【電通事件の衝撃】(03) 10時以降はメール禁止

20161228 07
先月7日午前。『電通』本社(東京都港区)に家宅捜索が入った丁度その頃、数百mしか離れていないホテルで、“脱長時間労働”に取り組む企業経営者らが会合を開いていた。「働き方改革は、トップの継続的な発信が大切だ。働く人の満足は、最後は業績にも繋がる」――。『東急不動産』社長の植村仁(57)は、言葉に力を込めた。『かんぽ生命保険』・『日本航空』・『三越伊勢丹ホールディングス』等、会合には27の企業・団体の代表が顔を揃えた。「大手が改善しなければ取引先も変われない」。各社は取り組みや実績を交換しあった。介護業界で人材派遣サービスを手がける『セントワークス』社長の大西徳雪(43)も、参加者の1人だった。都内にある同社のオフィス。第3水曜日になると、紫色のマント姿で仕事を急ぐ社員の姿がある。背中には“2000”と退社時間の決意を示した数字を書く決まりだ。

取引先のカイゼンには先ず自社から。平均で25時間を超えていた月の残業時間は、4年半で半分以下に減った。日本の働き手の総実労働時間は、年間で1人1729時間になる。週に49時間以上働く比率は2割を超え、アメリカ(16%)やドイツ(10%)を上回る。「海外では、残業を前提にした働き方では人材は定着しない」。2020年度に所定労働時間を1日7時間に縮める『味の素』。社長の西井孝明(56)は、日本の常識が世界の非常識に映る。制度を決めた経営会議のメンバーは、全員が海外勤務の経験者だった。医療・日用品大手の『ジョンソンエンドジョンソン』で働く笠繁和(41)は、22時を過ぎると「会社と繋がらない」。以前は、メールの3分の1は20時以降にやり取り。帰宅しても「24時間働いていたようなもの」。営業システム管理担当で、海外との調整も頻繁だった。生活が変わったのは、会社が休日と平日の22時以降の社内メールを禁じたからだ。「お父さん、今日は卓球の試合で勝ったよ」。笠は、帰宅後に子供の話を聞くのが日課になった。厚生労働省によると、労災認定の目安となる残業で月80時間を超えて働く正社員がいる企業は22.7%。「トップ自ら過重労働防止に取り組まなければならない」。電通の家宅捜索の8日後、『日本経団連』会長の榊原定征(73)は会員約1300社に呼びかけた。経営と現場の本気度が試されている。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年12月2日付掲載⦿
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