【「佳く生きる」為の処方箋】(08) 手術日が新しい誕生日

この連載が始まって2ヵ月が過ぎました。何故、連載のタイトルを『「佳く生きる」為の処方箋』にしたのか。今回は、この言葉に込めた思いをお話ししたいと思います。“よい”を表す漢字には、“良い”“善い”“好い”等もありますが、敢えて“佳”という漢字を用いました。これには“よい・美しい・目出度い”といった意味があり、良い悪い・善悪・好き嫌いのような対語はありません。自分なりの解釈ですが、“佳”には他との比較ではなく、もうそれ自体で完結しているような唯一無二の良さ・輝き・クオリティーの高さ、そして品の良さがあるように感じます。余談ですが、娘の名前にも同じ漢字を充てました。まぁ、明らかに親バカの命名だとは思いますが…。抑々、私が“佳く生きる”ということを考えるようになったのは、高齢の患者さんへの手術がきっかけでした。80歳以上の超高齢者の手術は今でこそ珍しくないですが、私が心臓外科医になりたての頃は、70代の手術さえ数えるほどしかありませんでした。当時は自間自答を繰り返したものです。患者さんが超高齢だと、たとえ手術で心臓が良くなっても早晩、他の病気で亡くなるかもしれません。命は助かっても社会復帰ができず、寝たきりになることもあります。また、心臓手術の医療費は高額で、合併症を起こす可能性が高い超高齢者では、更に費用負担が増えることにもなりかねない。結局、手術で痛い思いをさせて、社会的な負担だけ増やすことになるのではないか。そんな危険を冒してまで手術をする意味があるのか…と。今から思えば不遜な問いかけですが、その頃は真剣に悩みました。

疑問を抱えたままで手術をするのは患者さんに失礼ですから、何とか自分なりの解答を見つけたかった。結論から言うと、答えを出してくれたのは当の患者さんでした。順天堂医院の前に勤務していた新東京病院には、手術を受けた患者さんたちで作る『新心会』という団体があり、懇親会やゴルフコンペ等を定期的に催しています。私はその長年に亘るお付き合いを通して、患者さんたちの術後の姿を具に観察してきました。容態が急変して待った無しの緊急手術も多かった筈なのに、手術後は皆さん、見違えるように元気になり、潑剌と日常生活を送っておられる。中には80歳で手術を受け、その後、突如として旅に目覚め、86歳の現在までに16回海外旅行をした方もいます。また、高齢の方に限りませんが、「早くお迎えが来てほしい」等と言う人は1人もいません。生きることへの意欲がとても強いのです。手術を受けた日を“新しい誕生日”と表現した人もいました。死の淵から生還した、生まれ変わったという感覚なのでしょう。「心臓は大丈夫!」という自信が、そのまま生きる自信に繋がっているようです。何歳であろうと、手術で心臓を治療することで、残された人生を前向きに、自分らしく生きられる。まさに、その姿が唯一無二の“佳く生きる”ことだと思うようになったのです。そして、そのような患者さんの生きる姿は、家族の心にも強く刻まれます。寿命が来て亡くなられた後も、おじいちゃん・おばあちゃんの元気だった晩年の思い出がずっと家族にも語り継がれていくのです。これは、単に“長生き”という言葉では言い尽くせない、“佳く永く生きる”ということではないでしょうか。心臓外科医として、患者さんの“佳く生きる”を応援したい。そんな思いで始めたのが、この連載です。これからも宜しくお願いします。


天野篤(あまの・あつし) 心臓外科医・『順天堂医院』院長。1955年、埼玉県生まれ。日本大学医学部卒。『亀田総合病院』『新東京病院』等を経て、2002年に順天堂大学医学部心臓血管外科教授に就任。2012年2月18日に天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀。2016年4月より現職。著書に『一途一心、命をつなぐ』(飛鳥新社)・『この道を生きる、心臓外科ひとすじ』(NHK出版新書)等。


キャプチャ  2016年6月30日号掲載
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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【男の子育て日記】(08) ○月×日

家事と育児をほぼ1日中担当していますが、昔から子育てに理解があった訳ではないです。かといって、亭主関白の才能は更に無く。サラリーマンや公務員のように、朝早く起きて通勤をして…って生活パターンではないし、家で働いているのだから、家事と並行して子供の世話を見るのは至極当たり前だと思っていて、無理し過ぎない範囲でやっているだけです。僕がそういう風に考え、実際やるようになっている1冊の漫画の影響があります。田房永子さんの『ママだって、人間』(河出書房新社)です。著者の田房さんは1978年生まれ。この“ママにん”では、32歳で妊娠してから、夫婦間のセックス・母親学級のカースト・出産・世間が求める母親像と現実のギャップ・赤子の性器の洗い方・母乳が出ない問題等、やり過ぎだと思うほどの下ネタにゲラゲラ笑いつつ、目から鱗がボロボロ落ちまくりました。特に、夫を始めとした男社会の無理解には、胸が詰まった。“出産後、とにかく夫がイヤになる”という章では、出産直後から夫への愛情が急速に下がる“産後クライシス”を俎上に載せる。「夫を嫌いになる理由。家事育児をしない。『うんちしてるよー』と報告だけしてくる。ねぎらってくれない。夜泣きの時『静かにさせろ』と言った」。最低ですよね。圧巻は、主人公のエイコが飲み会で、子供のいる男たちとの会話。「夜も俺がノコノコ帰ると子供が起きちゃうから、寒空の下帰れなかったりさ。子供に会いたいのに帰れないんだよ。男親ってせつないよなァ」。さっさと帰って、奥さんと代わってあげなよ。

「女の人は母乳が出る。母性本能がある。それが答え!」「女が育児するべきなのは、生物学的に本能のルールに基づいている」。決め付けの嵐。「原始時代から男は狩り、女は家庭を守ってきた。だからそれが正しい」。じゃあ、お前は毛皮着て槍持ってジャングルを走ってこい! 「あぁ、こういう男たちになっちゃいけないな」と心底思った。田房さんは、平塚らいてうの系譜に連なる現代の女性革命家だ。かといって、「怖い」とか「お堅い」とか思うのはお門違い。田房さんは、在り来たりのフェミニストや、女性の社会評論家や政治家の視点で描いたりしない。「同じ女性の不満を汲み取ります」とか言って、自分が社会的地位を得る為に、女性の不満を利用している人が多いけど、田房さんはひとりの漫画家として、笑いを武器に、赤裸々に等身大の自分を切り刻んで、読者に問題を投げかける。その姿は恰好いいし、偉い。この漫画は、今でも勿論入手できます。増刷以降の帯には、内田春菊さんや小島慶子さんといった女性の大物の中、何故か男で僕ひとりが混じって推薦文を寄せています。田房さんとはその後、対談させて頂きました。僕と田房さんの名前で検索してもらえれば、金言連発の長文テキストが読めます。そちらも是非。最後にもう一声。厚生労働省は“ママにん”を1000万部買い取って、全国の学校で配ったほうがいいよ! 妻は10冊買って友達にあげました。絶対必読。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年6月30日号掲載

テーマ : パパ育児日記。
ジャンル : 育児

【東京情報】 施しへの抵抗

【東京発】生活保護を受給しながら、過度な飲酒をしたり、パチンコに通ったりする人々が批判されている。発覚した場合は、給付を打ち切るべきなのだろうか? だが、カネの使い道を詳しく調べるのは難しい。何かモヤモヤしたものが残るが、その正体は何なのか? フランス人記者が鼻を鳴らす。「千葉県の四街道市が生活保護受給者に対し、過度な飲酒やパチンコを慎むよう促す文書を、約2年間、担当課の窓口に掲示していたそうだ。指導に従わなければ生活保護を停止する場合があると。しかし、市にはそんな規定は無く、文書は撤去された。報道によると、『受給者がパチンコをしている』と市民から苦情が寄せられ、掲示を始めたらしい」。アメリカ人記者が長い金髪を掻き上げる。「要するに妬みね。『働いていない人間が遊んでいるのはけしからん』と。生活保護法には飲酒やギャンブルを禁じる規定は無く、保護費は本人の裁量で使えることになっているのに、世間がそれを許さない」。兵庫県小野市は2013年4月、生活保護費や児童扶養手当をギャンブルで浪費することを禁止し、市民に情報提供を求める条例を施行した。また、九州・沖縄各県の一部市町村では、生活保護受給者がギャンブルで浪費しないように、自治体職員らがパチンコ店やボートレース場等の見回りを行っている。これらは明らかにやり過ぎだ。今年は熊が人を襲う事故が多発しているが、先日のラジオ番組で、人を襲った熊がいる山によく入るおばあさんのコメントが紹介されていた。曰く、「家にいても一銭にもならない。山に入ってタケノコを採って売ればお金になる」と。年金暮らしでは生活にハリが無いのだろう。だから、危険な山でタケノコを採る。女房に捨てられ、一時期パチンコにハマったフランス人記者が言う。「生活保護の受給者も生活にハリが無い。だからパチンコに通う。あれは座禅のようなものだ。無我の境地に達し、日々の悩みや不安を忘れてしまう」。アメリカ人記者が首を振る。「単なる逃げよ。ギャンブルと酒は人生を狂わせるわ。尤も、人生の空虚さを埋める友だちでもあるけどね」。

日本人は、昔から人の手を煩わせたり、情けを掛けられることを忌み嫌った。“武士は食わねど高楊枝”という言葉があるが、武士は「人から施しを受けるくらいなら死んだほうがマシ」と考える。ベルギー人記者が頷く。「聖書の一節に、『金持ちが天国に行くのは、ラクダが針の穴を通ることより難しい』とあります。“持てる者”は、天国に行く為に施しをする。つまり、宗教的実践です。一方、日本人は施しを受けるのもするのも苦手のようです。『施しを受けるのはみっともないことであり、施しをするのは相手に失礼である』と」。劇作家の宇野信夫が書き、6代目三遊亭圓生が演じた『小判一両』という新作落語がある。とある長屋に浪人侍と子供が住んでいた。子供が外で遊んでいると、凧屋が通りかかり、凧を落としていった。その凧を子供が拾ったが、気付いた凧屋は「凧を返せ」と詰め寄った。子供も「拾ったものだから俺のだ」と言い、押し問答になってしまう。そこへ、笊屋の安七が通りかかる。凧屋の大人気ない態度を見て、「凧の1つくらいやればいいじゃないか」と提案する。しかし凧屋も、「それじゃあ商売が成り立たない」と譲らない。日本オタクのベルギー人記者が身を乗り出す。「それ、僕が大好きな噺です。笊屋は、いつも持ち歩いていた父親の形見である1両小判を凧屋に突き付け、『子供に凧を渡してやれ』と啖呵を切るんですよね。結局、凧屋は『1両では釣り銭が無い』と言い、喧嘩の末に凧を置いて帰ってしまう。そこに、子供の父親である浪人侍がやってくる。事の次第を聞いた浪人侍は恐縮して、笊屋に頭を下げる。笊屋は、『早く凧揚げがしたい』とせがむ子供に先程の1両小判を握らせたが、浪人侍は辞退する。その時、鳥居の脇から身なりの良い侍が出てきたので、浪人侍は小判を受け取ったまま、顔を伏せるようにして引き下がる」。

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テーマ : 生活保護
ジャンル : 政治・経済

何故今になって創価学会の事件や事実を歪曲させる評論が多いのか――学会が“世界3大宗教”に!? 評論する人・しない人への疑問

20160630 05
有識者や知識人は、創価学会をどのように見ているのだろうか――。蛇蝎の如く嫌う人、冷めた目で見ている人、関わりたくなく無視している人。また、少数派ながら池田大作名誉会長の言動に共鳴し、創価学会を絶賛した著書を持つ知識人もいる。少し古い話になるが、二十数年前、筆者は歯に衣着せぬ著名な女性評論家を訪ね、「創価学会をどう思いますか?」と訊ねたことがあった。回答は、「言いたいことは沢山あるけど、あそこは何かと煩いから、私のコメントを活字にするなら取材はお断り」。同じく、ベストセラーの著書を持つ辛口の女性評論家に、同じ質問をしたところ、似たような理由で「若し私のコメントを使うなら匿名にして」と、腰が引けたつれない返事を貰ったことがある。“評論家”の肩書きを持って生きる著名人にしては、少しばかり情けない回答だった。勿論十人十色、創価学会をどのように評価し、どんな説を唱えようとも自由である。例えば、北海道大学大学院法学研究科の吉田徹教授は、「…池田SGI会長が提言(※今年1月末に発表した『SGIの日記念提言=万人の尊厳 平和への大道』)で言及している“誰も置き去りにしない”との指針を掲げた国連の“持続可能な開発のための2030アジェンダ”の目標、また、深刻な人道危機に対して各国の協調を促す“世界人道サミット”は、グローバルな問題意識を深めるとともに、実効性のある政策を打ち出すことに貢献するものと思われます。…」(『聖教新聞』3月18日付)。また、北陸学院大学の橋本和幸教授も、先の“SGI提言”の読後感として、同紙3月21日付にこう寄稿している。「池田SGI(創価学会インタナショナル)会長が提言を通じて、環境や人道をはじめとする現代社会の根底的テーマを率直かつ的確に論じ、解決に向けた実践的方向を明示されたことに感銘しました。…提言の随所に、人間の普遍的な崇高さを感じた次第です」。人間の普遍的な崇高さを感じる――。池田名誉会長の提唱が、現職の大学教授たちからこのような評価を得たら、会員たちは躍りあがらんばかりに歓喜し、他方、非学会員も少しばかり注目するに違いない。こと宗教は、心を鷲掴みにするような精神の支柱である。選択した宗教の違いで価値観や思考が大きく変化し、歩む人生や家族にまで甚大な影響を与えてしまう。著名人が太鼓判を押した宗教だから間違いない。或いは、有名な芸能人が会員だから、また、特定の宗教を絶賛する著書に感化されて入信を決意するケースも少なくない。結果、平穏な人生を送るなら救われる。だが、逆に取り返しのつかない金銭的な被害、場合によっては家庭までが破綻する事例が、これまでも多く発生してきた。ついては、とりわけ、社会に一定の影響力を持つ著名人が宗教団体を評価する時は、慎重にして冷静な分析力が求められる。間違っても誤った分析を重ねてヨイショしたり、絶賛する論評は戴けない。

作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、このところメディアの露出度が高く、多くの著書も出版している。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)はその代表的な著書だが、創価学会に関する著書もまた多い。『地球時代の哲学 池田・トインビー対談を読み解く』(潮出版社)・『創価学会と平和主義』(朝日新聞出版)・『“池田大作 大学講演”を読み解く 世界宗教の条件』(潮出版社)・『創価学会を語る』(第三文明社)である。非学会員である1人の著名人が創価学会について、これほど多くの著書を出版している等、前例が無い。その内の1冊で、現在、ベストセラーと言われる『創価学会を語る』を手にしてみた。同著は元々、創価学会系列の出版社の月刊誌『第三文明』に、『創価学会とは何か』のタイトルで連載(昨年2月号~今年1月号)した対談を加筆・修正したものだ。対談の相手は、創価大学卒で元日蓮正宗僧侶の経歴を持ち、東日本国際大学教授でもある松岡幹夫氏である。先ず“まえがき”から、度肝を抜かれたのが次の一節である。「日本の小さな枠を考えてはいけません。創価学会は、これから日本発の初めての世界宗教になっていきます。将来、世界の3大宗教はキリスト教・イスラム教・創価学会になるでしょう」「池田先生が悟りを開いているのは、信仰を異にする私でさえわかります。客観的に見て、そうとしか言いようがない。これまで成し遂げてきたこと、これから成し遂げつつあること、立ち振る舞いに至るまで、すべてが悟りの客観的な証明です」「釈尊では遠すぎる。日蓮から始まる仏教にしなければならない。池田先生を中心にする教学をつくるべきです」。対談相手の松岡氏に、佐藤氏がこう語っていたと紹介し、「佐藤氏は21世紀に現れた人間の諸天善神であろう」と書かれている。創価学会の熱心な会員たちが語るなら、「そうですか」と反論することも無く、簡単に受け流せよう。だが、社会に広く認知されている著名人が、「将来、創価学会は世界の3大宗教になる」との予言はどうだろうか。宗教学を修めた大学教授や、著名な宗教学者の口や著書から、このような突拍子もない予言を聞いたことや読んだこともない。抑々“将来”とは、いつ頃のことなのか。地球が生存しているかどうかは不明だが、まさか1000年先か2000年先を指すのだろうか。 同会が創始されて未だ100年足らずである。その間に、既に宗教団体の支柱と言われる“本尊”をクルクルと変更し、組織を揺るがすような内紛も何度か起こしてきた。こうした宗教団体の“将来”を占うなら、過去の歴史を吟味し、現状の活動状況の精細な分析が要求されよう。実際、創価学会が何故、将来の“世界3大宗教”に発展するのか、『創価学会を語る』には、読者に「なるほど」と納得させるだけの論証が無い。会員はさておき、これなら非会員による宗教の選択を迷わせてしまうことになる。

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テーマ : 創価学会・公明党
ジャンル : 政治・経済

今更ながら『BABYMETAL』ブームに乗っかるダサいヤツらを大研究!――ロリコンの癖に音楽通ぶって恥ずかしくないの?

要は、「“さくら学院”ってアイドル知ってる?」「何それ?(苦笑)」「因みに“ベビメタ”は?」「知ってる! 今、キテるよね!」みたいなミーハーを晒す特集DEATH! (フリーライター ダテクニヒコ)

学校生活をテーマとし、女子小中学生で結成された『さくら学院』の担当をしていたメタル好きのプロデューサーが、テクノとアイドルを組み合わせた所属事務所の先輩『Perfume』の成功を見て、「メタルとアイドルを組み合わせたユニットを作りたい」との願いを叶える形で、2010年に結成された『BABYMETAL』(以下、ベビメタ)。重低音をバックに歌って踊る美少女のギャップが良かったのか、あれよあれよと国内外で話題となり、今年4月1日に世界同時発売された2ndアルバム『METAL RESISTANCE』がビルボードのアルバムチャート39位という、日本人アーティストとしては1963年の坂本九さん以来となるトップ40入りを果たした…途端。アイドルに一切興味の無い筈のメディアが挙って賞賛し始めたのである!

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繰り返すが、彼女たちは飽く迄もアイドルである。メタルサウンドをバックに歌って踊るアイドルである。しかしながら、バックバンドの演奏クオリティーの高さ等から、アイドルオタクだけでなくメタルキッズの間でも人気が高まり、デビューから2年余りで単独公演を行うようになり、数々のロックフェスにも参加。デビューから僅か3年半で日本武道館での単独公演に遭ぎ着けた。しかし、この驚異的な現象に対して、日本の音楽誌や一般メディアは殆ど反応することはなかったのである。恐らくその理由は、「所詮、アイドルでしょ?」ということに尽きるであろう。日本のメディアが取り上げずとも、彼女たちの勢いは止まらず。2014年7月上旬から8月上旬にかけて、レディー・ガガのオープニングアクトとして同行するという快挙を果たしたこともあってか、海外のメディアが挙って取り上げるようになった。アメリカの週刊誌『タイム』を始め、あらゆるインターネットのメディアやニュースサイトで記事が組まれた。イギリスのメタル雑誌『メタルハンマー』が、同誌のオンラインサイトで行った一般投票による人気投票では1位の座に輝き、同国の日刊紙『ガーディアン』の記事では、「悪魔のように手段を選ばぬ天才の策略家が生み出した新しい音楽」と手放しの賞賛を受けたほど。それでも、日本のメディアに取り上げられることは殆ど無かった。その状況が一変したのが、前述したビルボードチャートにランクインしたことである。一般のニュースサイトでも記事になり、ワイドショー等でも扱われるようになると、「あれっ? ベビメタって流行っているじゃん! 急いでウチでもやろう!」となったのか、一気に特集が組まれた。結果、書店にはベビメタ表紙の本が乱立することとなる。その様…。後追い感が半端ない! アイドルに興味無いどころか、半ばバカにしていたような雑誌まで特集しているので、以下、その内容を見ていこう。

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テーマ : 女性アーティスト
ジャンル : 音楽

避けられない日常の生活問題対処ガイド! 修羅場のご近所・家庭内トラブル解決大全

家庭を持ち、周りの人々と関わりを持てば、必ず発生するのが家庭内・ご近所トラブルである。今回、実際に起こった生活問題を通し、トラブルに向き合った体験者の例を挙げて、その解決法を探る。まさに修羅場の実例から、貴方の身近な日常問題を克服するヒントを掴め! (取材・文/フリーライター 清田芽実)

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①子供のいじめ
41歳の小学校教師であるAさん。家族は妻と息子(11)で、Aさんの勤務先と息子の通う小学校は同じ市内にある。親が教師だけあってか、息子は生活態度の良い模範的な児童だったが、逆に同級生からは「優等生ぶってる」と反感を持たれていた。テストの成績が良かったことで「親にどんな問題ができるか教えてもらったんだろ?」とカンニング疑惑をかけられた息子が、「くだらないことを言うな。バカじゃないの?」と反発したところ、苛めが始まる。仲間外れにされるのは勿論のこと、給食を零されたり、上履きやノートを隠されたりしているうちに、息子は不登校に。運動会が近かった為、強引に登校させたものの、組体操の練習中に態と怪我をさせられたことで、Aさんはブチギレた。教育委員会に勤務している友人にサポートしてもらい、“辞職”も覚悟で校長の詭弁を暴き、学校の隠蔽体質を追及。観念したのか、謝罪と理解は得られたが、「このまま地元の中学校に進学させるとシコリが残るのでは…」と心配し、転校&転居した。一流企業の管理職であるBさん(59)が溺愛する“40の恥かきっ子”である娘(18)は、高校入学と同時に地元のご当地アイドルとして活動を始めるが、これが同じ学校の生徒の妬みを買い、SNSに「性格悪い」「男好き」といった中傷や、自宅やメールアドレス等の個人情報、更に偶然撮れた変顔やパンチラ等、悪意のある画像を晒された。このせいでファンからストーカー行為が始まってしまった娘は、「家を出るのが怖い」と不登校に。事情を聞いて娘の身を案じたBさんは、直ぐに退学の手続きを行って通信制高校に編入させるも、「今後のことも考えて…」とインターネットの専門家と探偵に調査と対策を依頼。嫌がらせを行った人間の身元を調べ上げて、見せしめの為に慰謝料請求の内容証明を送付。直ぐに本人を含む関係者から示談の申し出があり、謝罪と関連画像の削除を条件に和解に応じた。当初は“有名税”だとスルーしていた所属事務所も保護する姿勢を見せてくれるようになったことで、娘は今でもアイドルとして活躍中だという。

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②子供の非行
44歳の会社員であるCさんには16歳と10歳の娘がいるが、長女が中学1年生の時、付き合い始めた当時17歳の彼氏の影響で、ヤンキー化し始める。校則違反で学校に呼び出されるのは日常茶飯事(妻は申し訳なさから学校ボランティアに参加)で、深夜徘徊や喫煙・飲酒で補導までされた。「注意しても反発するだけだから」。妻(40)と話し合い、“監視”から“見守り”にシフトチェンジ。娘の不祥事に対してお小言を言わず、只管関係各位に周り、頭を下げ続けていた。「何でキレないの?」と聞かれたので、「お前を信じているから」と一言。その後は生活態度が改まり、それが原因で彼氏と破局。昔のことが嘘のような優等生になって、現在は地元有数の進学校に通っている。親が子供を信頼し、成功した貴重な例だ。

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テーマ : 暮らし・生活
ジャンル : ライフ

【海外の最新教育事情】(07) あの話題の教育法はその後どうなった?

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■タダが売りだった『MOOC』に有料化の波が迫る
アメリカの名門大学の授業をインターネットでタダで見られる『MOOC』が本格スタートして4年。「教育の機会均等に繋がる」と期待された夢の教育システムだが、有料化が大きな流れになりつつある。2012年にスタートしたMOOCのうち、BIG3と呼ばれるのが、最大手の『コーセラ』、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が創設した『エドエックス』、ロボット開発者でもある『Google』副総裁が始めた『ユーダシティー』だ。3社の合計受講者数は昨年、2400万人を突破した。最も特徴的なのがユーダシティーだろう。アメリカの教育メディアによれば、大学との提携を止め、最近はハイテク企業と協力して作った有料の『ナノ学位』に力を入れている。特定分野や技術に特化した学位で、IT企業の就職で有利になるという。コーセラは大学との提携を続けているが、やはり就職に有利な有料の修了証が手に入る授業を増やし、エドエックスは企業等に自社の講義システムを有料提供している。MOOC最大の課題が、10%以下に低迷する修了率だったが、企業に役立つ学問に狙いを定めたユーダシティーは60%以上に伸びた。教育の機会均等という理想は変わりないが、経営や就職という現実も避けられない。

■自宅と学校を逆転…“反転授業”を小学生に
授業の動画を自宅で視聴するのが宿題で、学校ではディスカッションやプレゼンテーション等の高度な内容の演習を行う“反転授業”。アメリカでは中学・高校の授業で導入され、学力の低い生徒の底上げに効果を挙げてきた。「基本的な部分は家で予習し、教室ではより高度な内容に取り組む」「教師から教わるだけでなく、学校で他の生徒に自ら進んで教えることで、自分の理解を深める」――。いいこと尽くめのように思えるが、各家庭のインターネット環境の格差や保護者の負祖増がネックとされてきた。そんな中、世界的にも注目される試みが2014年に日本で始まった。佐賀県武雄市が、市内の全小学生にタブレット端末を貸与。3年生以上の算数と4年生以上の理科で、家で動画を見て予習し、学校で話し合い等をする反転授業を始めた。昨年、2~4年生の国語も対象になった。反転授業を始めて1年後のアンケートでは、算数の授業が「よくわかる」「大体わかった」と答えた児童の割合は90%を超えた。ただ、初年度のデータで反転授業と成績向上の正の相関関係は見られなかった。小学生に反転授業は有効なのか。“実験”の結論が出るまで、もう少し時間がかかりそうだ。

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テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

なぜ客が寄り付かない、“呪いの商業用地”の真相――動線無しには駅前でも撃沈、履歴開示して家賃の弾力化を

好立地なのに客が寄り付かず、店が次々入れ替わる──。どの街にもそんな不吉な場所はある。縁起を担ぐ日本人の国民性もあって、“土地の崇り”等と噂され、廃墟化する物件も少なくない。だが、特定の物件・土地に人が集まらない背景には、必ず科学的な理由がある。全国にある“呪いの商業用物件”を訪ね、顧客が寄り付かない原因を解明した。そこには、小売業に限らず、全ての産業が知っておくべき“拠点配置の鉄則”がある。 (西雄大・水野孝彦)

その土地は関西南部、関西国際空港近くにある。関西地方の中でも片田舎だったこの地域が俄かに活気付いたのは、1994年の関空のオープンがきっかけだ。開港と共に、沿岸部には遊園地やショッピングモールを併設する『りんくうタウン』が完成し、内陸側には新興住宅街・マンション・アパート等が彼方此方に出現。各地を結ぶ複数ある幹線道路沿いは忽ち、ロードサイド店にとって絶好の出店場所となった。実際、1990年代後半以降、ファミリーレストランやスーパーマーケット等の出店が相次ぎ、今も賑わっている。だが、本誌取材班が訪れた“そのエリア”だけは別だ。車で走ると、先ず目に付くのは“貸店舗”の看板。1990年代に建設された飲食店と思しき建物が、数百mに亘って10軒ほど点在するが、営業しているのは一部だ。元レストランらしき店舗は、駐車場に草が生い茂り、半ば廃墟化。営業時間を示す看板は、何度も上書きした痕跡が見られ、経営主体が目まぐるしく変わった過去が窺える。「前の幹線道路には12時間で約1万台が通過し、一般的な好立地の条件を十分満たしている。なのに、どんな業態も長続きしない」。地元の不動産業者は、こう話す。中でも「最も不気味」(同)なのが、エリアの中心にある池を背後にした店舗。元々は大手ハンバーガーチェーンだったが、約10年前に撤退後、ピザ店・中華料理店と入れ替わり、3年ほど借り手が付かず、昨年から雑貨店が営業を始めた。その雑貨店も、平日の午後とはいえ、人の出入りは全く無い。店の敷地内には、池を向く形で稲荷が祭られており、非常に不自然な風景だ。地元では1つの噂がある。「付近一帯で商売が長続きしないのは、池の呪い」という噂だ。

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16世紀後半、1570年から始まった織田信長による『石山本願寺攻め』の舞台の一部としても知られるこの一帯は、古くから雨が少なく、溜め池が多い。この場所も埋め立て地で、高度成長期までは広大な池が広がっており、現存するのは元々の池の極一部だ。池は、戦前まで“くちべらし池”と呼ばれていたという。「戦国末期くらいから、飢饉で亡くなった死体等を池に捨てていたと聞いている。(飢饉で減った食料を分け合う)口を(殺して)減らすから、くちべらし。昭和の初め、自分が子供の頃は『絶対近付くな』と言われていた。縁起のいい土地ではない」。通り掛かりの老人は、こう話す。果たして、池の周辺で商売が上手くいかないのは、池に捨てられた者の崇りなのか? 勿論、そんな筈はない。本誌取材班が商業立地の専門家と共に分析したところ、この『くちべらし池ロードサイド』には、顧客を寄せ付けぬ強力な原因が5つもあった(左図)。中心にある、10年間で5回も店が替わったスペース(現在は雑貨店)で説明しよう。先ず問題なのは、店前の切れ目の無い中央分離帯だ。西から来る車が雑貨店に立ち寄ろうとしても、店の前で右折できず、約1km先でUターンしてくる必要がある。そこまで行く途中にも、信号や交差点等方向転換が可能な場所はあるが、「交通量も飛ばす車も多い為、ドライバーは心理的にUターンしたがらない」(前出の地元不動産業者)。更に、『日本マクドナルド』で長らく立地戦略を担ってきたコンサルティング会社『ソルブ』(さいたま市)の林原安徳代表は、「この時点で既に、西側から来る2分の1の客を事実上、取り零している」と指摘する。ならば、東からの客は取り込めているかといえば、それも違う。東から来て西へ向かう客はいいが、食事や買い物をした後に東へ戻る客は、やはり分離帯がある結果、店を出てから家と反対方向へ暫く走り、どこかでUターンしないと家に帰れない。これまた煩雑で、こうした専門家の見立てが正しければ、店の前を通る客の4分の3(西側から来る客+東側から来て東側に戻る客)を初めから放棄していると言っていい。100mほど東にある信号も、客を遠ざける一因となっている。店としては、中央分離帯のせいで、最早東からの客に頼るしかないのだが、信号から100m過ぎは車が丁度加速する地点。加えて、道は東から西へなだらかな下り坂で、スピードが出易い。「『ちょっと寄っていくか』という気分にはならない」と林原代表は話す。問題の池も、客商売にはネック。呪い・崇りの源等ではなく、蝿や蚊等の虫が湧き易い環境になっている。更に、駐車場への出入り口の幅が何れも4.2mと狭い。一般的に、車の大きさを問わず、間口が6mを切ると、ドライバーの「中へ入ろう」という意欲は失せるという。「データ的に好立地であっても、これだけマイナス要素が重なれば、余程のブランド力や知名度が無い限り、商売は難しい」。林原氏は、こう断言する。

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テーマ : 経済・社会
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ベテラン業界人が暴露! 酒池肉林の乱交現場であの有名芸能人たちを見た!

屡々語られる有名タレントたちによる夜の性活動。大都会の片隅にあるクラブや秘密の施設等で、酒やドラッグに溺れつつ、お互いの体を貪り合うといった、文字通り“酒池肉林”の乱痴気シーンは本当に行われているのだろうか――。 (取材・文/フリーライター 片岡龍夫)

20160628 05
芸能人たちによる乱交現場の噂は、半ば都市伝説的に描かれ、今までも読者の妄想を掻き立ててきた。だが、現役の業界関係者たちの証言を纏めると、こうした一見、単なる都市伝説と思える光景は実在するのだそうだ。本稿では、複数の業界関係者に話を聞くことで、彼らの知られざる乱交事情について、少しずつ明らかにしていきたい。「結論から言っちゃうと、ありますよね、現実に。結構、テレビなんかに出ている連中が、真っ昼間からお盛んにヤっていますよ(苦笑)」。所謂、芸能人の乱交事情についてそう語り始めたのは、大手広告代理店勤務のK氏(44)。K氏によると、例えば東京都内の某繁華街にある有名クラブ等では、真っ昼間からそうした乱交プレイに興じる人気芸能人たちで溢れ返っているのだという。「私が実際に見たことある顔ぶれで言うと、清純派女優のA・Yや、アクロバティックな演技もできる実力派女優のM・Y、バツイチママのM・Y、同じくバツイチのM・Aなんかは何度か見ましたね。えぇ、そうですよ。普通に他の業界関係者とか役者なんかと、昼間っからセックスしまくっていましたね(苦笑)」。いきなり飛び出したそのあまりに意外な名前の数々に、彼女たちのファンならずとも思わず驚きを禁じ得ないところだが、Kさんによると、これは飽く迄も全体のほんの一部。実際には「(商売上の問題がある為)名前は出せませんが、ジャニーズ系だと人気グループ“K”のメンバーであるKとか、国民的女性アイドルグループ“A”のメンバーだったSなんかもよく来ると聞いています」(前出のK氏)というから、只々驚くばかりだ。

しかし、こうした芸能界における“乱交会”とも言うべき催しは、何も“メッカ”として知られる同店だけで行われている訳ではない。「都内近郊のある家…まぁ、元々はハウスセットだった家らしいんですが、そこをある大物俳優が借り上げましてね。そこも乱交部屋になっているそうですよ」。そう語るのは、ある大手芸能プロダクションで20年以上マネージャーをしてきたというH氏(51)。H氏の話によると、その“乱交ハウス”とも呼ぶべき屋敷では、所有者であるという俳優のNが仕切る形で、Nの俳優仲間を中心に、日夜、多くの人々が出入りしているという。「自分の把握している範囲では、有名俳優のO・Yが筆頭格でしょうか。何かにつけて問題行動を引き起こして、現場の共演者と揉めることも多い彼ですが、そこではもはやエース…というか“神様”ですね。彼はシンパの後輩や役者仲間を連れてきて、プレイに没頭していますよ。女優のI・Mなんかも、全盛期はよく通っていたと聞きますね」。またもやビッグネームの登場である。O・Yと言えば、大ヒットドラマ『O』シリーズを始め、その熱血漢ぶりが印象深いが、それは何も画面の中だけではなく、プライベートにおいても同じようだ。また、一見そうした行為とは無縁に見えるI・Mまでもが嘗ての常連とくれば、まさに開いた口が塞がらない。「まぁ、どっちにしたって楽しいのは本人たちだけ。こっちは、本人たちが『満足したから帰る』と言い出すまで、コインパーキングで何時間も待機ですからね。全く、災難でしかありませんよ」(前出のH氏)。CMで清純そのものな笑顔を見せる美少女アイドルも、ドラマや映画で堅物な役を好演している人気俳優も、所詮は全て彼らの演技によるもの。その仮面の下には、何とも淫らで救いようのない欲望が隠されているようだ。


キャプチャ  2016盛夏超拡大号掲載

テーマ : 芸能ニュース
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【海外の最新教育事情】(06) 多様性か同質性か…学校選びの新基準

20160628 04
学力や家庭環境が異なる多様な仲間に揉まれて逞しく育てるのがいいのか、似た家庭の子が集まる同質な環境で勉学に集中させるべきか――。学校選びはアメリカでも頭の痛い問題だ。勿論、どちらにもいい面はある。異質なものを理解することが教育の目的の1つであり、「多様な環境はそれ自体が学びの場だ」という理想は、古代ギリシャの時代から西洋文明の根底に受け継がれてきた。グローバル化が進み、多くの価値観が共存する現代では尚更、その重要性は増している。子供時代に自分と違う背景を持つ友達と触れ合い、異質なものを尊重する態度が育てば、将来のキャリアにも役立つかもしれない。一方で、家庭環境であれ人種や宗教であれ、自分と似たようなバックグラウンドを持つ人の集団に安心感を抱くのも自然なことだ。教育熱心な家庭にとっては、生徒の学力が一定以上に保たれ易いことも、均質な環境を支持する要因の1つ。その代表格が私立のエリート校だ。全米の高校生の最上位層から選抜される難関の奨学制度である『ナショナルメリット』では、受給者の半数を私立の生徒が占める。私立校の学生数は全体の1割に過ぎないにも拘らず、だ。とはいえ、両者のメリットはデメリットと表裏一体でもある。公立の学校に典型的に見られる“多様な子供が集まる環境での切磋琢磨”は、往々にして、家庭環境に問題がある子や言葉の壁のせいで、授業を理解できない子と机を並べることを意味する。教育を重視する家庭にしてみれば、我が子の学力や行動に及ぼす影響が心配だ。一方、幼いうちから同質の仲間に囲まれて過ごす環境では、立場の異なる人への共感や寛容の気持ちが育たず、偏狭なエリート意識に凝り固まってしまうという不安もある。こうした懸念は本当に当たっているのだろうか。経験からも明らかなように、子供は良くも悪くも友達の影響を受け易い。優秀な友人に刺激されて勉強を頑張る場合もあれば、非行に引きずり込まれるようなマイナスの作用もある。カリフォルニア大学デービス校のスコット・カレル准教授らは、家庭で虐待を受けている子供の数が学年内で増えるに連れて、学年全体の算数と読解の点数が顕著に下がり、問題行動も増えることを示した。特に男の子同士で影響が強く表れる傾向があり、20人学級で問題を抱える男子が1人増えると、他の男子が規律違反を犯す可能性は17%高まるという。学力的に均質な集団で学ぶことがプラスに働くというデータもある。マサチューセッツ工科大学のエスター・ダフロ教授らが、ケニアで習熟度別クラスを導入した小学校とそうでない小学校を比較した大規模研究では、習熟度別クラスにすることであらゆる学力層の成績が向上した。性別という意味の同質性も学力に貢献する可能性が高い。イギリスやオーストラリアで行われた男女別学と共学の全国規模の比較調査では、別学のほうが学力が高い傾向が顕著だった。

生徒の希望に関係なく、別学と共学の高校にランダムに振り分けられるソウルの学校制度に着目して両者を比較した研究でも、男女共に別学のほうがテストの点数が高く、4年制大学への進学率も高かった。「別学は異性の目を意識して気が散ることが無い為、学力が伸び易いと考えられる」と、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のウィリアム・ジェインズ教授は言う。但し、これだけで同質な環境に軍配を上げるのは早急かもしれない。スタンフォード大学のエリク・ハヌシェク教授によれば、あまり早い時期に子供を能力別に“輪切り”にするのは好ましくない。ハヌシェクは、10歳までに子供を学力に応じた学校に振り分ける国(ドイツやオーストリア等)とそうでない国(アメリカ、イギリス、日本等)の小・中学校での教育成果を国際比較した。すると、低年齢でコース分けされる国では学力の格差が拡大し、平均的な学力も下がる可能性があるとわかった。親が教育熱心でない等の影響で「一旦下位コースに振り分けられれば、能力が高い生徒でも努力しなくなってしまう」とハヌシェクは語る。低年齢における多様な環境の優位性を裏付ける別のデータもある。イリノイ大学のクリストファー・ルビンスキー教授と妻で同大学教授のサラは、全米規模のテストを使って公立と私立の小学校の算数の成績を比較した。私立は富裕層の子供が多く、成績が底上げされる傾向にある為、家庭の社会経済的条件が似た子供同士で比較したところ、公立のほうが教育効果が高いことが明らかになった(中学校以降でも同じ傾向があるかはわからない)。それでも、アメリカの親は経済的に許せば同質の環境を好む傾向にある。背景には、英語ができない移民の子のケアに教師がかかりきりになる当、行き過ぎた多様性への不安がある。「多様性にも色々なレベルがある。“健全な多様性”かどうかを見極める必要がある」とジェインズは言う。「他者への寛容を学ぶ経験より、エリート層との人脈作りが子供に重要だ」と考える傾向も、私学志向を助長する。だが、、私立校の授業料が膨れ上がる中、富裕層のみ集まる環境で歪んだエリート意識が醸成され得る(シリコンバレーのパロアルトにある私立小学校24校――小中高一貫校等も含む――の年間授業料は平均2万182ドルだ)。アメリカのエリート教育の弊害を論じた著書『エクセレント・シープ』で知られる評論家のウィリアム・ディレジウィッツは、「エリート校の学生は『選び抜かれた精鋭だ』と絶えず言われて育つことで、誤った自尊心を膨らませ、キャリアの上のリスクを冒せなくなる」と語る。「人間の価値は成績等では測れないのに」。こうした懸念を受け、奨学金を充実させて貧困層や移民の生徒を積極的に受け入れる私立校も出てきている。一方、公立校の中にも、特定の人種や富裕層の子供ばかりが集まる“同質”な学校は少なくない。多様性と同質性を巡る議論に、簡単に結論は出せそうにない。我が子にどんな環境が合うのか。アメリカの親たちの試行錯誤は続く。 (取材・文/アメリカ在住ジャーナリスト 肥田美佐子)


キャプチャ  2016年3月22日号掲載

テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

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