【男の子育て日記】(32) ○月×日

7月27日 赤ん坊と2人で朝まで過ごし、その間、何度もミルクとオムツをやって風呂に入れ、東京行きの新幹線で泣き叫ぶので、車内を抱っこして歩きながらあやす。自分にこういうことができるとは思わな…いや、できると思っていたかな。取り敢えず、新幹線車内のサラリーマンの「赤ん坊を泣かしてんじゃねぇよ、うるせぇよ、男の癖に何やってんだよ、恥ずかしくねぇのかよ(失笑隣れみ)」に対する耐性はできているかな。俺が今、髭面のコワモテだから、面と向かって「赤ん坊を泣かせるな! それでも親か!」と文句を言ってくる人はいない。だけど、俺が女性(しかも若くて小柄)だったら、「自分より弱い生き物だ」とナメてかかり、怒鳴り付けてくるオヤジが普通にいるだろうなと思う。――以上、3連発ツイート。『ママだって、人間』(河出書房新社)の田房永子さんがお気に入りに入れてくれて嬉しい。

8月1日 一文のお腹が張っている。救急病院へ。

8月2日 下痢3回により、保育園から強制帰宅。知らなかったこのルール。

8月7日 水道橋博士、来京。実は、僕と妻・記子のキューピッドは博士なのだ。司法試験に合格するまで7年の歳月を要した妻は、その間、テレビも一切見ず、自分に与えた唯一の娯楽が、ファンである博士のブログを読むことだった。後にタレント弁護士として、『キャスト』(朝日放送)で博士と番組を御一緒するようになるなんて、天にも昇る気持ちだっただろう。博士がツイッターで拙著を絶賛していたので、記子は試しに『タモリ論』を読んでみた。
エゴサーチで僕は記子の存在を知り、事務所に小説を送った。以上、馴れ初め。先ずは、博士に一文を抱っこしてもらう。僕と記子、大喜び。残すところは、この連載のイラストを描いてもらっている方だけだ。「うちも、長男のたけしが赤ん坊の頃、色んな人に抱っこされている写真が一杯あるよ」。博士が目を細める。「これぐらい小さい頃は、一瞬たりとて目が離せない。ベープリキッドを誤飲して、慌てて口から吸い出したことがあるよ」「たけし君とは、4年前に博士に誘って頂いて高尾山に登りましたね。岡村靖幸さんも御一緒でした。当時は子供だったけど、博士のツイートを読むと反抗期を迎えたようで」「中学入学の初日から変わったね。この前も『あのメンバーで高尾山登ったな』って言ったら、『あぁ、あれな』って」。おいこら。優しいパパだからって甘えるなよ。まぁ、僕も人のこと言えなかったかもなぁ。「でも、俺以外にはちゃんと礼儀正しいんだよ」「博士の教え、“接拶は身を守る鎧”が生かされていますね」。博士の奥様が、このエッセイを楽しみにして下さっているとのこと。お食事も御馳走になり、京都まで態々有難うございました。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年12月22日号掲載
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