【衝撃トランポノミクス・識者に聞く】(上) 期待先行、中長期にリスク――熊谷亮丸氏(『大和総研』チーフエコノミスト)

アメリカのドナルド・トランプ次期大統領の経済政策“トランポノミクス”に、世界の関心が集まっている。影響や課題を識者に聞いた。

20161227 02
トランプ氏の大統領就任が決まって以降、アメリカの金融市場でドル高・株高・金利上昇が続いている。円等、各国の通貨が売られてドルが買われ、安全資産のアメリカ国債を売って、リスクの高い株式が買われている。新政権の経済政策に対する大きな期待が先行している為で、日本等先進国市場の株高も齎している。トランプ氏の掲げる大型減税は、使えるお金を増やし、企業の設備投資や個人消費を刺激する。インフラ(社会基盤)整備への投資は、企業によっては受注が伸びる為、業績を改善し、雇用も創出する。短期的に景気回復を加速する。銀行の業務を厳しく制限する金融規制を緩和する方針だ。銀行はリスクを取った融資や投資をし易くなり、景気にプラスだ。石油会社や金融機関の幹部等、経済界の出身者を多く要職に起用することも、「ビジネスに有利な政策を進める」とみられ、市場に安心感を与えている。アメリカの『連邦準備制度理事会(FRB)』も今月の会合で、新政権の政策で景気回復が強まる可能性を考慮し、来年の利上げペースの見通しを3回と、以前の2回から修正した。

『日本銀行』は金利を抑え込む金融緩和を続けており、日米の金利差が拡大する。運用の魅力が高まるドルが買われ続け、円相場は近く1ドル=120円を超えて下落するだろう。日本の輸出企業は、経済が堅調なアメリカ向けの輸出増加と、円安による業績改善という両面の恩恵を受け、日経平均株価の2万円超えは時間の問題だ。だが、中長期的なアメリカ経済の先行きには、慎重にならざるを得ない。トランプ氏の経済政策で、「アメリカの財政赤字が10年間で5兆ドル(約590兆円)以上増える」との試算もある。議会の過半数を占める与党・共和党には、歳出を抑える“小さな政府”を志向し、財政均衡を目指す議員が多い。議会の抵抗で減税やインフラ投資が小粒になれば、市場は落胆する。また、財政再建への不安が高まればアメリカ国債の売りが膨らむ。長期金利が急騰し、財政と経済活動に悪影響が出る。ドル高も一段と進めば、アメリカの製造業は外国製品と比べて輸出で不利となり、打撃を受ける。国内投資や雇用を減らすかもしれず、景気に冷や水を浴びせる。1980年代に大型減税を進め、“強いドル”を容認したロナルド・レーガン政権は、財政と貿易の“双子の赤字”に苦しみ、先進5ヵ国の『プラザ合意』でドル安に舵を切った。トランプ氏も、ドル高が不都合とみれば、為替相場の是正に動く可能性がある。 (聞き手/国際部 水野翔太)


⦿読売新聞 2016年12月20日付掲載⦿
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