【政治の現場・長期政権の展望】(06) 「みんな政治家だからね」

20161222 01
先月15日夜、JR名古屋駅近くのホテル。前地方創生担当大臣の石破茂は、宴会場入り口で腰を屈め、来場者1人ひとりと丁寧に握手を重ねていた。「握手した分しか票は出ない」が口癖の石破が受け取った名刺の束は、忽ち厚さ10㎝ほどに膨らんだ。自民党石破派が主催した地方セミナーには、財界等から約750人が参加し、椅子が足りなくなるほどの盛況ぶりだった。元環境大臣の鴨下一郎から「将来の日本を担う男」と紹介された石破は、「『自分が、自分が』と言うつもりはない」と謙遜しつつ、「いつ、何があるかわからない」とも述べ、首相を目指す姿勢を鮮明にした。2018年9月と予想される自民党総裁選は、2期目の総裁任期が満了する首相・安倍晋三の後任を選ぶ場となる筈だった。しかし、総裁任期を“連続3期9年”に延長することが決まり、状況が変わった。今夏、安倍の入閣要請を固辞し、閣外に出た石破は、安倍との直接対決を睨んで地歩固めを進める。2012年の総裁選では、石破が地方票でトップに立ちながら、国会議員による決選投票で安倍に逆転された。石破側近は、「誰かと“ポスト安倍”を争うより、安倍さんと雌雄を決するほうが士気が上がる」と雪辱の舞台に備える。ライバルと目される外務大臣の岸田文雄も、地方行脚に乗り出した。外務大臣として安倍を支えることで“禅譲”を目指すとみられていたが、安倍が3選された場合の任期満了は2021年9月。小泉進次郎ら若手の台頭を考えれば、「禅譲される保証は無い」(岸田派中堅)と危機感は強く、戦略の練り直しを迫られている。

同5日、沖縄県那覇市内のホテルで開かれた岸田派と党沖縄県連との懇親会では、先代領袖である元幹事長の古賀誠が「政治家はいつか勝負しないといけない。何れ総裁選がある。その時に立つのが岸田だ」と支援を呼びかけた。笑顔で会釈する岸田に、出席者から万雷の拍手が送られた。安倍外交の黒子役に徹し、自らの手柄をアピールしようとしない岸田に対し、派内には「発信力が弱い」との不満が燻る。だが、岸田も最近は外交日程の合間を縫って地方回りを熟し、周囲には「ポスト安倍をやる体力はある」と意気込みを見せる。他派閥との共闘も模索している。10月25日夜には六本木の和食店で、岸田派と額賀派の議員約15人が食事を共にした。穏健な外交路線が似合う両派は、同じ永田町のビルに事務所を構える間柄だ。岸田派若手は、「総裁選での連携に向けて結集の機運を高めたい」と語った。肝心の安倍は、今国会の所信表明演説で“未来”を18回も繰り返し、長期政権への意欲を滲ませた。総裁任期が連続3期9年で決着したことには、「無期限でもよかったが、俺が『無期限にやりたい』みたいになる」と周囲に軽口を飛ばしている。自らに近い防衛大臣の稲田朋美を将来の首相候補として重用するが、次期総裁選で譲る気配は見えない。先月1日夜、1993年衆院選で初当選した自民党同期組が、麻布台のレストランに顔を揃えた。冒頭、安倍の正面に座った元総務会長の野田聖子が、「昨年の同期会は針の筵で大変でした」と切り出すと、「あれは“聖子の乱”だった」と合いの手が入り、場がどっと沸いた。野田は、昨年9月の総裁選で出馬を目指したが、安倍の切り崩しにあって推薦人20人を確保できず、断念に追い込まれた。安倍・岸田を前に、野田が「今度もめげずに努力する」と宣言すると、安倍は余裕たっぷりに「皆、政治家だからね」と返した。 《敬称略》

■総裁3選、高いハードル
自民党総裁任期の延長で、安倍首相は歴代最長となる連続3期9年への挑戦権を手にしたが、3選には高いハードルが待ち受けている。最大の関門は次期衆院選だ。衆議院議員の任期満了は2018年12月で、次の総裁選までに行われる可能性が高い。衆院選で与党が大幅に議席を減らせば、2期目の総裁任期満了を待たずに求心力が低下することは避けられない。本紙が先月実施した全国世論調査では、総裁任期を連続3期9年とすることを「評価する」が44%、「評価しない」が45%と拮抗した。経済政策『アベノミクス』が失速すれば、政権に批判的な声が広がる可能性もある。 =おわり


⦿読売新聞 2016年12月4日付掲載⦿

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