【科学捜査フロントライン】(04) 江東区女性バラバラ殺人事件、捜査の“王道”指紋は世界に2つとない決定的証拠!

今や科学捜査と言えばDNA型鑑定であるが、それでも多くの事件を解決に導いているのは“指紋”だ。指紋を採取し、鑑定可能なものから犯人を特定する。この不可解な事件もまた、決定打は指紋だった――。 (取材・文/ノンフィクションライター 八木澤高明)

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「僕を疑っているのかもしれないですけど、フフフ」――。マンションの前に群がった報道陣に囲まれて、タートルネックのセーターを着た1人の男が、緊張感の無い笑みを浮かべながらインタビューを受けている。これが単なる街頭のインタビューであれば、何の違和感も無い。ただ、彼が取材を受けていたのは、同じマンションの2つ隣の部屋で、前日に起きた事件に関してだった。2008年4月18日19時30分頃、東京都江東区内にあるマンションの916号室に暮らす東城瑠理香さん(当時23)は、会社から帰宅し、玄関のドアに鍵をかけようとしたところ、いきなり見知らぬ男に押し入られた。彼女は叫び声を上げて抵抗したが、彼女の必死の声を誰も聞く者はいなかった。マンションは新築されたばかりで、部屋は3分の1しか埋まっておらず、彼女の暮らす9階には、彼女と2つ隣の918号室に男が1人暮らしているだけであった。この日、彼女の部屋に押し入ってきたのは、918号室の住人で、冒頭のインタビューに応えていた男だった。男は、派遣社員の星島貴徳被告(当時33・左写真)。これまでに女性と付き合った経験は無い。己の性欲を満たす為に、「同じマンションに暮らす女性を襲って監禁したい」という妄想を持ち続け、この日、それを実現する為に行動に出たのだった。

星島被告は、抵抗する東城さんを殴りつける等して静かにさせると、部屋にあった包丁を彼女の首に突きつけ、「騒いだら殺す」と言って脅し、918号室へと連れ去った。東城さんを連れ込んだ星島被告は、彼女をベッドマットの上に仰向けに寝かせた。彼女の左頬が出血していることに気が付き、ハンカチを濡らして傷口に当てた。その時、「東城さんの部屋に血痕が残っているかもしれない」と思い、タオルを手に東城さんの部屋に戻った。廊下に残った血痕を消し、指紋が付いた玄関ドアの内側やドアノブ等を拭き、証拠隠滅を図ったのだ。東城さんが連れ去られてから約1時間後、同居していた姉が帰宅した。部屋の中に星島被告が拭き損ねた血痕を見つけ、姉は直ぐに警察に連絡をしたのだった。星島被告が部屋に東城さんを監禁して3時間ほどが過ぎようとした22時20分頃、警察が星島被告の部屋のドアをノックした。警察が既に動き出していることに驚いた星島被告は酷く動揺し、事件の発覚を怖れた為に東城さんを殺害し、バラバラにすることを決意する。東城さんの首を包丁で突き刺し、失血死させ、その日のうちに死体の解体作業に取りかかった。鋸・包丁・ナイフ等、身の回りのものを使って、遺体を3㎝から5㎝四方に切り刻み、トイレから流した。頭部については、剃刀で髪の毛を剃り落とし、頭蓋骨は鋸で切断して、やはりトイレから流したのだった。水洗トイレで流せなかった骨等は、コンビニエンスストアや最寄り駅のゴミ箱に投棄する等して、遠体の全てを処理した。マンションの防犯カメラの映像には、東城さんがマンションを出る映像は無かったことから、「同じマンションに住む住人による犯行の可能性が高い」として、星島被告の部屋にも警察が訪れていた。だが星島務告は、切断した遺体が入っていた段ボールを隠すことなく、「あれも調べて下さい」と言って指差す等、大胆な行動に出た。捜査員は、トイレ・風呂・押し入れを見ただけで部屋を出た。

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警察は、東城さんの部屋に残されているであろう遺留品等の捜索を続けた。犯人逮捕の決め手となったのは、部屋の壁に残された指紋だった。神奈川県警元刑事の小川泰平氏が言う。「最近では、DNA型鑑定が捜査の中心になっているようなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、今でも指紋は犯人逮捕のきっかけとなることが多いのです。防犯カメラ等、様々な方向から犯人を追い詰めるきっかけとなる重要な証拠なのです」。星島被告は証拠隠滅を図ったが、全ての指紋を消すことはできなかった。『法科学鑑定研究所』の冨田光貴所長が指摘する。「ドアや壁等に残っている指紋は多いのですが、他の指紋と重なってしまったりして、不鮮明なものもあります。鑑定に使える指紋は、1000個の指紋が現場から出てきたとしても、そのうち1個使えるぐらいの確率なんです」。壁等の指紋の検出には、粉末を対象物に吹きつける“粉末法”と呼ばれる方法が取られる。使われる粉末にはアルミニウム粉や蛍光粉等、様々な種類があり、現場を担当した鑑識員の経験によって決められる。こうして、数多の指数の中から、証拠として採用できる指紋が見つけ出されるのである。指紋は世界に同一のものが存在せず、日本の鑑定では、12ヵ所以上が合致すると“同一”の指紋と認識される。この事件では、マンション住民全員の指紋が採取されたが、星島被告の指紋と、東城さんの部屋から発見された指紋が合致したのだった。その指紋は恐らく、彼女が抵抗した時に知らずに星島被告が付けたものであろう。彼女の無念と科学捜査の執念が結び付き、犯人を導き出したのだった。


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