【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(28) ドバイ・香港・中国を股にかけた原油輸出ビジネスの顚末

「うちの会社の株は上がるから、買っといたほうがいいよ」――。“ITバブル”と呼ばれ、新興市場では若手経営者が隆盛を極めていた2000年頃の話である。当時、筆者は赤坂にあるアメリカ大使館近くに住んでいた。新株発行等の規制緩和もあり、まさに泡(バブル)銭が溢れ、毎夜、六本木でカネをばら撤いていたものだ。その頃、付き合っていた彼女は、六本木のクラブで働きながらタレント活動をしていた。その店には、上場企業の経営者や芸能関係者も足繁く通っていた。客には暴力団関係者も多く、上場企業の経営者と同席する等、今では考えられないほどコンプライアンスの意識は低かった。冒頭の言葉は、この店に通う上場企業のK社長が彼女に言ったものだった。どうやら、株価上昇に影響する材料が出るのだろう。筆者は情報を確認する為に、証券会社のA君に事情の説明をした。彼は東京大学を出てメガバンクに勤めていたのだが、筆者が証券会社へ情報収集要員として転職させていた。当時、筆者たち暴力団関係者は、金融機関は勿論、財務省や金融庁にまで人を送り込み、重要情報にアクセスしていた。サラリーマンや役人は、接待で訪れる高級クラブに網をかけておけば、いくらでも引っかかる。彼らはカネと女の誘惑に弱い。一度手を汚せば、倫理観より欲望が勝つようになる。こうして、夜の街を舞台に、黒い人脈は表の世界へ浸透していく。彼女は結局、この情報を基に同社の株を買って利益を得た。これは紛れもないインサイダー取引である。筆者はK社長から直接情報を得ておらず、彼女からの又聞きなのでインサイダー取引には当たらない。企業秘密も、有名人のゴシップも、時に国家機密も、このようにホステスの寝物語で漏れることが多いのだ。

筆者が2003年頃に原油先物を始めた時も、A君の情報が役に立った。「燃料のスワップ取引が異常に増えています。中国の原油需要に関係しているようです」。この数日後、中国政府が「戦略的石油備蓄の目標を大幅に増やす」と発表した。こうして、原油の先物取引から現物取引を目指したのだが、日本の商習慣や企業構造に阻まれ、国内への原油輸入は困難を極めた。一度だけ、ワンマン色の強い中堅商社が承諾してくれたのだが、最終段階で断念することになった。原因は、この商社の取引銀行が決済を承認しなかったからだった。日本への石油輸入を諦めた筆者は、中国を始めとするアジア諸国へ石油を売ろうと考えた。やはり、一番魅力的なのは中国の巨大市場だった。知り合いの暴力団関係者は、中国政府の幹部と組んで大量の買い注文を持っていたが、決済の問題がクリアできずに困っていた。香港やシンガポール等、第三国の商社を挟めば売買は可能だが、中国の支払いに信用が無い。そこで筆者は、香港のペーパーカンパニーが支払いを保証するスキームを用意した。その為には、300億円ほどの銀行保証が必要だった。ここで登場するのが、以前書いた“BC屋(国際ポン手業者)”である。筆者は、ドバイのBC屋が発行する“SBLC(スタンドバイエルシー)”をリースして、香港のペーパーカンパニーにSWIFT送信した。これによって、表面上は支払いに銀行保証がされたように装うことができるのだ。ドバイの銀行で発行されたSBLCは確かに、発行時においては保証されている。ところが、香港のペーパーカンパニーに届いた時点で、そのSBLCは只の紙切れなのだ。通帳残高はあっても、キャッシュカードで現金が引き出されているのと同じ状態なのだ。この説明は次回でしよう。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年12月27日号掲載
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