【Test drive impression】(05) 『BMW ミニクーパーD 3ドア』――3気筒クリーンディーゼル搭載ミニの実力とは?

ジャジャーン! 今、密かに地殻変動とも言える革命が進行しております。そいつは、迫り来る『BMW』ミニの波! 自動車業界の人間ならジョーシキですけど、長らく輸入車界の顔と言えば『フォルクスワーゲン(VW)』のゴルフでした。1974年に発売されると、世界中で大ヒット。ロング&ベストセラーFFコンパクトとして君臨。日本でも、昨年まで28年連続で輸入車国内販売ナンバーワン! ところが昨年後半、例の欧米におけるディーゼル排ガス不正問題の影響から、日本でもVW車の販売が急落すると、ミニが約4500台差まで追い上げたのです。ミニの販売が伸びた理由は、定番のハッチスタイルってだけじゃなく、ボディーがデカい5ドア車ミニクロスオーバーや、クラブマン等兄弟車が増殖した&意外と知られていないのが、親の仇の如く強烈な意志でBMWが進めているクリーンディーゼル化! 未だにVWゴルフ&ポロや『メルセデスベンツ』A&Bクラスがディーゼルの設定無しなのに、ミニシリーズは2年前にちょいデカいクロスオーバーと3ドア版ペースマンに逸早くディーゼル車を設定。こいつが効能灼たかで、既にその2車種に限ると、売れ筋の8割がディーゼル! 同様にディーゼル化が進む『マツダ』に負けじと、BMWのディーゼル革命はどんどん進んでいるのです! ディーゼルの魅力は、ガソリン車+20万円程度で買えるお手頃価格に加え、ディーゼルならではの圧倒的なパワーと燃費性能。クロスオーバーに限れば、1.6リッターガソリンのATのモード燃費が14㎞/リッターなのに、排気量のデカい2リッターディーゼルターボのAT車が16.3㎞/リッターと低燃費で、それでいて最大トルクは160Nm対270Nmと大逆転!

最大出力こそガソリン車に微妙に負けているが、乗ってみると圧倒的に速くて燃費がいいのはディーゼル。しかも、燃料の軽油はガソリンより2割は安いから、「そりゃディーゼル買っちゃうよね!」って話なのだ。この動きに更に追い打ちをかけようってのが、今年4月に行われたミニのフルラインアップディーゼル化。特殊なコンバーチブルと最速モデルのJCWを除き、シリーズ全体の6割弱を占めるド定番のハッチバックやクラブマンまで一気にディーゼル化し、今の地位を揺るぎないものにしつつ、事によっちゃ「ゴルフを抜いて輸入車ナンバーワンになっちゃおう」というとんでもない戦略が見え隠れ。しかも! このモデルから、同じディーゼルでも新世代ユニットを投入。BMWの3シリーズや2シリーズに導入されている高効率モジュラーエンジンで、パワーと低燃費性が同時に上がり、ATのミニとしては初めてアイドルストップ機能も導入。早速、不肖・小沢も、その急先鋒たる3ドアハッチのミニクーパーDを借りて乗りましたが、先ず気になったのは、BMWの良心とも言える良バランスの4気筒から1気筒省いた新世代の高効率1.5リッター3気筒ディーゼルターボが凄いってこと。この新世代ディーゼルには3気筒と、もう1種類、2リッターの4気筒ターボがあって、そっちのがパワーもトルクもあるけど、やっぱり注目は、よりシンプル且つエコな1.5リッターのディーゼル。ピークパワー&トルクは116ps&270Nmとガソリンの1.5倍ぐらいのトルク感で、それを2000rpm以下の低回転から発揮する訳だから、実際のとこどんなもんかと思っていたけど、マジでコレで十分だわ! 精々、車重1.3トン弱のミニだけあって、ちょっとアクセル踏んだだけでグイッと前に出て、古典的な高回転型ガソリンエンジンより速い速い。大排気量エンジンに乗っている感覚も、多少あったりするほど。

一方、心配していたのは、回転体のエンジンとしては非常にバランスが悪くなる3気筒であること。特に低回転のアイドリングでは、多少バタバタ気味で4気筒より粗めだったけど、でも、よっぽど神経質な人じゃない限り気付かないレベル。伸びも結構気持ち良くて、4000回転までキッチリ回るし、そこんとこ昔のディーゼルを想像していたら大間違い。今や、コンピューター制御や高度な燃料噴射技術もあって、上質さは昔のディーゼルと現代のガソリンの中間レベル。アイドリングは多少煩めで、振動も出ますけど、走り出せば気にならない。同時に、ミニハッチバック本来の魅力は全く損なわれていなくて、全長3.8m台のボディーは必要にして十分。正直、リアに大人が3人乗るならミニの5ドアかクラブマンかクロスオーバーがオススメだけど、3ドアの軽快さも捨て難い。ミニならではのキュートスタイルとキビキビハンドリングも際立つし。最後に気になる燃費だけど、モード燃費は23.9㎞/リッター。ガソリンより3割ほど燃費が良く、今回、Dの実燃費を測ったところ、高速道路でメーター読み19㎞/リッターで、一般道を走ると16㎞/リッターって感じ。正直、ハイブリッドにゃ敵わないけど、軽油の安さを入れたらディーゼルで十分。ハッチバックの車両価格差はガソリン車比で20万円ちょいだけど、エコカー減税を考えると10万円以下に減るから、燃費差を考えると3万㎞で元が取れます。斯様な皮算用もあってか、ミニのディーゼル率は現在5割近いとか。さぁ愈々、「今年度はミニ全体で、“王者”ゴルフの販売台数を抜く可能性あり!」と不肖・小沢は見ました。


小沢コージ(おざわ・こーじ) 自動車評論家・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1966年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、『本田技研工業』に入社。1990年に『二玄社』に転職し、自動車雑誌『NAVI』の編集を担当。1993年からフリーに。『週刊自動車批評』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)・『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)等。


キャプチャ  2016年12月26日号掲載

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