池田大作名誉会長の崇拝を至上とする『創価学会』の組織拡大戦略と信徒育成の巧妙な方法――聖教新聞レベルの広報紙に成り下がった朝日新聞の情けなさ

9月22日付朝日新聞朝刊が、『創価学会はどこへ』のタイトルで1面を丸ごと潰し、原田稔会長に単独インタビューをしている。

――池田大作名誉会長は88歳。最近は表立った活動を控えています。体調はいかがですか?
「元気にしておりますよ。執筆活動等に専念しています」

――最近はいつお会いしましたか?
「えぇ、この夏の研修で」

――重要な判断も可能なのですか?
「勿論です。ただ、数年前からは基本的に、運営は執行部に託し、見守っています」

折角、原田会長にインタビューをしているのに、記事の冒頭を拝見した限り、「まるで聖教新聞の紙面ではないか」と疑わせるような内容になっている。有能な朝日新聞記者のインタビュー記事にしては、原田会長のこのような返答に何の疑問を抱くことなく、裏付けも取らないままに平気で記事化したのだろうか。これでは、創価学会のプロパガンダ紙面と批判されかねない。正確には、6年前の5月から池田名誉会長は会員の前から姿を消した。以後、今日まで同氏の肉声を聞いた人は、家族を含めた極一握りの側近幹部しかいない。それでも年に数回、聖教新聞に香峯子夫人と同伴で、椅子に座ったままの近影が掲載される。だが、どの写真にしても例外なく精彩に欠け、会員に披露する写真にしては、顔が能面のように全くの無表情で、笑顔も無い。専門医が写真映りの症状を診断したら、ある程度の健康状態が推察できよう。

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しかも、『朝日新聞社』の編集局幹部が創価学会の幹部から聞いた話として、講演会で池田名誉会長の病状を吐露し、それが週刊誌で格好の特集記事にされたこともあった。こうした情報も得ていながら、朝日は原田会長(右画像)の「元気にしておりますよ。執筆活動等に専念しています」の発言を鵜呑みにして報じている。池田名誉会長は88歳である。90歳に近い体調不良の高齢で、聖教新聞に毎日のように『新・人間革命』を連載し、他、同会系列の出版社が発行している機関紙類にはエッセイ等を寄稿し、毎年1月末には紙面8ページにも及ぶ“平和提言”という大論文を発表している。執筆活動はそればかりではない。国内外の重要行事には長文のメッセージを送り続ける等、現代医学の常識を覆すようなハードな執筆活動ぶりである。毎日、資料収集や思索等で緊張が走り、息つく暇も無い新聞連載の労苦など、執筆に手慣れた新聞記者やプロの作家でも至難の業である。せめて朝日の記者は、「聖教新聞に連載している新・人間革命は、池田名誉会長ご本人が書いているのですか?」程度の質問は是非、インタビューの項目に加えてほしかったものだ。あのブッダ(釈迦)でさえ、80年の歳を重ね、死を迎える直前になって、「わたしはもう老い朽ち齢をかさね老衰し、人生の旅路を通り過ぎ、老齢に達した…」(翻訳・中村元『ブッダ最後の旅』)と弟子に告白したと言われる。しかし、池田名誉会長には“老い朽ち”の言葉は無く、創価学会組織もそれを認めようとしない。とりわけ、親元の『日蓮正宗』と離反(1991年)して以来、この四半世紀、池田名誉会長は、会員が崇拝の対象にしている“本尊”と同格とは言わないまでも、それに近い組織のシンボル化が急速に進んできた。その為、「組織活性化を維持する為にも、池田名誉会長を“病気”や“老衰”にする訳にはいかない。いつまでも“元気”でいてほしい」という巨大組織の止むに止まれぬ事情がある。姿を見せない池田名誉会長に、多くの会員が若干の不信感を募らせていた渦中に、天下の朝日新聞が報じた“元気”という記事に、相当安堵したに違いない。

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本誌先月号では、創価学会の布教活動にスポットを当てた。今回は、入会した新会員たちを、学会はどのような仕方で一人前の“活動家”に成長させていくのかについて触れてみよう。その中核として、やはり池田名誉会長の存在が欠かせない。創価学会のような所謂“新興宗教”や、歴史が長い伝統仏教にしても、歯止めが利かない会員・信徒の減少傾向は、共通の大きな難問である。況してや、既存の会員・信徒を定着させ、その上、自ら布教に走らせる一級の“活動家”に育てる行為は容易なことではない。では、公称会員数827万世帯の創価学会は、どのような手法で平の会員を“活動家”に育てているのだろうか? 前述した池田名誉会長の存在が、全てといっても過言ではない。毎国政選挙で700万から800万票を弾き出す選挙活動にしても「選挙に勝利して池田先生にお応えしよう!」、毎年12月の“財務”納金も「池田先生の為に」、聖教新聞の拡販活動(啓蒙)もまた「池田先生の為に」である。世界各国から勲章・名誉市民証・名誉教授号等、1500を超える顕彰を受章している“池田先生の弟子としての誇りと喜び”が、創価学会員活動の原動力になっているのだ。もう少し具体的に見ていくと、毎月、全国で開催されている“座談会”もそうである。出席する会員は、池田名誉会長が海外の要人たちと会っている記録映画を見せられる。ここで、池田先生はどれほど凄い人物かが擦り込まれる。会員間でも、聖教新聞に連載されている『新・人間革命』の読み合わせもそうだし、写真雑誌や月刊『グラフSGI』も、世界をまたに若き日に活動していた池田大作氏の写真特集が中心だ。「池田先生」「池田先生」で組織会員の結束を図り、聖教新聞では信仰の対象にしている“本尊”を無視しても、池田氏の“指導”(過去の発言等)が掲載されない日はない。また、定期的に実施される“教学試験”も、創価学会員の教義力を高め、活動家に育てていくステップになっている。教学試験は草創期時代からあり、合格すると助師→講師→助教授→教授へと昇格する大学組織に似た試験制度。これが幹部昇進へのバロメーターにもなる。

現在の教学試験制度は『創価学会インタナショナル(SGI)』にも拡大され、全国に点在している会館を会場にして、任用試験・初級試験・中級試験・青年教学1級試験・青年教学2級試験・青年教学3級試験等と細かく分けて実施され、試験階級が上昇するほど問題を難しくしている。今年9月25日にも、全国845の会場で青年教学2級試験が実施されており、受験者5万2000人、合格者2万4000人を数えた。試験問題の中身は“日蓮教学”が中心。その中には、「日顕を破す」(※日顕とは1991年、創価学会を破門にした当時の日蓮正宗・阿部日顕法主のこと)等も加えられている。こうした創価学会伝統の教学試験が、受験する会員たちに“信仰する宗教の正しさ”を浸透させているのだ。嘗ては、試験問題に『立正佼成会』や『天理教』、或いは“伝統仏教”を「破折せよ」といった項目があった。が、公明党の票集めに障害を来すのか、他宗を批判するような問題項目が消えて久しい。同試験の合格が幹部昇進へのバロメーターになることは前述した。事実、会員が組織で幹部に昇進することは、係長→課長→部長に昇進するサラリーマンの世界と同じで、気分は悪くない。それがまた、“活動家”の人数を増やすことにもなる。周知の通り、草創期時代の創価学会組織は、“軍隊”の組織を模倣した。役職名も分隊長・班長・隊長・部隊長・参謀・常任参謀といった肩書を用い、各組織単位で“折伏成果”や“座談会参加の人数増加”や“聖教新聞の啓蒙部数”等を競わせたのである。折伏成果が著しく、更には教学試験に合格して昇格していった会員は、分隊長から班長へ、班長から隊長へと幹部要職に任命された。要職に就けば、会員の養成に力が入り、組織を守ろうとする責任と諸活動の意気込みも違ってくる。また、『霊友会』のような徹底した縦割り組織は、一幹部の主導で組織が簡単に分かれ、相次ぎ分派を立ち上げることが可能だった。その点、巨大な創価学会組織が一枚岩を守り、今日までの歴史を築けた理由は、組織構成の巧みさにあった。組織を縦・横と複雑に絡み合わせ、魚を確保する投網のような組織を形成し、草創期から成熟期に至る組織の基盤を固めていたのである。1970年代後半に入って公明党支織の組織活動が活発になり、縦割りの選挙には横割りの組織が不毛になり、段階的に解消し、現在は縦割りだけの組織構成になった。池田名誉会長は“永遠の師匠”として別格の扱いにされ、組織構成は原田稔会長をトップに、長谷川重夫理事長や谷川佳樹主任副会長、そして300人を遥かに超す副会長までが最高幹部。所謂“職業幹部”と言われる人々が中枢になり、組織の活動方針・人事・資産運営を統理する総務会・中央審査会・責任役員会・監正審査会等を設け、その下部組織に国際本部・教育本部・地域本部・社会本部・文化本部・教学部・壮年部・婦人部・青年部がある。更に、その下部組織には方面運営会議があり、組織形態は東京の本部から地方へと広がっていく。各県、都市部の場合は区単位で、県の場合は県長・分県・圏(ゾーン)・本部・支部・地区と続き、末端組織は会員世帯数10世帯前後を1つにしたブロック員である。これら下部組織にも壮年部・婦人部・男子部・女子部・学生部・未来部があり、其々の各部に部長等の役職を持つ会員がいる。

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草創期時代、男子部部員からスタートして、軈て分隊長から部隊長にまで任命された元学会活動家のAさん(73)が、こう回想する。「1950年代、中学校を卒業して、15歳で東京に集団就職してきました。安い賃金だし、薄汚い寮での集団生活で、満足に洋服も買えず、勿論、彼女等もいないし、出会う機会も無い。何の楽しみも夢も無くその日暮らしを続けている中、創価学会員に折伏された。座談会会場に行くと、地方から出てきた私たちと同じ年代の若い女性たちがいた。軍隊調の歌を声高に合唱し、幹部が“広宣流布”という気高い目標を掲げる。同じ仕事場の1人を折伏しますと、分隊長に任命された。軈て班長になると、中卒の私が偉くなったような気がしまして、座談会会場では前に立って部員を指導する訳です。私が所属する男子部部隊組織には、20人からの班長がおりましたが、班長の上は隊長という役職です。まぁ、早くその隊長に任命されたくて、折伏成果を競い、教学試験に合格したくて勉強もする訳ですね。助教授になって、軈て隊長に任命され、部隊長にまで上り詰めました。部隊長になると、200人前後の部員を擁するようになり、座談会や部隊総会では、大音声を以て池田大作氏の話を引用して、指導をする。気持ちがいいし、生活は変わらず苦しかったけど、何か人生の成功者になったような気分でしたね。40歳に突入して、青年部から壮年部に移り、役職名も支部長になりましたが、学会組織が何か煩わしくなって、自然に離れました」。入会した会員が役職を得ることによって、向上心が磨かれ、“活動家”に変わっていく――。こうした数多ある役職の任命も、創価学会組織の巧妙な戦略の1つである。別けても、組織活動の中核を占めている婦人部は「役職への功名心が強い」と言われている。しかし、社会が多種多様化する中で、活動する学会の“役職”は、謂わばボランティアであり、最近、役職任命を辞退する会員も少なくないという。嘗ては、幹部たちが会員に対して叱咤激励を飛ばしていた。だが、現在は真逆だ。幹部が行事に参加する会員たちに一輪の花を贈呈する等、地位が転倒している例も見かける。会員を一級の“活動会員”に育てる為に、創価学会は時代に即した新たな戦略変更を余儀なくされているようだ。


段勲(だん・いさお) フリージャーナリスト。1947年、宮城県生まれ。東洋大学文学部卒。『週刊ポスト』記者を経てフリーに。宗教・社会問題・人物・健康等について幅広く執筆。著書に『千昌夫の教訓』(小学館文庫)・『創価学会インタナショナルの実像 池田会長が顕彰を求める理由』『反人間革命 創価学会へ入信した男の一生』(共にリム出版新社)・『定ときみ江 “差別の病”を生きる』(九天社)等。


キャプチャ  2016年11月号掲載

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テーマ : 創価学会・公明党
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