元エンジニア副住職が考案したハイテク御朱印の効果

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御朱印にスマートフォンを翳すと、携帯の画面にお寺の最新情報が表れる! 副住職の考案したハイテク御朱印が、注目を集めている。長野県塩尻市にある浄土宗善立寺の小路竜嗣副往職(30)が作った『御朱In』だ。左の写真で小路副住職が手にしている御朱印の右下には、QRコードと呼ばれる四角のマークが印刷されている。スマートフォンでこのバーコードを読み取ると、善立寺のFacebookのページが表示される仕掛け。「ツイッターでも話題になり、9000を超える反響がありました」と小路副住職は嬉しそうに話す。背景には、元エンジニアならではの着眼点がある。小路副住職は兵庫県の在家の生まれ。信州大学工学部に進学し、善立寺の1人娘に出会ったのが縁だ。卒業後は『リコー』に入社し、エンジニアとしての勤務を経て、僧侶の道へ。一昨年、善立寺の副住職に就いた。寺務のデジタル化等を手掛ける中、目を向けたのが御朱印だ。「御朱印はお寺と参拝者を繋ぐものですが、参拝者は御朱印を集めれば集めるほど、1ヵ寺1ヵ寺の印象が薄れる。お寺も御朱印をお渡しするだけでは、その後のご縁を結び辛い。双方の困り事を解決する手立てが、誰でも無料で作成できるQRコードでした」と振り返る。更に、QRコードと併せて近距離無線データ通信(NFC)のシールも作成。完成したのが、集めるだけではない、お寺の最新情報も取り出せる『御朱In』だ。「以前に比べてデジタル化の敷居が下がり、小さなお寺でもお金をかけず、伝えたいことが発信できるようになりました。布教にも僧侶の学びにも、様々な局面で活用できたらと思っています」と話す小路副住職。布教の可能性は、いつだって無限大なのだ。


キャプチャ  2016年7月号掲載
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「山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝する」とか意味不明! 利権塗れの新たな祝日『山の日』と山に登る意識高い系バカが大迷惑な理由

今年から、新たな祝日『山の日』が施行される。メディアが“山に行こうキャンペーン”等を行い、それに乗せられるバカが増えるのは確実だ。正直、山の日も山に登る人間も、山そのものと社会にとって迷惑な存在でしかない。その理由を説明しよう。

今年から、8月11日は『山の日』になったらしい。あまりにも唐突で、「1月22日はカレーの日」「9月6日は松崎しげるの日」ぐらいピンとこないが、これでもれっきとした“国民の祝日”だ。先ず、“国民の祝日”自体がピンとこない。『国民の祝日に関する法律(祝日法)』の第1条には、こうある。「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを“国民の祝日”と名づける」。ポエミーで支離滅裂な内容に1つずつツッコミを入れたいところだが、その辺りは一先ず置いといて、取り敢えず8月11日には挙って祝い、感謝しなければいけないようだ。法で定められているので、コレ強制。で、『山の日』って何? 再び、祝日法の第2条によれば、「山に親しむ機会を得て、 山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているのだとか。山岳信仰の山の民みたいな口ぶりが、妙に押し付けがましくてイラッとさせる。所詮、諸外国からの「日本は働き過ぎ」という言いがかりに対し、「労働こそ日本人の美徳だ」と言い返せず、無理矢理祝日を増やしているだけでしょうが。兎も角、日本の年間祝日数は16となった。先進国の中では断トツの多さだ。これで働き過ぎ? ゆとりか! 7月第3月曜日の『海の日』に対抗したのか、『日本山岳会』を始めとする“山業界”が『山の日』の制定を求めたのが事の始まり。“恩恵”だ何だのと綺麗事を並べているが、庶民の財布を半ば強引に抉じ開け、一部の業界にカネを落とさせるのが実際の趣旨。当然、祝日が1日捻じ込まれれば、製造や流通等社会全体の生産性は大きくダウンする。「登山客が増え、関連商品も売上アップ間違い無し!」とエゴ丸出しの山業界は、そうした代償までわかっているのだろうか? 当初は盆休みと連動させ易い8月12日を『山の日』とする案が採用されたが、1985年に発生した『日航ジャンボ機墜落事故』と同日だった為、「この日にお祝いをするのは違和感を覚える」と群馬県選出議員の小渕優子らが反対。群馬県知事も日付の見直しを求めたことを受け、「じゃ、前倒しにしましょーか?」と8月11日に大決定。いやいや小渕さん、論点ズレているでしょ! 強制的に休みを取らせ、消費活動を促すのが本来の目的であって、“祝う”つもりなんて端から無い筈。祝日の翌日に1日出勤して、その翌日からお盆休みとか、労働意欲も物理的生産性も一番落ちるヤツですから! 因みに、元々8月11日は、1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎで前畑秀子が優勝したことと、実況を務めたNHKの河西三省アナウンサーが「前畑ガンバレ!」と連呼したことから、『ガンバレの日』に定められている。美辞麗句を並べる『山の日』なんかより、よっぽど好感が持てる。前畑、もっとガンバレ!

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カネという恩恵を信仰する山業界と、その口車に乗せられた議員たちの目論見通り、既に“山の日商戦”は始まっている。『阪神電鉄』ら鉄道グループ会社2社は、『山の日キャンペーン』と題した各種施策を実施。また、老舗登山雑誌『山と渓谷』を出版する『山と渓谷社』では、期間限定で電子書籍と雑誌の半額販売を行う。来たる8月11日に向け、山絡みの企画や特集を組む便乗企業や扇動メディアは、今後も出てくるだろう。こうした空騒ぎにまんまと踊らされるのが、愚かなほどお人好しな(一部の)ニッポン国民たち。「今、山がキテる!」「カレとカノジョの山デート」「山の空気が、心を浄化してくれる」「お山のお陰で夜尿症が治った!」等々、根拠の無い煽り文句にホイホイと乗せられる。『ブルータス』やら『オズマガジン』やら、トレンド系雑誌の表層的な特集記事を読んで、「あ、何か素敵かも」と週末の山登りを急遽決定。彼らみたいな“踊らされ層”全体に共通しているのが、よく言えば行動的、有り体に言えば腰も考えも軽いという点だ。碌な装備も揃えず山に入り、最低限のマナーすら守れない。抑々、マナーを守れるような品性があるなら、一部業界の要望で作られた祝日なんかに乗せられはしないのだから、まぁ当然の帰結だ。2013年にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山や、“世界一登山客が多い山”としてミシュランガイドに掲載された高尾山も、年々登山客を増やす一方で、遭難やトラブルの数まで“過去最高”を塗り替えている。冗談のような話だが、革靴やハイヒールを履き、背広やスカートを着て、雨具も持たずに入山する人が未だに少なくないのだとか。また、山では「持ち込んだものは持ち帰る」というのが基本ルール。ゴミは勿論、トイレが利用できない状況ならば、携帯用トイレで排泄物も持ち帰るのがマナーだ。にも拘らず、登山道の脇には投げ捨てられたゴミや、「土に帰るから大丈夫」とこっそり落としていった排泄物が散乱している。「山の空気は澄んでいて美味しい」というありがちな台詞も、ゴミとウンコに囲まれた中では不条理なギャグにしか聞こえない。実際、このまま富士山が汚され続ければ世界遺産の取り消しもあり得る話で、ユネスコの諮問機関は入山規制の導入も勧告している。『山の日』は俄かアルピニストを増やし、“美しかった”山の環境を更に悪化させようとしている。近い将来、『誰が山を殺した』なんてドキュメンタリー番組をNHKスペシャル辺りがやってくれそうで、ちょっぴり楽しみだ。どんな分野においても、浮薄な流行に釣られた初心者というのは傍若無人で厄介だ。ただ、俄かアルピニストだけが厄介なのかと言うと、実際はそうでもなさそうである。

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東京都知事選強行出馬→圧勝! 小池百合子、“風見鶏”人生の罪と罰

ポスト舛添を選ぶ東京都知事選がスタートした。本命とされるのは元環境大臣の小池百合子だが、東京都民は、このオバサンがどれだけ性質が悪いか、知っているのだろうか。小池百合子の正体を暴いてみた。

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まるで盛り上がらなかった参院選とは対照的に、候補者選びの段階から注目を集めている東京都知事選。中でも“本命候補”と目されているのが、環境大臣等を歴任した小池百合子だ。先月29日に突然、「崖から飛び降りる覚悟」等と大袈裟なことを言って出馬表明すると、与野党が参院選の真っ最中なのをいいことにとんどん準備を進め、今月7日には正式に立候補を宣言。しかも、彼女が巧妙だったのは、この出馬会見で推薦を巡って一悶着あった自民党都連のことを「ブラックボックスのよう」と批判し、選挙公約として“東京都議会の冒頭解散”“利権追及チームの設置”舛添問題第三者委員会”を挙げたことだろう。自民党都連は“利権の伏魔殿”と言われ、一部の大物幹部が牛耳って党本部も手を出せない独立国。前知事の舛添要一を担ぎだしたのも、舛添の公私混同疑惑を有耶無耶に終わらせたのも、全て都連の仕業だ。一方の小池は、小泉純一郎政権で環境大臣に務め、小泉が自民党の守旧派を“抵抗勢力”と呼んで仮想敵とし、世論を味方に付けたやり方を間近で見ている。そこで、会見で都連を悪者に仕立て、「知事のスキャンダルが続く都政を変えられるのは自分しかいない」と世論にアピールした訳だ。実際、今や小池の人気は鰻上りで、情報番組やワイドショーに毎日のように露出。彼女に振り回された自民党は、今月9日現在、未だ候補者も正式決定していない。自民党が元岩手県知事で元総務大臣の増田寛也を擁立しても、世論調査や都知事選の選挙分析等を見る限り、最早小池女史の圧倒的有利は動かない情勢なのである。全く、本当に東京都民は懲りないバカと言うしかない。確かに、小池は元ニュースキャスターで、もういいお歳とはいえ、嘗ては政界を代表する美女だった。そのイメージから考えて、舛添や猪瀬直樹に比べたら遥かにマシに見えるだろう。しかし、断言するが、若し彼女が都知事になったりしたら、都政の混乱は舛添時代どころではなくなる。小池百合子は、それくらいトンデモな政治家なのだ。

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有名な話だが、小池には“政界渡り鳥”“マダム回転寿司”“永田町の女狐”等々と、如何にも性質が悪そうな渾名がある。この内、“渡り鳥”“回転寿司”というのは、その時々で最も勢いと権力を持った大物政治家に取り入り、政権中枢の地位を手に入れてきたことを指す。例えば1992年、彼女が政界入りにした時に接近したのは、『日本新党』ブームの中心人物で、翌年の細川連立政権で総理となった細川護熙だった。その細川が金銭スキャンダルで失脚すると、小沢一郎が作った『新進党』に参加。小沢の側近となり、新進党が『自由党』に変わって『自民党』と連立を組んだ際には、経済企画庁の政務次官に就任している。その後、自由党が分裂すると小沢に見切りをつけ、『保守党』を経て自民党に移籍。すると、党内第2派閥の森派(後の町村、細田派)に入って、今度は小泉元首相に近付き、環境大臣に任命されて初入閣を果すのだ。小池がよく「私が考えた」と自慢気に語るクールビズは、この環境大臣時代に残した数少ない実績だ。更に、2008年には同じ町村派の中川秀直元官房長官に擦り寄り、女性として初めて自民党総裁選に出馬し、3位の得票を得る。党員票だけを見れば、トップの麻生太郎に次ぐ2位。“初の女性総理”誕生も夢ではないところまで上り詰めた訳である。色気という武器で政界の実力者に取り入り、権力を握る為に節操無く政党を渡り歩いてきたのが、小池百合子というオンナなのだ。しかも、優先されるのはいつも自分の上昇志向だけで、全てを自分の手柄のようにマスコミにアピールする。勿論、他人の迷惑等一切考えない。小泉内閣で環境大臣になった時は、派閥のボスである森喜朗の反対を押し切って、勝手に首相官邸に就任を承諾。総裁選も全く同じで、森は以降、小池を毛嫌いするようになった。選挙の手法も滅茶苦茶だ。『統一教会』や『立正佼成会』に支援を頼んだかと思えば、2009年の衆院選では、信じられないことに『幸福の科学』に選挙協力を依頼している。権力を手に入れる為なら、政治信条など二の次。だから、政党を渡り歩くのも平気なのである。こうした小池女史の政治スタンスがよく現れていたのが、2012年の総裁選だろう。安倍晋三・石破茂・石原伸晃等が出馬したこの総裁選で、小池は当初、安倍を推していた。実際、彼女は直前の安倍陣営の勉強会に出席し、しかも司会として三原じゅん子を連れて行って、安倍を喜ばせている。ところが、石破に党員の支持が多いと知ると、小池は掌を返すかのように、三原と共にあっさりと石破に寝返ってしまうのだ。

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日本企業襲う空売りファンド、理はどこにあるのか――日本企業が相次ぎ標的に、どぎつい手法に割れる賛否

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「事実誤認の多さや下品な表現を見て、非常に驚いた。当社のビジネスモデルも全く理解されていない」。『サイバーダイン』の山海嘉之CEOは、困惑を隠し切れない。「世界で最も途方もなく低価な株券」――。今月15日、日本の有望ベンチャー企業の1つとされるサイバーダインに突然、こんなリポートが突き付けられた(右写真)。発行したのは、アメリカに拠点を置く『シトロンリサーチ』。証券会社等から株を借りて売却し、値下がり後に買い戻して利益を得る“空売りファンド”だ。リポートの内容は、競合企業と比較して株価の割高感を指摘するもの。中には同社株を排泄物に擬える等、あまりに品位に欠ける表現も含まれる。だが、市場は敏感に反応した。翌16日のサイバーダインの株価は、一時、前日比225円安の1852円まで売り込まれた。19日にはサイバーダインが「事業特性を理解せず、分析が非常に浅い」等詳細な反論書面を公開したが、株価の反発力は鈍い。6月にサイバーダイン株の空売りを表明していた香港に拠点を置くファンド『オアシスマネジメント』創業者のセス・フィッシャー氏は、「サイバーダインの反論には新しい情報が殆ど無い」と冷ややかだ。空売りファンドが日本企業を標的にするケースは、初めてではない。先月27日には、『グラウカスリサーチ』が『伊藤忠商事』についてのリポートを発行。伊藤忠の株価は一時、約10%下落した。伊藤忠の会計処理が、減損損失を意図的に回避する等、“不正に”操作されている可能性を指摘するものだった。今月2日、伊藤忠の鉢村剛CFOが、第1四半期の決算説明会で「減損等は全て、監査法人から適正意見を貰い、処理している」等と反論したが、今月23日時点でリポート発行前の株価水準を取り戻せていない。ある市場関係者は、こう解説する。「空売りファンドは違法ではなくとも、“グレー”な部分を指摘し、それで株価が下がればいい。多数の投資先を持ち、複雑なグループ内取引がある商社や、将来性を見極め難い技術系ベンチャー等は標的になり易い」。イギリスの調査会社『アクティビストインサイト』によれば、2010年からアメリカの417社が空売り目的の調査リポートのターゲットになっている。

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世界を見渡せば必ずしも珍しい存在ではないが、“どぎつい”手法に初めて直面した日本の株式市場が動揺した。独立系運用会社『ミョウジョウアセットマネジメント』の菊池真代表は、「これまでに無いファンドの登場で、投資家が相当動揺したのだと思う。投資家が慣れれば、徐々に空売りファンドの株価への影響は小さくなるのではないか」と見る。果たして、空売りファンドに理はあるのか。見方は分かれる。空売りファンドが提示するのは、飽く迄も特定銘柄の株価についてのファンドとしての見立てだ。市場が反応して株価が下落すれば、手仕舞いして利益を確定する。サイバーダインの山海CEOは、「シトロンとサイバーダインの問題という以上に、証券市場と空売りファンドの問題。それだけに、『毅然と対応する必要がある』と考えて、反論を出した」と説明する。『日本取引所グループ』の清田瞭グループCEOは、伊藤忠とグラウカスの事例を受けて、「倫理的に若干疑問がある」と発言した。伊藤忠は、「グラウカスは、台湾で2014年に風説の流布等で訴えられ、損害賠償の支払いを命じられている」(広報)と指摘。グラウカスは否定しつつ、こう反論する。「エンロンの粉飾事件に最初に警鐘を鳴らしたのは、我々空売りファンドだ。市場は幅広い投資家を必要としている」(同社リサーチディレクターのソーレン・アンダール氏)。空売りファンドの“襲来”が齎している教訓は何だろうか。「伊藤忠は付け込まれる余地があった」。株式市場には、そんな声がある。例えば、伊藤忠は今年1~3月期にヨーロッパのタイヤ事業や青果のドール事業の減損等で、約900億円の損失を追加で計上。岡藤正広社長は、『三菱商事』と『三井物産』が減損で最終赤字に転落する見通しとなり、「急遽、落とせるものは落とした」と記者会見で打ち明けた。今年3月期の業績で商社トップの座を維持できる範囲で、恣意的に減損処理したと受け取られかねない発言だ。「日本企業は情報開示が不十分で、市場が非効率的なので、標的になり易い」(アクティビストインサイトのジョシュ・ブラック編集長)。『東芝』の不正会計で、企業の要求に監査法人が抗い切れない実態が明らかになり、日本市場の信頼感を損なった後遺症は大きい。企業は、標的とならない為にどうすべきなのか。IR(投資家向け広報)支援会社『ジェイユーラスアイアール』の岩田宜子代表取締役は、「透明性を持ったガバナンス体制を作り、日頃から投資家の信頼を得ておくことに尽きる」と指摘する。 (広岡延隆・大竹剛)


キャプチャ  2016年8月29日号掲載

テーマ : 経済・社会
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【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(14) 移植手術の優先順位をカネで買う“非情な市場原理”の実態

映画『ハンニバル』(メトロゴールドウィンメイヤー)に登場するメイスンは、レクター博士の策に嵌り、自らの顔の皮を剥ぎ取って犬に食わせる。顔の皮膚を失ったまま生きるメイスンの恐ろしい風貌は、今も鮮明に覚えている。2005年、フランスでメイスンと同じように、顔を飼い犬に食べられた女性がいた。こちらは現実に起こった悲劇だが、鼻・唇・顎までを失った顔は、メイスンよりもリアルなだけに衝撃的だった。彼女の名はイザベル・ディノワール。当時38歳の彼女は、事故から数ヵ月後に世界初となる顔面移植手術を受け、顔を取り戻すことに成功する。イザベルに顔面を提供したのは、同世代の自殺した女性だった。フランスには、『推定同意の原則』が医療界に定着している。これは、ドナーとなり得る患者が発生した場合、本人や家族が拒否していない限り、臓器や身体組織を摘出、移植に使用して良いというものだ。スイスやベルギー等では『推定同意の原則』が適用されており、中でもフランスは臓器移植において、積極的且つ高度な技術を持つ国である。その為、近隣諸国、とりわけ中東の富裕層が臓器移植を行う場合、フランスが選ばれることが多い。ところが、臓器移植が活発であれば、必然的にドナー不足となるのは当然のことだ。腎臓ならば、法律や倫理は別として、健常者から提供も受けられるし、乱暴な言い方をすればカネで買うこともできる。しかし、心臓や肝臓となるとそうはいかない。ドナーの数に対してレシピエントの絶対数が多く、適合の問題もあるからだ。日本で唯一の公的組織である『日本臓器移植ネットワーク』によると、心臓移植の場合、レシピエントの登録から移植手術までの平均待機期間は978日となっている。

移植が必要なレシピエントにとって、約2年9ヵ月の待機期間は耐え難いのだろう。その為、海外での移植手術を希望する人が出てくるのだが、最近はカネで移植順位を優先させる富裕層患者のせいで、費用が高騰しているらしい。その背景には、「移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすべき」という、2008年に『国際移植学会』が採択した『イスタンブール宣言』がある。これは、臓器売買と移植ツーリズム、それに伴う人身売買を無くす目的のものだが、結果として正常な移植手術の費用高騰と、違法な臓器ビジネスを増長させることになった。臓器移植を必要とするレシピエントは、世界中に存在する。そこで順位を優先させるのが“カネとなるのは、市場経済の原則である。自由経済では、個人の消費行動は、自己責任において自由に行われるのが基本である。臓器の需要に対して供給が著しく不足すれば、価格が高騰するのは当然だ。正常な市場では、「超過需要で価格が上昇すると、需要が減って均衡する」というメカニズムが働く。ところが、臓器という価値のある“商品”には、「総需要に対して総供給が合わされる」とされるケインズの『有効需要の原理』が働くようだ。これは“臓器バブル”と言っても過言ではないだろう。そして臓器ビジネスは、「富める者が貧しい者から搾取する」という構図を作り出すが、これも自由経済の宿命だろう。世界の需要に対して、臓器の最大供給国はインドである。インドの首都・デリーにあるオールドデリー駅の近くに、GBロードという所がある。ここが、地上に存在する最も悍ましい場所ではないだろうか。オールドデリーの混沌とした街並みに3~4階建ての古い雑居ビルが並び、1階は雑貨やスパイスを売る商店が入っている。その2階には、鉄格子の隙間から多くの女たちが通りを見下ろしている。この異様な光景と臓器売買との関連については、次回触れたい。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年8月30日号掲載

テーマ : 国際問題
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【アメリカ大統領選2016・現場から】(04) 通商政策…自由貿易へ“怒り”拡大

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「自分たちは自由貿易の被害者ではないか」――。嘗て製造業等で栄えたが、経済のグローバル化で衰退した東部から中西部。“ラストベルト(錆び付いた工業地帯)”と呼ばれるミシガン、オハイオ、インディアナ州等では、中小企業や白人労働者層の間にこんな疑念が渦巻いている。「アメリカには安い製品がどんどん入ってくるが、こっちは輸出できないじゃない」。ラストベルトの一角であるニューヨーク州北部のローム市にある銅加工会社。営業担当者のエイミー・オシャウネシーさん(38)は吐き捨てた。同市は嘗て、全米の銅製品生産額の1割を占め、“銅の街”と呼ばれた。オシャウネシーさんの会社は、創業215年の老舗だ。だが、2000年頃から製品の納入先が次々と人件費の安いメキシコや中国に移転し、工場の閉鎖等で、500人以上の従業員の内、約170人がクビになった。同市の工場を案内してもらった。金属がぶつかる乾いた音と共に、手のひらほどの大きさの銅板を生産する機械が稼働していた。だが、その横では、生産縮小に伴い、幅3~4m・奧行き十数mの大型機械の廃棄に向けた洗浄が進められ、もうもうと蒸気が上がっていた。「ヒラリーが当選したら更に4年間、この状況が続く。負け組になった中間層の味方はトランプ氏」。オシャウネシーさんは20年近く民主党を支持してきたが、今回は同党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)でなく、共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)に投票するつもりだ。

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民主党の支持基盤の労働組合にも、同様の声が広がる。「北米自由貿易協定(NAFTA)が仕事を奪い、貧困を齎した。環太平洋経済連携協定(TPP)もそうなる。だからトランプ氏を支持することにした」。ペンシルベニア州ミラーズバーグ市の工具メーカーで労働組合長を務めていたロバート・ハーシュさん(54)は語る。395人いた従業員は、この十数年で、ハーシュさんを含め約4分の3が一時解雇された。「ここでは碌な仕事は見つからず、現実から逃避する為、酒や薬物に溺れる者が出た。その結果、犯罪も増えた」。ハーシュさんは、「自由貿易が地域を荒廃させた」と怒りを隠さない。自由貿易について、オバマ大統領は「アメリカの21世紀の繁栄を支える雇用や経済成長を生み出す為、アメリカ製の商品を輸出する新しい市場を世界で創出することが不可欠だ」として、推進する立場を取ってきた。だが、生産拠点の移転等で2000年以降、アメリカの貿易赤字は高止まりし、安価な中国製品等の輸入増加や工場の海外移転で、恩恵を実感できない国民が増えている。トランプ氏は、こうした有権者に狙いを定め、過去の選挙で民主党の勝利が続いてきたラストベルトの接戦州をひっくり返し、勝利する戦略を描く。共和党は自由貿易を擁護してきたが、トランプ氏はNAFTAやTPPを「雇用を無くす協定だ」と批判し、「クリントン氏は支持してきた」としつこく攻撃している。クリントン氏は批判を躱す為、TPP反対を明確にした。両候補は今後も保護主義的な姿勢を強調するとみられ、世界最大の経済大国であるアメリカの通商政策の在り方が大きく転換する恐れが現実味を帯びている。 (有光裕)


⦿読売新聞 2016年8月22日付掲載⦿

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【政治の現場・民共融合】(04) 政策軽視の結集、限界

20160830 03
先月31日に投開票された東京都知事選で、民進・共産等野党4党が統一候補として推薦した鳥越俊太郎氏は、保守分裂の好機を生かせず、3位に沈んだ。「野党共闘の要は2つあり、1つは政党が中(支持層)を固めること。もう1つは、それを前提に浮動票の過半数を取ること。何れもできなかった」。民進党の岡田代表は今月4日の記者会見で、野党共闘が機能しなかったことを率直に認めた。読売新聞の出口調査では、鳥越氏に投票したのは民進支持層の約5割、無党派層の約2割に留まった。都知事選前の参院選では、4党は東京で計248万票の比例票を獲得したが、鳥越氏の得票数は約134万票。単純計算すると、4党の支持層から100万票超が逃げたことになる。最大の敗因は、政策軽視の戦術だ。民進党は、告示直前に突如出馬の意向を示し、「未だ公約はできていない」と公言する鳥越氏を即座に推薦した。共産・社民両党も、過去2度の都知事選で支援し、早くから準備を進めてきた宇都宮健児氏ではなく、鳥越氏に相乗りした。政策協定も結ばないまま、各党が“見切り発車”を決めたのは、「入念に政策を擦り合わせれば、各党の違いが露呈しかねない」(陣営関係者)との事情もあったようだ。鳥越氏が各党の共通政策である“改憲阻止”を理由に出馬表明したことも、共闘には好都合だった面がある。実際の選挙戦では、鳥越氏の主張と民進党の政策との違いが際立った。

「東京を中心に250km圏内の原子力発電所の停止・廃炉を電力会社に申し入れる」(北区の演説会で)。鳥越氏は原発の停止や廃炉に踏み込んだが、“2030年代の原発ゼロ”を目指す民進党は、責任ある避難計画の策定等を条件に、当面は再稼働を容認する立場だ。それでも、民進党は異論を唱えなかった。一方、“原発即時ゼロ”を主張する日本共産党は、機関紙『しんぶん赤旗』で鳥越氏の発言を取り上げ、全面的に賛同した。民進党の枝野幹事長は、この点を記者会見で指摘されても、「発言の詳細を窺っていない。コメントは避けたい」と答えるのがやっとだった。消費増税を巡っても、鳥越氏の発言は更にエスカレートした。伊豆大島での演説で、消費税率を“大島限定”で現行の8%から5%に引き下げる考えを披露したのだ。民主党政権時に消費増税への道筋をつけた“社会保障・税一体改革”を主導した民進党だが、ここでも修正に乗り出さなかった。『おおさか維新の会』の橋下徹前代表は自身のツイッターで、「民進党は鳥越さんの公約を実現する覚悟があるのか。覚悟がなければ、鳥越さんにドクターストップをかけるべきだ」と指摘した。民進党都連には今尚、執行部への蟠りが残る。元経済産業省官僚である古賀茂明氏の擁立で動いていたところを、野党共闘の枠組みを重視する岡田代表らが頭越しで鳥越氏推薦に向けた調整を始めた為だ。党都連会長で元国家公安委員長の松原仁氏は、「古賀さんのほうが、都民が聞きたいことを語れて、政策議論も深まった筈だ。魅力的な候補者だった」と無念さを隠さない。都連幹部の1人は、「党本部は『鳥越さんは知名度があるから選挙戦術的に勝てる』と思ったのだろうが、却って拒絶反応を起こした」と振り返る。都知事選は、政策の一致よりも、反自民票の結集を優先する“野党共闘”路線の限界を明確に示した。


⦿読売新聞 2016年8月23日付掲載⦿

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【警察の実力2016】(05) 捜査2課…“花形”は汚職の摘発でも最近は“特殊詐欺”に軸足

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汚職・選挙違反・詐欺・横領等、所謂“知能犯”の捜査を担当するのが捜査2課だ。殺人や窃盗事件等の発生事案とは異なり、姿形の無い犯罪を立証しなければならない。捜査自体が地味である為か、刑事ドラマで取り上げられることは殆ど無い。しかし、時に政治家や官僚らを摘発する捜査2課の課長職は、警察庁のキャリア官僚も就く都道府県警察本部の重要ポストだ。彼らは、その存在意義を誇示する為にも、頭文字の部首名から“サンズイ”と呼ばれる汚職事件を狙う。汚職の摘発こそが、捜査2課の王道なのだ。捜査2課の仕事は、隠されている事件の発掘から始まる。事件の端緒を掴むコツについて、関西地方の元刑事は「如何に良い協力者を多く作るかが腕の見せどころ。人脈がものをいう世界だ」と語る。公務員・議員・民間企業の会社員らと非公式に接触し、雑談の中から端緒を掴むことが多いという。その為の会食費等は、自腹を切るのが基本だ。前出の元刑事は、「仮に相手に奢られた場合、必ず同じ金額の贈答品を送って借りを作らないようにした。毎月の出費は平均20万円ほど。妻がアルバイトをして、生活費の足しにしてくれていた」と笑う。それでも“見えを張る為”に、ワイシャツやネクタイはブランド品で固めた。警察本部の中でも、捜査2課の刑事が「断トツで持ち出しが多い」というのが関係者の一致した見方だ。事件の端緒を掴んだら、証拠を固める内偵捜査に入る。対象者の行動を長ければ数年かけて追うが、必ず事件化できる訳でもない。忍耐力が要求される仕事だ。

汚職事件は捜査2課の“花形”事件ではあるが、近年、その摘発は低調気味だ。その理由について、捜査2課担当の全国紙記者はこう話す。「内偵捜査を進めて仕上げ段階に入ると、2課は検察庁に相談に上がる。しかし、あの事件が起きて以降、検事が相当慎重になり、着手のゴーサインが出難くなった」。“あの事件”とは、2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改竄事件のことだ。特捜部の見立てに沿った虚偽の供述調書が作られ、証拠品のフロッピーディスクのデータを改竄したことが明るみに出た。この事件を契機に捜査当局への風当たりが強まり、自白偏重の捜査手法が見直されることになった。しかし、密室で起きる汚職の摘発は、結局のところ、関係者の供述による部分が大きい。事件に着手できるか否かは、公訴権を持つ検察の判断次第なのだ。抑々、全国最大の陣容を誇る警視庁捜査2課と東京地検特捜部は、捜査段階でバッティングすることも多く、長年に亘る確執があった。「検察は『巨悪を眠らせない』と豪語するが、こっちは巨悪から少額被害の詐欺のような“小悪”まで全てやる。検察は起訴と公判維持に専念するべきで、捜査は警察に任せてくれればいい」と警察庁の元キャリア官僚は主張する。汚職事件に中々着手できないジレンマの中で、捜査2課の仕事は近年、急増する特殊詐欺の捜査に軸足が移りつつある。何しろ、振り込め詐欺等特殊詐欺の被害総額は、2014年に565億円と過去最高を記録する等、未だ減る気配が無いからだ。“小悪”も積み重なれば“巨悪”になるかもしれないが、2課本来の役割は政治家等の“巨悪”を摘発することだ。検察といがみ合っている場合ではない。


キャプチャ  2016年7月30日号掲載

テーマ : 警察
ジャンル : 政治・経済

【創価学会vs日本共産党】(09) 約70もの学会施設が犇めく膨張を続ける“創価村”の今

石造りの白い建物に三色の旗が映える創価学会員の聖地、信濃町。書店もお土産店も飲食店も、街の風景が学会一色に染まっている。そんな“創価村”は今、どうなっているのか。

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緑豊かで、秋には銀杏並木が黄色に染まる明治神宮外苑。東京オリンピックを控えて建て替えが物議を醸した新国立競技場のある場所だ。その神宮外苑から首都高速とJR中央線を挟んで北側に広がるのが、創価学会員の“聖地”、信濃町である。JR信濃町駅の改札口を出て、街に一歩足を踏み入れれば、青・黄・赤の三色旗に染まった商店街が目に飛び込む。普段は見慣れない風景に、非日常の世界に迷い込んだ感覚になる。そこから更に歩を進めると、2013年に建立された『広宣流布大誓堂』という、学会総本部の入る荘厳な大礼拝堂が出迎えてくれる。大誓堂の南側には、2012年に新設された『創価文化センター』が鎮座する。中にある金舞会館は、5月に創価班・牙城会の集いが開催された礼拝施設だ。『創価学会』の歴史をデジタル化した展示スペースもあり、広報機能も果たす。この2棟が聖地の中核施設だ。信濃町の学会関連不動産事情を整理したのが右の地図だ。南にあるJR信濃町駅から北の四谷3丁目方面に“創価村”は延びており、ここだけで約70もの学会関連施設が犇めき合う。信濃町だけでは収まり切らず、南東に隣接する南元町や北西の左門町まで勢力範囲を拡大している。例えば、『南元センター』と『南元栄光会館』に挟まれた場所に古い建物がある。嘗て、『三井住友銀行』の福利厚生施設が入っていた『銀行会館』だった所だ。2014年3月に、学会が三井住友から1000㎡以上の不動産を購入。どのように活用されるのか気になり、本誌記者が現地に足を運んだものの、門が閉ざされていて看板も掛かっていない。今のところ、何かに利用されている様子は無さそうだ。『南元会館』の東隣にあるアパートも、今年2月に学会が購入。既に飽和状態と思われた“創価村”だったが、今後もまだまだ膨張を続けて広がりを見せそうだ。

信濃町周辺の施設を大別すれば、点在する礼拝所等の宗教施設・『聖教新聞社』の施設・公明党の関連施設、そして学会関連企業が入るビルの4つがある。学会の本部施設は大誓堂近辺に集中する。直ぐ北側の『接遇センター』は、地方から上京した学会員らが池田大作名誉会長にお土産や手紙を渡す場所。その東の『常楽園』は、学会員のみに立ち入りが許される。本部を見詰める戸田城聖第2代会長の胸像や池田名誉会長の句碑・和歌の銘板があり、学会員と思しき女性グループがにこやかに記念撮影していた。また、『創価文化センター』の南には、勤行・唱題の場である『信濃平和会館』がある。これらが大誓堂周辺の主な施設で、後は本部別館や職員寮等がある。学会の機関紙を発行する聖教新聞社は、大誓堂周辺の喧騒から少し離れた閑静な一画に佇む。水色のガラス張りの外観が印象的な本社、その隣に第1別館と第2別館、そして見学室がある学会内では、聖教新聞を各家庭に届ける取次店(販売店)及び配達員を“無冠の友”と呼ぶが、見学室は彼らを顕彰する空間だ。聖教新聞本社から南に少し坂を下っていくと、池田名誉会長の私邸が見えてきた。常時、学会員と思しき人物が目を光らせており、何人も近付くことが許されない雰囲気が漂う。本誌は、創価学会関連の民間企業を現状で14社確認しているが、その内、信濃町近辺に本社を構えるのは、『東西哲学書』・『シナノ企画』・『信濃建物総合管理』・『日光警備保障』・『ニット保険』の5社。後は北に向かって四谷3丁目方面に行けば、『文化会館』等の設計を一手に担う『創造社』の本社ビルがある。大誓堂から外苑東通り側に抜けて道を渡れば、慶應義塾大学病院の隣に『民音音楽博物館』がある。不動産は学会関連財団の『民主音楽協会』の所有だったが、2012年に“寄付”の形で学会が引き受けた。2010年に学会創立80周年を迎え、信濃町はここ数年で施設の改築が進み、街全体がスッキリと整備された印象がある。一方で、街の至る所に警備員が配されている為、無機質な空気感を醸し出しており、益々“創価村”としての色彩を強めているようだ。


キャプチャ  2016年6月25日号掲載

テーマ : 創価学会・公明党
ジャンル : 政治・経済

【電通の正体】(01) 新国立競技場“8万人”の嘘から始まったオリンピックと神宮外苑再開発の複合利権

『新国立競技場』の観客席数8万は、神宮外苑再開発の為にでっち上げられた嘘だった。オリンピックは、再開発利権のダシに使われた――。 (後藤逸郎・池田正史・大堀達也・荒木宏香)

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東京都の明治神宮外苑で今月初め、時雨れるような蝉の声をかき消し、築50年余りの都営霞ヶ丘アパートの取り壊し作業が行われていた。都が示した1月30日の退去期限を過ぎて、尚も残る3世帯の存在は高いフェンスが覆い隠す。まるで、新国立競技場建設を起点に、都心最後の手つかずの土地の1つである神宮外苑再開発(図1)と五輪が絡み合う複合利権を知られまいとするかのように。新国立競技場建設と神宮外苑再開発について、文部科学省傘下の『日本スポーツ振興センター(JSC)』は2012年8月、地元説明会を開き、2019年日本ラグビーワールドカップ開催用に8万人規模の新国立競技場建設の為、都営アパート住民を立ち退かせる考えを示した。しかし、8万人という数字の根拠は、この時も今も存在しない。『日本ラグビー協会』によると、『国際団体ワールドラグビー(WR)』のW杯開催基準に観客席数は無い。JSCは本誌の取材に対し「6万人が基準」と一旦は答えたが、直後に「日本ラグビー協会に聞いてほしい」と態度を翻した。一方、『国際オリンピック委員会(IOC)』の基準は6万人だ。『国際サッカー連盟(FIFA)』は、開幕・決勝戦で8万人との基準はある。ただ、JSCの説明会の約1年半前、日本は2011年サッカーW杯の招致に失敗した。FIFAの規定により、日本でW杯開催が可能となるのは2034年以降となっており、新国立競技場を8万人にしなければいけない理由は無かった。8万人という数字はどこから出たのか。地元説明会の9ヵ月前に当たる2011年12月、『ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟』(会長は参議院の西岡武夫議長)が、国立競技場8万人規模化と神宮外苑地区の都市計画の再整備を求める決議文を纏めた。『国会ラグビークラブ』顧問として決議文に名を連ねる森喜朗元首相は、日本ラグビー協会長でもあるが、W杯開催基準に観客席数が無いことを知らない筈がない。だが、JSCが2012年3月に開いた『第1回国立競技場有識者会議』で、JSCの河野一郎理事長は「8万人規模をスタートライン」とぶち上げた。根拠として挙げたのは、議連の決議文というお粗末さを厭わず、JSCは以後、8万人という数字を独り歩きさせていく。

更に不可解な事実がある。石原慎太郎知事(当時)は2005年、2016年東京オリンピック招致の意向を表明した。2009年10月のIOC総会でリオデジャネイロに負けるまでの招致活動で、東京都は国立競技場改修を見送り、メインスタジアム建設候補地を晴海(東京都中央区)とした。石原知事は2005年12月、国立競技場の敷地に観客数8万~10万人規模の施設を建設した場合、周辺の道路に食み出すこと等を理由に、改修案に難色を示した。東京都が纏めた2016年オリンピック招致報告書は「敷地面積、各種法規制【中略】の観点から検討したところ、霞ヶ丘地区でのオリンピックスタジアム整備は困難との結論に達した」とある。各種法規とは、国立競技場がある神宮外苑一帯の厳しい用途制限を指す。高さ15m制限の風致地区・緑地・文教地区・都市計画公園の建築許可等、日本一厳しい建築制限が、新国立競技場のような高層建築を不可能にしていた。こうした経緯から、鈴木俊一知事(1979~1995年)時代の湾岸開発失敗で塩漬けになった晴海を活用したい思惑もあって、2016年オリンピック招致で、東京都は規制緩和や改修を否定した。だが、東京都は2012年2月、IOCに2020年東京オリンピック開催を申請。メインスタジアムは、国立競技場を8万人規模改築へと方針転換した。この申請の2ヵ月前、ラグビーW杯議連は8万人規模決議をした。息の合った動きに続き、JSCは2012年7月に国立競技場改修の国際コンペ概要を発表、同年8月の地元説明会に至る。JSCは同年11月、新国立競技場建設を含む一帯の再開発を可能にする都市計画変更の為、『神宮外苑地区地区計画』の地元説明会を開き、都営アパートの移転跡地に高さ約80m・地上17階・地下2階建ての新事務所建設方針を示した。自身は国立競技場に隣接する築20年の地上4階・地下2階建て本部事務所を取り壊して、『日本青年館』と共に新事務所に入るという。東京都が翌2013年6月に都市計画を変更し、一帯に高さ30~80mを認める前だ。住民の要望を一切聞かず、既定路線とするJSCに対し、住民から「人を泣かしてしまう計画でいいのか」「高飛車に見える」と反発が相次ぎ、説明会は紛糾した。だが、JSCはその後も東京都と足並みを揃え、再開発の手続きを進める。そして、東京都・明治神宮・JSC・一般財団法人『高度技術社会推進協会』・『伊藤忠商事』・『日本オラクル』・『三井不動産』の7者は昨年4月1日、『神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書』を締結した。「国立競技場の建替計画の具体化を契機に【中略】スポーツクラスターと魅力ある複合市街地を実現することを目標」に掲げる。

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