【ソニーの現在地】(09) 「セオリーを壊し、新しいものを」…YOASOBI“生みの親”に直撃

――小説を原作にする発想は、どうやって得たのですか?
屋代「書籍やアニメへの展開もありだが、音楽を手がけてきた会社なので、小説を原作に音楽を作る企画があってもいい。それをゼロからやるユニットも面白そうだと考え、同期入社の山本に相談した」
山本「小説を音楽にするというコンセプトを、当初は積極的に発信していなかった。だが、それを面白がってくれる人が多かったので、打ち出していこうと思った」
――2人の役割分担は?
山本「熱量の高いほうが自然とやる。屋代は小説周りやSNS、僕は音楽やクリエイティブ周りを担当し、宣伝やプランニングは一緒に設計している」
屋代「全く違う経歴を歩んできたので、異なる人脈を持っていることも大きい。性格面でも正反対なので、結果的に補い合うことができる」
――『YOASOBI』がヒットした要因をどうみますか?
屋代「色々ある。小説が原作というコンセプト、メンバー2人のパーソナリティー、楽曲が良いのも勿論だ。どこから入っても、他の要素に気付いてハマっていく構造に結果としてなっている」
山本「ヒットさせてやろうという意識はなかったが、小さい火が点いた時、それをできるだけ大きくする為に“燃料”を投下してきた」
――『ツイッター』等SNSを通じて広がりました。
山本「例えばチャートで順位が上がったら、それをできるだけ伝えて、ファンを巻き込んで火を大きくしていくことは意識している」
屋代「SNS専任はいないので、自分たちが投稿する。アーティストに最も近く、自分たちが作っているという意識のある人間のほうが、ファンに伝わる投稿ができる」
――今後の目標は?
屋代「原作小説を書籍や映像作品にも展開し、音楽に加え、それらもしっかり売れるプロジェクトにしたい」
山本「“夜に駆ける”は構成等のセオリーを実験的に無視した曲。文化的なものを変えることができたら、それは意味があるし、YOASOBIの価値を上げる」 (聞き手/本誌 佐々木亮祐)
