アマゾン、生活必需品のインフラへと大転換進める――アメリカの先進事例、いずれ日本へ

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台所でもリビングでもトイレでもいい。家のどこにいても、スマートフォンもパソコンも不要。思い立ったその瞬間に注文できる――。『アマゾンジャパン』(東京都目黒区)が今月5日に発売した『ダッシュボタン』(左画像)は、買い物の手間を極限まで省く小型端末だ。Amazonプライム会員向けに実質無料で提供する。ボタンは、『サントリー』・『カルビー』・『花王』等著名メーカーのブランド毎に40種類以上。『サントリー』の天然水のボタンなら“550ミリリットルボトル24本セット”・“2リットルボトル2箱”等、サイズや量を最初にスマートフォンで設定しておくと、その後はボタンを押すだけで注文できる。「生活必需品の入手は“買い物”ではなくて“作業”だ」。アメリカの『Amazon.com』でダッシュボタン事業を担当するダニエル・ラウシュ氏は語る。定期的に買う消耗品ならば、店舗に態々足を運んでパッケージや値段で品定めをする意味は薄い。寧ろ、“使いたいのに手元に無い”事態を防ぐほうが重要との考えだ。昨春に先行発売したアメリカでは、直近のボタン経由の注文数が当初の5倍まで増えているという。

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Amazonは近年、消費者の日常的な利用が増えるように、商品やサービスを拡充している。日本で昨年9月に始めた『パントリー』というサービスは、カップ麺1個・洗剤1本といった具合に1個単位で買える。生活必需品の取り扱いは従来、配送効率等の観点から箱単位が多かった。同じく、昨年11月に始めた『プライムナウ』は、発注から最短1時間で商品を届けるサービス。先月には、東京都内の対応地域を23区全体に広げた。書籍に代表されるように、Amazonはニッチ商品を幅広く取りそろえる“ロングテール”の事業モデルで成長してきた。ただ、これだけでは消費者との接点は限られる。生活必需品の取り扱いを増やし、同時にサービスの使い勝手も磨けば、Amazonは毎日のように消費者と接することになる。勿論、購入頻度の高い生活必需品が増えれば、発送業務の負荷は大きくなる。そこで、Amazonは並行して、物流拠点の効率化も急いでいる。神奈川県川崎市にある同社の物流拠点(上画像2枚)。広大な空間を、100台を超える黄色い商品棚がするすると自動で動き回る。向かう先は入荷したコンテナから商品を取り出したり、逆に発送用のコンテナに積み込んだりする作業員の待つ一角だ。同社が今月6日に本格稼働させた『アマゾンロボティクス』は、作業員が倉庫内を歩き回るのではなく、棚が作業員の元を訪れることで、商品管理や発送作業を効率化する。人力では数時間かかることもあった出荷作業も、「早ければ数分で完了する」(アマゾンジャパンでオペレーション技術を担当する渡辺宏聡氏)。国内導入は川崎市の拠点が初めて。今後、他拠点への展開も順次検討する。

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先端技術を駆使して、消費者の日常生活で存在感を増しているAmazon。本拠地のアメリカでは更に先を行く。昨年7月に一般発売した『アマゾンエコー』(右画像)は、未来の消費スタイルの一端を示す家庭向け端末だ。7つのマイクが内蔵されており、利用者が呼びかけると音楽を流したり、天気予報を知らせたりする。思いついた時に、商品を買い物リストに加える機能もある。生活に欠かせない情報インフラとして、既にアメリカ国内で500万台以上が出荷されたという推計もある。インターネット空間から飛び出して、実店舗の展開にも乗り出した。注目が集まるのが、来月とされる次世代コンビニエンスストア『Amazon Go』の開店だ。最大の特徴はレジが無いこと。店内に配置したセンサーとカメラで、商品の動きを把握できるようになっている。顧客はスマホで認証してから店に入る。棚から商品を手に取ると、システム上の買い物カートに商品が選択された状態になり、棚に戻すと、カートからは自動で取り除かれる。カートに品を入れた状態で店を出ると、Amazonの口座情報と連携し、自動で支払いが済む。冒頭のダッシュボタン等と同様に、エコーやAmazon Goを日本に持ち込む可能性も高いだろう。Amazonが成長を続ける為には、市場規模の大きい必需品の市場を開拓するのは必然。その目的の為、ここにきて一気に新技術を投入している。既存小売業は、気付いた時には“時既に遅し”という事態になりかねない。 (取材・文/本誌 藤村広平)


キャプチャ  2016年12月19日号掲載

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