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【政治の現場・危機管理】(02) 読めぬ民意、発信不発

20200714 02
「手短にお願いします。これ、最後にしますから」――。首相官邸の大ホールに、司会役の内閣広報官・長谷川栄一の声が響いた。首相の安倍晋三が一昨日、緊急事態宣言の全面解除を発表した記者会見は、1時間10分で打ち切りとなった。安倍は一礼し、その場を後にした。新型コロナウイルス対応で、安倍はこれまで計8回の記者会見に臨んだ。2月29日の初回こそ40分足らずだったものの、2回目以降は何れも1時間前後。過去の例と比べれば、開催頻度、所要時間とも際立っている。それでも国民の関心が極めて高いテーマだけに、質問は毎回、途切れることがない。その度に、打ち切りで指名されなかった記者の不満は募る。安倍自身は情報発信に意欲的だ。長谷川に「どんどん質問者を当てればいい。自分が倒れるまで質問に答える」と漏らしたこともある。とはいえ、周囲のスタッフは、他の公務との兼ね合いを考慮しなければならない。同日も、直後に新型コロナウイルスの政府対策本部が控えていた。記者会見の場では、どんな質問が飛び出すかわからず、“時間無制限”というわけにもいかない。安倍内閣の情報発信のやり方には定評がある。内閣広報室のSNS班に20~30代を主体に約40人を配し、特に内閣支持率や自民党支持率の高い若年層に訴求力のある手法も取り入れた。数々の危機を乗り越え、内閣支持率が高止まりする一因ともなった。しかし、安倍は今回、国民の感覚とどこかずれた発信を繰り返し、痛手を被った。

先月1日の政府対策本部で、安倍は全戸への布マスク2枚配布を公表した。首相周辺が発案し、本人も「いいと思った」という。尤も、東京を除けば、配布が始まったのは5月中旬以降だ。その頃、既に市中にはマスクが大量に出回りつつあり、国民が最も必要とする時期は過ぎていた。旬外れの布マスクは“アベノマスク”という異名で揶揄された。先月12日には、安倍自ら外出自粛を呼びかける動画をSNS上に投稿した。「若者に受けますよ」。首相秘書官の一人がそう言って、安倍に持ちかけたものだ。シンガーソングライターの星野源の楽曲『うちで踊ろう』の動画に合わせ、安倍が自宅で愛犬を抱いたり、読書したりする内容だった。狙いに反し、動画を投稿すると、インターネット上は批判の嵐となった。動画公開の時点で、政府は緊急経済対策を盛り込んだ2020年度補正予算案を国会に提出していなかった。そんなタイミングに流れた安倍の“優雅な週末”の様子は、休業や自宅待機で先の見えない生活に苛立つ多くの人々の神経を逆撫でした。官房長官の菅義偉が「過去最高の35万回を超える“いいね”を戴いた」と庇う一方で、与党からも「1000万回以上の再生で35万回の“いいね”では少な過ぎる」(自民党幹部)との声が漏れた。国民の多くが「新型コロナウイルス対策は後手に回っている」と不満を募らせている。『桜を見る会』や『森友学園』の問題に加え、検事長の定年延長を巡る問題が尾を引き、政権への信頼を傷付けているという面もある。安倍を前面に出せば批判の矛先が集中し、安倍の露出を抑えようとすれば「トップの顔が見えない」と叩かれる。首相官邸のリスクコントロールは、袋小路に迷い込んだ感すらある。“民意”の在り処を掴みそこねた危うさは、安倍が一番、自覚している。先月下旬、側近の一人に、しみじみとした口調で呟いた。「世の中の声が官邸に伝わり難くなっている。真剣に反省しないといけない」。 《敬称略》


キャプチャ  2020年5月27日付掲載
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