【火曜特集】(558) GACKTが広告塔になっていた福岡発の医療機関に“無許可治療”の疑い

『ASメディカルサポート』(※福岡県福岡市東区)は再生医療専門の総合コンサルティング会社である。同社を巡っては今年9月8日号の『週刊新潮』で、歌手のGACKT(49)が広告塔になっていた福岡県の医療機関『九州再生医療センター朱セルクリニック』の運営元である同社に、大規模窃盗団の主犯格が役員として名を連ねていると報じられた。トラブル続きのGACKT同様、怪しさ満点の医療機関だが、本誌には“無許可治療”という法令違反の新情報が齎された。膝関節症に悩む東京都内在住のA氏は、再生医療に興味を持ち、東京都中央区の『朱セルクリニック銀座院』に電話をかけたところ、カウンセリングを行なう約束を取り付けた。しかし、当日の訪問直前になって突然、港区の『リボーンクリニック』に来るようにと、場所の変更を指定されたという。「場所変更の理由は『朱セルクリニック銀座院が他の経営者に譲渡されたから』とのことでした。若干、不安にはなりましたが、リボーンクリニックも東京や福岡の朱セルクリニックと同じ医療法人香華会による経営だと言われ、且つこれらの運営元であるASメディカルサポートの専務取締役によるカウンセリングが丁寧だった為、数日後、自身由来の幹細胞を培養して投与する幹細胞治療と、自身の濃縮した血小板を投与するPRP治療の2種類の再生医療治療を受けたい旨を伝えました。その結果、幹細胞治療の為の脂肪採取と、PRP治療の本番をリボーンクリニックで行なうことが決定しました」(A氏)。
とはいえ、やはり不安だったA氏は、リボーンクリニックが本当に安心のできる医療機関なのかどうかを調べてみた。すると、厚生労働省のサイトに掲載されている“再生医療等提供計画の一覧”に、リボーンクリニックの名前がないことを発見。これは、厚労省から認可を受けた証拠として付与される計画番号がない状態、つまり幹細胞治療やPRP治療を行なってはいけないということである。若し行なった場合、再生医療新法の違反に該当し、業務停止処分を受ける可能性が高い。しかし、リボーンクリニックのサイトには“再生医療等提供計画は承認済”と記されており、Aさんに対しても幹細胞治療とPRP治療の請求書が発行されている。「不審に感じた私は担当医師に色々訊ねてみました。すると、この日既に、私のような新規の患者に脂肪採取を行なったこと、これまでにも朱セルクリニック銀座院の患者を引き継いで幹細胞治療を行なっていることを認めました。更に、『計画番号は朱セルクリニック銀座院から承継されていない』と漏らしたのです。そこでずばり、計画番号そのものを有しているのかどうかを聞くと、弱々しい声で『あると思いますが、今直ぐにはわかりません…』と言ったのです」(同)。法令違反を確信したA氏は、急いで次の日、担当医師との会話の録音データとこれまでの疑問点を纏めた書類を厚労省に提出。その後、現在に至るまでリボーンクリニックのサイトは“coming soon”と閲覧不可能になっていた。医療法人『香華会』の運営元であるASメディカルサポートの役員には、大失敗に終わった大阪ワクチンを開発していた『アンジェス』の創業者で、現在は大阪万博の総合プロデューサーを務める大阪大学寄付講座教授の森下竜一氏も名を連ねている。森下氏といえば、科学者やベンチャー企業家の面を被った“令和の政商”としてよく知られる人物。同問題の裏には、「GACKT周辺が相変わらず怪しい」という冗談だけでは済まされない闇が広がっている。 (取材・文/本誌取材班)
