ヤマト運輸は本当にアマゾンの被害者なのか――10年以上伸びていない利益、昨年12月下旬に想定超える荷物流入

20170530 08
宅配最大手の『ヤマトホールディングス』が、大きな試練に直面している。『アマゾンジャパン』等、インターネット通販の荷物が急増。宅配ドライバーのサービス残業が深刻化していた。経営陣は、「人手不足等、外部環境の変化が主な原因だ」と言う。宅急便は時代に先駆けた取り組みで支持されてきた。しかし今、構造改革に伴うサービス後退が避けられない。何故、こんな事態になってしまったのか? 「インターネット通販というのは、基本的には非常に良い存在だと思いますよ。しかし、それは荷物を運んで初めて成立するビジネスでしょう」「クリスマスや母の日等、荷物が増える毎年の行事には備えてきました。ただ、インターネット通販が独自に展開するセールによって、例えば大量のミネラルウオーターを運ばなければならないようなことまで想定して、我々が体制を整えておく必要があるのでしょうか?」――。本誌のインタビューに、ヤマト運輸の長尾裕社長は、苛立ちを隠さずに本音を露呈した。それは、「インターネット通販の需要拡大を支えてきたのはヤマトであり、消費者が利便性を享受できるのもヤマトのおかげだ」という強烈な自負があるからだろう。そして、インターネット通販大手のアマゾンジャパンとの取引については、次のように説明した。「佐川急便さんが(2013年に)捨てたものを拾ったみたいな言い方をよくされますが、そんなつもりはさらさらない。元々、日本通運さんがやっていたアマゾンさんとの取引を、全部安値でひっくり返したのは佐川さんですから。(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか? (Amazon側から)『何とかして助けてくれないか?』というお願いがあったので、『力になろう』と判断した」。だが、こうした公共性を重んじ、他社が断った荷物まで運ぶようなヤマトの姿勢が、限界に達している。先月、過去2年分で約190億円もの未払い残業代を支払うという前代未聞の事態を発表。現場が疲弊しているのだ。昨年12月下旬、宅急便のインフラは試練に直面していた。運ぶべき荷物の配達が終わらず、そこに新たな荷物が届き、運ぶ順序がわからない混乱状況に陥る宅急便センターもあった。あるセンター長は責任を感じ、泊まり込みで仕分け作業等をしたという。

約1400億円を投じて2013年に稼働した最先端の大型物流施設の象徴的存在『羽田クロノゲート』はどうだったか? この施設に荷物を送っているある会社の社長は、「クロノゲートはキャパオーバーだった」と話す。別の物流会社幹部も、「取引先から急遽、トラックの応援を頼まれた。『クロノゲートがパンクして混乱が起きている』と説明を受けた」と話す。こうした見方に対してヤマトは、「クロノゲートで荷物の仕分け作業等が滞ったという事実はない」と否定する。ヤマトは今年2月、“働き方改革室”を設置して、サービス残業の実態調査に乗り出した。先月には未払い残業代の支払いの他、宅配事業の構造改革プランを発表。そこでヤマトの経営陣は、混乱の主因として“想定を超えるインターネット通販の急増”・“人手不足”・“社会保険等社会制度の変更”等、外部環境の変化を挙げた。まるで、「我々はインターネット通販拡大等の被害者」と言っているかのようだ。だが、本当にそうなのだろうか? 大きく分けて3つの疑問が生じる。1つ目は、「何故、現場の窮状を把握するのが遅れたのか?」である。実態として、多くの企業でサービス残業があるものの、約190億円というヤマトの残業代未払いの額はあまりにも大きい。ヤマトの元役員は、「長時間労働は20年来の課題。インターネット通販の拡大を言い訳にすべきではない」と話す。ヤマトは、他社に比べて宅配ドライバーの質が高いとされてきた。昨年、『日経リサーチ』が調査した『ブランド戦略サーベイ』では、『Google』や『トヨタ自動車』を抑えて首位となった。今回の事態は、従業員を大切にするイメージと懸け離れている。長尾社長は、「昨年夏頃から異変に気付き、改革の検討をしてきた」と説明する。しかし、現場では「特に、Amazonとの取引が拡大した4年ほど前から状況が大きく変化し、サービス残業が常態化し始めた」との声は多い。2つ目の疑問は、「何故、Amazonから安値で受注したのか?」という点だ。宅配便のシェアが約5割という公共性の高い事業を展開するヤマトが、価格を抑えた高品質のサービスを提供するのは、企業としての使命だろう。それでも、業界内で噂されるほどの取引を引き受けた背景には、どのような事情があったのだろうか? ヤマトの宅急便の平均運賃は今年3月期で559円だが、Amazon等大口顧客には高い割引率を適用している。Amazonについては、1個当たり200円台後半と言われている。そして最後の疑問が、「宅急便の収益性が低下する中、何故、収益源の多角化は想定通りに進まないのか?」。ヤマトの業績は、宅急便を始めてから右肩上がりで伸びてきた。連結売上高は今年3月期に約1兆4700億円となり、過去10年で26%増えた。ところが、営業利益は2006年3月期に600億円台に乗せてから、ほぼ横這いだ。同社は宅急便で全国に物流網を張り巡らせ、会員サービス『クロネコメンバーズ』で約1500万人の個人情報を保有している。2011年に掲げた長期経営計画『DAN-TOTSU経営計画 2019』では、こうした強みを生かした多角化による成長ビジョンを掲げた。その計画は思うように進んでいない。営業利益では、中期経営計画で掲げた今年3月期の目標である900億円に遠く及ばず、業績を見る限り、描いていたシナリオと大きなズレが生じている。日本の物流サービス業を引っ張ってきたヤマトに、何が起きているのか――。 (取材・文/本誌 大西孝弘・村上富美・大竹剛)


キャプチャ  2017年5月29日号

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(44) エッフェル塔を売った天才詐欺師の“十戒”

「人を惹きつけろ、喋り過ぎるな、よい聞き手となれ、身なりに気を配り、絶えず威厳を保て」――。ヴィクトル・ルースティヒが残した『詐欺の十戒』から抜粋した言葉である。ルースティヒは1890年、プラハ生まれ。青年時代に外洋豪華客船のウェイターとして働き、数ヵ国語と上流階級のマナーを身に付けた。彼が天才詐欺師としてその名を知らしめたのは1925年、35歳の時だ。当時、『パリ万博』の目玉として建築されたエッフェル塔は、老朽化による維持費等の問題で撤去が計画されていた。それに目をつけたルースティヒは、政府高官に成りすまし、解体計画書を偽造。そして、数社の解体業者を極秘会談と称して呼び出し、「受注の為には賄賂が必要である」と大金を騙し取った。現在ではパリを代表するシンボルとなったエッフェル塔を、7000トンの鉄屑として扱うところが痛快である。日本であれば、東京タワーを解体屋に売り払う感覚か。その洗練された手口と大胆な発想は、近代詐欺事件の始まりと言っていいだろう。この時から、ルースティヒは“エッフェル塔を売った男”と呼ばれるようになったのである。冒頭の詐欺十戒は、アメリカで偽札製造機という代物を売った容疑で捕まり、獄中で認めたものである。この偽札製造機自体が偽物であったのがルースティヒらしい。「詐欺師は人柄で騙し、事件師はネタで騙す」。これは、詐欺師と事件師の違いを端的に表した言葉だが、ルースティヒはその両方を併せ持つハイブリッドな詐欺師と言える。人の第一印象は見た目で決まる。詐欺師が詐欺師に見えたら詐欺は成功しない。騙されるほうも、まさか自分が騙されるとは思ってもいない。だから、人は詐欺に遭うのだ。

一口に詐欺と言っても、その間口は広く多岐に亘る。近年はインターネットの普及で詐欺の手口は多様化し、複雑になった。送金手段や決済機能も充実し、犯罪も簡単に国境を越える。法の空間を跨げば事件化は難しく、被害の教済も困難となる。猫太郎が巻き込まれたパッケージスカム(小包詐欺)も、ITを駆使した現代の手口だ。「大量の金塊があわよくば自分の物になるかもしれない」と思わせる古典的な要素に、電子メールや大手物流会社の偽サイトというテクノロジーを融合させた新しい詐欺だ。私たちは、当事者が直接会うこともなく、コンピューターとインターネットで詐欺が完結してしまう時代を生きているのだ。最新の手口で猫太郎を騙そうとしたアメリカ軍女性兵士のナタリアは、相手が予想以上に強いとわかり、仲間のアランを送り込んできた。猫太郎は現在、このアランを相手に奮闘中である。相手は、「何とか元だけでも取り返したい」と思っている。その焦りを嗅ぎ取った猫太郎は、騙されたふりでエサを投げた。相手の要求は、送料と関税で約1000万円だった。パッケージの中身は約14億円相当の金塊とダイヤモンドというネタでだ。勿論、中身が本物である筈がない。そこで猫太郎は、アランに1つの提案をした。「14億円の銀行保証が付いた証券で全て買い取ってやろうか?」。アランは見事にエサに食いついた。直ぐさま、猫太郎に個人情報が記載されたCIS(クライアントインフォメーションシート)を送ってきた。正確な情報でなければ銀行で証券を受け取れないし、現金化もできない。猫太郎は完全に敵の尻尾を掴んだ。ナタリアたちは完全に敵を見誤った。猫太郎が20年もの間、中国と取引しながら生き残っているという意味をわかっていない。そして何より、猫組長の一派なのだ。反撃の狼煙は上がったばかりである。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年5月30日号掲載

テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(43) 猫太郎vs国際詐欺グループの息詰まる攻防と意外な結果

アメリカ軍女性兵士のナタリアから金塊の受け取りを頼まれた猫太郎。その後の物語である。シリアの戦地で略奪した金塊を部隊で山分けしたナタリアは、猫太郎に日本での換金を頼んできた。次々と送られてくるシリアの画像には、山積みの金塊も映し出されており、それだけで猫太郎を舞い上がらせた。イギリスの大手物流会社からのお知らせメールと荷物追跡番号も、猫太郎を鼓舞させた。その経過を逐一報告される度に、筆者はクヒオ大佐事件を思い出す。カメハメハ大王の親戚(※自称)で、アメリカ空軍特殊部隊のパイロットという設定の結婚詐欺師だ。弁当屋のおばさん等から1億円以上を騙し取って逮捕されたクヒオ大佐は、パイロットどころか自動車の免許も持っていない普通の日本人で、本名が鈴木さんだった。彼は女性と会う時、いつもアメリカ空軍の制服姿で、電話はジェット機の音が聞こえるよう、アメリカ軍基地の近所でかけていたという。女性から金を騙し取る口実が、特殊作戦の工作費やジェット機の燃料代というのが面白かった。きっと、クヒオ大佐に騙された女性たちはロマンチストなのだ。空軍の制服に特殊作戦という非日常が、彼女たちを惹きつけたのだろう。ナタリアが猫太郎に送ってくる画像も全て、アメリカ軍の制服姿である。それは、戦地の画像と共に、緊張感を醸し出していた。人間は制服姿に権威と信頼感を持つものだ。ナタリアもクヒオ大佐も、それをわかった上で演出しているのだろう。猫太郎は胡散臭いと思いつつも、1日の大半をナタリアたちとの連絡に費やしてきた。彼女も猫太郎からカネを騙し取ろうと一生懸命なのである。

今では、ナタリアの他に、弁護士のアラン、外交官のフランクまで登場してきて、完全な劇場型詐欺になってきた。彼女たちは、猫太郎の偽造した送金伝票で赤字を出している。それだけでも取り返さないと、詐欺師の沽券に関わるのだ。ナタリアたちの計画では、「金塊を送った」と思い込ませ、その送料として6500ポンド(約100万円)を騙し取るつもりだった。そして、その送料を支払えば、次は関税を請求する予定だった筈だ。ところが、猫太郎は650ポンド(約10万円)しか送金せず、更にその送金伝票を6500ポンドに偽造してナタリアに提示した。「これで第2弾の関税まで騙し取れる」と踏んだナタリアは、哀れ入金の確認を待たず、オーストラリアにまで荷物を送ってしまったのである。ロンドンからオーストラリアまでの送料を調べると850ポンド(約12万円)。既に2万円の赤字だ。勿論、中身が金塊でないのはわかりきっているが、ジュラルミンのケースだけでも安くはないだろう。こうして、ナタリアと猫太郎の攻防は、やや猫太郎有利で進んできた。そして遂に、弁護士役と外交官役の仲間が助っ人として登場したという訳だ。弁護士役のアランは最初は強気で、「猫太郎を訴える」と息巻いていたが、手に負えないとわかると泣き落としの作戦に変わった。猫太郎も、何とか送料を負担せずに日本へ荷物を届けさせようと必死である。そして、アランは350ポンド(約5万円)までディスカウントしてきたのである。つまり、最初に送金した金額と合計すれば約15万円、恐らくこれが詐欺に要した経費の原価なのだろう。もう、何が目的になっているのかわからない。これまで約2ヵ月の間、国際間でいい大人が何をやっているのだろう。ナタリアも、今では猫太郎を相手に選んだことを後悔している筈だ。物語は今も進行中である。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年5月23日号掲載

テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

【ドクターXは知っている】(04) 傷や火傷に消毒薬は“毒”…市販の傷を乾かすスプレーも却って治りを遅くする

20170530 07
幼い頃、ちょっとした怪我をして、母親に赤チン(マーキュロクロム液)を塗ってもらった経験は、誰にでもある筈です。他にも、ヨーチン(ヨードチンキ)・イソジン(ポピドンヨード)・クロルへキシジン等、様々な消毒薬が私たちの身の周りにあります。また、傷に使われる軟膏・ヨード(沃素)の嗽薬・歯磨き粉・洗口剤の多くにも、こうした成分が入っています。これらは私たちの日常生活に欠かせないアイテムになっていますが、「消毒薬は毒である」と警鐘を鳴らす医師がいます。『練馬光が丘病院』で傷の治療センター科長を務める夏井睦先生です。「消毒薬の殺菌力は、細菌にだけ効果があるのではありません。人間の細胞まで殺してしまうのが消毒薬なんです」。何故、そうしたことが起こるのか、理由を説明するには、消毒薬が細菌を殺すメカニズムを知る必要があります。消毒薬は、細菌の蛋白質を破壊することによって細菌を殺します。化学作用や物理作用によって細胞膜の蛋白質を変性させ、細菌の生命維持をできなくさせてしまう訳です。しかし、このメカニズムには弱点があります。消毒薬は、細菌の蛋白質だけでなく、人間の細胞膜に含まれる蛋白質まで攻撃してしまうからです。

「皆さん、傷口に消毒薬を塗った時に、相当な痛みを感じた経験があると思います。消毒薬が傷口の細胞膜タンパクを破壊する為に痛みが起こるんです。実は、消毒薬にとっては、細菌の細胞膜蛋白よりも、人間の細胞膜蛋白のほうが攻撃し易い。消毒薬が細菌の細胞膜に到達するには細胞壁を通らなければなりませんが、人間の細胞には細胞壁が無く、ダイレクトに攻撃を受けてしまうからです」(夏井先生)。消毒薬の問題はわかりましたが、傷をそのまま放っておいてもいいのでしょうか? 私たちは子供の頃から、「消毒しないと黴菌が入りこんで化膿してしまう」と教えられてきました。「確かに、細菌がいなければ化膿はしませんが、それは十分条件ではなく、必要条件の1つに過ぎません。細菌だけで創感染(※傷口に細菌が付いて化濃すること)を引き起こすには、とてつもない数の細菌が必要なんです。実際には、細菌に異物や壊死組織が加わることによって創感染する。消毒薬で細菌を殺す意味は殆どないんです。抑々、消毒薬を使ったからといって、細菌を全て撃退できる訳ではありません。傷口を消毒しても、細菌は生き残って、我々の細胞だけを殺してしまうことになりかねないんです」(同)。だとすると、私たちは何故、「傷ができた時に消毒薬を使って細菌を除かなければならない」と考えるようになったのでしょうか? 夏井先生は、19世紀に活躍したフランスの細菌学者、ルイ・パスツールの名前を挙げます。「『細菌が全ての病気の原因である』と考えていたパスツールは、『感染を防ぐには消毒で細菌を殺すことが一番大事だ』と主張した。不幸にも、医学界では今もその時代の考え方が生きているんです」。常識に囚われてはならないと言えそうですが、消毒薬を使わないとしたら、私たちは傷口にどういう手当をしたらいいのでしょうか? 「先ずは水道水で洗うこと。これだけでも細菌はかなり減り、創感染を防ぐことに繋がります。そして乾かさないこと。市販のハイドロコロイド素材の絆創膏を貼るか、ワセリンを塗って食品用ラップで患部を覆う等して、湿潤状態を保って下さい。怪我や火傷の傷は消毒せず、乾燥させなければ痛まず、早く、しかも綺麗に治ります」と夏井先生はアドバイス。「消毒薬を安易に使うことは無駄なばかりではなく、危険でもある」と頭に入れておきたいものです。 (取材・文/フリージャーナリスト 田中幾太郎)


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テーマ : 医療・健康
ジャンル : ニュース

【男たちの貧困】(01) 借金・自殺未遂・海外逃亡…元IWGP王者レスラーの安田忠夫をバンコクで直撃!

20170530 02
「貯金? 生まれてこのかた、したことないよ。していたら、こんな風になってないでしょ」――。そう言って大きな体を揺すったのは、元プロレスラーの安田忠夫(53)だ。2001年の大晦日の格闘技興行『INOKI BOM-BA-YE 2001』で、『K-1』の猛者ことジェロム・レ・バンナを総合格闘技ルールで撃破し、愛娘をリング上で肩車する姿をご記憶の読者も多かろう。あれから15年、安田はバンコクにいた。「今は日本料理居酒屋の雇われ店長をしていてね。でも、タイ人から見りゃ俺は所詮外国人じゃん? だから毎日、タイ人の女性従業員に苛められてさ。休みは週1日。タイは物価が安いというけど、俺、現地採用みたいなもんだから、給料も現地価格で安いんだ。全然意味ないよな」。果たして何故、安田はそこまで堕ちてしまったのか? 貧困へと繋がる、その流転の人生を振り返ってもらった。大相撲の力士だった安田は、1990年7月場所で小結に昇進するも、生来のギャンブル好きが祟って廃業。非合法の野球賭博等で、知り合いの力士への当時の借金が約2600万円まで膨らんでいたという。1993年に『新日本プロレス』に入団し、翌年2月にデビュー。“どん底に堕ちた男の裸一貫からのスタート”と、当時は話題になった。「実際ね、新日本入って直ぐの時は、ギャンブルは殆どしなかった。というのは、嫁が新日本からの給料を管理していたからさ。そこから小遣いだけ貰う生活で。お金が無けりゃ賭け事はできないだろ? ところがさ、俺が家にあった何かのお金を持ち出して、ギャンブルに遣っちゃったんだよ。そしたら嫁が激怒して、そこからは別居状態。新日本に入って未だ数ヵ月しか経っていなかったんだけどね。給料は俺のところに振り込まれるし、俺も家族がいなきゃ暇だから、またどんどんギャンブルにのめり込んでいった感じだね。嫁は看護師をやっていたし、稼ぎもあった。いつ離婚したかは覚えていないけど、それは必然だったんじゃないかな。そこから、俺は大田区の木造の2階建てアパートを借りて。家賃は7万円くらいだったかな。当時の新日本での稼ぎ? 毎月100万円から150万円は貰っていたよ。でも俺、そのお金はできるだけギャンブルに遣いたかったから、家賃は兎に角安いところにしたんだよ(苦笑)」。

2001年、総合格闘技人気の高まりにより、安田も“猪木軍”の一員として『PRIDE』に参戦。同年の時点で、年収は約2000万円あったという。そして大晦日にTBSテレビ系で放送されたバンナ戦で、“1億の負債を持つ借金王”として煽られながらも、劇的な勝利を果たし、全国的にブレイク。翌2002年2月には、新日本プロレスでIWGPヘビー級王座も獲得。一躍、時の人となった。「俺の場合、PRIDEはワンマッチ500万円だった。だけど、それは後から知ったことでね。実際に入ってきたお金は250万円。猪木さんが半分中抜きしていたんだよ。まぁ、お世話になったし、飯もよく食わしてもらっていたから、特に恨みも無いよ。でもまぁ、ギャンブルはよくやったね。競馬・競輪・競艇は勿論、裏カジノでポーカーゲームもやった。ルーレットもあったけれど、確率が36分の1で、俺は好きじゃなかったな。借金も膨らんで、当時の額は3000万円くらいだった。借用書? 無い。全部、個人的な知り合いから借りたものだったからね。新日本の選手から借りたのも、吉江(豊)くらいじゃなかったかな? ただ、大晦日のバンナ戦の時は、3000万円くらいの借金だとインパクトが弱いから、思い切って借金の額を『1億!』って言ったんだよ。『それくらいじゃないと夢が無いかな?』って(苦笑)」。以降、2004年までは猪木軍や新日本の主力であった安田だったが、同年6月に雲行きが怪しくなってくる。新日本の社長が、藤波辰爾から草間政一に代わったのだ。「それまでも、寝坊とかの試合への遅刻で給与のカットとかはあったんだよ。だけど、本格的にやばくなったのは草間が社長になってから。年俸制でなくワンマッチ契約になったんだよ。そうすると、定期的収入は無い。試合毎の契約と聞いても、試合に呼ばれない。それじゃあ無収入だよな。結局、翌年の1月に新日本を解雇されたんだよね。草間を恨む気も無いよ。結局、会社的にも俺がいらない感じになっていたんだろうな。解雇された年の5月からはIWAジャパンってインディー団体に上がったんだけど、そこがワンマッチ5万円。月に2~3試合だから生活できないよな。でも、中には1試合5000円でやっている若手選手もいるって聞いてさぁ。出てみたら本当に客も少なくて。逆に、『5万円も貰っていいのかな?』って気になったよ。次に猪木さん率いるIGFに上がったんだけど、こっちはワンマッチで50万円から100万円貰っていた。ところが、2~3ヵ月に1回しか試合がないんだ。ハッスルってリングにも上がっていて、こっちも給料は悪くなかった。『お金あるじゃないか』って? 違うんだよ。東京スポーツの記者が俺を的確に表現していたな。『安田さんは10万円貰っても100万円貰っても一緒。あればあるだけギャンブルに遣っちゃうから、結局は同じ』だって。その通りなんだよ。俺の前では、お金は無くなるだけだったんだ。2007年になると、どの団体からも試合に呼ばれなくなって、収入が途絶えた。無銭飲食も2回くらいやったよ。あの、電話がかかってきたフリをして店を出て行くやつ。場所? ファミレスだったかな。勿論、家賃も滞納していた。その年の10月だったな。例の事件を起こしたのは…」。2007年10月4日、安田はアパートの自室で練炭を焚いたまま昏睡状態にあったところを、関係者に救われた。こちらは、焼き肉の雰囲気を楽しもうとした“エア焼肉事件”として知られるが、自殺を試みたことは明らかであった。事実、決行直前には、複数の関係者に死を仄めかすメールを送 っている。

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テーマ : 社会問題
ジャンル : ニュース

【熱狂!アニメビジネス最前線】(07) 「日本のクリエイティブ業界はガラパゴスの中の更にガラパゴスになっている」――塩田周三氏(『ポリゴンピクチュアズ』代表)インタビュー

20170530 06
手塚治虫の『虫プロダクション』は、アニメの量産システムを生んだ。『スタジオジブリ』は、世界における“ジャパニメーション”の地位を確立した。日本のアニメ産業の革命企業として、次は『ポリゴンピクチュアズ』の名が加わるかもしれない。ポリゴンは1983年創業だが、国内で自社が出資するアニメを発表したのは極最近。2014年4月放映の深夜アニメ『シドニアの騎士』(原作は弐瓶勉・毎日放送ほか)が初めてだった。この遅まきのデビュー作が、アニメ業界に衝撃を齎した。ポリゴンは長く、アメリカ市場を活動の足場に、『ディズニー』や『ルーカスフィルム』といった錚々たる顧客にCG映像を提供してきた。それが、出資作品で日本に逆上陸するに当たり、塩田周三代表は“大命題”を定める。「テレビアニメとして、国内最高額のビジネスにする」というものだ。「アメリカでは、僕らは高価格帯の映像しか作ってこなかった。だから、社内の色んな仕組みが、その相場を前提に構築されている。日本の制作がアメリカより著しく低いのはわかっているが、『そうですか』と言ってそこに合わせる訳にはいかない」。ポリゴンのアメリカにおける制作費は、30分アニメ1話換算で3000万円が最低ライン。一方の日本では、2000万円が業界での事実上の天井。この格差があっても儲けを守るには、知恵が必要だった。シドニアも、他の多くの深夜アニメ同様、製作委員会形式で作られており、『講談社』や『キングレコード』、そしてポリゴンの3社が中核出資社。通常、制作会社の多くは出資をせず、制作費を得るだけだ。だが塩田氏は、シドニアを巡るライツ(※映像著作権やビジネス展開の為の窓口権等、複数の権利の総称)を得る為に出資した。実際、このライツによって、ポリゴンは世界指折りの大口需要家への営業に成功する。有料動画配信の最大手『NETFLIX』。制作と並行して、シドニアの独占配信契約を同社と締結。対価として、高額の配信料を獲得した。塩田氏はその金額を伏せるが、委員会への出資分はこの配信料で全額回収でき、制作収支全体も黒字になったようだ。映像としても、シドニアはアニメーターを震撼させる作品だった。日本では数少ない、極めて完成度の高い3DCGアニメだったのだ。上流工程の作画段階から、コンピュータだけで制作した映像だ。日本では仕上がりが不自然として手描きが好まれてきたが、シドニアの映像は遜色ないほど繊細で滑らか。「手描きでなければ」というアニメーターの常套句を封印しかねない、圧倒的なクオリティーだった。しかも、ポリゴンは放送の2ヵ月前に全話を完成させている。

制作開始時期を問わず完成はぎりぎり、下手すれば放送開始に間に合わないこともある日本のアニメ業界では、信じ難い質とスピードの両立だ。この背後には、無駄を極力排したワークフローと、膨大なデジタル画像データをやり取り・管理する為の『パイプライン』というITシステムがある。日本の多くの制作会社が、“カット袋”と呼ばれる紙袋に原画等を入れ、物理的にやり取りして工程を進めるのとは全く違う。ポリゴンは元々、CGクリエイターの草分けである河原敏文氏が起こした映像ベンチャー。この設立経緯自体が業界では特異だが、塩田氏の経歴は輪をかけて独特である。1991年に『新日本製鉄』に入社。新規事業部門でノートパソコンの製造やシステム開発を手掛けた後、29歳で退職する。知人の紹介でコンサルタントとして参加したのが、ポリゴン・『ナムコ』・『ソニーコンピュータエンタテインメント』による全編CG映画の製作プロジェクトだった。総額80億円の巨大案件だが、国内にはノウハウが皆無。そこで塩田氏らは、1995年に公開された世界初の劇場用長編フルCGアニメ『トイストーリー』(ピクサー)のエンドクレジットを徹底分析した。どの工程に何人使うのか。洗い出してわかったのは、上流から下流へデータを流す整然としたラインの存在だ。「これ、新日鉄のものづくりと同じだ。クリエイティブな分野にも製造業での知見が使えるんだ」。創造現場を支える仕組みが製造業のノウハウと共通することに、塩田氏は静かに興奮した。その後、CG映画プロジェクトは頓挫し、会社は深刻な経営難に陥る。塩田氏がトップに就いた2003年以降からアメリカ市場の開拓が本格化するが、それは戦略というよりも、国内がCGに無関心になる中、帰国子女である塩田氏が一番営業し易い市場がアメリカだったからというのが正確だ。転機となったのは、ディズニーのテレビアニメ『プーさんといっしょ』(2007年)の受注だ。22分×26話と、日本のワンクールの倍に匹敵する膨大な作業量を熟す為、ITを使って作業フローとデータの管理を整備せざるを得なかった。これが現在のワークフローとパイプラインの起点であり、謂わば必要に迫られての産物だが、ピクサーの制作ラインを垣間見た塩田氏にとっては、点と点が結び付いた必然でもある。塩田氏は、国内の業界をどう見ているのか? 「日本では、クリエイテイブな仕事がガラパゴスの中の更にガラパゴスになっている。クリエイターは自己完結しようとするし、他の産業も関わろうとしない。本当は産業界からベストプラクティスを導入できるのに」。ポリゴンには、創業者から受け継ぐ社是がある。「誰もやっていないことを、圧倒的なクオリティで、世界に向けて発信していく」。アニメにおける圧倒的な質とは、一面的には美しい映像や感動的な演出を指すが、それだけではない。圧倒的に合理的に、迅速に、その上で利益を得る。これらも創造を支えるクオリティーだ。工業的であることと創造的であることは両立できる。これを体現し続けられたら、ポリゴンは間違いなくアニメ史に足跡を残すだろう。 (取材・文/本誌 杉本りうこ)


キャプチャ  2017年4月1日号掲載

テーマ : ゲーム、アニメ、その他
ジャンル : ニュース

【JR・栄光と苦悩の30年】(07) “会計マジック”で九州は上場…次の候補である貨物の深い憂鬱

『JR九州』が悲願の上場を果たした。優等生扱いされるJR九州ではあるが、実は上場には高い壁が立ちはだかった。次の上場候補である『JR貨物』にも、波乱要因が持ち上がっている。

20170529 15
「えっ? “三島会社”って何だ? 九州を“島”と呼ぶなんて、バカにしているんじゃないか?」――。JR九州の青柳俊彦社長は、30年前のことを悔しそうに振り返る。当時、国鉄改革案が明らかになる過程で、“三島会社”という言葉がいつの間にか使われるようになっていった。発足当初から、JR九州の運輸事業は赤字だった。貨物線や赤字のローカル線を多数抱えていたからだ。同じ境遇の『JR北海道』や『JR四国』と共に、この3社には国から数千億円の経営安定基金が宛がわれた。この3社を総称して“三島会社”と呼ばれるようになったのだが、当時のJR九州経営陣は、その呼び名に侮蔑的な意味を感じていた。「何くそ、負けてたまるか。絶対に上場を成功させる」(青柳社長)と、本州3社への競争心を抱いたことだけは確かである。昨年10月、JR九州は悲願の上場を果たしたが、それまでの道程は平坦ではなかった。この30年でJR九州が取ってきたのは正攻法である。それは、事業の多角化と運輸事業の収益化の2つに尽きる。多角化については、非運輸事業の売上高構成比は53.3%と高く、『JR東日本』をも凌ぐレベルにある。駅ビル不動産や流通外食事業で約320億円の営業利益(※2015年度)を出すまでになり、会社全体を支えている。問題は、運輸事業の収益化である。JR九州の唐池恒二会長は、「『JR九州は多角化で成功した』と言われるが、実は、運輸事業の売上高を伸ばしていることも評価してほしい」と言う。確かに、九州新幹線の開業という好機を上手く捉えた。新幹線という背骨が通ったのに合わせて、周辺の地域までその効果が及ぶよう、枝線として観光列車を次々と投入していった(※右図)。例えば、九州新幹線の終着駅である鹿児島中央駅から指宿駅に向かう『指宿のたまて箱』。大抵の利用者は九州新幹線も利用する。指宿のたまて箱だけなら利用者1人当たり3000円程度の収入にしかならないが、新幹線では8000円程度の収入が見込める。観光列車と新幹線には、こうした相乗効果がある。こうした地道な取り組みの結果、運輸事業の収入は、1987年度の1266億円から2015年度には1691億円と1.3倍に拡大し、営業赤字は280億円から105億円まで縮小。但し、運輸事業の収益化は持ち越されたままだ。

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多角化事業の貢献が効いて、愈々JR九州に悲願の上場が持ち上がった時、問題視されたのが経営安定基金3877億円の存在である。「上場する際には国庫に返還すべき」という意見も出た。かといって、経営安定基金を国庫に返還してしまえば、JR九州の経営は苦しくなる。何せ、未だ運輸事業は赤字なのである。そこでJR九州が編み出したのが、“ウルトラC”の会計マジックだった。先ずは、経営安定基金3877億円を全額取り崩した。それを元手に、新幹線リース料2205億円を一括して前払い返済した。更に、2015年度に運輸事業の固定資産を中心に、5256億円の減損損失を計上。そうすることで、年間100億円あった新幹線リース料の支払い負担が無くなり、且つ減価償却費の負担が減る為、運輸事業の収支が飛躍的に改善したのだ。一連の会計マジックにより、運輸事業は105億円の営業赤字から、2016年度に営業黒字230億円へ好転する見込みだ。無論、会計マジックという“お化粧”による黒字化ではある。青柳社長も、「実力では営業赤字100億円レベル」と認める。これで、経営安定基金にも会計マジックにも頼れない完全なる独立経営へ移行した訳で、真価が問われている。そして、次の上場候補として期待されているのがJR貨物だ。予て、JR貨物は上場に向けての前提として、“運輸事業の営業黒字化”と“経常利益100億円”という目標を掲げてきた。2016年度は「漸く、運輸事業の黒字化に目途が付きつつある」(JR貨物の田村修二社長)という。しかし、JR九州の経営安定基金問題のように、ここでも特殊ルールの壁が立ちはだかる。JR貨物は発足時に、経営安定基金という“持参金”に頼ることはなかったのだが、その代わりに“アボイダブルコストルール(回避可能経費ルール)”と呼ばれる特殊ルールで保護されている。JR貨物は線路を持っておらず、他のJR6社に線路使用料を支払っている。その使用料がJR貨物に有利になるよう設定されているのだ。貨物列車を走らせなければ避けられたであろう費用(※線路の摩耗に伴う交換費用等)のみを支払っている。更に、新幹線が開通すると、JR貨物が使う並行在来線は収益が厳しくなる為、追加で国から貨物調整金が交付されている。JR貨物の優遇ルールに、JR6社からは不満が漏れている。貨物列車は重いので線路の摩耗が激しいが、検査費用や関連設備の補修はJR6社が負担しているからだ。この特殊ルールが改定されれば、JR貨物の連結営業利益など簡単に吹き飛んでしまう。経営難に陥っているJR北海道が反対の急先鋒であるだけに、一波乱ありそうな雲行きなのだ。


キャプチャ  2017年3月25日号掲載

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【オトナの形を語ろう】(26) なぜ自分は女が必要なのか? 女を求める前に問うべきこと

男と女の話を少ししよう。私は別に、男と女のことが他人よりよくわかっている訳ではない。寧ろ、今も男と女のことはよくわかっていない。少し長く生きていくと、「女は厄介な生きものだ」ということがわかってくる。では、「女だけが厄介なのか?」と見てみると、女にとっても男は厄介な生きものなのである。ところが、私の経験で言うと、やはり男より女のほうがどうも厄介な生きものだと、この頃、思い始めてきたし、恩師・先輩もそう仰っている。扨てそこで、読者諸君にとっては、達観したような話より、現実問題として、一緒に飯を食べてくれる女がいないことのほうが重要な問題だったりする輩もいるだろうから、そっちを話そう。私はそういう人に訊きたい。「どうして、そういう相手がいないんだい?」「だって、いないんだからしょうがないでしょう」「淋しくはないのか?」「そりゃ、淋しいですよ。でも現実、いないんだから…」「いないって、そりゃ探せばいくらでもいるだろうよ。第一、女のほうが数が多いのは、太古の時代から変わりゃしないんだから」「えっ! そうなんですか?」「当たり前だろう。勿論、今の日本だって女のほうが多いんだ。だから、女は男を求めざるを得ないんだよ」。

「本当ですか?」「まぁ、数としてはそうだが、兎も角、相手を見つける方法が間違っとるんだよ」「どうしたらいいんですか?」「そりゃ簡単だよ。手当り次第ぶつかっていくことだ」「手当り次第?」「そう、手当り次第だ」。私が「手当り次第に女に当たれ」と言ったのは、最初は断られていても、数を打てば必ず、君たちと飯を食べるなり、映画を見るなりしてくれる女が現れるからなんだ。しかし、「飯を食べる相手もいない」と言った君たちは、飯だけを食べてくれる女がいれば、それでいいのかい? 勿論、そういうバカもいるだろうが、そうじゃないだろう? セックスもしたければ、「女が自分一人を大切にしてくれている」という満足感も欲しいし、「できれば献身的に尽くしてほしい」と思っているだろう。人間の欲望というものはそういうものだし、それはちっともおかしいことじゃない。扨て今、セックスだとか献身的だとか話したが、女と飯を食べ始める前に、何故、お前さんに女が必要なのかを考えてみることだ。――そんなことは考えたことがないって? それなら大丈夫だ。君は必ず相手が見つかり、そうして早晩、放り出される。今週、私が言いたいことは、「何故女性が、女がお前さんにとって必要なのかということを、ほんの僅かな時間でいいから考えろ」ということだ。

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【Test drive impression】(22) 『ベントレー ベンテイガ4WD』――超絶ラグジュアリー! ベントレー初のSUVを濃厚試乗

小沢の勝手なイメージで言っちゃうと、日本において“高級ブランド”っつうのは、エレガントにして控えめなものだと思う。謂わば銀座の老舗呉服屋であり、高級寿司店だ。カウンターの向こうには頑固な短髪白髪頭のジジイがいて、涼しい顔で無口に握る。味は確かに絶妙にして繊細。しかし、イマイチ冷静過ぎて面白くない。どっこい、ヨーロッパは微妙に違うんだよね。昔、パリの三つ星レストランに子供連れて行ったけど、泣き喚くので途方に暮れていたら、ジョージ・クルーニーみたいなイケメンギャルソンがニコッと笑って、一皿持ってきた。俺も食べてみたら、何と醤油味のタルタル。子供も泣き止み、「人間の本質、わかってんじゃん!」と頷いたもの。そこで本題だけど、世界に誇る高級イギリス車ブランド『ベントレー』が昨年6月に初めて出したSUVが『ベンテイガ』。骨格は同じVWグループの『アウディ07』や『VWトゥアレグ』と同じだって話だけど、そんなこたぁどうでもいい。問題は味つけと演出だ。一目見るなりびっくりした。超エロくて威圧的なのだ。序でに偶々ボディーカラーが金ピカ系だったので、殆ど走る高級スケベ椅子(笑)。けど、そこは世界のベントレー。今回、撮影していたら、ニッカボッカ穿いた兄さんたちが「これ、なんてクルマっスか? 超イケてますよねぇ!」だとさ。わかる人だけがわかる高級ではなく、わからない人にまで「何だか凄そう」と思わせる濃密高級感が、ベンテイガにはある。

これが、古代から戦争に明け暮れた“自己主張大陸”ヨーロッパで育った高級ブランド力! 実際、このフォルム、何なんでしょうかね? 国産車とは明らかに違う“お城オーラ”があるんだよな。全長5m超×全幅2m弱で、車重は2.5トン! 圧巻なのはお尻のどっしり感。対抗できるのは『ハウルの動く城』ぐらいしか思いつかない。ディテールもよくできていて、丸形の超キラキラにカッティングされたヘッドライトの中には、“BENTLEY”と格好いいロゴ。室内に入って更にびっくり。まさに高級ホテルの豪華さ。それも、モダンな高級ホテルじゃなくて、クラシック系ホテルのお味なのだ。全体は明るい茶色で、本革にキルティング加工がされていて、タッチがいいのは勿論、ウッドパネルが如何にも本物で、複雑な木目が入っていて、隙間からキノコが生えてきてもおかしくないほど。また、エアコン吹き出し口の蓋の開閉を金属のゴルフのティーみたいな棒でやるんだけど、コイツの出し入れが超エロい。計算され尽くした節度感ある遊びだ。本革もキチンと色のコーディネートをされた糸で縫いつけられ、まさに手作業の味。ベントレーは骨格こそVWグループ共通だが、組み立てはイギリスのクルー工場で熟練工によって行われる。職人の温もりビシバシだ! 走りも半端ない。ベンテイガのパワートレインは、新作の6リッターW型12気筒ツインターボ。3リッターV6を2つ組み合わせたグループの中でも、特別なモデルにしか搭載を許されてない複雑ユニットで、最高出力は何と608馬力。

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あまりに不可解だった呆気ない幕切れ…『大改造!!劇的ビフォーアフター』再最終回の裏事情

建築のプロたちが、依頼者から持ち込まれた家屋を見事に改造し、喜ぶ家族の姿が印象的だった人気番組が、突然の終焉を迎えた。10年以上も好評を博し続けながら、あまりにも“テレビの事情”に固執し続けたことが原因だった――。 (取材・文/フリーライター 黒川健三)

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2002年に放送が開始されるや、依頼人の中古家屋がプロの手によって文字通り“劇的なリフォーム”を施されるという斬新な企画で、瞬く間に人気番組にのし上がった『大改造!!劇的ビフォーアフター』(朝日放送・テレビ朝日系)。その後、様々な事情から一旦はレギュラー放送を終了。すると、視聴者の後押しを得て不定期放送となると、2009年にシーズン2として再びレギュラー放送へ復帰。だが、2016年11月、いきなり“再最終回”を迎え、一先ずのところ、14年間の歴史に幕を下ろすこととなった。同番組の熱狂的なファンからは終了を惜しむ声も相次いだが、そうした巷の熱狂ぶりとは裏腹に、同局サイドは今後、特番としての放送をするという含みを持たせたものの、レギュラー復帰について局側はお茶を濁す形となっている。高視聴率をキープしていたにも拘わらず、何とも呆気ない幕切れとなった同番組。各番組が低視聴率に喘ぐ中、何故鉄板コンテンツを呆気なく手放してしまったのか? 疑問を投げかける視聴者やファンも多かったが、このようなあまりにも不可思議な形での打ち切りについては、その背後に「2002年のシーズン1放送開始時から続く様々な問題があるのではないか?」と指摘する向きも少なくない。「まぁ、あの番組は最初から無理がありましたからね。十数年もよく持ったほうだと思いますよ」。そう語るのは、若手時代に最末端の構成作家として同番組の制作に携わっていたこともあるというK氏(38)。彼の話によると、同番組はスタート直後からクレームが相次ぎ、真面な感覚ならば、とてもレギュラー放送を続けられるような番組ではなかったのだという。

「元々クレームが多かったんですよ、スタッフからも匠からも、そして依頼者からも。以前、訴訟を起こされたりしたこともありましたけど、家の改造を突貫工事で、レギュラー放送のスケジュールに合わせるなんて抑々無理なんです。だから、放送日までに全然間に合わず、『カメラで撮らない部分は後回しで…』なんてことはしょっちゅう。しかも、平気でそのまま放置したりしていたから、依頼者からのクレームが凄いのも当然ですよね」(K氏)。更に番組では、無事に“完成”を迎え、依頼者ファミリーが感動しながら喜び合うというシーンがお馴染みとなっている。だが、驚くべきことに、この段階で完成していたのは画面に映る表側の部分だけで、実際には残る裏側の施工が終わっていないまま“完成”と言って放送していた物件があるというのだ。しかもその後、依頼者側からのクレームにより“無かったこと”にできなくなっても、放送が終わってしまっているコンテンツに追加予算を投入できるほど、今のテレビ局側の財布の紐は緩くない。その為、ここから更なる被害を生むのだという。「…まぁ、工期が延びればそれだけカネもかかる訳ですから、誰かが泣かなくちゃいけない。そうなると、先ず局側は是が非でも建設業者に押し付けにかかる。それが訴訟ヘと繋がったんだと思われるんですけど、それでも業者側が首を縦に振らない場合はどうなるか…。実は、私の知る限り、何軒かの家は、土木作業員のフリをした番組ADたちが仕上げの作業をしたそうです。当然、素人ですから、その完成度はかなりヤバいことになっている筈なんですけどね(苦笑)」(同)。建設業者にサービス残業を強いるだけでなく、建築の知識なぞ何一つ無いADまでもが駆り出されていたというのだ。因みに、依頼者側が予算に応じて支払う金額そのものはガチとのことなので、とんだ不良品を押し付けられた家族もいた訳である。「私が聞いた噂では、実際に大金を支払ったにも拘わらず、逆に欠陥だらけのリフォーム物件を押し付けられてしまって、困り果てている人もかなりいるらしいです。でも、番組側はそれを無かったことにして、いつまでも次から次へとリフォーム物件を乱造している訳ですからね。被害者目線で見れば、『それなら先ず俺の家を仕上げてからにしろ!』とも言いたくなりますよ。今回の打ち切りは、そういう怨嗟の声が積もりに積もって、限界に達したからなんじゃないでしょうか」(同)。虎の子の貯金を叩いてまでリフォームを依頼し、結果として、長年住み慣れた我が家を欠陥住宅へと改悪されてしまった同番組の歴代依頼者たち。家は拙くとも、幸せに暮らしていることを祈りたい。


キャプチャ  第6号掲載

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