だから“衝撃映像”系特番は止められない――制作ディレクターが明かす“心霊ブーム捏造”の裏事情

ありがちな2流MCが進行を務め、よく見るタレントが騒いで終わる――。昨今のバラエティー番組がそんな面子で予想通りにOAされているが、嘗て大ブームを引き起こしたUFO・UMA・心霊現象系の番組もその枠組みに敷かれ、最近、よく放送されている。特にオカルトブームという訳でもなさそうなのに、一体どうしてなのか。関係者に舞台裏を訊いた。 (取材・文/フリーライター 山倉修三)

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ここ数年、態々海外に出かけては日本の良い点を現地人に喋らせるだけという“日本大好き番組”が頻りに放送され、人気を博してきた。一方で、OAの度に、所謂“ヤラセ”や、あまりに恣意的過ぎる番組演出が、インターネット上でもしばしば問題視されてきたのも事実だ。そうしてやり辛くなり、且つネタも無くなった。“日本大好き番組”の後を受ける形で、今、急速にその数を増やしているのが、UFO・UMA・超常現象や心霊もの等を纏めただけの“衛撃映像系”の特番だ。「まぁ、抑々作るのが楽だし、視聴率も稼げる。あんなに都合のいいジャンルの番組はないよ(苦笑)」。最近、急速にその数を増やし続けるこうした“衝撃映像系”の番組について、制作側からの見解を聞かせてくれたのは、現在、こうした特番を数多く民放各局から受注しているというベテランディレクターのN氏(48)。彼によると、こうした番組が急増している背景には、“予算不足”や“各種制約”といった制作側の苦しい事情が大きく影響しているのだという。

「まぁ、言ってしまえばカネが無い訳ですよ。ここ10年くらいは、確実に制作費が減る一方。そういう中で、数字の良い番組なんて作れる訳ないでしょ。それでも、カネも無いのに数字を取ろうとするなら、やっぱ奇策に出なきゃ無理。といっても、あんまり極端なことなんて出来やしないから、どうしても“ああいう番組”になっちゃう。プレゼンした時に、局のお偉いさんだって『あー、これならば見えるね』『予算もこんなもんだよな』っていう落とし前に持ち込み易いから」(N氏)。話を総合すると、この手の番組は、その放送尺の大半を既存のVTRで埋めることができることが最大のメリットだという。その調達方法に関しても、局のライブラリーにある過去の放送から拾ってきたり、インターネット上の動画サイト等から拾ってきたりと、新規の映像ではなく、飽く迄も“ありもの”で埋めるのが基本。その為、予算削減の上で大きなアドバンテージとなるのだそうだ。無論、そうした性質上、視聴者からすると“どこかで観たことのある映像”ばかりが、ただ只管に流されることとなる。「いやぁ、それはしょうがないでしょ(苦笑)。それにね、若い連中ばっかりを想定していたら無理だろうけど、お年寄りとかね、そういう層も想定しての番組な訳です。だから、どうせ前に見た番組なんか忘れちゃっているんだから、別にいいんですよ。それに、後は演出です、演出。そこさえキッチリとすれば、何とか形にはなる。それも予算内でね」。N氏によると、そうした予算を殆どかけずに手に入れた“手垢の付きまくった映像”に、バラエティーとしての演出を加えることで、何とか番組の体をなすように仕向けるのだという。その際にカギを握るのが、所謂“ワイプ芸”や、スタジオコメントを得意とするタレントたち。それがそつなくできる面々は数も限られてくる為、やはり決まった面々ばかりが登場しがちなのだそうだ。

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「先ず、MCにヒロミさんか有吉(弘行)さん。この辺で予算の何割かは確実に飛ぶけど、まぁ、しょうがないですよね、それっぽく作る為には。それで、スタジオのコメント係は伊集院(光)や土田(晃之)辺り。アンジャッシュの渡部とか、バイきんぐの小峠辺りも悪くない。後はワイプ芸担当として、“ワイプの達人”の異名を取る菊池亜美辺りかな(笑)。その他は単なる“賑わせ係”だから、頭数さえ揃っていて、あまり極端に空気を変えなければいい訳だから、それこそ鈴木奈々とかダレノガレ明美とか。最近だとりゅうちぇるなんかもありかもね…。まぁ、若手から中堅にかけての芸人も入れるけど、そんなん、バーター消化レベルのキャストで充分。それなら予算もかかりませんしね(苦笑)」。確かに、N氏が語るこうした顔ぶれを思い浮かべるだけで、自ずとそうした番組の“絵”が見えてくる。“ありもの”の素材と、タレントたちのテクニック。そうした一切無駄の無いものが組み立てられた際に、よくある特番を組むことができるようだ。しかし、だからと言って、必ずしも高視聴率に繋がるとは限らない。そこで、彼ら制作陣が行うというのが、インターネットを使った人海戦術による工作活動だ。「正直ね、手の内をバラしちゃうから、あまり大きな声では言えないんだけど…。まぁ、SNSで一般人のふりをして盛り上げたりとかはするよね。でも、“拡散希望”とか書くと怪しまれるから、飽く迄もリアリティーが重要でさ。割と安く頼めるから、殆ど業者に任せているけど、手の空いたスタッフも空き時間にチマチマと投稿しているよ(苦笑)」。インターネット上や局のライブラリーから無料で手に入れられる映像を引っ掻き集め、ありがちな顔ぶればかりが集まるスタジオのリアクションでお茶を濁しつつ、インターネット上の“視聴者の声”を捏造して、番組として完成させる…。その背景には、“予算不足”という致し方ない理由があるにせよ、やはり、そのスタンスには些か疑念を抱かざるを得ない。UFO・UMA・心霊現象――そういった番組は、読者のニーズあってのブームではなかった。誠に悲しいことだが、テレビ制作側の勝手な都合で生み出された質の悪いリサイクル商品を観させられているに過ぎないのではないだろうか。


キャプチャ  第4号掲載

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