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【政治の現場・危機管理】(03) 厚生労働省、水際対策で後手

20200714 03
「新感染症に指定するのは、明らかに無理だね」――。1月下旬、厚生労働省の大臣室。昨秋の内閣改造で2度目の厚生労働大臣を任された加藤勝信は、幹部らを見渡すと、そう結論を下した。新型コロナウイルスによる肺炎が感染症法の新感染症に当てはまるのか、省内で協議した時のことだ。新感染症は、既に知られている感染症とは“病状や治療の結果が明らかに異なる”ものを指す。謂わば“未知の脅威”にあたる為、行政は入国に伴う検疫時に、感染者の隔離入院や停留等の措置を取ることができる。当時は国内初の感染者が確認されたばかりで、海外からの感染者を水際でどう防ぐかが課題となっていた。しかし、新型肺炎の病原体は新型コロナウイルスだと、中国で既に特定されていた。厚労行政を熟知した加藤を含め、厚労省とすれば、法的整理に基づいて新感染症指定を見送ったのは、ごく当然と言えた。決着がついた筈の議論は、1ヵ月後の2月下旬頃に再燃する。国内の感染者が急増し、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を求める声が高まった為だ。特措法を使えば、宣言に基づいて土地や建物の持ち主が臨時の医療施設を設けることを拒んだり、業者が医薬品や食品等の売り渡しに応じなかったりした場合、強制収用が可能だ。ただ、私権制限を伴う為、特措法を使える感染症は限られる。インフルエンザ以外に認められるのは、新感染症だけだった。

野党は新型コロナウイルスを新感染症と認定するよう、政府を攻め立てた。一方、政府は「新感染症にはあたらない」とする厚労省の判断を踏まえて国会で答弁した経緯があり、今更覆せなかった。特措法を改正し、新型コロナウイルス対策にも使えるようになったのは、3月14日のことだ。厚労省にも、流行の初期段階で「首相が『新型コロナウイルスを新感染症と位置付けるように解釈を変えろ』と言えば、不可能ではなかった」と振り返る幹部もいる。省内に“首相官邸の政治決断を促す”という発想が生まれなかったのは、新型コロナウイルスを軽く見ていたことが大きい。1月下旬、政府は官邸で開かれた連絡会議で、武漢の在留邦人がチャーター機で帰国した後の手順を協議した。厚労省は当初、新型コロナウイルスの症状がない帰国者は、公共交通機関で帰宅させるつもりだった。そこに、首相秘書官の一人が「皆、家に帰しちゃだめだ」と割って入り、急遽、見直しが決まった。すると帰国直後、無症状の帰国者2人からウイルスの陽性反応が出た。官邸の懸念は的中し、厚労省の危機管理の甘さを裏付けることになった。抑々、厚労省は検疫時の停留には極めて後ろ向きだ。官邸が3月4日、水際対策として“入国者の指定施設での停留”を盛り込んだ原案を纏めると、加藤や厚労次官の鈴木俊彦が口を揃えて猛反発した。鈴木は約10ページの反論資料を官邸に持ち込み、「内閣支持率が落ちる」等と訴えた。加藤らの抵抗の凄まじさは、首相の安倍晋三が「何で厚労省があんなに反対なのかわからなかった」と戸惑う程だった。厚労省が停留に及び腰だったのは、「マンパワーの不足による」と見る向きは多い。停留となれば、入国者の宿泊場所を確保しなければならない。そんな手間のかかる仕事に、とても労力は割けないというわけだ。平時でさえ、限られた人員で膨大な厚労行政に追われ、“強制労働省”と揶揄される。それ以上に負荷がかかる非常時の対応は、どうしても後手に回る。「厚労省は何をやるにせよ、今までと違うことを極度に嫌がる」。政府関係者が半ば諦め顔で語る体質に、安倍政権内では組織体制の課題と限界を巡る自問も始まっている。 《敬称略》


キャプチャ  2020年5月28日付掲載
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