【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(27) 3億円を持ち込んで判明した日本の銀行の“情弱”具合

250万ドルの送金をしようと思えば、今月5日のレートなら約2億8500万円でできる。昨年の同じ頃、ドバイへ250万ドルを送金した時には3億800万円が必要だった。この2300万円は為替差損と言える。ドバイの銀行に証券発行手数料として送金する必要に迫られたのだが、この時、シンガポールとロンドンにある筆者の口座は凍結されていた。仕方なく、後輩の会社から送金するべく、口座のある銀行へ現金を持ち込んだ。愛知県にある第2地銀の支店は、コンビニほどの大きさだった。カウンターへ3億の現金を積み、ドバイへの送金を告げると、窓口の女性行員は、まるで強盗にでも遭ったような顔で周囲を見回した。現在、銀行に100万円以上の現金を持ち込み、何らかの取引をしようと思えば、原資と取引理由を説明する資料を要求される。筆者が提出した英文の書類と3億の現金によって、この小さな支店は混乱した。普段は、近所の農家や商店を相手にほのぼのとした日常を送る同支店は、突如、国際金融の舞台へ引きずり出されたのだ。人のいい、けれども出世には縁が無さそうな支店長を他の行員が取り囲み、相談を始めた。「あのぅ、何でうちの支店なんでしょうか…」。副支店長と思しき男が、意を決したように筆者に問いかけてきた。「会社がこの支店に口座を持っているんだから仕方ないだろう」。まるで自分の会社であるような言い方だったが、隣の後輩は徴動だにせず、黙って成り行きを見守ってくれた。「一切、口を開くな」と筆者に命令されていたからだ。結局、支店長は本店に指示を仰ぎ、筆者は外国為替の担当と話しながら、手続きを進めることになった。

ところが、本店の担当者も、筆者の要求する送金指示が理解できない。何度もMUFGに問い合わせをしなければならなかった。通常、送金にはSWIFTの“103”というメーセージタイプで行うが、筆者はこの“103”にスラッシュを付け、“103/23”にしたかった。これは条件付きの支払いを指示したもので、送金を受け取る側が約束を実行するまで、資金を保全できる便利なシステムである。この“/23”を知る行員は誰一人としていなかった。それどころか、「日本にはそのような送金方法が存在しませんよ」とまで言うのだ。国際標準の規格であるSWIFTを利用しながら、そのSWIFTが提供するサービスが使えないなどあり得ない話だ。結論から言うと、日本では世界的な標準規格の送金方法が利用できない。いや、できないのではなく、存在はするがやったことが無いし、やり方がわからないのである。結局、ドバイへの送金には通常の“103”で4時間かかった。この後、資金をドバイからロンドンへ送金したのだが、その時は、窓口の若い女性行員が僅か20分ほどで手続きを終わらせた。日本の銀行とは、国際舞台に立てば所詮、この程度のものである。行員に知識が無い上に、銀行のシステムも組織も閉鎖的なのだ。石油を扱う商社にも同じことが言える。組織の歯車に過ぎない担当者は、リスクを冒してまで新しいことにチャレンジしない。同じ商品が安く手に入るとしても、既存の取引が安定していれば、敢えてリスクを取ろうとはしない。巨大資本とはそういうものだ。そして、その巨大資本の取らないリスクを引き受けるのが暴力団なのである。「日本の商社や銀行を相手にしていたのでは、石油取引は絶対に成功しない」。そう考えた筆者は、「石油の販売先も決済する銀行も海外にしよう」と考えた。それが後に大変なことになるとは思いもしなかったが。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年12月20日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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