“暴走国家”中国の犠牲者たち――これがGDP世界2位を誇る経済大国の真の姿だ!

驚異的な経済発展を遂げ、圧倒的な経済力で世界を呑み込まんとする中国。しかし、あまりにも急ぎ過ぎた経済成長は、中国社会のあらゆる場所に歪みを残し、栄華を誇る一部の人々は足元の綻びを見ようとしない。その危うさは、距離を置かないと当事者たちにはわからないのかもしれない――。 (取材・文・写真/ノンフィクションライター 八木澤高明)

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高層ビルが建ち並び、目抜き通りには『ユニクロ』等の海外ブランドショップが建ち並び、日本の都市と変わらぬ雰囲気を持った上海や北京といった中国の大都市。ただ、その裏には、中国社会が抱える膿みが止め処も無く溢れていた。上海に入ったその日に筆者が目にしたのは、ストリートチルドレンだった。彼らは、筆者が滞在していたホテルの直ぐ傍にある高架橋の下で寝起きしていた。翌朝、彼らの下を訪ねてみると、ひっきりなしに車やバイク、そして歩行者が通り過ぎていく中を、少年たちは鼠色に変色した布団に、まるで蓑虫のように包まっていた。筆者の姿に気付くと、少年の1人が布団から顔と手だけを出して、「座ってくれ」と身振りで示した。筆者が朝食に買ってきたパンと牛乳を手渡すと、「サンキュー」と中国語ではなく英語で言った。片言の英語を話した周健(16)は四川省の出身。「家にいるよりは、外の世界を見たかったんだ。初めはレストランで働いていたんだけど、問題を起こしてしまって逃げ出したんだ。その店に身分証を預けたままだから、新しい仕事を見つけることができないんだ。田舎にも帰りたくないから、上海で空き缶拾いをして生活しているよ。稼げても1日に20元(約300円)ぐらいだね」。もう1人、楊天海(20)と名乗る青年は、四川省と隣接する貴州省の出身。「両親は銃の密売をしている」と言った。「『何か仕事が無いか』と思って、広州に行って、それから上海に来たんだよ。仕事が見つからないから、この生活さ」。農村から上海へ憧れを持ってきたものの、簡単に仕事を見つけられない厳しい現実が、彼らの目の前に立ちはだかっているのだった。果たして彼らは、上海でどう生きていくのだろうか。

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都市へと流れて来る人々は勿論、少年だけではない。建設現場には、地方の農村から出稼ぎに来ている農民たち――所謂“民工”と呼ばれる人々が、安い給料で中国経済の下支えをしている。仕事を得られない者は物乞いになるしかない。都市部には、日本円で数千万円のマンションが次から次へと売れていく一方で、民工たちは1ヵ月3万円ほどの給料で朝から晩まで働く。古代エジプトでピラミッドを築いた労働者が永遠に眠ることがない墓を造ったように、民工たちは永遠に自分たちが住むことがない建造物を造り続けている。彼らは、どんな思いで高層ビル群を見つめているのだろう。北京の街には、地方政府の腐敗を陳情する人々が集まる“直訴村”と呼ばれる村があった。公安に賄賂を要求された者、炭坑で働いていた時に落盤事故に遭ったにも関わらず満足な補償を得られなかった者等、政府に不満を抱えた者たちが集まっていた。2008年の北京オリンピックの際に一度、村は潰れたが、その後、北京を訪ねてみると、また人々はどこからともなく集まっていた。いくら村を潰したところで、政府が変わらぬ限り、直訴村はまたどこかに現れるのである。都市から地方へと足を運ぶと、益々中国の闇が露わになる。エイズ患者で溢れる“エイズ村”や、環境汚染によって癌患者が多発する“癌村”等が存在する。筆者が先ず向かったのは、河南省にある“エイズ村”だ。河南省のとある地域へ入ると、畑の中にある小さな土の山が目につくようになる。その土盛りは、エイズで亡くなった農民たちの墓である。河南省では1990年代初頭、省政府が中心となって盛んに売血が行われ、30万人以上のHIV感染者を出した。河南省内には、多くのエイズ感染者を抱えた村が幾つもある。筆者はその1つ、河南省東部にある双廟村に潜入した。政府は“エイズ村”の存在を秘匿する為、厳重な警戒を敷いている。片田舎の村にも関わらず、村の入り口には不釣り合いなほど大きい公安警察署があり、余所者の出入りを警戒していた。村に潜入し、とある家の門を潜ると、1人の中年の女性がいた。筆者は思いきって切り出した。「日本の記者ですが、この村にエイズ患者はいませんか?」。初めは筆者の下手糞な中国語が通じず、困惑の表情を浮かべていたが、意味が通じると「それは私だよ」と言って、他にもエイズ患者の女性を連れて来てくれた。

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一見したところ、彼女が患者とはわからないが、よく見ると、顔の所々に小さな赤い湿疹ができていて、エイズ患者特有の症状が現れていた。彼女の名前は超小雲(45)。夫が先ずHIVに感染し、夫から移されたという。夫が感染した原因は、やはり売血だった。「1回40元貰えて、6回は売ったんじゃないかね」。超は張りの無い、か細い声で言った。6年前に夫は亡くなり、現在は抗ウイルス薬を国から支給されているという。村の外れには、先程見かけた土盛りが無数に並んでいた。その中に彼女の夫が眠る墓もあった。殆どがエイズで亡くなった村人のものだという。墓には何の墓標も無く、土だけが盛ってあるだけで、瑞々しい小麦の新芽と対照的だった。粗末な土盛りの中に眠る農民たちは、何を残すことができたのか。次に筆者が向かったのは、山東省肥城市肖家店村。癌の発生率が異常に高い村である。長閑な農村地帯をバスは走って行くが、時折目に飛び込んでくる川は、本来の水の色をしておらず、黒ずんでいる。このような水を使って農業をしたら、人体に影響が出ることは十分に想像がつく。中国では近年、癌患者が急増している。中国人の死亡率で一番を占めるのは癌である。癌が急増している理由には、環境汚染が影響していることは言うまでもない。年間150万人が亡くなっている。肖家店村も、環境汚染によって癌患者が急増している村の1つなのだ。バスの車窓から外を眺めていると、真っ白い川が目に飛び込んできた。筆者はその水の色を見た時、我が目を疑った。まるで白濁した温泉のような水が流れているのだ。そして、バスは川を渡ったところで止まった。肖家店村に着いたのだ。先ず、村に入る前に川辺へと足を運ぶことにした。川に近付くにつれて、異臭が鼻をつく。まるで温泉地のような硫黄の匂いがする。川辺で村人が農作業をしていたので、「何故、このような水の色をしているのか?」と聞いた。「数年前に養魚場ができてから、水が汚れたんだよ」。どうしたら養魚場の排水でこのような色になるのだろうか。更に、「村に癌患者はいるのか?」と尋ねると、「一杯いるよ」と平然と答えた。筆者は村の中へと足を運び、患者を探すと、1人の老人と出会った。名前は肖伝奉(77)。5年前に食道癌が発見されたが、手術もせずにそのままにしているという。話の途中に絶えず軽い咳をしながら、ゆっくりと老人は話す。老人の年収は1500元(約2万4000円)。手術をするには2万元(約32万円)が必要で、彼の年収ではとても手術を受けることはできない。現在、病院にも通っておらず、ゆっくりと迫り来る死を待ち続けている。

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肖伝奉の家の家電製品といえば、部屋の中にぶら下がっている豆電球が1つと、壊れた小さなテレビがあるだけだった。それ以外に目ぼしいものは無い。経済発展が続く都市部の住民の生活と比べたら、同じ国とは思えないほど両者の間には絶望的な格差がある。肖伝奉の妻である桂英(72)も、5年程前から殆ど声が出なくなり、左手が麻痺して、指もしっかりと伸びなくなってしまった。原因はわからないが、汚染された水により、病気が引き起こされた可能性が高い。4000年の歴史がある中国には、つい最近まで“纏足”という因習が残っていた。今も纏足の女性が存在するという福建省へと向かった。中国における纏足の起源は、諸説が入り乱れている。有力な説として、「10世紀、南唐の国王が小さな足の女性が好みで、そこから始まった」とされる説がある。「遅くとも南宋の時代には存在した」とされるのが一般的だ。どの時代に始まったにせよ、後宮に女性をかき集めた皇帝たちが、足の小さい女性を求めたことに起源がある。支配階級から始まった纏足は、次第に庶民階級にも広がり、明の時代、漢民族の支配地域では一般にも浸透していった。纏足が広まっていった理由は、中国では小さな足の女性が好まれたことや、女性の社会的な地位が低く、「女性は男性の従属物である」という考えが背景にあるからだ。歩行が困難な纏足女性は、家の中に囲っておくことが容易であったこと、足を小さくすることにより女性器の筋肉が発達し、セックスによって快楽が得られること、更には纏足でペニスを擦ってマスターベーションに利用したという。どちらにしろ、纏足は男の欲求を満たす為のものであった。福建省の福州という町からタクシーに乗って1時間半ほど走っただろうか、長閑な港町に着くと、ある石造りの民家へ案内された。その門前で、1人の老婆が日向ぼっこをしていた。一見、普通の老婆であったが、その足はまるで赤児のようだった。驚きと同時に、昔ながらの服装で佇む纏足の老婆からは、艶かしさを感じた。彼女に1つの質問をした。「貴女の足の倍以上の大きさがある最近の女性たちの足について、どう思うか?」と。「前の時代のほうがいいよ。皆、足が大きくなってしまって、綺麗ではないね。だけど、時代の流れだから仕方ないね」。彼女は、自分の纏足に誇りを持っていた。彼女に纏足を強いた社会は中国共産党によって否定されたが、この纏足の老婆以上の悲惨な現実を、今の中国は生み出し続けている――。


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