【回顧2016・経済編】(下) “苦闘”…黒田日銀、仕切り直し

20161230 34
『日本銀行』にとって、2016年は試行錯誤と仕切り直しの1年だった。年明け早々、中国等の新興国経済の減速と原油安で、世界経済の先行き不安が広がり、円高・株安が進んだ。景気の下ぶれリスクを払拭しようと、日銀が1月に新たな一手として打ち出したのが“マイナス金利”政策だ。銀行が日銀に預けるお金の一部から事実上の“手数料”を取り、銀行が世の中にお金を供給することを促した。住宅ローンや企業向け融資の金利は大きく下がった。ところが、「収益が圧迫される」と主張する銀行界が猛反発。「預金から手数料を取られる」と心配した人たちが、金庫を買い求める“珍現象”も起きた。金利が下がれば円建て資産の運用益が減る為、円安が進む効果が期待されたが、円高の流れは変わらず、6月にイギリスが『ヨーロッパ連合(EU)』からの離脱を決めると、円相場は1ドル=99円台まで上昇した。

市場の想定外のタイミングと規模で金融緩和策を打ち出す黒田東彦総裁の手法も、市場の疑心暗鬼を生み、却って混乱を招くことが増えた。市場では、金融政策の限界論も囁かれ始めた。こうした中、日銀は黒田体制の下で最大の政策転換に踏み切る。9月、これまでの金融緩和政策の“総括的な検証”を行い、長期金利を金融政策の誘導目標に加えた。中央銀行としては異例の政策だ。同時に、物価上昇率が2%を超えるまで金融緩和を続けることも決めた。一方、市場環境は急速に変化した。先月、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選で勝利すると、アメリカ景気の拡大への期待から安全資産の国債が売られ、アメリカで金利が上昇した。国債価格が下がると、金利は上がる関係にある。日銀が長期金利を“0%程度”に抑える中、ドル資産の運用が有利になり、円相場は円安・ドル高に向かった。円安は輸入物価を押し上げ、物価上昇率2%の目標達成には有利になる。「これまで、グローバル経済の逆風の中で奮闘してきたが、これからは追い風を受け、(目標達成に)前進していくことが可能な状況だ」。黒田総裁は、今月26日の講演で自信を示した。だが、過度な円安は物価の上昇で家計を圧迫し、景気を冷やす恐れもある。長期金利の上昇を抑え続けられるのかも未知数だ。気が抜けない日銀の政策運営は、来年も続く。


⦿読売新聞 2016年12月30日付掲載⦿
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