留学・海外経験、表彰・顕彰、資格・検定に分類された情報を蓄積して、大学入試の際に判断材料として活用するというもの。文科省が2016年度からの3年間で計8億円の予算を組んだ『大学入学者選抜改革推進委託事業』5分野の内、“主体性等分野”として関西学院大学を代表校にした9大学のJVが受託した。委託事業期間の終わった昨年4月からは、運営を『一般社団法人教育情報管理機構(EIMO)』が引き継いだものの、実は情報を管理しているのはベネッセの関連会社だ。JePの公開ドメイン情報を調べると、登録者名は『株式会社ベネッセインフォシェル』になっている。前述した高校生の活動履歴は、全部で769項目にも及ぶ個人情報の固まりである。これを何故、ベネッセの管理下に置くのか。JePについては“なりすまし”等が懸念される為、「それを防ぐ為という名目で、ベネッセのIDとパスワードによるシステムを拝借してスタートすることになった」(関係者)というが、詳しい経緯は不透明だ。その他の業者のIDやパスワードも使用可能だが、1学年40万人が受験する進研模試がある為、ベネッセが大部分の受験生を囲い込む。「データを見られるのは、生徒本人と高校の教員、提供を受けた出願先の大学だけ。ベネッセや企業等に個人情報が渡ることはない」。関学大の担当者はこう説明するが、何とも心許無い。

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