【劇場漫才師の流儀】(271) 牛丼が好き
劇場出番の合間によく食べているものがあります。デビューしてから50年近くになりますけど、ずっと変わっていないですね。デビューした頃は毎日のように食べていました。安いし、美味いし、早い。ここまで言ったらわかりますかね? そうです、牛丼です。今も劇場出番がある時は、1週間に3回は食べています。牛丼といえば『吉野家』・『松屋』・『すき家』とありますが、僕はどこの牛丼も大好きです。僕からすると味の違いはあんまりわからない。全部美味しい。最近は牛丼以外も色んなメニューがありますが、僕はスタンダードな牛丼並盛りをよく注文します。そして、ご飯は少なめ。出番の合間に食べるので、お腹をパンパンにすると喋り難くなってしまうんですよ。日によっては、お味噌汁をつけたり、漬物をつけたり、生卵をつけてもらいます。“つゆだく”とか“つゆなし”みたいな、つゆの量に関するオーダーはしません。そこはノーマル。つゆに漬かったご飯も食べたいし、漬かっていない白いご飯も食べたいので。ちょっと贅沢やけども、3回に1回ぐらい、うな丼も食べます。牛丼屋さんのうな丼も十分美味しいんですよ。うなぎ屋さんのうなぎとそんなに変わらんと思う。うなぎの大きさによって値段が変わってくるんですけど、僕は真ん中くらいのにします。少な過ぎず多過ぎずで丁度いい。牛丼とうな丼、両方食べたい時は“うな牛”がいいんですよね。うなぎと牛肉が半分ずつ乗っているやつです。
まぁ、あんまり上品な食べ方ではないという意見もありますが。「うなぎはうなぎで食べるべきや」と。うなぎのタレと牛丼のつゆも混ざってしまいますからね。でも僕は、その混ざった味も楽しんでいます。昔は新幹線の車内販売で、うなぎ弁当っていうのがありました。あれもよう食ったな。温かくて美味しかった。相方の阪神君もよう食べていました。今だったら2000円以上しそうやけど、当時はそんなに高くなかったと思います。そういえば最近、駅弁でうなぎ弁当を見かけなくなりましたよね。あなごめしはよう見るけど。また車内販売で始めてくれないかな。幕の内弁当ってあるでしょう。僕は、ああいう色んな種類のおかずが入っている弁当が、そこまで好きじゃないんです。どうしても苦手なものがひとつかふたつくらい入っているんで。でも、折角だから全部綺麗に食べたいじゃないですか(だったら好き嫌いなく全部食べなさい、という話なんですけれども)。そこへいくと、うなぎ弁当はシンプルで良かった。ただ、新幹線のうなぎ弁当には奈良漬が入っていたんです。あんまり好きやなかった僕は、いつものけていました。何で、うなぎには奈良漬なんやろ。それにしても牛丼って、つくづく日本の国民食ですよね。当たり前のように、どこでも、いつでも安く食べられる。本当にありがたいですよ。僕の体も、何割かは牛丼でできたようなものですから。 (聞き手・構成/ノンフィクションライター 中村計)
オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(ワニブックス)。近著に『漫才論 僕が出会った素晴らしき芸人たち』(ヨシモトブックス)。
2023年8月7日号掲載
まぁ、あんまり上品な食べ方ではないという意見もありますが。「うなぎはうなぎで食べるべきや」と。うなぎのタレと牛丼のつゆも混ざってしまいますからね。でも僕は、その混ざった味も楽しんでいます。昔は新幹線の車内販売で、うなぎ弁当っていうのがありました。あれもよう食ったな。温かくて美味しかった。相方の阪神君もよう食べていました。今だったら2000円以上しそうやけど、当時はそんなに高くなかったと思います。そういえば最近、駅弁でうなぎ弁当を見かけなくなりましたよね。あなごめしはよう見るけど。また車内販売で始めてくれないかな。幕の内弁当ってあるでしょう。僕は、ああいう色んな種類のおかずが入っている弁当が、そこまで好きじゃないんです。どうしても苦手なものがひとつかふたつくらい入っているんで。でも、折角だから全部綺麗に食べたいじゃないですか(だったら好き嫌いなく全部食べなさい、という話なんですけれども)。そこへいくと、うなぎ弁当はシンプルで良かった。ただ、新幹線のうなぎ弁当には奈良漬が入っていたんです。あんまり好きやなかった僕は、いつものけていました。何で、うなぎには奈良漬なんやろ。それにしても牛丼って、つくづく日本の国民食ですよね。当たり前のように、どこでも、いつでも安く食べられる。本当にありがたいですよ。僕の体も、何割かは牛丼でできたようなものですから。 (聞き手・構成/ノンフィクションライター 中村計)
オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(ワニブックス)。近著に『漫才論 僕が出会った素晴らしき芸人たち』(ヨシモトブックス)。

スポンサーサイト