【電通事件の衝撃】(02) コストではなく投資だ

20161227 09
「当社も“ブラック企業”と揶揄される悲しい事があった。社長就任以来、改善・体制作りを徹底してきた」――。先月21日、大阪市で開かれた『王将フードサービス』の今年4~9月期の決算説明会。社長の渡辺直人(61)は冒頭、“電通ショック”を念頭に、こう切り出した。50分間の説明の半分を、労働改善の取り組みに充てた。理由がある。嘗て、『餃子の王将』は店長や新人への猛烈な研修で知られ、渡辺も教官だった。2012年には、京都府の店舗の男性従業員が「長時間労働等で鬱病になった」と労災認定され、2014年には2億5500万円の賃金未払いが判明。インターネット上には批判の書き込みが溢れた。スパルタ研修は廃止し、昨年度は直営店の約7割で深夜営業を止めた。待遇改善を進め、新規出店を減らした結果、4~9月期の税引き利益は前年同期比16%減に。それでも、渡辺は「コストではなく投資だ」と考える。

今月8日、居酒屋大手の『ワタミ』は、2008年に過労自殺した女性社員の遺族との和解から1年を迎える。明け方の閉店後に店長らを集め、午前7時から開いていた月1回の会議は廃止。店の営業時間短縮も進めてきた。和解では、遺族に「改善を進める」と約束し、創業者の渡辺美樹(57)は「名誉回復・ブランド挽回には、時間をかけて事実を積み上げる必要がある」と語った。会社はその途上にある。“ブラック企業”と受け止められれば、働き手の確保は難しくなり、客足も遠退く。ただ、過酷な労働環境が根付いた企業では、従業員の声は埋もれかねない。「A事業場18人、B事業場14人…」。今年5月、厚生労働省千葉労働局は「月100時間超の残業が4拠点で確認された」として、棚卸し業務代行会社の『エイジス』に是正勧告したことを発表した。個別の勧告内容を明らかにしてこなかった同省。これを改め、複数の事業場で違法残業があれば、指導の上、公表するルールを定めた。同社は初の事例だ。4月には、監督対象の事業場を“残業時間が月100時間超”から“80時間超”に引き下げ、対象を年間約2万ヵ所と2倍に広げた。長時間労働への包囲網を着々と狭めている。これまで、大手ディスカウントストア等5社を書類送検した『過重労働撲滅特別対策班』(通称“かとく”)。東京労働局幹部は強調する。「悪質な会社はまだまだある。電通で終わりではない」 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年12月1日付掲載⦿
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