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【WEEKEND PLUS】(408) 伊藤忠商事が子会社買収で異例の譲歩…ファミマ“買い叩き”のトラウマか?

20230929 07
『伊藤忠商事』による大型買収の内容が波紋を広げている。同社は先月、上場子会社の『伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)』と、持ち分法適用会社の『大建工業』をTOB(※株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。興味深いのはTOB価格の決まり方。買われる2社は、伊藤忠が提案した買付価格が「安過ぎる」と引き上げを求めた。ここまではよくある話だが、伊藤忠は最終的に要求を呑む形で価格を上げたことが開示資料で判明した。「あの強気の岡藤(正広会長)さんが、こんなに妥協するとは信じられない」と、ライバル商社の幹部は驚く内容だった。この原因について、『ファミリーマート』買収の影響を指摘する向きがある。2020年の伊藤忠によるファミマ買収の際、公開買付価格が「岡藤さんに忖度して安過ぎる」と株主が裁判を起こした。東京地裁は、伊藤忠のTOB価格は安いと訴えを認めた(※会社側は東京高裁に抗告)。今回の2社の買収交渉は、この地裁決定後に佳境に入った。その為、「決定が交渉に影響を与えたのは間違いない」(弁護士)。お灸が効いたようだ。


キャプチャ  2023年9月号掲載
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テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【テレビの裏側】(265) タレント生命を左右する辣腕スタッフの去就

https://friday.gold/article/176187


キャプチャ  2023年10月13・20日号掲載

テーマ : 芸能ニュース
ジャンル : ニュース

【佐藤祥子の「力士、燃ゆ」】(31) 錦木(伊勢ノ海部屋)――暑い尾張を更に熱く! 酒豪東北男児の快進撃

32歳の錦木が、暑い尾張の地の土俵を盛り上げた。自身最高位の東前頭筆頭で迎えた名古屋場所。初日は新大関・霧島のまさかの休場で不戦勝となり、2日目には横綱・照ノ富士を豪快な掬い投げで転がした。続いて大関昇進を懸けた豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇も撃破。11日目まで1敗を守り、優勝争いトップに躍り出る快進撃を見せたのだ。好調の原因を問われると、「連勝しているのが奇跡。困りますね、プレッシャーがかかって(笑)。でも、いい感じに力んでいない」とトレードマークの黒縁眼鏡姿で報道陣に応える。しかし、後半戦で4連敗を喫し、幕を閉じれば10勝5敗。「3敗した時点で優勝は無理だな、と。今夜もお酒を飲みます! 勝っても負けてもお酒の量は変わりませんよ」。角界きっての酒豪は、優勝賜杯を逃しても、泰然自若の余裕ぶりを見せていた。2006年3月、岩手県の中学を卒業して伊勢ノ海部屋に入門した“叩き上げ”力士だ。同期生には、既に角界を去った松鳳山、栃ノ心、千代の国らがいる。中でも特に仲の良かった千代の国が場所中に引退を発表すると、千代の国の四股名入りの浴衣を羽織る錦木の姿が。「この浴衣? 偶々ですよ」と照れを隠しながら、「代わりに彼の名前を売ってあげなきゃね」と心優しい一面も見せていた。2桁勝利の好成績と照ノ富士から金星を奪ったことが評価され、初めての三賞となる殊勲賞を受賞した。所要103場所の最遅記録となるが、「初めてなので、どの賞でも嬉しい。あと1番でも勝ちたかったですね。感じていないつもりでも、どこかで(優勝争いのプレッシャーが)あったのかも。良い経験になりました」。三賞受賞を喜びながら、優勝賜杯に届かなかった悔しさも吐露した。来場所は新三役昇進が確実だ。弱点だった“脇の甘さ”をコツコツと修正し、持前の腰の重さと力強さがやっと花開いた。錦木の四股名は、伊勢ノ海部屋伝統の由緒ある名前で、当代で七代目となる。初代錦木は文化年間(※1804~1818年)の大関で、同じ岩手県出身だったという。常に自然体の東北男児が、初代に肩を並べる日は夢ではないかも。


佐藤祥子(さとう・しょうこ) 相撲ライター。日本相撲協会認定・相撲健康体操指導員。1967年生まれ。週刊誌記者を経て、1993年からフリーに。著書に『相撲部屋ちゃんこ百景』(河出書房新社)・『知られざる大鵬』(集英社)等。


キャプチャ  2023年9月号掲載

テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

【震災12年・#守りたい】(下) “命綱”25人乗り津波救命艇

20230929 06
太平洋を望む平屋の建物の横に、鮮やかなオレンジ色の乗り物がある。全長8.7m、幅3.5m。その色合いは薄黄色の冬枯れの草を背後に一際目立ち、関係者からは「宇宙船みたい」との声が聞かれる。室戸岬近くの認知症グループホーム『びわの里』(※高知県室戸市)に配備されている津波救命艇だ(※右画像、撮影/安達恒太郎)。定員25人の船体は強化プラスチック製で、周りに緩衝材も取り付けられている。波でひっくり返っても直ぐに戻る構造だ。船底の備蓄庫には1週間分の飲料水や食料、おむつがあり、簡易トイレも備わる。自力航行はできないが、遭難信号の発信装置を搭載しており、漂流後に自衛隊等に救助してもらうことを想定している。海岸まで100mもないびわの里には、70~90代の男女18人が入居する。海抜7.5m。南海トラフ巨大地震の発生から20分以内に、最大5mの津波に襲われる可能性がある。当初は約500m離れた高台への避難を計画し、訓練も実施していた。だが、坂道を上らなければならず、道幅が狭いところでは車椅子が通り難かった。東日本大震災の後に考案された津波救命艇を配備できないか――。施設の要望を受けた室戸市は、大阪府堺市の造船会社から1隻約990万円で購入し、2020年に無償で貸与した。他に幼稚園等4ヵ所に貸与している。「さぁ、お散歩に行きましょう」。職員が呼び掛けると、高齢者達が次々と後部のハッチから船の中に入っていった。職員手作りのスロープを使って、車椅子のまま乗り込む高齢者もいる。船内では座席に座って、ビスケットや飴等を食べたり、地元の民謡を歌ったりして和やかに過ごす。

認知症の人の中には、環境の変化でパニックになる人もいる。施設の管理者の楠本公子さん(60)は、「船内の雰囲気に慣れてもらえるよう訓練を繰り返し、安全で楽しい場所だ、と頭に入れてもらう」と説明する。天気が良ければ週2~3回は“お散歩”するという。施設は数年で高台に移転する見通しで、それまでは救命艇が命綱だ。楠本さんは、「安心半分、不安半分という心境。訓練はしているが、現実の災害で使ったことがないので不安もある」と気を引き締める。2011年3月11日、岩手県宮古市の宮古湾の奥に位置する『あお空グループホーム赤前』のスタッフ達は、高齢者9人を次々と車に乗せて、高台の小学校に避難した。高さ8.5mの防潮堤を乗り越えて津波が押し寄せ、木造平屋のホームは約80㎝浸水した。それでも全員が無事だった。津波からの避難手段について、国は当時、車の使用を原則禁止としていた。道路上に建物が倒壊したり、瓦礫が落ちたりして、渋滞の恐れもあるからだ。だが施設の人達は、車を使うことで難を逃れた。運営会社の大久保博代表取締役(70)は、「現場が入所者の命を守る為、最善の判断をしたのだと思う」と説明する。高齢者施設の関係者からは、「津波の前に歩いて高齢者を離れた避難場所へ連れて行くのは非現実的だ」との声が多く聞かれる。とりわけグループホームは平屋や2階建てが多く、上層階への垂直避難もし難い。家庭的な環境や地域交流ができるよう、住宅地等への設置が求められている上、特別養護老人ホームなどに比べて小規模だからだ。国は震災後の2011年12月に改定した防災基本計画で、避難は徒歩が原則としながらも、足の不自由な高齢者の避難等を念頭に、車を使わざるを得ない場合に備え、市区町村毎に事前に安全で確実に避難できる方策を検討することとした。岩手県久慈市は、昨年3月に県が公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による津波の浸水想定で、東日本大震災の3.6倍の面積の市域が浸水するとされた。市は、車による避難について「地域や施設の実情に即した対応が必要とは考えるが、現時点で一律に認めるとは言えない」と慎重な姿勢を取っている。そうした中、市内にある『グループホームあさひ』は昨年11月、車による初めての避難訓練を実施した。木造2階建ての施設も、最大約6mの浸水が見込まれる。訓練では、約30人の高齢者を1~1.5㎞離れた2ヵ所の避難場所に連れて行った。15分程度で到着し、想定される津波到達時間の30分はクリアした。それでも、木地谷基視施設長(41)は「避難場所へのルートは限られ、道路の混雑は避けられない。職員が手薄な夜間に発生する可能性もある」と“その時”を懸念する。避難に時間がかかる高齢者を津波からどう守るのか。試行錯誤は続く。 (取材・文/東京本社社会部 安達恒太郎/三陸通信部 奥田伸一)


キャプチャ  2023年2月28日付掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【震災12年・#守りたい】(上) 避難訓練の大切さ訴え

死者・行方不明者が2万人超に上った東日本大震災から、間もなく12年を迎える。南海トラフ巨大地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震等による津波の脅威から、どうすれば子供や高齢者を守れるのか。各地で記者が取材した。

20230929 05
大津波警報のサイレンが鳴り響く中、12人の子供を乗せた送迎バスは海沿いを走った。7人は保護者に引き渡されたが、内陸に住む5人が車内に残されたまま津波に呑まれ、続いて火災に襲われた。園が捜索に動くことはなく、親達が焼け焦げたバスから変わり果てた我が子を見つけた。宮城県石巻市の佐藤美香さん(48、左画像の右、撮影/百武信幸)は、市内の私立日和幼稚園に通い、送迎バスに乗っていた長女の愛梨ちゃんを失った。6歳だった。東日本大震災(※2011年3月11日)の遺族として語り部活動を続け、講演等で強く訴えてきた。「命の犠牲の上に成り立つ教訓など本来あってはならない。娘達の命を無駄にしないで」。たとえ日和幼稚園のように園舎が高台にあっても、浸水の恐れのある地域から通う園児がいれば津波や水害と無縁ではない。美香さんが疑問に思うのは、保育所や幼稚園で義務付けられている避難訓練の回数の違いだ。厚生労働省管轄の保育所が児童福祉法等で“月1回以上”求められているのに対し、文部科学省管轄の幼稚園と内閣府管轄のこども園は消防法等で“年2回以上”とされ、少ない。「子供達の命を守る体制に差があったら、保護者は安心して我が子を預けられない」。美香さんの思いが通じ、子供の命を守る新たな仕組みが広がりつつある。美香さんの活動に共感した美術家の菅原淳一さん(58、宮城県利府町)は2015年から、子供を災害から守る為、大人が取り組むべき訓練や日頃の備えを呼びかける『こども防災』を実施している。活動の一環としてフランスギクを配る。焼けたバスが見つかった現場近くで見つけた花を持ち帰り、大切に増やしたものだ。

これまでに講演会に参加した人は延べ1万5000人を超える。2021年からは、県内の郵便局長と連携して避難訓練に取り組む。きっかけは、仕事を通じて知り合った利府郵便局長の小熊陽一さん(53)が漏らした一言だ。「我々も防災士の資格を持っているのに役立てられていないんですよね」。『全国郵便局長会』は約2万人のうち約6割が資格を持ち、地域の地理にも精通する。心強い助っ人になると考えた菅原さんは、小熊さんの協力を得て、2021年に県内の保育所で最初の訓練を実施した。取り組みは県内に広がり、計7回を数える。昨年10月の訓練は多賀城市立志引保育所で催された。保育所は直ぐ傍の小高い山を避難場所にしていたが、事前に地元の郵便局長らと現地を歩くと倒木の恐れがあるとわかり、別の避難場所を検討した。小熊さんは、「災害時は郵便局での対応があり、駆け付けたくてもできない。だからこそ日頃の訓練で力になりたい」。菅原さんも、「この取り組みを“宮城モデル”として全国に発信したい」と力を込める。市は来年度以降、私立保育園や幼稚園にも取り組みを広げたい意向だ。美香さんは、「訓練を重ねて心の備えをすることが、いざという時に命を守ることに繋がる」と言う。「なぜ、早く移転しないのか意味がわからない。子供の命が一番。早く! 早く! 移転してください」。南海トラフ巨大地震で最大20.9mの津波が想定される徳島県美波町。こども園の高台への移転等について、2014年に町が実施した意向調査の回答には、切迫した親の思いが綴られていた。結果を受け、町は災害発生前に幼稚園や学校等を高台に移転させる“事前復興”に取り組む。目の前に多くの漁船が停泊している町立日和佐こども園。巨大地震発生から16分程度で、最大約3mの津波が2階建ての園を襲う可能性がある。園は年8回ほど避難訓練を実施している。職員が乳幼児をカートに乗せる等し、計約100人を海抜1.9mの園舎から3階建ての県施設に避難させる。県施設までは約150m。高原ゆかり園長(60)は、「いざ災害が起きた時、本当に子供達を守れるだろうか」と不安を募らせる。町は2014年に移転を表明し、約600m離れた山林を切り開いて園舎を新設する計画を示した。周辺に整備する防災公園等も含めて、事業費は約40億円。9割以上を国や県の補助金等で賄う。用地の造成工事や園舎に続く道路を整備する工事もあり、園舎の着工は2025年度以降となる見通しだ。5歳の長女が通園し今後2人の娘も通う予定の女性(28)は願う。「園児の数が多いので、避難させるのは簡単ではない筈。早く移転を実現させてほしい」。 (取材・文/石巻通信部 百武信幸/東京本社社会部 安達恒太郎)


キャプチャ  2023年2月27日付掲載

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

【台湾総統選2024・候補の素顔】(04) 郭台銘(無所属)…大富豪、劣勢でも出馬

20230929 04
先月28日、台北市内のビルに多くの支持者や記者を集め、郭台銘氏(72、右画像の中央、撮影/大原一郎)は総統選への立候補を声高らかに宣言した。にこやかだった表情は、記者の質問で一変する。「中国に大きな投資をした鴻海精密工業の創業者が、中国の圧力に対抗できるのか?」。郭氏の答えは、「中国が鴻海の資産を没収すると言うならば、はいどうぞと答える」。この発言に、「株主や従業員の軽視である」と批判が上がった。鴻海は今月2日、郭氏が籍を残していた理事を自ら退任したと発表した。総統選に名乗りを上げるにあたり、町工場から自ら育て上げた大企業を離れざるを得なかった。小中学生の頃から「弁が立った」(同級生)という郭氏は、23歳で鴻海を創業した。苦心して電子機器を受託製造する分野を切り開いた。その成長は中国の存在と切り離せない。中国の改革開放政策に伴い、台湾企業は1980年代末から中国への進出を始め、1990年代に規模を拡大させた。郭氏も1988年に広東省深圳を訪れ、未だ閑散としていた街を見て、「ここに世界最大の工場をつくる」と語っている。予言通り、中国の経済成長と共に鴻海も巨大化し、今では深圳を含めて中国各地の工場で77万人が働く。『iPhone』等『Apple』の製品が主力だ。企業家として成功した大富豪が、劣勢が明白であっても総統の座を目指すのは、“台湾を良くする思い”からか、“利益”なのか“野心”なのか――。周囲も測りかね、臆測を呼んでいる。

4年前も国民党から立候補を目指し、青果市場社長の経歴を持つ韓国瑜氏に敗れた。党を批判して離党し、無所属等で立候補を模索したが、最後は断念したことを「強く後悔している」(陣営関係者)という。米中対立の中で、双方と関係を築いてきた自負が、出馬を後押ししているのは間違いない。出馬表明の5日前、中国の福建省沖に浮かぶ台湾の離島で、集めた記者を船に乗せ、中国との平和を訴えた。サプライチェーン(※供給網)が民主主義国と中国等の国に分かれつつあるとして、「両者が交わる核心的位置にある台湾が繋ぎ合わせることができる」と力を込めた。総統への拘りについて、郭氏をよく知る立法委員(※国会議員)は指摘する。「中台の平和を保つ使命感があり、他の候補者より優秀な自分が総統のほうが上手くいくと思っている」。ところが、パイプが強みだった中国からは歓迎されていない。中国の台湾企業家団体はSNS上で「非常な失望と憂慮」と表明し、政権交代の為に野党が団結する必要があるとして、出馬撤回を求めた。「中国当局の意向だ」(陣営関係者)と受け止められている。統一候補を呼びかけた野党からも警戒感が強い。国民党は、党内の郭氏支持者の動きを封じる為、応援すれば党規違反に問うことにした。台湾民衆党の柯文哲氏(※前台北市長)は、郭氏が党を「買収する」との情報が飛び交った為、会うのも避けるようになった。支持率が10%台前半で低迷する背景には、時代の変化もある。台湾から中国への投資は、10年前に比べて半分以下に減り、工場を東南アジアやインドに進出させる動きも強まる。中国での郭氏の成功物語は、有権者に響かなくなっている。正式立候補に必要となる約29万人分の署名集めが始まる。この過程で勢いを見せることによって、自らに候補者を一本化させる交渉材料にしたい狙いがある。「幕僚はおらず、全ての決定を自ら下す」(陣営関係者)という郭氏は、今もCEOのように振る舞う。“四面楚歌”とも言えるカリスマ経営者は、最後に如何なる決断を下すのか。政権交代を目指す野党にも決定的な影響を与える。 =おわり

          ◇

園田将嗣・鈴木隆弘・比嘉清太が担当しました。


キャプチャ  2023年9月18日付掲載

テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【台湾総統選2024・候補の素顔】(03) 柯文哲(台湾民衆党)…“政治の素人”が若者を掴む

20230929 03
「友よ、一生一緒に歩いて行こう♪」――ステージ上でマイクを握り、中華圏のヒット曲『朋友』を歌い上げたのは柯文哲氏(64、左画像の右下、撮影/大原一郎)。先月下旬、台中市で開かれた後援会設立イベントだ。柯氏は7月にも、資金集めの為にコンサートを開催し、歌い踊った。民進党、国民党の二大政党のトップであれば二の足を踏むような演出だった。台湾大学医学部卒の元外科医。ニックネームは、名字にプロフェッサーの頭文字を付けた“柯P”。理想の人物には、日本の戦国時代の名将である武田信玄を挙げる。台北市長時代には、忍者漫画『NARUTO』のコスプレ姿を披露したこともある。『台湾民意基金会』の先月の世論調査によれば、柯氏の支持率は、25~34歳の年齢層に限れば50.7%で、総統選の他候補を突き放す。これまでになかったタイプの政治家が、新党を率いて名乗りを上げ、二大政党の候補に真っ向から挑戦する。台湾総統選は今回、新たな展開をみせている。政界への転身の経緯自体が特徴的だ。外科医時代の柯氏に看護師として接した元立法委員(※国会議員)の蔡壁如氏によると、台湾大学病院では「患者のことで深夜に呼び出しても怒られたことはない」という猛烈な働きぶりだった。

「人生を捧げてきた」という病院勤務の最中、2011年にエイズ患者の臓器が誤って移植される事案が起きた。責任を問われた柯氏は、手続きが不公正と訴える大学批判を展開し、知名度を上げた。その経験をきっかけに白衣を脱ぎ、「より理性的な社会を」と政治を志した。台北市長に無所属で当選したのは、騒動から3年後の2014年だった。既存の政治との柵の薄さから、外交や内政で対立に陥る二大政党を尻目に、「必要なのはどんな総統か。イデオロギーが強過ぎてはだめだ」と言い切る。台北市長選の際に話題を集めたコスプレも、「当初は嫌がっていたが、票になるとわかると躊躇わなくなった」(元側近)という現実主義者でもある。“政治の素人”とも揶揄された柯氏は、対立する相手を“犬”と呼んで罵倒する毒舌で、舌禍も度々引き起こしている。だが、台湾大学の張佑宗教授は、それが「既成政党の権威に挑戦したい若者を引きつける」とみる。2期8年毎に政権交代を繰り返してきた二大政党だが、100年超の歴史を持つ国民党だけでなく、民主化運動の闘士を輩出した民進党にも、汚職等長期執政の弊害が顕在化しているということだ。とはいえ、強大な中国と対峙する台湾の総統は、既存の政治批判だけでは務まらない。台北市長として訪中を重ねた柯氏は、中国のスローガン“両岸は一つの家族”に同調し、台湾で批判を受けたことがある。一方、中台が“一つの中国”原則で合意したとされる『1992年合意』は受け入れておらず、“対話と交流”という方針を掲げるのみだ。こうした対中姿勢は、若者を中心とした中間層の一部に広がる「戦争など起きない」という中国の意図を度外視した楽観論も意識しているようだ。民意の主流は“独立”に動いて中国の介入を招くことも、統一で自由を失うことも望まず、第三極の民衆党でも受け皿になり得るということだが、「無難」(中台関係研究者)とも評される中道路線だ。外交手腕や交渉力は未知数だ。2020年の前回総統選では見送った出馬に踏み切った今回、重要ポストの行政院長(※首相)を他党に譲る等、連立政権を組む考えも示している。台湾メディア等では、候補乱立で野党系が3つに分裂している状況から、柯氏が国民党の侯友宜氏(※新北市長)と選挙協力するとの臆測も絶えない。どこまで本気なのか。民主主義制度の定着に伴う社会の多様化から生まれたニュータイプだからこそ、様々な期待と疑念が渦巻く。


キャプチャ  2023年9月17日付掲載

テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

【WEEKEND PLUS】(407) 国外での代理母出産も非合法化へ…イタリア政権の右派政策が騒動に

20230929 02
イタリア下院は7月26日、国外で代理母出産を通じて子供を得ることを非合法化する法案を通過させた。同法案はイタリア人のみが対象とされており、違反した場合は罰金や懲役刑が科される。代理母出産は異性カップルにも同性カップルからも利用されるものだが、ジョルジャ・メローニ政権はとりわけ性的マイノリティーを標的にしている。メローニ首相(※右画像)は今年3月、ミラノやローマ等同性カップルの子供についても出生登録を受け付けている自治体に対して、受付を停止するように指示。しかし、ミラノは先月になって、同性カップルの子供について出生登録の受付を再開している。政府と自治体が対立している構図だ。


キャプチャ  2023年9月号掲載

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

【WEEKEND PLUS】(406) 国策半導体事業のラピダス、2025年稼働は「無理」の声

20230929 01
北海道千歳市で工場の建設が始まった最先端半導体国産化プロジェクトの『ラピダス』。国側の意気込みとは裏腹に、業界関係者からは「協力を打診されているが、現時点では様子見だ」の声が出ている。量産稼働までに技術を確立できるのが前提だが、「開発はスタートしているが、間に合うかは全く未知数」(同)という。北海道への部材輸送の問題も浮上している。可燃性や毒性のあるガス、薬液は青函トンネルが使えず、船を使うにしても規制が厳しい。「トラックを使う本州や九州と比べて、かなりコストが上がってしまう。ビジネスとして割に合わず、協力したくないというのが正直なところだ」(ガスメーカー)と、サプライヤーからは強い不満が出ている。量産が実現できたとしても、「買い手がはっきりせず、国からもラピダスからもそれまでには需要が生まれるといった希望的観測しか出てこない」(同)という。関係者の間では、「北海道庁でも立地決定を受けて急遽、専門組織を立ち上げたが、後手後手の印象が否めない。2025年の稼働目標に間に合うとは到底思えない」と囁かれる。


キャプチャ  2023年9月号掲載

テーマ : 経済ニュース
ジャンル : ニュース

【木曜ニュースX】(399) 武器供与問題で岸田文雄首相の優柔不断…バイデン政権からの評価が急落

20230928 08
概ね成功と評価された先月18日の日米韓3ヵ国首脳会談で、岸田文雄首相の判断が期待されながら叶わなかったのが、防衛装備品移転を巡る日本の新方針だ。自民、公明両党は統一地方選後の4月から、ロシアの侵略を受けたウクライナを念頭に、殺傷能力のある武器の供与の是非を議論してきた。ウクライナへの弾丸輸出で自国の弾丸が不足気味のアメリカからは悲鳴が上がる。アメリカ政府高官は日本の名指しを避けながらも、「同盟国に弾薬供給を迫っている」と苛立ちと期待感を交錯させる。韓国も方針を見直し、ウクライナへの武器供与に踏み出している。首相がバイデン大統領と尹錫悦大統領を前に踏み込んだ方針を表明できなければ「日米同盟が揺らぐ」とする声も政権内にはあったが、首脳会談までに結論は出なかった。公明党に軟化の兆しもあり、防衛費倍増を進めた首相が決断すれば纏まるとの見方もあっただけに、バイデン政権や保守右派の岸田首相への評価は急落している。


キャプチャ  2023年9月号掲載

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

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George Clooney

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