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【誰の味方でもありません】(16) 噂好きな人類ですから

この連載を始めてから、本誌『週刊新潮』や『週刊文春』を読む習慣がついた。最近面白かったのは、週刊文春の自民党・岸田文雄政調会長に対する評。「話のつまらなさには定評があり、取材した記者の誰もが音を上げる」。関係者談ということになっているが、「話のつまらなさには定評がある」とは秀逸な表現だ。岸田さんと面識が無くても、一瞬で彼の人となりがわかった気になってしまう。いきなりライバル誌の話をしてしまったが、最近は週刊新潮も好調ですよね。ただ、個人的に面白かったのは、スクープよりも、出会い系バーの“貧困調査”で話題になった前川喜平前文科次官の“へい散歩”というグラビア記事。彼が昼下がりの新宿で目撃されたというのだ。「目指す先は、まさか、この街で通い詰めていた出会い系バーなのか?」と煽りながら、人の良さそうな、すっとぼけた顔の前川さんの写真を載せる(※実際は新宿でトークイベントがあっただけ)。はっきり言って、「岸田さんの話がつまらない」とか、「前川さんが新宿で目撃された」とか、本当にどうでもいい情報だ。だけど、つい夢中で読んでしまう。どうしてなのか? それは一言で言えば、人類が噂好きだから。何で前川さんの散歩が人類の話になってしまうのか、順を追って説明していこう。

上巻で挫折した人が多いことで知られるベストセラー『サピエンス全史』でも採用されていた説だが、人類の言語は噂話により発達したという説がある。実は、言語は人間だけのものではない。ミツバチは羽音で食物のありかを伝えるし、サバンナモンキーに至っては「気をつけろ! ワシだ!」と「気をつけろ! ライオンだ!」をきちんと区別して発音することができるという。では、人類の言語の特徴は何かというと、目の前にいない人や物について考えることができるという点だ。つまり、噂話である。社会を営んでいく為には噂話が必須だ。誰と誰が仲良しで、誰と誰が不仲なのか。集団を維持する為には、噂話を通して入手する情報が非常に重要である。嘗て、噂の対象は家族や村等、自分の属する集団に限られていた。しかし、近代化・グローバル化によって、僕たちは世界中と繋がることになった。しかも、元々噂好きの人類。自分の住む地域、更には国境を越えてまで噂が飛び交うようになった。「ドナルド・トランプって地毛らしいよ」とか、「エマニュエル・マクロンが熟女好きでバイセクシャルって本当?」とか。本当にどうでもいい話だ。彼らの頭事情や性志向は、政治家の資質と全く関係がない。昨今ではポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)の観点から、こうした話自体をすべきではないという議論もある。しかし、その主張が広く受け入れられるには、未だ長い時間がかかるだろう。何せ、人類は何万年もの間、ずっと噂好きだったのだ。こうして、今日も週刊誌は日本中・世界中の噂話を人々に届け続ける。


古市憲寿(ふるいち・のりとし) 社会学者。1985年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。著書に『希望難民ご一行様 ピースボートと“承認の共同体”幻想』(光文社新書)・『絶望の国の幸福な若者たち』『誰も戦争を教えてくれなかった』(共に講談社)等。近著に『大田舎・東京 都バスから見つけた日本』(文藝春秋)。


キャプチャ  2017年8月31日号掲載
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テーマ : 報道・マスコミ
ジャンル : 政治・経済

【ビジネスとしての自衛隊】(13) 自衛隊と防衛企業との深い関係…大口受注先は固定化、中小は市場性に危機感

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2017年度予算の防衛予算(防衛関係費)は約4.8兆円。その内、装備等の購入に充てられる一般物件費は1兆円弱。前年度以前の契約に基づき、2017年度に支払われる“歳出化経費”の1.9兆円を含めたとしても、日本の防衛産業は約2.9兆円規模となる。この市場でのプレーヤーは、ほぼ固定化されている。防衛省の調達先を金額順に見ると、上位10社には知名度が高く、日本を代表する企業がずらりと並ぶ(※右表)。また、トップ常連は『川崎重工業』と『三菱重工業』だ(※上位企業の詳細については次回)。防衛省と直接契約する企業は“主契約企業”と呼ばれるが、その下には数千社の企業が防衛産業に従事している。例えば、護衛艦1隻を建造する為にも、約2450社もの企業の協力が必要だ。戦車や哨戒機の主契約企業は1社だが、1000~2000社超の企業が製造する部品や製品があってこそ、1つの装備品ができ上がる構造だ。だが、防衛産業には常に先行き不透明感があった。産業の性質上、市場は限られ、国の予算次第で受注動向も変わる。また、競争も他の産業と比べれば少ない。そうした市場故に、防衛産業に存在する数千社の中には、安定した利益を得る企業がある一方で、中長期的に安定的な事業運営ができるのかという不安を抱える企業も少なくはない。参入企業の業績にも濃淡があるということだ。

その為、「限られた予算、限られた発注を当てにしているだけでは、事業を畳む時期も遠くはない」(岐阜県の航空関連部品メーカー)という声は、決して一部だけの声ではない。利益は確保できるものの、研究開発や人材育成を安定的に行うまでには至らない中小企業が多いのが現状だ。防衛省は2012年、省内に『防衛生産・技術基盤研究会』を置いて、国内での防衛産業基盤と技術継承等の安定・発展を目指す方策を議論した。安倍晋三政権は、長期安定的な予算執行や防衛産業の育成強化や、外国との共同開発の実施・検討を進め、更に武器輸出を規制していた“武器輸出三原則”から“防衛装備移転三原則”へ移行し、武器輸出解禁も行った。その先駆けとして、『そうりゅう』型潜水艦のオーストラリアへの輸出や、インドへの輸出が検討されている飛行艇『US-2』等が出てきたが、前者はフランスとの受注競争に敗れ、後者は未だ輸出に至っていない。防衛産業は専門性が高いこともあり、自衛隊と企業の関係は深い。その為、自衛官OBが所謂“天下り”として関連企業に就職することがある。特に1佐以上の高級幹部は、定年退職後に大手企業の顧問として再就職するのが普通だ。企業側もそういった人材を受け入れることで、防衛省・自衛隊とのパイプを太くしておき、将来のビジネスに役立てようとするのは言うまでもない。とはいえ、再就職した元自衛官がビジネスの世界で活躍できるか、天下り先の企業の業績に貢献できるかどうかは本人次第だ。「元将補なら年収800万~900万円だが、それには2億円以上の実績を上げないと、企業としては見合わない」(元自衛隊幹部)という。また、「『年収500万円でもいいから、複数のOBを受け入れてほしい』と言われることもある」との声の他、「顧問は新聞を読んで時間を潰すだけ。偶に外に出れば、自衛隊の後輩がいる企業を回って雑談ばかり」との恨み節も関連企業から聞こえてくる。一方、「防衛大の理工系出身で30代ならば、民間で腕を振るうこともできる筈。そんな人材を有効に使ったらどうか?」という声もある。

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テーマ : 自衛隊/JSDF
ジャンル : 政治・経済

【不養生のススメ】(05) ダイエットはお止めなさい

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卵やバターは体に良いとか悪いとか、肉をもっと食べるべきとか控えるべきとか、糖質制限をするべきとかすべきでないとか…。一体、何を食べればいいのだろうか? そんな疑問に一石を投じたのが、昨年秋の、カリフォルニア大学サンディエゴ校クリスティン・カーンズ博士らによるアメリカ医師会雑誌の報告だ。約60年前に、アメリカの製糖メーカー等が設立した『砂糖研究財団』(※現在の『砂糖協会』)が、ハーバード大学の研究者らを巻き込んで起こした陰謀事件の真実である。読者の中には、「そんな昔のアメリカの話は、自分の食事とは関係がない」と思う方もいるだろう。“風が吹けば桶屋が儲かる”とはよく言ったものだ。まさに、この事件は海を渡って、今日の日本人の食に対する価値観にも、ありがたくない影響を及ぼしている。「コレステロールが5日間で正常になる低脂肪ダイエット」「生命を保ち、日々直面する問題の活力となる砂糖」。今日も似たような宣伝をよく目にする。カーンズ博士らによると、このようなスローガンは1954年、砂糖研究財団のヘンリー・ハンス会長(※当時)が、『甜菜研究会』で砂糖業界の市場拡大の為に熱弁した戦略だ。中でも私が驚いたスローガンは、「アメリカ人が脂肪から摂取するカロリーは約40%(※当時)。この20%を取り戻すべく、炭水化物に関わる業界は努力すべき。これが実現でき、尚且つ砂糖や炭水化物市場での現在のシェアが維持できれば、1人当たりの砂糖消費量が3割増える計算になる。そうすれば、健康が著しく改善するのだ」と宣伝する。こうして誕生したのが、“砂糖塗れの低脂肪ダイエット”である。

砂糖研究財団の次なる策謀は、低脂肪ダイエット普及の為に、超一流の研究者らのお墨付きを貰うことだ。当時、心臓病の原因として、イギリスのクイーンエリザベス大学栄養学教授であるジョン・ユドキン博士の“砂糖の過剰摂取説”と、ミネソタ大学のアンセル・キーズ博士の“総脂肪量、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量説”が有力だった。そこで、砂糖研究財団は1960年代、ハーバード大学の3人の研究者らに大金を支払い、砂糖と脂肪の心臓病への影響について、砂糖業界に都合の良い結果を導き出すように調査を依頼した。結果は、「砂糖に“甘い”評価、脂肪が心臓病の悪者」となり、1967年、医学会のトップ誌『ニューイングランドジャーナルオブメディシン(NEJM)』に発表された。因みに、この論文には砂糖研究財団からの金銭的支援は開示されていない。何故なら、NEJM誌は1984年まで、“金銭的な利益相反”を開示することを要求していなかったからだ。同論文の共著者であったマーク・ヘグステッド氏は、後にアメリカ農務省栄養部門長を務めた。そして同氏は、1980年に初めて発表された連邦政府の『アメリカ人の為の食生活ガイドライン』で重要な責任を負うことになる。ここには、心臓の健康の為に、「総脂肪、飽和脂肪酸とコレステロールの摂取を避ける」ことが推奨されている。そして食品業界は、あらゆる食品から脂肪やコレステロールを除去し、甘くて美味しい砂糖や精製された炭水化物に置き換えた“低脂肪食品”を開発し、どんどん売り上げを伸ばした。日本でも、“低脂肪”という表示は、今でも多くの消費者にとって魅力的だ。当たり前だが、砂糖や炭水化物を食べ過ぎれば太るに決まっている。低脂肪ダイエットのおかげで、アメリカは肥満大国となった。更に、砂糖や精製された炭水化物は心臓病の原因にもなる。結局、低脂肪ダイエットは心臓病の予防にはならず、今でも心臓病はアメリカ人の死因のトップだ。その後も砂糖業界のロビー活動は続き(※左上表参照)、5年毎の『アメリカ人の為の食生活ガイドライン』改訂でも、1990年までは砂糖は全く無視され続けた。漸く、最新の2015~2020年版で初めて、「1日の摂取カロリーの内、食品に添加する糖分のカロリーは10%未満に抑えること」という、砂糖の摂取制限が設定された。同時に、飽和脂肪酸の摂取はカロリー摂取の10%未満と設定された一方で、遂に総脂肪量の上限が削除され、コレステロールの摂取制限が撤廃されたのだ。同じ年、何と『日本人の食事摂取基準』(※2015年)でも、コレステロールの摂取基準が撤廃されている。長年、コレステロールを多く含むとして悪者扱いされた卵やバターが、遂に汚名を返上したのだ。「卵の黄身を食べるとコレステロール値が高まる」「マーガリンはバターより健康的」等と、多くの日本人が長年常識と思い込んできたことが、大きな間違いだったのだ。

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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

【ヘンな食べ物】(51) 赤アリ卵はタイワインによく似合う

タイ東北部の研究所で開発された“虫の缶詰”の続き。農家から集められた虫は研究所で調理する。だが、その方法は一般家庭とは異なる。何故なら、ここで作っているのはあくまで“ワインのつまみ”用だからだ。先ず、よく水洗いして鉄鍋で空焼きにする。この時にレモングラス、ショウガ、コブミカンの葉等の薬味も一緒に入れて、材料の持つ臭みを全て消してしまう。軽く火が通ったら自然乾燥させ、更に塩やナンプラー等で味付けし、今度はオーブンで蒸し焼きにする。60℃の低温で30分加熱するという。こうすることによって、しっとりと柔らかい仕上がりになるのだそうだ。出来上がった物は50g毎に分けて缶詰にする。5~6名しかいない研究員の人たちが手作業でせっせとやっている。何故、そこまでして商売に励んでいるのかは謎だが、恐らく、売れた分だけ彼らの収入になるのだろう。1日の生産力は100個が限度だという。扨て、研究に研究を重ね、更に1つひとつが手間暇かけて作られた貴重な虫缶を味見させて頂く。研究員の人はガラスの皿に各種の昆虫を並べ、ワインと一緒に出してくれた。まさに“ディナー”である。先ずは昆虫類から。「おおっ」と思ったのは、これまで食べてきた昆虫食とは一線を画しているから。一言でいえばマイルドなのである。コオロギやバッタ等は一般の調理法で食べるとバリバリという歯ごたえがあり、口の中に足や羽根が引っかかる感じさえあるが、これは噛むとほろほろと崩れて、何とも優しい食感。味もそう。佃煮ほど濃くないし、タイ料理、特に東北料理には珍しく唐辛子を全然使っていない。薄甘塩辛い味付けで、とても上品。

飲み込むと、喉の奥から鼻にかけてパクチーの香りがふんわり抜けていく。ゲンゴロウは背中の羽根を取るのがちょっと面倒だが(※ここは固いので食べない)、同じように食べ易い。うーん、流石。ワインに合うように、薄味で柔らかく丁寧に仕上げている。扨て、最後は愈々赤アリの卵だ。実はお皿に盛り付けた時、アリの卵を真ん中に置き、その周りに各種の昆虫類を並べていた。つまり、見た目にも“メインはアリ卵”とわかる。そう、アリ卵は全てが別格なのだ。何しろ、捕獲からして他の虫より遥かに手間がかかる。夜のライトではアリの卵は取れない。ちゃんと巣を見つけ、掘り返さないといけない。しかも、暑季の3~5月の間しか見つからないという。なので、缶詰の値段も、他の虫が1つ30バーツ(当時、約70円)だが、アリ卵だけ50バーツ(約125円)。調理法も異なる。卵を布に包んだまま湯がいて、パクチーやナンプラー等で作ったスープに漬け込んでいるのだ。アリの卵と言うと数の子のような小さなツブツブを想像してしまうが、実際には長さが1㎝ほどもある巨大な細長い固まりだった。人に噛み付く大きな赤アリがそのまま中に入っていそうな雰囲気なのだ。でも、口に入れると臭みや癖は全く無い。柔らかいが適度な弾力があり、口の中でとろける。不思議なことに、これらの昆虫や、特にアリの卵と一緒に飲むと、この研究所で作ったマオワインとタクローワインの欠点が気にならなくなってきた。強過ぎる酸味は緩和され、足りなかったコクが出てきたような感じすらする。東北タイワインは、東北の虫料理とセットで飲むようになっていたのか。タイ料理の奥深さに再度驚かされたのだった。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2017年8月31日号掲載

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

【寝言は寝て言え!】(16) 広島で掲げられた“安倍を監獄へ”

政権を否定する一部の人たちの言論は過激になりがちですが、最近は“安倍を監獄へ”という幟旗まで作っているようです。先ず、発想がヤバいですし、それを8月6日の広島で掲げるのですから、狂っているとしか言いようがありません。8月6日は広島に、9日には長崎にも原爆が投下され、一般市民が大量虐殺されました。人類史上初であり、唯一の都市に対する核攻撃。私たち日本民族は永遠に心に留めておくべきでしょう。本来、静かに慰霊を行うべき日なのですが、冒頭の幟旗を掲げ、大音量で「安倍は辞めろ」と叫ぶ輩がいます。他にも「原発はいらない」とか「辺野古移設反対」だとか、この日に広島でやることでしょうか? 沖縄の慰霊の日や9日の長崎にも、大声で政治的主張をしたい人たちが集まってくるのは残念です。全国各地の労働組合や極左暴力集団等、混沌としています。完全に場違いなのは明らかですが、彼らには理解できないのでしょう。実は3年前の8月6日、広島で行われた式典に行ってきました。当時撮影した映像を見て思い返してみると、「やっていることは変わらないのだな」と思い知らされます。原爆が投下された8時15分になると黙祷を捧げ、式典は進行していく訳ですが、外から何やら騒がしい声が聞こえてきます。行ってみると、「原発止めろ」「戦争止めろ」「安倍倒せ」等と言いながらデモ行進をしています。式典をやっている最中に騒いでいるのでタチが悪い。

抑々、この日に政治的主張を大声で言うのが間違いだし、何故核兵器を所有せず、北朝鮮や中国と違って挑発行動を取っていない日本に向かって言うのか? バカなの? 彼らは北朝鮮など現実的脅威に向き合おうとしません。あろうことか、脅威と対峙した結果、改憲の方向に流れてきた日本を非難するのですが、安倍総理を辞めさせても何ら慰霊には繋がらないでしょう。マスコミも、こうした不届き者を取り上げるべきです。しかし、8月6日のマスコミはといえば、朝早くから慰霊の為に手を合わせる一般市民を執拗に撮影し、最早邪魔レベルの存在です。確かに、広島のことを取り上げてくれるのは意義のあることですが、あまりに執拗なのです。原爆、そして敗戦。8月は戦争に纏わる話題が多くなります。現在の日本を考える上でも、8月15日は大きな転換点です。実質アメリカが作った日本国憲法は、未だ一字一句変わることなく、安全保障環境が変わった今も自衛隊の立場はフラフラしたまま。敗戦以降、日本の安全保障は他力本願になり、北朝鮮や中国の脅威に対しても、アメリカはどう動くかとかロシアとはどうか等、政策に主体性がまるでありません。二度と原爆、そして戦争の惨禍を繰り返さない為に、しっかり抑止について考えなければいけません。個人レベルですら話し合いで物事が解決しないのに、もっと大きな国家レベルでそれができるというのは幻想です。現実的な力を誇示する勢力が跋扈する中では、こちらとしても最低限の守りと国民の意思による抑止が必要なのです。


KAZUYA YouTuber。1988年、北海道生まれ。2012年、『YouTube』に『KAZUYA Channel』を開設。著書に『日本一わかりやすい保守の本』(青林堂)・『バカの国 国民がバカだと国家もバカになる』(アイバス出版)等。近著に『日本人が知っておくべき“日本国憲法”の話』(ベストセラーズ)。


キャプチャ  2017年8月31日号掲載

テーマ : サヨク・在日・プロ市民
ジャンル : 政治・経済

【風俗嬢のリアル】(08) シズカの場合――田んぼの中のデリヘル

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新幹線の車窓から見える景色は、どこまでも続く田園風景だ。ここは栃木県那須塩原市。名古屋を出たシズカは、山梨のデリへルで1週間働いた後、那須塩原にある人妻デリへルへ移動していた。皇室の御用邸があることでも知られる那須は、温泉のメッカとしても有名な観光スポットである。新幹線の停車駅には沢山のパンフレットが並び、“那須塩原へようこそ”と書かれた上りが幾つも掲げられ、街を賑やかにアピールしていた。とはいえ、華やかさも駅を出れば一変。周辺は寂れた住宅街で、個人商店がぽつぽつと並んでいるものの、どこも店内は暗く、昼間なのにひと気がない。幾つかの店のドアには“泥棒侵入禁止”と書かれた警察署のステッカーが貼ってあり、事件など起きようもない安穏とした暮らしが窺えるのだった。シズカの働くデリへルの事務所は、JR那須塩原駅から更に電車に乗り、最寄駅から数㎞歩いた先にある。時間潰しに喫茶店に入ると、店内は地元の常連客で賑わっており、尻上がりのイントネーションで「~だべぇ」「~すっぺぇ」等のきつい栃木訛りが飛び交っていた。隣席に座る年配女性たちは、長男の就職先がどうとか、次男の嫁がどうといった身内の話で盛り上がっており、田舎の閉鎖的な空気感が伝わってくるのだった。駅前からして風俗の影も形も無かったが、シズカに教えられた住所は更に田圃の多い地域である。蔵のある家も珍しくなく、時折、風に乗って牛舎の匂いが漂ってくる。本当にこんな場所にデリへルがあるのだろうか? 民家の間の小道を歩いていると、突然、庭先にいる番犬に吼えられ、驚かされるのだった。

「ここ! ここ!」。見ると、前方でシズカが手を振っている。指差す先は、瓦屋根の古びた一軒家。看板も表札も無く、強いて怪しい点を挙げるなら、ブロック堀で囲われた敷地内に車が何台も停まっている点か。いや、それでも傍目にはデリへルの事務所などとは絶対にわからない。向かいの平屋ではお爺さんがひとり庭仕事をしており、近隣の畑からは重機を動かす音が響いていた。そんな田舎の風景に、すっぽり溶け込む一軒家である。「1階が事務所と待機室。2階が寮になっていて、今は私ひとりで住んでいますね」。そう言われて家全体を眺めてみたが、部屋の窓はカーテンが閉まっており、人の気配を感じることはなかった。「こんな場所にデリへルがあるなんて、近隣住民も気付かないよねぇ」。私が言うと、「どうだろう? 送迎車で家に入る時、外を歩いていた小学生の男の子3人組が、ニヤニヤしながら窓越しに私のことを見ていたんですよ。だから知っているのかも」。シズカは当たり前のように答えた。田舎の小さなコミュニティーでは、隠すほうが難しいのかもしれない。「夜はこの辺真っ暗で、蛙の大合唱が凄いんですよ。ゲロゲロゲロゲロ、それしか聞こえない。朝は日光で6時には目が覚めますね」。落ち着いた場所で話を聞く為、私とシズカは再び駅に向かって歩いた。舗装されていない砂利道を歩いていると、派手な改造自転車に乗った少年が蛇行運転して通り過ぎていき、私は思わず目で追ってしまった。「那須塩原は断トツで田舎ですね。今までも、田圃の中の一軒家っていうスタイルのデリへルはあったけど、ここまで田舎は初めてですよ」。車社会の為か、道を歩いているのは子供と老人ばかり。部活帰りの中学生集団は、ジャージにへルメットを被って自転車を漕いでいた。突然、ランドセルを背負った小学生に「こんにちは」と挨拶され、シズカも「こんにちは」と返している。私が驚いていると、「知らない人にも挨拶する風習は、田舎だと偶にありますよ」と教えてくれた。「何が田舎って、観光地にバスが出ていないことですよ。観光客に優しくない! 私が行きたい場所は、車じゃないと行けないところばかりなんです。アルパカ牧場はバスが出ていないし、ピラミッド元気温泉は寮から歩くと7㎞はあるし、湯西川温泉の平家狩人村は公共機関を使うと片道4時間はかかる。鬼怒川に花の町っていう昔の遊郭街があるんですけど、そこも遠かったから止めましたもん。観光行くのに、ここまでバスが無いっていうのは初めてですよ」。那須塩原に来て1週間。何と、未だ一度も観光に行けていないという。ペーパードライバーのシズカは、レンタカーを借りて乗り回すこともできず、タクシーを使う贅沢は絶対にしない。計画していた観光ができず、モヤモヤしているのだった。「ありがたいことに、歩いていける距離にスーパーマーケットと本屋があるので、生活に不便は無いんですけど、そこしか行っていないですね」。不完全燃焼の毎日である。

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テーマ : 社会ニュース
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8月27日至30日在印度尼西亚旅行的我的博客将不在场。对不起。

【ニッポン未解決事件ファイル】(27) スーパーナンペイ事件(1995年)――事件の関与を供述した元暴力団員は“シロ”か“クロ”か?

1995年7月30日、東京都八王子市の『スーパーナンペイ』の2階事務所で、アルバイトの女子高生2人と女子事務員が射殺された事件。殺人事件の時効廃止により、今後も捜査は続くが、現在のところ、犯人は検挙されていない――。 (取材・文/フリーライター 本郷海)

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1995年7月30日の日曜日、東京都八王子市内にあるスーパーナンペイ大和田町店の17時からのレジ係は、パート従業員の稲垣則子さん(当時47)と、アルバイトで高校生の矢吹恵さん(当時17)だった。スーパーの建物は1階が店舗、2階が事務所で、事務所へ行くには外階段を上がる構造だった。事務所の奥には金庫があり、売上金を金庫に移す際は1階のレジから引き出しを抜いて、そのまま2階に外階段を使って運ぶという、防犯上、極めて危険な方法が取られていたという。「金庫には金曜から日曜までの3日分の売り上げが納められていたが、店員は女性2人のみと危機意識は非常に低かった。更に、防犯カメラは1階のみで、開店直後から閉店まで事務所は無施錠、金庫は二重ロックながら、暗証番号は毎回打ち込むのが面倒だったのか、合わせたままという杜撰な管理態勢だった」(当時取材したテレビ局元記者)。18時半、近くで地元自治会の盆踊り大会が賑やかにスタート。太鼓の音はスーパーの店内にまで届いていた。19時前、その日は非番ながら、自分の出勤シフトの確認と、仲のよい矢吹さんに会う為、別の高校に通う前田寛美さん(当時16)が来た。そして20時頃、稲垣さんだけがレジの引き出しを持って2階の事務所へと向かう姿が、防犯カメラの映像に残されている。その後、閉店時間の21時には、女子高生2人も売上金を持って2階へと上った。それを受け取った稲垣さんは、金庫に納めてダイヤル錠をロックしたのである。それから稲垣さんが店内を戸締まりして明かりを消し、21時15分に事務所の電話で、動務後に食事する約束をしていた男性に迎えに来るよう頼んだことが、通話記録から判明している。

10分ほどで知人男性はスーパーに到着。稲垣さんを待っていたが、30分以上経っても来ないので事務所に入っていくと、奥で女性3名の変わり果てた姿を発見。時刻は22時過ぎだった。稲垣さんは、事務所奥に置かれた金庫の横の壁を背にして両足を投げ出し、左右の蟀谷を拳銃で撃ち抜かれ、目を見開いて絶命。女子高生2人は粘着テープで口を塞がれ、1人は右手、もう1人は左手を粘着テープで繋がれ、後頭部を1発ずつ撃たれていた。床は一面、血の海だったという。稲垣さんの蟀谷に撃ち込まれた穴の周囲は焼け焦げていて、銃口を密着させて発射したことが明白だった。また、額と背中等には打撲傷もあった。矢吹さんは蟀谷を撃ち抜かれ、弾丸は貫通。前田さんは、頭から入った弾丸が体内を貫き、腰の辺りで止まっていた。3名とも死因は脳挫傷で、即死状態だった。犯人は、3名が帰り支度を整え、防犯システムを作動させて事務所を出た直後、彼女らに近付き、事務所へと押し戻したようだ。防犯システムが21時15分に作動した記録が残されていた。21時17分に、スーパーの近くを盆踊り帰りの若い男女が通った際、銃声のような音を5発聞いたという。若し時間が合っているなら、3名を事務所に戻してから僅か2分ほどで殺害したことを意味している。余程冷徹な心理を持つ犯人だと推理できる。「謎なのは、犯人が事務所内を物色した形跡はほぼ無いことだ。金庫には500万円以上の現金が置かれてあったが、鍵さえ触っていない。店長の机の中には高価な貴金属類が無造作に入れられ、金庫の暗証番号のメモもあったが、それらも手つかずであった。また、道具類を持ち込んだ様子も皆無で、一体何を目的にここまで残忍な犯行に及んだのか、ベテラン捜査員でも頭を捻るばかりだった」(フリージャーナリスト)。犯人は、女子高生2人の手を縛った際、テープの裏を触っており、そこから指紋とDNAを採取できたが、どちらからも前科者等には辿りつけなかった。使われた銃は、弾丸の線条痕等から、フィリピン製のスカイヤーズビンガムの38口径回転式ピストルと判明。だが、国内でもヤミで大量に取り引きされている銃だった為、犯人特定には至らなかった。指紋やDNAと同様に、遺留品、多くの不審者の目撃情報からも、残念ながら犯人に繋がる情報は未だ見つかっていない。第一発見者である稲垣さんの知人男性は、真っ先に取り調べを受けたが、シロとされ釈放された。だが、この事情聴取にあまりにも時間をかけ過ぎ、捜査本部の設置が事件発生から6時間以上も経つ等、初動捜査にロスが発生してしまった。

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テーマ : 社会ニュース
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<画像3枚> 元ヤクルト・岩村明憲が生活費を払い続ける“愛人と隠し子”

20170825 07
8月中旬、読売ジャイアンツ球場での練習試合に現れた岩村。今後は『福島ホープス』監督に専念するというが…。

20170825 08
隠し子の母親で、ゴーゴーダンサーとしても活動するM。本人の『インスタグラム』より。

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テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【アパレル進化系】(04) 販売、百貨店と共同接客

20170825 06
「こちらのスカートは如何ですか?」――。販売スタッフがタブレット端末の画面を見せながら、女性客に服を薦めている。『高島屋』新宿店にある総合アパレル大手『オンワード樫山』の店舗だ。タブレット端末の画面は、高島屋のEC(電子商取引)サイト『セレクトスクエア』。店頭に無い商品を発注すると、3~4日で手元に届く。2015年9月に新宿店と横浜店で始めた。昨年から高島屋内でオンワードが展開する各ブランド、全約80店舗へと広げた。新たな試みには、アパレルと百貨店の旧来の関係を変えるヒントがある。大手アパレルは百貨店内に店舗を構え、店員も自社のスタッフだ。百貨店側は場所を貸す“不動産業”に近く、販売戦略はアパレル頼み。協業という面は薄い。今回の試みは、新たな協業の一歩だ。「都心部に比べて商品が少ない地方店の顧客の選択肢も広がる」。高島屋のセールスマネジャーである後藤護(44)は、「若い世代の顧客を掴んだ」と手応えを感じている。大手アパレルと百貨店が協業を深めれば、変化する消費者のニーズを掴み、きめ細かな工夫をこらせる。

国内屈指の売上高を誇る『阪急百貨店』うめだ本店。昨春から婦人服フロアで、大手アパレル側と百貨店側の双方が共同で接客に当たっている。顧客は複数のブランドを比較する買い回りがし易くなった。従来は、アパレルメーカーのブランド毎に別々のアパレル販売員が常駐し、顧客を囲い込みがちだった。「今こそブランドの垣根を越え、国内アパレルの魅力を伝えるのが大事」と担当者。今年4月には、共同接客の売り場を更に広げた。経済産業省は昨年、衣服販売について聞き取り調査し、報告書に纏めた。一般には、1万円の衣服を販売する場合、製造段階の原価が20%(2000円)。アパレル(※商社含む)と百貨店が40%ずつ分け合う。取り分からコストを引いた分が利益となる。だが、アパレルと百貨店を“消化仕入れ”という旧弊が蝕む。百貨店はアパレルから商品を仕入れるが、売れた分だけを仕入れとして計上し、在庫リスクを回避している。近年、売り上げが落ち込むと、アパレル側が在庫処分に迫られ、セール販売への依存が加速した。アパレル不振の元図として見直すべきだとの指摘は多いが、動きは鈍い。大手アパレルと百貨店が模索する新たな二人三脚の在り方。アパレル産業の未来がかかる。 《敬称略》 =おわり

               ◇

武田泰介・浅子崇・中島幸平・福島春菜・米山裕之・石黒慎祐・有光裕が担当しました。


⦿読売新聞 2017年8月5日付掲載⦿

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

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Author:George Clooney

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