【2017年の日本はこうなる】(05) 潜在成長率を上げよ…人手不足をチャンスに

20170104 05
日本経済は過去20年、デフレから脱することができず、歴代政権も具体的な対抗策を打ち出すことができなかった。しかし、安倍政権は“デフレからの脱却”という目標を掲げて、金融緩和・財政出動・成長戦略の3本の矢から成るアべノミクスを果敢に実行した。物価上昇率2%等、達成されていない目標もあるが、私は「一定の成果を挙げている」と評価している。金融緩和の大きな成果は、大企業を苦しめてきた超円高を解消したことだ。円安によって輸出が改善し、海外投資のリターンも増加したことで、大企業を中心に収益は大幅に改善した。もう1つの成果は、財政出動と手を携えて需用を喚起し、供給が需要を上回る需給ギャップを縮小させたことだ。具体的には、2008年のリーマンショック後、一時はGDP比マイナス8%もあった需給ギャップは、2014年までにマイナス1.6%にまで縮小した。このギャップは30兆~40兆円と言われ、長年のデフレの原因の1つとなってきた。それに比べて、「第3の矢の成長戦略は、一向に目に見える結果が出ていないのではないか」という批判がある。しかし、金融緩和と財政出動は需要を喚起する、短期的に効果が出易い政策であるのに対し、成長戦略は供給サイドに働きかける、短期的には成果が見え難い政策であることを肝に銘じておくべきだろう。つまり、成長戦略の成否については、長期的な時間軸で判断しなければならない。しかし、アべノミクスの成功は成長戦略にかかっていることも事実だ。では、成長戦略を成功させるにはどうすればいいのか? それを考える為には、成長戦略は潜在成長率を上げるた為に行われることを認識しなければならない。潜在成長率とは、わかり易く言えば、供給サイドの“伸び代”である。成長戦略は、この伸び代を増やす為にある。伸び代を増やすことで、金融緩和や財政出動で需要を喚起すれば、それに応じて供給が増え、それがまた需要を増やす…という好循環が期待できる。しかし、伸び代が無いのに需要を刺激すると、その需要は直ぐに供給能力を上回ってしまう為に、その効果は一時的なものに止まってしまう。つまり、好循環が生まれない。今の日本経済は、まさにそのような状態にある。嘗て、日本の潜在成長率は約4%あったが、現在は0.2~0.3%ほどしかないからだ。何故、これほどまでに低下してしまったのか?

潜在成長率は、資本・生産性・労働力の掛け算で算出される。資本は、バブル崩壊以後、日本企業が海外投資を増やし、国内投資を減らしたことで減少した。新しい設備投資が控えられた為に、多くの生産設備は老朽化し、新たな技術革新を導入する機会を失った。このことは、生産性の伸びの低下を齎した。また、労働力人口は1998年をピークに減少し続けている。つまり、資本・生産性・労働力の何れもが減少した為に、日本の潜在成長率は著しく低下してしまったのだ。では、潜在成長率を上げるにはどうすればいいのか? ここで大事なのは、アべノミクス頼みの考え方を捨てることだ。金融緩和や財政出動は日銀や政府が決定・実行できるが、成長戦略において政府ができるのは“お膳立て”までである。先ず、資本を増やす為に、日本企業には国内投資を増やしてほしい。しかし、その為には国内需要がなければならない。国内需要を更に分厚くする為には、賃上げが効果的だろう。大企業が中小企業の取引価格引き上げを容認するのも有効だ。総じて言えば、円安強者(大企業)がアベノミクスで受けた恩恵を円安弱者(家計・中小企業)に行き渡らせていくことが需用を増やし、国内投資を促す好循環を生み出していく筈だ。しかし、いくら成長戦略で投資を促しても、どこにどれぐらい投資をするかを決めるのは政府ではなく、企業である。日本企業にはアべノミクスに頼らず、新たな商品を開発し、新たな市場を開拓する気概を持ってほしい。生産性を上げる為、政府は既に“働き方改革”に着手している。また、規制緩和によって、農業に代表されるような非効率的な産業をできるだけ効率化する一方、企業の再編・合併を促すことで産業構造を効率的にする党、日本経済全体の生産性を高めることも重要だ。そして、最大の問題は労働力人口だ。それを増やす改革は、既に行われている。それは、若者・女性・高齢者の労働力参加率を上げることを目的とする“1億総活躍”政策である。少子化の解消を目的とする支援策の充実も必要だろう。しかし、既に日本全国で人手不足が露呈している。特に、中小企業では人手不足が深刻で、その55%で人手不足による業務への支障が出ている。更に今後、労働人口は毎年40~50万人も減少する。この急激な人口減少に対応する為には、IT化やロボット化といった省力化技術の導入が必要だ。このようなイノべーションは、生産性を高める一方、雇用を減らす可能性もあるので、通常、労働組合を始めとした社会全体から猛反対を浴びて、中々進められない。しかし、急激に進む人手不足は、日本がこのようなイノべーションを受け入れ、加速させていく追い風となっている。つまり、今の日本は、危機をチャンスに変えられる状況にある。潜在成長率を高めなければ、日本の未来は無い。政治の役割は、若者に希望を与えることと、適切な危機感を持たせることだ。働き方が変わり、年功序列も変わろうとしている中で、今、若者がより活躍できる素地が整いつつある。危機の時だからこそ、若者も頑張るという意識を持ってほしい。危機意識を持つと同時に、我々は希望も持つべきだ。 (『日本商工会議所』会頭 三村明夫)


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