【霞が関2016冬】(02) 病院の敷地に薬局ダメ…厚労省のかたくなな論理

病院の敷地外に調剤薬局を置く“医薬分業”。1年前には一定の規制緩和で決着していた筈のこの問題について、政府の規制改革推進会議と厚生労働省の議論が再燃している。発端となったのは、『国立病院機構災害医療センター』(東京都立川市)が敷地内へ調剤薬局を誘致するという公募を、厚労省が「望ましくない」と指導し、同医療センターが中止した問題だ。「一体、何を持って望ましくないのか? “指導”の方向性がおかしいんじゃないか?」――。大阪大学大学院教授で医師の森下竜一氏が先月中旬、規制改革会議のワーキンググループ(WG)の会合で口火を切った。同氏は、前身の規制改革会議で2013年から委員を務めるベテランだ。森下氏が言う“指導”とは何か。国立病院機構災害医療センターは今年8月上旬、敷地内に調剤薬局を誘致する為、事業者を公募した。「災害医療の中核として、医薬品を備蓄できる敷地内薬局が必要と考えた」(国立病院機構)。だが、厚生労働省は10月、「患者が病院等の外にある調剤薬局で薬を受け取る医薬分業の方向性と合っておらず、望ましくない」と伝えた。医薬分業に関する規制では、「医療機関と保険薬局は独立した経営でなければならない」という省令がある。独立性を担保するものとして、病院や薬局の間に道路を挟んだり、フェンスを設けたりといった立地制限が運用されてきた。

規制改革会議は昨年3月の公開討論で、「冬の寒い中、車椅子の患者が大きな道路を渡って薬を貰いに行くのはおかしい」等の問題点を挙げて議論。厚労省は今年3月末に、立地の解釈を緩和する通知を出した。「経営の独立が確認できれば、一定の配置についてはフェンスを作らなくても済むようにする」といった内容だ。厚労省は、特定の薬剤師が1人の患者を継続的に担当して、患者の身近な相談相手になる“かかりつけ薬局・薬剤師”の普及を促し、医薬分業を進めようとしている。厚労省の担当者は先月中旬の会合で、「(国立病院機構災害医療センターは)立地状況を考えると、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を果たすことが難しいと判断した」と説明。これに対し、WG座長の林いづみ弁護士は、「全ての薬局がかかりつけ薬局になる必要はないと理解しているが…」と述べたが、最後まで委員の疑問と厚労省の回答は噛み合わなかった。一病院の薬局誘致問題にここまで委員が拘るのは、「同病院への“指導”をきっかけに、規制改革会議で決めた緩和が形骸化される」という恐れを感じている為だ。10月から実際に運用が始まったのを受け、WGが点検したところ、早速、国立病院機構の問題が浮上した。「『規制改革会議に言われたから形だけ(緩和の解釈を)作った』と取れなくもない話だ」(森下氏)。新たな岩盤を切り崩す体制を整えるのは、規制改革推進会議の一番の役目だが、岩盤が実際に崩れたことを確認することも大事な役割だ。厚労省が近く開くWGで改めて示す回答が注目される。 (大島有美子)


⦿日本経済新聞電子版 2016年12月13日付掲載⦿
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