【迷走する所得税改革】(01) “夫婦控除”財務省の誤算

年末に向けて本格化する政府・与党の税制論議は、焦点の所得税改革が出だしから混乱している。「専業主婦を優遇する配偶者控除に代わって、結婚世帯を広く支援する仕組みを作る」という財務省の提案が、早々に退けられたからだ。財務省は、国民の利害が縺れる所得税改革を入念に準備してきたつもりだが、世論を意識する政府・与党内の視線は冷めていた。

20161130 08
「シャウプ勧告以来の抜本的な見直しを目指す」――。財務省の佐藤慎一次官は、大戦直後の税制を引き合いに出し、所得税改革の陣頭指揮を執ってきた。35年ぶりに主税局長から次官に就いた佐藤氏は、“所得税の専門家”として知られ、思い入れも強い。同氏が描いた所得税改革の青写真は、政府税制調査会が昨年11月に纏めた報告書にほぼ網羅されている。「女性の社会進出を阻害している」と批判される配偶者控除は、見直し対象の筆頭格だ。結婚を条件に所得税を減らす“夫婦控除”は、配偶者控除に代わる3つの選択肢の1つで、事実上の財務省提案と見做された。「この四半世紀の我が国経済社会の構造変化の“実像”を把握する」。報告書はそう謳い、年収と結婚から結婚・出産前後の女性の就業、世界のインターネット人口まで幅広いデータを示した。幾つもの社会現象から、帰納法的に改革を訴えるやり方だ。佐藤次官が課長時代の2004年に纏めた報告書で、消費増税の必要性を滲ませたのを想起させた。審議会の報告書で世間の関心を呼び起こし、機が熟したところで政府・与党の議論に入る。そんな財務省の作戦は、どこで躓いたのか。最初の誤算は、政府税調の影響力の低下だ。政府税調が1年前に示した所得税改革の青写真は、「世間に届かなかったばかりか、政府・与党内にも浸透していなかった」(他の官庁幹部)。財務省が数年がかりで導いた提案だが、省外の関係者は「唐突だ」と感じた。認識のズレは埋め難かった。

タイミングの悪さも重なった。昨秋、財務省は消費税率10%引き上げ時の軽減税率で“還付案”を示し、首相官邸や与党の批判から撤回に追い込まれた。更に、軽減税率の対象範囲で昨年末まで与党が纏まらず、今年の通常国会は同省の麻生太郎大臣や、当時は主税局長だった佐藤氏が答弁に奔走。軽減税率の混乱が落ち着くまでは、所得税どころでなかった面がある。同じ税制とはいえ、安倍晋三首相が6月に先送りを決めた消費税率引き上げと今回とでは、省内のムードや足並みの違いも歴然だ。数兆円の税収アップが見込める消費増税の判断では、主税局幹部だけでなく、主計局の福田淳一局長らが矢面に立った。所得税改革は増税にも減税にもせず、改正後も税収を変えない、所謂“増減税中立”の想定だ。この前提ならば、実現してもしなくても財政収支には影響ない。主計局は所得税と距離を置き、社会保障予算等といった歳出抑制に力を集中する。膨大な政府債務と財政規律を考えると減税は難しく、増税で個人消費を冷え込ませるのは避けたい。マクロ経済から見れば、所得税改革でトータルの増減税中立は自然な流れのように映る。しかし、「実は単純な増税よりも、増減税中立のほうが難しい制度変更になるかもしれない」との懸念を漏らす政府関係者もいる。増減税中立ということは、個人や家計というミクロの単位では増税と減税が混在する。つまり、“他の誰かの減税を埋め合わせる為”に増税を負う世帯が現れる。トータルで増税する時の「社会保障財源に回す」「財政再建する」という大義に比べ、「隣人の為の増税は納得感が広がり難い」という見立てだ。見立てが的中したとも言えるのが、夫婦控除への反対論だ。専業主婦世帯の負担増を嫌う声は、与党内に根強い。財務省は夫婦控除を諦め、“配偶者特別控除”拡充でパート主婦への減税枠を広げる案を検討する。ただ、「高所得の専業主婦世帯への増税で減税を埋め合わせよう」という考えは夫婦控除と変わらず、賛否両論が飛び交うだろう。政府の看板政策である働き方改革の要に所得税を位置付けた以上、ゼロ回答は許されない。来年度税制改正を固める年末が近付き、財務省に焦りも漂うが、着地点は未だ見えてこない。


⦿日本経済新聞 2016年11月8日付掲載⦿
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【霞が関2016秋】(18) 政府税調、所得税改革で問われる存在意義

政府税制調査会は今日、配偶者控除の見直し案を含む所得税改革の提言を正式に纏めた。中里実会長(東京大学教授)は、同日の会議後の記者会見で「一定の成果があった」と強調したが、目新しい内容は、パート主婦の減税枠拡大を“一案”として盛り込んだぐらい。政治主導で検討が進むパート主婦減税を追認するだけに止まった。所得税改革の推進役としての役割が期待された政府税調に停滞感が漂う。政府税調は昨年11月、所得税の抜本改革案を盛り込んだ中間整理を纏めた。今年の議論が始まった9月初めは、中間整理に沿って具体化していく機運が盛り上がった。だが、今回纏めた提言の内容は、中間整理と然程変わらない。9月から議論を重ねてきたが、新しい部分は「配偶者の収入制限である103万円を引き上げることも一案」として、パート主婦減税の拡大を容認した部分だけだ。「抜本改革の掛け声の下で委員就任を受けたのに、実際はどんどん萎んでいる」。一部の委員は、こう零す。

政府税調の議論が停滞したのは、政府・与党が先月初旬、共働き世帯等にも減税を適用する“夫婦控除”創設の先送りを固めた時期と重なる。配偶者控除を廃止して、夫婦控除を創設すると共に、中低所得者に減税の恩恵が大きい税額控除も導入する――。更に、基礎控除・扶養控除・給与所得控除等の抜本改革に踏み込んでいく。政府税調の昨年の中間整理案は、こうした抜本改革の道筋を示したものだったが、首相官邸が専業主婦世帯の反発を恐れて、早々と夫婦控除案は見送りが固まった。今月9日の提言取り纏めに向けた委員の非公式会合。「“103万円を引き上げるのも一案”という記述は承服できない」。廃止を前提に抜本改革の道筋を描いていた一部委員から、反発の声がでた。今日の会議では、委員の1人である『連合』の神津里季生会長が、「(配偶者控除という)一部の制度の議論ではなく、所得再分配を進めるべく、税体系を見直す議論を早期に開始すべきだ」と訴えた。このような発言の裏には、「税制のあるべき姿を描く専門家集団と言われた政府税調の存在意義が揺らいでいる」との懸念がある。 (飛田臨太郎)


⦿日本経済新聞電子版 2016年11月14日付掲載⦿

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【トランプショック】(10) 期待先行、市場に陶酔感――ラリー・フィンク氏(資産運用会社『ブラックロック』会長)

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――アメリカや日本の株式市場は、新政権を歓迎しているようにみえます。
「法人税の大幅な引き下げ・数兆ドルに上るインフラ投資・金融やエネルギー分野でのこれまでの規制の撤廃…。新大統領が掲げるこれらの成長促進策が好感されているのだろうが、株式市場には陶酔感が漂っている」
「低インフレからインフレへと舞台が変わり、アメリカ経済の成長も加速する。そんな局面転換を期待する雰囲気はある。ただ、私自身はやや慎重だ。株式市場は浮かれ過ぎている気がしないでもない」

――どんな点で?
「新政権の対外政策が未だ読めない。例えば、環太平洋経済連携協定(TPP)に反対し、北米自由貿易協定(NAFTA)を批判している。中国を為替操作国に指定する考えを示している。それらの策を実施した際の波紋が見極め難い」

――アメリカの交渉力を高めるのが狙いなのでは?
「一連の策は、アメリカへの撥ね返りが見逃せない。中国に対する為替操作国の指定を例に取ろう。中国は、アメリカ国債全体の12~15%を持つ最大の保有国だ。アメリカ国債の買いから売りに転じた場合には、アメリカの長期金利の急騰を招く」

――金利の上昇幅は?
「わからない。ただ、金利が急騰すれば、アメリカ株への影響は避けられないだろう」

――ドル相場が独歩高になっています。
「ドル高の背景には、新政権の成長促進策への期待感に加えて、財政赤字の拡大を織り込んだアメリカの長期金利の上昇がある。ドル高が進むと、アメリカ企業の輸出競争力を低下させてしまう。トランプ次期大統領は競争力の強化を掲げているが、実際には、ドルの過大評価がアメリカの対外収支を悪化させかねない」

――新興国からアメリカへ資金が流出しています。
「新興国については、通貨安の結果、輸出競争力が高まるので、先行きを心配していない。南米ではアルゼンチンに注目している。インドのような改革志向の安定した政権の国は、高成長を達成している。私は、中国に中長期的な視野で楽観的だ。外需から内需への転換は間違っていない」

――連邦準備理事会(FRB)は、新政権との間合いが難しいですね。
「FRBが徐々に金利を引き上げるのは理に適う。気をつけるべきなのは、ドル高に伴うアメリカ景気の下押し効果だ。この影響が大きいと、利上げ実施に慎重となろう」

――減税で投資や消費が増えれば、外需不振を内需で補えるのでは?
「アメリカ企業が投資を控える場合、需要を見い出しかねている為で、税金の重さが主たる要因ではない。アメリカの家計は元々、消費性向が高い。退職後の生活設計を考えると、減税分は貯蓄に回るのではないか」

――それなら、アメリカ経済の成長力を高めるには何が必要なのでしょうか?
「『人間が営んでいた仕事が、テクノロジーや機械に置き換えられてしまう』といった不安感が人々を覆っている。変化が加速する時代に重要な役割を果たす教育に、力を入れる必要がある。社会のインフラへの投資の強化も重要だ。アメリカ国民の願いを実現する強い新大統領を期待したい」

――日本については?
「人口減少に対しては、子育て等、家計を支援する政策が大切だ。生産性を向上させる為に、日本が強みを持つ先端技術をもっと積極的に活用すべきだろう。社会に安定感を与える長期雇用を維持しつつも、雇用の流動性を高めるようにするのが望ましい」 (聞き手/編集委員 滝田洋一)


⦿日本経済新聞 2016年11月26日付掲載⦿

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【働く力再興】第1部・安住の根を絶つ(03) 自由な職場とAIを武器に…24時間、賢く生きる

20161130 06
人口減が加速する日本。労働者の数が減り、働く時間も減るとなれば、経済は縮小基調に入らざるを得ない。成長を続け、豊かな社会を保つにはどうするか。1人が今以上に長く働くか、より効率的に働くか――。『リクルートホールディングス』の麻生要一氏(33)は、1人で3役を熟す。本職は、リクルートの新規事業開発の責任者。ある時は自ら立ち上げたウェブサービス開発の『ニジボックス』(東京都中央区)社長、またある時は起業家向けシェアオフィスの運営者。新規事業を提案する若手には、365日相談に応じる。目まぐるしい毎日でも、睡眠は1日8時間。忙しい合間に散歩したり、休日は1歳の娘と公園に出かけたり。「心身が万全でないと、迅速で明確な意思決定ができない」と律する。「仕事は無限大にあるが、時間は有限。体調や心の状態を管理し、生産性を上げる」。日本人の1時間当たりの労働生産性は、主要国の中では下位。一方、スウェーデンには1日6時間労働で成果を出す企業もある。自らの健康と家庭を守り、ITも駆使しながら、24時間を有効に使う。

東京大学の川口大司教授(45)は、「生産性向上がワークライフバランスを実現させる。北欧の高福祉は、高い生産性に支えられている」と好循環の仕組みを解説する。『ユニリーバジャパン』(東京都目黒区)は今年7月、全社員の8割に当たる約400人が、カフェや自宅等といった会社の外で働ける制度を導入した。勤務や休憩の時間は、従業員が自由に決めていい。「社員1人ひとりが自分の能力を最大限発揮できるよう支援する」。朝は通勤ラッシュを避けて駅近くの共有オフィスで働き、午後は会社で同僚らと意見を交わす。働き方は時空を超える。これから先、働き手は未曽有の競争社会に入る。ロボットや人工知能(AI)が、人の代わりに大抵の仕事を熟す。そうなると、労働者は数百万単位で不要になる。日本の生産性は上がるかもしれないが、残った生身の人間はどうするか。『野村証券』エコノミストの水門善之氏(34)は、AIを取り込む。AIには、政府や日銀のリポートを基に、景況感指数を作ってもらう。これまでは、時間をかけて自分でデータを入力していた。AIが代わりに働いてくれる分、分析手法の開発や予測の精査に力を注ぐ。「AIとの役割分担は、日本全体の生産性向上になる」。確信を深めている。長い時間を会社で過ごすと、子育てや介護との両立は苦しくなる。最早、長時間働いて成果を出すという時代ではなくなっている。時間を節約すると共に、技術革新をものにし、効率的に、そして今まで以上に多くの成果を生み出す。その術を身につけた労働者は、これまでにない働きがいと暮らし易さを手に入れる。


⦿日本経済新聞 2016年9月2日付掲載⦿

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“暴言王”ドナルド・トランプよりも醜悪! カネと利権に塗れたヒラリー・クリントンのヤバ過ぎる正体

ヒラリー・クリントンの勝利が確実視されている来月8日投開票のアメリカ大統領選。しかし、この女性初のアメリカ大統領就任が確実視されている彼女は、とんでもないカネの亡者。その正体を徹底検証する!

20161130 04
1年以上に亘って馬鹿騒ぎを繰り広げてきたアメリカ大統領選が、愈々大詰めを迎えている。大統領選は現在、民主党のヒラリー・クリントン(68)と共和党のドナルド・トランプ(70)の一騎打ちによる本選の真っ只中だが、アメリカ国内の各種世論調査では、ヒラリーが各州でリード。一時は支持率が拮抗していたものの、情勢を見る限り、このままヒラリーが次期大統領に就任する可能性が高い。若しそうなれば、多くの日本人はホッと胸を撫で下ろすことだろう。「トランプのような頭のおかしいヤツが大統領にならなくてよかった」と思うに違いない。確かに、トランプといえば“暴言王”と呼ばれるイカれた人物。日本に対しても、「日本がもっとカネを払わなければ、在日アメリカ軍を撤選させる!」「若し、日本がアメリカ産牛肉に38%の関税をかけるのなら、我々も日本の自動車に同率の関税をかける!」等と無茶苦茶な発言をしている。そんな人間が世界第1位の経済大国のリーダーとなり、世界最強のアメリカ軍の最高司令官になれば、日本だけではなく、多くの国にとっても大迷惑な事態となる。だからこそ、普通に考えれば「ヒラリー大統領のほうがいい」となる訳だ。しかし、そこにはとんでもない間違いがある。抑々何故、今回の大統領選はここまで縺れたのか。トランプのことを“頭のイカれたバカ”と思っているのは、アメリカ人も同じだ。トランプ支持者の大半は低学歴で貧乏な中高年の白人たちで、他の大多数の真面なアメリカ人はトランプのことを嫌っている。ところが、大統領選は混戦模様となり、一時は世論調査でもトランプが優勢となった。その最大の原因こそ、ヒラリーにあるのだ。実は、華麗な経歴を持つ超エリートのヒラリーだが、アメリカでは鼻持ちならない“嫌な女”として、多くの国民に嫌われている。世論調査で「ヒラリーと聞いて思い浮かべる言葉は?」と質問すると、「嘘吐き」という答えが最も多いほどだ。性格の悪さを表すエピソードにも事欠かない。つまり、今回の大統領選は、嫌われ者同士が低レべルな争いを繰り広げる史上最悪の選挙戦なのである。

たとえヒラリーが勝ったとしても、それはトランプに比べてほんの少しだけマシという選択に過ぎない。トランプ同様に、日本が大迷惑を被るのは間違いないのである。ヒラリー政権が誕生して先ず始まるのは、今以上に酷い超格差社会だ。“貧困女子”・“下流中年”というキーワードが象徴するように、日本でも2000年代後半以降、一握りの大金持ちと大多数の貧乏人による二極化社会が大きな問題になっている。この格差社会は、アメリカが進めた金持ち優遇の経済政策が最大の原因だ。グローバル経済で得するのはエリート層ばかりで、中間層や貧困層には全く恩恵が回らない。その諸悪の根源となっているのが、巨大金融資本による“カネにものを言わせた政治的影響力”である。ウォール街の大金持ちが特定の大統領候補に巨額の資金を注ぎ込み、その見返りとして、政権誕生後に彼らが大儲けできる政策が実行される。そして益々、金持ちが肥え太っていくという構図だ。巨大資本がカネをばらまいてアメリカ政府に進めさせた『環太平洋経済連携協定(TPP)』は、その典型だろう。そして、この巨大金融資本と最も癒着しているアメリカの政治家が、他でもないヒラリーなのだ。例えば、ヒラリーの選挙事務所があるのは、世界最大の投資銀行として知られる『ゴールドマンサックス』のニューヨーク本社ビルの中で、事務所長は同社の経営幹部だった人物。ヒラリーは、同社から選挙運動を通じて多額の寄付を受け取っているばかりか、たった3回の講演をしただけで総額67万5000ドル(日本円にして約7400万円)もの巨額の講演料を貰っている。巨大金融資本がこんな大金をポンと払うのは、“ヒラリー大統領”に対してそれ相応の見返りを期待しているからに他ならない。実際、昨年アメリカで話題となったベストセラーを原作にした映画『クリントンキャッシュ』では、ヒラリーが国務長官時代に行っていた薄汚い錬金術のカラクリの一端が明らかにされている。それによれば、先ず巨大資本傘下の外国企業が、ヒラリーの夫であるビル・クリントンが運営する慈善団体『クリントン財団』に寄付を行う。すると、国務長官のヒラリーが、その企業のビジネスに有利な取り計らいをする。その後、この企業の依頼で講演を行って、巨額の講演料を受け取るのだ。この手法によって、2009年から2013年までに同財団が集めた資金は、日本円にして150億円以上にも上るという。ヒラリーが大統領になれば、巨大資本だけが得をする政治に益々拍車がかかる。1%の超富裕層と99%の貧困層に分断された世界最悪の格差社会が、更に拡大するのだ。そして、それは日本の未来の姿でもある。

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情弱ブスの貧困女子は蚊帳の外? 普通のキラキラ女子が富裕層とセックスで荒稼ぎする“パパ活”の実態

貧困女子がはした金で体を売る中、キラキラ女子は富裕層からたんまり“お小遣い”を貰っていた。一般女性に浸透している“パパ活”とは一体何なのか? その実態に迫ってみた。 (取材・文/本誌編集部)

20161130 01
今、女性たちの間で“パパ活”が流行っている。パパ活とは、女性たちが夢・願望・自己実現の為に就活や婚活をするように、パパ(所謂“パトロン”)を見つけることだ。昔から、肉体関係を結んでいる特定の男性のことを“愛人”と言うが、“愛人”と“パパ”は似て非なるもののようだ。超有名美熟女であるAV女優の与沢さん(仮名・33)は、結婚2年目。旦那と暮らしながら、現在は3人の“パパ”がいるという。AV女優の彼女にはファンがいる為、名前非公表という条件で本誌の取材を受けてもらった。旦那には「芸能系のマネジメントをしている」と嘘を吐いている。色気ムンムンの与沢さんは、今のところ、AV女優の仕事もパパがいることもバレていないという。「AV女優の仕事は精々、月8日間くらい。AV女優って暇ですよ。プライベートは旦那の手前、働いているフリをしているけど、特に何もしていなくて、3人いるパパと遊ぶくらいです。当然、セックスもしますよ。相手は40~50代の会社社長とか自営業の人で、其々月10万~25万円の現金を貰っています。仕事で付き合っているというよりも、相手も私を好きでいてくれて、お金もくれるし、私も相手が嫌いじゃないので、まぁいいかなって。熟女系のAV女優は皆、パパがいますよ」。与沢さんは、異業種交流会等のイベントや飲み会、アルバイト先のキャバクラ等で男性を吟味し、パパを探している。パパは全員、社会的地位の高い既婚者で、平均週1回会って、相手が望めばセックスをするという。「パパから貰う収入だけで、月40万円くらいになります。AVの収入より少し低いくらいですが、贅沢する訳じゃないから、生活費以外エステとか美顔に使います。『綺麗にしていれば男性に喜ばれて利益になる』って気付いたのは学生時代で、20代後半からAV女優を始めてお金が余るようになって、美容を始めました。だから、何とか肌とスタイルは維持しています。それからは、人が集まるところに出向けば、普通に年上の男性から口説かれて、お金は勝手についてくるみたいな」。与沢さんは、自分自身への投資を惜しまない、極めて外見スペックの高い女性だ。男性から近付いてきて、相手を選んで口説きを受け入れ、勝手にお金を払ってくれるので、体を売っている感覚は無い。元々、年上が好きなこともあって、パパとは“友だち以上彼氏未満”だという。

松下さん(仮名・45)は、元銀座のホステスだ。交際クラブの紹介で、現在、2人のパパと定期的に会っている。交際クラブとは、男性会員に女性会員を紹介する会員制のクラブのことで、当然、多くの男女間で売買春は行われるが、業者は入会金と紹介料を徴収し、男性会員に女性を紹介するだけ。男性会員から入会金と紹介の度に紹介料を徴収して、紹介後は男女関係にクラブが関知することはない。値段は凡そ入会金2~3万円、セッティング料で1人につき1.5~2万円。これに、女性とのデート代(食事代やホテル代実費)や女性に支払うチップ(セックスは2~3万円が相場)の費用が必要だ。松下さんは元銀座ホステスだけあり、かなりスペックが高く、1回のセックス込みのデートで5万円以上を貰うという。男性客は、一流企業のサラリーマンや中小企業の経営者が多い。「交際クラブでパパを見つけたい時は、クラブから紹介してもらいます。私に会いたいって人がいると、連絡を貰って待ち合わせして、お茶したり食事したり、デートみたいなことをして、最後にホテルに行ってお金を貰う感じです。私の場合は大抵5万円で、値段は自分で好きに決められるし、お金を貰わなくてもOK。だから男性会員たちも、女性を紹介してもらっているだけで、風俗とか売春という感覚ではないかな。交際クラブはずっと続けていて、もう7年目。もっといい人がいるかもしれないし、今も男性会員に指名されて、時間があれば会いに行く予定です」。一度きりの関係もあれば、定期的に会うこともある。しかし、交際クラブに登録して3年目の時に、松下さんは深い恋愛関係となる男性と出会った。「既婚男性で年下だけど、完全にパパ。生活全部の面倒をみてもらっていました。相手の希望で水商売も交際クラブも全部辞め、自分が住んでいた銀座のマンションを引き払ったので、その人が、会社の近くにある中央区の高層マンションの最上階を借りてくれました。その人は自宅からうちに来て、朝ご飯なんかを食べて出社していましたね。家賃は全て向こう持ちで、一応、お小遣いも月10万円は貰っていましたし、欲しいものがあれば、相談すれば買ってくれましたね。それまでパパに深入りすることは考えなかったけど、会っているうちに私のほうがどんどん好きになっちゃいました」。相手はやり手の青年実業家だった。既婚者で家庭があって、会社の近くに松下さんと会う為のもう1つの自宅を借りている。「『離婚はしないけど、(私とも)別れない』って言ってくれて、『ずっと一緒にいようね』って。『それだったらいいかな』と思って、『仕事を辞めて引っ越して、彼に尽くそう』って思いました。だから、彼と付き合っていた4年間は、基本的に仕事はしなかったですね」。中央区の超高級マンション――。パパのいる生活は優雅だった。毎日のように銀座や日本橋で友人とランチをして、六本木にクッキング系の習い事に通った。「会社と家庭を持つ彼の生活を理解しながら、自分の役割を考えて相手を支えました」と言う松下さん。「ですが、結局、捨てられました。『もう付き合えない』みたいなことを言われたんです。後からわかりましたけど、新しい女の子ができたみたい」。

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オムニチャネルで奮闘、『丸井』・『パルコ』・『MUJI』の挑戦――7年前に早くも“顧客・在庫”を一本化、場所と時間を超えて魅力伝える

実店舗・ウェブサイト・スマートフォンのアプリ…。インターネット時代の消費者は、あらゆる販路をふらふらと行き来し、気紛れで買う。デジタルを駆使して事業モデルを変革すれば、“個人”との関わりを深めていける。それがオムニチャネルだ。しかし、道程は険しい。本当のオムニチャネルとは何か。奮闘する小売業の最前線を追った。 (取材・文/本誌 藤村広平・井上理)

20161129 07
①丸井グループ…“在庫レス店舗”で売り場を広げる
今月19日、『丸井』静岡店が全館リニューアルを終え、新装オープンを迎えた(右画像)。ごった返す店内。正面入り口を入り、エスカレーターで2階に上がった目の前の一等地に、婦人靴がずらりと並んでいる。2010年のデビュー以来、都心部の働く女性に絶大な人気を誇り、累計300万足以上を販売したPB(プライベートブランド)商品『ラクチンきれいシューズ』の売り場だ。その隣には、同じく丸井グループのPBブランド『ru』の女性向けパンツ売り場がある。一見、既存店の売り場と変わらないが、決定的に違う点がある。シューズ売り場・パンツ売り場共に、店舗には一切、在庫が無いのだ。あらゆるサイズ・色が店頭に並んでおり、客は自由に試着のみを“体験”する。買うと決めればタブレットが待っている。その場で注文・決済を済ませると、最短2日で自宅に商品が届く。送料無料で、靴は返品可能。インターネット通販の巨大な在庫から届けるので、客が欠品で諦めることはほぼない。大きな靴の箱を持つこともなく、手ぶらで買い物を続けられる。履き潰して、また同じ靴が欲しい時は、インターネット通販で直接、注文すればよい。実店舗(リアル)とインターネット通販が一体となって、消費者にメリットを与え、結果として収益拡大に繋げる…。体験ストアは、その一例に過ぎない。会員基盤は、自社発行のクレジットカード『エポスカード』で統一。カード毎に付与されるIDで、丸井のインターネット通販『マルイウェブチャネル』も利用できる為、客は店舗でもインターネットでも共通でポイントを溜められる。一方、丸井側はリアルとインターネット、双方で顧客の動きを捕捉できる為、様々な提案が可能になる。例えば、ある客が店頭でエポスカードを提示して購入した際、そのIDがインターネット通販を未利用であればレシートクーポンを発行。インターネット通販で5000円以上購入した際に、500円分のポイントが付くようにする。これが、年間5万人のインターネット通販の新規利用に繋がっているという。

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インターネットからリアルへの送客も進む。PB商品を中心に、インターネットからリアル店舗の在庫が確認でき、靴等といったサイズが気になる商品を店頭で試してから受け取れる。返品は無料だ。PB商品全体の売り上げの内、インターネット経由で購買に繋がった額、所謂“EC化率”は22%。小売業全体の平均が約8%と言われる中で、突出した数字と言える。本当のオムニチャネルの姿を逸早く実現させている丸井グループ。それが可能なのは、未だオムニチャネルという言葉が無い頃から、顧客・在庫管理をリアルとインターネットで共有するシステム整備を続けてきたからだ。在庫管理の一元化は2008年に済ませ、翌年には顧客IDも統合させている。「顧客の利便性を追求してきた結果、何年か経ったら、世の中が“オムニチャネル”と言っているものに限りなく近付いていた。接点が多いほど、顧客との関係性は濃くなる」。同社の佐藤元彦専務執行役員は、こう話す。インターネット通販の売上高は200億円を超え、リアルの売り上げも押し上げている。最新のデータでは、店頭受け取りを選択した顧客の約30%が店舗で“序で買い”をし、店でキャンセルした顧客でも、約40%が別の商品を店舗で購入しているという。インターネットからリアルへの送客で一定の成果を収めた丸井は今、次のフェーズとして逆方向の取り組みを本格化させている。それが、冒頭の体験ストアだ。靴の体験ストアは今年3月から、丸井が出店していない地域で始まった。『イオン』等のショッピングモールや地下街等のスペースを利用し、1週間から10日ほど、実験的に体験ストアを出店。在庫や決済用のPOSレジを必要としない身軽な“キャラバン売り場”は、今年9月までに22ヵ所を数えた。体験ストアでわかったことは、売り場をインターネットの空間へと事実上、拡張できるというメリットに加え、接客効率が高いということだ。接客スタッフは在庫確認・出し入れ・レジ精算等をする必要がなく、時間の100%を接客応対に使える。結果、坪当たりの売り上げは、既存店の靴売り場より20%以上も上回ったという。この成果を踏まえ、体験ストアを丸井の店舗網にも広げていくことにした。動きは速い。靴とパンツ、両方を扱う冒頭の静岡店の他に、吉祥寺店には靴の、柏店にはパンツの体験ストアを出店している。キャラバン出店も着々と増やしており、丸井は来年3月までに計60ヵ所とする計画だ。インターネット通販と組み合わせることで、リアルの売り場と在庫を拡張していく丸井。オムニチャネルによる小売業の“進化形”は、これに止まらない。

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【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(24) 検問所の兵士に教わった“アルカイダ”という名の街

フリー、フェア、グローバルな金融市場を目的として実施された制度改革、日本版金融ビッグバン。市場は流動性を取り戻し、暴力団の海外資本取引も活発化してきた2004年頃、その当時の物語である。「必ずや大きなシノギになる」と、石油を求めてマレーシアからオマーン経由でイエメン国境までたどり着いた筆者は、検問所の兵士の口から“アルカイダ”という言葉を聞き、自分の向かう場所がそこであることを初めて知った。正しくは“アルガイダ(AL-GHAYDAH)”。国境から西へ約70マイル先にある街の名前だった。テロリスト集団の『AL-QAEDE』とは綴りが違っていた。中東の人名や地名に付く“AL”とは定冠詞で、英語の“THE”に当たる。アルカイダと聞いて9.11テロを連想し、「自分はとんでもない世界へ入り込むのではないか?」と思っていたが、只の地名と知って少し安心した。「お前は何故、髭を生やさないんだ? ここでは、髭の無い男はホモと間違われるぞ」。検問所で思わぬ物言いがついた。「中東では大人の男が髭を生やすのが当たり前」という話は聞いていたが、筆者は髭が大嫌いだし、抑々薄くて生え揃わない。検問所では、入国審査というほどの手続きも無く、アラビア語で書かれた入国許可証に、スタンプと係官のサインがある紙切れ1枚を渡されただけだった。首都・サナアの空港なら厳しい入国管理が行われるのであろうが、ここは政府機能よりも、部族による自治が優先されるような所だ。だから、パスポートに押すスタンプさえない。ランドクルーザーの通関には2時間近くの時間を要し、イエメンの国境を無事通過することができた。走り去る筆者たちの車に、ずっと手を振り続けている髭の男の姿がバックミラーに映っていた。

イエメンは土色と灰色の国だった。砂漠とばかり思っていたが、左手には海が見え、右側には山も見える。道路は土挨で、地面とアスファルトの区別がつかない。途中、給油の為に立ち寄った集落は、煉瓦と剥き出しの土壁で出来た建物が並んでいた。商店らしき店には、年老いた男性が腹巻に短剣を差して腰掛けている。筆者は車を降りて、店内に入った。最初に目に入ったのは、天井から吊るされた10丁ほどの自動小銃だった。カラシニコフ、AK47だ。安価で殺傷能力が高く、世界中のテロリストから愛されている銃である。老人は頼みもしないのに、吊るされた中から1丁を取り、筆者の手に持たせた。使い込まれた木製の銃床の裏には、金槌のような刻印があった。どうやら正規品ではなく、東欧辺りのライセンス製品であるらしい。60年以上前に製造された自動小銃が、今も世界中のテロリストに愛用されているのは驚きだ。そういえば以前、ミャンマーへ行った時、旧日本軍の38式歩兵銃が使われていたのを見たことがあった。こちらは100年前の銃だ。AK47の本体価格は100ドル、マガジン入りの銃弾30発が100ドル。日本なら38口径の拳銃が8000ドル(約88万円)はするから、格安と言えるだろう。しかし、日本の暴力団が多数の敵と市街戦を繰り広げる想定は無いので、需要は期待できない。山一抗争の時、竹中組の竹中正相談役(故人)がハワイでロケット砲を買おうとして、『アメリカ連邦麻薬取締局(DEA)』に逮捕されたことがあった。当時は最も暴力団が過激で、武装化の進んだ時代だった。イエメンでは、辺鄙な村の商店で、日用品と共に自動小銃が売られている。それほど危険な場所であるということだ。オイルビジネスの中核に近付けば近付くほど、暴力の匂いは濃くなる。この先が思いやられるのだった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年11月29日号掲載

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【憲法のトリセツ】(02) 現憲法は押し付けか…“象徴”を提唱した日本人

20161129 06
「現憲法はアメリカの押し付けなのか?」の2回目です。『連合国軍総司令部(GHQ)』が独自案を纏めた際、アメリカの合衆国憲法やフランスの人権宣言を始めとする世界の数多の法規を参考にすると共に、日本人が書いた様々な提言にも目を通していました。その中に、非常に大きな影響を与えたとみられる案があります。作成したのは、『憲法研究会』という学者やジャーナリストのグループです。意見を取り纏めて草案にしたのは鈴木安蔵でした。1904年、福島県に生まれた鈴木は、京都大学在学中に『貧乏物語』で知られる河上肇に私淑し、マルクス主義に傾倒しました。1926年、治安維持法の適用第1号となった『京都学連事件』で検挙されました。出所後は明治憲法の研究に取り組み、衆議院憲政史編纂委員も務めました。日本が降伏して2ヵ月たった1945年10月、『日本文化人連盟』の創立準備会に出席した際、後にNHK会長になる高野岩三郎らに声をかけられます。

高野岩三郎「民主的な憲法制定運動を起こさなければいけない。君、やってくれないか?」
室伏高信「直ぐやろうじゃないか。場所は提供する」

室伏は、アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』を翻訳した元新聞記者。鈴木とは正反対の右翼的な人物でしたが、日本の敗色が濃くなるにつれ、軍部と距離を置いていました。経済学者の森戸辰男らも参加し、研究会は発足しました。

GHQは、この動きを知るや、強い関心を寄せました。初会合の僅か2日後には、幹部が森戸からヒアリングし、報告書は首都のワシントンD.C.に送付され、ジェームズ・バーンズ国務長官も読んだことがわかっています。それによると、森戸は「天皇の政治的機能と儀礼的機能を分離させなければならない。天皇は道徳的象徴に過ぎないものになるべきである」と力説しました。これが、天皇を“象徴”と位置付けた最初の文書です。GHQが日本政府に“象徴天皇”を押し付けたのは、その3ヵ月後でした。他にも、研究会が影響を与えたとみられる表現が幾つかあります。メンバーの岩淵辰雄は、会合でこんな発言をしました。「天皇から一切の政治上の権力を取ってしまおう」。現憲法第4条の「天皇は【中略】国政に関する権能を有しない」と似ています。鈴木が書いた草案には、こんな言い回しも出てきます。「天皇は栄誉の淵源にして国家的儀礼をつかさどる」。現憲法第7条に天皇の役割が列挙されていますが、そこに「栄典を授与する」「儀式を行う」とあります。首相や最高裁長官の任命ならば兎も角、儀式のことまで書く必要は必ずしもないのですから、鈴木の書きぶりを引き写した可能性がかなりあります。鈴木らは、12月26日に憲法草案要綱を完成させると、首相官邸やGHQに届けると同時に、官邸詰めの新聞記者にも草案を配りました。GHQは直ちに英語に翻訳し、民政局法規課のマイロ・ラウエル課長を中心に分析に入りました。民政局は、GHQ案の作成を担当した部局です。翌1946年1月11日、ラウエルはリチャード・サザーランド参謀長に、こう報告しました。「条文は民主的で、受け入れられる」。安倍晋三首相のブレーン的な存在で、“押し付け”論を強く主張している駒澤大学の西修名誉教授は、自著『ドキュメント 日本国憲法』(三修社)で憲法研案について、「一見して社会主義的傾向を帯びている」と否定的な考えを示しています。ただ、その西氏も、「総司令部が最も高く評価した」「自ら制定した憲法案のなかに、この案のなかのいくつかの規定を導入した」ことは認めています。GHQは様々な文書を下敷きにしましたが、「憲法研案はGHQ案の最も太い源流だった」と言って差し支えないでしょう。

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【霞が関2016秋】(17) 東電提携戦略にジレンマ…福島貢献どこまで

経済産業省は明日、『東京電力ホールディングス』の経営改革を話し合う『東京電力改革・1F問題委員会』の3回目の会合を開く。前回までの議論で、他社との提携で収益を増やす方針を示したが、課題も見えてきた。提携が生む収益は福島第1原子力発電所の廃炉費用等に回すが、回し過ぎれば抑々、提携相手が見つからないというジレンマだ。先月25日に開いた前回の会合。東電グループと『中部電力』が折半出資する燃料・発電事業会社『JERA』(東京都中央区)の経営陣に、委員が次々と注文や質問をした。「福島の費用をできるだけ捻出してほしい。経営思想の中に、福島への貢献はどのくらい入っているのか?」「配当と福島への貢献のバランスについて、どうガバナンスを働かせていくのか?」。ヘンドリック・ゴーデンカー会長らJERAの経営陣は、「海外でも投資していく。配当より内部留保にして、投資資金に回したい」と答えたという。JERAは、東電と中部電が燃料調達や海外の火力発電事業を統合する為、昨年に設立した。「エネルギーチェーンの中で、グローバルな一流プレーヤーを目指す」(ゴーデンカー会長)為、今後、海外の発電プロジェクトや液化天然ガス(LNG)船等に投資が嵩む。

東電等への配当は、「今後10年間の後半以降で、できるだけ還元したい」というスタンスだ。福島の事故処理を進める為に配当を重視する政府側と、成長投資を優先する会社側。利益の配分を巡る認識のズレが垣間見えた。JERAは、東電と中部電の既存の国内火力発電事業を引き継いで統合することも視野に入れる。来春に是非を判断するが、福島にどこまで貢献するかの議論がすっきりしなければ、中部電は躊躇うかもしれない。JERAは、東電が他社と事業統合する先駆けだ。経産省は前回の会合の資料で、東電の原子力事業を分社して、他社との再編に備える案を示した。送配電事業も含めて、今後の提携はJERAがモデルになる。利益の使い方の問題も、同じように出てくる。ある経産省幹部は、「組む相手は不満かもしれないが、福島が優先だ」と話す。ただ、稼ぎが全て福島に行ってしまうなら、提携は実現しない。提携事業の成長に向けた投資資金を確保しつつ、福島にしっかり貢献する方策をどう描くか。今後の東電委員会の焦点になる。 (江渕智弘)


⦿日本経済新聞電子版 2016年11月14日付掲載⦿

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