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【火曜特集】(56) 「24時間働きゃいい」「ゴキブリの精神でやれ」…ヤマトHD子会社社長のパワハラ音声

「お前ら殺されるぞ、本当に。わかる、これ? そのくらいの給料を貰ってんだよ。殺されるよ、本当。ふざけんなよ、馬鹿たれ! それもわからねぇから問題なんだよ」――。筆者の手元にそんな暴言を録音した音声データがある。声の主は、『ヤマトリース』の小泉弘社長。2017年に入り、200億円超の未払い残業代が発覚して以降、グループ全体で働き方改革に踏み切った筈だが――。 (取材・文/フリージャーナリスト 横田増生)

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ヤマトリースは『ヤマトホールディングス』の100%子会社で、トラックやフォークリフト等といった車両のリースを主に手掛けている。『ヤマトフィナンシャル』常務等を経て、小泉氏が社長に就任したのは昨年9月。前社長が引っ越し代水増し請求問題で降格処分になったことを受けての“リリーフ登板”だった。ところが、小泉氏は就任以降、パワハラとも受け取れる言動を繰り返しているという。冒頭の音声は今年に入ってから録音されたもので、ある支店会議後に開かれた懇親会の席での発言だ。録音した社員が語る。「小泉社長が色々な懇親会で『死ね』とか『殺されるぞ』等といった物騒な言葉を社員に浴びせていると聞いて、怖くなって社長の発言を録音しました。そしたら、本当に『殺されるぞ』と言われて…」。小泉氏が不満を抱いたのは、40代で1000万円に届く社員もいるというヤマトリースの給与水準だ。本体のヤマト運輸でも、同年齢では800万円や900万円程度だと主張。「給料が高過ぎる」と社員たちを怒鳴り続け、こう吐き捨てた。「1000万貰うんだったらちゃんと働けよ、24時間働きゃいいじゃない。ヤマト運輸に戻ると下がるんだよ。うちに残りたいんだったら死に物狂いで働けよ。家買ってんだろ? ローンあるんだろ? できますか? 甘えるの止めてくれよ」。

そして、働く者の心構えについて、「恐竜は滅びたけれど、ゴキブリは滅びていないだろ。ゴキブリの精神だよ。ゴキブリの精神でやれっていうことだよ」と言い放ったのだった。あまりの剣幕に誰もが沈黙するしかなかったが、前出の社員が反論する。「確かに、支店長クラスの中にはインセンティブの配分も大きく、1000万円を超える人もいます。しかし、多くの営業マンの年収は500万~600万円程度。午前8時前に出勤し、夜8時から9時に退勤する日々で、仕事量は多いし、サービス残業も少なくありません」。ヤマトリースの社員たちは、親会社であるヤマトHDの内部通報システム『目安箱』に連絡し、小泉氏のパワハラについて善処を求めた。しかし、何も変わらなかったという。 そこで社員たちは株主宛に、小泉氏の言動について改善を求めるよう、今度は書面で要求した。すると、ヤマトフィナンシャルの監査担当者がヤマトリースの営業部員に聞き取り調査を行なったという。だが、その結果も結局、小泉氏に報告されただけで終わっている。親会社のヤマトHDは以下のように回答した。「現在確認中であり、今後、事実関係等に基づいて適切に対応してまいります」。労働問題に詳しい『旬報法律事務所』の佐々木亮弁護士が指摘する。「今国会で、事業主のパワハラ防止措置義務等を定めた改正労働施策総合推進法が成立しました。しかし、小泉氏はパワハラを防ぐどころか、暴言を吐く等、自らパワハラを行なっている。経営者として論外と言わざるを得ません。被害社員が訴訟を起こした場合、司法の場でも小泉氏のパワハラは認定されると見られます」。社長がこれでは、働き方改革など絵に描いた餅。ヤマトはグループ全体でガバナンスの在り方を見直す必要に迫られている。


キャプチャ  2019年7月11日号掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【火曜特集】(55) 直撃取材に「答えられません」…近畿大学准教授が50ページ“コピペ教科書”を学生に買わせていた!

「人が共同生活を営んでいる“社会”においては、様々な“紛争”が生じており、その解決には、紛争の生じる前にあらかじめルールを定めておくことが有用である」(※『法学部入門』・法律文化社)、「人が共同生活を営んでいる社会においては、様々な紛争が生じており、その解決には、紛争の生じる前にあらかじめルールを定めておくことが有用です」(※近畿大学新入生向けガイダンス『答案の書き方』)。あまりに酷似した2つの文章。後者を書いたのは、“近大法学部のホープ”と呼ばれる准教授だった――。

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2019年度の志願者数は約15万人で、6年連続一位に輝く近畿大学。最近では近大マグロが大学の知名度を全国区に押し上げたが、その近大である問題が起きているという。「法学部の西内祐介准教授が書いた教科書に、大量の無断転載が見つかったのです。1982年生まれの西内氏は、入試情報サイトの学部案内にも登場する等、期待の若手だっただけに、衝撃が走りました」(近大関係者)。本誌は、西内氏が神田宏学部長宛に送った顛末書(※6月14日付)を入手。それによれば、冒頭で紹介したガイダンスの文章を確認した『法律文化社』が「無断転載がある」と通報したことで、事態が発覚したという。だが、盗用はそれだけではなかった。西内氏は6月3日、学内向け教科書『日本社会システム論』について「50頁程度の無断転載をしている事実に気付き」、大学側に自己申告。6月6日には別の学内向け教科書『親族相続法』にも、自身が執筆に関わった『ロードマップ民法(5) 親族・相続』から「12箇所40頁程度(※うち、6頁は私が執筆担当した部分)にのぼる同一記述があり、引用を超える無断転載がある」と申告した。更に6月10日、西内氏が一部を執筆した学外向け教科書『ロードマップ民法(2) 物権』・『ロードマップ民法(3) 債権総論』・『ロードマップ民法(4) 債権各論』にも、「引用の範囲を超える無断転載があると認めざるを得ない」と申告している。だが、計5冊の“コピペ教科書”は、定価2800円の『ロードマップ民法(2) 物権』を始め、何れも学生が購入するものだ。

西内氏は自身の行為についてこう弁明している。「著作権違反という事態を招いた原因は、第一に、他人の文章を用いた際には必ず注などで引用をする“論文”に比べて、一つ一つの文章に逐一引用をしない慣行のある“教科書”で著作権に関する非常に甘い認識のまま教科書やテキスト類を執筆していたこと、第二に、学内でのみ配布される資料についても最低限の参考文献の引用すら怠っていたこと、第三に、原稿締切りに間に合わせるため安易に楽をしようとした弱い気持ちがあったこと、が挙げられる」。本誌は本人に電話で話を聞いた。

――何故盗用を?
「それは…公にされると困るので答えられません」
――大学の調査結果待ちか?
「私は処分の結果を待ちますので。ご迷惑をおかけした人には謝罪と対応をしていきます。私としては、大学に残れるのであれば残りたいと思っています」

近大広報室の回答。「顛末書に記載されている内容に関しては調査中の為、現段階ではお答えできません。(2冊の学内向け教科書の)費用は学費に含まれております」。研究不正に詳しい近畿大学医学部講師の榎木英介氏は、「数頁の盗用でも著作権法違反にあたるが、50頁ともなれば意識が低過ぎると言わざるを得ません」。顛末書ではコピペ無しで反省した西内氏だが、法律を学生に教える立場として、その責任は重い。


キャプチャ  2019年7月4日号掲載

テーマ : 教育問題
ジャンル : ニュース

【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(130) 株取引のアルゴリズム研究者が編み出した“最高の炊飯方法”

芝公園の近くにある古い雑居ビルに、AIの研究室がある。日中でも薄暗いが、一日中コンピューターと向き合っている連中は日当たりなど気にしない。この部屋では、主にディープラーニング(※深層学習)によるナローAIの研究開発を行なっている。AIのディープラーニングを簡単に説明すると、コンピューターに学習させ、データを基に推測できるようにすることだ。ディープラーニングは、『グーグル傘下のIT企業『ディープマインド』の開発した囲碁対局プログラム『AlphaGo(アルファ碁)』で一躍有名になった。AlphaGoは2015年に初めてプロ囲碁棋士に勝ったコンピュータープログラムである。AlphaGoは初代から数えて、現在4代目のZeroにまでアップデートしたのだが、もう人間では勝てない相手となった。Zeroの特筆すべき点は、対局データを与えられず、自己対局によって自ら学習した点だ。Zeroを構成する主要なパーツは、モンテカルロ木探索という確率的アルゴリズムと、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。ニューラルネットワークは、人間の脳神経回路の構造をコンピューター内に実現するものだ。モンテカルロ木探索は、リアルタイムデータから最良の選択肢を確率論で求めるアルゴリズムである。筆者は、これらAlphaGoと同じパーツで株取引のアルゴリズムを開発している。先日、2週間ぶりに研究室を訪ねたところ、米の袋が大量に置いてあった。主に2㎏と5㎏の袋で、その数はざっと50以上だ。それだけではない。床の上には炊飯器が7つ置いてある。「弁当屋でも始めるのか?」と思った。

ここでアルゴリズムの研究開発を行なっている周君は、北京大学コンピューター科学技術研究所で気象予測の数値解析を学んだスペシャリストだ。日本に留学中、食品分析の研究をしていた日本人女性と親しくなり、結婚した。その後、大手IT企業に就職したのだが、会社のコンピューターシステムを私的に利用して解雇された経歴を持つ。そんな周君が、AIを用いた科学的方法による美味しい米の炊き方を開発したらしい。彼は先ず、日本全国の米分布図から、60銘柄の米を選択し、取り寄せた。『Amazon.com』を活用したそうだ。取り寄せた米は、食品分析のエキスパートである彼の奥さんが分析した。これで日本の米データの平均値を求めたのだ。しかし、“美味しい”というのは個人の主観ではないだろうか? どうやって“美味しい”を定義するのだろうか? 周君の回答はこうだ。「ご飯の美味しさは澱粉による還元糖がカギであり、その生成にはアミラーゼが寄与しています。それらを数値化して最適化を図るだけです」。それでは、AIによる科学的な美味しいご飯の炊き方を教えよう。冷蔵しておいた米に20℃の冷水をかける(※未だ研がない)。次にボウルへ米を移し、38~40℃の湯で軽く2回研ぐ。研いだ米を炊飯器へ移し、水を入れる(※通常の水温)。そして、保温状態にして20分間放置した後、炊飯を始める。これが、周君がAIによって導いた最も簡単で再現性の高い、美味しいご飯の炊き方である。伝統的な炊飯方法に拘るプロの料理人からは非難されそうな炊き方だ。「日本の科学技術は素晴らしい。なのに何故、炊飯方法は江戸時代から進化させないのですか?」。周君の疑問が、現在の日本が抱える様々な問題の解なのかもしれない。「これが科学。否定する人は宗教的な炊飯方法が好きなのです」。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2019年7月30日号掲載

テーマ : おうちごはん
ジャンル : グルメ

【僕が親ならこうするね】(07) 家族旅行を優先して学校を休むのってどうなんでしょう?

真面目に勉強していい大学に行くと幸せな人生を歩めるかというと、そこは結構、不確かな時代になりつつあったりします。事実、高卒で成功する人とか、所謂多数派の人たちと違う生き方をして上手くやっている人を見掛けることも多くなってきましたし。そんな理由からか“学校に行く必要があるのか”的なテーマが話題で、この連載でも不登校のYouTuber小学生の話を取り上げたりもしました。んでも、この問題って以前から「学校を休ませて旅行に行くのはどうなのか?」という、不登校よりもライトな感じでずっと言われ続けていたりします。この“旅行”という部分がクローズアップされると、“学校に行く必要があるのか”問題と比べて賛否両論が巻き起こりがちになるわけですけど、何と答えるかは、約束やルールを守る時と守らなくていい時の判断基準が関係しているのではないかと思うのです。抑々論ですが、日本人は子供に普通教育を受けさせる義務があります。これは憲法にも書かれている義務なので、通常時であれば日本国民の子供を学校に通わせるという判断が正しいということになります。でも、「祖父が危篤で、学校を休んで病院に行かないと二度と会えないかもしれない」という状況であれば、学校を休むという選択をするほうが正しいという考え方もできます。つまり、二度と会えない人に会う機会や二度と見られないものを見る機会と、学校に行くというルールのどちらを優先するのかという価値観の話なんですね。

個人的な話をすると、スペースシャトルの最後の打ち上げを見に行くのであれば学校を休んでもいいと思っています。有人ロケット自体はロシアの『ソユーズ』とかもありますが、スペースシャトルの積載量はソユーズの10倍なので、発射を見学する際に受ける衝撃が全然違います。ソニックウェーブを体験する機会というのは、スペースシャトルの打ち上げ以外で味わったことがないので、そういった唯一無二の体験をできるのであれば、学校に通うという約束より優先してもいいと思うのですね。逆に旅行で学校を休むというのは、『ディズニーランド』へ行くとかの話になるわけで、そこで旅行に行かないと一生経験できないことではないのですね。しかも、子供の学校を休ませて旅行に行くというのは、大人の都合だったりすることが殆どです。大抵は“お金の問題”で、平日だと空いているとか安いとかでお金の都合がつけば解決できたり、夏休みの1日前に休んで帰郷するとかも、渋滞が面倒とか混んでいるのが嫌だという問題だったりします。そう考えると、その親が憲法という社会のルールよりも重視している価値が垣間見られるわけです。その旅行が家族との最後の時間とか宗教的な行事とかならわかるんですが、お金とか渋滞とか親の考えを重視しているのって、「子供が可哀想だなぁ…」と思わざるを得ない感じですよね。自分たちの都合や、“お金の為だったら約束を破ってもいい”という価値観を子供に植え付けてしまうのは良くないです。なので、学校をさぼって旅行に行くのであれば、学校より価値があると社会が認めていたり、客観性のあるものにしたほうが、子供の為には良いのではないかと思うのですよ。


西村博之(にしむら・ひろゆき) 英語圏最大のインターネット掲示板『4chan』管理人・『2ちゃんねる』創設者・『東京プラス株式会社』代表取締役・『未来検索ブラジル』取締役。1976年、神奈川県生まれ。中央大学文学部教育学科卒。著書に『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書)・『論破力』(朝日新書)等。近著に『自分は自分、バカはバカ』(SBクリエイティブ)。


キャプチャ  2019年7月30日号掲載

テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

嗚呼、ヒラ議員は辛いよ…参院選で“ドサ回り”を押し付けられた石破茂

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『党役員・閣僚別遊説一覧』と銘打たれた自民党本部作成の参院選用資料がある。ステルス遊説を旨とする安倍晋三首相の欄だけは空欄だが、二階俊博幹事長、加藤勝信総務会長、岸田文雄政調会長等と、大物幹部たちがいつ、どの選挙区に遊説に入るかを表にしたものだ。激戦区は赤字になっている。厚生労働部会長の小泉進次郎氏の欄を見れば、今月4日は滋賀と秋田、5日は岩手というように、激戦区ばかりを回っていることは一目瞭然。肩書きだらけの表の中で、どういうわけか“衆議院議員”というヒラの役職で呼称されている人物がいる。石破茂氏である。「総裁選後、党内では完全に存在感をなくしていますが、やはり地方での人気が高いのは事実。総理にあれだけ喧嘩を売ったのだから、『せめてドサ回りくらい働け』といったところだろうね」(細田派議員)。但し、石破氏の遊説先は静岡や香川等、自民党の勝利が堅いと言われている選挙区が多い。別の議員がこう吐き捨てるように語る。「結局、自分を総裁選で支援した参議院竹下派の議員のところばかり回っている。次の総裁選を考えて恩を売っておきたいんだろうが、選挙は全員野球なんだから、そんなことをせずに志願して激戦区に入ればいいのに。自分勝手な人だよ」。ヒラの立場でドサ回りを押し付けられ、剰え文句まで言われるとは――。“総理になれなかった男”の悲哀や如何に。


キャプチャ  2019年7月27日号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

孫正義が密かに画策する子会社『アスクル』の社長解任&乗っ取り

20190730 03
『ソフトバンクグループ』の傘下企業で内紛が勃発している。「ヤフーの子会社でオフィス用品の通販大手・アスクルの岩田彰一郎社長が、ヤフーの川邊健太郎社長から先月下旬、突然の退任を求められたのです」(金融機関幹部)。『アスクル』は2012年、次世代の個人向け通販『ロハコ』事業で『ヤフー』と提携。ヤフーが筆頭株主となり、後に連結子会社となった。「ロハコは今でこそ赤字ですが、将来の有望事業です。ヤフーは今年1月からロハコの譲渡を迫っていました。しかし、アスクルは取締役会等で検討を重ねた上、事業譲渡を断った。その結果の退任勧告でした」(同)。その時点でアスクルの取締役会では、岩田社長の取締役再任議案を、来月の株主総会で提出することが承認されたばかりだった。しかし川邊社長からは、「若し再任議案が提出された場合、ヤフーは反対する」という発言が飛び出したのだという。指名・報酬委員会の選任を経る等、岩田社長の再任は規定通りの手続きが踏まれている。それを大株主の一存で覆すとなれば、前代未聞のことである。アスクル側も対抗措置をとる構えで、来月2日は大荒れの株主総会となることは必至だ。背景には、ソフトバンク側の焦りがあるとみられる。10兆円規模のファンドを立ち上げ、世界中のベンチャー企業に投資するソフトバンクだが、有利子負債も十数兆円規模と桁違い。株価の維持が生命線である。「川邊社長にはソフトバンクの孫正義社長から、収益向上の為の強烈なプレッシャーが下りてきている。アスクルの主力事業を無理にでも乗っ取り、言うことを聞かない社長は解任するというわけです」(ヤフー関係者)。しかし、そうは問屋が卸すまい。「上場子会社の収益性を奪い、親会社の収益性の向上や株価上昇を期すやり方は、子会社株主の利益を損なう行為です。ソフトバンクグループがソフトバンクを上場した際にも、『資金調達の為の親子上場だ』と批判が噴出した。今回の騒動は、問題を再燃させかねない」(名古屋外国語大学の小野展克教授)。孫氏の画策は、果たして成功するだろうか?


キャプチャ  2019年7月27日号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

自身の講演録を“誤報”扱い…産経新聞と朝日新聞が河野太郎バッシングで共闘

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「誤報が流されていますので、先ずはその件から」――。今月1日、定例のぶら下がり会見で河野太郎外務大臣が“誤報”と主張したのは、『産経新聞』電子版の次の記事のことだった。「河野外相、四島返還『考えてない』 北方領土問題めぐり」。河野大臣の講演会での発言を速報した記事だ。「政府が交渉方針を“四島返還”から“二島返還”に変えたと(認識)する出席者から、四島返還に立ち戻る考えはないかを問われ、『まったく考えていない』と述べた」とある。ぶら下がり会見で、河野大臣はこうまくしたてた。「記事で書かれていることは、受け手の勝手な解釈であります。誤報ですので、日本の国益にも反する。厳重に抗議し、訂正をして頂きたい」。だが、講演会には番記者たちも出席し、やり取りを確認していたので、当の産経の記者が「講演の中で、全くその通り仰っています」と反論した。河野大臣は「(北方領土返還の)交渉の方針について、対外的に申し上げることはございません」と、木で鼻を括ったような答え。すると、産経の“天敵”の筈の『朝日新聞』の記者も、河野大臣に追及を始めた。「講演では『四島から二島になっているが』と質問されている。言葉が足りなかったという認識はないのでしょうか?」。加勢を得た産経の記者は、「講演の場でのやり取りだから、誤報ではないと思う」と抗議した。自分の発言を“誤報”扱いとは。異色の共闘が成立した所以である。


キャプチャ  2019年7月13日・20日号掲載

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

25支店を統廃合…野村證券で始まるリアル集団左遷

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「新宿の野村ビル支店といえば、顧客数も取引額も段違いの“伝説の支店”でした。全国の優秀な若手をここに集めて、いきなり数億円単位の取引をさせる、登竜門的な支店でもあったのですが、まさか新宿の別の支店に統合されるなんて…」(野村證券OB)。『野村證券』の25支店を廃止し、近隣の店舗と統合させる再生改革が来月上旬から始まる。東京では中野や田園調布、大阪では岸和田や千里等、大都市圏で不採算と判断された支店が中心だが、冒頭の新宿野村ビル支店のように、バブル期の繁栄の象徴とも言える店舗も対象となった。2019年3月期に赤字転落した野村證券の危機感は強い。金融コンサルタントの高橋克英氏はこう言う。「オンライン証券の台頭により、自慢の個人営業も通用しなくなってきた市況からすれば、店舗の大規模閉鎖は当然の結果です。今後、野村の営業部門はターゲットを富裕層に絞り、プライベートバンクのようなビジネスに特化していくとみられます」。目下、廃止が決まった支店の野村社員は集団左遷の憂き目に遭っている。野村證券現役社員が語る。「個人営業畑一筋の社員が、いきなり海外為替部門や間接部門に異動になり、“社内失職”状態に陥った人もいると聞きます。余程の取引額がある顧客を抱えていない限り、統廃合後も店舗営業に残り続けるのは難しいです。エリート社員を求め、ヘッドハンティング会社が既に動き始めているという話もあります。今、損保ジャパンが介護分野への大量転籍を進めて話題になっていますが、野村には金融以外の事業への転籍先が無い。だから、『仕事ができないと見做されれば即リストラなのではないか』と不安に感じる社員は多いですね」。ヘッドハンティングの声がかかればいいが、リストラ後の再就職は厳しい戦いを強いられる。「元社員の投資詐欺や女性への暴行等、不祥事が続き、野村のイメージが落ちていて、他社の面談に行っても歓迎されないこともあります」(同)。行き場のない集団左遷。バブルエリートの今後はどうなるのか?


キャプチャ  2019年7月13日・20日号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【言論StrongStyle】(53) 今こそふざけた政治に宣戦布告すべきだ、「安倍―枝野体制を不信任する!」と

https://megalodon.jp/2019-0729-2107-56/nikkan-spa.jp/1590929
https://megalodon.jp/2019-0729-2110-55/nikkan-spa.jp/1590929/2
https://megalodon.jp/2019-0729-2115-11/nikkan-spa.jp/1590929/3


キャプチャ  2019年7月30日号掲載

【INSIDE USA】(01) 超党派で高まるGAFA批判…議会と当局は独禁法も視野

アメリカで巨大ハイテク企業への視線が厳しくなってきた。党派対立が激しいアメリカで、2大政党の足並みが揃う珍しい事態となっている。党派を超えた懸念の高まりを象徴するのが、下院司法委員会の取り組みだ。先月から同委員会は、デジタル市場の競争環境に関する調査を開始した。GAFA(※グーグル、Apple、フェイスブック、Amazon)といったハイテク企業を念頭に、1年半に亘り、デジタル市場での巨大企業の力を分析し、反トラスト法に基づく対応が十分かどうかを検討するという。調査開始のプレスリリースには、共和党・民主党双方の議員がこの問題の重要性に関するコメントを寄せた。下院司法委員会といえば、ロシア疑惑の捜査を担当する等、党派対立の総本山と言うべき存在である。その委員会で、普段は厳しく対立する2大政党が、巨大ハイテク企業に対する調査で手を組んだ。共和党は市場原理を重視する立場から、独占による競争の停滞を懸念する。巨大ハイテク企業にはリベラルな気風が強い為、「保守的な言論を差別的に扱っている」との批判も根強い。民主党には、企業分割の必要性に踏み込む意見がある。5月末、シリコンバレーに近いサンフランシスコに、“巨大ハイテク企業を分割せよ”と大書した屋外広告が登場した。来年の大統領選挙に向け、民主党の予備選挙に参戦するエリザベス・ウォーレン上院議員の広告だ。「巨大ハイテク企業は、経済、社会、政治の世界において強大な力を持ち過ぎている」とするウォーレン議員は、Amazonやフェイスブック等の分割を提案する。

民主党の予備選挙に立候補する他の候補者も、反トラスト法の運用強化や、過去に認めた合併の再審査を提案している。数年前と比べると、民主党の雰囲気は様変わりした。バラク・オバマ政権の頃には、大統領自身がベンチャーキャピタリストへの転身に色気があると言われるほど、シリコンバレーと蜜月状態だった。ところが今では、サンフランシスコを地元とし、長年、ハイテク企業の理解者だったナンシー・ペロシ下院議長ですら、「経済的な力の不当な集中は民主主義にとって危険極まりない」と糾弾している。行政にも動きがある。先月には、反トラスト法上の対応について、司法省がグーグルとApple、『連邦取引委員会(FTC)』がフェイスブックとAmazonを担当する役割分担で合意したと報じられた。注目すべきは、反トラスト法に関する議論に発展している点である。アメリカの独占禁止法である反トラスト法は、市場の独占に対処する法制であり、企業分割の根拠となる。2016年大統領選挙での世論操作疑惑等、これまでも巨大ハイテク企業に関する議論はあったが、反トラスト法の観点でのメスは入ってこなかった。巨大ハイテク企業に対する超党派の懸念は、米中摩擦での結束を想起させる。中国に対する警戒感は、ドナルド・トランプ政権が誕生する前から、議会を中心に超党派で共有されつつあった。言い換えれば、摩擦が燃え上がる環境は整っており、トランプ大統領は着火剤に過ぎなかったのかもしれない。それでなくてもアメリカでは、ハイテク企業に限らず、医療や農業等、広範な分野で寡占化が進んでいる。何が着火剤となるのかはわからないが、巨大企業への対応が重要な論点に育ちつつあることは間違いない。


安井明彦(やすい・あきひこ) 『みずほ総合研究所』欧米調査部長。1968年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、1991年に『富士総合研究所』(※現在のみずほ総合研究所)入社。在米日本大使館専門調査員・みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長・同政策調査部長等を経て、2014年より現職。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)。共著として『ベーシックアメリカ経済』(日経文庫)・『全解説ミャンマー経済 実力とリスクを見抜く』(日本経済新聞出版社)等。


キャプチャ  2019年7月27日号掲載

テーマ : アメリカお家事情
ジャンル : 政治・経済

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George Clooney

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