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【政治の現場・危機管理】(04) 病床の確保、綱渡り

20200714 04
「現状では未だ全国的且つ急速な蔓延には至っていないとしても、医療提供体制が逼迫している地域が生じていることを踏まえれば、時間の猶予はない」。首相の安倍晋三は4月7日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。政府はとりわけ、首都・東京の実態に危機感を募らせていた。都の1日あたりの外来患者数は、感染のピーク時に約4万5400人、入院患者数は約2万500人、重症患者数は約700人――。厚生労働省が3月6日付で公表した推計式に基づくデータは、政府関係者に衝撃を与えた。都内で患者を受け入れる感染症指定医療機関の病床数は100床程度にとどまる。推計が現実のものとなれば、“医療崩壊”という最悪の事態を迎える。折しも都内では新規感染者が増加し始めていた。それに対し、都の病床確保の動きは鈍かった。「都は政府に情報を上げてこない。どんなオペレーションをしているのかもわからない」。首相周辺の苛立ちは高まるばかりだった。入院者は重症者らに限らなければ、医療機関がパンクする。そう見切りをつけた政府は、一昨日決定した基本的対処方針に、感染拡大地域の無症状者や軽症者は自宅や宿泊施設等で療養させることを盛り込んだ。一方、安倍は先手を打って、自ら軽症者の受け入れ先となる都内のホテルの確保に動いていた。どこのホテルも風評被害を恐れ、自発的に手を挙げてくれるとは思えなかったからだ。

人伝に電話番号を聞き出し、安倍が直談判した相手は、大手ホテルチェーン『アパホテル』のグループ会社代表・元谷外志雄だった。説得の末、元谷から「1万床は出せる」との言質を得た安倍は、漸く胸を撫で下ろした。特措法は、海外で新型インフルエンザが流行した場合、入国者の停留施設としてホテルを所有者の同意なしに使えると明記している。厚労省はこれまでも有事に備え、ホテル業界に「いざとなれば強制的に使うことだってできるので、受け入れに協力してくれないか?」と予め打診してきた。尤も、色よい返事をしてくれるホテルは殆どないという。実際にホテルを使うとなれば、運営にあたるスタッフの協力も不可欠だ。「強制力があるからといって、無理矢理やるわけにはいかない。今回、ホテルが軽症者を受け入れてくれたのは、トップダウンの力があったからだ」。厚労省幹部は、綱渡りとなったホテル確保の現状を、そう振り返る。病床確保では、別の問題も起きた。「3800床です」――。3月末、首相官邸で開かれた連絡会議の場で、厚労省の担当者が感染者向けに使える全国の病床数を報告すると、居合わせた政府幹部は耳を疑った。厚労省の全国推計では、ピーク時の入院患者は約22万2000人。これに比べ、病床数があまりに少なかった為だけではない。全国47都道府県の内、厚労省が回答を得ていたのは30にも満たなかった。しかも、回答漏れで病床数が0とされた愛知県は、既に記者会見で病床数を公表済みだった。お粗末な報告内容に出席者は呆れ果て、厚労省が公表予定だった“3800床”という数字はお蔵入りとなった。政府関係者は厚労省の杜撰な集計を批判しつつ、地方の内情をこう推し量る。「厚労省に回答しないところが多かったのは、自治体が言いたがらないという側面もある。体制整備が追いついていない状況を報告したくないんだろう」。国民が必要とする正確な情報は、自治体の都合で国に届かず、病床数の把握という危機管理の基本は蔑ろにされた。 《敬称略》


キャプチャ  2020年5月30日付掲載
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