【2017年の日本はこうなる】(09) 錦織圭が4大大会を制する日

20170104 09
2016年8月末から行われた『全米オープン』で、錦織圭選手は2年ぶりに準決勝に進出しました。4大大会での成績も、ここ2年は8強止まりで、“べスト4の壁”というような見られ方をしていましたが、リオデジャネイロオリンピックでの銅メダル獲得を含め、2016年の夏は錦織選手の著しい成長を目の当たりにできました。この成長を支えているものは何か。私は、「フィジカルを徹底的に強化したことだ」と考えます。フィジカルの部分での成長というのは、一朝一夕で可能なものではなく、本当に地道な努力が必要になっていきます。その成果が出てきたのが、2016年シーズンなのでしょう。冒頭で触れた全米オープン後、錦織選手はこれからのフィジカル面での強化については、「ドーピングをしない限り難しい(笑)」というジョークを言っていたようですが、「このコメントは、そこまで自分を追い込んでトレーニングしてきたことに対する、彼の自信の表れなのだ」と受け止めることができます。フィジカルを強化したことは、錦織選手に、メンタルへの好影響も含めた大きな安定感を齎しました。何故なら、抑々、錦織選手のプレースタイルは、精密機械のようなものであるからです。クイックネス――つまり、シャープなプレーが彼の持ち味であり、相手から対応する時間を奪うようなタイミングの早いショットも大きな武器になっています。自らが得意とするプレースタイルを、試合の中で如何に持続させていくのか。この課題を克服する為に強化したのがフィジカルであり、それが錦織選手の自信に繋がっています。以前だったら、悪い意味での強弱と言いますか、「このポイントは落としてもいいか…」というテンションの上下が見られたのですが、今では緊張感のある試合運びを継続して行うことができるようになっているのです。そして、プレースタイルをキープする能力は、1試合の中だけの問題ではなく、トーナメントを勝ち上がるプロセスにおいても必要とされるものです。これは、テニス界における錦織選手の立ち位置の変化に大きく関係しています。以前は“追う”立場でいればよかったのが、今では次世代の選手たちに“追われる”立場にもなっているのです。トーナメントの前半では、その選手たちに対応しつつ、後半に入ったら今度は、トップ選手たちに挑む為にギアを入れ替える必要がある。戦い方自体を変える必要があるのです。

この2シーズンほどは、同等か格下の選手に対してテンションを上手く保てない場面が散見されたのですが、2016年はギアチェンジを上手く行えるようになりました。こうした不断の微調整を行いながら、錦織選手は、シャープでスピーディーなテニスという自分の良さを消さないようにしなければいけない。持ち味を決勝まで保つ為、目の前の試合を全力でプレーしつつも、特に大会前半はサクッとセット連取して勝っていくのが理想です。とはいえ、そう簡単に勝たせてもらえないのも現実ですし、そうした状況にも対応できるようにする為のフィジカルトレーニングなのです。トレーナーであるロビー大橋さんと共に、パワー型の選手にも打ち負けない体幹の強さも鍛えていますし、左右に振られてもブレない体を手に入れることが、疲れ難さにも繋がってきています。結果として今回、全米オープンで“べスト4の壁”を突破できた訳です。だとしたら、「準決勝で当たったスタン・ワウリンカに対して、大きく崩れて負けてしまったのは何故なのか?」という疑問もあるかもしれません。これに関しては当日、湿度がとても高く、まさに精密機械であるところの彼にとってはハードなコンディションだったのが悔やまれるところです。天候に関しては最早、“運”としか言えない領域ですし、そうした如何ともし難い要素を抜きにすれば、錦織選手はほぼ万全のトレーニングを積んできていると考えられるのです。若し再考する余地があるとしたら、スケジューリングかもしれません。錦織選手は、基本的にタイトな試合日程を組んでいます。2016年の夏も、7月末にトロントで『ロジャーズカップ』、次にリオデジャネイロオリンピックに出場して銅メダル獲得。直ぐにシンシナティで『ウェスタン&サザンオープン』に出て、そのまま『全米オープン』に突入していきました。リオデジャネイロオリンピックで優勝し、シンシナティでも決勝に進出していたマリー選手が、全米の準々決勝・錦織戦で思うようにプレーができず、あれだけイライラしていたのを見ると、勢いのある選手でも連戦は相当にタフであることがわかります。ただ、『男子プロテニス協会(ATP)』のランキングが10位以上の選手になれば、「トップ選手として試合に出続けるべきだ」というそれ相応の“責任”が生じますし、欠場すれば罰金が発生する大会もあり、何よりも先ず自身がランキングを保たなければいけないので、おいそれと試合を休めないのも事実です。そういった厳しい状況下においても、自分がべストなパフォーマンスを出せる試合数を、周囲のスタッフとも相談しながら、じっくり見定める必要はあるかもしれません。勿論、こうした環境の変化、そこから生じる悩み自体が、錦織選手がトップ選手として君臨するようになった何よりの証拠でもあるのです。「2017年、試合を巡る条件がカチッと噛み合った瞬間、精密機械としての錦織選手のテニスが世界の頂点に立つ」と、私は確信しています。 (テニス解説者 杉山愛)


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