【アメリカ大統領選2016・激戦の現場】(04) ノースカロライナ州…赤い州、草の根攻勢

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「期日前投票は10月20日から11月5日まで。家族で必ず投票に行って下さいね」――。ノースカロライナ州の最大都市・シャーロット近郊の閑静な住宅街で、今月15日、民主党候補であるヒラリー・クリントン氏(68)の陣営ボランティアが有権者宅を戸別訪問し、クリントン氏への投票を呼びかけた。訪問を受けた元教師のアレクサンドラ・エドワーズさん(62)が「期日前投票の期間を知らなかった。ヒラリーに必ず投票する」と応えると、陣営ボランティアのナンシー・ビショップさん(66)は「訪問のし甲斐があった」と顔を綻ばせた。ビショップさんらは民主党支持者宅を次々と回り、投票を促すと同時に、投票所への交通手段を聞き、必要な支援を申し出ていった。選拳人15人と有力な票田の同州は、共和党が強い代表的な南部の“レッドステート(赤い州)”だ。だが今回は、クリントン氏が大規模な草の根活動を展開して攻勢をかけ、昨日現在の世論調査の平均支持率で、共和党候補であるドナルド・トランプ氏(70)を僅差ながらリードする。

クリントン陣営のターゲットの1つが、アフリカ系ら非白人票だ。今月11日には、2008年に同州で勝利したバラク・オバマ大統領をグリーンズボロに派遣。オバマ氏は黒人学生らと対話集会を開き、「人種差別勢力を阻止しよう」と訴えた。同州では近年、金融業やハイテク産業の成長につれ、非白人人口が急増した。4割に迫る勢いで、同時に人種間の摩擦も強まった。先月20日には、シャーロットで黒人男性のキース・スコットさん(当時43)が白人警官に撃たれて死亡。抗議デモは暴動に発展した。スコットさんの義妹であるレイチェル・ドッチさん(35)は、「黒人社会に理解があるクリントン氏に投票する」と語る。一方のトランプ陣営も、白人保守層からの支持固めを図りつつ、非白人層への浸透も狙う。「民主党の連中はアフリカ系やヒスパニック系から票を貰うだけで、何もしてこなかった。私は、公平に扱われてこなかったアフリカ系の為に戦う」。トランプ氏は一昨日、同州フレッチャーの演説でこう訴えた。トランプ陣営は大規模な草の根の選挙戦を行ってはいないが、熱狂的な支持者たちがインターネット等で支持拡大を図っている。『YouTube』等の動画投稿サイトで“ダイヤモンドとシルク”の名前で活躍している黒人姉妹は、「トランプ氏こそ本物だ」と発信し続けている。2人は2008年・2012年年とオバマ氏に投票してきたが、オバマ政権の政策に幻滅し、共和党支持へ切り替えたという。姉のリネット・ハーダウェイさんは、「トランプ氏に投票する隠れた黒人は多数いる。批判されるから口にしないだけだ」と語る。ただ、同州の大統領選に詳しいカタウバ大学のマイケル・ビッツァー教授は、冷静にこう分析する。「クリントン陣営は、トランプ陣営よりも強い基盤で選挙活動を展開している。トランプ氏が黒人有権者に浸透している様子は窺えない」。 (大木聖馬)


⦿読売新聞 2016年10月23日付掲載⦿

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名古屋・岐阜・長野、暴力団絡みの事件に隠された謎――岐阜県警と京都府警の連携、関西ヤクザの情報操作に躍るマスコミ

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先月15日18時頃、愛知県警担当の新聞記者やテレビ記者から立て続けに連絡が入った。その時、筆者はモンゴルの首都・ウランバートル郊外に特設された会場で、『ナーダム』を見学していた。会場には、『アジア欧州会議(ASEM)』に出席した日本の安倍晋三首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、中国の李克強首相、韓国の朴槿恵大統領等、アジアとヨーロッパ51ヵ国の首脳と100名以上のマスコミが、モンゴルの伝統的な夏祭りを見学していた。その最中に、突如として緊急連絡が舞い込んできた。祭り会場から離れ、筆者も国内のヤクザに連絡を入れた。この段階では誰が殺ったのかは判然としていなかった。何しろ、記者たちからの一報はどれも、「新栄でヤクザが殺されました」ばかり。同日16時半頃、名古屋市中区新栄2丁目のビル4階の部屋で、神戸山口組系山健組健仁会の斉木竜生舎弟頭が、2人組の男に射殺されるという事件が起きたという。今年5月3日に岡山市内で起 きた池田組の髙木昇若頭が、弘道会傘下の組員に射殺されて以来の、チャカを使った事件の発生! それだけに、記者の誰もが「愈々、抗争が火蓋を切ったのではないのか?」と質問を寄せてきた。しかしこの事件、発生当初から“内部犯行”とか“シャブを巡る争い”とか、2つの見方に割れ、愛知県警に聞いても弘道会に聞いても、「真相はよくわからない」という状態が暫く続いた。筆者は、当初から「抗争等ではない」という見方に立った。名古屋界隈において、殺された斉木幹部は“サイタツ”と呼ばれるほど知られたヤクザだった。正確に記せば、彼は“シャブのサイタツ”という呼称で有名だったのだ。

一時、「絶縁処分の身だった」という情報もあるが、「そのサイタツが刑務所を出てから、放免祝いまでされて、健仁会の舎弟頭に迎え入れられた」と事情通は証言する。だが筆者は、「弘道会、乃至山口組が、抗争の標的として、神戸山口組3次団体のシャブ中の幹部を殺る必然性は全く無い」と判断した。ならば、殺害当初から実しやかに流れていた、シャブ利権を巡る内部の揉め事が原因だったのか。今月16日現在で言えることは、「愛知県警は既に2人の実行犯を特定していて、程無く逮捕に及ぶだろう」ということと、「この殺人は抗争等でもなく、シャブ利権のトラブル等でもなくて、嘗てサイタツと実行犯が居合わせた富山刑務所時代から続いていた、個人的な怨恨に起因する可能性が浮上してきた」ということだ。たとえ個人的な私怨だとしても、殺した方も殺された方もヤクザだから、直ぐに山口組と神戸山口組の対決抗争と結び付け、弘道会と山健組との抗争に図式的に置き易いが、真相はそうそう単純ではない。しかし、この事件にも謎がある。例えば、サイタツ殺害実行者の手引きをしたと言われているシャブ男が、愛知県警中警察署に弁護士を同行させ、出頭している点だ。この動きを、あるヤクザは「シャブ漬けの男に弁護士を雇うカネなんかある訳がない。誰かが弁護士をつけたに違いない」と指摘した。更に、「殺害の現場に居合わせ、119番したシャブ男が、2~3発ぶん殴られただけで済んだ」とか、「犯人たちが使った車が焼かれている」とか、どうも辻褄の合わない様々なことが露見してはいるが、愛知県警の犯人逮捕が実現すれば、サイタツが狙われた本当の理由がはっきりするだろう。筆者は既に実行犯と言われる人物名を承知しているが、これとて、実際に逮捕・起訴されてみないと書ける訳でもない。亡くなった斉木幹部を知る堅気の人物は、「もうシャブ中ですよ。カネを取る為に無茶苦茶だった…」と語っている。それにしても、軌道を読めないマスコミの抗争報道には呆れ返るばかりだ。山口組が分裂してから1年、両者の帰趨ははっきりしないが、どういう意味なのか、『刻一刻と近づく神戸山口組8月一斉攻撃』とか、『休戦中に音が鳴った! 名古屋射殺事件』とか、如何にも神戸山口組が山口組に一斉攻撃に出るかのような勇ましい記事が跡を絶たない。

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【東京情報】 シンボルとしての日本刀

【東京発】陸上自衛隊が、記念品等に使うエンブレムを作った。そのデザインは日本刀をあしらったものだが、これに『朝日新聞』が噛み付いた。「軍刀は帝国日本軍の略奪や脅迫を思い起こさせる」との市民団体代表のコメントを掲載し、批判的に取り上げていた。だが、その前日の紙面では『日本刀、じっくり、うっとり “刀剣女子”の来館急増』と、日本刀ファンの女性が増えていることを好意的に報じている。これはダブルスタンダードではないのか? イギリス人記者が頷く。「記事を書いたのは違う記者だが、9月6日の夕刊と7日の朝刊だから、ほぼ半日の差。朝日新聞は論調のチェックをしなくなったのかね? これまでの朝日の論調を考えれば、“刀剣女子”を好意的に取り上げるのには違和感しかない」。フランス人記者が唸る。「俺たちヨーロッパの人間は、日本刀と言えば三島由紀夫を思い出す。1970年11月25日、三島は自衛隊にクーデターを呼びかけ、自決した。それから暫くは、新聞や週刊誌が飛ぶように売れたんだ。当時、俺は東京の地下鉄東西線の大手町駅を利用していたが、売店の新聞や週刊誌が全部売り切れていたな」。事件当日、三島は堂々と腰に日本刀“関孫六”を下げて、市ヶ谷駐屯地を訪問した。入隊経験のある三島はフリーパスで通された。総監室で益田総監が「その刀は本物ですか? そんな軍刀を下げていたら、警察に咎められませんか?」と訊くと、三島は「私は日本刀の愛好家ですから、この刀も美術品登録をしています。ご覧になりますか?」と答えた。総監は「見たいです」と言い、三島は刀を抜いた。

その後は、ご存知の通りである。総監は、三島に同行した学生らに縛られ、三島はバルコニーに立ち、「この国の憲法を変えなくてはいけない!」と檄を飛ばした。しかし、殆どの自衛隊員は「何を馬鹿なことを言っているんだ!」「我々は憲法を守る為に存在するんだ!」と野次を浴びせた。そこで三島は、「命より大切なことがあるのを見せてやる!」と言って、総監室に戻り、腹を切った。三島の介錯は森田必勝がやったが失敗。古賀浩靖が首を落とした。総監は終始「やめろ! 命を守れ!」と叫んでいたが、日本刀は一度鞘から抜いたら最後、相手を殺すか自分が死ぬかどちらかである。刀を抜いた時点で運命は決まっていたのだ。イギリス人記者が、銀縁の分厚い眼鏡を外した。「アメリカのグラフ雑誌“LIFE”で組まれた三島特集には、褌一丁で日本刀を振り翳す三島の写真が掲載されている。そこで三島は、日本刀の魅力について熱く語っていましたな。当時は三島の戯曲“サド侯爵夫人”が欧米でも好評で、三島はノーベル文学賞の候補者として紹介されていた。日本刀に関しても悪いイメージは無く、寧ろ武士道精神を重んじる真面目な日本人という印象が強かったな」。『豊饒の海』では切腹が描かれている。三島主演の映画『愛国』には、日本刀を2つに折って切腹するシーンもある。三島は、辞世の句にも日本刀を使った。「益荒男が たばさむ太刀の 鞘鳴りに 幾とせ耐へて 今日の初霜」――太刀を抜くのを耐えて耐えて、そして今日やっと抜くことができるという意味だ。フランス人記者が顎鬚を撫でる。「勿論、自衛隊と日本刀は何の関係も無い。軍隊の武器として日本刀が使われたことも無い。自衛隊は憲法に忠実に従ってきた集団だ。逆に言えば、三島は、戦後の自衛隊と日本の侍文化を結び付けようとしたんだな」。朝日新聞は、「日本刀は武器である。よって戦争礼賛に繋がる」と言いたいのだろう。しかし、私が心配になったのは、寧ろ逆だ。

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【「佳く生きる」為の処方箋】(24) 心臓も年を取る

どんなに精巧な機械でも、長年使い続けていると金属疲労で部品がポキッと折れたり、螺子が緩んだりしてガタがきます。“経年劣化”と呼ばれる現象です。実は、同じようなことが心臓でも起こります。心臓は平均的な成人の場合、1分間に約60~90回、1日にすると約10万回も収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しています。個人差はありますが、健康な人でも70~80歳になると、心臓に何らかの経年劣化が生じてきます。人生50年の時代なら、劣化に気付かず天寿を全うできたでしょうが、長寿の時代はそうもいきません。心臓の経年劣化は、まさに長寿故の現代的な問題と言えます。では、どんな劣化が生じるのか。代表的なのは動脈硬化です。心臓の表面を覆う冠動脈や全身に血液を送る大動脈では、絶えず血液が流れていますから、血管壁にコレステロールや老廃物が溜まり易い。この為、血管の内側が狭くなり、狭心症や心筋梗塞に繋がります。また、心臓には血液の逆流を防ぐ為、大動脈弁や僧帽弁などの“弁”があり、開閉を繰り返しています。この弁も動脈硬化によって硬くなったり、狭くなったりします。この結果起こるのが、“大動脈弁狭窄症”等の心臓弁膜症です。動脈硬化は謂わば“じわじわ型”の経年劣化ですが、これとは違って、激しい症状がいきなり出現する“不意打ち型”の経年劣化もあります。走行中の車のボルトが突然破断して車輪が脱落し、大事故に至るようなものです。下手をすると突然死に繋がりますから、非常に厄介です。例えば、心臓弁膜症の1つに“僧帽弁閉鎖不全症”があります。左心房から左心室への入り口にある僧帽弁がきちんと閉じなくなる為、血液の逆流や漏れが生じる病気です。

原因は色々ありますが、中でも怖いのが“腱索”の断裂です。僧帽弁には、弁を支えるパラシュートの“紐”のような腱索が何本も付いているのですが、これが経年劣化で弱くなり、ある時突然、ぶちっと切れてしまう。何年も運動らしい運動をしていなかった人が、急にスポーツをしてアキレス腱を切った等という話を聞きますが、それと同じような ことが心臓の中でも起こる訳です。これにより、急性心不全等が生じ、突然死に至ることもあるのです。では、このような経年劣化に対してどんな手立てがあるのか。答えは、金属疲労の仕組みを考えると明白です。例えば、大きな外力がかかったり、急激な温度変化に曝されたりすると、普通なら未だ折れないようなものでもポキッと折れてしまうことがあります。心臓も同じ。心臓の場合、外力に相当するのは“血圧”ですから、急に上昇したり、高いまま放置したりしていると経年劣化が早まり、不意打ちの変調を招いてしまいます。ですから、先ずは血圧をしっかり管理することが肝要。動脈硬化を悪化させないように、コレステロールを抑えることも重要です。また、経年劣化は自己点検もできます。その方法が“運動”です。例えば、以前は平気でゴルフをしていたのに、最近はどうも息が切れるという場合は、経年劣化がかなり進んでいる証拠。或いは、そこまでいかなくても「ちょっと負担に感じる」とか、「何となく気分が乗らない」というのも、実は経年劣化のサインの可能性があります。本人も気付かないような体調の変化が、そういった言葉の中に隠れていることがあるのです。「一休みしたら良くなった」や「水を1杯飲んだら落ち着いた」も、よく聞く言葉です。こうした言葉が口から出るようになったら要注意です。


天野篤(あまの・あつし) 心臓外科医・『順天堂医院』院長。1955年、埼玉県生まれ。日本大学医学部卒。『亀田総合病院』『新東京病院』等を経て、2002年に順天堂大学医学部心臓血管外科教授に就任。2012年2月18日に天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀。2016年4月より現職。著書に『一途一心、命をつなぐ』(飛鳥新社)・『この道を生きる、心臓外科ひとすじ』(NHK出版新書)等。


キャプチャ  2016年10月27日号掲載

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【男の子育て日記】(24) 6月16日

ドキュメンタリー映画監督の松江哲明さん御家族とお会いした。元々、数年前から映画館やマスコミ試写会で挨拶はしていた。ネトウヨが幅を利かせるツイッターの世界で、松江さんのアカウントを見つけてからというもの、氏の真っ当且つ率直な物言いに感激し、フォローさせてもらっていた。うちの一文は去年の12月に生まれたけど、松江さんもその2ヵ月ぐらい前にお子さんが誕生していた。それを知って益々親近感が増して、DMでお互いの赤ん坊の写メを送り合ったり、「母乳飲んでます?」「ワクチンは何を打ちました?」等と相談したりして、すっかりパパ友になっていた。この連載の6回目にも書いたように、松江さんの奥様はドイツ人で、しかも美人。お2人の赤ちゃんは写メを見る限り、それはそれは可愛い。奥様は、赤ちゃんを連れて歩いていると皆が絶賛してくれるので、「学校で一番人気の男子に告白された気分!」と仰っていたそうだ。これまで写メを見せていたので、妻も会えるのが楽しみのようだ。「でも、俺はあの子を目の当たりにしても、可愛いなんて言わんぞ。松江さんは言われ慣れているからな。ここは心を鬼にして、封印する」。「それにはどういう意味が…?」と妻呆れ。で、東京都内のお蕎麦屋さんで初対面。松江さんに一文を抱っこしてもらって写メを撮っているところに、奥様と赤ちゃんがいらっしゃった。

見た瞬間、息が止まるかと思った。圧倒的に頭が小さい。フォルムが違う。赤ん坊なのにプロポーションが良過ぎ。駄目だ、我慢しようとしても出てしまう。「か、かわい…塾、夏期講習はお早めに…」。両さんが真夏に「俺は何があっても“暑い”って言わないぞ」と誓った直後に、麗子から熱湯をかけられて、「あつっ…み二郎」と言い逃れしたコマが脳裏を過った。○○君を抱っこして写メを撮りまくる。駄目だー。この世のものとは思えない。前にも書いたけど、自分の子供だから可愛い訳じゃないですか。本当はブサイクだとしても。でも、これは「レェェェベェェルルゥが違うんだよ!」(※外道オマージュ)。いやぁ、参った。「松江さん、完敗です」「勝ち負けじゃないですよ」。松江さんは笑っていたけど、俺は見逃さなかったね。松江さんの目には勝者の余裕があった。いやしかし、この日は心から楽しかった。子供がいる人と、しかも歳が近い子を持つ親とのお喋りって超楽しい。あるあるネタで盛り上がる(でも冷静な自分もいる。じゃあ子供がいない人とは仲良くなれないの? 壁を作ってしまわないか?と)。すっかり心を奪われてしまい、「○○君、うちの子にならない?」とスカウトした。ソッポを向かれたけど。奥様が言う。「でも、子供のうちに可愛いって言われても、将来はアテにならないですからね」。そうだそうだ。かず君、先は長いぞ。自分以外の赤ちゃんを褒められてひねていると思うけど、君にも逆転の可能性はあるからな!


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年10月27日号掲載

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【ヘンな食べ物】(10) 竹もちは国境へ誘う

タイ北部の田舎、それもミャンマーやラオスの国境に近い場所に行くと、いつも買うおやつがある。市場やバスターミナルで売っている長さ30㎝ほどの細い竹の筒。『カオラム』という名前があるのに、私は勝手に“竹もち”と呼んでいる。竹の中に餅米(赤米)と小豆を詰めて、ココナッツミルクを流し込み、焚き火で2時間ほど炙るという。すると、外側は焼けて中は蒸し焼きになる。焼けた竹の表面の皮を剥がし、柔らかい内皮だけが残されている。丸1日くらいもつので、お弁当代わりのおやつとしてうってつけだ。近代化が著しいタイだが、この竹もちを見ると「あぁ、辺境に来たんだなぁ」という感概に浸れる。これを2~3本買い込み、バス旅のお供にするのが私の習慣だ。この辺のローカルバスは、今でもエアコンなど効いていない。車内には小型の扇風機がうんうん唸り、その微々たる風に煽られ、剥がれかかった高僧ポスター(※タイ人は有名なお坊さんのポスターが大好き)がパタパタはためいている。道もバスのスプリングも悪い為、バスはガタガタと揺れ、隣の座席に置いた竹もちもぽくぽくと跳ねる。跳ねてどこかへ飛んで行きそうになるので、早めに食べることにする。蕾を食べるように外側の皮を剥くと、それこそパッと花が開いたような形になる。現れた花心ならぬ餅米を食べると、ほんのり甘く香ばしい。皮は片っ端から窓の外に放り捨てる。全て土に還るし、人口も少ないから全然問題無い。餅米を堪能し、皮をすっかり捨て、序でに窓から手を出してパンパン叩くと、おやつ時間終了。気分はタイ北部の地元民になっている。自分が日本で生まれ育った人間じゃないような錯覚に囚われる。そんな心持ちの私を乗せ、バスは国境へ向かっていく。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2016年10月27日号掲載

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【アメリカ大統領選2016・激戦の現場】(03) アリゾナ州…共和の牙城、広がる亀裂

20161027 04
「共和党支持者が全員、お前に投票すると思うなよ!」――。アリゾナ州プレスコットバレーで今月4日に開かれた、共和党候補であるドナルド・トランプ氏(70)の集会。民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)を罵り続けるトランプ氏に対し、男性3人が呆れ気味にこう叫ぶと、トランプ氏の指示で屈強な警備員に摘み出された。建国の精神を維持する東部の白人が多く移り住んだアリゾナ州は、共和党の牙城だ。だが、今回は共和党支持者が分裂し、世論調査の支持率でトランプ、クリントン両氏が拮抗した“激戦州”になっている。「伝統には縛られない。不適格な男を大統領にしないことが大事だ」。同州の有力保守紙『アリゾナリパブリック』のフィル・ボアス論説委員長(57)は、そう言い切った。創刊から126年間、共和党支持を貫いてきた同紙は先月末、「クリントン氏を支持する」と表明し、全米を驚かせた。その社説を書いたのがボアス氏だ。「移民政策で混乱を極め、外交に無知で品の無い彼を支えられないと判断した」と語る。

メキシコ国境の不法移民の摘発件数は減少傾向にあり、移民は工場や農場にとって貴重な労働力だ。同紙等の8月の世論調査では、過半数がトランプ氏が主張する国境の“壁”を不要と考え、不法移民の強制送還への反対は約7割に達した。保守系有権者の“トランプ離れ”という願ってもないチャンスに、同州のクリントン陣営幹部であるエンリケ・グチエレスさん(30)は、「民主党への風を感じる」と明るい表情で語った。カギを握るのは、ヒスパニック(中南米)系移民の投票行動だ。過去20年で、人口が州全体の6分の1から約3分の1にほぼ倍増した。最新の世論調査では66%がクリントン氏を支持し、トランプ氏の21%を大きく引き離している。陣営や反トランプ氏の市民団体は、こうしたヒスパニックの支持を票に繋げる為、戸別訪問で発掘した支持者に有権者登録を促す活動に力を入れている。州内拠点や電話ボランティアの数も増やした他、今月中旬以降、娘のチェルシー氏、ミシェル・オバマ大統領夫人、指名候補を争ったバーニー・サンダース上院議員もアリゾナ入りした。クリントン氏本人も検討しているという。共和党の強力な支持基盤の1つであるモルモン教(『末日聖徒イエス・キリスト教会』)の教徒も、“自主投票”の動きを見せている。独特の信仰スタイルが異端視されて迫害を受けた歴史があり、教徒のポール・バードさん(26)は「我々を脅かす可能性のあるトランプ氏を支持できない」と強調する。ただ、トランプ氏を離れた有権者の全てが、クリントン氏支持に流れる訳ではなさそうだ。選挙情勢に詳しい同州元司法長官のグラント・ウッズさん(62)は、「ヒスパニック系は、人口が増えても選挙への関心が低く、有権者登録数が比例して増えてはいかない」と指摘。モルモン教徒には、妊娠中絶を容認するクリントン氏を支持しない人も多く、「共和党の反トランプ票は、“リバタリアン党”等の第3党にも多く流れるのではないか」と分析する。 (田原徳容)


⦿読売新聞 2016年10月22日付掲載⦿

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“絶対に儲かる極秘情報”にカモがどんどん集まった――“ニセ八百長”で億を稼ぐ競馬必勝法詐欺の手口

20161027 02
黒のビジネスバッグにクールビズのスーツ、人当たりのいい営業マン姿の篠原翔さん(仮名・29)は、僅か1年で4億円の被害を出した“競馬必勝法詐欺”の実行犯である。一体、どんな詐欺なのか? 篠原さんは、営業トークのような軽快さで説明を始める。「どんな詐欺でも基本となるのは、“絶対に儲かる極秘情報”の設定です。ギャンブルの必勝法でいえば八百長です。競馬の場合、馬主にアラブの大富豪やヨーロッパの貴族や王族等、世界のスーパーセレブが名を連ねています。『彼らが八百長レースを行っている』というリアルな設定ができる分、競馬は都合がよかったんです」。カモを集める“撤き餌”は、従来のようなスポーツ紙の広告や携帯電話のスパムメールではなく、「インターネットサイトを使ったのも新しかった」という。先ず、2万円を払ったサイトの有料会員に、“勝ち馬券の2割をサイト運営会社の成功報酬”という条件で、お試しの八百長レースを教える。この時、「情報漏洩しないよう、レース直前に結果をインターネット上にアップロードする」と伝えておくが、当然、情報はアップしない。レース後に結果を見てアップして、サイト上でアップした時間の表示を操作して、レース直前にアップしたようにしておけばいいのだという。「レース後、こちらから電話をして『成功報酬を払って下さい』と言う訳ですが、勿論、お客さんと揉めることになります。ここで、『正規の会員さんは、事前に八百長レースの結果を教えているので、今回も数百万円勝っていますよ』と話す。そうして、『事前に八百長の結果を教える場合には、情報料30万円を先払いして下さい』と誘導するのです」。

言うまでもないが、指定したレースは外れる。「逆に、『馬主から、“情報が漏れているから八百長を中止する”という連絡が入った。貴方に教えた途端、漏れたのはどういうことか!』とガンガン客を責めるんですよ。その後、『貴方も損をしたでしょうから、次のレースで巻き返しませんか?』と優しく誘導する。次の八百長レースの情報を100万円→300万円→500万円と、額を吊り上げながら紹介する訳です」。この詐欺のキモとなるのが、客と揉めた時の対処法だ。「きちんとマニュアルがあった」と篠原さんが言うように、八百長が中断になった言い訳も各種パターンが揃っており、怒った客の対処方法も“宥め賺す”・“威圧する”・“泣き落とす”等、きめ細かくマニュアル化されていた。「何レース目かの段階になると、客の性格・個人情報や、どのくらい可処分所得があるのか、ある程度は把握しているんです。そして、カモから絞れるだけ絞り取るんです」。最大のカモからは、9回騙して4000万円毟り取ったというから恐れ入る。「1クール3ヵ月で一旦、会社もサイトもクローズしていました。それを4クール、約1年やったのかな。1クール当たり売り上げで言えば、億は超えていましたね」。篠原さんによれば、この競馬必勝法詐欺は、詐欺としてはそれほど儲かる手法ではないという。ダミー会社の登記や足の付かない口座、更に手間暇がかかる為、必然的にスタッフの数が増えるからだ。「実際、うちで言えば、現場のメンバーが最低でも5人、1クール当たり経費が1000万円以上かかっていました。僕は雇われスタッフというか営業マンみたいなもので、給料も歩合制になっていて、1クール平均すれば300万円、年収で1000万円ぐらいでした」。割は良くないが、それでも“逮捕リスクの低さ”が、この詐欺の魅力だという。「競馬の予想をして、その情報と引き換えにカネを貰う。要するに、競馬の予想紙と一緒なんです。有料の予想紙を買って、それで外れたからと詐欺で訴える人はいないでしょ? 客とも直には接触せず、追跡できないようにしていた。ローリスクの詐欺として開発された最新の手法だったんですよ」。今は詐欺から手を引いている篠原さんだが、最後にこうも言った。「でも、元手として500万円、あと仲間が2人いれば、自分が親になってまたやってもいいですね。リスクは少ないんですから」。 (取材・文/フリーライター 西本頑司)


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【刑務所のリアル】(01) 地獄に堕ちた女のラストチャンス…クスリ漬けで天涯孤独になったシングルマザーの“獄中結婚”

“獄中結婚”――。そんなロマンチックな出来事が実際に起こることもある。覚醒剤の所持と使用で有罪判決を受けた染宮友香さん(仮名・25)も、その1人だ。 (聞き手/フリーライター 清水芽々)

20161027 01
20歳の時、成人式後の同窓会で、中学時代に片思いしていた彼と再会。その日のうちにラブホテルへ行って妊娠。済し崩しにできちゃった結婚しました。この軽率な行動が、全ての始まりだったと思っています。「母として子供に責任がある」という自覚と、嘗て好きだった男性と結婚できたという私の少女趣味な考えは甘かったことを、直ぐに知りました。酔った勢いのセックスが招いた妊娠と、結婚に彼が責任や愛情を感じる筈もなく、結婚生活は直ぐに破綻。乳飲み子を抱え、途方に暮れそうになっていた私は、知り合いに紹介されたスナックで働き始めました。シングルマザーで苦労人のママ(50代)と、ママの実弟というマスター(41)がとてもいい人だったので、どうにか暮らしていけたのですが、やはり「女として満たされたい」という思いがあったのか、常連客だった阿倍(仮名)というヤクザと付き合うようになったんです。妊娠がわかってから1年半くらい男日照りだった私は、阿倍とのセックスに溺れ、折角の稼ぎを貢ぐまでになりました。そんな私を心配したママとマスターが「手を引くように」と阿倍に忠告をすると、阿倍は私に強引に薬物を与え、更に言いなりにしました。そしてある日、赤ん坊を託児所に預けっ放しにしていたことで児童相談所に連絡が行き、警察が介入。自宅で薬物でぐったりしていたところを踏み込まれて、私は逮捕されました。初犯であること、子供がいることに加え、マスターとママの陳情もあったせいか、判決は1年6ヵ月でしたが、執行猶予が3年付きました。ここで更生すればよかったのですが、逮捕が原因で正式に離婚し、実家からは勘当され、子供は施設に預けさせられ、私は天涯孤独に。その寂しさから逃れられず、自分から阿倍に連絡を取って、再び薬物に手を出しました。

当時、ママとマスターのところに居候をしていた私は阿倍に連絡し、家出同然に姿を消していました。その私が阿倍と一緒にいることを知ったママが通報し、中毒状態のまま私は連行されました。当然、執行猶予は取り消しになり、1年6ヵ月の間、栃木刑務所に収容されることになりました。配属は洋裁工場でしたが、薬物犯罪者ばかりの雑居房で精神病院のようでした。矢鱈と話しかけてくる40代のおばちゃんがいて、最初はちょっと和んだ気分になりましたが、薬物の影響で、話した相手や話の内容を直ぐに忘れてしまうという痴呆のような症状だったようです。誰も相手にしていないのに、1日中喋っている姿にゾッとしたのを覚えています。逆に、周りと全く関わらない鬱っぽい人もいました。私と同じくらいの年齢だったと思います。子供が3人いるという主婦の受刑者は、家族が面会に来る度に号泣していました。雨風が凌げて、3食食べられて、布団があって、病気になれば医者にかかることができて…という過不足の無い暮らしではありましたが、やはり外の世界と遮断された環境は不安で、寂しくて、辛いものがありました。そんな私にとって心の支えとなってくれたのがマスター。獄中結婚した今の夫です。定期的に面会に来てくれて、身内にすら見捨てられ、実の子供も手離すことになった私を責めることなく、「人生をやり直そう」と励ましてくれました。プロポーズをされたのは1年が過ぎた頃。未だ刑期が半年ほど残っていましたが、「その間に僕が新生活の準備をしておくから、君は心の準備をしていて下さい」と言われ、涙が止まりませんでした。刑期を終え、出所した私は、迎えに来てくれた夫の車でそのまま新居へ。一番初めに考えたことは、施設から子供を取り戻すこと。その為には生活を立て直す必要があるので、刑務所に技術指導に来ていた方の美容室で、美容師見習いとして働くことになりました。「もっと経済的に安定したい」と思ったし、「若しまた1人になってしまった場合でも、子供をきちんと育てていけるように…」という考えで、手に職をつけようと思ったんです。夫は私の交友関係や環境に配慮し、「別の土地でやり直したほうがいいだろう」と、ママの店を出て、違う店で雇われマスターとして働き始めています。今は施設に夫婦で面会に行き、子供と交流しています。3人で暮らせる日も近いと信じて生きています。


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テーマ : 社会ニュース
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【迫り来る北朝鮮と中国の脅威】(03) 日本は最早アメリカを頼れない

20161026 14
「日本政府には、未だにこんな“中国観”を持っている人がいるのか」――。北朝鮮による“水爆実験”から1ヵ月が経過した2月6日。私は、ある新聞記事を読んで愕然として、思わず背筋が寒くなった。『安保理制裁決議 足踏み』と題された読売新聞の記事(同日朝刊)は、国連安保理で北朝鮮に対する追加制裁の採択が、中国の“慎重姿勢”によって思うように進まない事態を伝えていた。丁度、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を予告していたタイミングでもあり、政府関係者が苛立っているという。そこまでは理解可能だ。しかし、私が驚いたのは次の記述だ。「日本政府内には当初、『今回は中国の協力が速やかに得られるだろう』と楽観的な観測もあった」。というのも、中国は今回の核実験を事前に知らされておらず、実験当日に金正恩政権に対して不快感を表明していた。従って、「今回、中国はアメリカと協力して、厳しい制裁決議に早期に賛成するだろう」と日本政府は見ていたというのだ。勿論、政府内の一部の人間の考えに過ぎないのだろう。しかし、これはあまりにも古い中国観である。まさしく、鄧小平が使った“韜光養晦”(頭を低くして揉め事を起こさず、経済に専念して“その日”を待つ)の時代の見方なのだ。この調子では、再び日本は中国分析で深刻な過誤を犯しかねない。

結局、嘗てない難渋の末、2月23日の米中外相会談で漸く、対北制裁に関して米中の“暫定合意”があったが、これには日本は大いに懸念を抱くべきなのだ。恐らく、アメリカは見返りに、韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備先送りの約束か、或いは南シナ海でのある種の裏取引をしているであろうからだ。これまで日本は、多くの局面で中国という国を見誤ってきた。中国が我が国の行く末を大きく左右する強大な隣国であるにも関わらず、だ。今、中国は国の在り方が大変動する歴史的な渦中にある。それ故、既に何年も前から、最早、中国は覇権主義的な野心を隠そうとせず、今年に入ってからも、南シナ海の岩礁を埋め立てて、建設した滑走路に大型の航空機を着陸させ、西沙諸島には地対空ミサイルの発射装置やレーダーシステムだけでなく、戦闘機まで配備していることが明らかになった。一方、改革開放以来、大成長を続けてきた中国経済に急ブレーキがかかっている。GDPも伸び悩み、株式市場も低迷が続く。中国社会の矛盾を全て包み隠してきた経済の減速が鮮明になってきているのだ。こうした中国の野望とリスクが、日本を含めた国際社会に重くのしかかっている。そんな今こそ、中国を冷静に見つめ直して、現実に即した視点を持つことが重要なのだ。先ず、習近平政権の外交政策をどう見ればよいのだろうか。その為には、近年の中国外交を改めて振り返り、その変化の大きな流れを知らなければならない。1978年、『文化大革命』に終止符を打った鄧小平は、冒頭で述べた韜光養晦に象徴される外交方針を国是としてきた。それが一転して、国際社会に対して強い自己主張を始めたのは、国家の威信を賭けた北京オリンピックを無事に終えた2008年頃のことだ。アメリカでサブプライムローン問題に端を発したリーマンショックが起きる等、世界的経済不況が深刻化していた時期に、中国の政権中枢では、急成長した経済力を背景に、「中国は自らの力に相応しい主張をし、やるべきことはやる」という“適切主張”をスローガンに唱える人が増えた。そしてその後、目に見える形でその“野望”を剥き出しにし始めた。

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