【新聞ビジネス大崩壊】(06) 新聞広告費、10年で4000億円超減の衝撃――現役広告営業マン座談会

深刻な部数減に喘ぐ新聞業界だが、一方で広告収入の減少も重篤だ。インターネットの台頭で、新聞広告の現場はどのような状況になっているのか。新聞社で働く現役営業マンたちが、その内情を暴露した――。 (聞き手/フリージャーナリスト・元新聞記者 安藤海南男)

インターネットの台頭でメディア環境が激変し、苦境に立たされる新聞業界。急激な早さで進行する読者離れと共に、その足下をぐらつかせているのが、広告収入の落ち込みだ。購読料と共に新聞社の経営を支えてきたビジネスモデルが今、崩壊の危機を迎えているのだ。新聞広告の現場で起きている異変を、現役広報部員らが暴露する。


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A「景気のほうはどうですか? うちは全然ダメですけど…」
B「いやぁ…ダメですね、うちも。いいところなんて無いんじゃないですか」
C「どこもそうでしょう。最近は見ないですけど、一時、経済専門誌で“新聞崩壊”・“新聞不況”なんて特集が組まれた時期があったじゃないですか。あの時よりも状況は悪くなっていますからね」
A「全社的に部数も落ち続けていますからね。日本新聞協会の調査では、2000年に約5370万部だった一般紙・スポーツ紙を含む日刊紙の発行部数が、2015年には約4424万部に減少したそうです。事態はかなり深刻です」
B「この15年で1000万部近く顧客が離れた計算になる。消えた紙の数が、発行部数1位の読売新聞(※2015年7~12月期時点で約913万部)の部数を上回っている」

C「広告収入も、部数減に伴って下落する一方でしょ?」
A「日本新聞協会が公表するデータには、2005年に約1兆円あった新聞広告費は、2015年には5679億円まで下落したとある。10年で4000億円超が吹っ飛んでしまった格好です」
C「広告媒体としての新聞の価値は、物凄い勢いで下がっている。この流れが止まることはないでしょう」
B「これを見て下さいよ。電通が発表した“2015年 日本の広告費”というリポートです。テレビ・新聞・雑誌・インターネット等、あらゆる媒体の年毎の広告費を媒体別・業種別に推定したものなんですが…」
A「全媒体の総広告費は6兆1710億円で、前年比100.3%です。4年連続でプラス成長を遂げていて、随分と景気がいい話ですが、我々には全く実感が沸きませんよね」
C「そりゃそうです。ここに出ているのは、電車の中吊りやディスプレー等、全ての広告を網羅した数字ですからね」
B「雑誌(前年比97.7%)・ラジオ(同98.6%)・テレビ(同98.8%)と、何れもマイナスを記録しています。その中でも、最も激しい落ち込みをみせているのが新聞(同93.3%)です」
A「“若者のテレビ離れ”なんて言われますが、テレビは何だかんだ言っても未だ媒体としての影響力がある。最近ではスマホアプリ・ゲーム関係の広告が増えています。一方で、新聞広告に新たな収益源等、いい材料はありません。実際は、明らかになっている数字よりももっと厳しい状況になっているというのが実感です」
C「月毎の売り上げでみると、前年比2割減・3割減ということもある。このままいけば、経営が立ち行かなくなる新聞社も出てくるのは間違いないでしょう」

B「新聞広告がどれだけ苦戦しているかは、各紙の紙面を見れば一目瞭然ですね」
A「以前のように、自動車会社・電機メーカー・食品会社等、誰もが知る大手企業の広告を目にする機会は確実に減りましたね」
C「ビール会社や生活用品等の消費財メーカーや携帯電話会社等は、未だに新聞業界の生命線となっています。一方で最近、紙面を埋める頻度が高まってきたのが、健康食品や通販会社の宣伝広告です」
A「この手の広告が目立つようになったら、その新聞は危ない(笑)。『その新聞に広告が入らなくなっている』ということですからね」
C「通常、健康食品や通販の広告等は、業界でいう“つかみ”と呼ばれる枠で売られます。“フリースペース”とも呼ばれる枠で、掲載日や掲載面等の指定ができない契約になっているのです。つまり、『いつ、どこでも載せてくれればいい』という契約。だから広告単価も、日時と掲載面が予め決められた“枠モノ”よりも安く設定される訳です」
A「広告の枠が埋まらない時の穴埋めとして使うことも多い」
C「この手の広告ばかりが目立つということは、『その新聞に通常の枠での広告が入らなくなっている』ということですね」
B「今や、どの新聞も“つかみ広告”だらけ。もう1つ、新聞社にとって有難い存在となっているのが、神道系の宗教法人“ワールドメイト”(本部は静岡県伊豆の国市)の代表を務める深見東州氏(65)です」
A「“現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ!”とか、“進撃の阪神巨人ロックコンサート!日本武道館”とか。冗談とも本気ともつかないダジャレ混じりの新聞広告に登場する、あの御仁ですね」

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B「新聞の広告審査では、虚偽広告であるかどうかが一番の問題になります。だから、内容の検証が難しい宗教系の広告は敬遠されがちなのですが、深見氏の一連の広告は“コンサートの宣伝”ということで、審査をクリアしている。今では、朝日を始めとする全国紙の他、地方紙やスポーツ紙とありとあらゆる媒体に露出しています」
C「『年間の出稿量は500本を優に超える』と言いますから。数百万円単位の大型枠も買ってくれる。『あれが無くなったら…』と思うとゾッとしますね」
A「同じ宗教関係で言えば、幸福の科学や創価学会も新聞各社のお得意様です。広告費が右肩下がりを続ける中、健康食品や通販会社等の“つかみ広告”への依存と共に、“神頼み”せざるを得なくなっているという訳です」
B「新聞広告の没落の一方で、存在感を増しているのがインターネット広告です。先程の電通のリポートによれば、2015年のインターネット広告費は1兆1594億円を計上。前年比110.2%と2桁の伸びを示しています。2000年には、落ち目となった新聞広告費が1兆2474億円に達していたことを鑑みると、隔世の感があります」

A「新聞各社は、紙の事業とは別に、其々が自社サイトを運営しています。だから、インターネット広告の隆盛によって、新聞各社にもそれなりの恩恵が齎されるようにも見られますが、はっきり言って、インターネット広告の旨みは殆どありません。先ず言えるのは、広告単価が低過ぎること。トップページのバナー広告は、掲載日数にもよりますが、月200万円くらいでしょ。新聞広告では、全国紙の全ページ広告だと、定価で1400万~4000万円程度かかる。実際は1000万円程度で済むケースが多いが、それでもこれほど大型の広告出稿はインターネットでは見られない。インターネット広告の収益だけで、新聞社の莫大な人件費や経費を賄うことは不可能です」
B「加えて、インターネット広告の世界では、業界内での諍とは比較にならないほど熾烈な競争にも曝されますから。インターネットメディア・個人ブログ・動画サイト等。小さなパイを奪い合うライバルは、それこそ数限りない」
A「インターネット広告でも、大きな企画物になると500万~600万円の出稿というケースも、あるにはあります。ただ、そんな大型出稿を受注できるのは、業界のガリバーであるヤフーくらいです」
C「インターネット広告の台頭で、代理店・出稿元・媒体の関係も変わってきています。従来なら、代理店が窓口となって、一括して仕事を受注したり発注したりするケースが殆どでした。ところが、インターネット広告では、代理店のような機能を果たす中間業者が無数にいて、あまりに業務が細分化するようになりました。メディアから広告の枠だけを集める会社や、コンピュータのアルゴリズムで自動的に出稿先を振り分ける会社もある。極僅かの“総合商社”が取り仕切るスタイルから、無数の“専門商社”が乱立するスタイルに変わったという感じでしょうか」
A「何れにしても、我々の業界に未来が無いのはわかっています。ただ、うちの業界は、金融やメーカー等といった他業種の営業なんかに比べれば、圧倒的に緩い。『ぬるま湯的な環境から抜け出せない』というのが正直なところです。全国紙のどこか1社でも潰れたら、もう少し危機感が出るんでしょうけどね…」


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