【盆踊り全国漫遊記】 若者の“聖地巡礼”文化に注目を

8月末に公開されたアニメ映画『君の名は。』(新海誠監督・東宝)は、興収100億円を超える大ヒットで話題になった。ここでは、その“舞台設定”という視点から、地域活性化のヒントを探ってみたい。物語の舞台として美しく描かれた岐阜県の飛騨地方には、多くの若者が来訪し、地元も驚いているという。こうした現象は今、“聖地巡礼”と呼ばれている。勿論、本来の宗教的意味ではなく、アニメや漫画等の舞台(ロケ地)となった土地を訪れるファンの行動を指す言葉だが、近年、一種の社会現象として注目され、「全国88ヵ所の聖地を選定して観光経済効果を狙おう」という動きまであるという。興味深いのは、そうした舞台の多くが“何の変哲も無い”地方都市であることだ。高齢化や人口減少が進み、観光も振わないとはいえ、美しい山や海があり、古い寺社や街並みが残り、路傍の小祠やお祭り等の文化が息衝いている。実は、私たちが伝承の盆踊りや民俗芸能を求めて訪れる場所の多くが、まさにそうした“何も無い土地”・“どこにでもある街”なのだ。東京のスピードに疲れた現代の若者たちは、スクリーン上で見る“名も無い街”に、却って自由な空気を感じているのかもしれない。ところで、こうした若者たちの来訪に対しては、地域側に戸惑いもある。本誌9月号で取り上げた『ポケモンGO』騒動を思い出す方もいるだろう。しかし、ポケGOが地域とは何の関係もないゲーム上のアイテム回収が目的であったのに対し、聖地巡礼の場合は、ファンにとって舞台の地域は文字通り“聖地”なのである。勿論、例外もあろうが、物語を愛し、「作品の世界に触れたい」と思って訪れる若者たちの多くは、シャイで口下手ではあっても、地域への敬意を抱いて来ている人たちだ。当初、「戸惑いを覚えた」という地域でも、少しずつ言葉を交わしてみると、意外に礼儀正しい普通の若者たちであるとわかって安心し、今ではファンが神社の神興を担いで、祭りの一翼を担うまで交流が進んだケースもある。古来、地域にとって“マレビト”は畏怖の対象であると共に、上手に付き合えば福や富を齎す来訪神でもあった。「若者文化はよくわからん」と言う方も、“相手を知る”という意味で、偶には映画館や書店に足を運んでみては如何だろうか。 (『湘南盆踊り研究会』代表 柳田尚也)


キャプチャ  2016年11月号掲載
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テーマ : 聖地巡礼
ジャンル : アニメ・コミック

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