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【政治の現場・危機管理】(01) 首相の決断、菅氏不在

新型コロナウイルスへの対応を巡り、政府や与野党、国会等の危機管理の現状と課題を探る。

20200714 01
その発言に、出席者は驚きを隠せなかった。「宣言を全都道府県に拡大すればいいじゃないか」――。新型コロナウイルスの感染拡大で、首相の安倍晋三が4月7日に7都府県に緊急事態宣言を発令した直後、関係省庁の閣僚や次官らを首相官邸の首相執務室に集めた連絡会議でのことだ。会議は1月下旬から連日のように開かれ、安倍がしばしばトップダウンで指示を出す場でもある。この日は、宣言の対象外となった愛知県等から相次いだ不満の声に対する善後策を練っていた。官房長官の菅義偉も、安倍の発言に呆気に取られた一人だ。菅は、「政府が対応を厳しくし過ぎれば、国内経済を麻痺させる」と考えていた。しかし、当初は反対だった菅も、結局は折れた。安倍は自らの言葉通り、4月16日、全都道府県を対象とした宣言発令に踏み切る。官邸の危機管理はそれまで、菅と事務方トップの官房副長官である杉田和博のコンビが主に担ってきた。「首相と判断が違ったことはない」。政権の屋台骨である菅は嘗て、そう豪語したこともある。ただ、新型コロナウイルスは、従来の自然災害や閣僚の不祥事といった危機管理とは異質だった。.外交に強い安倍は1月末、他国に先駆けて武漢の在留邦人をチャーター機で帰国させようとした。省庁を率いる閣僚とは異なり、自前のスタッフを殆ど持たない首相が、この種のオペレーションを陣頭指揮するのは「史上初」(政府関係者)だ。安倍が危機対応で前面に立つほど、菅は後景に退くことになった。

安倍と菅の二人三脚から、安倍の独壇場へ――。こうした官邸内力学の変化は、ポスト安倍を巡る安倍と菅の温度差が齎したと見る向きもある。安倍は来年9月末の自民党総裁任期切れをにらみ、盟友である副総理兼財務大臣の麻生太郎と共に、自民党政調会長の岸田文雄に期待を寄せる。一方の菅が、政治家としての岸田を見る目は厳しい。安倍が麻生・岸田との間だけで減収世帯への30万円給付という目玉政策を構想し、菅を絡ませなかったのも、そうした背景からだとする見方もある。安倍が2月下旬に学校の一斉休校を打ち出した際も、菅は蚊帳の外だった。官邸幹部の一人は、「首相は政権終盤で自分の思い通りにやりたくなったのだろう」と推し量る。昨秋の内閣改造以降、菅に近いとされる閣僚が複数更迭されたことで、安倍と菅の距離が広がったとも囁かれる。発生時期も災いした。安倍は中国国家主席の習近平の来日を春に控え、中国発のウイルスに果断な措置を取り難かった。一方の菅も、旗振り役となった2020年の訪日客4000万人達成をにらみ、中国からの人の流れを止めるのはマイナスだと思っていた。厚生労働省が「ウイルスはインフルエンザみたいなもの」との甘い見立てを上げていたこともあり、官邸の水際対策は立ち遅れた。とはいえ、菅が危機対応で手を抜いているわけではない。医療機関でマスクが不足すると、首相補佐官の和泉洋人を使い、都道府県を介さずに直送するシステムを作った。PCR検査数を増やす為、僅か数日で厚労省の反対をねじ伏せ、歯科医師も検査に必要な検体を採取できるようにする等、変わらぬ剛腕ぶりも見せつけた。尤も、「自分が余程拙いと思うところだけやっている」と漏らす菅に、嘗ての覇気は感じられない。右腕である和泉を巡る“醜聞報道”で、当初は和泉を動かし難かったという事情もあった。3月15日昼、菅は国会近くのホテルで旧知の千葉県知事・森田健作と昼食をとった。元気付けようとする森田に、菅は鶏蕎麦を啜り続けた。途中、長い沈黙を挟んだ後、自分を奮い立たせるように、こう応じた。「そうだな、頑張らないとな」。 《敬称略》


キャプチャ  2020年5月26日付掲載
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