【2017年の日本はこうなる】(08) 宇宙開発・電気自動車をリードするイーロン・マスク氏とは何者か?

20170104 08
2016年9月、イーロン・マスク氏が創業した『スペースX』の打ち上げロケット『ファルコン9』が試験中に爆発したが、宇宙開発に失敗はつきものである。寧ろ、民間のべンチャーが9回連続で成功している事実こそ注目されていい。スペースXは、地球低軌道へ53トンという搭載能力を持つ『ファルコンへビー』や、有人宇宙船『ドラゴンV2』も完成間近だし、無人カプセルの火星到着が2018年に実現したとしても何ら不思議はないというところまでこぎつけている。マスク氏は、次々に起業し、成長させては売却して次の新事業に資金を投じるシリアルアントレプレナーというタイプの事業家だ。インターネット決済で成功した『PayPal』を売却し、その資金を投じて、2002年にスべースXを創業した。2年後には、電気自動車(EV)べンチャーの『テスラモーターズ』に出資して会長に就任し、太陽光発電の『ソーラーシティー』にも出資している。未上場も加えれば、遥かに多くの挑戦をしている筈だ。成功したアメリカのITべンチャー創業者は共通して、宇宙開発や自動運転EVに投資する側に回っている。ジェフ・べゾス(『Amazon.com』CEO)も『ブルーオリジン』を立ち上げてロケット打ち上げ実験に成功したし、ラリー・ペイジ(『Google』共同創業者)は惑星探査べンチャーの『プラネタリーリソーシズ』に出資し、自動運転車も開発している。偶然ではない。歴史を俯瞰すると、「これがあっちに繋がっていくから、この蛇口を捻るとドカンと来そうだ」という所がわかる。社会を変革しようとする先に見える地平は同じなのだ。残念ながら、日本の起業家の多くはボンクラで、未来像を持ち合わせていない。ビジョンがあり、資金力と実行力を兼ね備えているのは、孫泰蔵(『ガンホーオンラインエンターテイメント』創業者)と本田圭佑(『ACミラン』所属)くらいだ。嘗て、IT革命に新興勢力として携わった頃の私たちは、暗闇の下で星明かりを頼りに航行する船のようなもので、プログラミング言語は“C”か“Perl”か、データべ ースは何を使えばいいのか、1つひとつ手探りしながら積み重ねるしかなかった。今のIT起業家は、既に正解が見えたところから出発していて、昼間にGPS片手に目的地に向かっているようなものだ。宇宙は、ITとは比べものにならないほど最適解が見えない領域だ。技術者も必要で、全く新しい挑戦だから、スタッフや資金集めも一筋縄ではいかない。10年程前、Google本社で開かれた『Xプライズ財団』の会合で、未だ無名のマスク氏と会ったことがある。パリッとしたビジネスマンではなかった。

印象に残ったのは、創業間もないスペースXで「ロケットの燃焼実験を成功させた」と聞いたからだ。しかも、その後も次々と結果を出した。宇宙開発を産業化する政府の流れに乗ったとはいえ、途撤もない速度である。その速さを可能にする1つの理由は、マスク氏が“背水の陣”で臨んでいることだ。彼はPayPalを直ぐに売って次に進んだが、ITの未来を見切ったところで、私もさっさと会社を売ってしまえばよかった。勝負をものにするのに運がいいのか、特別な処方箋を手にしているのかはわからない。ただ、彼が好機をものにするに当たって、“技術オタク”であったことは無関係ではないだろう。現在使われているロケットエンジンは、『ファルコン1』の1段目だった『マーリン』だが、実はアポロ計画の月着陸船のエンジンの為に、自動車部品の『TRW』が開発した技術を改良して造られていた。ピントル型インジェクターと呼ばれるその技術は、月面降下の為、吹かしたり弱めたりの出力調整ができる技術の精華のような代物だ。だが、アポロ熱が冷め、アメリカが『国際宇宙ステーション』と往復するスペースシャトル開発へと舵を切ると、傍流に追いやられた。TRWが軍需産業大手の『ノースロップグラマン』に買収される際、ロケット部門の売却話に手を挙げたのがマスク氏で、マニアの集まりで耳にした情報に反応したという。技術への知識と愛情を感じる逸話だ。因みに、そのチームが最初に手がけたエンジンが『ケストレル』。2008年にファルコン1が最初に成功した際の2段目に当たる。傍流技術を活かして開発費抑制に成功しただけでなく、ロケット再利用に向けた技術の基礎となっている。専門用語のエンジン名を敢えて記したが、マーリンやケストレルは、第2次世界大戦中にイギリスの『ロールスロイス』が開発し、戦闘機にも搭載されたエンジンの型式名である。これも、技術マニアでなければ出て来ないネーミングだろう。EVにも既存の技術を活かしている。テスラ車が優れているのは、実はバッテリーマネジメントシステムにある。コストを抑える為に、ノートパソコン用に大量生産されたリチウムイオン電池を6000個以上も束ねた。リチウムイオン電池は、『ボーイング787』で出火事故を起こす等、過熱リスクが知られているが、小容量の電池を集積させ、過電流が流れないよう制御する仕組みを作り上げたのである。マスク氏は2013年、次世代交通システム『ハイパーループ構想』をぶち上げたことがある。減圧したチューブ内で、人を乗せた乗り物を高速で移動させるというものだ。日本の輸送技術の専門家にこの話をしたら、「昔から発想はあるんですが、無理ですね」と本気にしない。その姿を見て、「終わっているな」と思った。今や人工知能(AI)の話題が花盛りだが、核となるディープラーニングだって発想自体は昔からあった。それが可能になったのは、山のような学習データを最新のGPU(画像処理装置)にインプットすることができるようになったからではないか。技術が発展すると条件も変わる。繰り返すが、変革を引き起こす発想と同時に、実行力と資金力。これらがあれば、局面をガラリと変えられる。マスク氏は、それを証明している。 (『SNS media&consulting株式会社』ファウンダー 堀江貴文)


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