【それはハッカーが知っている】(33) 『Amazon.com』や『eBay』で簡単に儲けられる転売テクニックとは?

人気の加熱式たばこ『iQOS』や、予約開始の直後からプレミアム価格で出品が登場している新型ゲーム機『Nintendo Switch』等。そんな入手困難な商品だと、何かとインターネット上でトピックスになり、更に叩かれがちな“転売行為”。

――では、石川さん。クリーンで効率の良さげな転売ってあったりするのでしょうか?
石川「よく、サラリーマンの副業ネタ特集で、“限定フィギュアの転売で稼ぐ!”や“ミニカーが高値!”なんて記事があります。しかし、実は国内だけで転売しているのはもったいないですよ。インターネットがあるんだから、海外に売ればいいんです!」

――は? そんなこと簡単にできちゃうんですか?
石川「日本で買った商品を海外で転売しようとすると、Amazon.comやeBayが中心となります。ただ、日本のアカウントでは商品を出品できません。なので、先ずは現地のアカウントを取得し、サインアップしましょう」

――どんな手順で行えばいいんですか?
石川「アカウントの登録画面は日本版と一緒なので、英語がほぼほぼアウトでも大丈夫です(笑)。出品方法も一緒ですよ」

――では、実際に海外向けに出品するとなると、先ず日本でどんな商品を買うべきでしょうか?
石川「あ、買わなくてもいいです」

――は? どういうことですか?
石川「取り敢えず、カートに入れてキープしとけばいいです。そして、注文が入ったら購入して下さい。取り敢えず、限定じゃなくても日本のフィギュアはあっちで高値なんでオススメです。ただ、品物に対する質問が異様に多かったり、キャンセルや返品もあるので、その辺はコミュ力を試されますよ」

――では、海外で買って国内で売るなら何がオススメですか?
石川「ダイソンの掃除機。これ、国内で6万円ぐらいの商品があっちだと半額ですからね。でも、海外の中古品には手を出しちゃダメですよ。日本では考えられないような劣悪な程度の品が出てきますから。どんな商品も新品を買って下さい」

――では、転売の輸入と輸出ならどちらがオススメですか?
石川「売れる商品の見極めが重要ですが、海外から輸入して国内に向けて売るほうが楽ですね」

――因みに、石川さんが輸入で儲けた商品は?
石川「ある時期、ガイガーカウンターが爆発的に売れました。これ、ハッカー仲間を通じてウクライナから仕入れたんです。でも、商品が売れ過ぎて現地の在庫も無くなり、最終的には基幹パーツだけを輸入しました。基幹パーツと、それを使用するガイガーカウンターの設計図をセット販売したんですが、それでも売れ続けました。やはり、転売は売れる商品の見極めがポイントですね」


石川英治(いしかわ・ひではる) 『東日本インターネット事業協同組合』理事。1969年、埼玉県生まれ。『西武鉄道』退社後、弁護士秘書・外車販売・訪問販売等の職を経て起業。1998年までハッカーグループ『UGTOP』の主催者として活動。1998年に実業家として、日本初のインターネットセキュリティー専門会社『アルテミス』を起業。2000年から2011年まで携帯電話公式コンテンツを運営する『サイバーエデン』を起業。著書に『まるわかりカジノ読本』(廣済堂ベストムック)・『子どもたちが危ない!スマホの現実』(ロングセラーズ)等。


キャプチャ  2017年3月6日号掲載

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【Global Economy】(25) 東南アジア、中国へ多額の原料輸出…“トランプ税”の2次被害者

アメリカのドナルド・トランプ政権に対し、東南アジアの国々が警戒感を強めている。トランプ大統領が敵視する中国からアメリカへの輸出を制限しようとすれば、東南アジア経済にも大きな打撃となるからだ。 (本紙バンコク支局 辻本貴啓)

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タイ南部のナコンシタマラート県。一面に広がる天然ゴム農場を営むソンポーン・ワワンチットさん(53)が、不安そうに語った。「今のゴム相場では、生活できるギリギリの収入しか得られない。トランプ大統領の登場で、相場はまた下がるのではないか」。タイは世界最大の天然ゴム生産国だ。輸出するゴムの6割が中国に向かう。中国の工場で自動車用タイヤやゴム手袋等の最終製品になり、アメリカや中国国内等の市場に送り出される。天然ゴムの値段は2013年頃から下がり続けてきた。中国経済が減速し、需要が冷え込んだからだ。昨年1月には5年前の2割の水準まで落ち込んだ。ゴム価格の下落で多くの農家が苦境に陥り、タイ経済が停滞する一因になった。そこに、アメリカでトランプ大統領が誕生した。トランプ大統領は選挙期間中、「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と訴えた。大統領就任後は、輸入品に事実上課税する“国境税”を検討している。中国からアメリカに輸出するタイヤに高い税金がかかれば、対米輸出が減り、原料となるタイ産ゴムの中国への輸出も落ち込んでしまう。同じ天然ゴム生産国のマレーシアやインドネシアにも波及する。『東南アジア諸国連合(ASEAN)』にとって、中国は最大の貿易相手国だ。ASEANの輸出総額に占める中国の割合は15%に上る。例えば、マレーシアは電子部品を、インドネシアは石油等の資源を中国に輸出する。

中国は経済が発展しているものの、人件費は比較的安く、加工や組み立てが行われる。完成品は中国国内で販売される他、日米欧の巨大市場に輸出される。アメリカの企業も、東南アジアや中国で、各国の特性やコストに応じて分業体制を築いてきた。全てをアメリカ国内で賄うよりも、人件費の安さ等で効率が良いからだ。『Apple』は、ベトナムやマレーシア等で作った部品を使い、『鴻海精密工業』(台湾)の中国工場でスマートラォン『iPhone』を組み立て、アメリカを含む全世界で販売している。半導体大手の『インテル』は、ベトナム工場で中央演算処理装置(CPU)を生産する。CPUはパソコンに欠かせない部品。コンピューター大手の『デル』が中国に構える生産拠点にも、インテルがベトナムから供給しているとみられる。東南アジアでは、トランプ大統領が「雇用や投資をアメリカに戻す」と訴えていることへの懸念も強い。フィリピンでは、アメリカのIT企業からコールセンター等の業務を受託するビジネスが、好調な経済の原動力になっている。だが、一部のアメリカ企業はアメリカ本国に拠点を戻す計画を検討し始めている模様だ。地元紙の『フィリピンスター』電子版は、「アメリカの保護主義はフィリピンにとって悪い兆候だ」と伝えた。マレーシアでも、「アメリカから中国への投資が冷え込めば、サプライチェーン(供給網)を構成するマレーシア企業に悪影響を及ぼす可能性がある」(アナリストのシャンカラン・ナムビアー氏)との指摘が出ている。各国の企業が「製品をより低価格で消費者に提供しよう」と努めた結果、国境を超えた分業体制が出来上がった。だが、トランプ大統領の保護主義の政策は、この仕組みを壊す可能性がある。その際、モノが値上がりして困るのは、トランプ大統領の支持者を含むアメリカの人々だ。トランプ大統領を支持するアメリカの白人労働者らは、「工場が新興国に移転し、仕事を奪われた」と不満を訴える。一方、経済成長が遅れた東南アジアの国々にとっては、人件費の安きを生かし、国際的な供給網に組み込まれることが、発展に向けた唯一の道だった。自国に工場が進出してきたおかげで貧困を脱した人も少なくない。これがグローバル化の難しい現実だ。

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【科学捜査フロントライン】(13) 最新のウソ発見器はこんなにも進化していた!

テレビドラマ等でお馴染みのウソ発見器は実在し、実際の捜査でも活用されている。そして、更なる有用性の向上を目指し、研究開発も進んでいる。取調室だけでなく、犯人の頭の中の可視化も進んでいるようだ。 (取材・文/フリーライター 青木康洋)

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テレビの刑事ドラマ等でもよく登場するウソ発見器は、通常『ポリグラフ』と呼ばれる装置を指す。ポリグラフは、呼吸・発汗・体温上昇といった身体的な反応によって、被験者が真実を語っているか偽っているかを判断する機械だ。しかし、人間の生理現象には個人差がある。また、被験者が初犯者か累犯者かによっても差異が生じる等、記録された結果の解釈や適用には慎重な配慮が必要とされている。従って、ポリグラフによる結果には通常、証拠能力はないとされることが多い。では、どのような目的の為にポリグラフが使われているのだろうか? 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏によると、「取り調べでポリグラフを使うか否かは、捜査員の裁量次第」だという。その使用目的も、容疑者が観念して自白を始めたり、或いは「限りなくクロに近い」という確信を捜査員が持つ為に実施することが多い。つまり、ポリグラフは立証の為ではなく、自白を促す為に使われているのが現状なのだ。ところで、ポリグラフを使うケースでは通常、事件現場に行かない『科学捜査研究所』の人間も現場に足を運ぶという。被疑者に犯人しか知り得ない質問をする必要があるので、現場情報の収集が不可欠なのである。

例えば、事件現場に屋上から1階まで血痕が残されていたとする。そこで、被疑者に次のような質問を投げかけ、全て「いいえ」と答えてもらうことにする。「貴方は屋上から1階までどのようにして降りましたか? ①階段 ②エレベーター ③非常階段」。若し、②のエレベーターに反応が出れば、被疑者はエレベーターで降りた可能性が高いという訳だ。こういった質問は、事件現場に直接、足を運ばなければ見つけられないのである。ポリグラフの他にも、ウソ発見器の研究が進んでいる。先ず、『fMRI』という検査法がある。これは、脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化したもので、脳内の酸素量を測定する。“血流酸素の量は神経活動の活発さと強く連動する”という仮説に基づいており、「嘘を吐く脳の部位を特定できれば、より嘘を見抜き易くなる」と期待されているのだ。しかし一方で、「例えば被験者が深呼吸をしたり、息を数秒間止めるだけで、容易に検査結果を誤魔化せる」と指摘する専門家もいる。もう1つ、現在注目されているのが“脳指紋”である。脳は外部からの刺激を受けると、無意識下で記憶と照合し、過去に体験したことのある情報が受けた刺激に含まれていることを認識すると、特定の脳波パターンを示すと言われる。この脳波パターンの内、最もよく知られているのが“P300”、通称“脳指紋”と呼ばれる脳波パターンだ。ドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)でも描かれていたから、ご存知の読者も多いだろう。2000年代初頭までに実施されたP300を利用した虚偽検出実験では、正しく虚偽を検出できた率が88.3%というレポートもあり、その有用性が認められつつある。しかし、実用化に向けては問題点も指摘されている。懸念材料の1つは、どのくらい前の事件の記憶まで検出できるのかが不明なことだ。何れにしても、ウソ発見器の研究が年々向上していることは間違いない。現在、使用されているポリグラフが、更なる進化を遂げる日も近いのかもしれない。


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【仁義なきメディア戦争】(15) インターネット広告で不正…『電通』が落ちた闇

20170227 10
「国内におけるデジタル広告において、広告主はじめ関係各位に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお託びします」――。大手広告代理店『電通』は9月23日、同社及びグループ会社がインターネット広告の活用支援サービスにおいて、故意又は人為的なミスによる不適切業務を行っていたことを発表した。広告実績には虚偽の報告が含まれ、一部の広告主に対し過剰に広告掲載費を請求していた。東京都内で開催した記者会見で中本祥一副社長は、冒頭の謝辞を述べ、山本敏博常務や同社デジタルプラットフォームセンターの博谷典洋局長と共に、深々と頭を下げた。対象となるグループ会社は、『サイバーコミュニケーションズ』・『DAサーチ&リンク』・『ネクステッジ電通』(※現在は『電通デジタル』に吸収合併)の3社だ。被害総額は現時点で約2億3000万円に上る。調査対象の広告主は1810社で、案件数は約20万件。9月22日時点で不適切業務と判断された案件は633件で、対象となる広告主は111社。不適切業務の内、14件(金額にして320万円)で広告を掲載していないにも拘わらず、架空請求していた。例えば、広告を月間で1万回掲載する契約だったにも拘わらず、9000回しか掲載していない場合でも、1万回分の広告掲載費を徴収していた。一連の事件は、『トヨタ自動車』からの指摘で発覚した。計画上の広告の出稿量に対して効果が想定に達していないこと等を不信に思い、広告の配信先である『Google』から直接、データを取り寄せた。電通のリポート上では広告が掲載されている筈の期間に、Googleのデータ上では配信されていなかったのだろう。トヨタの指摘を機に、電通は社内調査を実施して、「虚偽の報告があった」と判断。社内に調査委員会を発足させて、全社的な調査に踏み切った。不正は“運用型広告”という広告手法で行われた。Googleや『ヤフー』等で検索されたキーワードに連動して、関連広告を検索結果画面に表示する“検索連動型広告”や、SNS事業者の広告サービス等が対象となる。

運用型広告を活用する上で重要になるのがデータ分析だ。管理画面で広告表示回数に対するクリック率・購買率・顧客の獲得単価といったデータを、リアルタイムに分析する。このデータに基づき、効果の高い広告の予算を増やしたり、広告デザインを変更したりする等の“運用”を行う。広告代理店等に委託するのが一般的で、電通も請け負っていた。この運用型広告を始めとするインターネット広告は、取得できるデータが多岐に亘る。例えば管理画面では、広告の表示回数も一目瞭然だ。本来なら、“広告の経済実績が無いにも拘わらず掲載費を徴収する”といった事態は起き難い。しかし、電通では不正が罷り通っていた。最大の要因は、従来の商慣習をインターネット広告にも持ち込んでしまったことだろう。電通はマス広告を中心とした従来の広告事業で、広告在庫を纏めて媒体社から仕入れ、利益分を上乗せして広告主に販売する。広告枠の卸売業とも言える。掲載期間や枠が固定されている為、電通側でコントロールを利かせ易かった。この商習慣をインターネット広告にも取り入れ、管理画面は広告主に開示していなかった。掲載後に担当者が各広告サービスからデータを収集し、表計算ソフト『Excel』を使ってリポートを提出していた。しかし、運用型広告はリアルタイムの入札制で広告枠を買い付ける仕組みとなっており、電通側がコントロールを利かせ難い。広告主が事前に設定している広告1クリック当たり、又は広告表示回数等の入札単価に基づき、入札単価の高い広告が表示される。この入札単価は、競合企業の出稿状況等といった外的要因で常に変動する。入札単価が高騰し過ぎて想定よりも広告を掲載できず予算を消化できない場合や、想定以上に早く予算を使い切ってしまう場合があり得る。都合の悪い事態が起こっても、表計算ソフトならば手元で数値を改竄し、想定通りに配信されたと見せかけることは容易だ。これに対して、インターネット専業の広告代理店等では、広告主の要求に応じて管理画面のスクリーンショットを送ったり、管理画面そのものを見せたりすることもあるという。旧来型の商慣習に流されず、データをきちんと開示していれば、このような事態を招くことは防げた筈だ。改竄が行われた場合にそれを見抜くチェック体制の不備も、不正を助長した。電通では、インターネットの運用型広告において、運用からリポートの纏めまで担当者1人で対応していた。「(広告を運用する)本人以外は数字を見ていなかった」(中本祥一副社長)為、マネジメント層も不正を見抜くことができなかった。現在も調査は継続中で、年内の完了を予定する。被害総額が更に増える可能性もありそうだ。調査終了後に改めて会見をする予定で、1ヵ月後には実態が明らかになる。 (取材・文/フリージャーナリスト 中村勇介)


キャプチャ  2016年11月19日号掲載

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【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(02) VWもダイムラーもフォードも…欧米メーカーがEV注力

20170227 08
電池需要において存在感が大きいのは、電動車両向けである。これまでも、ハイブリッド車(HV)は『トヨタ自動車』のプリウスが1997年に登場して以来、同社だけでも累計販売台数は900万台に上る。しかし、プリウスの電池容量はニッケル水素式で1.3kW時、リチウムイオン式で0.75kW時だ。これに対して、リチウムイオン電池を使った電気自動車(EV)のリーフ(『日産自動車』)は30kW時のモデルを揃える。つまり、電池という観点では、リーフはリチウムイオン搭載プリウスの40倍の容量がある訳で、電池需要におけるEVのインパクトはHVの比ではないほど大きい。そのEVが今後、急速に普及しようとしている。ここにきて、完成車メーカーのEV注力トレンドが鮮明になっている(図1)。大きな要因は、環境規制強化である。ヨーロッパでは、2021年にCO2排出量を走行距離1㎞当たり95gに規制する。これは、一昨年の同120gから20%削減する必要性を意味している。更に、規制強化はそれ以降も続く見込みで、「2025年以降に同68~78gを目指す」という議論が、ヨーロッパでは続いている。排ガス不正問題で窮地に追い込まれた『フォルクスワーゲン(VW)』は、2025年までにEVを30車種投入して、世界販売台数を200万~300万台とする計画を打ち出した。また、既に投入しているEV『e-ゴルフ』の生産能力を強化する為に、ドレスデン工場を閉鎖して大幅な改修を図っており、今春の再開を目指している。ディーゼルエンジンを生産するザルッギッター工場で、今後、車載用電池システムの生産を行うのも、EVへの戦略シフトの象徴と言える。

『ダイムラー』も、2025年に新車販売に占めるEV比率を15~25%にするという目標に向け、EVブランドの『EQ』を立ち上げて、航続距離500㎞のSUV(スポーツタイプ多目的車)を2019年に投入する計画だ。同社のEV戦略は商用車にも及ぶ。EVのトラックは、積載スペースが電池で埋まってしまい、航続距離と積載量を同時に確保するのは困難とみられていた。しかし、同社は航続距離200㎞で、ディーゼルエンジン車並みの積載量を確保した25トンEVトラックを公開した(図1)。アメリカ勢も、『ゼネラルモーターズ(GM)』は2025年までにEVを30車種投入し、年間販売台数を200万~300万台に引き上げる目標を掲げている他、『フォードモーター』も2020年までに13車種のEVを投入する計画である。これまでも、様々な完成車メーカーがEV拡販に取り組んだものの、本格的な市場確立には至っていない。それは、個人の自己保有を前提とした車社会を前提としている為である。充電切れによる立ち往生リスクを消費者自らが背負わなくてはならない自家用車としてのEV需用は、それほど大きくなかった。しかし、その車社会の構造が変わろうとしている。カギとなるのは、自動運転とシェアリング(共同利用)だ。これらは其々が独立のものではなく、融合して1つのエコシステムを形成していくと考えられる。つまり、移動したい時に呼ぶと、自動運転のロボットタクシーが迎えに来てくれ、車内で好きなことをやりながら移動し、目的地に着くと駐車場を探さずに降りるだけ…という“シェアードモビリティーサービス”だ。何よりも運転手がいないことで、タクシー運賃の7割を占めると言われる人件費が掛からない。この為、移動コストを圧倒的に引き下げることが可能だ。自動運転では、乗客は運転から解放されて自由に時間を使えるようになる。しかも、それが安価となれば需要は伸びるだろう。実際、フォードは2021年に、このようなサービス向けの自動運転車両を市場投入すると発表している。このようなサービスでは、移動する時間と空間に重きが置かれるようになる為、駆動装置がコンパクトで室内空間を大きく取ることができ、且つ静かなEVの親和性は高い。長期的にはEV市場に大きなインパクトを与えると考えられる。シェアードモビリティーサービスが普及すれば、車両稼働率が飛躍的に向上する為、事業者は移動書要をより少ない保有台数で賄うことができる。しかし、車両の年間走行距離は数万㎞にも及ぶので、買い替えサイクルは短くなり、年間販売台数が大きく減ることはない。このような車社会の変化を踏まえると、各完成車メーカーの強気のEV販売目標にも合点がいく。そしてこれは、電池市場の長期的な成長も意味する。

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ドナルド・トランプを手中に収めて目指すはアメリカの“完全解体”――ロシア及び世界最強の“フィクサー”ウラジーミル・プーチンの恐るべき野望

ドナルド・トランプ政権の誕生によって、世界情勢は大きく変わろうとしている。実は、その裏側で糸を引くのが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。彼は、大国アメリカ“解体”という野望に向け、着実に歩を進めている。プーチンが企む“アメリカ崩し”のシナリオを徹底解説する! (取材・文/フリーライター 西本頑司)

20170227 07
「私の世代で領土問題を全て解決する」――。そんな安倍晋三の勇ましい発言もどこへやら。文字通り、あっさり白旗を上げ、ロシアへの完全屈服という醜態を晒したのが、2016年12月15日に行われた日露首脳会談であろう。翌16日の共同声明を見る限り、会談の内容は“日本のカネで北方領土を開発してロシアにプレゼントする”という内容だったようだ。事実、日本は最初から最後までプーチンに舐められっ放しだった。会談場所である山口県長門町の温泉旅館への2時間40分もの大遅刻も然ることながら、開催直前に「ロシアには領土問題は存在しない。存在していると思っているのは日本だけ」とまで言い放っていたのだ。このような横柄な態度を甘んじて受け入れた安倍は、諸手を挙げて“プーチン大統領さまを温泉で接待”。更にお土産として、「北方領土開発支援費の1兆円まで持たせたのでは?」という噂もあるほどで、全く情けない話である。とはいえ、日本がこれほど譲歩したのには理由があった。それは何と、あのドナルド・トランプの命令だったというのである。安倍は、アメリカ大統領選でトランプが当選した直後の11月19日、マンハッタンの『トランプタワー』にまで出向き、会談を行っている。その際、「日露会談で、日本はロシアに対する全ての要求を取り下げろ」とトランプに厳命されていたらしいのだ。

ロシア情勢に詳しい国際アナリストが解説する。「相変わらず大手メディアは報じませんが、プーチンはトランプ当選劇の立役者なのです。その証拠に、今回のアメリカ大統領選に際し、プーチンはロシアから選挙監視団を送り込んでいます。勿論、これは異例の事態で、『これによってトランプの当選が決まった』とさえ言われているのです」。当初、ヒラリー・クリントンの圧勝と思われていた大統領選。その理由として、ヒラリー陣営がメディアを牛耳っていたことが挙げられる。これに加え、ヒラリー側はいざとなれば不正選挙、つまり票の改竄をすると考えられていた。その証拠に2015年5月、各州の選挙システムがハッキングされる事件が起こり、『連邦捜査局(FBI)』が捜査に乗り出す事態となっていた。この事件は、「ヒラリー陣営が雇った中国系ハッカーの仕業だった」と囁かれている。そこでプーチンは、ロシア軍のハッカー部隊を動員し、「選挙の不正をチェックする」と言ってヒラリー陣営を資したというのだ。その上で当選すれば、トランプは“クリーンな選挙で選ばれた大統領”という印象を国民に与えることができる。トランプにすれば、プーチンは“大恩人”という訳だ。それだけではない。トランプ新政権は、対中戦略でロシアを欠かせないパートナーと位置付けている。アメリカは、“超親露路線”に舵を切ることが予想されているのだ。トランプが大統領選に勝利したのは、破綻したアメリカを再建する辣腕経営者という役割を期待されてのことだ。トランプは、何だかんだいって有能な経営者である。「アメリカ経済の破綻は、ウォール街の投資家たち(富裕層)が支持するブッシュ-クリントンラインが推し進めてきた“中国優遇政策”が引き起こした世界の工場化が原因だ」と見抜いている。事実、アメリカの投資家たちは中国に投資しまくり、中国製品を世界に溢れさせることでボロ儲けしてきた。その結果、アメリカの産業は空洞化し、大半の国民が真面な職を失い、経済が破綻したのだ。当然、トランプは中国製品の締め出しに動く。中国の景気が悪化すれば、中国の軍事的挑発はエスカレートすることになるだろう。一方で、トランプはアメリカ軍の縮小も予定している。直接の対峙はできない以上、ロシアを仲間に引き込んで中国を掣肘しなければならないのだ。もうおわかりだろう。トランプは安倍を“接待部長”に任命し、「プーチンさまを得意の“おもてなし”で歓待しろ」と命じた訳だ。何れにせよ、トランプ政権下で米中関係が悪化すれば、キャスティングボートを握るのはロシアとなる。今後、ロシアの影響力が益々高まるのは間違いない。しかし、本当の“おそロシア”は、ここから始まる。“覇権国家アメリカの解体”。これこそが、プーチンの真の目的である。彼は本気でアメリカをぶっ壊そうというのだ。

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【しばき隊の正体】(下) 合田夏樹脅迫事件の全容…有田芳生議員はいつまでシラを切るつもりなのか

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“ヘイトスピーチ”という言葉は、いつ頃から使われるようになったのか――。そう思い、朝日新聞・毎日新聞・読売新聞の記事を検索してみた。すると、2012年9月14日付の朝日新聞朝刊に、批評家の濱野智史に対するインタビュー記事で使われているのが初出だった。濱野が、「ネット右翼ですか。彼らは声が大きく、リアル空間では聞けないヘイトスピーチぶりが目立っていますが、ネットを楽しんでいる人たちのごく少数派にすぎない」と話している。しかし実際には、この時点で「朝鮮人は日本から出ていけ!」等とヘイトスピーチを撤き散らしながら、新大久保のコリアンタウンを闊歩する集団は現われていた。翌2013年になると、“ヘイトスピーチ”という単語を含む記事は急増する。その理由は、ヘイトスピーチを撤き散らす集団に対して、新大久保等の現場で直接抗議する“カウンター”と呼ばれる集団が登場し、両者が物理的な衝突を繰り返して、逮捕者が相次いだからである。カウンターは、当初から暴力性を否定していない。『レイシスト(人種差別主義者)をしばき隊』(現在の『C.R.A.C.』)を主宰する野間易通は、2013年7月20日付の東京新聞朝刊で次のように述べている。「(しばき隊と命名したのは)レイシストと対峙するには、暴力的なイメージが必要だった。行儀の良い人がカウンターに来ているのではないことをデモ側に分からせたかった」。同年6月に結成された『男組』は、もっとわかり易い。男組ホームページを訪れると、暴力団組員風の入れ墨を誇示するメンバーらの姿が見られる。組長の“高橋直輝”こと添田充啓は、嘗て暴力団組員だったことを隠していない。2016年2月29日、韓国・MBCテレビで男組に関するドキュメンタリーが放映された。その中で添田は、こう打ち明けている。「『暴力であいつら(デモ側)ぶっ飛ばしちゃえば、簡単にこんなの終わるだろう』と思って結成したのが男組です。見つけ次第、ぶっ飛ばしていましたね。裏で。警察に捕まってねぇことも一杯やっています」。2013年9月と11月、それに2014年7月の3回、添田はデモ側に対する暴行容疑等で、男組メンバーと一緒に逮捕された。

インターネットは、匿名で利用している者が多い。だから、前出の朝日新聞記事で演野が話すように、“リアル空間では聞けないヘイトスピーチぶりが目立って”くる。実社会で身分を明らかにして口に出すのは憚られるヘイトスピーチも、インターネット上では気軽に書き込んだりできてしまうのである。これを逆手に取り、カウンターはインターネット上でヘイトスピーチを見つけると、書き込んだ者の身元を割り出し、直接抗議する手法も取る。自宅へ手紙を送ったり、時には訪問するのだ。元しばき隊の伊藤大介は、「一定の効果はある」と言う。「我々の抗議を受けて、『匿名だからと安心し、表現が過激になった』等と反省する人もいます。また、たとえ反省していなくても、以後、ヘイトスピーチを控える人も出てくるんです」。確かに、しばき隊や男組等と名乗る者たちから“家庭訪問”を受けたら、効果がありそうだ。但し、問題はこの手法がだいぶ安易に使われていることなのである。愛媛県四国中央市に在住し、同市で自動車販売会社を経営する合田夏樹は、2015年11月以降、自身の『ツイッター』でカウンターの暴力性を批判してきた。カウンター内部の暴行・傷害事件(※中編参照)の被害者で元男組の“主水”こと室井幸彦からも話を聞く等、情報収集も積極的に行った。カウンターからすれば、非常に目障りな存在であったことは間違いない。ツイッターでは、カウンターが寄ってたかって合田に「レイシストだ」等と罵詈雑言を浴びせたが、彼は怯まなかった。2016年5月22日、伊藤は自身の『フェイスブック』で、以下のような書き込みを続けていく(※本記事におけるインターネット上の書き込み等は原文ママ。カッコ内は筆者の説明)。「四国で2代目ボンボンの取引先に悪行をお知らせする巡礼しようかな」(合田は創業者の父親から自動車販売会社を引き継いだ)、「つーかお前の自宅私道沿いだからグーグルで確認しずらかったぞ。もう確定したけどな」(合田の自宅の周辺は細い道が入り組んでいる。筆者はレンタカーのナビで到着することができず、近所の空き地にレンタカーを駐車し、歩いて辿り着いた)、「取引先金融機関はこんな差別主義者のグズと取引続けてもいいのか聞きに行こう」「なんか田舎もんのボンボンがアワアワしてるってお知らせが笑 アワアワすんなよ笑」(合田が伊藤のフェイスブックの書き込みを知ったのは、カウンターがツイッターで態々知らせてきた為。合田は即座にツイッターで伊藤らを批判した)、「名指ししてないのに自覚しすぎ笑 やっぱりお前は差別主義者か笑」「金生町下分あたりってうどんおいしいの? チョコレートボンボンのほうがうまい?」(合田の自宅は四国中央市金生町下分にある)。そして、止めと言わんばかりに、合田の自宅がピンポイントで表示された地図を添付し、こう書き込んだ。「性格の悪さなら誰にも負けませんよ笑」。

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【中外時評】 日本の安定、おごりは禁物――財政や雇用、試練これから

何でこんな人を大統領にしたのか――。唐突に7ヵ国からの入国制限を命じた大統領令。メディアから裁判官まで、気に入らない者に容赦なく放たれるツイート砲。挙げ句は、存在しない海外のテロまで持ち出して謝らない厚顔無恥さ。お茶の間のテレビは、“今日のトランプ”を面白おかしく伝える。民主主義のお手本だった筈のアメリカが何故。失望・驚きに軽侮も入り交じった反応が日本を覆う。マッカーサーは嘗て、日本人の文明度を“12歳”と評したが、「どちらが12歳なのか?」(経済官庁幹部)という声まで聞こえてくる。混乱はアメリカだけではない。ヨーロッパでも反移民等を掲げる異端政党が台頭。今年実施するフランスの大統領選やドイツ、オランダの総選挙では、台風の目になる可能性がある。こうした中で、内外の投資家の間では日本の政治・社会の安定度を再評価する見方が高まっているという。国の信用リスクの大きさを示す国債のクレジットデフォルトスワップ(CDS)の保証料率は最近、約7年半ぶりに日本がアメリカを下回った。日本の保証料率が低下する一方、政権が漂流するアメリカはやや上昇している為だ。極右政党『国民戦線』のマリーヌ・ル・ペン党首が4~5月の大統領選候補として支持を伸ばすフランスは、この数字が1月以降、跳ね上がっている。日本経済は、2008年の米欧発金融危機の波をもろに被った。当初は「蜂に刺された程度」(閣僚)との見方もあったが、経済の悪化は先進国で最大級だった。だが、米欧で広がる政治混乱の影響は今のところ、蚊に刺されたほども受けていない。それ自体は喜ぶべきことだろう。一旦、既存の政治への不信が広がれば収拾は難しく、大衆扇動的な政治家の台頭を招き易くなるからだ。とはいえ、「だから日本のやり方は優れている」と自己満足に陥るのも禁物だ。『BNPパリバ証券』チーフエコノミストの河野龍太郎氏は、「日本の足元の政治的な安定性は、将来世代を犠牲にする形で保たれている」と指摘する。

先進国でも突出して高齢化や人口減少が進みつつある日本。財政は、国内総生産(GDP)比で見た債務残高・赤字共に、先進国では最悪レベルだ。本来ならば、膨らむ社会保障の給付や負担について厳しい選択を国民に求めなければいけないところだが、問題を先送りしている。そのツケは若者世代に回る。「若い層の先行き不安は高まっており、世代間の分断は既に起き始めている」と語るのは、元衆議院議員で『東京財団』研究員の亀井善太郎氏。将来世代の視点で改革を促す為、財政や社会保障の先行きを推計する独立機関の国会設置等を提言しているが、政治の反応は尚も鈍い。米欧の政治混乱の火種になった移民・難民問題。日本政府は「所謂移民政策は考えていない」とし、「日本は外国人が少ないから安定している」との見方も少なくない。だが、実際には外国人の雇用は100万人を超えるところまで増え、こうした人々無しには経済や社会は回らなくなっているのが現実だ。その多くは、日本の国際協力の一環として入れ替わりやって来る“技能実習生”という名目で働いている為、日本社会に溶け込めるよう支援する体制はできていない。中川正春議員(元文部科学大臣)は、「なし崩し的にではなく、どこからどのような形で外国人を受け入れるのかを、将来を見据えて正面から議論することが不可欠。その為の包括的な基本法を超党派で作りたい」と意気込む。だが、永田町では「問題を直視して動こう」という機運は薄い。一方、米欧の政治不安の火種になった雇用の喪失問題については、「人手不足が課題となる日本では心配ない」との声がある。数だけみればそうだが、人工知能(AI)やロボットの活用が進めば、これまで持っていた技能だけでは失職したり、仕事がみつからなかったりする人材のミスマッチが深刻になる恐れがある。転職がし難く、新技能を学び取る機会も少ない硬直的な雇用システムを変えていかないと、社会への打撃は米欧以上に大きくなるかもしれない。米欧の政治混乱は、“対岸の火事”にも映る。だが、日本も今の内に対処しておかなければ、将来、社会を揺さぶりかねない懸案を幾つも抱え、その多くが手つかずのままだ。敵を作って叩く大衆扇動政治は真っ平御免だ。しかし、問題が恰も存在しないかのように思わせて安心させる政治の大衆催眠術にも、気を付けないといけない。 (論説副委員長 実哲也)


⦿日本経済新聞 2017年2月26日付掲載⦿

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インターネット上で話題騒然…グーグルマップによって明らかになった“樹海村”に行ってみた!

昭和41(1966)年9月25日、富士の西湖は記録的な豪雨に見舞われた。山津波に襲われ、集落はほぼ崩壊。被害者は94名を数えた。生き残った村民は近隣の精進村に移り住み、民宿を開いた。その集落は、いつの間にかインターネット上で“謎の樹海村”と噂されていた――。 (取材・文・写真/『とうもろこしの会』 吉田悠軌)

20170224 11
インターネットの発達は、人々から“未知のロマン”を奪っていった。グーグルマップの衛星写真であらゆる場所を確認できる時代、少なくとも日本国内に未知の秘境などあり得ない。嘗ての“杉沢村伝説”のようなオカルト的想像力は最早、発揮され難い時代となったのだろうか。ただ、事はそう単純ではないようだ。皮肉にも、グーグルマップによって“発見”されたオカルトスポットが、ここ数年話題となっている。通称“樹海村”。「青木ヶ原樹海の奥に謎の集落が存在している」といった都市伝説である。緑深き富士の樹海に孤立する人工的な長方形の空間と、そこに並ぶ建物群。この樹海村には一体、どんな秘密が隠されているのか…。「完全閉鎖された立入禁止の村」「犯罪者たちの逃亡集落」「政府の秘密研究施設」と様々な憶測が語られたが、勿論、それらは事実ではない。先ず、インターネット上で出回っている画像自体がトリックだ。周囲が原始林だけに見えるように、恣意的なトリミングや位置ずらしがなされている。少しズームを引いたり、北東の方角をチェックすれば、国道の『富士パノラマライン』に面し、観光地の精進湖が近いこともわかる。中央自動車道やJRまでは車で30分。とても秘境と言える立地ではない。この精進集落では、住人の多くが民宿業を営み、最盛期には24軒もの民宿が連なっていた。嘗ては70もの世帯が居住、郵便局や小学校も存在する立派な町だ。とはいえ、この集落も地方ならではの少子化・過疎化の波に曝されている。精進民宿村の代表的な宿『樹海荘』のご主人に、お話を伺ってみた。「若者が外に出ちゃうから跡継ぎも無くて、今は民宿も11軒しか残っていないよ。小学校も5年前に廃校したべ」。この土地は元々、樹海に大きな穴が空いていた地域だったという。それを昭和42(1967)年に整地し、山側の集落が昭和46(1971)年に引っ越してきた。だから、人工的な長方形の区画となっているのだ。「当時は国が民宿業を奨励したから、民宿村になって。確かに、昭和47~49年は山ほどお客さんが来て、『廊下でもいいから泊めてくれ』と頼まれていたな」。しかし、レジャー産業の変遷により、若者が富士五湖で遊び、民宿に泊まる風潮も衰えた。富士山の世界遺産登録も、それほど観光客増加に繋がっていないそうだ。

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このような知名度の急落が、精進民宿村を“謎の樹海村”とする都心伝説の一因となったのだろう。ただ、「抑々何故、精進集落が人工的に造られたのか?」という疑問は残る。「それはもう、『西湖のほうで大災害があったから、うちらも危ない』と北の尾根から引っ越したんだべ」。昭和41年9月25日未明、関東に上陸した台風26号は、時間雨量100㎜の記録的豪雨を齎した。それは西湖湖畔において、猛烈な土石流を引き起こしたのだ。山津波に襲われた根場・西湖の2集落は、ほぼ全ての家屋が破壊され、94名の死者を出す大惨事となった。1年後、崩壊地に村を再建する危険から、住民たちは移転を決意。彼らの多くが民宿業を営み、それが現在も続く西湖周辺の民宿村となった。そして、精進集落もそれに倣って移転した…という経緯なのである。折角なので、西湖の災害現場にも足を運んでみた。現在、そこには『西湖いやしの里 根場』なる商業施設が開園しており、当時の茅葺き屋根の集落が再現されている。山の斜面に挟まれた茅葺きの家々が並ぶ光景は美しいが、昭和41年の惨状を知ってしまうと物悲しくもある。「もう、本当の隠れ里でしたよ。何度も村の近くを通り過ぎていた私も、存在すら知りませんでしたから」。地元民である施設のスタッフに、当時の記憶を尋ねてみた。平家の落人伝説もある根場は、山間に隠れるようにして養蚕と放牧を営む小村であった。車道も無く、荷車か馬車しか通れないほどの孤立ぶりだったという。昭和41年の災害時には、一帯は泥の海と化し、膝まで埋まる有り様だったそうだ。一夜にして消えた隠れ里――。まるで杉沢村のようでもあり、樹海村の都市伝説には、この村こそ相応しいように思える。現在でも災害危険地域として人が住むことは禁じられているが、2006年に漸く荒れ地を整備し、前出の西湖いやしの里がオープン。富士山周辺の観光施設の1つとして復活したのだ。関東で唯一、茅葺きの建物群が見られる為、園内には沢山の外国人観光客の姿が。彼らは恐らく、ここが94名もの死者が出た悲劇の地とは知らないだろう。筆者にしても、樹海村伝説を調べてみて初めて知った程度であるのだから。東京へ帰る前に、西湖民宿村にある災害慰霊碑に手を合わせた。“樹海の奥に謎の村がある”という都市伝説の調査は、期せずして実在する樹海の秘境集落とリンクし、災害地のダークツーリズムへと繋がっていったのだった。


キャプチャ  2016秋の号外編掲載

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教義との整合性は? 名誉会長亡き後の布石? 会則前文に“創価学会仏”と定められたのは組織の大異変のせいなのか

20170224 13
昨年11月4日午後、『創価学会』は、組織の重要事項を決定する最高機関“総務会”で、同会の会則を改正した。その会則前文に、“創価学会仏”と付加することを議決した。 創価学会仏? 文字通りに受け止めると、創価学会の組織が“仏”になったという会則の改定である。一般市民の感覚なら、“仏”とは悟りを開いた人。その代表として、インドのブッダガヤで悟り、仏教の開祖になった釈迦を指す。庶民の間では、亡くなった人に畏敬の念を込めて、“仏様”と呼称することがある。それが創価学会は、何故いきなり、その“仏”の冠を被せた教団になったのか。同会のトップである原田稔会長は、同日開催された総県長会議(※全国・各都道府県の最高幹部の集まり)で、大要“創価学会仏”と会則を改正する2つの理由をこう述べた。第一点目は、「日蓮大聖人の曠大なる慈悲を体し、末法の娑婆世界において大法を弘通しているのは創価学会しかない。ゆえに戸田先生は、末法の経典に“創価学会仏”と記されるであろうと断言されたのである」(聖教新聞・11月5日付)。要するに、「故・戸田城聖二代会長が生前、“創価学会仏”になるという未来を断言していた」と力説している。もう一点は、「本年7月26日の全国最高協議会へのメッセージのなかで、池田先生は『御本仏の広大なる慈悲を体し、荒れ狂う娑婆世界で大法を弘通しているのは、学会しかない。戸田先生が“創価学会仏”と言い切られたゆえんである』とご指導してくださいました。大変に大事なこ指導であり、創価学会の宗教的独自性を明確に宣言するものです…池田先生は、さらにそのメッセージのなかで、『広宣流布を推進しゆく創価学会が仏の存在であり、創価学会なくして広宣流布はなく、学会を守ることが広宣流布を永遠ならしめることである』ともご指導くださいました…」(同)。要するに、「戸田城聖2代会長に続き、池田大作3代会長(現在は名誉会長)も“創価学会仏”と指導を残してくれたことが、今回の新たな会則改正に結び付いた」というのだ。

突然、創価学会が“創価学会仏”と名乗ったことがインターネット上でも拡散し、様々な意見が飛び交った。伝統仏教の寺院住職を務めているA師の感想はこうである。「ここ数年、創価学会は会則の改定を頻繁に行ってきましたが、ここまで改正するとは正直驚きました。この改正に当たって、『未来の経典に創価学会仏と記される』と説明をしておりましたが、これはかなり苦しい予言だと思いましたね。私たちも昔、創価学会から『邪教だ』と散々攻撃をされました。その批判の根拠とした創価学会の教義が“御書”(※日蓮聖人が残した教え)で、学会にとってその“御書”が最高の経典だったのです。ところが、『創価学会仏を名乗ることで、未来の経典に創価学会仏と記されるであろう』とあります。未来とはいつのことなのでしょうか? 少なくとも、現在の創価学会員さんが生存している近い未来ではないでしょう。200年先か、1000年先のことなのか。しかも、そうした経典をどんな仏様が書き残すのかも明記されておりません。ただ、その未知なる経典の出現は、日蓮聖人の“御書”を超える存在になるのでしょうから、創価学会は『日蓮の教えと離れ、独自の宗教を開いた』という宣言をしたのかもしれませんね」。もう1人、2代会長の戸田城聖時代に創価学会に入信(※現在は“入会”と言う)して、組織の幹部等も歴任し、現在も尚、同会に籍だけは置いているものの、組織活動には殆ど参加していないB氏が、こんな感概を抱く。「熱心な学会の信者時代、“御書”を中心に日蓮教学をよく勉強しました。80歳を過ぎても、“御書”の重要な部分は暗記しているくらいです。その“御書”の中に、例えば鎌倉時代の信者であった四条金吾に、日蓮大聖人が『いよいよ道心堅固にして仏になり給え』という手紙を書いています。大聖人は多くの信者たち個々に、『強い信仰によって“仏”になりなさい』という教えですね。でも大聖人は、在家信者組織そのものが“仏”になるなど書き残しておりません。創価学会が“仏”を名乗ることで思い出したのですが、今から40年ほど前に創価学会と宗門(日蓮正宗)が喧嘩(※第1次宗門学会紛争のこと)をして、それが原因で池田大作会長が会長を辞任しました。この喧嘩の原因の1つにカネの問題があり、創価学会が会員から資金を集めていたことに、宗門が『在家が金を集めることは教義に違背する』と批判したのです。学会もこれを認めて反省し、以後、学会が会員からお金を集める時は、“御供養金”という名称を捨て、“財務”(※“寄付”に近い用語)という名前に変更したのです。しかし、納金する信者(会員)にとって、御供養金と財務(寄付)では、言葉の重みが天と地の差ほどの開きがあります。創価学会が創価学会仏になることによって、“在家集団”の組織が仏に昇格して、会員からお金も堂々と集めることができるということでしょう。それと、ここにきて創価学会仏と名乗った背景には、池田大作名誉会長亡き後の布石戦略と見ていいでしょうね」。池田名誉会長亡き後の布石――。どういうことなのか?

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