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【火曜特集】(292) 情報番組におけるアイヌ差別問題で政治権力につけ入る隙を与えた日本テレビ

20210406 02
『日本テレビ』が情報番組で先月放送したアイヌ民族への差別問題が深刻化している。アイヌ民族のドキュメンタリーの紹介の際、お笑い芸人の脳みそ夫が「あ、犬」と茶化したのが事の発端。この番組には複数の報道局経験のプロデューサーがいた他、『読売新聞』の橋本五郎氏等も出演しているだけに、関係者のショックは大きい。番組で紹介したドキュメンタリーは、アイヌ民族の菅野りえ氏がアメリカの先住民を訪ねるシリアスな内容。日テレが新たな収益源と力を入れる配信子会社『Hulu』の番組だったが、とんだミソが付いた格好だ。深刻なのは、日テレが現在、『日本民間放送連盟』の会長社であること。あらゆる差別を放送から撲滅する旗振り役の大失態に、「テレビ報道への介入のチャンスを窺う政治や行政に口実を与えた」(メディア関係者)との危惧が広がる。今回の問題では既に、加藤勝信官房長官が政府として日テレに厳重抗議したと明らかにしている。また、上位に立つ読売新聞がこれを奇貨として、日テレへの介入を強化する可能性も懸念される。現在の社長は生え抜きの小杉善信氏。「テレビ屋に会社の監督は任せられない」と、一層の“読売支配”に乗り出す恐れもある。そうなれば社内のムードや社員の士気にも影響し、視聴率の低下を招きかねない。今回の問題の幕引きとして、関係者の厳重処分や再発防止策への取り組みを実行するのだろうが、二方向からの“圧力”を跳ね返すのは容易ではない。


キャプチャ  2021年4月号掲載
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【木曜ニュースX】(27) NHK受信料引き下げの欺瞞…“2023年度から”に潜む狙い

20210311 04
NHKが2023年度から受信料を1割程度引き下げる方針を打ち出したが、「誤魔化されてはいけない」(総務省OB)と警戒の声が上がっている。今回の引き下げは、当初抵抗していたNHKの前田晃伸会長(※右画像)が渋々受け入れたものだが、前田氏の任期は2023年1月までだ。実質的には、2022年秋頃には次期会長人事が始まり、交代の場合には影響力は急速に低下する。こうした事情も踏まえ、武田良太総務大臣は、遅くとも2022年4月からの引き下げ実現を求めたが、「前田会長は交渉を上手く運び、ドローに持ち込んだ」(NHK幹部)とされる。抑々、2023年度にはBS放送が1波削減される。1チャンネル分のサービスが減るのだから、受信料を下げるのは「民放なら当たり前。胸を張るようなことではない」(民放キー局幹部)。菅義偉首相は受信料引き下げが持論だった為、NHKは戦々恐々としていた。ところが、菅首相の政権運営がお粗末で、長期政権の目がない。「ここで一旦受け入れておけば、首相も大臣もNHK会長も代わり、局面転換するとの読みがあるのでは」(NHK関係者)とも囁かれる。


キャプチャ  2021年2月号掲載

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【水曜スペシャル】(265) 視聴率トップでも高揚感は皆無…日本テレビは“聖域なき改革”に着手できるか?

20210203 01
昨年の年間個人視聴率で10年連続三冠王を達成した『日本テレビ』だが、社内に高揚感はない。「視聴率が業績に結びつかない時代」(日テレ関係者)だからだ。今年度連結中間決算では、12年ぶりの赤字転落。新型コロナウイルスの影響によるグループ会社のスポーツクラブ『ティップネス』の会員数減少が大きな痛手となった。昨年6月、『日本テレビホールディングス』の社長に就いた『読売新聞』出身の杉山美邦氏は、経営立て直しに向け、11月に新成長戦略を発表した。だが、株価は反応せず、1100円台で低迷し、時価総額で『TBSホールディングス』に抜かれた。杉山氏は「読売時代からコストカッターの異名を持つ」(読売新聞OB)人物。日テレでもグループ内赤字会社ゼロを最優先課題にし、「人員削減を本格検討しているグループ会社もある」(民放労連関係者)。新成長戦略では、2023年にデジタル部門の売り上げを1000億円に伸ばすと掲げたが、地上波主体からどうシフトするのか道筋は見えない。地上波ではマンネリ番組の垂れ流しが続き、変革の空気は皆無。「なまじ視聴率が良いだけに、改革には尻込みするばかり」(日テレOB)のムードが広がる。その為、生え抜きではない杉山社長に求められるのは「番組制作面での聖域なき改革」(証券アナリスト)だろう。コストカットのみでなく、新事業を生み出し、キー局の新たなビジネスモデルを構築することが急務だが、「そんな器ではない」との評が専らだ。


キャプチャ  2021年2月号掲載

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【火曜特集】(265) 受信料値下げを巡って総務省とNHKの“仁義なき戦い”

20210202 08
武田良太総務大臣が『NHK』の受信料引き下げを実現させる為に「戦闘モードに入っている」(総務省幹部)という。これに対してNHKは断固として抵抗しており、前田晃伸会長は先月3日の記者会見で「物事には手順がある。ただ下げれば済むということではない」と述べ、早期引き下げに否定的な見解を示した。武田氏の“前田評”は手厳しく、「銀行出身で血の通わない経営者と見ている」(全国紙政治部デスク)という。「内部留保が約3700億円もあるのだから身を切るべき。時限的にも下げろ」というのが武田氏の論理だ。同氏は現状、具体的な下げ幅については言及していないが、総務省内では「月額700円から800円の間を想定しているのではないか」という観測が浮上している。前田氏には、菅義偉首相とのホットラインもあり、「財界人としての矜恃から政治家の言いなりにはならないとの思いもあるようだ」(全国紙経済部キャップ)。また、前田氏の強気の背景には、NHK寄りの自民党放送関係議員の存在もある。ただ、武田大臣も自らの派閥のトップである二階俊博幹事長の寵愛を受けており、党内からの圧力は効きそうもない。そして、武田氏の主張には『日本民間放送連盟』も歩調を合わせている。日頃からNHKを苦々しく見ている民放にとって、「携帯電話料金の引き下げに続いて、ワイドショーのネタになる」(民放キー局プロデューサー)と“NHK包囲網”が構築されている。


キャプチャ  2021年1月号掲載

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【水曜スペシャル】(229) NHKのエリート幹部が突然の大阪異動…後任は前田晃伸会長のイエスマン

20201104 01
NHKの中枢にいた前経営企画局長の堀岡淳氏が、先月8日付で突如として大阪拠点放送局長代行へ異動したが、「事実上の左遷人事」(総務省OB)とみられている。NHKは来年度からの中期経営計画を策定中で、来年1月にも最終決定する。堀岡氏は中期経営計画の策定に関与する中心メンバーで、原案の段階から総務省や『日本民間放送連盟(民放連)』、民放各局への説明役を果たしてきた人物だった。「受信料の引き下げや、インターネット費用の上限等、難しい課題について細かい点まで把握していた」(民放キー局幹部)という。経営企画局長ポストはNHKのエリートコースで、前任の田中宏暁氏は今年4月、理事に昇進している。堀岡氏は就任して未だ5ヵ月余りで、「何故今、大阪に行くのか、理由が不明」(業界関係者)と驚きの声が広がった。異動させたのは、各方面で軋轢を生んでいる前田晃伸会長。「堀岡氏が放送担当の総務省官僚に顔が利くことが許せなかった」(NHK関係者)というのだが、要は嫉妬である。堀岡氏は中期経営計画の詰めの作業で総務省官僚に根回しをした。前田氏は「総務省との窓口は自分である」と考えており、「逆鱗に触れた」(総務省幹部)というのだ。後任には秘書室特別主幹だった伊藤浩氏を充てたのだが、何でも言うことを聞くイエスマンに交代したわけだ。前田氏の暴君のような振る舞いには、「抜擢された正籬聡副会長らも困惑している」(NHK幹部)との声も聞かれるようになった。


キャプチャ  2020年11月号掲載

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【水曜スペシャル】(226) やらせ、パワハラ、低視聴率…何故フジテレビはこんなにダメになったのか?

『テラスハウス』を巡るやらせ問題を始め、問題山積の『フジテレビ』。嘗て、ドラマは多くの社会現象を引き起こし、バラエティーでも『オレたちひょうきん族』・『とんねるずのみなさんのおかげです』・『めちゃ×2イケてるッ!』等数々の人気番組を擁した同局は、何故“テレビ界の王者”から転落してしまったのか――。 (取材・文/本誌取材班)

20201028 01
フジテレビの凋落が止まらない。“楽しくなければテレビじゃない”のキャッチフレーズの下、年間視聴率三冠に君臨していたのも今は昔。視聴率は低下の一途を辿り、近年では“振り向けばテレビ東京”という万年Bクラスが定位置になっている。それでも昨年は10年ぶりにゴールデンタイムの視聴率が微増。漸く底を脱したかに見えたが――。「コロナショックで“二番底”が待ってたんです」と語るのは、然るテレビ雑誌の編集者だ。「視聴者のステイホームで、他の民放局は軒並み視聴率が上がってるというのに、フジだけ負け組ですよ。再放送ドラマブームに乗った“やまとなでしこ 特別編”も不発でしたし、週間高視聴率ランキングのトップ10に入ったのは志村けんの追悼番組だけでした」(テレビ誌ライター)。視聴率の低下によって、スポンサー離れも加速している。先日、安藤優子がキャスターを務める情報番組『直撃LIVEグッディ!』の打ち切りが判明。その代わりに、司会の坂上忍によるパワハラ疑惑で出演者が続々と番組を卒業している『バイキング』が放送時間延長になるという迷走ぶりだ。更に、小倉智昭が司会の『情報プレゼンター とくダネ!』も来春での終了が噂されている。長年フジを支えてきた功労者への“仁義なきリストラ”で業界に衝撃が走っているが、中には自分から辞めたがっているキャスターもいるとか。「加藤綾子アナですよ。メインキャスターを務める“Live News it!”が秋から3時間に拡大予定ですが、『本当はやりたくない』と周囲には漏らしている。加藤アナは、元TBSの田中みな実アナのように女優業にも進出する予定だったのに、『これ以上“低視聴率女”のレッテルを張られて、未来の仕事を潰したくない』って」(民放キー局報道部員)。

遂に身内からも出始めた不協和音。嘗てのテレビ業界をリードしてきたフジは、どうしてここまで落ちぶれてしまったのだろうか? 長年守り続けてきた視聴率三冠の座から同局が陥落したのは2011年。このピンチを救うべく社長に就任したのは、『踊る大捜査線』シリーズで知られる亀山千広プロデューサーだった。『笑っていいとも!』を始め、めちゃイケやみなおかといった看板番組の打ち切りを断行していったが、業績回復には至らず、局内には不満がたまっていったという。「バラエティー番組のリストラはするくせに、一番てこ入れを期待されていたドラマでも鳴かず飛ばず。月9枠も往年のブランド力を取り戻せずに、初の1桁台まで下がりました。それなのに、今クールの目玉といえば、織田裕二と鈴木保奈美の“東ラブ”主演タッグの“SUITS”ですよ。いつまでバブルの栄光を引きずっているんだって笑っちゃいますよ」(元フジ社員)。不満がたまっているのは社員だけではない。下請けの制作会社も「制作費が少な過ぎる」と“フジ離れ”が進行中だとか。「僕らは安い給料でヒーヒー言いながら徹夜で作業しているのに、口だけ出してくる社員の年収は1000万円以上。若手社員でもボーナス200万円が出て、芸能人御用達の高級デリヘル三昧なんて聞いたら、クオリティー落ちるに決まっていますよ。その行きついた先が、例のテラスハウス事件ですよ」(制作会社ディレクター)。人気恋愛リアリティー番組であるテラスハウス出演者の自殺騒動が、国会にまで飛び火したことは記憶に新しい。SNSによる誹謗中傷の発端になった事件が、制作サイドから指示されていたやらせだったことが判明すると、インターネット上では「フジテレビから電波を取り上げろ!」という署名運動まで起こってしまっている(※その後、やらせ疑惑は硬派なドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』にも飛び火)。「視聴者にそっぽを向かれて、只でさえ業績が悪いのに、コロナ禍で売り上げは前年比で半減。にも拘わらず、上層部は『数字を取れ』と声高に叫ぶだけで、結局はノープラン。CMは取れずにテレビショッピングばかり。ヒット番組を作る体力も気力も、お台場にはもう残っていませんよ」(前出の元フジ社員)。“失われた10年”を過ごしてきたフジテレビ。2020年代も苦境は続きそうだ。


キャプチャ  第10号掲載

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【火曜特集】(225) 日本テレビ系の名門局で何が…山口放送を“追放”された取締役が怒りの告発!

山口県の老舗民放局である『山口放送』。同局で、現役役員が会長や社長らを内部告発するという挙に出た。その怒りの声は株主総会で闇に葬られた格好だが、今、社長らが絡む21年前の不正が蘇ろうとしている――。 (取材・文/フリージャーナリスト 丸山昇)



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ここに『山口放送の正義を信じて』と題された告発文がある。周南市に本社を置く山口放送は、山口県における1956年開局の最古参で、県下唯一のラジオ兼営局。ドキュメンタリーの制作力も高い。前会長の赤尾嘉文(※故人)が『日本テレビ』の社外取締役に就く等、日テレ系列の名門局なのだが、何と告発文を認めたのは当時現役だった取締役。自局を多岐に亘って指弾するその告発文は、こう始まる。「独裁政権のこの会社に公的使命を語る資格はもはやないのではないか! 物申さぬイエスマンばかりを集め、トップの好き嫌いが物事の決定を大きく左右する会社に国民の財産ともいえる電波を預かり県民文化の向上に資する放送を謳うことが相応しいだろうか?…そして、赤尾会長が亡くなってから1年、岩田イエスマンにならないことから勝手に赤尾派とされた取締役が『世の中の変化に即して後進のために』と退任を言い渡された。目まぐるしい世の中の変化に即して80過ぎた岩田会長の退任ではなく、まだ60すぎの取締役の退任だ」。書き手は、同局取締役ラジオ局長(※取材当時)の赤瀬洋司。文中の“60すぎの取締役”とは、去る6月26日の株主総会を以て退任した赤瀬自身を含む3人の取締役を指しているとのことだ。告発文は今年5月下旬、文書でも名指しされる代表取締役会長の岩田幸雄に提出され、その後、役員会召集を求める文書に添えて、同局の筆頭株主で取締役も務める日テレ会長の大久保好男、大株主である山口県の県議会議長で取締役の柳居俊学や、同じく周南市長の藤井律子にも送付された。

何故、内部告発という大胆な行動に出たのか。取締役を退任する直前の赤瀬に聞いた。「赤尾前会長はラジオへの思い入れが強く、また同じ早稲田大学出身ということもあり、ラジオが長い私は赤尾派と見られるのかもしれません。事実、私たちの退任を“赤尾派への粛清”と囁いている社員や、外部の声もあるようです。しかし私は、現在の岩田会長のイエスマンにならなかっただけのことです。今回の決断と行動は、あくまでも再び“嘗てのような問題”を引き起こさない組織への脱皮を願ってのものです。しかし、内部改革が望むべくもなくなった今、外部に訴え出たのです」。抑々、山口放送は、ラジオ局として開局したのと同時に入社した赤尾が1987年に社長に就任して以降、長らく経営を牽引してきた。しかし、赤尾の晩年に至ると、テレビ畑出身の岩田らが影響力を拡大、それまで赤尾の下で尊重されていたラジオ部門も、次第に軽視されるようになったという。2018年に相談役に退いた赤尾も、昨年5月に死去。今では、会長の岩田と社長の林延吉による強権的な支配が強まっている。そして、現経営陣が関与し、隠してきたのが、赤瀬が言う“嘗てのような問題”、つまり1999年に局内で確認されていた“CM間引き問題”である。「少なくとも、社内だけにでも公表していれば今の体制ではなかった筈です」と赤瀬は後悔するが、赤瀬の退任と入れ替わるようにして、岩田の元部下でCM不正を知る東京支局長の久保和成が取締役に上がってくることなど考えられなかったという。しかし、こうした赤瀬の思いは冷酷で乱暴な仕打ちを受ける。岩田が議長席に座って進められた今年6月26日の株主総会で、赤瀬には役員慰労金(※推定約1800万円)を支払わないとする緊急動議が、社長の林によって提出された。そして、理由の説明もなく、赤瀬の意見を聞くこともないまま可決されたのだ。ところで、山口放送の経営体制を左右することになったCMの間引き問題について、赤瀬の告発文には「東京支社と本社スポット担当者の間で多くの不正が行なわれていた」と綴られ、それを裏付ける内部資料も添えられていた。1997年に『福岡放送』と『北陸放送』のCM不正が表面化し、1999年3月になり『静岡第一テレビ』でも多数のCM不正があったことが判明。この時、山口放送ではF常務と社員6人による特別班が結成され、社内調査を行なっていた。

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【テレビ業界・終わりの始まり】(下) 多角化を進めるキー局の経営事情

伸び悩む放送事業を如何に補完するか――。“土地持ち”TBSが本社周辺を再開発するのに対し、“持たざる”フジテレビは『サンケイビル』を軸に、最早デベロッパーと化す状況だ。 (取材・文/本誌特集班)



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これまでの通り、結局、地方テレビ局“統廃合”の担い手、受け皿になるのは、東京キー局。それでは、各社の経営状況はどうなっているのか。キー局で売り上げ規模が最も大きいのが、『フジテレビ』を傘下に抱える『フジメディアホールディングス(FMH)』。2019年3月期の売上高は6692億円。営業利益は347億円、経常利益419億円と前期を上回ったが、最終利益は236億円と前期比5.3%のマイナスだった。「事業子会社のサンケイビル、グランビスタホテル&リゾート等が展開する“都市開発・観光事業”等、放送事業以外が好調だったが、視聴率低迷で、本業の放送収入が急落している」と、公認会計士の川口宏之氏は分析する。また、10%が目安となるROE(※自己資本利益率)について、テレビ局は総じて低いが、「僅か3.3%しかない」とも指摘、FMHの収益性が低いことがわかる。続いて、売上高2位の『日本テレビホールディングス』。2019年3月期の売上高は4249億円と、FMHより2000億円以上の開きがあるものの、営業利益は前期比マイナスながら497億円と、FMHのそれを大きく上回る。勿論、ROEもFMHより高く、2019年3月期は5.4%。何と言っても、日テレHDの強みは本業の放送事業が堅調なことだ。「視聴率三冠王で放送収入が好調。収益力も高く、財務基盤も健全。但し、実質的にメディア事業のみの一本足打法の為、リスク分散が出来ないでいる。2014年にフィットネスクラブのティップネスをサントリーから買収、完全子会社したものの、グループ全体の2%しか利益を上げていない。第二の経営の柱を育てるのに苦心していると言える」(同)。

続いては『東京放送ホールディングス(TBSHD)』。2019年3月期の売上高は前期比1.2%プラスの3663億円で着地した。「赤坂の本社屋を中心とした複合施設の赤坂サカス等の不動産事業が一番の利益の稼ぎ頭」(同)で、営業利益185億円(※前期比1.2%減)の内、実に77億円余を不動産事業が占める。また、不動産のみならず、保有財産が潤沢なのもTBSHDの特徴。「リクルートHDや東京エレクトロン等の業績好調な会社の株式(※投資有価証券)を抱えている為、配当だけで100億円稼いでいる」(同)。しかし、その一方で本業である放送事業は低位で推移している。次は『テレビ朝日ホールディングス』。2019年3月期の売上高は3017億円と前期比でほぼ横這いだったが、営業利益は前期比13.3%減の161億円、経常利益も同13.4%減の190億円、そして純利益は同18.7%減の128億円に沈んだ。前期比で見ると、他のキー局に比べて悪い着地だったが、川口氏は「財務体質は健全であるものの、主力のテレビ放送事業の業績が低迷したことで、2019年3月期は減収減益に陥った。特にテレビ放送事業の利益は前年の70%程度までの落ち込みぶりで、4~6月の2020年3月期第1四半期も継続して減収減益が続いている」と指摘した上で、「ABEMA等のインターネット事業で挽回を図りたいところだが、未だ業績の下支えになるほど育っていない」と分析する。他の上場テレビ局を見ると、『テレビ東京ホールディングス』は「売上高の9割以上を放送事業が占める為、テレビ業界全体の縮小の影響をダイレクトに受けている。2019年3月期の最終利益は、前期の60億円から約半分にまで減ってしまった。4~6月の第1四半期も大幅な減益減収となった」(同)。また、名古屋の『中部日本放送』は、放送事業が緩やかに減少する中、不動産事業が利益の4割を占める構造。「会社の規模の割にはキャッシュが比較的潤沢にあり、自己資本比率も76%を超えている為、財務的な安全性は高い」(同)。それは、同じTBS系の『RKB毎日ホールディングス』も類似した経営・財務状況にある。異色なのは、大阪の『朝日放送グループホールディングス』。5月にコンテンツ制作会社の『DLE』を子会社化する等、投資に積極的だが、「他社と比べると財務的な安全性はやや劣る為、早めに投資の成果を出したいところ」(同)。

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【テレビ業界・終わりの始まり】(中) 総務省とキー局が密かに企てる“地方局統廃合シナリオ”

在京キー局を軸にした地方局の“護送船団方式”の維持は早晩、困難になる。そんな中、7月に就任した総務省の鈴木茂樹事務次官は筋金入りの再編論者。どんなテレビ局再編が想定されるのか? (取材・文/放送ジャーナリスト 小田桐誠・本誌特集班)



20201005 04
前回見てきた通り、内部留保を積み上げる地方の民放局だが、あるテレビ局の役員は「現状の財務状況は未だ健全」とした上で、次のように語る。「何とか2桁台の自社制作率を維持しながら、単年度利益を上げて内部留保を増やしていくのが理想だとの認識は持っている。しかし、来年に控える東京五輪以降、景気の落ち込みは必至。そうなれば、近い将来、地方局の再編・統合が一気に進む可能性がある」。しかし、北海道、福岡、広島、仙台の基幹局までなら兎も角、その他の地方局が2桁台の自社制作率を達成するのは土台無理な話。その一方で、総務省等は既に地方局再編に向けて動き始めている。総務省は昨年11月、地方テレビ局の経営課題を話し合う有識者会議『放送を巡る諸問題に関する検討会』に、『放送事業の基盤強化に関する検討分科会』を立ち上げた。千葉大学の多賀谷一照名誉教授を座長に据え、オブザーバーとして『日本民間放送連盟(民放連)』・『テレビ北海道』・『福島中央テレビ』・『名古屋テレビ』・『岡山放送』・『RKB毎日放送』が参加。月1回ペースで会合を開き、来年6~7月頃に地方局の経営基盤強化策を盛り込んだ中間取り纏めを発表予定だ。これに先立ち、自民党の『情報通信戦略調査会放送法の改正に関する小委員会』(※委員長は佐藤勉議員)は昨年12月、地方テレビ局の積極的な再編を促す為、県域免許等といった現行制度について、法改正を含めて見直しを求める提言を総務省に提出した。提言では、テレビ離れが進み、キー局から地方局に配分される広告料(※電波料)が減少し、地方局のビジネスモデルが崩壊する懸念があると指摘。その上で、放送対象地域の拡大を念頭に、県域免許の見直しに加え、地方局とケーブルテレビ局との経営統合に対する支援制度の創設等を求めた。

佐藤委員長は法改正時期について、「東京五輪が終わった後、どうなるか考えないといけない」と、これまた2020年以降を示唆している。総務省は元々、テレビのデジタル化等を背景に、2011年にマスメディア集中排除原則を緩和。キー局が地方局の株式保有比率を高め、経営支援をし易くした。しかし、キー局自体でも総世帯視聴率(※HUT)が低下しており、インターネットや4K対応等に経営資源を投入しなければならない中、“お荷物”の地方局の経営支援を拡大することには消極的。キー局に全ての系列地方局を抱えさせる“護送船団方式”は成り立たなくなっている。そこで出てきたのが、地方局同士やケーブルテレビ局との経営統合による再編に他ならない。それでは、具体的にはどのような再編になるのだろうか。抑々、株主構成が複雑な地方局が多く、再編は一筋縄でいかない為、総務省や自民党、在京キー局では様々なシミュレーションを進めている。その中の2つの再編案を紹介しよう。ひとつは、認定放送持株会社を活用した案である。例えばTBS系列の場合、『東京放送ホールディングス』の他に、大阪の『毎日放送』、名古屋の『中部日本放送』、福岡の『RKB毎日放送』がホールディングス制を採っている。認定放送持株会社は、地方局を最大5局まで傘下に置くことが出来る。基幹局はほぼ独り立ち出来ているので、問題はその他の系列局だが、東京が東北、名古屋が甲信越・北陸、大阪が中国・四国、福岡が九州・沖縄を其々カバーすれば、ほぼ現行の系列を維持できるというわけだ。もうひとつは、経営指標や自社制作率を参考にして再編局を選別していく考えだ。先ず、認定放送持株会社を使ってキー局等の子会社にしてしまう。次に、ブロック毎に系列局の核となる局を作り、経営統合を図る。謂わば水平統合だ。そして、道府県毎に1~2の局に垂直統合する。最後に、地方局を徐々に縮小していき、災害や事件・事故の報道機能を持つ“支局化”する――。何れも、まさに地方局の統廃合モデルと言えるだろう。しかし、繰り返すように地方局の株主構成は複雑で、地元紙や全国紙、キー局が役員を送り込み、それら幹部の天下り先として“植民地”になっているケースも少なくない。例えば、TBS系列の『東北放送』の筆頭株主は『河北新報社』で、10%を保有。しかも、河北の社主である一力敦彦氏が社長を務める。『南海放送』は『愛媛新聞』、『高知放送』は『高知新聞』と、地元紙との結び付きは極めて強い。

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【WEEKEND PLUS】(76) テレ朝労組脱退の次はTBS労組か…黄昏の『民放労連』

20201002 12
『テレビ朝日労働組合』が脱退し、揺れる『民放労連』の先行きに暗雲が垂れ込めている。7月の総会で脱退を了承されたテレ朝労組は、「ほとぼりが冷めたらメディア労連に加わろうと水面下で動いた」(某社労組関係者)という。左派色の強い『全国労働組合総連合(全労連)』傘下の民放労連は、運動方針が過激な上、組合費が毎月2000円と高額で、組合員からの不満が多かった。「特に、待遇が恵まれているキー局の社員の多くが、民放労連からは距離を置いていた」(同)。実際、この7月まで委員長を務めていたのは、神奈川県のUHF局に過ぎない『テレビ神奈川』出身者だった。「本音では、キー局労組の殆どが組合を脱退するか、メディア労連に参加したい」(同)とみられる。『メディア・広告・映画演劇労働組合連合会(メディア労連)』は、3年前に『日本放送労働組合(日放労)』と『全国映画演劇労働組合』が合併してできた新しい組織で、『連合』傘下。但し、「設立時に民放労連と“互いに引き抜き等を行なわない”という暗黙の合意をしている」(同)為、単純な“移籍”は揉め事の種になってしまう。テレ朝労組が脱退した7月以降、民放労連の執行部は『東京放送労働組合(TBS労組)』出身者が主導権を握った。「対決姿勢をとってきた組織を労使協調路線にシフトすべく改革中」(TBS関係者)というが、前途は多難なようだ。特に、キー局と比較して待遇面で劣る地方局の組合員が抵抗勢力になっている。「改革実現よりも、将来、匙を投げたTBS労組が脱退するほうが現実味がある」(同)。


キャプチャ  2020年10月号掲載

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